JP2580627B2 - 水処理施設の撹拌機制御装置 - Google Patents

水処理施設の撹拌機制御装置

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JP2580627B2 JP62256588A JP25658887A JP2580627B2 JP 2580627 B2 JP2580627 B2 JP 2580627B2 JP 62256588 A JP62256588 A JP 62256588A JP 25658887 A JP25658887 A JP 25658887A JP 2580627 B2 JP2580627 B2 JP 2580627B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、原水に薬品を注入して急速撹拌した後、フ
ロック形成池にて緩速撹拌機をもって緩速撹拌させるこ
とによりフロックを形成・成長させ、沈澱池にて沈澱さ
せるせる水処理施設の改良に係り、特に、フロック形成
池での緩速撹拌機の緩速撹拌を、沈澱池での沈澱状態に
応じて自動的に変更できるようにした水処理施設の撹拌
機制御装置に関するものである。
〔従来の技術〕
この種の水処理施設は、原水に薬品を注入して急速撹
拌した後、フロック形成池にて緩速撹拌機をもって緩速
撹拌させることによりフロックを形成・成長させ、沈澱
池にて沈澱させるせる凝集沈澱施設として知られてい
る。かかる凝集沈澱施設の運転は、従来、原水水質によ
り薬品注入量を制御するのみであり、その他の装置を水
質等により自動運転することはしていない。即ち、フロ
ック形成池の緩速撹拌機は、手動によるマニュアルセッ
トで運転を行っているだけであり、水質等による自動運
転を実施することはしていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このため、水質変動等に対応させて薬品注入量を制御
させても、フロックの成長段階(緩速撹拌)で水質変動
等に充分に対応させていないから、フロックが破壊し、
或いはフロックが成長せず微粒子となり、沈澱池で沈澱
しなくなるという現象が発生した。この結果、後段の濾
過池へ大量の粒子が流入し、濾過池閉塞等の問題が発生
する。
また、緩速撹拌機は、手動によるマニュアル運転のた
め、運転状況を変化させようにも個々の駆動機を操作す
る必要があり、台数が多いと対応が遅れてしまうという
問題点がある。特に、従来のフロック形成池における緩
速撹拌機は、運転管理指標となるべきものがないため、
最適運転状態を維持できないという不都合があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためにな
されたもので、水質変動等にも充分対応できる水処理施
設の撹拌機制御装置を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的を達成した本発明に係る水処理施設の撹拌機
制御装置は、原水に薬品を注入して急速撹拌した後、フ
ロック形成池にて緩速撹拌機をもって緩速撹拌させるこ
とによりフロックを形成・成長させ、沈澱池にて沈澱さ
せるせる水処理施設において、沈澱池に沈澱し分布した
汚泥の分布状態を検出する汚泥分布検出器と、前記緩速
撹拌機の出力エネルギ検出する撹拌エネルギ検出器と、
該汚泥分布検出器及び該撹拌エネルギ検出器からの信号
を取り込み、その汚泥分布検出器からの検出信号に応じ
た運転パターンを選択し、その緩速撹拌機の出力エネル
ギを基にその緩速撹拌機が運転パターンに一致するよう
に駆動制御するコントローラとからなることを特徴とす
るものである。
〔作用〕
上述のように構成されているので、沈澱池に沈澱し分
布した汚泥の分布状態を汚泥分布検出器により検出し、
これを前記コントローラに取り込む。前記コントローラ
は、その汚泥の分布状態から最も望ましい運転パターン
を選択し、これをもって緩速撹拌機を運転するが、その
運転パターンに緩速撹拌機が現実に一致して運転される
ように該撹拌エネルギ検出器からの検出信号をフィード
バックしている。
本発明は次の理論によりなされたものである。
即ち、凝集(フロキュレーション)は、粒子が互いに
衝突を繰り返し、結合し、成長してゆくことにより、行
われる。この凝集(フロキュレーション)を行わせるた
めには、撹拌エネルギを与える必要がある。言い換えれ
ば、撹拌エネルギを与えなければ、粒子が互いに衝突を
繰り返すことがなく、凝集(フロキュレーション)が行
われないことになる。したがって、適度な撹拌エネルギ
を与えることがある。
また、フロック形成・成長は、粒子の衝突回数に関連
する。この粒子の衝突回数は撹拌エネルギに関係するの
で、撹拌エネルギをフロックの形成・成長に応じて制御
