JP2585168B2 - 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 - Google Patents
高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法Info
- Publication number
- JP2585168B2 JP2585168B2 JP4219537A JP21953792A JP2585168B2 JP 2585168 B2 JP2585168 B2 JP 2585168B2 JP 4219537 A JP4219537 A JP 4219537A JP 21953792 A JP21953792 A JP 21953792A JP 2585168 B2 JP2585168 B2 JP 2585168B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wire
- low
- annealing
- temperature
- strength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は送電線の耐熱鋼心や使用
中に昇温の可能性のある精密機械部品などに用いられる
のに適した110kgf/mm2以上の引張強さを有す
る高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法に関す
るものである。
中に昇温の可能性のある精密機械部品などに用いられる
のに適した110kgf/mm2以上の引張強さを有す
る高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術及びその技術的課題】送電線の耐熱鋼心な
どで代表される用途においては高強度で低膨張の特性が
要求される。かかる特性の線材として高強度インバー線
が知られており、この高強度インバー線の製造法とし
て、特公昭60−34613号公報には、Fe−Ni系
合金をベースにして、Mo,Cr,Si,C等の種々の
元素を微量に添加して高強度化をはかった素材を用い、
皮剥き後または皮剥き後の伸線途中で歪み取り焼鈍を行
なう手法が提案されている。この先行技術は、熱間圧延
後の冷間加工の途中で十分な軟化焼鈍を施すことを特徴
としており、軟化焼鈍は捻回値の安定化に有効であるも
のの、強度の低下が大きくなるため、要求される最終製
品での強度が得られないという問題点があった。
どで代表される用途においては高強度で低膨張の特性が
要求される。かかる特性の線材として高強度インバー線
が知られており、この高強度インバー線の製造法とし
て、特公昭60−34613号公報には、Fe−Ni系
合金をベースにして、Mo,Cr,Si,C等の種々の
元素を微量に添加して高強度化をはかった素材を用い、
皮剥き後または皮剥き後の伸線途中で歪み取り焼鈍を行
なう手法が提案されている。この先行技術は、熱間圧延
後の冷間加工の途中で十分な軟化焼鈍を施すことを特徴
としており、軟化焼鈍は捻回値の安定化に有効であるも
のの、強度の低下が大きくなるため、要求される最終製
品での強度が得られないという問題点があった。
【0003】本発明は上記の問題点を解決するために創
案されたもので、その目的とするところは、捩回値で代
表される高い靭性と110kgf/mm2以上の引張り
強さの両特性を備えた低線膨張係数のインバー線を効果
的に製造し得る方法を提供することにある。
案されたもので、その目的とするところは、捩回値で代
表される高い靭性と110kgf/mm2以上の引張り
強さの両特性を備えた低線膨張係数のインバー線を効果
的に製造し得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、捻回値の安定化のための十分な軟化焼鈍を施
し、そしてこの焼鈍による素材強度の低下を後工程の工
夫により回復させることによって、要求される最終製品
での強度が得られるようにしたものである。すなわち、
本発明は、最終使用サイズで110kgf/mm2以上
の引張強さを保有せしめたFe−Ni系合金を製造する
方法において、皮剥ぎ前に680〜800℃の温度で歪
