JP2577684Y2 - 渦流探傷用コイル装置 - Google Patents

渦流探傷用コイル装置

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JP2577684Y2
JP2577684Y2 JP1992075042U JP7504292U JP2577684Y2 JP 2577684 Y2 JP2577684 Y2 JP 2577684Y2 JP 1992075042 U JP1992075042 U JP 1992075042U JP 7504292 U JP7504292 U JP 7504292U JP 2577684 Y2 JP2577684 Y2 JP 2577684Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、渦流探傷用コイル装置
に関し、特に、鉄鋼の熱間圧延工程の中間および最終工
程に使用する渦流探傷用検査装置に適用するのに適した
コイル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材、特に棒鋼の熱間圧延加工製造工程
において、外表面傷を確実に検出するために熱間渦流探
傷が用いられており、冷間金属管用の従来技術にあって
も、その大半が被検査材と同心のボビンに電線を巻回し
た貫通コイルによる渦流探傷法が採用されている。この
ような渦流探傷法においては、被検査材に存在する小さ
な傷を感度よく検出するために、貫通励磁コイルと、複
数の検査コイルとを組み合わせることが行われており、
例えば、特開昭58−34357号公報には、その複数
の検査コイルからの信号処理の方法が開示されており、
この従来の方法では、円周上の隣接配設された検査コイ
ル間および軸方向にずれて配設された準隣接検査コイル
相互間に差動信号を抽出するようにスキャンニングすべ
くマルチプレクサを用いており、また、特開昭63−4
0850号公報には、これと同様の技術を応用した管内
検査用渦流探傷装置が開示されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところで、渦流探傷に
おいて、より小さく、より浅い傷を感度よく検出するた
めには、傷の大きさと検査コイルの大きさとの比率を適
当に設定する必要があり、より小さな傷を検出しようと
して検査コイルの大きさをより小さくする場合には、次
のような問題がでてくる。
【0004】(1)検査コイルを配設するチャンネル数
が増加するので、検査コイルの有効受感領域の重なりを
考慮して被検査材全周に亘って略均一の探傷感度を確保
するための工夫が必要となる。
【0005】(2)検査コイルの小型化に伴って検査コ
イルのリフトオフ特性(すなわち、検査コイルの距離感
度特性)を改善する必要がある。
【0006】(3)検査コイルの小型化と共に重要なこ
とは、被検査材と検査コイルとの距離変動に起因して発
生する機械的振動疑似妨害雑音信号を低減化して探傷精
度を向上させる必要がある。すなわち、小型化した検査
コイルによって小さな傷に対するS/N比は向上する
が、相対感度がプローブの大きさに比例するという事実
に徴して、相対感度が低下するので電気信号を大きく拡
大増幅することが常套手段であるが、熱間棒鋼等の渦流
探傷にあって検査コイルから被検査材までの機械的距離
をできるだけ大きく間隔をとることが圧延作業工程上、
必須の条件である。ところが、検査コイルから被検査材
までの距離を大きくとることは、探傷の仲介を行なう磁
力線が減衰し探傷感度不足を来すこととなる。これを補
うためには電気信号の拡大、増幅を行えばよいのである
が、前述したような被検査材の機械的振動が大きな妨害
となって正常な探傷が困難となってしまう。
【0007】(4)検査コイルの小型化は、検査コイル
の受感磁力線距離を縮小化するので、探傷感度低下を来
すことは前述したとおりであるが、検査コイルを赤熱し
た被検査材である鋼材から保護するための遮熱と冷却の
ための機構を工夫する必要がある。すなわち、小さい検
査コイルを用いた場合、検査コイル自身が小さいことに
起因する空間磁路長の短小化による感度低下と、更に加
えて熱間材探傷時に常套手段として遮熱防熱構造体とし
てのステンレス筒体を併用する時に生ずる過電流損失に
よる感度低下との問題がある。
【0008】このように、渦流探傷における検査コイル
を小型化するに伴って考慮すべき問題点が種々あるにも
かかわらず、前述したような従来の渦流探傷用コイル装
置においては、これら問題点のすべてを十分に解決しう
るような工夫がなされているとは言えない。