するようにしたのが本発明である。それでは、その理論
を説明する。
フロック形成・成長の理論式は、 =n2・d3・G ……(3) N;粒子の衝突回数、 n;粒子数、 d;粒子径、 φm;撹拌エネルギ μ;粘性 で表される。また、一般的に、G=75〜10といわれてい
る。
ところで、緩速撹拌機は、通常、フロック形成池に2
〜4段設置されている。また、このフロック形成池に流
入する原水の初期の粒子数n、粒子径dは、前段の薬品
注入量、原水水質により決定される。そして、フロック
形成池の緩速撹拌機の各段階にてフロックが形成され、
粒子数nが減少し、粒子径dが大きくなる。したがっ
て、各段で望ましい衝突回数Nを与えるには、各段で必
要充分な撹拌エネルギφを与えてやればよい。つま
り、各段の望ましい衝突回数Nは粒子数nが減少し、粒
子径dが大きくなることから、撹拌エネルギφを緩速
撹拌機の各段で変動させる必要がある。
ここで、φ′を緩速撹拌機の後段側のエネルギと
し、φを緩速撹拌機の前段側のエネルギとし、また、
G=75〜10を仮に三段階に分けると、 1段目 G=75〜50 2段目 G=50〜30 3段目 G=30〜10 となり、第1段目の撹拌エネルギφm-1とすると、
(4)式より、 第2段目 φm-2=0.36〜0.16φm-1 第3段目 φm-3=0.36〜0.04φm-2 となる。これより、φ′/φ=0.3〜0.1が求まるこ
とになる。
そして、上記式より、φ′/φ=0.3〜0.1とし、
また、撹拌エネルギφは緩速撹拌機の駆動機トルクが
撹拌エネルギに比例することが分かっているから、該駆
動機トルクをフィードバックすることにより、運転状態
を維持する。
そして、初期流入の変動は、沈澱池内堆積分布を検知
することにより、第1段目の撹拌エネルギφを決定す
ればよい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明の実施例を示す構成図である。
第1図において、フロック形成池1の下流には、沈澱
池2が設けられている。この沈澱池2の下流には、濾過
池3が設けられている。該フロック形成池1の上流側に
撹拌池4が設けられていて、この撹拌池4において薬品
注入装置5からの薬品と注入される原水とを急速撹拌機
6をもって撹拌し、その撹拌した液をフロック形成池1
に供給できる構成としてある。該フロック形成池1は3
段に分離れており、各段に駆動機7a,7b,7cでそれぞれ回
転する緩速撹拌機8a,8b,8cが設けられている。各駆動機
7a,7b,7cには、前記緩速撹拌機の出力エネルギ検出する
撹拌エネルギ検出器としてのトルク検出器9a,9b,9cがそ
れぞれ取り付けられている。上記各駆動機7a,7b,7cは、
コントローラ10により回転駆動されるようにしてあり、
このコントローラ10には、前記トルク検出器9a,9b,9c
と、沈澱池2に沈澱し分布した汚泥の分布状態を検出す
る汚泥分布検出器12とが接続されている。このコントロ
ーラ10は、該汚泥分布検出器12と、該撹拌エネルギ検出
器としてのトルク検出器9a,9b,9cとからの信号をそれぞ
れ取り込み、その汚泥分布検出器12からの検出信号に応
じた運転パターンを選択し、そのトルク検出器9a,9b,9c
からの信号である緩速撹拌機8a,8b,8cからの出力エネル
ギを基にその緩速撹拌機8a,8b,8cが運転パターンに一致
するように駆動制御する構成としてある。即ち、前記コ
ントローラ10は、該汚泥分布検出器12からの信号を取り
込み、その検出状態に応じた運転パターンを選択する選
定器101と、前記選定器101から与えられた運転パターン
による緩速撹拌機8a,8b,8cの駆動速度指令と、撹拌エネ
ルギ検出器としてのトルク検出器9a,9b,9cからの緩速撹
拌機8a,8b,8cのエネルギとを比較し、緩速撹拌機8a,8b,
8cの速度が該駆動速度指令に一致するように駆動制御す
る速度設定器102a,102b,102cとからなる。また、運転パ
ターンを選択する選定器101は、汚泥の分布が第2図に
示すようにケースA,B,Cの如く分布しているときに、例
えば、第1表のように運転パターンを定めておくものと
する。
この表において、ケースAが一番形成不良であり、ケ
ースBがついで形成不良であり、ケースCが一番形成良
好である。このようにケースC〜ケースAのような状態
になるのは、薬注率等に問題がないとすれば、撹拌不足
ということになり、各段の撹拌エネルギを上昇させてや
る必要がある。したがって、格段のエネルギ比φ′/
φ(第1段から第3段までの全エネルギ)をケースA
からケースCに向かうにつれて下降させているのであ
る。
また、汚泥分布検出器12は、例えば自動汚泥界面計を
沈澱池2内に複数台設置するか、または水中テレビカメ
ラを沈澱池2内に設置し、該自動汚泥界面計からの汚泥
の分布状態に関する情報を得るか、水中テレビカメラか
