JP2580823Y2 - スクロールコンプレッサの逆止弁押さえプレート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、圧縮室と吐出側を連
通するバイパス孔を有するスクロールコンプレッサにお
いて、吐出口に配される逆止弁押さえプレートに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のスクロールコンプレッサにおい
て、例えば特開昭６３−１４０８８４号公報において示
されるものは、固定スクロールの鏡板を貫通して圧縮室
側と吐出側とを連通するバイパス孔を固定スクロールの
ラップ近傍に設けると共に、該バイパス孔に圧縮室側か
ら吐出室側への冷媒ガスの流路を許す逆止弁よりなるバ
イパス弁（リリーフ弁）を有している。

【０００３】このリリーフ弁は、圧縮室の圧力が吐出室
の圧力より小さい場合にはバイパス孔を閉鎖し、圧縮室
の圧力が吐出室の圧力より大きい場合にはバイパス孔を
開いて、冷媒ガスを圧縮室から吐出室にリークするもの
である。

【０００４】また、圧縮室と高圧室を連通する吐出口に
は、圧縮室の圧力が高圧室の圧力より小さくなった場合
に該吐出口を閉鎖する逆止弁が設けられており、この逆
止弁を保持する逆止弁保持プレートが吐出口に取付られ
ているものである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、従来のリリー
フ弁を有するスクロールコンプレッサにおいては、バイ
バス孔を開閉するリリーフ弁を独立して設けるために、
オイルセパレータ及び吐出口の逆止弁押さえプレートが
配される吐出口近傍が複雑になると共に、部品点数が多
くなることによってコストアップするという問題点があ
った。

【０００６】このために、この考案は、吐出口近傍の部
品点数を減らし、吐出口近傍を簡略化したスクロールコ
ンプレッサを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】しかして、この考案は、
可動スクロールと固定スクロールによって連続して画成
され、吸入から圧縮までを司る圧縮室を、前記固定スク
ロールに対して可動スクロールを旋回運動させることに
よって順次容積を減少させて圧縮を行い、吐出口より吐
出させると共に、前記圧縮室と吐出側を連通するバイパ
ス孔を有するスクロールコンプレッサにおいて、前記吐
出口に配される逆止弁を保持する逆止弁押さえプレート
に、前記バイパス孔に配されるリリーフ弁を一体に成形
したことにある。

【０００８】

【作用】したがって、この考案においては、吐出口に設
けられる逆止弁を保持する逆止弁押さえプレートに、前
記バイパス孔に配されるリリーフ弁を一体に成形したこ
とによって、吐出口近傍を簡略化でき、上記課題が達成
できるものである。

【０００９】

【実施例】以下、この考案について図面により説明す
る。図１に示すスクロールコンプレッサ１は、円筒形状
部材２が蓋体３と底体４によって密閉された形成された
ケース５と、このケース５内上方に設けられた電動機６
と、この電動機６によって駆動される圧縮部７と、前記
円筒傾向部材２に形成された冷媒吸入口８及び冷媒吐出
口９によって構成されている。

【００１０】電動機６は、例えばブラシレスの直流電動
機で、駆動軸１０と、この駆動軸１０の周囲に固着さ
れ、外周に永久磁石が配された回転子１１と、前記円筒
形状部材２の内周面に固着され、前記回転子１１と対向
して配された固定子１２と、この固定子１２に巻回され
た電磁コイル１３によって構成されている。

【００１１】圧縮部７は、可動スクロール部材１５、固
定スクロール部材１６、ブロック１７及びオルダムリン
グ１８によって構成され、この圧縮部７の上方に前記冷
媒吸入孔８と連通する低圧室１９、下方に潤滑油のオイ
ル溜り２０を有し、前記冷媒吐出口９と連通する高圧室
２１が形成されるものである。

【００１２】可動スクロール部材１５は、前記駆動軸１
０の下方端にこの駆動軸１０の中心軸から所定距離偏心
して形成された挿入孔１０ａに挿入される挿入軸１５ａ
と、この挿入軸１５ａの形成された面に形成されたオル
ダムリング１８の一方の噛合片１８ａが噛合するオルダ
ムリングガイド溝１５ｃと、前記挿入軸１５ａの対向す
る面に渦巻状に形成された可動スクロール１５ｂとによ
って構成される。