み取り焼鈍を施し、かつ伸線途中で1回または複数回、
450〜550℃の温度で低温焼鈍を行なうことを特徴
とするものである。
本発明は、捻回値の安定化のための十分な軟化焼鈍を施
し、そしてこの焼鈍による素材強度の低下を後工程の工
夫により回復させることによって、要求される最終製品
での強度が得られるようにしたものである。すなわち、
本発明は、最終使用サイズで110kgf/mm2以上
の引張強さを保有せしめたFe−Ni系合金を製造する
方法において、皮剥ぎ前に680〜800℃の温度で歪
み取り焼鈍を施し、かつ伸線途中で1回または複数回、
450〜550℃の温度で低温焼鈍を行なうことを特徴
とするものである。
【0005】以下本発明を具体的に説明する。まず、本
発明において、「Fe−Ni系合金線」とは、Fe−N
i系合金線、またはこれにMo,W,Ti,C,Cr,
Al,Si,Mn等の添加元素を添加した合金線、若し
くはこれらの合金線の表面にAl,Zn又はNi等の他
の金属を被覆した線を包含するものである。Fe−Ni
系合金は、図1に示すように、鋳造によってビレット等
にされ、次いで熱間圧延ラインにおいて線材に圧延され
る。そしてスケール除去、リン酸皮膜処理などが施され
た後、冷間伸線によって所定径の出発線材となる。慣用
法では、この出発線材を皮剥ぎし、冷間伸線によって目
的径まで伸線されていたが、本発明は、かかるFe−N
i系合金線の製造工程において、皮剥ぎ工程前の出発線
材に対し十分高温で歪み取り焼鈍を行ない、捻回値を高
位安定させるものである。
発明において、「Fe−Ni系合金線」とは、Fe−N
i系合金線、またはこれにMo,W,Ti,C,Cr,
Al,Si,Mn等の添加元素を添加した合金線、若し
くはこれらの合金線の表面にAl,Zn又はNi等の他
の金属を被覆した線を包含するものである。Fe−Ni
系合金は、図1に示すように、鋳造によってビレット等
にされ、次いで熱間圧延ラインにおいて線材に圧延され
る。そしてスケール除去、リン酸皮膜処理などが施され
た後、冷間伸線によって所定径の出発線材となる。慣用
法では、この出発線材を皮剥ぎし、冷間伸線によって目
的径まで伸線されていたが、本発明は、かかるFe−N
i系合金線の製造工程において、皮剥ぎ工程前の出発線
材に対し十分高温で歪み取り焼鈍を行ない、捻回値を高
位安定させるものである。
【0006】このように、歪み取り焼鈍を皮剥ぎ工程前
に行うのは、熱間圧延線材より冷間伸線加工されて加工
硬化した材料を皮剥ぎした場合には、極端なビビリによ
り出発線材表面に凹凸が発生したり、歪み線と称される
金属結晶の積層欠陥が表面部に生成したりし、これらが
最終加工製品の特に捻回特性に悪い影響を及ぼすからで
ある。そこで本発明は、これらの欠陥の発生を抑制する
目的で、歪み取り焼鈍によって出発線材を軟化させ、そ
の後に皮剥ぎ加工を施すこととしたのである。この歪み
取り焼鈍の温度は、680〜800℃の範囲が好まし
い。680℃以下の温度では焼鈍が不十分となり、目的
とする十分な捻回値の安定が得らない。800℃を超え
るでは強度の低下が著しく、後の低温焼鈍を行っても強
度の回復が不十分になるため、焼鈍温度の上限は800
℃にすべきである。
に行うのは、熱間圧延線材より冷間伸線加工されて加工
硬化した材料を皮剥ぎした場合には、極端なビビリによ
り出発線材表面に凹凸が発生したり、歪み線と称される
金属結晶の積層欠陥が表面部に生成したりし、これらが
最終加工製品の特に捻回特性に悪い影響を及ぼすからで
ある。そこで本発明は、これらの欠陥の発生を抑制する
目的で、歪み取り焼鈍によって出発線材を軟化させ、そ
の後に皮剥ぎ加工を施すこととしたのである。この歪み
取り焼鈍の温度は、680〜800℃の範囲が好まし
い。680℃以下の温度では焼鈍が不十分となり、目的
とする十分な捻回値の安定が得らない。800℃を超え
るでは強度の低下が著しく、後の低温焼鈍を行っても強
度の回復が不十分になるため、焼鈍温度の上限は800
℃にすべきである。
【0007】上記のように歪み取り焼鈍の後、皮剥ぎを
施した中間線材は、次いでリン酸皮膜処理を施すなどし
て冷間伸線されるが、皮剥ぎ工程前に十分な歪み取り焼
鈍を行なうことにより、中間線材の引張強さは低下す
