JP2579920B2 - 基板処理方法 - Google Patents

基板処理方法

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JP2579920B2
JP2579920B2 JP61307659A JP30765986A JP2579920B2 JP 2579920 B2 JP2579920 B2 JP 2579920B2 JP 61307659 A JP61307659 A JP 61307659A JP 30765986 A JP30765986 A JP 30765986A JP 2579920 B2 JP2579920 B2 JP 2579920B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、有機薄膜を選択的に累積形成するための基
板処理方法に関する。
(従来の技術) 近年、有機薄膜を利用した電気的および光学的素子の
開発研究が活発化している。有機薄膜の形成方法として
は、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)が注目され
ている。LB法により作られた薄膜(LB膜)は1層当たり
20〜50Åと非常に薄いため、微細構造のMIS(金属−絶
縁膜−半導体)やMIM(金属−絶縁膜−金属)などの構
造をもつ素子の絶縁膜として応用されようとしている。
また、LB膜の電気的または光学的性質を利用した各種素
子への応用も研究されている。
LSI(大規模集積回路)の微細素子にLB膜を応用する
場合、LB膜の微細加工技術が不可欠となる。従来、有機
薄膜の微細加工技術としては、光二量化或いは光重合性
LB膜分子を用いた光写真食刻技術が考えられている。し
かしこの方法は有機材料特性を利用するものであるた
め、用いることのできる有機分子材料が大きく限定され
る。
(発明が解決しようとする問題点) 以上のように従来、有機薄膜の素子応用に際してその
微細加工が望まれながら、あらゆる有機分子に対応でき
る微細パターン形成法がない、という問題があった。
本発明はこの様な問題を解決して、あらゆる有機分子
に対応できて、有機薄膜の微細パターンを簡単に形成す
ることを可能とした基板処理方法を提供することを目的
とする。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 本発明に係る基板処理方法は、基板を第1の表面処理
剤により表面処理し、次いでレジストを用いたリソグラ
フィにより前記第1の表面処理剤の一部を選択的に除去
し、次いでレジスト開口に露出した基板面およびレジス
ト面をこれらに物理吸着する第2の表面処理剤で表面処
理し、次いで前記レジストを除去することにより、前記
第1、第2の表面処理剤でそれぞれ表面処理された領域
の一方に水面上に展開した単分子膜が累積しない累積不
能領域、他方に前記単分子膜が累積する累積可能領域を
形成することを特徴とする。
ここで累積可能領域とは、換言すれば親水性処理また
は疎水性処理がなされた領域である。疎水性処理がされ
た領域は基板を水面に対してほぼ垂直に下降させて水槽
に浸漬する際に第1層目の単分子膜が付着する。親水性
処理がなされた領域は浸漬した基板を引上げる際に第1
層目の単分子膜が付着する。累積不能領域とは、基板の
浸漬時,引上げ時いずれにおいても単分子膜の累積がで
きないような表面処理がなされた領域をいう。後に詳細
に説明するように、この様な累積不能領域が所定の表面
処理により形成される、という点が本発明者らが発見し
た新規な事実であり、本発明はこの事実を利用したもの
である。
累積可能領域、累積不能領域の具体的な形成方法は以
下の通りである。一つの方法は、基板全面を先ず第1の
表面処理剤により表面処理して累積可能または累積不能
領域とする。そしてレジストを用いたリソグラフィによ
り第1の表面処理剤を選択的に除去して露出させた基板
