JP2583636Y2 - 浴槽装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、浴槽本体内への浴湯の
噴出量を調節可能とした浴槽装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、浴槽装置の一形態として、浴槽本
体に浴湯循環ポンプを浴湯吸入流路と浴湯強送流路とを
介して連結して、浴槽本体内の浴湯を浴湯吸入流路→浴
湯循環ポンプ→浴湯強送流路→浴槽本体内に噴出可能と
し、しかも、浴湯強送流路に流量調節用バルブを取付け
て、同バルブの開閉弁体を制御部を介して直流モーター
により駆動して、同開閉弁体の開閉量を所定の検出ポイ
ントで検出し、同検出結果を制御部にフィードバックし
て流量調節を行なうようにしたものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上記した流
量調節用バルブでは、検出ポイントをあまり多くとるこ
とができず、２〜３段階の流量調節が行なえるにすぎな
かった。

【０００４】しかも、直流モーターによる開閉弁体の駆
動速度が略一定であるために、同開閉弁体による流量調
節の速度も一定であった。

【０００５】そのために、浴槽本体内への浴湯の噴出量
の変化を、入浴者の要求に合わせることができないと共
に、噴出量に連続的変化をもたせたブロー入浴も提供で
きないという問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、本考案では、浴
槽本体と浴湯循環ポンプとの間に浴湯吸入流路と浴湯強
送流路からなる浴湯循環流路を介設して、浴槽本体内の
浴湯を、浴湯吸入流路を通して浴湯循環ポンプ内に吸入
すると共に、同浴湯循環ポンプより浴湯強送流路を通し
て浴槽本体内に噴出可能とした浴槽装置において、浴湯
強送流路に流量調節用バルブを取付け、同バルブの開閉
弁体に制御部を介して制御可能としたステッピングモー
ターを連動連結し、さらに、前記流量調節用バルブの弁
座開口部の形状を、開口始端側部及び開口終端側部に比
べ、開口中途部を開閉弁体の開閉動作方向に対して略直
交する方向に幅狭としたことを特徴とする浴槽装置を提
供せんとするものである。

【０００７】

【作用】ブロー入浴を行う際には、浴湯循環ポンプを駆
動させて、浴槽本体内の浴湯を浴湯吸入流路→浴湯循環
ポンプ→浴湯強送流路→浴槽本体と循環させて浴槽本体
内に噴出させる。

【０００８】この際、浴湯強送流路に取付けた流量調節
用バルブの開閉弁体を駆動するステッピングモーターを
制御部を介して駆動させて、開閉弁体を微小距離ごとに
無段階に開閉動作させることにより、流量調節用バルブ
の開度を無段階に微調節し、浴湯の噴出量を無段階に微
調節する。

【０００９】従って、入浴者の好みに応じた浴湯の噴出
量・噴出強さ、さらには、噴出量に連続的な変化をもた
せたブロー入浴が可能となる。

【００１０】また、ステッピングモーターを駆動制御す
るための電気パルスの周期を変えることにより、開閉弁
体の開閉速度も随時変更可能となり、浴湯の噴出量・噴
出強さに様々は変化をもたせることができて、入浴者は
変化に意外性のあるブロー入浴を楽しむことができる。

【００１１】しかも、ステッピングモーターに電気パル
スを与える際に、パルス数の基準となるポイントを設
け、そのポイントでパルス数をリセットすることによ
り、開閉弁体の開閉位置制御の精度を良好に確保するこ
とができる。

【００１２】また、流量調節用バルブの弁座開口部の形
状を、開閉弁体の開閉動作方向に対して略直交する方向
に、開口始端側部を幅広とし、かつ、開口中途部を幅狭
とし、かつ、開口終端側部を幅広に形成した場合には、
開閉弁体による弁座開口部の開放時と閉塞時のヒステリ
シス（浴湯の流量変化の開放時と閉塞時のずれ）を少な
くして、流量変化のいわゆる立上りと立下りを早くする
ことにより、入浴者に、ブロー入浴の立上り変化と立下
り変化とを敏感に感じさせることができて、幅広い変化
のあるブロー入浴を楽しんでもらうことができる。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照しながら
説明する。