る。かかる状況で目的とする110kgf/mm2以上
の引張強さを得る方法としては、加工度を大きくするほ
かない。このためには、皮剥ぎ後の中間線材の径を太く
する必要があるが、冷間伸線加工量が多くなる結果、捻
回値や巻き付け・巻き戻しに代表される靭性特性が低下
する問題点がある。このため、単に加工度を多くする方
法の採用は困難であった。
施した中間線材は、次いでリン酸皮膜処理を施すなどし
て冷間伸線されるが、皮剥ぎ工程前に十分な歪み取り焼
鈍を行なうことにより、中間線材の引張強さは低下す
る。かかる状況で目的とする110kgf/mm2以上
の引張強さを得る方法としては、加工度を大きくするほ
かない。このためには、皮剥ぎ後の中間線材の径を太く
する必要があるが、冷間伸線加工量が多くなる結果、捻
回値や巻き付け・巻き戻しに代表される靭性特性が低下
する問題点がある。このため、単に加工度を多くする方
法の採用は困難であった。
【0008】そこで本発明者は種々検討と実験を行い、
歪み取り焼鈍−皮剥ぎの後の冷間伸線途中で低温焼鈍を
施してみた。その結果、低温焼鈍後の冷間加工による引
張強さの上昇が、途中に低温焼鈍を行わなずに連続して
冷間加工を行った場合の引張強さの上昇に比して、非常
に効率よく上昇することを見出した。図2は皮剥ぎ後の
伸線加工度と引張り強さおよび捩回値の関係を示してお
り、d0は伸線前の線直径、dは伸線後の線直径であ
る。図2から明らかなように、皮剥ぎ前に歪み取り焼鈍
した線の引張強さAは、皮剥ぎ→伸線によりA→B→E
と上昇する。伸線途中のBで低温焼鈍を施すと、引張強
さはCへ若干の低下があるが、そこから伸線加工を行う
ことにより、Dへと大きく上昇する。皮剥ぎ後の伸線加
工量は、DとEとは同一であるにもかかわらず、引張強
さにおいて低温焼鈍を施したDの方が15kgf/mm
2前後高くなっており、また、その他の機械的性質も、
低温焼鈍を施すことによる劣化は見られない。この知見
から、伸線途中に低温焼鈍を1回または複数回実施する
工程を加えたもので、これにより、皮剥ぎ前の歪み取り
焼鈍による引張強さの低下を補い、低い加工度で110
kgf/mm2以上の引張強さを有し、かつ捻回特性等
の機械的特性を改善することが可能となった。この伸線
途中の低温焼鈍は、450℃〜550℃の温度範囲で行
なわれるべきである。その理由は、450℃以下ではそ
の後の伸線による強度上昇効果が少なく、550℃以上
では低温焼鈍による引張強さの低下のため、合金線の引
張強さの改善効果が少ないからであり、とりわけ490
〜540℃の範囲がもっともこのましい。この低温焼鈍
は伸線途中で少なくとも1回行うことが必要であるが、
要すれば複数回繰返し行ってもよい。
歪み取り焼鈍−皮剥ぎの後の冷間伸線途中で低温焼鈍を
施してみた。その結果、低温焼鈍後の冷間加工による引
張強さの上昇が、途中に低温焼鈍を行わなずに連続して
冷間加工を行った場合の引張強さの上昇に比して、非常
に効率よく上昇することを見出した。図2は皮剥ぎ後の
伸線加工度と引張り強さおよび捩回値の関係を示してお
り、d0は伸線前の線直径、dは伸線後の線直径であ
る。図2から明らかなように、皮剥ぎ前に歪み取り焼鈍
した線の引張強さAは、皮剥ぎ→伸線によりA→B→E
と上昇する。伸線途中のBで低温焼鈍を施すと、引張強
さはCへ若干の低下があるが、そこから伸線加工を行う
ことにより、Dへと大きく上昇する。皮剥ぎ後の伸線加
工量は、DとEとは同一であるにもかかわらず、引張強
さにおいて低温焼鈍を施したDの方が15kgf/mm
2前後高くなっており、また、その他の機械的性質も、
低温焼鈍を施すことによる劣化は見られない。この知見
から、伸線途中に低温焼鈍を1回または複数回実施する
工程を加えたもので、これにより、皮剥ぎ前の歪み取り
焼鈍による引張強さの低下を補い、低い加工度で110
kgf/mm2以上の引張強さを有し、かつ捻回特性等
の機械的特性を改善することが可能となった。この伸線
途中の低温焼鈍は、450℃〜550℃の温度範囲で行
なわれるべきである。その理由は、450℃以下ではそ
の後の伸線による強度上昇効果が少なく、550℃以上
では低温焼鈍による引張強さの低下のため、合金線の引
張強さの改善効果が少ないからであり、とりわけ490
