JP2582019Y2

JP2582019Y2 - 高圧筒の超高圧シール構造

Info

Publication number: JP2582019Y2
Application number: JP1992060208U
Authority: JP
Inventors: 隆弘阿部; 建夫神; 照夫高橋
Original assignee: Japan Steel Works Ltd
Current assignee: Japan Steel Works Ltd
Priority date: 1992-08-05
Filing date: 1992-08-05
Publication date: 1998-09-30
Anticipated expiration: 2007-08-05
Also published as: JPH0616766U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、高圧筒内を超高圧で
加圧する際に、筒を密封するために使用される超高圧シ
ール構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高圧筒内に加圧液を注入して、高圧筒内
面を超高圧に加圧する場合には、開放されている筒を密
封封止しており、この密封部では超高圧でも漏洩しない
シール構造が必要とされる。従来、上記シール構造とし
ては、高圧筒を１０００kg/cm²未満の比較的低圧で加圧
する場合には、皮パッキンおよびＯリングを使用した構
造が知られており、１０００kg/cm²以上の高圧で加圧す
る場合には、メタルパッキンを使用した構造が知られて
いる。

【０００３】さらに、本願出願人は、より高圧で加圧す
る場合にも確実に封止できるシール構造を開発してお
り、前記メタルパッキンを改良して５０００〜８０００
kg/cm²程度の超高圧にも耐え得るシーリング装置を提案
している（特公平２−６０９０９号）。この装置では、
皮パッキンとＯリングとで低圧シーリング部を構成し、
この低圧シーリングの先端側に、内向きのテーパー面を
設けたメタルパッキンを配置し、さらに、この先端側
に、メタルパッキンのテーパー面に対応して外向きのテ
ーパー面を持ったリテーナを配置している。上記装置で
は、昇圧に従って低圧シーリングから漏洩しだした圧力
水がメタルパッキンを圧迫し、リテーナとの接触面によ
りメタルパッキンが外方に拡張するように変形して、高
圧筒の内面と強圧状態で密着してシール部を強固に封止
するものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記したシ
ーリング装置は、８０００kg/cm²付近で、なおかつ、こ
の数値を超える圧力にも耐え得ることを目的として提案
されたものである。しかし、最近では、さらに高圧でも
漏洩することなく、確実に密封封止できるシール構造の
開発が望まれており、具体的には、１００００kg/cm²の
圧力にも耐えられるシール構造の実現が望まれている。
また、上記したシーリング装置は、高圧筒全体を加圧し
ており、高圧筒の所望の箇所を部分的に加圧したい場合
に使用することができない。この考案は上記事情を背景
としてなされたものであり、１００００kg/cm²以上の圧
力でも確実に封止でき、しかも高圧筒の所望箇所を部分
的に加圧できるシール構造を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願考案の超高圧シール構造は、高圧筒内の長さ方
向における所定位置に、高圧筒内面に沿った外周形状を
有する受圧部が配置されており、該受圧部には、高圧筒
内に配置された所定長さの中心ロッドの一端部が着脱可
能に取り付けられているとともに、該中心ロッドの他端
部は高圧筒端部に固定された栓体に着脱可能に係止され
ており、該栓体と前記受圧部との間には受圧部側に小隙
間を残して、複数の筒体を継ぎ合わせて長さ調整したス
ペーサーが嵌挿されており、前記小隙間には、中心ロッ
ドに嵌挿されるようにして、受圧部側から順次、前方パ
ッキン受け、パッキン部材、後方パッキン受けおよびシ
ール部受けが配置されており、前記パッキン部材は、ゴ
ムパッキンを受圧部側の前方メタルパッキンと栓体側の
後方メタルパッキンとで挟持した構成からなることを特
徴とする。

【０００６】上記受圧部は、通常は、シール部内面に沿
って、この内面と僅かな隙間を有する形状に成形され、
高圧筒の予め任意に定めた所定位置に配置される。そし
て、この受圧部に着脱可能に取り付けた中心ロッドは、
受圧部の上記所定位置に対応して、少なくとも受圧部か
ら高圧筒端部に達する所定の長さを有しており、受圧部
を位置決めするように栓体に係止される。この係止は、
中心ロッドをナットで栓体固定する方法などにより行う
ことができる。さらに、栓体は、螺合等の手段により、
シール部端部に固定される。栓体の前方に配置される
スペーサーは、継ぎ合わせる筒体の数や筒体の長さの選
定などにより長さを調整することができ、中心ロッドの
長さを適合させることにより、受圧部を高圧筒の所望の
位置に配置させることができる。スペーサー用の筒体は
継ぎ合わせの際に、互いに接合する必要はなく、互いに
当接するように配置するものであってもよい。

