JP2583925Y2 - 中空パネル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、船舶や建築物の構造
材等に使用される中空パネルに関する。

【０００２】この明細書において、「アルミニウム」と
はアルミニウム合金を含むものとする。

【０００３】

【従来の技術】相互に所定間隔をおいて対向する第１対
向壁部および第２対向壁部と、両対向壁部同志を連結す
る複数の連結壁部とよりなる中空パネルは、従来より知
られているが、従来の中空パネルは、一体に押出された
アルミニウム押出形材により作られていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従来の中空パネルで
は、パネルの内面が腐食することがあるが、パネルの内
面に塗装や陽極酸化処理等の耐食性をよくするための表
面処理を行うことは困難であった。また、耐食性に優れ
かつ押出性も良いというような２種の異なる長所を兼ね
備えた中空パネルを得ることも困難であった。

【０００５】そこで、２種の押出形材を別々に用意し、
これらに表面処理を施した後、溶接により結合させて中
空パネルを得ることも考えられるが、これには溶接時の
熱のために溶接部付近の強度が弱くなりしかも表面処理
も劣化するという問題があった。

【０００６】この考案の目的は、２種類の押出形材を溶
接によらずに結合させた中空パネルを提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】第１の考案による中空パ
ネルは、相互に所定間隔をおいて対向する第１対向壁部
および第２対向壁部と、両対向壁部同志を連結する複数
の連結壁部とよりなる中空パネルが一対のアルミニウム
押出形材製のパネル構成部材の組合わせによって形成さ
れており、一方のパネル構成部材が、第１対向壁部およ
びこれの内面に設けられた複数の連結壁部を備え、他方
のパネル構成部材が第２対向壁部を備え、各連結壁部の
先端部およびこれに対向する第２対向壁部の内面のいず
れか一方に長さ方向にのびる管状の雄形嵌合部が設けら
れ、同他方に長さ方向にのびる横断面欠円状の雌形嵌合
部が設けられ、雄形嵌合部が雌形嵌合部に嵌め入れられ
るとともに拡管されて雌形嵌合部に圧着されているもの
である。

【０００８】第２の考案による中空パネルは、相互に所
定間隔をおいて対向する第１対向壁部および第２対向壁
部と、両対向壁部同志を連結する複数の連結壁部とより
なる中空パネルが一対のアルミニウム押出形材製のパネ
ル構成部材の組合わせによって形成されており、一方の
パネル構成部材が、第１対向壁部およびこれの内面に設
けられた複数の連結壁部を備え、他方のパネル構成部材
が第２対向壁部を備え、各連結壁部の先端部に第２対向
壁部と平行となるように折曲げ部が設けられ、第２対向
壁部の内面の各連結壁部に対応する位置に横断面逆Ｌ形
の突出部が設けられて長さ方向にのびる溝が形成され、
各溝に各連結壁部の折曲げ部が嵌め入れられ、折曲げ部
と第２対向壁部とがねじまたはリベットにより結合され
ているものである。

【０００９】

【作用】第１および第２の考案の中空パネルによると、
両方のパネル構成部材に塗装や陽極酸化処理等の耐食性
をよくするための表面処理を行うことにより、パネルの
内面にも表面処理を行うことができ、かつ２つのパネル
構成部材を違った押出形材で形成することができ、さら
に、２つのパネル構成部材の結合が、溶接に比べて短時
間に行える。

【００１０】

【実施例】この考案の実施例を、以下図面を参照して説
明する。この明細書において、上下左右は図１の上下左
右をいうものとする。

【００１１】実施例１ 図１に幅方向に連結された一対の中空パネル(1) を示
す。

【００１２】各中空パネル(1) は、相互に所定間隔をお
いて対向する第１対向壁部(4) および第２対向壁部(6)
と、両対向壁部(4)(6)同志を連結する複数の連結壁部
(5) とを備えており、これが第１および第２のアルミニ
ウム押出形材製パネル構成部材(2)(3)の組合わせによっ
て形成されているものである。