〜540℃の範囲がもっともこのましい。この低温焼鈍
は伸線途中で少なくとも1回行うことが必要であるが、
要すれば複数回繰返し行ってもよい。
【0009】
成分組成が重量比でNi:38.0%、C:0.25%、
残部Feおよび不可避的不純物のFe−Ni系合金を溶
製後、150mm角のビレットを得た。このビレット
を、熱間圧延により9.5mmφの線材とした。これに
スケール除去→リン酸皮膜処理を行い、続いて皮剥ぎを
施して7.0mmφなるワイヤを得た。このワイヤをリ
ン酸皮膜処理した後4.6mmφに冷間伸線を行い、さ
らに低温焼鈍処理を施した後、リン酸皮膜処理→伸線を
行って3.7mmφの高強度低線膨張Fe−Ni合金線
を得た。
残部Feおよび不可避的不純物のFe−Ni系合金を溶
製後、150mm角のビレットを得た。このビレット
を、熱間圧延により9.5mmφの線材とした。これに
スケール除去→リン酸皮膜処理を行い、続いて皮剥ぎを
施して7.0mmφなるワイヤを得た。このワイヤをリ
ン酸皮膜処理した後4.6mmφに冷間伸線を行い、さ
らに低温焼鈍処理を施した後、リン酸皮膜処理→伸線を
行って3.7mmφの高強度低線膨張Fe−Ni合金線
を得た。
【0010】加工条件と得られた高強度低線膨張Fe−
Ni合金線の機械的特性および線膨張係数を表1に示
す。なお、比較のため、表1には伸線途中の低温焼鈍を
省略した場合(比較例1)、伸線途中の低温焼鈍を省略し
ても強度を得られるように、歪み取り焼鈍後の冷間加工
度を大きくした場合(比較例2)も示した。比較例2
は、12.0mmφの線材より上記と同様な工程で1
1.0mmφワイヤを製作し、歪み取り焼鈍後の皮剥ぎ
で10.6mmφとして、リン酸皮膜→伸線にて3.7
mmφのワイヤを得たものである。また、比較例3とし
て本発明の工程を採用するが歪み取り焼鈍の温度を低く
した場合を、比較例4として歪み取り焼鈍を行わず、伸
線途中の低温焼鈍工程だけをとった場合も示した。
Ni合金線の機械的特性および線膨張係数を表1に示
す。なお、比較のため、表1には伸線途中の低温焼鈍を
省略した場合(比較例1)、伸線途中の低温焼鈍を省略し
ても強度を得られるように、歪み取り焼鈍後の冷間加工
度を大きくした場合(比較例2)も示した。比較例2
は、12.0mmφの線材より上記と同様な工程で1
1.0mmφワイヤを製作し、歪み取り焼鈍後の皮剥ぎ
で10.6mmφとして、リン酸皮膜→伸線にて3.7
mmφのワイヤを得たものである。また、比較例3とし
て本発明の工程を採用するが歪み取り焼鈍の温度を低く
した場合を、比較例4として歪み取り焼鈍を行わず、伸
線途中の低温焼鈍工程だけをとった場合も示した。
【0011】
【表1】
【0012】表1から明らかなように、本発明によれ
ば、高強度・高靭性で、低線膨張係数を有するFe−N
i合金線が得られている。これに対し、比較例1は、低
温焼鈍処理を行わずに3.7mmφまで冷間伸線加工し
ているため、捻回特性は優れているものの、強度が低
い。また、比較例2は低温焼鈍処理を行わないで一気に
3.7mmφまで冷間伸線加工しているため、強度は高
いものの、捻回特性が低くくなってしまっている。比較
例3は歪み取り焼鈍の温度が低すぎるため、比較例4に
は皮剥き前に歪み取り焼鈍を省略したため、いずれも捻
回特性がよくない。
ば、高強度・高靭性で、低線膨張係数を有するFe−N
i合金線が得られている。これに対し、比較例1は、低
温焼鈍処理を行わずに3.7mmφまで冷間伸線加工し
ているため、捻回特性は優れているものの、強度が低
い。また、比較例2は低温焼鈍処理を行わないで一気に
3.7mmφまで冷間伸線加工しているため、強度は高
いものの、捻回特性が低くくなってしまっている。比較
例3は歪み取り焼鈍の温度が低すぎるため、比較例4に
は皮剥き前に歪み取り焼鈍を省略したため、いずれも捻
回特性がよくない。
【0013】〔実施例2〕 実施例1と同様な組成材を使用し、同様な工程で伸線さ
れたワイヤ6.0mmを得た。これに700℃にて歪み
取り焼鈍を施し、皮剥ぎを行って5.7mmφとし、リ
ン酸皮膜処理後の伸線で3.9mmφとした。更に50
0℃にて低温焼鈍を施し、再度リン酸皮膜処理を行って
後に、伸線して2.83mmφのワイヤとした。このワ