【００１４】図１は、本考案に係る浴槽装置Ａの概念的
説明図である。

【００１５】浴槽装置Ａは、浴槽本体10と浴湯循環ポン
プＰとの間に、浴湯吸入流路を形成する浴湯吸入配管11
と浴湯強送流路を形成する浴湯強送配管12とからなる浴
湯循環流路13を介設すると共に、同浴湯強送配管12を中
途部より二方に分岐させて分岐強送配管12a,12b を形成
しており、二本の分岐強送配管12a,12b の先端噴出口12
c,12d は、それぞれ浴槽本体10の背側側壁と足側側壁と
に開口して、各先端噴出口12c,12d より浴湯を入浴者Ｎ
の背部と足部とにそれぞれ向けて噴出可能としている。

【００１６】浴槽本体10は、図１に示すように、上面開
口の箱型に形成すると共に、周縁に一定幅を有する鍔状
の縁部10a を形成し、後側壁のみを入浴者Ｎが傾斜した
姿勢で入浴できるように傾斜状に形成して背もたれ部10
b とし、同背もたれ部10b の上縁部には上方へ膨出させ
た曲面状の枕形に形成した頭掛け部10c を設け、同頭掛
け部10c に入浴者Ｎの後頭部を掛けることができるよう
にしている。９は取手である。

【００１７】そして、浴槽本体10の背側側壁である背も
たれ部10b の下部と足側側壁の下部とにそれぞれ背側浴
湯噴出ノズル19と足側浴湯噴出ノズル20とを取付け、各
ノズル19,20 に分岐強送配管12a,12b の各先端噴出口12
c,12d を連通連結している。

【００１８】上記のような構成において、本考案の要旨
は、分岐強送配管12a,12b の中途部に、それぞれ流量調
節用バルブＶ，Ｖを取付け、各バルブＶ，Ｖの開閉弁体
24,24 に微小距離無段階駆動モーターとしてのステッピ
ングモーター21,21 を連動連結し、同モーター21,21 を
制御部Ｃを介して制御可能としたことにあり、以下に図
２〜図６を参照しながら説明する。

【００１９】すなわち、流量調節用バルブＶは、図２に
示すように、バルブ本体20とステッピングモーター21と
から構成しており、バルブ本体20は、図２及び図３に示
すように開閉流路22a を形成するバルブケーシング22内
に、開閉弁体支軸23を開閉流路路22a と直交状態に、か
つ回動自在に軸架し、同開閉弁体支軸23に開閉弁体24を
ピン24a を介して取付ける一方、バルブケーシング22の
一側内部壁に弁座25を形成して、同弁座25に開閉弁体24
を摺動自在に密着させている。

【００２０】そして、弁座25は、図３及び図４に示すよ
うに、弁座開口部26の形状を、開閉弁体24の開閉動作方
向に対して略直交する方向、すなわち、開閉弁体支軸23
の軸線方向に、開口始端側部26a を幅広とし、かつ、開
口中途部26b を幅狭とし、かつ、開口終端側部26c を幅
広に形成して、図４に示すように、全体形状を正面視略
Ｈ型としている。45はコード、46はコネクタである。

【００２１】このようにして、開閉弁体24の回動位置に
より、図５（イ）に示すように、弁座開口部26を全面開
放させた全開状態と、図５（ロ）に示すように、弁座開
口部26を略半分開口させた半開状態と、図５（ハ）に示
すように、弁座開口部26を少し開口させた少開状態と、
図５（ニ）に示すように、弁座開口部26を全面閉塞させ
た全閉状態とをそれぞれ採れるようにしており、かかる
開閉弁体24の開閉動作は、ステッピングモーター21によ
り微少距離ごとに無段階に行なうことができるようにし
ている。

【００２２】そして、弁座開口部26を全開状態と半開状
態と少開状態とに変化させることにより、噴出強さをそ
れぞれ強と中と弱に変化させることができるようにして
いる。

