JP2586024Y2 - ヘッドリード線の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はヘッドリード線の取付構
造に係り、特にハードディスク装置に好適に適用される
ヘッドリード線の取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ハードディスク装置において
は、本体の回動軸回りに旋回駆動されるアクチエータ
と、このアクチエータに対して一体的に固定されるとと
もに旋回駆動の円弧に沿うように配設されるリード線を
有する（磁気）ヘッドを、一定速度で連続回転する磁気
ディスクの所定トラックに高速でアクセスして記録再生
する構成が知られている。

【０００３】そして、ヘッドのリード線はアクチエータ
側面に固定されるフレキシブル電線に対してハンダ付け
などされて固定された後に、ハードディスク装置の主制
御装置に接続される構成が一般的である。図を参照して
述べると、図８は従来のヘッドリード線の取付構造の要
部拡大平面図である。本図において、本体の回動軸５回
りに旋回駆動されるアクチエータ４は、このアクチエー
タ４に対して一体的に固定されるとともに図中の矢印
Ａ、Ｂ両方向に沿う旋回運動の円弧端部に沿うように配
設されるヘッド（不図示）が固定されており、リード線
１４をフレキシブル電線８に対してハンダ付けなどして
いる。

【０００４】そして、このフレキシブル電線８を回動軸
５の回動中心軸方向に対して略平行な面に沿うように配
設するために、アクチエータ４の側面部位には電気絶縁
性を有するように射出樹脂成形などから形成される取付
部材４０がネジ１３を用いて固定されている。この取付
部材４０は図示のようにＬの字状の平面上投影形状を有
しており、ネジ部４０ａとフレキシブル電線支持部４０
ｄを図示のように一体形成しており、フレキシブル電線
支持部４０ｄの裏面がアクチエータ４の側面部位に対し
てできるだけ隙間の無い状態において位置合わせが行わ
れ、その後にネジ１３を用いて固定するものである。

【０００５】このためにアクチエータ４と取付部材４０
の取付面の加工精度を確保する一方、フレキシブル電線
８をこの取付部材４０上において両面接着シートなどを
用いて接着固定した後に、各リード線１４をフレキシブ
ル電線８に対してハンダ付けして設けるようにして、ア
クチエータ４の旋回駆動にともなって起こるフレキシブ
ル電線８の撓みを変形部８ａにおいて変形吸収するよう
にしている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ヘッドリード線の取付構造によれば、取付部材４０はア
クチエータ４の側面部位に対して位置決めネジ止めされ
る構成であるが、両者の寸法誤差やネジ止め時の誤差な
どが原因で、取付部材４０とアクチエータ４の間にガタ
ツキが発生することがある。このガタツキ発生は、アク
チエータ４の旋回駆動時における、取付部材４０の振動
もしくは共振となって表面化するが、この振動、共振は
アクチエータに対して一体的に固定されているヘッドに
到達し、最終的にはハードディスク装置に要求される基
本機能であるデータ記録再生に支障を来すことが判明し
た。

【０００７】また、アクチエータ４と取付部材４０の取
付面の加工精度を確保するためにコストアップを招く一
方、作業者間のバラツキにより取付部材４０の固定状態
を常に一定にできないとともに、取付部材４０をアクチ
エータ４に対して固定するためにネジのみを用いている
ので取付状態が安定しない問題点があった。したがっ
て、本考案のヘッドリード線の取付構造は上述の事情に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
データ記録再生に支障を来すことがなく、コストアップ
を防止でき、作業者間の組み立て作業にバラツキが発生
することなく、かつアクチエータに対する取付部材の取
付状態を安定にできるヘッドリード線の取付構造を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】及び

【作用】上述の課題を解決し、目的を達成するために本
考案のヘッドリード線の取付構造は以下の構成を備え
る。即ち、回動軸回りに旋回駆動されるアクチエータ
と、該アクチエータと一体的に固定されるとともにリー
ド線を有するヘッドと、前記回動軸の回動中心軸方向に
対して略平行な面に沿うように配設されてなり、前記リ
ード線を主制御部に対して接続するフレキシブル電線
と、前記回動中心軸方向に対して略平行な前記アクチエ
ータの側面部位において前記フレキシブル電線を固定す
る電気絶縁性の取付部材と、を備えてなるヘッドリード
線の取付構造であって、前記取付部材にバネ性を有する
材料を用いかつ前記バネ性による反発力を発生させつつ
前記アクチエータの前記側面部位に対して固定すること
で、反発力の作用により取付部材はアクチエータに対し
て安定的に固定されるので、取付部材のガタツキ発生が
図られるとともに、コストアップを防止でき、作業者間
の組み立て作業にバラツキが発生することなく、かつア
クチエータと取付部材の取付状態を安定できるように働
く。