面を第2の表面処理剤により表面処理して累積不能領域
または累積可能領域にする。この場合、レジスト開口の
基板面を表面処理する方法としては、物理吸着を利用し
て不要な第2の表面処理剤をレジストと共にリフトオフ
する方法、或いはレジスト開口にのみ選択的に化学吸着
を利用して第2の表面処理剤を吸着させる方法等があ
る。またある種の表面処理剤を用いれば、処理時間を選
ぶことにより表面を累積不能状態にも累積可能状態にも
設定することができる。従って一種の表面処理剤で選択
累積が可能な基板を得ることができる。更に、最初にレ
ジストパターンを基板上に形成し、その開口部に第1の
表面処理剤で表面処理を施し、レジストを除去して露出
した基板面を第2の表面処理剤で表面処理してもよい。
また基板面が既に親水性である場合には、その表面を選
択的に表面処理して累積不能領域とすれば、一回の表面
処理剤の使用で選択的に累積可能な基板が得られる。更
にまた、基板面を全面表面処理した後、その表面処理剤
を選択的に除去する方法としては、レジストを用いなく
ても、エネルギービームによる直接描画で行うことが可
能である。
(作用) 本発明による基板処理方法を用いることにより、有機
薄膜の選択的な累積が可能になる。有機薄膜を基板全面
に累積形成した後、この有機薄膜を所定のパターンに形
成する従来法では有機薄膜の材料が限定されるが、本発
明によれば表面処理剤の選択により、任意の有機薄膜の
選択累積が可能であり、微細パターンの形成も可能であ
る。
(実施例) 具体的な実施例の説明に入る前に、本発明の前提とな
る実験事実とその解析結果を詳細に説明する。水面上に
有機単分子膜を形成し得る分子(LB膜分子)は、一端に
疎水基,他端に親水基を有する構造をとる界面活性剤で
ある。このLB膜分子からなる単分子膜を展開した水槽
に、種々の接触角θを示す表面をもつ基板を浸漬し或い
は引上げて累積膜の面積と基板の面積の比で表わされる
累積比を調べると、全てのLB膜分子について、第9図
(a)或いは(b)のようになる。
ここで接触角θとは、第10図(a)(b)に示すよう
に、純水に基板を垂直に浸けた状態でできるメニスカス
水面と基板との接点を通る水面に対する接線と、基板と
がなす水側の角度である。接触角θおよびその測定法に
関しては、例えば新実験化学講座vol.18の“界面とコロ
イド”(p93〜106)に詳細に述べられている。これに記
載されている測定法以外に例えば、メニスカスの高さを
測定して理論式よりθを求める方法、基板を傾けてメニ
スカスが水面と同じ水平面になる時の基板の傾斜角を求
める方法、水平において基板上に水滴をたらし、その水
滴表面と基板との間のなす角を測定する方法等、いずれ
の方法によってもよい。いずれの方法によって得られる
接触角も上記定義の接触角と基本的に同じである。
第9図によれば、基板の水槽から引上げる際に単分子
膜の累積を行う場合、累積可能な接触角θの範囲は
(a)に示すようにθ=0゜からある上限の臨界接触角
θの間に限られる。この基板引上げ時の累積における
臨界接触角θはLB膜分子の親水基の種類により異なる
が、決して90゜を越えることはない。基板を下降して水
槽に浸漬する際も、累積可能な接触角の範囲は(b)に
示すようにある下限の臨界接触角θから180゜の間に
限られる。この基板引下げ時の臨界接触角θは、おお
むね90゜である。そうすると、基板引上げ時の累積にお
ける臨界接触角θは基板引下げ時の累積における臨界
接触角θを越えることはないから、基板を上昇,下降
いずれの方向に移動しても単分子膜が累積しない,累積
比0の接触角領域が存在する。基板のある領域を所定の
表面処理によりこの様な累積比0の接触角になるように
設定すると、この領域は単分子膜の累積不能領域とな
る。
また基板表面の中で単分子膜を累積させたい領域の接
触角を、0゜から基板引上げ時の臨界接触角θの間、
