JP2578578B2 - 三次元ノズル装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、流体圧力でノズルを鉛
直及び水平方向に回転させつつ、ノズルから流体を噴射
するノズル装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】流体圧力でノズルの向きを三次元方向に
変えて流体がさまざまな方向へ噴射されるようにしたタ
ンク洗浄用のノズル装置が、例えば特公昭６２−６０１
４６号に提案されている。

【０００３】このノズル装置は、鉛直の固定軸の外周に
回転ハウジングを回転自由に支持し、回転ハウジングに
支持された水平軸の回りにノズルホルダを回転自由に装
着し、ノズルホルダに１８０度間隔で２基のノズルを外
向きに取り付けている。

【０００４】洗浄用の流体は固定軸の内側から水平軸と
ノズルホルダを介してノズルに常時導供給されている。

【０００５】回転ハウジングは固定軸の下端に回転自由
に装着した羽根車とギヤ装置を介して結合し、固定軸の
内側から導かれた圧力流体の一部がこの羽根車に一方向
から衝突することにより回転する。この時、ノズルホル
ダも回転ハウジングとともに固定軸回りに回転するが、
ノズルホルダと固定軸とは別途ベベルギヤを介して結合
しており、固定軸回りの回転動作はこのベベルギヤを介
してノズルホルダに水平軸回りの回転力を及ぼす。その
結果、ノズルは垂直面上で回転しながら、水平旋回し、
タンク内に所定の密度と間隔で均等に圧力水を噴射す
る。

【０００６】

【発明の課題】このノズル装置においては、回転ハウジ
ングの固定軸回りの回転をベベルギヤを介してノズルホ
ルダの水平軸回りの回転に伝達する構造となっており、
回転ハウジングの固定軸回りの回転周期とノズルホルダ
の水平軸回りの回転周期とは常にベベルギヤ間のギヤ比
に基づく一定の比率関係を維持していた。

【０００７】しかしながら、このように回転ハウジング
とノズルホルダとが固定された比率で回転すると、ノズ
ルから噴出される噴射水がタンク内壁に残す軌跡は常に
一定間隔となり、軌跡の位置が固定されてしまう。その
ため、軌跡と軌跡の間の部分が十分に洗浄されにくい傾
向があり、洗浄むらができないようにするために、例え
ばノズル装置を上下に動かすなどの手段を講じる必要が
あった。

【０００８】また、ノズル装置をタンク内に常設する場
合には、タンクの内容物の排出後にタンクの洗浄を行う
段階でノズル装置に内容物が付着していることになる。
したがって、タンクから内容物を完全に除去するには、
タンクの洗浄とともにノズル装置自体の洗浄も必要にな
るが、このノズル装置の場合には装置自体の洗浄機能は
備えていなかった。

【０００９】本発明は、上記問題点を解決すべくなされ
たもので、三次元ノズル装置の噴射流体の軌跡を適度に
分散させるとともに、簡易な構成で装置自体の洗浄を可
能にすることを目的とする。

【００１０】

【課題を達成するための手段】本発明は、洗浄用の圧力
流体を導入する中空通路を備えた固定軸と、固定軸の外
周に回転自由に支持された回転ハウジングと、回転ハウ
ジングの中心から偏心した状態で放射方向に形成した放
流路と、この放流路に固定軸の中空通路から流体を導入
する噴出口と、前記放流路の下方において固定軸と直角
に回転ハウジングに支持された水平軸と、この水平軸に
回転自由に支持されたノズルホルダと、ノズルホルダに
直角に螺合装着されたノズルと、前記中空通路とノズル
とを常時連通する通路と、前記ノズル螺合面から流体の
一部をノズル外面に沿って漏れ出させる溝部と、前記固
定軸の一部に形成した大径部と、前記ノズルホルダの外
周に装着した弾性リングとを備え、この弾性リングを大
径部に接触転動させてノズルホルダを水平軸の回りに回
転させるように構成している。

【００１１】

【作用】回転ハウジングを回転駆動した洗浄用流体は放
流路を介して回転ハウジング上部から外側へ放流され
る。この放流された洗浄用流体により回転ハウジングを
初めとするノズル装置の各部材が洗浄され、ノズル装置
自体の洗浄が行える。

【００１２】また、ノズルホルダの外周に装着した弾性
リングが固定軸に形成した大径部の上を転動すること
で、回転ハウジングの回転をノズルホルダの回転に伝達
するようにしたので、回転伝達過程で滑りの要素が介在
し、回転ハウジングの回転周期とノズルホルダの回転周
期とは厳密に一定の比率とならない。そのため、回転ハ
ウジングを複数回回転させた場合にノズルの噴射流体の
軌跡に微妙なずれが生じ、洗浄むらの出にくい均一な洗
浄が行える。