【００１３】固定スクロール部材１６は、前記可動スク
ロール１５ｂと噛合して両スクロール部材に形成の空間
の容積が変化され、もって吸入作用と加圧作用がおこな
わせしめるもので、作用に合わせて便宜的に圧縮室２２
を、吸入圧室２２ａ、中間圧室２２ｂ、吐出圧室２２ｃ
に分けて示すこととする。この固定スクロール部材１６
は、前記吐出圧室２４と連通する吐出口２５を有すると
共に、前記中間圧室２３と高圧室側を連通するバイパス
孔２６とを有しており、前記可動スクロール部材１５を
可動自在に挟み込むように下記するブロック１７にシム
プレート３４を介して固定されているものである。尚、
この吐出口２５は下方が拡径されて逆止弁２８を収納す
る逆止弁収納孔２５ａとなっているものである。

【００１４】ブロック１７は、前記駆動軸１０の下方端
が挿入され、ラジアル軸受２６を介して前記駆動軸１０
を回動自在に保持する貫通孔１７ａと、オルダムリング
１８が挿入されるオルダムリング収納溝１７ｂと、オル
ダムリング１８の他方の噛合片１８ｂが噛合するオルダ
ムリングガイド溝１７ｃを有し、前記円筒形状部材２の
内周面に固着されているものである。

【００１５】前記固定スクロール１６の下面には、オイ
ルセパレータ２７が設けられ、このオイルセパレータ２
７には前記逆止弁収納孔２５ａの周囲にオイル分離用の
金属細線３０が収納され、またこのオイルセパレータ２
７の側部には流出口３１が形成され、前記吐出口２５と
高圧室２１が連通されるものである。

【００１６】また、このスクロールコンプレッサ１に
は、前記オイル溜り２０に収容された潤滑油が、高圧室
２１と低圧室１９の差圧によって、フィルタ３２からオ
イル導引管３３を介して固定スクロール部材１６、シム
プレート３４、ブロック１７に貫通した潤滑油供給通路
３５を通過し、ラジアル軸受２６及び各摺動部分に供給
されて潤滑し、さらに冷媒ガスと共に圧縮室に送られて
可動スクロール１５ｂと固定スクロール１６ａの当接部
分のシールを行い、前記オイルセパレータ２７において
冷媒ガスと分離されてオイル溜り２０に戻る潤滑油経路
が形成されているものである。

【００１７】以上の構成のスクロールコンプレッサ１に
おいては、電動機６の駆動によって、駆動軸１０が回転
すると、オルダムリング１８によって回動が防止された
可動スクロール部材１５は、固定スクロール１６に対し
て旋回運動を行う。この可動スクロール部材１５の旋回
によって、可動スクロール１５ｂと固定スクロール１６
ａによって画成された圧縮室２２は、吸入圧室２２ａ、
中間圧室２２ｂ、吐出圧室２２ｃと順次容積が減少する
こととなり、これによって冷媒吸入口８から低圧室１９
を介して吸入された冷媒ガスは、圧縮されて吐出口２５
から高圧室２１を介して冷媒吐出口９に至り、次なる工
程に送られるものである。

【００１８】このスクロールコンプレッサ１において、
前記逆止弁収納孔２５ａの開口端には、逆止弁押さえブ
レート４０が図２及び図３に示すように螺子４１によっ
て取付られるもので、この逆止弁押さえプレート４０
は、図４に示すように中央に前記逆止弁収納孔２５ａの
径よりも所定値小さい径の開口部４２を有し、その開口
部の外周部分に螺子穴４３が形成された取付部４４と、
前記バイパス孔２６の高圧室側を開閉するリリーフ弁部
４５とを有するように一体に形成されたものである。

【００１９】逆止弁２８は、前記吐出口２５を閉塞する
弁部２８ａと、前記逆止弁押さえプレート４０に引っ掛
かって逆止弁２８を保持する保持部２８ｂによって構成
され、前記逆止弁収納孔２５ａに挿入されるものであ
る。

【００２０】これによって、図３に示すように逆止弁２
８は前記逆止弁収納孔２５ａに挿入され、逆止弁押さえ
プレート４０が螺子４１によって取付られることによっ
て前記逆止弁収納孔２５ａに保持され、通常の運転時に
おいては、吐出口２５から吐出される冷媒ガスの圧力が
高圧室２１よりも大きいために、逆止弁押さえプレート
４０側に押しつけられ、冷媒ガスが逆止弁２８と前記逆
止弁押さえプレート４０の開口部４２との隙間からオイ
ルセパレータ２７に吐出されるものである。