イヤに溶融亜鉛めっき処理を施し、線径2.9mmφの
高強度低線膨張亜鉛めっき線を得た。亜鉛めっき付着量
は、320g/m2であった。このときの加工条件と機
械的特性、線膨張係数を表2に示す。なお、比較例1と
して上記の場合と温度条件を同じくするが、歪み取り焼
鈍を施さない場合を、比較例2として低温焼鈍を施さな
い場合特性も示す。
れたワイヤ6.0mmを得た。これに700℃にて歪み
取り焼鈍を施し、皮剥ぎを行って5.7mmφとし、リ
ン酸皮膜処理後の伸線で3.9mmφとした。更に50
0℃にて低温焼鈍を施し、再度リン酸皮膜処理を行って
後に、伸線して2.83mmφのワイヤとした。このワ
イヤに溶融亜鉛めっき処理を施し、線径2.9mmφの
高強度低線膨張亜鉛めっき線を得た。亜鉛めっき付着量
は、320g/m2であった。このときの加工条件と機
械的特性、線膨張係数を表2に示す。なお、比較例1と
して上記の場合と温度条件を同じくするが、歪み取り焼
鈍を施さない場合を、比較例2として低温焼鈍を施さな
い場合特性も示す。
【0014】
【表2】
【0015】この表2から明らかなように、本発明は皮
剥き前に歪み取り焼鈍を施しかつ伸線途中で低温焼鈍を
施こしているため、高強度・高靭性で、低線膨張係数を
有するFe−Ni合金亜鉛めっき線が得られている。こ
れに対し、皮剥き前の歪み取り焼鈍あるいは伸線中の低
温焼鈍を施さない場合には、いずれも良好な特性が得ら
れていない。
剥き前に歪み取り焼鈍を施しかつ伸線途中で低温焼鈍を
施こしているため、高強度・高靭性で、低線膨張係数を
有するFe−Ni合金亜鉛めっき線が得られている。こ
れに対し、皮剥き前の歪み取り焼鈍あるいは伸線中の低
温焼鈍を施さない場合には、いずれも良好な特性が得ら
れていない。
【0016】
【発明の効果】以上説明した本発明によるときには、F
e−Ni系合金線の皮剥ぎ工程前に680〜800℃の
温度で歪み取り焼鈍を施し、かつかつその後の伸線途中
で450〜550℃の温度で低温焼鈍を1回以上行なう
ため、安定した高い靭性と引張り強度110kgf/m
m2以上の高強度の双方を備えた優良な低線膨張Fe−
Ni系合金線を製造することができるというすぐれた効
果が得られる。
e−Ni系合金線の皮剥ぎ工程前に680〜800℃の
温度で歪み取り焼鈍を施し、かつかつその後の伸線途中
で450〜550℃の温度で低温焼鈍を1回以上行なう
ため、安定した高い靭性と引張り強度110kgf/m
m2以上の高強度の双方を備えた優良な低線膨張Fe−
Ni系合金線を製造することができるというすぐれた効
果が得られる。
【図1】本発明の製造工程を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した場合の伸線加工時の機械的特
性の変化を示す線図である。
性の変化を示す線図である。
Claims (1)
- 【請求項1】最終使用サイズで110kgf/mm2以
上の引張強さを保有せしめたFe−Ni系合金を製造す
る方法において、皮剥ぎ前に680〜800℃の温度で
歪み取り焼鈍を施し、かつ伸線途中で1回または複数
回、450〜550℃の温度で低温焼鈍を行なうことを
特徴とする高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4219537A JP2585168B2 (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4219537A JP2585168B2 (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0641634A JPH0641634A (ja) | 1994-02-15 |
JP2585168B2 true JP2585168B2 (ja) | 1997-02-26 |
Family
ID=16737045