【００１３】

【実施例】図１〜図３に本発明の実施例を示す。

【００１４】図１はタンク洗浄用のノズル装置であり、
図示されない給水管の下端に接続される垂直の固定軸１
を中心に構成される。

【００１５】固定軸１の下端には大径部としての底盤３
が一体に形成される。固定軸１の外周には底盤３の上方
において、回転ハウジング４がベアリング５を介して回
転自由に嵌合する。

【００１６】回転ハウジング４には水平方向外側に向け
て突出する中空の水平軸６が装着される。水平軸６の外
周にはベアリング７を介してノズルホルダ８が回転自由
に支持される。なお、ベアリング５と７はいずれもステ
ンレス製のボールベアリングを使用し、潤滑剤を必要と
しない構成とする。

【００１７】ノズルホルダ８の外周には先端にノズル９
Ａを備えた中空のノズルボディ９が１８０度間隔で２箇
所に装着される。この装着はノズルボディ９に形成した
螺合孔にノズルボディ９の基端外周部を螺合させること
で行うが、この螺合部には軸方向の溝１９を形成してお
き、ノズルホルダ８内の圧力水の一部が溝１９を介して
ノズルボディ９Ａの外側に溢れ出るようにする。

【００１８】固定軸１には水平軸６と同じ高さに通孔１
０が形成される。そして、水平軸６を支持する回転ハウ
ジング４には、通孔１０と固定軸１の回りを水平旋回す
る水平軸６の中空部６Ａとを常時連通させるために、環
状溝１２が固定軸１を囲むように形成される。

【００１９】一方、水平軸６には通孔１１が形成され、
ノズルホルダ８にはこの通孔１１と水平軸６回りに回転
するノズルボディ９の内側とを常時連通させるために環
状溝１３が水平軸６を囲むように形成される。これによ
り、ノズル９Ａに洗浄用の圧力水が途切れることなく供
給される。

【００２０】また、ノズルホルダ８の外周には弾性リン
グとしてＯリング１８が装着される。このＯリング１８
は底盤３の水平の上面３Ａに当接し、回転ハウジング４
が固定軸１のまわりを旋回するのに伴って底盤３との間
に発生する摩擦力で転動し、ノズルホルダ８を水平軸６
を中心に回転させる。

【００２１】水平軸６と１８０度反対側に位置して、回
転ハウジング４にカウンタバランス１４が装着される。

【００２２】また、水平軸６の上方において回転ハウジ
ング４には図２に示すような回転駆動部１５が形成され
る。これは、固定軸１に等間隔で放射方向に形成した噴
出孔１６に臨んで回転ハウジング４に放流路として数多
くの孔部１７を水平方向かつ噴出孔１６とは異なった傾
斜各度をもって形成したものである。孔部１７は回転ハ
ウジング４の外側に向けて開口し、孔部１７の中心線は
回転ハウジング４の中心から一定距離だけ偏心する。こ
れにより、噴出孔１６から噴出する洗浄水は孔部１７の
壁面１７Ａに衝突し、回転ハウジング４に回転力を及ぼ
す。壁面１７Ａに衝突した洗浄水は孔部１７の開口部か
ら回転ハウジング４の外側へ放流される。

【００２３】なお、固定軸１は給水管を介して上方から
タンク内に支持されるが、固定軸１と給水管とのこの螺
合部にもノズルホルダ８とノズル９の螺合部に形成した
溝１９と同様に軸方向の溝２０を形成し、給水管内の圧
力水の一部が溝２０を介して固定軸１の外周に溢れ出す
ように構成しておく。

【００２４】次に作用を説明する。

【００２５】このノズル装置は、給水管から固定軸１の
内側の通路２に２〜１０ｋｇ／ｃｍ²の比較的低圧の洗
浄水を供給することで動作する。

【００２６】洗浄用の圧力水は固定軸１内の通路２から
通孔１０、環状溝１２、中空部６Ａ、通孔１１、環状溝
１３及びノズルホルダ８の内側を通ってノズルボディ９
の内部に常時供給され、ノズル９Ａから途切れることな
く噴射される。

【００２７】一方、通路２の圧力水の一部は固定軸１に
放射状に形成した噴出口１６から回転ハウジング４内の
孔部１７に噴出し、各孔部１７の壁面１７Ａに衝突する
ことで回転ハウジング４をベアリング５を介して水平に
旋回させる。

【００２８】この水平旋回に伴い、回転ハウジング４に
水平軸６を介して支持されたノズルホルダ８も一体に水
平旋回するが、これに伴いノズルホルダ８の外周のＯリ
ング１８と、固定軸１の下端の底盤３の上面３Ａとの間
に摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗のため、ノズルホ
ルダ８は上面３Ａの上を転動し、ノズルボディ９を水平
軸６回りに回転させる。