【0009】このような従来の問題点を解消しうるもの
として、本出願人は、先に、特開平3−115851号
公報に開示されているような渦流探傷用コイル装置を開
発した。この渦流探傷用コイル装置の構成によれば、前
述したような従来の問題点のうちかなりの部分を解消で
きる。しかし、この渦流探傷用コイル装置においては、
検査コイルは、検査対象面に対してそのコイル面を垂直
に位置させるものなので、リフトオフ特性、すなわち、
検査コイルと被検査材との距離が変化したときの感度の
変化率、は良いのであるが、どうしても相対感度の点で
改良の余地のあるものである。
【0010】本考案の目的は、前述したような従来の問
題点を解決しうる渦流探傷用コイル装置を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本考案によれば、渦流探
傷装置の被検査材を通すための貫通孔の周りに装着され
る貫通励磁コイルと、該貫通励磁コイルに内挿された検
査コイル取付けボビンの円周に配列された複数の検査コ
イルとを備える渦流探傷用コイル装置において、前記貫
通励磁コイルは、前記貫通孔の軸方向の所定幅に亘って
延長する主コイル部分と、前記貫通励磁コイルの軸方向
中央内壁部の垂直成分磁力線分布低減領域を拡張するよ
うに前記主コイル部分の両端部分に巻回された付加コイ
ル部分とを備え、前記複数の検査コイルの各々は、楕円
状に巻回された平板状コイルとされ、前記貫通励磁コイ
ルから発生する励磁磁力線に不感であるようにその貫通
励磁コイルと直交交差し、その平板状コイル面が前記検
査コイル取付けボビンの円周面にそって延在するように
して、且つ隣接コイルの端部が前記検査コイル取付けボ
ビンの半径方向において互いに重なり合うようにして、
前記検査コイル取付けボビンの円周にそって列をなして
配設される。
【0012】
【実施例】次に、添付図面に基づいて、本考案の実施例
について本考案をより詳細に説明する。
【0013】図1は、本考案の一実施例としての渦流探
傷用コイル装置を適用した熱間渦流探傷用検出端を略示
する部分破断側面図であり、図2は、その熱間渦流探傷
用検出端の正面図である。これら図1および図2に略示
されるように、この熱間渦流探傷用検出端は、探傷すべ
き被検査材を矢印Pの方向から通すための貫通孔11を
有した側板10を備えており、側板10には、冷却水を
噴流させるための噴流装置20が取り付けられている。
この噴流装置20は、給水管21を介して給水口22に
接続されていて、給水口22を通して給水される冷却水
を側板10の貫通孔11の内周面に沿って噴出させて水
膜を形成させることにより、後述する貫通励磁コイルお
よび検査コイルの遮熱冷却を行なうものである。なお、
このような遮熱冷却のための構造は、本出願人による特
開平2−236158号公報に開示されたようなものを
適用することができる。
【0014】また、側板10内の貫通孔11の周りに
は、励磁フレーム30と、検査コイル取付けボビン40
と、励磁コイルボビン60とが取り付けられている。検
査コイル取付けボビン40には、複数の検査コイル51
および52が配設されており、励磁コイルボビン60に
は、貫通励磁コイルを構成する主コイル部分70と、付
加コイル部分71および72とが巻回されており、さら
に、その貫通励磁コイルの周りに磁気シールド部材73
が施されている。
【0015】側板10の上部には、電源接続線および傷
信号導出線等を含むプラントチューブ110を取り付け
る端子カバー100が取り付けられ、この端子カバー1
00は、励磁フレーム30に対して端子板カラー90を
介して固定された端子板80をカバーしている。端子板
80には、貫通励磁コイル70、71、72を付勢する
ための電源接続用端子や検査コイル51、52等からの
傷信号を導出するための傷信号導出用出力端子が設けら
れている。
【0016】なお、図1において、参照符号120およ
び121は、Oリングを示し、参照符号122は、パッ
キンを示している。
【0017】次に、図3は、前述したように主コイル部
分70および付加コイル部分71および72からなる貫
通励磁コイルを巻回し且つ外周に磁気シールド73を施
した励磁コイルボビン60のみを取り出して斜視図にて
示している。この図3によく示されるように、貫通励磁
コイルの両端から電源接続用のリード線74および75
は、端子板80に設けられた対応する端子に接続される
ものである。
【0018】図4は、検査コイル取付けボビン40のみ
を斜視図にて示している。この図4によく示されるよう
に、検査コイル取付けボビン40には、中間部に円周方