【０００７】次に、前方パッキン受けと後方パッキン受
けは、超高圧によって圧潰されない程度の強度を有する
ことが必要である。上記パッキン受けで挟持されるメタ
ルパッキンは、超高圧の加圧によって適度に変形する材
質が望ましく、例えばＰb−Ｓn 合金が適している。ま
た、メタルパッキン間に挟持されるゴムパッキンは、低
圧でも適度に変形する材料が望ましく、例えば、ブチル
ゴムなどが望ましい。

【０００８】また、前方パッキン受けと前方メタルパッ
キンとは、互いの当接面側に、外周に向けて後方に傾斜
する傾斜面を有し、後方メタルパッキンと後方パッキン
受けとは、互いの当接面側に、外周に向けて前方に傾斜
する傾斜面を有しているのが望ましい。さらには、前
方パッキン受けと前方メタルパッキンとは、互いの当接
面側に、内周側で、内周に向けて前方（受圧部側を前
方、栓体側を後方として；以下同じ）に傾斜する内方傾
斜面を有し、また、後方メタルパッキンと後方パッキン
受けとは、内周側で、内周に向けて前方に傾斜する内方
傾斜面を有しているのが望ましく、また、同様に、前方
パッキン受けと前方メタルパッキンとの当接面側に、内
周側で、内周に向けて前方に傾斜する内方傾斜面を形成
することも可能である。なお、メタルパッキンと前方
または後方パッキン受けとの当接面は、上記形状の傾斜
面で全体が構成されていることが必須とされるものでは
なく、水平な面を含むものであってもよい。この水平な
面は、特にメタルパッキンの外周端に形成するのが望ま
しい。

【０００９】

【作用】すなわち、本願考案の超高圧シール構造によれ
ば、先ず、スペーサーの長さを筒体の継ぎ合わせによっ
て選定し、これに適合した長さの中心ロッドを使用する
ことによって受圧部材を高圧筒の所望の位置に配置させ
る。次いで高圧筒の受圧部の前方に加圧液を注入する
と、圧力液は、受圧部の前面に、後方に向いた圧力を加
えるとともに、受圧部とシール部内面との隙間を通って
前方のパッキン受けに後方に向いた圧力を加える。この
圧力が低圧の状態では、パッキン受けに加えられた圧力
は、前方メタルパッキンからゴムパッキンへと伝えら
れ、ゴムパッキンが優先して外方に拡がるように変形
し、シール部の内面と強固に密着してシール部を密閉す
る。

【００１０】そして、さらに加圧力が増すと、前方およ
び後方メタルパッキンへの押圧力も増し、各メタルパッ
キンは適度に圧潰して、メタルがシール部の内周面に圧
着して強固に封止する。上記により高圧筒の所望箇所
は、低圧から超高圧に至るまで、漏洩することなく確実
に封止される。また、スペーサーの長さと中心ロッドの
長さを調整することにより、高圧筒の加圧位置を容易に
変更することができる。

【００１１】

【実施例】以下に、この考案の一実施例を第１図〜第４
図に基づいて説明する。なお、以下の説明では高圧筒の
軸方向中心を両端からの前方とする。高圧が付加される
高圧筒１は、内外周にテーパーを設けた長尺円筒形状か
らなり、その両端内面に、めねじ２、３が形成されてい
る。上記高圧筒１の大径側には、高圧筒１の内面と僅か
な隙間を有するように長尺円柱状の中心棹体４が挿入さ
れており、さらに、高圧筒１の大径側端部では、中心桿
体４の外周端部にスリーブ５が嵌込まれている。

【００１２】上記高圧筒１の一端と略中央部には、中心
桿体４を挟むように高圧筒１の内面と僅かに隙間を有す
る円柱状の受圧部６、７が配置されており、受圧部６の
後方には中心ロッド８が設けられており、受圧部７には
後方に伸長する特に長尺な中心ロッド９がネジ固定され
ており、中心ロッド８、９は、後述する栓体１０、１１
の中心孔を貫通してネジ固定されている。上記受圧部６
または７と中心ロッド８または９とによって受圧部材が
構成されており、受圧部６の先端から中心ロッド８の後
端に亘り、加圧液移送路１２用の貫通孔が形成されてい
る。なお、加圧液移送路１２では、受圧部６の中心部か
ら側壁に達する分岐路１２ａが設けられている。また、
中心ロッド８の後端には、加圧液移送路１２と外部加圧
装置（図示しない）とを連結するコネクタ部１４が設け
られている。