または基板浸漬時の臨界接触角θから180゜の間のい
ずれかに設定することにより、この領域を単分子膜の累
積可能領域とすることができる。前者の接触角条件で
は、水面上の単分子膜の第1層目の累積を基板を引上げ
る際に行う。後者の接触角の条件では逆に、基板を引下
げる際に第1層目の累積を行う。
第11図および第12図により、本発明による基板での単
分子膜累積の様子を説明する。第11図(a)は、基板1
の表面が基板引上げ時に単分子膜が累積する累積可能領
域2と累積不能領域3とにパターン形成されている様子
を示す。この様な表面処理がなされた基板を用いると、
第11図(b)に示すようにこれを単分子膜4が展開され
た水槽に浸漬して引上げる際に第1層目の単分子膜が累
積される。第1層目が累積された領域の表面は疎水基が
露出しているから、この領域は基板の引下げ時に累積が
可能な接触角の範囲に入っており、従って次に基板を水
槽に浸漬する際に第2層目の単分子膜が累積される。こ
の基板を再度引上げると、(c)に示すように第3層目
の単分子膜の累積が行なわれる。以後、基板の浸漬,引
上げを繰返す毎に単分子膜の累積が行なわれる。
第12図(a)は、基板1の表面が、累積不能領域3と
基板引下げ時に単分子膜が累積する累積可能領域5とに
パターン形成されている場合である。この場合は第12図
(b)に示すように、最初の基板浸漬時に単分子膜の第
1層目の累積が行なわれる。この第1層目が累積された
領域は親水基が露出しているため、基板引上げ時に累積
可能な接触角範囲になっているから、基板を引上げると
第2層目が累積され、次いで再び基板を浸漬すると第12
図(c)に示すように第3層目が累積される。
以上のように基板表面に適当な表面処理により累積可
能領域と累積不能領域をパターン形成しておくことによ
り、基板上への選択的な単分子膜の累積が可能になる。
本発明に用いる表面処理剤としては、基板引下げ時の
累積に対する臨界接触角より大なる接触角を与えるもの
として、ビス(トリメチルシリル)アミンやメチルクロ
ロシランに代表されるシラン・カップリング剤例えば、
次のようなものが挙げられる。
ここで、XはCl-またはBr-であり、R1,R2,R3は CH3−,CH3CH2−, 等である。
基板引下げ時の累積に対する臨界接触角より小さく、
基板引上げ時の累積に対する臨界接触角より大きい接触
角を与えるもの、即ち累積不能領域を形成するような表
面処理剤としては、次のようなものが挙げられる。
ここで、XはCl-またはBr-であり、R1,R2,R3はエーテ
ル基,エステル基,水酸基,アミノ基,アミド基,イミ
ド基,尿素基,ウレタン基のいずれか一つ或いは複数個
を有する有機官能基である。
ところで、表面処理剤としてビス(トリメチルシリ
ル)アミンを用いる場合、その常温における飽和蒸気相
中での基板との反応時間により、接触角の制御が可能で
ある。第13図はその実験データを示す。これは、熱酸化
膜が形成され親水性処理がなされたシリコン基板に、こ
の表面処理剤により処理を行った場合の処理時間と得ら
れる表面の接触角の関係を測定した結果である。つまり
この表面処理剤を用いれば、処理時間を選択することに
よって、表面を親水性の状態から累積不能状態、更に疎
水性の状態まで任意に設定することができる。
本発明に用いる基板は、半導体,金属その他各種無機
或いは有機材料、これらの混合材料からなるものを用い
ることができる。素子形成のために既に何らかの加工処
理が施されている基板でも勿論よい。
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
第1図(a)〜(e)は一実施例による基板の処理工
程を示す。これらの図において、11はシリコン・ウェー
ハであり、その表面には熱酸化膜が形成され、更に酸処
理により完全に親水性化されている。このときこのウェ
ーハの純水に対する接触角は0゜である。このウェーハ
を先ず、スピンナーにより脱水し、100℃で30分以上乾
