JP2584585B2

JP2584585B2 - 地盤内湧水圧測定パイプの設置方法

Info

Publication number: JP2584585B2
Application number: JP5265967A
Authority: JP
Inventors: 昭中村; 嘉一山口; 弘行吉松; 大助檜垣; 宏梅田; 年芳後藤; 武黒川; 亮二杉村; 雅之宇次原
Original assignee: Sumitomo Osaka Cement Co Ltd; Toda Corp
Current assignee: Sumitomo Osaka Cement Co Ltd; Toda Corp
Priority date: 1993-10-25
Filing date: 1993-10-25
Publication date: 1997-02-26
Anticipated expiration: 2012-02-26
Also published as: JPH07158400A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、地盤内湧水圧測定パイ
プの設置方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ダム、斜面、放射性又は有毒産業廃棄物
処分、エネルギの地下備蓄等の岩盤を対象にした分野で
は、その設計、施工、安全管理に関し、地盤内の複雑な
地下水圧を把握する必要がある。

【０００３】その測定を行う複数箇所に水圧計を配設し
たいわゆるＭＧＬ（ＭｕｌｔｉｐｌｅＧｒｏｕｎｄｗ
ａｔｅｒＬｅｖｅｌＭｅａｓｕｒｉｎｇ）システムの
測定パイプの設置方法には、バックフィル法とパッカ法
とがある。

【０００４】［発明が解決しようとする課題］孔内湧水
を伴うボーリング孔に、バックフィル法で測定パイプを
設置すると、湧水の上昇に伴って孔内に注入したシール
材が硬化する間に移動すなわち上昇したり、湧水量によ
っては孔外に噴出し、意図する位置にシール材を設置で
きない。したがって、測定パイプの設置は、不可能であ
る。

【０００５】他方、同様の条件下でパッカ法により測定
パイプを設置する場合は、注入したシール材は布パッカ
の中に保留されているので、シール材の移動は発生しな
いで、基本的には測定パイプの設置は可能である。しか
し、現状のパッカ法は、布パッカの中にシール材が充填
されたことを確認したのち、直ちに注入を終了し、養生
にはいる。このとき、湧水圧がシール材の自重圧に勝る
と、孔壁と布パッカとの間隙を介して地下水が上昇又は
噴出し、その間隙を残した状態でシール材が硬化する。
したがって、結果的にシール効果は期待できない。

【０００６】また、パッカ法のために、布パッカを単独
に用いたＭＧＬシステムの測定パイプが提供されている
が、シール効果を発揮させるためには、湧水圧以上の圧
力でシール材が硬化するまで注入を続ける必要があるた
め、布パッカからにじみ出るシール材の量が無視できな
くなり、水圧計を埋め殺す可能性がある。

【０００７】本発明は、上記した問題を解決するために
なされたもので、布パッカのシール効果を向上させて地
盤内湧水圧測定パイプの設置方法を提供することを目的
としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による方法は、パ
イプの複数箇所に配設した水圧計の上下方にそれぞれ水
圧計保護用エアパッカを設け、これらの水圧計保護用エ
アパッカに連続して布パッカを設けた測定パイプをボー
リング孔に挿入し、一つの布パッカ上下方の水圧計保護
用エアパッカを膨出して一時的に孔内湧水を止めたのち
に該布パッカに湧水圧以上の圧力でシール材を注入し、
注入したシール材を養生したのち膨出した水圧計保護用
エアパッカを縮小して養生したシール材のシール効果を
確認し、以下同様の手順で残りの布パッカにシール材を
注入しシール効果を確認して測定パイプを設置すること
を特徴としている。

【０００９】上記シール材には、ウレタン系シール材を
用いるのが好ましい。

【００１０】

【作用】本発明による方法においては、布パッカの上下
方の水圧計保護用エアパッカを膨出して一時的に孔内湧
水を止めてシール材を注入し、シール材を養生してから
水圧計保護用エアパッカを縮小するので、良好なシール
体が形成され、シール効果が向上される。

【００１１】

【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。

【００１２】図１には、測定パイプ１の測定時の状態が
示されている。ボーリング孔Ｈ内に挿入された測定パイ
プ１には、複数（図示の例では３個）の水圧計部１Ａ
と、水圧計部１Ａの上下方の一対の水圧計保護用エアパ
ッカ１０と、水圧計保護用エアパッカ１０に連続する布
パッカ２０とが設けられ、布パッカ２０には、ウレタン
系のシール材２３が充填されている。

