JP2585168B2 - 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 - Google Patents

高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法

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JP2585168B2 JP4219537A JP21953792A JP2585168B2 JP 2585168 B2 JP2585168 B2 JP 2585168B2 JP 4219537 A JP4219537 A JP 4219537A JP 21953792 A JP21953792 A JP 21953792A JP 2585168 B2 JP2585168 B2 JP 2585168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は送電線の耐熱鋼心や使用
中に昇温の可能性のある精密機械部品などに用いられる
のに適した110kgf/mm2以上の引張強さを有す
る高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術及びその技術的課題】送電線の耐熱鋼心な
どで代表される用途においては高強度で低膨張の特性が
要求される。かかる特性の線材として高強度インバー線
が知られており、この高強度インバー線の製造法とし
て、特公昭60−34613号公報には、Fe−Ni系
合金をベースにして、Mo,Cr,Si,C等の種々の
元素を微量に添加して高強度化をはかった素材を用い、
皮剥き後または皮剥き後の伸線途中で歪み取り焼鈍を行
なう手法が提案されている。この先行技術は、熱間圧延
後の冷間加工の途中で十分な軟化焼鈍を施すことを特徴
としており、軟化焼鈍は捻回値の安定化に有効であるも
のの、強度の低下が大きくなるため、要求される最終製
品での強度が得られないという問題点があった。
【0003】本発明は上記の問題点を解決するために創
案されたもので、その目的とするところは、捩回値で代
表される高い靭性と110kgf/mm2以上の引張り
強さの両特性を備えた低線膨張係数のインバー線を効果
的に製造し得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、捻回値の安定化のための十分な軟化焼鈍を施
し、そしてこの焼鈍による素材強度の低下を後工程の工
夫により回復させることによって、要求される最終製品
での強度が得られるようにしたものである。すなわち、
本発明は、最終使用サイズで110kgf/mm2以上
の引張強さを保有せしめたFe−Ni系合金を製造する
方法において、皮剥ぎ前に680〜800℃の温度で歪
み取り焼鈍を施し、かつ伸線途中で1回または複数回、
450〜550℃の温度で低温焼鈍を行なうことを特徴
とするものである。
【0005】以下本発明を具体的に説明する。まず、本
発明において、「Fe−Ni系合金線」とは、Fe−N
i系合金線、またはこれにMo,W,Ti,C,Cr,
Al,Si,Mn等の添加元素を添加した合金線、若し
くはこれらの合金線の表面にAl,Zn又はNi等の他
の金属を被覆した線を包含するものである。Fe−Ni
系合金は、図1に示すように、鋳造によってビレット等
にされ、次いで熱間圧延ラインにおいて線材に圧延され
る。そしてスケール除去、リン酸皮膜処理などが施され
た後、冷間伸線によって所定径の出発線材となる。慣用
法では、この出発線材を皮剥ぎし、冷間伸線によって目
的径まで伸線されていたが、本発明は、かかるFe−N
i系合金線の製造工程において、皮剥ぎ工程前の出発線
材に対し十分高温で歪み取り焼鈍を行ない、捻回値を高
位安定させるものである。
【0006】このように、歪み取り焼鈍を皮剥ぎ工程前
に行うのは、熱間圧延線材より冷間伸線加工されて加工
硬化した材料を皮剥ぎした場合には、極端なビビリによ
り出発線材表面に凹凸が発生したり、歪み線と称される
金属結晶の積層欠陥が表面部に生成したりし、これらが
最終加工製品の特に捻回特性に悪い影響を及ぼすからで