燥した後、第1の表面処理剤としてビス(トリメチルシ
リル)アミンの飽和蒸気圧に達した気相中に放置する。
2時間後これを取出し、100℃で5分加熱する。これに
より、(a)に示すようにウェーハ全面は第1の表面処
理剤12で覆われる。この表面は大面積である時の純水に
対する接触角が75゜〜85゜となる。次に(b)に示すよ
うにネガ型フォトレジスト13を塗布し、通常のレジスト
工程に従って0.8μm/1.2μmのライン・アンド・スペー
スパターンを形成し、(c)に示すようにフォトレジス
ト13をマスクとして露出している第1の表面処理剤12を
除去する。この後このウェーハ全面に第2の表面処理剤
14としてテフロンをスパッタ法により薄く堆積する。ス
パッタ法は物理吸着を利用するものであるから、テフロ
ンは図示のようにレジスト13上にも堆積される。そして
この後有機溶剤で洗浄してフォトレジスト13を剥離し、
同時にこの上のテフロンをリフトオフする。こうして
(e)に示すように、第1の表面処理剤12と第2の表面
処理剤14が交互に配列された基板が得られる。
このように表面処理された基板は、第1の表面処理剤
12の領域と第2の表面処理剤14の領域の表面が、それぞ
れ大面積である時に純水に対して示す接触角が75゜〜85
゜、110゜〜120゜となるように調製されている。つまり
第1の表面処理剤12の領域は累積不能領域、第2の表面
処理剤14の領域は疎水性で累積可能領域となっている。
一方、塩化カドミウム0.5mM,温度15℃の水面上にステ
アリン酸クロロホルム溶液を展開し、表面圧25dyne/cm
まで圧縮する。この様な水槽中に、上述の基板を用いて
これを下降させて浸漬する工程より始めて2層,10層,20
層,50層,100層の単分子膜累積を行った。基板のライン
・アンド・スペースパターンの水面に対する角度を0゜
〜90゜のいずれに保った場合にも、第2の表面処理剤14
の領域にのみステアリン酸カドミウム累積膜が形成さ
れ、第1の表面処理剤12の領域には累積が起こらないこ
とが、微分干渉顕微鏡,SEMおよびTEMにより確認され
た。
第2図(a)〜(e)は他の実施例による基板の処理
工程を示す。上記実施例では第2の表面処理剤を物理吸
着により形成したが、この実施例ではこれを化学吸着を
利用して選択的にレジスト開口のウェーハ面に吸着させ
る。シリコン・ウェーハ21は先の実施例と同様、その表
面には熱酸化膜が形成され、更に酸処理により完全に親
水性化されている。このウェーハを先ず、スピンナーに
より脱水し、100℃で30分以上乾燥した後、第1の表面
処理剤としてビス(トリメチルシリル)アミンの飽和蒸
気圧に達した気相中に放置する。2時間後これを取出
し、100℃で5分加熱する。これにより、(a)に示す
ようにウェーハ全面は第1の表面処理剤22で覆われる
が、このときの純水に対する接触角は75゜〜85゜であ
る。即ち処理時間が先の実施例に比べて短いため、第1
の表面処理剤22で覆われた表面は累積不能の状態とな
る。次に(b)に示すようにポジ型フォトレジスト23を
塗布し、通常のレジスト工程に従って0.8μm/1.2μmの
ライン・アンド・スペースパターンを形成し、(c)に
示すようにフォトレジスト23をマスクとして露出してい
る第1の表面処理剤22を除去する。この後このウェーハ
を、第2の表面処理剤である3−アミノプロピルトリエ
トキシシランの飽和蒸気圧に達した気相中に1時間放置
する。これにより(d)に示すようにフォトレジスト23
の開口部のウェーハ面に第2の表面処理剤24が化学吸着
により形成される。そしてこの後有機溶剤で洗浄して残
存フォトレジスト23を剥離し、100℃で5分間加熱す
る。こうして(e)に示すように、第1の表面処理剤22
と第2の表面処理剤24が交互に配列された基板が得られ
る。
このように表面処理された基板は、第1の表面処理剤
22の領域と第2の表面処理剤24の領域の表面が、それぞ