【０００９】

【実施例】以下に、本考案のヘッドリード線の取付構造
の好適な実施例について図面を参照しながら説明する。
図１はヘッドリード線の取付構造を具備したハードディ
スク装置１の実施例の平面図であって保護カバーを取り
外して示しており、磁気ディスク２がハードディスク装
置１から着脱されない固定式の事例を示しているが、磁
気ディスク２がハードディスク装置１から着脱自在にさ
れる交換式でも一向に構わない。

【００１０】図１において、磁気ディスク２は図示しな
いモータにより反時計方向に連続回転されており、ヘッ
ド３が図中の矢印Ａ、Ｂに旋回駆動されることにより、
磁気ディスク２の表裏に形成された所望の磁気トラック
へのアクセスが行われるものである。ヘッド３は図中の
実線と二点鎖線とで示されたヘッドアーム３ａの先端部
位において固定されており、このヘッド３に接続された
後述のリード線をアクチエータ４の側面に固定されるフ
レキシブル電線８に対してハンダ付けして固定してい
る。このフレキシブル電線８の一端はアクチエータ４の
側面において取付部材９を介して固定される一方、その
他端はハードディスク装置１上に固定された案内板１１
ａにより途中部分が案内されて主制御部１１に接続され
ている。

【００１１】次に、ハードディスク装置１の基部に設け
られている回動軸５回りに旋回駆動されるアクチエータ
４は上述のヘッド３を図中の矢印Ａ、Ｂ両方向に沿う旋
回運動させるために破線で示されるアクチエータコイル
６を一体的に固定している。このアクチエータコイル６
は固定磁石及びヨークから成る磁気回路７で挟まれるよ
うに構成されており、アクチエータコイル６への通電に
伴う磁気吸引により旋回駆動力を得ている。

【００１２】一方、フレキシブル電線８は回動軸５の回
動中心軸方向に対して略平行な面に沿うように配設して
自在に変形できるようにされているが、このためにフレ
キシブル電線８の一端はアクチエータ４の側面部位にお
いて固定された電気絶縁性を有するように射出樹脂成形
などから形成される取付部材９に接着などにより固定さ
れている。

【００１３】さらに、ハードディスク装置１の未使用時
にはアクチエータ４は図中の実線図示の位置に回動待機
され、その後に、アクチエータロック手段１０が取付部
材９上に直接当接するように作用してアクチエータ４を
不動状態にできるようにしている。また、使用時にはア
クチエータロック手段１０が取付部材９上へ当接する状
態が解除されて、上述の旋回駆動を可能にする。

【００１４】次に、図２はヘッドリード線の取付構造の
立体分解斜視図であって、フレキシブル電線８と取付部
材９とをアクチエータ４に対して固定する様子を示した
ものである。本図において、取付部材９は電気絶縁性及
び十分な弾力性を有する樹脂材料を射出成形したもので
あって、図示のようにフレキシブル電線８の裏面に接着
される両面接着テープ１２（図中、破線図示）が貼られ
る基部９ｓと、上述のヘッド３からの各リード線１４を
挟み込んで保持する溝部９ｇを４か所形成した壁部９ｆ
と、取付部材９を固定するネジ１３を挿通する孔部９ａ
と、取付部材９全体をアクチエータ４の凸部４ｂの取付
面４ｂ−１に対して当接して保持させる保持部９ｃと、
アクチエータ４の上面部４ｅに対する当接状態にされて
取付部材９がネジ１３を中心に回転するのを防止する片
支持部９ｈと、ネジ１３を締め付けた際にアクチエータ
４の側面部４ｆに対する当接状態にされて基部９ｓが反
る状態になるようにする突起部９ｄ，９ｅと、基部９ｓ
が反る際の補強部材をかねて、かつ上述のアクチエータ
ロック手段１０が係止する係止部９ｂ−１を側面に形成
した補強部９ｂとが一体形成されている。

【００１５】一方、アクチエータ４の凸部４ｂの取付面
４ｂ−１の略中心にはネジ穴４ｃが加工形成されてお
り、図示のように１本のネジ１３のみを用いて取付部材
９をアクチエータ４の側面に固定できるようにして、組
み立て工程の簡略化を図っている。また、フレキシブル
電線８には印刷パターン８ｅが形成されており、上述の
リード線１４をハンダ付けするランド部８ｄが１２か所
設けられる一方、ネジ１３を挿通し、かつアクチエータ
４との接地を図る孔部８ａが穿設されており、ネジ１３
の頭部によってもフレキシブル電線８を取付部材９に対
して固定するようにしている。