ある。そこで本発明は、これらの欠陥の発生を抑制する
目的で、歪み取り焼鈍によって出発線材を軟化させ、そ
の後に皮剥ぎ加工を施すこととしたのである。この歪み
取り焼鈍の温度は、680〜800℃の範囲が好まし
い。680℃以下の温度では焼鈍が不十分となり、目的
とする十分な捻回値の安定が得らない。800℃を超え
るでは強度の低下が著しく、後の低温焼鈍を行っても強
度の回復が不十分になるため、焼鈍温度の上限は800
℃にすべきである。
【0007】上記のように歪み取り焼鈍の後、皮剥ぎを
施した中間線材は、次いでリン酸皮膜処理を施すなどし
て冷間伸線されるが、皮剥ぎ工程前に十分な歪み取り焼
鈍を行なうことにより、中間線材の引張強さは低下す
る。かかる状況で目的とする110kgf/mm2以上
の引張強さを得る方法としては、加工度を大きくするほ
かない。このためには、皮剥ぎ後の中間線材の径を太く
する必要があるが、冷間伸線加工量が多くなる結果、捻
回値や巻き付け・巻き戻しに代表される靭性特性が低下
する問題点がある。このため、単に加工度を多くする方
法の採用は困難であった。
【0008】そこで本発明者は種々検討と実験を行い、
歪み取り焼鈍−皮剥ぎの後の冷間伸線途中で低温焼鈍を
施してみた。その結果、低温焼鈍後の冷間加工による引
張強さの上昇が、途中に低温焼鈍を行わなずに連続して
冷間加工を行った場合の引張強さの上昇に比して、非常
に効率よく上昇することを見出した。図2は皮剥ぎ後の
伸線加工度と引張り強さおよび捩回値の関係を示してお
り、d0は伸線前の線直径、dは伸線後の線直径であ
る。図2から明らかなように、皮剥ぎ前に歪み取り焼鈍
した線の引張強さAは、皮剥ぎ→伸線によりA→B→E
と上昇する。伸線途中のBで低温焼鈍を施すと、引張強
さはCへ若干の低下があるが、そこから伸線加工を行う
ことにより、Dへと大きく上昇する。皮剥ぎ後の伸線加
工量は、DとEとは同一であるにもかかわらず、引張強
さにおいて低温焼鈍を施したDの方が15kgf/mm
2前後高くなっており、また、その他の機械的性質も、
低温焼鈍を施すことによる劣化は見られない。この知見
から、伸線途中に低温焼鈍を1回または複数回実施する
工程を加えたもので、これにより、皮剥ぎ前の歪み取り
焼鈍による引張強さの低下を補い、低い加工度で110
kgf/mm2以上の引張強さを有し、かつ捻回特性等
の機械的特性を改善することが可能となった。この伸線
途中の低温焼鈍は、450℃〜550℃の温度範囲で行
なわれるべきである。その理由は、450℃以下ではそ
の後の伸線による強度上昇効果が少なく、550℃以上
では低温焼鈍による引張強さの低下のため、合金線の引
張強さの改善効果が少ないからであり、とりわけ490
〜540℃の範囲がもっともこのましい。この低温焼鈍
は伸線途中で少なくとも1回行うことが必要であるが、
要すれば複数回繰返し行ってもよい。
【0009】
〔実施例1〕
成分組成が重量比でNi:38.0%、C:0.25%、
残部Feおよび不可避的不純物のFe−Ni系合金を溶
製後、150mm角のビレットを得た。このビレット
を、熱間圧延により9.5mmφの線材とした。これに
スケール除去→リン酸皮膜処理を行い、続いて皮剥ぎを
施して7.0mmφなるワイヤを得た。このワイヤをリ
ン酸皮膜処理した後4.6mmφに冷間伸線を行い、さ
らに低温焼鈍処理を施した後、リン酸皮膜処理→伸線を
行って3.7mmφの高強度低線膨張Fe−Ni合金線
を得た。
【0010】加工条件と得られた高強度低線膨張Fe−
Ni合金線の機械的特性および線膨張係数を表1に示
す。なお、比較のため、表1には伸線途中の低温焼鈍を
省略した場合(比較例1)、伸線途中の低温焼鈍を省略し
ても強度を得られるように、歪み取り焼鈍後の冷間加工
度を大きくした場合(比較例2)も示した。比較例2
は、12.0mmφの線材より上記と同様な工程で1
1.0mmφワイヤを製作し、歪み取り焼鈍後の皮剥ぎ
で10.6mmφとして、リン酸皮膜→伸線にて3.7
mmφのワイヤを得たものである。また、比較例3とし
て本発明の工程を採用するが歪み取り焼鈍の温度を低く
した場合を、比較例4として歪み取り焼鈍を行わず、伸
線途中の低温焼鈍工程だけをとった場合も示した。