れ大面積である時に純水に対して示す接触角が75゜〜85
゜、20゜〜40゜となるように調製されている。つまり第
1の表面処理剤22の領域は累積不能領域、第2の表面処
理剤24の領域は親水性では基板引上げ時に単分子膜が累
積される累積可能領域となっている。
先の実施例と同様、塩化カドミウム0.5mM,温度15℃の
水面上にステアリン酸クロロホルム溶液を展開し、表面
圧25dyne/cmまで圧縮する。この様な水槽中に、上述の
基板を用いてこれを引上げる工程より始めて1層,11層,
21層,51層,101層の単分子膜累積を行った。基板のライ
ン・アンド・スペースパターンの水面に対する角度を0
゜〜90゜のいずれに保った場合にも、第2の表面処理剤
24の領域にのみステアリン酸カドミウム累積膜が形成さ
れ、第1の表面処理剤22の領域には累積が起こらないこ
とが、微分干渉顕微鏡,SEMおよびTEMにより確認され
た。
第3図(a)〜(e)は他の実施例による基板の処理
工程を示す。この実施例でも第2の表面処理剤を化学吸
着を利用して選択的にレジスト開口のウェーハ面に吸着
させたる。シリコン・ウェーハ31は先の実施例と同様、
その表面には熱酸化膜が形成され、更に酸処理により完
全に親水性化されている。このウェーハを先ず、スピン
ナーにより脱水し、100℃で30分以上乾燥した後、第1
の表面処理剤としてビス(トリメチルシリル)アミンの
飽和蒸気圧に達した気相中に放置する。処理時間の先の
実施例より長くして、24時間後これを取出し、100℃で
5分加熱する。これにより、(a)に示すようにウェー
ハ全面は第1の表面処理剤32で覆われるが、このときの
純水に対する接触角は90゜〜110゜である。次に(b)
に示すようにネガ型フォトレジスト33を塗布し、通常の
レジスト工程に従って0.8μm/1.2μmのライン・アンド
・スペースパターンを形成し、(c)に示すようにフォ
トレジスト33をマスクとして露出している第1の表面処
理剤32をO2プラズマ処理により除去する。この後、第2
の表面処理剤であるCH3OCH2・SiCl3の飽和蒸気相中に24
時間放置する。これにより(d)に示すように、レジス
ト33の開口のウェハ面に第2の表面処理剤34が形成され
る。この後レジスト33を除去することにより、(e)に
示すように第1の表面処理剤32の領域と第2の表面処理
剤34の領域が配列された基板が得られる。
このように表面処理された基板は、第1の表面処理剤
32の領域と第2の表面処理剤34の領域の表面が、それぞ
れ大面積である時に純水に対して示す接触角が90゜〜10
0゜、75゜〜85゜となるように調製されている。つまり
第1の表面処理剤32の領域が疎水性で累積可能領域、第
2の表面処理剤34の領域が累積不能領域となっている。
先の実施例と同様、塩化カドミウム0.5mM,温度15℃の
水面上にステアリン酸クロロホルム溶液を展開し、表面
圧25dyne/cmまで圧縮する。この様な水槽中に、上述の
基板を用いてこれを浸漬する工程により始めて2層,10
層,20層,50層,100層の単分子膜累積を行った。基板のラ
イン・アンド・スペースパターンの水面に対する角度を
0゜〜90゜のいずれに保った場合にも、第1の表面処理
剤32の領域にのみステアリン酸カドミウム累積膜が形成
され、第2の表面処理剤34の領域には累積が起こらない
ことが、微分干渉顕微鏡,SEMおよびTEMにより確認され
た。
第4図(a)〜(d)は他の実施例による基板の処理
工程を示す。この実施例では、表面処理剤としてビス
(トリメチルシリル)アミンのみを用い、領域に応じて
処理時間を異ならせて選択的に累積可能領域と累積不能
領域を形成する。先の各実施例と同様に熱酸化膜を形成
して親水性処理をし乾燥させたシリコン・ウェーハ41
を、ビス(トリメチルシリル)アミンの飽和蒸気圧に達
した気相中に放置する。24時間後ウェーハを取出し100