【００１６】次に、図３はヘッドリード線の取付構造の
平面図であり、取付部材９がアクチエータ４に対してバ
ネ性による反発力を発生させつつ側面部位に対して固定
される様子を示している。本図に図示のように、ネジ１
３を締め付けると基部９ｓはフレキシブル電線８を接着
した外側に反る状態において、突起部９ｄ，９ｅが側面
部４ｆに当接する寸法に設定されている。この結果、図
中の矢印Ｆ方向に向かうバネ力が基部９ｓに発生し、取
付部材９がアクチエータ４に対してガタツキ無く固定さ
れることになる。

【００１７】以上説明の構成において、アクチエータ４
の旋回駆動時における、取付部材９の振動もしくは共振
が全く発生しなくなるので、磁気記録再生に悪影響を及
ぼすことが防止される。そして、アクチエータ４の旋回
駆動にともなって起こるフレキシブル電線８の撓みを変
形部８ａにおいて変形吸収するようにしている。ここ
で、アクチエータ４はかなりの高速度で旋回駆動される
ことから、質量は極力小さく設定してあるが、アクチエ
ータ４に対して一体的に固定される取付手段部材９の質
量も小さくする配慮がされている。

【００１８】図４は取付部材９の裏面を示した平面図、
図５は図４のＸ−Ｘ矢視図、図６は図４のＹ−Ｙ矢視図
であって、既に説明済の構成には同一符号を付して説明
を割愛して、特徴部分に限定して述べると、基部９ｓに
は補強梁９ｍが図示のように形成されており、余分な質
量増加を防止している。また、保持部９ｃには溝部９ｋ
が形成されており当接状態を安定させている。

【００１９】次に、図７はリード線の取付構造の変形例
に関する平面図であって、既に説明済の構成には同一符
号を付して説明を割愛して、特徴部分に限定して述べる
と、取付部材９は図示のようにＬの字状の平面上投影形
状を有しており、ネジ固定部９ｔと突起部９ｄを一体形
成する一方、突起部９ｄがアクチエータ４の側面部４ｆ
に対する押圧状態においてネジ１３により固定する寸法
に設定されており、取付部材９のバネ力Ｆが常時作用す
る状態で固定されている。

【００２０】以上の構成においても、アクチエータ４の
旋回駆動時における、取付部材９の振動もしくは共振が
全く発生しなくなるので、磁気記録再生に悪影響を及ぼ
すことが防止される。ここで、以上説明のリード線の取
付構造はハードディスク装置に限定されないことは勿論
であり、種々の磁気記録再生装置に適用可能である。

【００２１】

【考案の効果】以上説明のように、本考案によれば、デ
ータ記録再生に支障をきたすことがなく、コストアップ
を防止でき、作業者間の組み立て作業にバラツキが発生
することなく、かつアクチエータと取付部材の取付状態
を安定にできるヘッドリード線の取付構造を提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ヘッドリード線の取付構造を具備したハードデ
ィスク装置の実施例の平面図である。

【図２】ヘッドリード線の取付構造の立体分解斜視図で
ある。

【図３】ヘッドリード線の取付構造の平面図である。

【図４】取付部材９の裏面を示した平面図である。

【図５】図４のＸ−Ｘ矢視図である。

【図６】図４のＹ−Ｙ矢視図である。

【図７】リード線の取付構造の変形例に関する平面図で
ある。

【図８】従来のリード線の取付構造の平面図である。

【符合の説明】

１ ハードディスク装置、 ２ 磁気ディスク、 ３ ヘッド、 ４ アクチエータ、 ５ 回動軸、 ８ フレキシブル電線、 ９ 取付部材、 １０ アクチエータロック手段、 １１ 主制御部、 １３ ネジである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G11B 5/60 G11B 21/02 601

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回動軸回りに旋回駆動されるアクチエー
   タと、 該アクチエータと一体的に固定されるとともにリード線
   を有するヘッドと、 前記回動軸の回動中心軸方向に対して略平行な面に沿う
   ように配設されてなり前記リード線を主制御部に対して
   接続するフレキシブル電線と、 前記回動中心軸方向に対して略平行な前記アクチエータ
   の側面部位において前記フレキシブル電線を固定する電
   気絶縁性の取付部材とを備えてなるヘッドリード線の取
   付構造であって、 前記取付部材にバネ性を有する材料を用いかつ前記バネ
   性による反発力を発生させつつ前記アクチエータの前記
   側面部位に対して固定することを特徴とするヘッドリー
   ド線の取付構造。