向にそって2列に複数の検査コイル51および52が配
設されている。また、この検査コイル取付けボビン40
の中間部の両側には、検査コイル(傷信号)導出リード
を引き出すためのリード線引出し溝43および44が形
成されている。
【0019】図5は、検査コイル取付けボビン40の中
間部の部分を拡大して示す図であり、この図5によく示
されるように、検査コイル51は、楕円状に巻回された
平板状コイル51A、51B、51C、51D、51
E、51F、51G、・・・・・・を含んでおり、これ
ら検査コイルは、貫通励磁コイルから発生する励磁磁力
線に不感であるようにその貫通励磁コイルと直交交差
し、その平板状コイル面が検査コイル取付けボビン40
の円周面にそって延在するようにして、且つ隣接コイル
の端部が検査コイル取付けボビン40の半径方向におい
て互いに重なり合うようにして、検査コイル取付けボビ
ン40の円周にそって1列に配設されている。図6は、
このような検査コイル列を部分拡大断面図にて示してい
る。
【0020】同様に、検査コイル52は、楕円状に巻回
された平板状コイル52A、52B、52C、52D、
52E、52F、52G、・・・・・・を含んでおり、
これら検査コイルは、貫通励磁コイルから発生する励磁
磁力線に不感であるようにその貫通励磁コイルと直交交
差し、その平板状コイル面が検査コイル取付けボビン4
0の円周面にそって延在するようにして、且つ隣接コイ
ルの端部が互いに重なり合うようにして、検査コイル取
付けボビン40の円周にそって1列に配設されている。
図5から明らかなように、検査コイル51の列と、検査
コイル52との列とは、検査コイル取付けボビン40の
貫通孔の軸方向において所定の距離離間しており、この
軸方向において互いに対応する位置にある各列の検査コ
イル同志は、互いに差動接続されて対とされて傷信号を
出力するようにされている。すなわち、図5においてい
えば、検査コイル51Aと検査コイル52Aとが互いに
差動接続されて対とされており、また、検査コイル51
Bと検査コイル52Bとが互いに差動接続されて対とさ
れている。以下、同様に、検査コイル51Cと検査コイ
ル52C、検査コイル51Dと検査コイル52D、検査
コイル51Eと検査コイル52E、検査コイル51Fと
検査コイル52F、検査コイル51Gと検査コイル52
F、・・・・・・・が互いに差動接続されて対とされて
いる。
【0021】本考案において、このように各列における
隣接検査コイルを、それらの端部同志が互いに重なり合
うようにして、配設したのは、次の理由による。平板状
コイルの端部は、どうしても傷検出感度が低下してしま
う部分であり、この部分では、十分に傷を検出できな
い。一方、傷検出感度を上げるために、この検査コイル
の巻回数を増すとどうしても、その端部の大きさが増し
てしまう。もし、このような傷に対して十分な検出感度
を与えない大きな端部を有する検査コイルを、単に、1
列に並べたのでは、検査コイルの中央部に対応する部分
においては十分高い傷検出感度が得られたとしても、大
きな端部に対応する部分において十分な傷検出感度が得
られず、かえって、傷に対して不感な部分が大きくなっ
てしまい好ましくない。したがって、本考案において
は、これらの隣接する検査コイルの端部同志を互いに重
ね合わすようにして配設することにより、中央部におい
て傷検出感度の高い検査コイルとして、しかも、傷に不
感な部分をできるだけ少なくしているのである。そし
て、本考案においては、隣接する検査コイルの端部を重
ね合わせることにより、各隣接コイル間において被検査
材面からの距離が若干異なることによる、それら各隣接
コイルから得られる傷検出信号の強度の差については、
後段の傷信号処理回路(図示していない)において各隣
接コイルからの傷信号に対する増幅度を適当に変えるこ
とにより、補償することができる。
【0022】また、本考案において、このように、平板
状検査コイルのコイル面を被検査対象面に対して平行に
位置させたことによる、リフトオフ特性の低下の問題
は、次のようにして補償できる。例えば、図5によく示
されるように、検査コイル取付けボビン40の中間部の
周辺にそって、検査コイル51、52の1個もしくは複
数個毎に、被検査対象である熱間鋼材との距離測定用セ
ンサ(距離センサ)54を配設し、それら距離測定用セ
ンサから得られる被検査対象までの距離の変化を表わす
信号に基づいて、各対応する検査コイルの距離対感度変
化特性(リフトオフ特性)を補正するようにすればよ
い。なお、このような検査コイルのリフトオフ特性の自
動補償のための信号処理については、特開昭63−40