【００２９】この結果、圧力水を噴出するノズル９Ａは
固定軸１を中心に旋回しつつ、水平軸６を中心に回転
し、これによりタンク内の３次元方向に圧力水が噴出す
る。

【００３０】この場合に、ノズルホルダ８を水平軸６回
りに回転駆動するのはＯリング１８と底盤３の間に働く
摩擦力であり、これらの部材間の動作の伝達に際しては
滑りの要素が介在する。したがって、回転ハウジング４
の回転とノズルホルダ８の回転は厳密には一定の比率と
はならず、回転ごとに微妙なずれを生じる。このため、
回転ハウジング４が複数回の回転を行った場合に噴射水
がタンクの壁面に残す軌跡は同一とはならず適度なずれ
をもって分散する。したがって、洗浄むらのできにく
い、好ましい洗浄結果が得られる。

【００３１】また、洗浄中はノズル９Ａからの洗浄水の
噴射とともに、回転ハウジング４を回転駆動した洗浄水
が孔部１７からノズル装置の外側に流出する。流出した
洗浄水は孔部１７が回転ハウジング４の上部に位置して
いるため、回転ハウジング４やノズルポディ９、ノズル
ホルダ８及びカウンタバランス１４などの表面を洗い流
しながらタンク内に落下する。さらに溝１９や２０から
溢れ出る洗浄水もこの洗浄を助ける。ノズル装置をタン
ク内に固定した場合には、タンクの内容物がノズル装置
に付着するが、洗浄時にはタンクの洗浄と同時にノズル
装置それ自体の洗浄も行われるため、タンク内容物を完
全に除去することができる。

【００３２】このように、洗浄むらができにくく、また
ノズル装置自体の洗浄作用もあることから、洗浄むらの
解消やタンク内容物によるノズル装置の汚染防止のため
にノズル装置を昇降させるが必要はなく、したがって簡
易な構成で洗浄能力の高いノズル装置を実現することが
できる。

【００３３】なお、ノズル９Ａに対してカウンタバラン
ス１４がバランスを取っているため、ノズル９は固定軸
１のまわりを安定して回転する。カウンタバランス１４
の代わりにノズルを設けることもできる。

【００３４】

【発明の効果】以上のように本発明は、回転ハウジング
を回転駆動する流体を回転ハウジングに取付けたノズル
ホルダの上方から外周に向けて放流すると共に、一部を
ノズルホルダのノズル外面に沿って漏れ出させるように
したので、回転ハウジング、ノズルホルダ、ノズル等を
放出流体により洗浄することができ、このようにノズル
装置から噴出させる流体を利用して、ノズル装置の回転
駆動に加えてノズル装置自体の洗浄作用を行えるという
効果がある。

【００３５】また、大径部上を転動する弾性リングによ
り回転ハウジングの回転をノズルホルダの回転に伝達す
るようにしたので、大径部と弾性リングとの滑りによっ
てノズルから噴射される噴射流体の軌跡に微妙なずれが
生じ、噴射流体の軌跡が分散するために洗浄むらの出に
くい均一な洗浄が行える。

【００３６】したがって、ノズル装置の汚染防止や、洗
浄むらの解消のためだけにノズル装置を昇降させる必要
がなく、簡易な構成で洗浄効果の高い洗浄装置を実現す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すノズル装置の縦断面図で
ある。

【図２】同じく、図１の中のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】同じく、ノズル装置を下方から眺めた正面図で
ある。

【符号の説明】 １ 固定軸 ２ 通路 ３ 底盤 ４ 回転ハウジング ６Ａ 中空部 ８ ノズルホルダ ９Ａ ノズル １０，１１ 通孔 １２，１３ 環状溝 １５ 回転駆動部 １６ 噴出孔 １７ 孔部 １７Ａ 壁面 １８ Ｏリング

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗浄用の圧力流体を導入する中空通路を
   備えた固定軸と、固定軸の外周に回転自由に支持された
   回転ハウジングと、回転ハウジングの中心から偏心した
   状態で放射方向に形成した放流路と、この放流路に固定
   軸の中空通路から流体を導入する噴出口と、前記放流路
   の下方において固定軸と直角に回転ハウジングに支持さ
   れた水平軸と、この水平軸に回転自由に支持されたノズ
   ルホルダと、ノズルホルダに直角に螺合装着されたノズ
   ルと、前記中空通路とノズルとを常時連通する通路と、
   前記ノズル螺合面から流体の一部をノズル外面に沿って
   漏れ出させる溝部と、前記固定軸の一部に形成した大径
   部と、前記ノズルホルダの外周に装着した弾性リングと
   を備え、この弾性リングを大径部に接触転動させてノズ
   ルホルダを水平軸の回りに回転させるように構成したこ
   とを特徴とする三次元ノズル装置。