JP2580235Y2 - 真空乾燥装置 - Google Patents

真空乾燥装置

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JP2580235Y2
JP2580235Y2 JP3245193U JP3245193U JP2580235Y2 JP 2580235 Y2 JP2580235 Y2 JP 2580235Y2 JP 3245193 U JP3245193 U JP 3245193U JP 3245193 U JP3245193 U JP 3245193U JP 2580235 Y2 JP2580235 Y2 JP 2580235Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、洗浄後の精密電子部
品、金属部品、プラスチック成形部品等を乾燥させるた
めの真空乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、精密電子部品、金属部品、プラス
チック成形部品等の洗浄にフロン−113や1,1,1
−トリクロロエタン等の洗浄剤が使用されていたが、近
年、オゾン層破壊や人体への影響の問題により、上記洗
浄剤の使用が制限され、代替洗浄剤による洗浄に移行し
つつある。代替洗浄剤としては、水系、アルコール系あ
るいは炭化水素系のものが使用されているが、特に水系
洗浄剤にあっては、気化し易いフロン−113や1,
1,1−トリクロロエタンと違って、純水または市水に
よるすすぎ工程が必要であるため、その後の乾燥工程に
時間がかかるという問題があった。
【0003】そこで、乾燥工程の時間短縮のため真空乾
燥法が考えられているが、この方法では被乾燥物への水
分の付着量が多いため、水分の付着を極力少なくするた
めに、水切りとしてバスケット部材を設けた遠心脱水式
真空乾燥装置が用いられていた。なお、水分の乾燥に
は、蒸発に必要な熱の供給が必要であるため上記装置内
のバスケット部材の上方にヒータが内蔵されていた。ま
た、水分の乾燥には被乾燥物のもっている熱容量も利用
されていた。
【0004】この種の真空乾燥装置の例として図2に示
すようなものがある。この真空乾燥装置は、槽10と、
ヒータ20と、遠心脱水機構30と、真空ポンプ40か
ら概略構成されている。上記槽10は、後述するバスケ
ット部材を収容するための収容部11と開閉自在の密閉
蓋12とからなり、この槽10内にはこれら収容部11
と密閉蓋12とによって空隙部10aがつくられてい
る。上記収容部11の底部11aには、水分を槽10の
外部へ排出するための排水管13が接続されており、こ
の排水管13には第一開閉バルブ14が設けられてい
る。また、この収容部11には、上記空隙部10aにリ
ークガスを供給するためのリーク管15が接続されてお
り、このリーク管15にはリークバルブ16が設けられ
ている。上記ヒータ20は、上記空隙部10aに熱を供
給するためのものであり、槽10内の後述するバスケッ
ト部材の上方に設けられている。
【0005】上記遠心脱水機構30は、槽10の外部に
ある駆動モータ31と、駆動モータ31で回動する回転
軸32と、この回転軸32と接続された槽10内にある
バスケット支持体33と、水分が付着した被乾燥物を入
れるためのバスケット部材34から構成されている。こ
のような遠心脱水機構30は、駆動モータ31を駆動さ
せると回転軸32が回動し、この回転軸32と一緒にバ
スケット支持体33も回動するようになっているので、
バスケット支持体33上にバスケット部材34を置いた
後、固定しておくと、このバスケット部材34も回動す
る。上記真空ポンプ40は、上記空隙部10aに満たさ
れた気体を排気するためのものであり、この真空ポンプ
40と上記収容部11とは排気管41を介して接続され
ている。この排気管41には第二開閉バルブ42が設け
られている。
【0006】このような真空乾燥装置を用いて被乾燥物
に付着した水分を乾燥させるには、まず、密閉蓋12、
第一開閉バルブ14、リークバルブ16、第二開閉バル
ブ42を閉にして槽10内の空隙部10aを気密にして
おく。次いで、ヒータ20により槽10内の空隙部10
aを加熱する。次いで、密閉蓋12を開け、水分が付着
した被乾燥物50が入れられたバスケット部材34をバ
スケット支持体33上に置いた後、固定する。次いで、
密閉蓋12を閉め、第一開閉バルブ14を開にした後、
駆動モータ31を駆動させてバスケット部材34を回動
させ遠心脱水する。ここで脱水された水分は排水として
排水管13より外部へ排水される。この後、第一開閉バ
ルブ14を閉にし、一方第二開閉バルブ42を開にし、