850号公報に開示されたような技術を適用できる。
【0023】図7は、本考案の別の実施例を示す図4と
同様の図である。図4に示した実施例では、円環状に配
列した検査コイル列を、検査コイル取付けボビン40の
軸方向において所定の間隔をおいて2列51および52
設けたのであるが、この図7の実施例では、図4の検査
コイル列51および52と同様に円環状に配列した検査
コイル列を1列53のみ配設したものである。このよう
に、検査コイル53を1列に配設しただけでも、各検査
コイル53から正確な傷検出信号を得ることができるこ
とが分かったのである。検査コイル取付けボビン40の
貫通孔を通して被検査材である熱間鋼材が通過すると
き、その熱間鋼材の微小傷の存在する表面に対応する位
置にある検査コイル53からは、先ず、その検査コイル
の巻回部分のうち、熱間鋼材の移動方向において上流に
位置する巻回部分をその微小傷部分が通過するときに、
信号変化が現れ、次いで、その検査コイルの巻回部分の
うち、熱間鋼材の移動方向において下流に位置する巻回
部分をその微小傷部分が通過するときに、再び信号変化
が現れる。このような信号変化を後段の信号処理回路
(図示していない)にて適当に処理することにより、正
確にその微小傷を検出することができることがわかっ
た。
【0024】次に、このような小さな検査コイル51、
52および53を多数個配列する場合、検査コイルの大
きさをどの程度の寸法にすれば良いかについて説明す
る。種々な大きさの傷に対して種々な大きさの検査コイ
ルを用いて傷信号を求める実験を繰り返し行った結果
を、図8のグラフに示している。図8において、横軸
は、用いた検査コイルの大きさをlを、検出した傷の長
さLで正規化した値をとっており、縦軸にS/N比をと
っている。また、この図8に示す結果は、検査コイルを
差動接続し、傷を横切って探傷してみた場合のものであ
る。この図8のグラフから判るように、l/L<2とす
るのが好ましく、すなわち、検査コイルの大きさは、探
傷すべき傷の最大長さの2倍より小さくするのが好まし
い。
【0025】次に、検査コイルの小型化と共に重要な距
離変動に伴って発生する機械的振動疑似妨害雑音信号低
減化のため、この雑音信号発生要因の根本的解決策につ
いて説明する。検査コイルと被検査材との相対的距離変
動で発生する妨害雑音信号発生要因としては種々考えら
れるが、次の2点を考慮することにより、雑音信号の発
生を実質的に抑えることができる。
【0026】(A)距離変動に伴って生ずる交番磁界が
雑音信号発生の要因であり、妨害発生は、検査コイルを
横切る磁力線の変化が少なくなるように検査コイルを配
置すればよいこと。
【0027】(B)妨害雑音信号に加担するその他の磁
力線分布をできるだけ排除すること。
【0028】先ず、前記(A)項については、検査コイ
ルの受感軸と磁力線の方向とを略直交するようにするこ
とにより解決できる。すなわち、探傷試験コイルの中の
励磁コイルによって発生した磁力線は、コイルの内筒軸
方向に進行したのち、コイル外周を大きく迂回して磁路
を形成する。検査コイルの受感軸は、励磁磁力線と直交
せしめ、通常状態時の一定励磁磁力線に不感とすること
によって達成される。
【0029】また、前記(B)項については、励磁コイ
ルの磁力線分布の垂直成分を低減化するための積極的な
手段を講ずる。この点詳述するに、例えば、熱間棒鋼製
造設備にあっては、正常且つ順調な圧延作業を遂行する
ために、一般的に、圧延用ロールと次の段の圧延用ロー
ルとの間隔を極力狭く配設する。また、圧延最終スタン
ド(ロール)直後にあっては、ラッパ状案内を随所に設
けている。かかるレイアウトにあっては、圧延用ロール
スタンド間又はロールスタンドと他のラッパ状案内器具
との中間からミスロールと称して、棒鋼が圧延設備外に
蛇行乱走することが最も恐れられている。このような状
況下にあって、被破壊検査装置等を圧延設備内に装着す
る場合、トンネル穴状の探傷試験コイル穴(内)径は、
圧延される鋼材外径に比べて可能な限り大きく、軸長
は、極力短くすることが強いられている。したがって、
渦流探傷用コイル装置においても、貫通励磁コイルの内
径は、出来るだけ短くする必要がある。
【0030】そこで、円筒状に長い巻線の励磁コイルを
備えた探傷試験コイル内の励磁磁力線分布の一般的な特
性を調べてみると、図9および図10に示すようなもの
であることがわかる。図9および図10に示す特性は、
単純なソレノイド空芯励磁コイルの磁束分布を示すもの
で、図9は、横軸にコイルの長さ方向の距離をとり、縦
軸に励磁磁力線の水平成分φの大きさをとったもので