【００２１】また、運転が停止した場合等により、高圧
室２１側の圧力が圧縮室２２の圧力よりも大きくなった
場合には、逆止弁２８は上方に押しつけられて前記吐出
口２５を閉塞して冷媒ガスが圧縮室２２に逆流するのを
防止するものである。

【００２２】前記逆止弁押さえプレート４０に形成され
たリリーフ弁部４５は、バイパス孔２６を通常は閉塞す
るように配され、起動時等における液圧縮、過圧縮状態
において中間圧室２３に異常高圧が発生した場合に開弁
して中間圧室２３の圧力を高圧側にリークして液圧縮、
過圧縮を防止し、可動スクロール部材１５の旋回運動を
円滑に実行できるものである。

【００２３】また、前記逆止弁押さえプレート４０のリ
リーフ弁部４５の開閉ストロークを制限するため、図５
及び図６で示す保護プレート５０を設けてもよいもので
ある。この保護プレート５０は、中心に前記逆止弁収納
孔２５ａの径以上である所定の径を有する開口部５１
と、前記逆止弁押さえプレート４０のリリーフ弁部４５
に対向して所定角度外方に屈曲したリリーフ弁保護部５
２とを有し、前記螺子４１によって前記逆止弁押さえプ
レート４０を介在してこの逆止弁押さえプレート４０と
共に固定スクロール部材１６に取付けられるものであ
る。

【００２４】以上のようにこの実施例においては、中間
圧室２３と高圧室２１側を連通するバイパス孔２６を２
つ形成したものについて説明したが、このバイパス孔２
６は、固定スクロール１６ａと可動スクロール１５ｂに
よって画成される圧縮室が連続して形成されるために、
吸入圧室２２から吐出圧室２４に至る中間圧室２３に２
つ以上形成してもよいものである。この場合は、前記逆
止弁押さえプレート４０に形成されるリリーフ弁部４５
は、２つ以上延設されることとなるものである。

【００２５】

【考案の効果】以上説明したように、この考案によれ
ば、逆止弁押さえプレートに、圧縮室から吐出側へ冷媒
をリークさせるバイパス孔を開閉するリリーフ弁を一体
に成形したことによって、吐出口近傍の部品点数を減ら
すことができるために、コストダウンが達成できると共
に、吐出口近傍の組み立てを容易することができるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るスクロールコンプレッサ
の構成を示した断面図である。

【図２】（ａ）は固定スクロール部材の吐出口付近を示
した平面図であり、（ｂ）は固定スクロール部材の吐出
口付近を示した断面図である。

【図３】固定スクロール部材に逆止弁押さえプレートを
装着する状態を示した分解斜視図である。

【図４】逆止弁押さえプレートの平面図である。

【図５】固定スクロール部材吐出口付近を示し、保護プ
レートを装着した場合の断面図である。

【図６】保護プレートの（ａ）は平面図であり、（ｂ）
は断面図である。

【符号の説明】

１ スクロールコンプレッサ ６ 電動機 ７ 圧縮部 １０ 駆動軸 １５ 可動スクロール部材 １６ 固定スクロール部材 １７ ブロック ２２ 圧縮室 ２２ａ 吸入圧室 ２２ｂ 中間圧室 ２２ｃ 吐出圧室 ２５ 吐出口 ２５ａ 逆止弁収納孔 ２６ バイパス孔 ２７ オイルセパレータ ２８ 逆止弁 ４０ 逆止弁押さえプレート ４５ リリーフ弁部 ５０ 保護プレート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 可動スクロールと固定スクロールによっ
   て連続して画成され、吸入から圧縮までを司る圧縮室
   を、前記固定スクロールに対して可動スクロールを旋回
   運動させることによって順次容積を減少させて圧縮を行
   い、吐出口より吐出させると共に、前記圧縮室と吐出側
   を連通するバイパス孔を有するスクロールコンプレッサ
   において、 前記吐出口に配される逆止弁を保持する逆止弁押さえプ
   レートに、前記バイパス孔に配されるリリーフ弁を一体
   に成形したことを特徴とするスクロールコンプレッサの
   逆止弁押さえプレート。