真空ポンプ40を作動させ、槽10内の空隙部10aに
満たされた気体を排気管41から排気して空隙部10を
高真空状態にし、上記被乾燥物50に付着している残留
水分を蒸発、乾燥させる。最後に、第二開閉バルブ42
を閉にし、一方、リークバルブ16を開にし、大気をリ
ーク管15から槽10内の空隙部10aに導入すること
によって高真空状態を破り、密閉蓋12を開け、被乾燥
物50が入れられたバスケット部材34を取り出す。
【0007】ところで、従来の真空乾燥装置にあって
は、槽10内のバスケット部材34の上方のみにヒータ
20が設けられていることから、被乾燥物50のヒータ
20に面しない部分にまで熱を短時間で供給することが
できず、被乾燥物50に付着した水分を乾燥するため真
空引きを長時間行わねばならず、乾燥工程の時間短縮と
いう目的を達成することができなかった。このため、被
乾燥物に付着した水分の蒸発に必要な熱を十分供給する
には、予め被乾燥物50自体を加熱して挿入前温度をか
なり高くしておくことが必要であった。また、槽10内
の空隙部10aの高真空状態を破るためにリーク管15
から大気を導入するため、錆び易い金属を乾燥する用途
には不向きであった。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】 本考案は、上記事情
に鑑みてなされたもので、被乾燥物の挿入前温度をそれ
ほど高くしなくても乾燥が可能であり、かつ被乾燥物に
付着している水分量が多くても乾燥工程の時間短縮がで
き、錆び易い金属を乾燥する用途にも使用可能な真空乾
燥装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本考案の請求項1記載の
真空乾燥装置では、開閉自在の密閉蓋を有する槽内に、
被乾燥物を収容し回動可能に配されたバスケット部材を
設けてなり、かつ上記槽に該槽内を排気する真空ポンプ
を設けてなるとともに、上記バスケット部材を囲繞して
少なくともこれを100℃以上に加熱する加熱手段を配
してなることを上記課題の解決手段とした。
【0010】また、請求項2記載の真空乾燥装置では、
上記請求項1記載の真空乾燥装置において、上記槽に該
槽内に連通する不活性ガス供給管を配してなることを上
記課題の解決手段とした。
【0011】
【作用】請求項1記載の真空乾燥装置にあっては、バス
ケット部材を囲繞して少なくともこれを100℃以上に
加熱する加熱手段を配したことより、該加熱手段によっ
て上記バスケット部材を100℃以上に加熱しておく
と、バスケット部材により脱水された水分が加熱されて
蒸発し加熱水蒸気となって槽内に充満するので、被乾燥
物に加熱されない部分が生じることが少なく、被乾燥物
に付着した水分の蒸発に必要な熱が被乾燥物に十分供給
される。
【0012】また、請求項2記載の真空乾燥装置にあっ
ては、上記請求項1記載の真空乾燥装置において、上記
槽に該槽内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供
給管を配したことにより、槽内の高真空状態を破るため
に大気に代えて不活性ガスを導入することができるた
め、被乾燥物が錆び易い金属である場合、この被乾燥物
の酸化の防止が可能である。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例を詳細
に説明する。図1は、本考案の真空乾燥装置の一実施例
を示すもので、この真空乾燥装置が図2に示した従来の
真空乾燥装置と異なるところは、従来の真空乾燥装置は
槽10内のバスケット部材34の上方のみにヒータ20
が設けられ、バスケット部材34を収容する収容部11
にリーク管15が接続され、かつ収容部11の底部11
aに排水管13が接続されたのに対し、槽10内にヒー
タ20を設けることなく、収容部11にリーク管15お
よび排水管13を接続することなく、収容部11の外周
にヒータ(加熱手段)70を設け、かつ収容部11に不
活性ガス供給管85を接続した点である。
【0014】上記ヒータ70は、収容部11の壁面80
を100℃以上、好ましくは100〜300℃に加熱可
能なものであり、収容部11の外壁面80a上にバスケ
ット部材34を囲繞するように取り付けられている。こ
のヒータ70に電源を供給すると収容部11の壁面80
が熱せられる。ヒータ70が収容部11の壁面80を1
00℃以上に加熱できないと、バスケット部材34によ
り脱水された水分が収容部11の内壁面80bにぶつか
ったときに、蒸発しにくく、槽10内の空隙部10aに
充満する加熱水蒸気量が少なくなるため、被乾燥物に付
着した水分の蒸発に必要な熱を被乾燥物に十分供給する