あり、図10は、横軸にコイルの長さ方向の距離をと
り、縦軸に励磁磁力線の垂直成分φの大きさをとった
ものである。ここで、図10の励磁磁力線の垂直成分の
分布特性から明らかなように、検査コイルは、垂直成分
の小さい領域である励磁コイルの中間部に設けるのがよ
いのであるが、励磁コイルの内径をできるだけ大きく
し、軸長をできるだけ短くしようとする場合には、励磁
コイルの中間部における励磁磁力線の垂直成分の低減領
域がそれだけ狭くなってしまい、検査コイルの配設位置
に制約が生じてしまう。そこで、励磁コイルの内径を大
きくし軸長を短くしても、励磁コイルの中間部に垂直成
分の低減した領域が検査コイルを配置するに十分に得ら
れるように、図11に略示するような構成とする。図1
1に示すように、この構成によれば、貫通励磁コイル
は、主コイル部分70の両端の外周に付加コイル部分7
1および72を巻回してなる。
【0031】すなわち、図11において、参照符号W
は、主コイル部分70の巻幅(mm)を示し、参照符号
は、励磁磁力線分布の垂直成分低減化のために主コ
イル部分70の両端側に積層して巻回した付加コイル7
1および72の巻幅(mm)を示し、参照符号Dφは、
励磁コイルの平均径(mm)を示している。図11のよ
うな構成の貫通励磁コイルの種々な寸法のものを作製し
て、W0.1v/Dφの値を求める。ここで、 W0.1v:励磁コイルの両端面部の磁力線の内、垂直
成分の最大値を1としたとき、その1/10の強さとな
るV字状特性の領域(mm) Dφ :励磁コイルの平均径(mm) である。従って、W0.1v/Dφは励磁コイルの両端
面部の磁力線の内、垂直成分の最大値を1としたとき、
その1/10の強さとなるV字状特性の領域(mm)を
励磁コイルの平均径(mm)Dφで正規化した数値であ
る。その結果を、図12は示している。図12に示すグ
ラフは、横軸にW/Wの値をとり、縦軸にW
0.1v/Dφの値をとったものである。そして、曲線
Aは、W/Dφ=1.85の場合の特性を示し、曲線
Bは、W/Dφ=0.81の場合の特性を示してい
る。この図12の曲線から分かるように、単純ソレノイ
ドの励磁コイルの場合に比較して、付加コイル部分を設
けた励磁コイルの場合の方が、コイル内壁における垂直
成分を大幅に低減することができ、例えば、曲線Bに示
すように、W0.1v/Dφを15%から65%へと上
げることができ、すなわち、垂直成分低減領域を約4倍
に拡張することができる。
【0032】このような付加コイルの効果を確認するた
めに、従来の如く付加コイルのない単純なソレノイドコ
イルを励磁コイルとして用いた探傷装置と、それと同じ
ソレノイドコイルに前述したような付加コイルを設けた
コイルを励磁コイルとして用いた同様の探傷装置とで同
じ傷について探傷を行ってみた。図14のグラフは、従
来の付加コイルのない場合の探傷結果である位相特性を
示しており、図13は、付加コイルを設けた場合の探傷
結果である位相特性を示している。これらグラフにおい
て、上部の2つの曲線は、2つの種類の異なる傷に対し
てそれぞれ得られたガタ(ノイズ)信号を示している。
これらグラフから明らかなように、従来の励磁コイルを
用いた場合には、そのS/N比は、約5.9であったのに
対し、付加コイルを設けた励磁コイルの場合には、その
S/N比は、約11.8と2倍の改善が確認された。
【0033】なお、前述した実施例において、励磁コイ
ルの外周に磁気シールド73を設けたのは、このような
磁気シールドを設けることによって励磁磁気回路を形成
させることにより、大電力励磁実施時における探傷試験
コイルの外周筐体のヒステリシス損失を未然に防止し
て、発熱を抑制すると共に検査コイルの周辺温度上昇に
伴うドリフトを低減させるためである。
【0034】
【考案の効果】本考案による渦流探傷用コイル装置は、
前述したような構成であるので、検査コイルを小型化し
ても被検査材の全周に亘って均一の探傷感度を確保で
き、しかも、検査コイルの検出感度を改善し、リフトオ
フ特性の改善も容易となり、励磁コイルの内径を大きく
し軸方向の長さを短縮しても、機械的振動疑似妨害雑音
信号を低減化して探傷精度を向上させることができる等
の格別な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例としての渦流探傷用コイル装
置を適用した熱間渦流探傷用検出端を略示する部分破断
側面図である。
【図2】図1の熱間渦流探傷用検出端の正面図である。
【図3】図1の熱間渦流探傷用検出端における渦流探傷
用コイル装置の励磁コイルの部分を示す斜視図である。
【図4】図1の熱間渦流探傷用検出端における検査コイ