【００２３】しかも、弁座開口部26の全体形状を、前記
した開口始端側部26a と開口中途部26b と開口終端側部
26c とにより、正面視略Ｈ型に形成しているために、図
６に示すような流量特性を得ることができる。

【００２４】すなわち、図６に示すＲは、ヒステリシス
ループとして形成される流量特性曲線であり、弁座開口
部26の全開状態と半開状態との間で開閉弁体24を開閉動
作させた際には流量変化が大きく、また、半開状態と少
開状態の間で開閉弁体24を開閉動作させた際には流量変
化が小さく、そして、少開状態と閉塞状態との間で開閉
弁体24を開閉動作させた際には流量変化が、上記全開状
態と半開状態との間で開閉弁体24を開閉動作させた場合
と同様に大きくなるようにしている。

【００２５】このようにして、一定の流量幅内で開閉弁
体24を微少距離開閉動作させて、微少な流量制御を行な
うことができるようにすると共に、流量変化のいわゆる
立上りと立下りを早くして、急激な噴出量Ｑの変化が得
られるようにしている。Q1は全開状態での１分間当りの
噴出量、ｎはステッピングモーター21に送信される電気
パルス数、n1は、弁座開口部26を半開状態とする電気パ
ルス数、n2は、弁座開口部26を少開状態とする電気パル
ス数、n3は、弁座開口部26を全閉状態とする電気パルス
数である。

【００２６】また、開閉弁体支軸23は、図２に示すよう
に、上端23a を上方へ向けて伸延させて、バルブケーシ
ング22に連設したモーターケーシング30内に突出させ、
同上端23a に入力ギヤ31を取付けている。32a,32b は軸
受である。

【００２７】ステッピングモーター21は、モーターケー
シング30内に配置して、同モーター21の出力軸21a を下
方へ向けて突出させ、同出力軸21a に出力ギヤ33を取付
け、同出力ギヤ33に、モーターケーシング30内に取付け
た減速ギヤ34を噛合させ、同減速ギヤ34に前記入力ギヤ
31を噛合させている。35は減速ギヤ支軸、36はスペー
サ、37a,37b,37c はＯリング、38は固定板である。

【００２８】そして、かかるステッピングモーター21
は、図１に示すように、制御部Ｃの出力側に接続してお
り、同制御部Ｃの入力側には浴槽本体10の近傍に配設し
た操作パネル部40を接続している。

【００２９】本考案の実施例は、上記のように構成して
いるものであり、本実施例によれば、次のような作用効
果が生起される。

【００３０】すなわち、ブロー入浴を行なう際には、浴
湯循環ポンプＰを駆動させて、浴槽本体10内の浴湯を浴
湯吸入配管11→浴湯循環ポンプＰ→分岐強送配管12a,12
b →背側・足側浴湯噴出ノズル19,20 →浴槽本体10内に
噴出させる。

【００３１】この際、分岐強送配管12a,12b にそれぞれ
取付けた流量調節用バルブＶ，Ｖの開閉弁体24,24 を駆
動するステッピングモーター21,21 を制御部Ｃを介して
駆動させて、開閉弁体24,24 を微小距離ごとに無段階に
開閉動作させることにより、各流量調節用バルブＶの弁
座開口部26の開度を無段階に微調節して、浴湯の噴出量
を無段階に微調節することができて、入浴者の好みに応
じた浴湯の噴出量・噴出強さ、さらには、噴出量に連続
的な変化をもたせたブロー入浴を提供することができ
る。

【００３２】そして、ステッピングモーター21を駆動制
御するための電気パルスの周期を変えることにより、開
閉弁体24の開閉速度も随時変更して、浴湯の噴出量、噴
出強さに様々な周期的な変化をもたせることができて、
入浴者にとって変化に意外性のあるブロー入浴を提供す
ることができる。

【００３３】しかも、ステッピングモーター21に電気パ
ルスを与える際に、パルス数の基準となるポイントを設
け、そのポイントでパルス数をリセットすることによ
り、開閉弁体開閉位置制御の精度を良好に確保すること
ができる。