ことができない。一方、壁面80を300℃を超えて加
熱しても、壁面80を加熱することにより生じる効果が
頭うちとなるため不経済である。このようなヒータ70
が設けられる収容部11は、ヒータ70により効率よく
熱せられるようにするため、熱伝導率が大きい材料から
構成されたものであることが好ましい。このようなヒー
タ70が設けられた真空装置には、加熱効率をよくする
ために、ヒータ70が取付られた収容部11が保温材で
包囲されている。
【0015】上記不活性ガス供給管85は、槽10内の
空隙部10aに不活性ガスを供給するためのものであ
り、第三開閉バルブ86が設けられている。この不活性
ガス供給管85から供給するガスとしては、N2ガス、
CO2ガスなどの不活性ガスが用いられる。尚、被乾燥
物50が錆びにくい金属である場合には、上記不活性ガ
ス供給管85から供給するガスとしては、不活性ガスに
代えて大気等が用いられる。
【0016】次に、図1に示した真空乾燥装置を用いて
被乾燥物に付着した水分を乾燥する方法の一例を説明す
る。ここでは、被乾燥物が錆び易い金属である場合につ
いて述べる。まず、密閉蓋12、第二開閉バルブ42、
第三開閉バルブ86を閉にして槽10内の空隙部10a
を気密にしておく。次いで、ヒータ70に電源を供給
し、収容部11の壁面80を100℃以上、好ましくは
100〜300℃に加熱する。次いで、密閉蓋12を開
け、水分が付着した被乾燥物50が入れられたバスケッ
ト部材34をバスケット支持体33上に置いた後、固定
する。次いで、密閉蓋12を閉め、駆動モータ31を駆
動させてバスケット部材34を回動させ遠心脱水する。
ここで脱水された水分は収容部11の内壁面80bにぶ
つかり、加熱されて蒸発し加熱水蒸気となって空隙部1
0aに充満し、被乾燥物50を加熱する。この後、第二
開閉バルブ42を開にし、真空ポンプ40を作動させ、
槽10内の空隙部10aに満たされた気体を排気管41
から排気して空隙部10を高真空状態にし、上記被乾燥
物50に付着している残留水分を蒸発、乾燥させる。最
後に、第二開閉バルブ42を閉にし、一方、第三開閉バ
ルブ86を開にし、不活性ガスを不活性ガス供給管85
から槽10内の空隙部10aに導入することによって高
真空状態を破り、密閉蓋12を開け、被乾燥物50が入
れられたバスケット部材34を取り出す。なお、被乾燥
物50の槽10内への挿入前に、槽10内の空隙部10
を予め不活性ガスで満たしておくと、防錆び効果がより
期待できる。上記乾燥方法では、被乾燥物50が錆び易
い金属である場合について説明したが、被乾燥物50が
錆びにくい材料からなる場合には、不活性ガス供給管8
5から供給されるガスは大気であってもよい。
【0017】実施例の真空乾燥装置は、ヒータ70が収
容部11の外壁面80a上にバスケット部材34を囲繞
するように取り付けられたものであるので、該ヒータ7
0によって上記収容部11の壁面80を100℃以上に
加熱しておくと、バスケット部材34により脱水された
水分が収容部11の内壁面80bにぶつかったときに、
加熱されて蒸発し加熱水蒸気となって空隙部10aに充
満するので、被乾燥物50に加熱されない部分が生じる
ことが少なく、被乾燥物50に付着した水分の蒸発に必
要な熱が被乾燥物50に十分供給され、従って被乾燥物
の挿入前温度が比較的低くても乾燥が可能であり、かつ
被乾燥物に大量の水分が付着していても乾燥が可能であ
り、しかも乾燥工程の時間短縮が可能である。また、槽
内にヒータを設ける従来の真空乾燥装置と比べてヒータ
配線の作業に手間がかからないため、製造が容易であ
り、また、ヒータ70を収容部11の外壁面80a上に
取り付けた分、被乾燥物を収容するスペースが広くな
り、処理量が大きくなる。さらに、不活性ガス供給管8
5が収容部11に接続したものであるので、槽10内の
高真空状態を破るために大気に代えて不活性ガスを導入
することができるので、被乾燥物50が錆び易い金属で
ある場合、この被乾燥物50の酸化を防止することがで
き、従って錆び易い金属を乾燥する用途にも使用可能で
ある。また、上記実施例においてはヒータ70を取り付
ける位置が収容部11の外壁面80a上である場合につ
いて説明したが、必ずしもこの限りでなくバスケット部
材34を囲繞して少なくともこれを100℃以上に加熱
可能な位置であればよく、また、密閉蓋12の外側表面
にもヒータ70が取り付けられていてもよい。
【0018】(試験例1) 図1と同様の真空乾燥装置
を用意した。そして、内径400mm、高さ500mm
の収容部11(内容積90リットル)に、水分が付着し
た被乾燥物50(外径5mm、長さ5mmのステンレス