ル取付けボビンのみを示す斜視図である。
【図5】図4の検査コイル取付けボビンの中間部の部分
を拡大して示す図である。
【図6】図4の検査コイル取付けボビンにおける検査コ
イル列の部分拡大断面図である。
【図7】本考案の別の実施例における検査コイル取付け
ボビンを示す図4と同様の図である。
【図8】検査コイルの大きさと傷の大きさと得られる傷
信号のS/N比との関係を例示するグラフを示す図であ
る。
【図9】単純なソレノイド空芯例示コイルによる励磁磁
束の水平成分の分布を例示する図である。
【図10】単純なソレノイド空芯励磁コイルによる励磁
磁束の垂直成分の分布を例示する図である。
【図11】本考案における励磁コイルの基本的構造を略
示する図である。
【図12】図11に示したような構成の励磁コイルによ
る励磁磁力線分布の垂直成分の低減化を例示するための
グラフを示す図である。
【図13】本考案による渦流探傷用コイル装置を用いた
場合の傷信号のS/N比を例示するためのグラフを示す
図である。
【図14】従来の渦流探傷用コイル装置を用いた場合の
傷信号のS/N比を例示するためのグラフを示す図であ
る。
【符号の説明】
10 側板 11 貫通孔 20 噴流装置 21 給水管 22 給水口 30 励磁フレーム 40 検査コイル取付けボビン 43 リード線引出し溝 44 リード線引出し溝 51 検査コイル 52 検査コイル 53 検査コイル 54 距離測定用センサ 60 励磁コイルボビン 70 主コイル部分 71 付加コイル部分 72 付加コイル部分 73 磁気シールド部材 74 リード線 75 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 新田 重幸 北海道室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株 式会社室蘭製鐵所内 (72)考案者 田口 勝美 東京都板橋区桜川1丁目5番7号 原電 子測器株式会社内 (72)考案者 磯部 伸一 東京都板橋区桜川1丁目5番7号 原電 子測器株式会社内 (72)考案者 国分 章雄 東京都板橋区桜川1丁目5番7号 原電 子測器株式会社内 (56)参考文献 実開 平3−88107(JP,U) 実開 昭60−54957(JP,U) 特公 平7−37963(JP,B2) 特公 昭59−7940(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/72 - 27/90

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渦流探傷装置の被検査材を通すための貫
    通孔の周りに装着される貫通励磁コイルと、該貫通励磁
    コイルに内挿された検査コイル取付けボビンの円周に配
    列された複数の検査コイルとを備える渦流探傷用コイル
    装置において、前記貫通励磁コイルは、前記貫通孔の軸
    方向の所定幅に亘って延長する主コイル部分と、前記貫
    通励磁コイルの軸方向中央内壁部の垂直成分磁力線分布
    低減領域を拡張するように前記主コイル部分の両端部分
    に巻回された付加コイル部分とを備えており、前記複数
    の検査コイルの各々は、楕円状に巻回された平板状コイ
    ルであり、前記貫通励磁コイルから発生する励磁磁力線
    に不感であるようにその貫通励磁コイルと直交交差し、
    その平板状コイル面が前記検査コイル取付けボビンの円
    周面にそって延在するようにして、且つ隣接コイルの端
    部が前記検査コイル取付けボビンの半径方向において
    いに重なり合うようにして、前記検査コイル取付けボビ
    ンの円周にそって列をなして配設されたことを特徴とす
    る渦流探傷用コイル装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の検査コイルは、前記検査コイ
    ル取付けボビンの前記貫通孔の軸方向において所定の距
    離離間した2つの円周にそって2列に配設されており、
    前記軸方向において互いに対応する位置にある各列の検
    査コイル同志が差動接続されて対とされて傷信号を出力
    するようにされている請求項1記載の渦流探傷用コイル
    装置。
  3. 【請求項3】 前記検査コイルの大きさは、探傷すべき
    傷の最大長さの2倍より小さい請求項1または2記載の
    渦流探傷用コイル装置。
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