【００１３】第１パネル構成部材(2) は、第１対向壁部
(4) およびこれの対向面に設けられた複数の連結壁部
(5) を備え、第２パネル構成部材(3) は、第２対向壁部
(6) を備えている。

【００１４】そして、各連結壁部(5) の先端部に長さ方
向にのびる円管状の雄形嵌合部(7)が設けられ、各連結
壁部(5) に対向する第２対向壁部(6) の内面に横断面欠
円状の雌形嵌合部(8) が設けられ、円管状の雄形嵌合部
(7) が横断面欠円状の雌形嵌合部(8) に嵌め入れられた
後、雄形嵌合部(7) が拡管されて雌形嵌合部(8) に圧着
されることにより、両パネル構成部材(2)(3)が結合され
ている。

【００１５】中空パネル(1) どうしの幅方向の連結は、
右側の中空パネル(1) の第１対向壁部(4) および第２対
向壁部(6) の各左縁部にそれぞれ一体に形成された左方
に開口した横断面コ形の嵌込み部(9) に、左側の中空パ
ネル(1) の第１対向壁部(4)および第２対向壁部(6) の
若干内向きに屈曲された各右縁部(10)がそれぞれ嵌め込
まれ、嵌込み部(9) と右縁部(10)とがタッピンねじ(11)
で止められることにより行われている。タッピンねじ(1
1)の代わりにブラインドリベットを使用してもよい。

【００１６】この実施例１において、第２パネル構成部
材(3) は第１パネル構成部材(2) に比べて形状が単純で
あるので、例えば、押出性は良くないが海水耐食性のあ
る５０８３合金を使用し、第１パネル構成部材(2) には
押出性の良い６０６３合金を使用して、それぞれ別に押
出す。そして、両パネル構成部材(2)(3)の表面全体に塗
装や陽極酸化処理等の耐食性をよくするための表面処理
を行う。次に、両パネル構成部材(2)(3)を結合して中空
パネル(1) を形成し、必要に応じて中空パネル(1) どう
しを幅方向に連結する。このようにすることにより、内
面に防食加工が施され、かつ第２パネル構成部材(3) が
わが非常に耐食性に優れた中空パネル(1) よりなる構造
材が得られる。両パネル構成部材(2)(3)に使用される材
料は、適宜変更される。

【００１７】実施例２ 図２に示す各中空パネル(21)は、第１および第２のアル
ミニウム押出形材製のパネル構成部材(22)(23)の組合わ
せによって形成されており、第１パネル構成部材(22)
が、第１対向壁部(24)、およびこれの内面に設けられた
複数の垂直連結壁部(25)を備え、第２パネル構成部材(2
3)が、第２対向壁部(26)を備えている。

【００１８】そして、各連結壁部(25)の先端部に第２対
向壁部(26)と平行になるように折曲げ部(27)が設けら
れ、第２対向壁部(26)の内面の各連結壁部(25)に対応す
る位置に横断面逆Ｌ形の突出部(28)が設けられて長さ方
向にのびる溝(29)が形成され、各溝(29)に折曲げ部(27)
が嵌め入れられ、折曲げ部(27)と第２対向壁部(26)とが
タッピンねじ(32)により結合されている。折曲げ部(27)
の上面および突出部(28)の下面にはそれぞれ左上がりの
テーパ(27a)(28a)が形成されており、嵌め合わせが容易
でかつ納まりがよいようになされている。なお、すべて
の折曲げ部(27)と突出部(28)とをねじ止めする必要はな
い。

【００１９】そして、中空パネル(21)どうしの幅方向の
連結は、実施例１と同様に、右側の中空パネル(21)の第
１対向壁部(24)および第２対向壁部(26)の各左縁部に一
体に形成された左方に開口した横断面コ形の嵌込み部(2
9)に、左側の中空パネル(21)の第１対向壁部(24)および
第２対向壁部(26)の若干内向きに屈曲された各右縁部(3
0)がそれぞれ嵌め込まれ、嵌込み部(29)と右縁部(30)と
がタッピンねじ(31)で止められることにより行われてい
る。