【００１３】高圧筒１の端部のめねじ２、３には、栓体
１０、１１のねじ筒が螺合されており、栓体１０の先端
と前記受圧部６との間には、前方側から順次、それぞれ
中心穴を有する前方パッキン受け１８、前方メタルパッ
キン１９、ゴムパッキン２０、後方メタルパッキン２
１、後方パッキン受け２２からなるシール部材が中心ロ
ッド８に嵌挿されて密着配置されており、前方メタルパ
ッキン１９、ゴムパッキン２０、後方メタルパッキン２
１によりパッキン部材が構成されている。上記前方パッ
キン受け１８および後方パッキン受け２２には、超高圧
でも圧潰しない強度の材質が使用され、これに対し、前
方メタルパッキン１９、後方メタルパッキン２１には、
超高圧で適度に圧潰するＰb ５０ｗｔ％−Ｓn ５０ｗｔ
％合金が用いられており、ゴムパッキン２０には、低圧
で適度に変形するブチルゴムが用いられている。

【００１４】なお、受圧部７の後方にも、上記と同様
に、前方パッキン受け２３、前方メタルパッキン２４、
ゴムパッキン２５、後方メタルパッキン２６、後方パッ
キン受け２７からなるシール部材が配置されており、前
方メタルパッキン２４、ゴムパッキン２５、後方メタル
パッキン２６によりパッキン部材が構成されている。こ
のシール部材の後方には円筒形のシール部受け２８が嵌
挿されており、このシール部受け２８と栓体１１との間
には、１０個の円筒体が継ぎ足されたスペーサー２９が
嵌挿されており、高圧筒１の略左半分を加圧するように
意図されている。

【００１５】なお、前記前方メタルパッキン１９、２４
の前面は、外周側端部を除いて、外周に向けて後方に徐
々に傾斜する弧面で形成されており、外周側端部は、平
坦面で形成されている。一方、前方パッキン受け１８、
２３の後面は、上記前方メタルパッキン１９、２４の前
面に沿う形状を有しており、上記後面と前面とは、密着
して当接している。また、前方メタルパッキン１９、２
４の後面は平坦面で形成されており、リング状のゴムパ
ッキン２０、２５と密着して当接し、ゴムパッキン２
０、２５は、さらに、前面を平坦面とした後方メタルパ
ッキン２１、２６と密着して当接している。

【００１６】後方メタルパッキン２１、２６の後面は、
内周側端部を除いて、径の２／３位置から内周に向けて
前方に徐々に傾斜する弧面で形成されており、内周側端
部は平坦面で構成されている。さらに、上記後面は、外
周側端部を除いて、上記２／３位置から外周に向けて前
方に徐々に傾斜する弧面で形成されており、外周側端部
は平坦面で構成されている。一方、後方パッキン受け２
２、２７は、上記後方メタルパッキン２１、２６の後面
に沿った前面を有しており、互いに密着して当接してい
る。上記した前後方パッキン受け、パッキン部材は互い
に密着して当接することにより、全体で筒状の形状とな
り、その外周面はシール部の内面に嵌った状態となって
いる。

【００１７】次に、上記装置の作用について説明する
と、外部の加圧装置（図示しない）で加圧された加圧液
を、コネクタ部１４を介して加圧液移送路１２へと送り
込む。加圧液は、移送路１２を通って受圧部６の先端か
ら高圧筒１内へと注入され、中心棹体４と高圧筒１との
隙間、および中心棹体４と受圧部６、７との隙間に充満
される。加圧液は、受圧部６、７を後方に押圧し、さら
に、受圧部６、７の外周面と高圧筒１の内面との隙間へ
と侵入し、前方パッキン受け１８、２３を後方に押圧す
る。この押圧力は前方メタルパッキン１９、２４からゴ
ムパッキン２０、２５へと伝わり、このゴムパッキン２
０、２５を押して外方に拡がるように変形させる。した
がって、ゴムパッキン２０、２５の外周面は、高圧筒１
の内面に押付けられて、高圧筒１の内面を全周に渡り封
止する。

【００１８】なお、加圧液の圧力が比較的低圧の状態
（例えば、１０００kg/cm²未満）では、メタルパッキン
１９、２１、２４、２６の変形量は僅かであるが、加圧
液の圧力が増加すると、各メタルパッキンの変形量が増
大し、前方メタルパッキン１９、２４では、前方パッキ
ン受け１９、２４との当接面形状に従って、メタルが外
周側に押され、圧潰したメタル（特に平坦な部分）が高
圧筒１の内面に圧着して、これを封止する。