鋼短管)をバスケット部材34に入れ、真空乾燥実験を
以下の条件で行った。 被乾燥物重量(絶乾) 5kg 付着水分量 1kg 収容部の壁面温度 200℃ 被乾燥物の槽内への挿入前温度 30℃ バスケット部材回転数 300rpm 遠心脱水時間 30秒間 真空排気時間 3分間 本真空乾燥実験における乾燥の操作は、上記実施例で説
明した乾燥方法に従って行い、被乾燥物50の乾燥状態
を観察した。ここでは槽10の空隙部10aの高真空状
態を破るために不活性ガス供給管85から大気を供給し
た。その結果、被乾燥物50は全て水分の付着はなく、
乾燥していた。被乾燥物50の遠心脱水後、真空排気前
の温度は、約70℃まで上昇していた。真空排気後は素
手で触れる程度まで冷却されていた。
【0019】(試験例2) 図1と同様の真空乾燥装置を用意した。そして、内径4
00mm、高さ500mmの収容部11(内容積90リ
ットル)に、水分が付着した被乾燥物50(重量約1k
g、幅30mm、高さ40mm、長さ100mmの純鉄
製磁気ヘッド)6個をバスケット部材34に入れ、真空
乾燥実験を以下の条件で行った。 被乾燥物重量(絶乾) 約6kg(6個) 付着水分量 300g 収容部の壁面温度 200℃ 被乾燥物の槽内への挿入前温度 50℃ バスケット部材回転数 200rpm 遠心脱水時間 30秒間 真空排気時間 2分間 本真空乾燥実験における乾燥の操作は、上記実施例で説
明した乾燥方法に従って行い、被乾燥物50の乾燥状態
を観察した。ここでは槽10の空隙部10aの高真空状
態を破るために不活性ガス供給管85から不活性ガス
(N2ガス)を供給した。その結果、被乾燥物50は全
て水分の付着はなく、乾燥していた。また、被乾燥物5
0には錆の発生はなかった。錆の発生を防止できたの
は、槽10内の空隙部10aに不活性ガス(N2ガス)
を供給したためである。
【0020】
【考案の効果】以上説明したように請求項1記載の真空
乾燥装置は、バスケット部材を囲繞して少なくともこれ
を100℃以上に加熱する加熱手段を配したものである
ので、該加熱手段によって上記バスケット部材を100
℃以上に加熱しておくと、バスケット部材により脱水さ
れた水分が加熱されて蒸発し加熱水蒸気となって槽内に
充満するので、被乾燥物に加熱されない部分が生じるこ
とが少なく、被乾燥物に付着した水分の蒸発に必要な熱
が被乾燥物に十分供給され、従って被乾燥物の挿入前温
度が比較的低くても乾燥が可能であり、かつ被乾燥物に
大量の水分が付着していても乾燥が可能であり、しかも
乾燥工程の時間短縮が可能である。
【0021】また、請求項2記載の真空乾燥装置は、槽
に該槽内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給
管を配したものであるので、槽内の高真空状態を破るた
めに大気に代えて不活性ガスを導入することができるた
め、被乾燥物が錆び易い金属である場合、この被乾燥物
の酸化を防止することができ、従って錆び易い金属を乾
燥する用途にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の真空乾燥装置の一実施例を示した概
略構成図である。
【図2】 従来の真空乾燥装置の例を示した概略構成図
である。
【符号の説明】
1・・・槽、34・・・バスケット部材、40・・・真空ポン
プ、50・・・被乾燥物、70・・・ヒータ(加熱手段)、8
5・・・不活性ガス供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山田 要輔 千葉県船橋市二和東6−32−5 株式会 社 全研内 (72)考案者 大神 充弘 千葉県船橋市二和東6−32−5 株式会 社 全研内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F26B 5/04 F26B 5/08

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開閉自在の密閉蓋を有する槽内に、被乾
    燥物を収容し回動可能に配されたバスケット部材を設け
    てなり、かつ前記槽に該槽内を排気する真空ポンプを設
    けてなるとともに、前記バスケット部材を囲繞して少な
    くともこれを100℃以上に加熱する加熱手段を配して
    なることを特徴とする真空乾燥装置。
  2. 【請求項2】 前記槽に該槽内に連通する不活性ガス供
    給管を配してなることを特徴とする請求項1記載の真空
    乾燥装置。
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