【００２０】両パネル構成部材(22)(23)に使用される材
料は実施例１と同様に種々変更することができる。

【００２１】実施例１および２では、連結壁部(5)(25)
は第１対向壁部(4)(24) および第２対向壁部(6)(26) の
それぞれに対して垂直であるが、連結壁部(45)(55)は実
施例３および４に示すように傾斜させてもよい。

【００２２】実施例３ 図３に示す中空パネル(41)は、第１および第２のアルミ
ニウム押出形材製パネル構成部材(42)(43)の組合わせに
よって形成されており、第１パネル構成部材(42)が、第
１対向壁部(44)およびこれの内面に設けられた複数の傾
斜状連結壁部(45)を備え、第２パネル構成部材(43)は、
第２対向壁部(46)を備えている。

【００２３】そして、各連結壁部(45)の先端部に長さ方
向にのびる円管状の雄形嵌合部(47)が設けられ、各連結
壁部(45)に対向する第２対向壁部(46)の内面に長さ方向
にのびる横断面欠円状の雌形嵌合部(48)が設けられ、円
管状の雄形嵌合部(47)が横断面欠円状の雌形嵌合部(48)
に嵌め入れられた後、雄形嵌合部(47)が拡管されて雌形
嵌合部(48)に圧着されることにより、両パネル構成部材
(42)(43)が結合されている。各連結壁部(45)は隣り合う
ものどうしが横断面ハ字状または逆ハ字状となるように
傾斜させられている。

【００２４】中空パネル(41)どうしの幅方向の連結は、
実施例１と同様に行われる。

【００２５】実施例４ 図４に示す中空パネル(51)は、第１および第２のアルミ
ニウム押出形材製のパネル構成部材(52)(53)の組合わせ
によって形成されており、第１パネル構成部材(52)が、
第１対向壁部(54)およびこれの内面に設けられた複数の
傾斜状連結壁部(55)を備え、第２パネル構成部材(53)
が、第２対向壁部(56)を備えている。各連結壁部(55)は
隣り合うものどうしがハ字状または逆ハ字状となるよう
に傾斜させられている。

【００２６】各連結壁部(55)の先端部に第２対向壁部(5
6)と平行となるように折曲げ部(57)が設けられ、第２対
向壁部(56)の内面の各連結壁部(55)に対応する位置に横
断面略Ｌ形の突出部(58)が設けられて長さ方向にのびる
溝(59)が形成され、各溝(59)に折曲げ部(57)が嵌め入れ
られ、そして所要箇所において、折曲げ部(57)と突出部
(58)とがタッピンねじまたはリベットにより結合され
る。折曲げ部(57)の上面および突出部(58)の下面にはそ
れぞれ左上がりのテーパ(57a)(58a)が形成されており、
嵌め合わせが容易でかつ納まりがよいようになされてい
る。

【００２７】中空パネル(51)どうしの幅方向の連結は、
実施例１と同様に行われる。

【００２８】なお、図示は省略したが、第１パネル構成
部材(2)(22)(42)(52) および第２パネル構成部材(3)(2
3)(43)(53) を押出した後、それぞれを円弧状に曲げて
から、両パネル構成部材を結合させて円弧状中空パネル
を製作し、さらにこれらの円弧状中空パネルの端部どう
しをタッピンねじで連結することにより、内部に複数個
の中空部を有する円筒状構造材を作ることもできる。

【００２９】両パネル構成部材を円弧状に曲げる代わり
に、両パネル構成部材を円弧状に押出した後、両パネル
構成部材を結合させて円弧状中空パネルを製作し、さら
にこれらの円弧状中空パネルの端部どうしをタッピンね
じで連結することにより、内部に複数個の中空部を有す
る円筒状構造材を作ることももちろん可能である。