℃,5分間加熱する。これにより(a)に示すように全面
所定被覆率で表面処理剤421が形成され、この表面は純
水に対して接触角90゜〜100゜となる。このウェーハ上
に(b)に示すようにレジスト43を100μm〜0.1μmの
範囲でライン・アンド・スペースパターンに形成し、1
分間の酸素プラズマアッシャーにかけて露出している表
面処理剤を除去し、有機溶剤によりレジスト43を除去し
て(c)の状態とする。そしてこれを水洗後、スピンナ
ーにより脱水し、100℃,5分の加熱を行って乾燥した
後、再度ビス(トリメチルシリル)アミンの飽和蒸気圧
に達した気相中に放置する。2時間後ウェーハを取出
し、100℃,5分間加熱する。これにより、(d)に示す
ようにウェーハ露出面に表面処理剤422が所定の被覆率
で形成される。図では、表面処理剤421と422の被覆率の
差を便宜的に厚みの差として表わしている。
このように表面処理されたウェーハは、1回目の厚い
表面処理剤421の領域が接触角90゜〜100゜であり、2回
目の薄い表面処理剤422の領域が接触角75゜〜85゜にな
っている。なお、2回目の表面処理では表面処理剤421
の部分にも吸着されるが、第12図から明らかなように処
理時間を長くすれば接触角は飽和するから、その表面の
特性は変わらない。
塩化カドミウム0.5mM,温度15℃の水面上にステアリン
酸を展開し、表面圧25dyne/cmになるまで圧縮して、上
記基板に垂直浸漬法により単分子膜の累積を行った。第
1層目を基板を下降して浸漬する際に累積する工程より
始めて、2層,10層,20層,50層,100層累積した。基板の
ライン・アンド・スペースパターンの水面に対する角度
を0゜〜90゜のいずれに保った場合も、表面処理剤421
の領域には全く累積が認められず、表面処理剤422の領
域にのみ累積が生じ、いずれの累積数においても100μ
m〜0.1μmの微細パターンのステアリン酸カドミウム
累積膜が形成できた。
なお、表面処理剤の除去は、酸素プラズマ処理の他、
例えばH2SO4水溶液等の酸処理や反応性イオンエッチン
グ法を利用することができる。
第5図(a)〜(d)は、第4図の実施例の第1回目
の表面処理工程とレジストパターン形成工程を逆にした
実施例である。即ち先の実施例と同様の親水性処理をし
たシリコン・ウェーハ51に先ず、(a)に示すように、
ポジ型レジスト52の1μm〜100μmの様々なパターン
を、縮小投影露光装置により露光しアルカリ現像液によ
り現像して形成する。次にビス(トリメチルシリル)ア
ミン飽和蒸気相に入れ、24時間放置して取出し、100℃,
5分間加熱する。これにより、(b)に示すようにレジ
スト開口部のウェーハ面に表面吸着剤531が化学吸着さ
れる。この後有機溶剤で(c)に示すようにレジスト52
を除去し、再度ビス(トリメチルシリル)アミンにより
表面処理を2時間かけ、100℃,5分間加熱して、(d)
に示すようにウェーハ露出面を薄く表面処理剤532で覆
う。
こうして第4図の実施例と同様の基板が得られる。こ
の基板を用いて第4図の実施例の基板と同様に、ステア
リ酸カドミウム累積膜の形成が可能であった。
第6図(a)〜(d)は更に他の実施例の基板処理工
程を示す。これまでの実施例では、基板に累積可能領域
と累積不能領域を形成するため、それぞれの領域に対し
て表面処理剤による表面処理を行ったが、この実施例で
は表面処理剤による処理は一度である。先ず、先の各実
施例と同様の親水性処理がなされたシリコン・ウェーハ
61を用い、これをビス(トリメチルシリル)アミン飽和
蒸気相に入れて2時間放置し、その後100℃,5分の加熱
を行う。これにより、(a)に示すようにウェーハ全面
に表面処理剤62が所定被覆率で形成される。この状態で
ウェーハ表面は全面接触角75゜〜85゜になる。この後こ
のウェーハに、(b)に示すようにクロロメチル化ポリ
スチレンレジスト63によるパターンを形成する。露光は