【００１３】なお、添付図面中の符号１Ｂは接続用のね
じ部を示し、符号３０は注入管等を示している。また、
図１において、布パッカ２０により下方から３区間にお
いて、それぞれ水圧測定対象区間Ａ及びシール区間Ｂが
画成されている。

【００１４】図４において、水圧計２の上方は、小孔部
３によりフィルタ４を介して空室５に連通され、その空
室５には複数（図示の例では４個）の導水孔６が円周等
配に穿設されている。この空室５の上方と水圧計２の下
方とには、それぞれ上部止水金具７ａ、下部止水金具７
ｂが設けられ、上部止水金具７ａと空室５との間及び水
圧計２と下部止水金具７ｂとの間には、それぞれ管内シ
ール材（例えばエポキシ樹脂材）８が充填されている。
そして、水圧計２は、ケーブル９により地上の図示しな
い測定装置に接続されている。

【００１５】図５ないし図８において、水圧計保護用エ
アパッカ１０のゴムチューブ１１には、金具１２が連続
され、その金具１２には、２条の環状溝１３が形成され
ている。そして、布パッカ２０の取付部２１は、金具１
２に被せられ、環状溝１３が形成された部分においてバ
ンド状の固定金具２２により固定されている。

【００１６】前記注入管等３０は、注入管３０ａ、水抜
き管３０ｂ、エアチューブ３０ｃからなっている。その
注入管３０ａは、シール材２３を布パッカ２０に圧送す
るもので、シール材２３の圧力損失を考慮し、ナイロン
製のチューブが用いられている。また、水抜き管３０ｂ
は、シール材２３の注入作業時に、布パッカ２０の上下
を水圧計保護用エアパッカで仕切ったシール区間に対し
行うので、そのシール区間に発生する過剰圧力を低減す
るものである。また、エアチューブ３０ｃは、水圧計保
護用エアパッカ１０に高圧ガスを供給、又は、水圧計保
護用エアパッカ１０内の高圧ガスを排出するものであ
る。なお、場合によっては布パッカを省略できる。

【００１７】次に、主として図９、１０を参照して測定
パイプ１の設置態様を説明する。

【００１８】先ず、シール材８の注入用加圧容器３１
に、開閉バルブ３２を備えたチューブ３３を介して高圧
ガス（例えば窒素）のボンベ３４を接続しておく。

【００１９】そこで、カウントを１とおき（ステップＳ
１）、シール材充填対象区間にボーリング孔Ｈの保存の
ために削孔時にケーシングパイプが挿入されている場
合、当該作業に支障の無いところまで該ケーシングパイ
プを予め引き抜いておく（ステップＳ２、Ｓ３）。

【００２０】次に、図示しないエアポンプにエアチュー
ブ３０ｃを接続し、エアポンプを作動してシール区間Ｂ
を画成する水圧計保護用エアパッカ１０に高圧エアを供
給し、該水圧計保護用エアパッカ１０を膨出させてボー
リング孔Ｈとの間をシールする（ステップＳ４）。次い
で、図示しないグラウトポンプに注入管３０ａを接続
し、グラウトポンプを作動して充填対象容積のシール材
８を布パッカ２０に注入する（ステップＳ５）。次い
で、注入用加圧容器３１に注入管３０ａを接続し、開閉
バルブ３２を開き、高圧窒素の圧力によりシール材８を
布パッカ２０に湧水圧以上の圧力で徐々に注入する（ス
テップＳ６）。この際、布パッカ２０をバーストさせな
いため、孔内水位等を考慮した上で、シール区間Ｂの最
深部で１０ｋｇｆ／ｃｍ²を越えないように、レギュレ
ータを用いて圧送圧力を調整する。注入用加圧容器３１
内のシール材８がなくなったら追加し、シール材８が硬
化するまでこの作業を繰返す。