【００３０】

【考案の効果】この考案の中空パネルによると、パネル
の内面に塗装や陽極酸化処理等の耐食性をよくするため
の表面処理を行うことができるので、船舶や建築物等の
腐食しやすい部分にも使用することができる。また、２
つのパネル構成部材を違った材料で形成することもでき
るので、例えば一方のパネル構成部材を押出性の良い材
料に、他方のパネル構成部材を耐食性の良い材料とする
ことなどができ、２つの長所を兼ね備えたパネルを種々
得ることができる。

【００３１】さらに、２つのパネル構成部材の結合が溶
接に比べて短時間で行え、かつ溶接時の熱の影響で溶接
部付近の強度が弱くなるという問題も起こらない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による中空パネルの実施例１を示す横
断面図である。

【図２】この考案による中空パネルの実施例２を示す横
断面図である。

【図３】この考案による中空パネルの実施例３を示す横
断面図である。

【図４】この考案による中空パネルの実施例４を示す横
断面図である。

【符号の説明】

(1)(21)(41)(51) 中空パネル (2)(22)(42)(52) 第１パネル構成部材 (3)(23)(43)(53) 第２パネル構成部材 (4)(24)(44)(54) 第１対向壁部 (5)(25)(45)(55) 連結壁部 (6)(26)(46)(56) 第２対向壁部 (7)(47) 雄形嵌合部 (8)(48) 雌形嵌合部 (27)(57) 折曲げ部 (28)(58) 突出部 (32) タッピンねじ (33)(59) 溝

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相互に所定間隔をおいて対向する第１対
   向壁部(4)(44) および第２対向壁部(6)(46) と、両対向
   壁部(4)(44)(6)(46)同志を連結する複数の連結壁部(5)
   (45) とよりなる中空パネル(1)(41) が一対のアルミニ
   ウム押出形材製のパネル構成部材(2)(3)(42)(43)の組合
   わせによって形成されており、一方のパネル構成部材
   (2)(42) が、第１対向壁部(4)(44) およびこれの内面に
   設けられた複数の連結壁部(5)(45) を備え、他方のパネ
   ル構成部材(3)(43) が第２対向壁部(6)(46) を備え、各
   連結壁部(5)(45) の先端部およびこれに対向する第２対
   向壁部(6)(46) の内面のいずれか一方に長さ方向にのび
   る管状の雄形嵌合部(7)(47)が設けられ、同他方に長さ
   方向にのびる横断面欠円状の雌形嵌合部(8)(48) が設け
   られ、雄形嵌合部(7)(47) が雌形嵌合部(8)(48) に嵌め
   入れられるとともに拡管されて雌形嵌合部(8)(48) に圧
   着されている中空パネル。
2. 【請求項２】 相互に所定間隔をおいて対向する第１対
   向壁部(24)(54)および第２対向壁部(26)(56)と、両対向
   壁部(24)(54)(26)(56)同志を連結する複数の連結壁部(2
   5)(55)とよりなる中空パネル(21)(51)が一対のアルミニ
   ウム押出形材製のパネル構成部材(22)(23)(52)(53)の組
   合わせによって形成されており、一方のパネル構成部材
   (22)(52)が、第１対向壁部(24)(54)およびこれの内面に
   設けられた複数の連結壁部(25)(55)を備え、他方のパネ
   ル構成部材(23)(53)が第２対向壁部(26)(56)を備え、各
   連結壁部(25)(55)の先端部に第２対向壁部(26)(56)と平
   行となるように折曲げ部(27)(57)が設けられ、第２対向
   壁部(26)(56)の内面の各連結壁部(25)(55)に対応する位
   置に横断面逆Ｌ形の突出部(28)(58)が設けられて長さ方
   向にのびる溝(29)(59)が形成され、各溝(29)(59)に各連
   結壁部(25)(55)の折曲げ部(27)(57)が嵌め入れられ、折
   曲げ部(27)(57)と第２対向壁部(26)(56)とがねじ(32)ま
   たはリベットにより結合されている中空パネル。