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4219537A Expired - Lifetime JP2585168B2 (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2585168B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TW389794B (en) * | 1995-01-23 | 2000-05-11 | Daido Steel Co Ltd | High strength, low thermal expansion alloy wire and method of making the wire |
JP5500886B2 (ja) * | 2009-07-02 | 2014-05-21 | 朝日インテック株式会社 | 釣糸、釣糸とスピニングリールと釣竿との組立体、釣糸と天上糸とハナカン回り糸と釣竿との組立体、及び釣糸の製造方法 |
US11085104B2 (en) | 2017-06-30 | 2021-08-10 | Hitachi Metals, Ltd. | Method for manufacturing Ni-based heat-resistant superalloy wire, and Ni-based heat-resistant super alloy wire |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0550135A (ja) * | 1991-08-23 | 1993-03-02 | Furukawa Electric Co Ltd:The | FeーNi系低膨張合金線の製造方法 |
-
1992
- 1992-07-28 JP JP4219537A patent/JP2585168B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0641634A (ja) | 1994-02-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS61217564A (ja) | NiTi合金の伸線方法 | |
JP2001081537A (ja) | βチタン合金細線の製造方法 | |
JPH09108762A (ja) | 難加工性の鋼の線材から直棒を製造する方法および装置 | |
JP4259828B2 (ja) | 高強度銅合金の製造方法 | |
JP2585168B2 (ja) | 高強度低線膨張Fe−Ni系合金線の製造方法 | |
JP3447830B2 (ja) | インバー系合金線材とその製造方法 | |
JP2000319758A (ja) | メカニカルデスケーリング後の残留スケールの少ない線材 | |
JPH07180011A (ja) | α+β型チタン合金押出材の製造方法 | |
JP2792020B2 (ja) | チタン合金製冷間鍛造部品およびその製法 | |
JPH08100242A (ja) | 高強度高靭性低熱膨張合金線およびその製造方法 | |
JP2808497B2 (ja) | 高強度、高靭性及び低線膨脹係数のインバー線製法 | |
JPH06103809A (ja) | Cu−Ag合金線の製造方法 | |
JPS61231150A (ja) | Ti合金線材の製造方法 | |
JPS6012421B2 (ja) | リ−ド線材の製造方法 | |
JP3036384B2 (ja) | チタン合金の強靱化方法 | |
JPH0215606B2 (ja) | ||
JPS6220274B2 (ja) | ||
JP3871894B2 (ja) | 延性に優れた高強度低熱膨張合金の製造方法 | |
JPS63186841A (ja) | チタン合金製冷間鍛造部品およびその製法 | |
RU2037555C1 (ru) | Способ обработки труб из циркониевых сплавов | |
JPH03294461A (ja) | 高力高導電性銅合金細線の製造方法 | |
JPH06285546A (ja) | 延性を向上した冷間引抜鋼管の製造方法 | |
JP4028008B2 (ja) | NiTiPd系超弾性合金材とその製造方法及びこの合金材による歯列矯正ワイヤー | |
JPS6034613B2 (ja) | 高強度低膨脹合金線の製造方法 | |
JPH03230415A (ja) | 銅合金線材 |