【００２１】注入作業中は、シール区間Ｂの上下に位置
する水圧計２の指示値を常時監視する。異常に指示値が
高くなるときは、何らかの理由で水圧計保護用エアパッ
カ１０が正常に作動していないか、岩盤の割れ目等を介
してシール区間Ｂが水圧測定対象区間Ａに連通している
ことが考えられる。このような状況のもとで過剰に注入
すると、水圧計２を埋め殺すことになりかねないので、
万一に備えシール材８の注入量は、先に算出した充填対
象容積とする。また、このような事態を回避する意味
で、事前の調査ボーリング資料等から、水圧測定対象区
間Ａ及び水圧計保護用エアパッカ１０を設置する位置を
慎重に決定する。

【００２２】次いで、シール材の養生を例えば５時間以
上行う（ステップＳ７）。そこで、水圧計保護用エアパ
ッカ１０の空気を抜き、水圧計保護用エアパッカ１０を
縮小したのち（ステップＳ８）、シール効果の確認試験
を行う（ステップＳ９）。そして、カウントを１つ進め
て（ステップＳ１０、Ｓ１１）ステップＳ２に戻り、次
のシール区間Ｂについて同様の手順を行う。カウントが
所定値Ｋに達したら（ステップＳ１１がＹＥＳ）、測定
パイプ１の設置を終る。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、布
パッカの上下を水圧計保護用エアパッカでシールして布
パッカにシール材を注入し、布パッカのすなわち水圧測
定対象区間に対するシール効果を確実に向上し、湧水圧
の測定精度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施する測定パイプの設置状態を示す
断面図。

【図２】図１の部分的な拡大図。

【図３】図２のＡ−Ａ線矢視断面図。

【図４】水圧計回りを示す側断面図。

【図５】布パッカと水圧計保護用エアパッカの連結部を
示す側断面図。

【図６】図５のＢ−Ｂ線矢視断面図。

【図７】図５のＣ−Ｃ線矢視断面図。

【図８】図５のＤ−Ｄ線矢視断面図。

【図９】測定パイプ設置時の機器の配置図。

【図１０】測定パイプ設置の手順フロー図。

【符号の説明】

Ａ・・・水圧測定対象区間Ｂ・・・シール区間Ｈ・・・ボーリング孔１・・・測定パイプ１Ａ・・・水圧計部１Ｂ・・・ねじ部２・・・水圧計３・・・小孔部４・・・フィルタ５・・・空室６・・・導水孔７ａ・・・上部止水金具７ｂ・・・下部止水金具８・・・管内シール材（エポキシ樹脂材）９・・・ケーブル１０・・・水圧計保護用エアパッカ１１・・・ゴムチューブ１２・・・金具１３・・・環状溝２０・・・布パッカ２１・・・取付部２２・・・固定金具２３・・・シール材３０・・・注入管等３０ａ・・・注入管３０ｂ・・・水抜き管３０ｃ・・・エアチューブ３１・・・注入用加圧容器３２・・・開閉バルブ３３・・・チューブ３４・・・ボンベ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者中村昭茨城県つくば市大字旭１番地建設省土木研究所内 (72)発明者山口嘉一茨城県つくば市大字旭１番地建設省土木研究所内 (72)発明者吉松弘行茨城県つくば市大字旭１番地建設省土木研究所内 (72)発明者檜垣大助茨城県つくば市大字旭１番地建設省土木研究所内 (72)発明者梅田宏東京都中央区京橋１丁目７番１号戸田建設株式会社内 (72)発明者後藤年芳大阪府大阪市北区堂島浜１丁目４番４号大阪セメント株式会社内 (72)発明者黒川武東京都中央区銀座８丁目14番14号日特建設株式会社内 (72)発明者杉村亮二東京都中央区銀座８丁目14番14号日特建設株式会社内 (72)発明者宇次原雅之東京都中央区銀座８丁目14番14号日特建設株式会社内

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】パイプの複数箇所に配設した水圧計の上
下方にそれぞれ水圧計保護用エアパッカを設け、これら
の水圧計保護用エアパッカに連続して布パッカを設けた
測定パイプをボーリング孔に挿入し、一つの布パッカ上
下方の水圧計保護用エアパッカを膨出して一時的に孔内
湧水を止めたのちに該布パッカに湧水圧以上の圧力でシ
ール材を注入し、注入したシール材を養生したのち膨出
した水圧計保護用エアパッカを縮小して養生したシール
材のシール効果を確認し、以下同様の手順で残りの布パ
ッカにシール材を注入しシール効果を確認して測定パイ
プを設置することを特徴とする地盤内湧水圧測定パイプ
の設置方法。