遠紫外線を用いた1:1のコンタクト露光であり、レジス
トパターンは1μm〜100μmの様々なパターンを含
む。そして50%H2SO4水溶液を用いて1分間処理して、
(c)に示すように露出している表面処理剤を除去し、
水洗,乾燥後有機溶剤を用いて残存レジスト63を除去し
て(d)に示す基板を得る。
こうして得られた基板は、表面処理剤62で覆われてい
る部分が累積不能領域であり、ウェーハ露出面は予め親
水性処理がなされているため累積可能領域となる。この
基板を用いた場合も、先の各実施例と同様にステアリン
酸カドミウムの選択累積が、微細パターンの部分でも可
能であった。
第7図(a)〜(c)は、表面処理剤による処理は1
回であるが、第6図とは異なり選択的な表面処理を行う
ようにした実施例である。即ち先の実施例と同様に親水
性処理を行い乾燥したシリコン・ウェーハ71に、(a)
に示すようにノボラック系レジスト72によるパターンを
形成する。露光は縮小投影露光装置により行い、アルカ
リ現像液で現像して1μm〜100μmの様々なパターン
を形成した。そしてこの基板を、ビス(トリメチルシリ
ル)アミン飽和蒸気相に入れて2時間放置し、取出して
100℃,5分間加熱した。これにより(b)に示すように
ウェーハ露出面が選択的に表面処理剤73で覆われる。こ
の後有機溶剤洗浄によりレジスト72を除去して、(c)
に示すような基板を得る。
先の実施例と同様、表面処理剤73で覆われた領域は接
触角75゜〜85゜の累積不能領域であり、それ以外の領域
は接触角の小さい親水性を示す。この基板を用いて先の
実施例と同様、ステアリン酸カドミウムの選択的な累積
膜の形成が可能であった。
第8図(a)〜(c)は他の実施例による基板の処理
工程を示す。この実施例では、レジストを用いず、エネ
ルギービームによる直接描画で表面処理剤のパターン形
成を行う。先ず、先の各実施例と同様に熱酸化膜を形成
して親水性処理をし乾燥させたシリコン・ウェーハ81
を、ビス(トリメチルシリル)アミンの飽和蒸気圧に達
した気相中に放置する。24時間後ウェーハを取出し100
℃,5分間加熱する。これにより(a)に示すように全面
所定被覆率で表面処理剤821が形成され、この表面は純
水に対して接触角90゜〜100゜となる。このウェーハを
電子線描画装置にセットし、加速電圧20KeV,ビーム電流
0.1nAの条件で、0.25μm/0.75μmのライン・アンド・
スペースパターンに描画する。これにより(b)に示す
よう表面処理剤821が選択的に残される。この後再度ウ
ェーハをビス(トリメチルシリル)アミンの飽和蒸気圧
に達した気相中に放置する。2時間後ウェーハを取出
し、100℃,5分間加熱する。これにより、(c)に示す
ようにウェーハ露出面に表面処理剤822が所定被覆率で
形成される。
このように表面処理されたウェーハは、1回目の厚い
表面処理剤821の領域が接触角90゜〜100゜であり、2回
目の薄い表面処理剤822の領域が接触角75゜〜85゜に調
製されている。なお、2回目の表面処理では表面処理剤
821の部分にも吸着されるが、先に説明したように処理
時間を長くすれば接触角は飽和するから、その表面の特
性は変わらない。
塩化カドミウム0.5mM,温度15℃の水面上にステアリン
酸を展開し、表面圧25dyne/cmになるまで圧縮して、上
記基板に垂直浸漬法により単分子膜の累積を行った。第
1層目を基板を下降して浸漬する際に累積する工程より
始めて、2層,10層,20層,50層,100層累積した。基板の
ライン・アンド・スペースパターンの水面に対する角度
を0゜〜90゜のいずれに保った場合も、表面処理剤821
の領域には全く累積が認められず、表面処理剤822の領
域にのみ累積が生じ、いずれの累積数においても100μ
m〜0.1μmの微細パターンのステアリン酸カドミウム
累積膜が形成できた。
第8図の実施例において、1回目の表面処理を2時間