【００１９】一方、後方メタルパッキン２１、２６で
は、後方パッキン受け２２、２７との当接面形状に従っ
て、後方メタルパッキン２１、２６の外周側が、外周方
向に押され、圧潰したメタルが高圧筒１の内面に圧着し
て、シール部分を封止する。また、同時に、後方メタル
パッキン２１、２６の内周側は、内周方向に押され、圧
潰したメタルが中心ロッド８、９に圧着して、中心ロッ
ド８、９との間を封止する。上記のシール構造におい
て、加圧液の圧力を１００００kg/cm²まで昇圧させた
が、シール部分からの漏洩は全くなく、確実に封止され
ていた。なお、高圧筒の加圧位置を変えたときには、ス
ペーサーに用いる筒体の数を変えたり厚さの異なる筒体
を使用することによって受圧部の位置を変えて高圧筒の
加圧位置を変えることができる。そして、上記実施例で
は、小径側のシール部分だけにスペーサーを配置した
が、大径側にもスペーサーを配置することができ、両側
への配置によって、高圧筒の加圧位置をより自由に選定
することができる。

【００２０】

【考案の効果】以上説明したように、本願考案の超高圧
シール構造によれば、高圧筒内の長さ方向における所定
位置に、高圧筒内面に沿った外周形状を有する受圧部が
配置されており、該受圧部には、高圧筒内に配置された
所定長さの中心ロッドの一端部が着脱可能に取り付けら
れているとともに、該中心ロッドの他端部は高圧筒端部
に固定された栓体に着脱可能に係止されており、該栓体
と前記受圧部との間には受圧部側に小隙間を残して、複
数の筒体を継ぎ合わせて長さ調整したスペーサーが嵌挿
されており、前記小隙間には、中心ロッドに嵌挿される
ようにして、受圧部側から順次、前方パッキン受け、パ
ッキン部材、後方パッキン受けおよびシール部受けが配
置されており、前記パッキン部材は、ゴムパッキンを受
圧部側の前方メタルパッキンと栓体側の後方メタルパッ
キンとで挟持した構成からなるので、所定長さの中心ロ
ッドと、長さ調整したスペーサ−により、受圧部を高圧
筒内の任意位置に配置でき、高圧筒の任意位置に高圧を
付加することができる。すなわち、１０００kg/cm²未満
の低圧から、１００００kg/cm²を超える超高圧の圧力に
至るまで、高圧筒の所望の箇所で漏洩することなく、確
実に封止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、実施例のシール構造を含む高圧筒の断
面図である。

【図２】図２は、実施例の一部拡大断面図である。

【図３】図３は、同じく実施例の一部拡大断面図であ
る。

【図４】図４は、パッキン部材の分解図である。

【符号の説明】

１高圧筒６受圧部７受圧部８中心ロッド９中心ロッド１０栓体１１栓体１８前方パッ
キン受け１９前方メタルパッキン２０ゴムパッ
キン２１後方メタルパッキン２２後方パッ
キン受け２３前方パッキン受け２４前方メタ
ルパッキン２５ゴムパッキン２６後方メタ
ルパッキン２７後方パッキン受け

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭63−6271（ＪＰ，Ａ) 特開昭56−153289（ＪＰ，Ａ) 特公昭58−9303（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F16J 12/00 - 13/24 F16J 15/00 - 15/56 F16L 55/10 - 55/12

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】高圧筒内の長さ方向における所定位置
に、高圧筒内面に沿った外周形状を有する受圧部が配置
されており、該受圧部には、高圧筒内に配置された所定
長さの中心ロッドの一端部が着脱可能に取り付けられて
いるとともに、該中心ロッドの他端部は高圧筒端部に固
定された栓体に着脱可能に係止されており、該栓体と前
記受圧部との間には受圧部側に小隙間を残して、複数の
筒体を継ぎ合わせて長さ調整したスペーサーが嵌挿され
ており、前記小隙間には、中心ロッドに嵌挿されるよう
にして、受圧部側から順次、前方パッキン受け、パッキ
ン部材、後方パッキン受けおよびシール部受けが配置さ
れており、前記パッキン部材は、ゴムパッキンを受圧部
側の前方メタルパッキンと栓体側の後方メタルパッキン
とで挟持した構成からなることを特徴とする高圧筒の超
高圧シール構造