【0011】
【表1】
【0012】表1から明らかなように、本発明によれ
ば、高強度・高靭性で、低線膨張係数を有するFe−N
i合金線が得られている。これに対し、比較例1は、低
温焼鈍処理を行わずに3.7mmφまで冷間伸線加工し
ているため、捻回特性は優れているものの、強度が低
い。また、比較例2は低温焼鈍処理を行わないで一気に
3.7mmφまで冷間伸線加工しているため、強度は高
いものの、捻回特性が低くくなってしまっている。比較
例3は歪み取り焼鈍の温度が低すぎるため、比較例4に
は皮剥き前に歪み取り焼鈍を省略したため、いずれも捻
回特性がよくない。
【0013】〔実施例2〕 実施例1と同様な組成材を使用し、同様な工程で伸線さ
れたワイヤ6.0mmを得た。これに700℃にて歪み
取り焼鈍を施し、皮剥ぎを行って5.7mmφとし、リ
ン酸皮膜処理後の伸線で3.9mmφとした。更に50
0℃にて低温焼鈍を施し、再度リン酸皮膜処理を行って
後に、伸線して2.83mmφのワイヤとした。このワ
イヤに溶融亜鉛めっき処理を施し、線径2.9mmφの
高強度低線膨張亜鉛めっき線を得た。亜鉛めっき付着量
は、320g/m2であった。このときの加工条件と機
械的特性、線膨張係数を表2に示す。なお、比較例1と
して上記の場合と温度条件を同じくするが、歪み取り焼
鈍を施さない場合を、比較例2として低温焼鈍を施さな
い場合特性も示す。
【0014】
【表2】
【0015】この表2から明らかなように、本発明は皮
剥き前に歪み取り焼鈍を施しかつ伸線途中で低温焼鈍を
施こしているため、高強度・高靭性で、低線膨張係数を
有するFe−Ni合金亜鉛めっき線が得られている。こ
れに対し、皮剥き前の歪み取り焼鈍あるいは伸線中の低
温焼鈍を施さない場合には、いずれも良好な特性が得ら
れていない。
【0016】
【発明の効果】以上説明した本発明によるときには、F
e−Ni系合金線の皮剥ぎ工程前に680〜800℃の
温度で歪み取り焼鈍を施し、かつかつその後の伸線途中
で450〜550℃の温度で低温焼鈍を1回以上行なう
ため、安定した高い靭性と引張り強度110kgf/m
2以上の高強度の双方を備えた優良な低線膨張Fe−
Ni系合金線を製造することができるというすぐれた効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した場合の伸線加工時の機械的特
性の変化を示す線図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最終使用サイズで110kgf/mm2
    上の引張強さを保有せしめたFe−Ni系合金を製造す
    る方法において、皮剥ぎ前に680〜800℃の温度で
    歪み取り焼鈍を施し、かつ伸線途中で1回または複数
    回、450〜550℃の温度で低温焼鈍を行なうことを
    特徴とする高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方
    法。
JP4219537A 1992-07-28 1992-07-28 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 Expired - Lifetime JP2585168B2 (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP5500886B2 (ja) * 2009-07-02 2014-05-21 朝日インテック株式会社 釣糸、釣糸とスピニングリールと釣竿との組立体、釣糸と天上糸とハナカン回り糸と釣竿との組立体、及び釣糸の製造方法
US11085104B2 (en) 2017-06-30 2021-08-10 Hitachi Metals, Ltd. Method for manufacturing Ni-based heat-resistant superalloy wire, and Ni-based heat-resistant super alloy wire

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