JP2586095B2 - 薄肉貴金属複合板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、記念品や贈答品として手軽に用いること
ができ、かつ装飾的にも価値を有するような、金、銀、
プラチナ等の貴金属を主体とするカード状の薄肉貴金属
複合板に関する。

「従来の技術」 従来、小型の金塊は、コインやメダルに見られるよう
に金型を用いて刻印することにより、その表面に模様が
付与されていた。

ところで、近年、金の大衆化が進み、金の取り扱い単
位が小さくなってグラム単位での売買がされるようにな
った。しかしながら、このような少量の金をコインやメ
ダルとしてある程度厚さを持った状態でプレス成形した
ものは、形状が非常に小さいため見栄えがせず、記念品
や贈答品としての効果が薄いという難点があった。

そこで、金塊を圧延して薄板状とし、これの表面に刻
印などによってマーキングを施し、目的に応じた模様や
文字などを付することが考えられる。この場合、例えば
3.0gの金を厚さ60μｍに延ばすと名刺程度の大きさとな
り、充分見栄えがするものとなり、模様や文字が判別し
やすいから記念品などには好適である。

「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、上記のように金塊を数十μｍ程度に圧
延した薄板は強度が小さく変形または破損しやすいの
で、薄板の表面に刻印等によりマーキングを施しても、
実際上、カード状の記念品や贈答品として使用するのは
不可能である。

「課題を解決するための手段」 上記のような課題を解決するために、この発明は、貴
金属または貴金属の合金からなりかつ板厚が0.005〜0.3
mmである薄板に、裏面に不透明な部分からなる絵文字が
施されている透明な補強板を重ね合わせ、両者を接着し
たことを特徴とするものである。薄板の板厚が0.005mm
未満では圧延技術上薄板の製造が困難になると共に、マ
ーキングを行う際に、薄板が破損しやすくなり、また、
板厚が0.3mmを越えると、数グラムの金塊では面積が小
さくなって、見栄えがしないことになる。

「作用」 この発明の薄肉貴金属複合板にあっては、貴金属また
は貴金属の合金からなる薄板と補強板とを重ね合わせ、
両者を接着したので、薄板が極薄（0.005〜0.3mm）であ
っても、補強板により補強されるので、変形、破損を防
止することができ、よって、数グラム程度の貴金属でも
比較的広面積の見栄えのする装飾品を提供することがで
きる。

「実施例」 第１図ないし第３図はこの発明の薄肉貴金属複合板の
一実施例を示すものであり、図において符号１は薄板を
示す。この薄板１は純度99.99％以上の金塊を圧延を繰
り返して厚さ60μｍに仕上げ、名刺大に切断した（重
量:3.0g）ものである。

この薄板１の一方の面には、第１図に示すように、刻
印を用いて文字、記号、模様等のマーキング２が施され
ている。この刻印により打刻された箇所においては、薄
板１が薄肉化し、これによりマーキング２が現れるわけ
であるが、厚さが60μｍであれば穴があいて美観が損な
われることはない。刻印は適当なポンチ等を用いれば、
任意の図形、模様、文字、肖像や認定マークを薄板１に
付与することができる。このマーキングは刻印によるだ
けでなく、例えばレーザビームを用いて付してもよく、
この場合はマーキングが簡単かつ迅速に、しかも安価に
行える。

上記薄板１への表示内容は特に限定されることはない
が、貴金属の材質や品位、重量等を表示の一部とするこ
とは妥当であり、これらは商品の個々の目的ごとに付与
されるマークとは別に予め画一的に付与しておくことが
できる。

また、薄板１の他方の面には薄板１と同形状の補強板
３が重ね合わされて接着固定されている。この補強板２
は、第２図に示すように、たとえばアクリル等の樹脂あ
るいはガラスからなる透明なものであり、その厚さは50
μｍ〜2500μｍに設定されている。なお、薄板１の素材
は必ずしも剛度の高いものである必要はなく、ある程度
柔軟性のあるものであってもよい。

上記補強板３の裏面すなわち薄板１との接合面には不
透明な部分からなる絵文字４が施されている。この絵文
字４は、塗料の塗布、レリーフ彫刻、エッチングなど適
宜の方法およびこれらを組み合わせた方法等により描か
れるが、補強板３の表面側から目視されるので、いわゆ
る鏡に写し出される鏡像で描かれている。さらに、不透
明な部分を絵文字４の部分としても、絵文字の背景の部
分としてもよいし、絵文字の部分を繰り抜いてその部分
に金を露出させてもよい。この補強板３に表示する絵文
字の内容は特に限定されるものではないが、例えば結婚
式の引き出物の場合には新郎新婦の名前のように受注し
たロットごとに異なる表示がされることが多い。この表
示は薄板１に表示するものでなくアクリル板等に表示す
るものであるから、このような多品種少量生産が比較的
容易に行なわれることは言うまでもない。

上記構成の薄肉貴金属複合板によれば、薄板１が補強
板３に補強されているので、搬送や人手を介した移送の
際などに破損したり折れ曲がったりするという事態が防
止され、商品価値が損なわれることがない。

また、補強板３の裏面すなわち薄板１との接合面に絵
文字４が施されているので、この絵文字が上記搬送や人
手を介した移送の際などに、剥がれ落ちたり、変色した
りすることがない。

さらに、補強板３に施された絵文字４が金の色を背景
にして浮き上がって見えるので、より優れた装飾効果を
得ることができる。

第４図はこの発明の他の実施例を示すものであり、こ
の図に示す薄肉貴金属複合板は、薄板１が一対の補強板
3a,3bに挟まれた構成となっている。この場合には、薄
板１に表示する内容を補強板3a,3bに表示すればよく、
薄板１に刻印をする必要性は少ない。なお、補強板3a,3
bの材質や表示については前述のものと特に異なる内容
はない。

この実施例は、前述した補強板３が有する補強、装
飾、表示の効果をさらに強化したものであり、特に、薄
板１がさらに薄くなったことき（1gの金を名刺大に圧延
すると厚さが15〜20μｍになる）にも採用することがで
きるという特徴を有するものである。

なお、上記実施例では、薄板１の素材として金を用い
たが、これに限ることなく、銀、プラチナ等の適宜のも
のまたはこれらの合金を用いてもよい。

「発明の効果」 以上説明したように、その発明の薄肉貴金属複合板に
よれば、貴金属または貴金属の合金からなる薄板と補強
板とを重ね合わせ、両者を接着したので、薄板が極薄
（0.005〜0.3mm）であっても、補強板により補強される
ので、変形、破損を防止することができる。

したがって、数グラム程度の貴金属であっても、比較
的広面積（名刺程度）の見栄えのする装飾品を提供する
ことができる。

また、補強板の薄板との接合面に絵文字が施されてい
るので、複合板の搬送や人手を介した移送の際などに絵
文字が剥がれ落ちたり、変色したりすることがない。さ
らに、絵文字が貴金属の色を背景にして浮き上がって見
えるので、より優れた装飾効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】 第１図ないし第３図はこの発明の薄肉貴金属複合板の一
実施例を示すものであり、第１図は薄板の平面図、第２
図は補強板の平面図、第３図は複合板の断面図、第４図
は他の実施例を示すものであり、複合板の断面図であ
る。 １……薄板、3,3a,3b……補強板。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】貴金属または貴金属の合金からなりかつ板
   厚が0.005〜0.3mmである薄板に、裏面に不透明な部分か
   らなる絵文字が施されている透明な補強板を重ね合わ
   せ、両者を接着したことを特徴とする薄肉貴金属複合
   板。