とし、2回目の表面処理を30分とした他、全く同様の条
件で処理を行った。この場合、1回目の表面処理で得ら
れる面は接触角75゜〜85゜の累積不能領域であり、2回
目の表面処理で得られる面は接触角20゜〜30゜の累積可
能領域となった。この基板を用いて先の実施例と同様に
ステアリン酸カドミウムの選択累積を行った。この基板
は水槽から引上げる際に第1層目が累積される。1層,1
1層,21層,51層,101層の累積を行った結果、電子線描画
パターンに応じた選択的累積がなされていることが確認
された。
なお、電子線による直接描画の他に、イオンビーム、
レーザビームなど他のエネルギービームを用いた直接描
画で表面処理剤の選択的な除去を行うことも有効であ
る。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、比較的簡単な表面
処理によって、基板表面を単分子膜の累積可能領域と累
積不能領域とにパターン形成して、有機薄膜の累積と同
時にその微細パターンの形成を可能とした基板を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(e)は本発明の実施例による基板の処
理工程を示す図、第2図(a)〜(e)は他の実施例に
よる基板の処理工程を示す図、第3図(a)〜(e)は
他の実施例による基板の処理工程を示す図、第4図
(a)〜(d)は他の実施例による基板の処理工程を示
す図、第5図(a)〜(d)は他の実施例による基板の
処理工程を示す図、第6図(a)〜(d)は他の実施例
による基板の処理工程を示す図、第7図(a)〜(c)
は他の実施例による基板の処理工程を示す図、第8図
(a)〜(c)は他の実施例による基板の処理工程を示
す図、第9図(a)(b)はそれぞれ基板と引上げる際
と浸漬する際の基板表面の接触角と累積比の関係を示す
図、第10図(a)(b)は基板表面の接触角を示す図、
第11図(a)〜(c)および第12図(a)〜(c)はそ
れぞれ、基板引上げ時および基板浸漬時に第1層目の累
積が行なわれる本発明による基板の単分子膜累積の様子
を示す図、第13図はビス(トリメチルシリル)アミンに
よる表面処理時間と得られた表面の接触角の関係を示す
図である。 11,21,31,41,51,61,71,81……シリコン・ウェーハ、12
……第1の表面処理剤、13……レジスト、14……第2の
表面処理剤、22……第1の表面処理剤、23……レジス
ト、24……第2の表面処理剤、32……第1の表面処理
剤、33……レジスト、34……第2の表面処理剤、421
…第1回目の表面処理剤、422……第2回目の表面処理
剤、43……レジスト、52……レジスト、531……第1回
目の表面処理剤、532……第2回目の表面処理剤、62…
…表面処理剤、63……レジスト、72……レジスト、73…
…表面処理剤、821……第1回目の表面処理剤、822……
第2回目の表面処理剤、1……基板、2……累積可能領
域(引上げ時)、3……累積不能領域、4……単分子
膜、5……累積可能領域(浸漬時)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板を第1の表面処理剤により表面処理
    し、次いでレジストを用いたリソグラフィにより前記第
    1の表面処理剤の一部を選択的に除去し、次いでレジス
    ト開口に露出した基板面およびレジスト面をこれらに物
    理吸着する第2の表面処理剤で表面処理し、次いで前記
    レジストを除去することにより、前記第1、第2の表面
    処理剤でそれぞれ表面処理された領域の一方に水面上に
    展開した単分子膜が累積しない累積不能領域、他方に前
    記単分子膜が累積する累積可能領域を形成することを特
    徴とする基板処理方法。
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