【００３４】さらには、流量調節用バルブＶの弁座開口
部26の形状を、開閉弁体24の開閉動作方向に対して略直
交する方向に、開口始端側部26a を幅広とし、かつ、開
口中途部26b を幅狭とし、かつ、開口終端側部26c を幅
広に形成しているために、開閉弁体24による弁座開口部
26の開放時と閉塞時のヒステリシス（浴湯の流量変化の
開放時と閉塞時のずれ）を少なくして、流量変化のいわ
ゆる立上りと立下りを早くすることができて、入浴者
に、ブロー入浴の立上り変化と立下り変化とを敏感に感
じさせることができて、幅広い変化のあるブロー入浴を
楽しんでもらうことができる。

【００３５】また、背側又は足側の内のいずれか一方の
流量調節用バルブＶを全閉状態にする際には、他方の流
量調節用バルブＶも少し閉塞状態にすることにより、一
方の噴出ノズルからの噴出量が急激に増大するのを防止
して、一定流量の浴湯が噴出されるようにする。

【００３６】なお、ブロー運転の開始時には、流量調節
用バルブＶの開閉弁体24をゆっくり開放動作させて、急
激に噴出ノズルから浴湯が噴出することのないようにす
る。

【００３７】

【考案の効果】本考案によれば、次のような効果が得ら
れる。

【００３８】浴湯強送流路に流量調節用バルブを取付
け、同バルブの開閉弁体に制御部を介して制御可能とし
たステッピングモーターを連動連結し、さらに、前記流
量調節用バルブの弁座開口部の形状を、開口始端側部及
び開口終端側部に比べ、開口中途部を開閉弁体の開閉動
作方向に対して略直交する方向に幅狭としたので、入浴
者の好みに適応した浴湯の噴出量・噴出強さのブロー入
浴を提供することができる。

【００３９】特に、流量調節用バルブの弁座開口部の形
状を、開口始端側部及び開口終端側部に比べ、開口中途
部を開閉弁体の開閉動作方向に対して略直交する方向に
幅狭としたことにより、流量変化のいわゆる立上がりと
立下がりを早くすることができ、入浴者に、急激な変化
のあるブロー入浴を楽しんでもらうことができる。

【００４０】また、ステッピングモーターを駆動制御す
る電気パルスの周期を変化させて開閉弁体の開閉速度も
随時変更可能とすることができるので、浴湯の噴出形態
に意外性のある変化をもたせることができ、入浴者に楽
しいブロー入浴を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る浴槽装置の概念的説明図。

【図２】流量調節用バルブの断面正面図。

【図３】同流量調節用バルブの断面平面図。

【図４】同流量調節用バルブの側面図。

【図５】同流量調節用バルブの弁座開口部の開閉状態説
明図。

【図６】同流量調節用バルブの流量特性を示すグラフ。

【符号の説明】

Ａ 浴槽装置 Ｐ 浴湯循環ポンプ Ｖ 流量調節用バルブ 10 浴槽本体 13 浴湯循環流路 24 開閉弁体 26 弁座開口部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽本体(10)と浴湯循環ポンプ(P) との
   間に浴湯吸入流路と浴湯強送流路からなる浴湯循環流路
   (13)を介設して、浴槽本体(10)内の浴湯を、浴湯吸入流
   路を通して浴湯循環ポンプ(P) 内に吸入すると共に、同
   浴湯循環ポンプ(P) より浴湯強送流路を通して浴槽本体
   (10)内に噴出可能とした浴槽装置において、 浴湯強送流路に流量調節用バルブ(V) を取付け、同バル
   ブ(V) の開閉弁体(24)に制御部(C) を介して制御可能と
   したステッピングモーターを連動連結し、 さらに、前記流量調節用バルブ(V) の弁座開口部(26)の
   形状を、開口始端側部(26a) 及び開口終端側部(26c) に
   比べ、開口中途部(26b) を開閉弁体(24)の開閉動作方向
   に対して略直交する方向に幅狭とした ことを特徴とする
   浴槽装置。