らの映像情報を画像処理して汚泥の分布状態に関する情
報を得るかすればよい。尚、自動汚泥界面計は、超音波
の減衰量が汚泥量の変化に対して比例するということを
応用したもので、超音波送受信子により濃度を測定して
出力する手段と、この超音波送受信子を昇降させるとと
もに、この超音波送受信子の位置を測定して出力する手
段とからなるものとして提供されている。
次に、本実施例の作用を説明する。
沈澱池2に沈澱し分布した汚泥の分布状態を汚泥分布
検出器12により検出し、これを前記コントローラ10に取
り込む。前記コントローラ10内の選定器101は、該汚泥
分布検出器12から取り込んだ信号を基に、第2図の如く
分布した汚泥の検出状態に応じて第1表の如く運転パタ
ーンを選択する。前記選定器101から出力される運転パ
ターンは、緩速撹拌機8a,8b,8cの駆動速度指令として速
度設定器102a,102b,102cに与えられる。各速度設定器10
2a,102b,102cは、前記駆動速度指令と、トルク検出器9
a,9b,9cからの緩速撹拌機8a,8b,8cのエネルギとを比較
し、緩速撹拌機8a,8b,8cの速度が該駆動速度指令に一致
するようにそれぞれ駆動制御する。これは、第2図の如
き汚泥の分布状態から最も望ましい運転パターンを第1
表から選択し、これをもって緩速撹拌機8a,8b,8cを運転
するが、その運転パターンに緩速撹拌機8a,8b,8cが現実
に一致して運転されるように該トルク検出器9a,9b,9cか
らの検出信号をフィードバックしているという作用をさ
せているのである。
本実施例では、凝集(フロキュレーション)の滞留時
間(R.T)が20分〜40分、沈澱池2の滞留時間(R.T)が
60分〜240分程度のサイクルで運転応答が出るものであ
るので、その制御時間を、上記滞留時間(R.T)以上の
サイクルとすれば充分であり、逆に、上記滞留時間(R.
T)以内のサイクルにすると、制御できないことがあ
る。
上記実施例では、緩速撹拌機8a,8b,8cを3段とした
が、これに限定されるものではなく、緩速撹拌機8を2
段〜6段のいずれにしてもよく、また運転パターンは何
種類でもよい。
尚、本実施例により、従来、運転指標を持たずに運転
していた緩速撹拌機8の運転をより効果的に実施するこ
とができる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明によれば、フロック形成池
での緩速撹拌機の緩速撹拌を、沈澱池での沈澱状態に応
じて変更できるので、緩速撹拌機の運転をより効果的に
実施することができ、フロック形成が確実となるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す構成図、第2図は沈澱池
での沈澱状態を示す説明図である。 1……フロック形成池、2……沈澱池、3……濾過池、
4……撹拌池、5……薬品注入装置、6……急速撹拌
機、7a,7b,7c……駆動機、8a,8b,8c……緩速撹拌機、9
……トルク検出器(撹拌エネルギ検出器)、10……コン
トローラ、12……汚泥分布検出器、101……選定機、102
a,102b,102c……速度設定機。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原水に薬品を注入して急速撹拌した後、フ
    ロック形成池にて緩速撹拌機をもって緩速撹拌させるこ
    とによりフロックを形成・成長させ、沈澱池にて沈澱さ
    せるせる水処理施設において、沈澱池に沈澱し分布した
    汚泥の分布状態を検出する汚泥分布検出器と、前記緩速
    撹拌機の出力エネルギを検出する撹拌エネルギ検出器
    と、該汚泥分布検出器及び該撹拌エネルギ検出器からの
    信号を取り込み、その汚泥分布検出器からの検出信号に
    応じた運転パターンを選択し、その緩速撹拌機の出力エ
    ネルギを基にその緩速撹拌機が運転パターンに一致する
    ように駆動制御するコントローラとからなることを特徴
    とする水処理施設の撹拌機制御装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、前記コン
    トローラは、該汚泥分布検出器からの信号を取り込み、
    その検出状態に応じた運転パターンを選択する選定器
    と、前記選定器から与えられた運転パターンによる緩速
    撹拌機の駆動速度指令と、撹拌エネルギ検出器からの緩
    速撹拌機のエネルギとを比較し、緩速撹拌機の速度が該
    駆動速度指令に一致するように駆動制御する速度設定器
    とからなることを特徴とする水処理施設の撹拌機制御装
    置。
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