JP2577204C - - Google Patents

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JP2577204C
JP2577204C JP2577204C JP 2577204 C JP2577204 C JP 2577204C JP 2577204 C JP2577204 C JP 2577204C
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glass
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、撥水撥油性ガラスに関するものである。さらに詳しくは、家、また
は自動車、電車、飛行機等の乗り物に用いられている窓ガラスや鏡、またはガラ
ス容器や眼鏡等のガラス表面が、直接、または保護膜を介して、フッ素を含む界
面活性剤よりなる単分子膜状の被膜で覆われている、撥水撥油性に優れたガラス
提供するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来より、ガラス表面の撥水撥油性を改善する方法には、ガラス表面にSi系
界面活性剤を塗布したり、フルオロカーボン系ポリマーの懸濁液を塗布する方法
が用いられてきた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前述の塗布方法では製造が容易である反面、シリコン系界面活
性剤では撥油性が乏しく、フルオロカーボン系ポリマー膜は表面エネルギーが極
めて小さく、ガラスに対して反応しにくいため、ガラス表面と塗膜の密着性を良
くすることには限界があり、耐久性のよい塗膜は得られないという課題があった
。特に、塗膜にピンホールが混在した場合、このピンホールが引金となり膜剥が
れが生じ易かった。 【0004】 以上のような従来法の欠点に鑑み、本発明の目的は、表面に均一に且つピンホ
ール無くフルオロカーボン基を含む界面活性剤よりなる単分子膜状の耐剥離性に
優れた撥水撥油性被膜を備えた撥水撥油性ガラスを提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本発明の撥水撥油性ガラスは、撥水撥油性膜を表面
に形成したガラスであって、一端に-CF3基を有し他端にクロロシリル基または
アルコキシシリル基を有するシラン系界面活性剤分子から作製された膜が前記撥 OH基または-NH2基からなる親水性基を含む保護膜の形成されたガラスの表面
に化学結合した状態で形成され、液体の接触角のcosθを1.0に外挿した値
である臨界表面エネルギーが20dyne/cm以下であり、かつ前記撥水撥油
膜の表面にフッ化炭素基を露出させたことを特徴とする(但し、前記撥水撥油膜
中、下記一般式[A] (式中、m=1〜15、n=0〜15、ただしm+n=10〜30の各整数を表
わす) または下記一般式[B] (式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25の各
整数を表し、Aはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わす。) で表わされる有機基がナノメーターレベルの膜厚で形成された膜、及び前記式[
1]または[2]で示されるフッ素を含む有機基が単分子累積膜として形成され
ている膜を除く。) 。 【0006】 前記構成においては、シラン系界面活性剤から作製された膜を形成する分子の
フッ素の数が9以上で、かつ臨界表面エネルギーが17dyne/cm以下であ
ることが好ましい。 【0007】 前記構成においては、一端に−CF3基を有し他端にクロロシリル基またはア
ルコキシシリル基を有するシラン系界面活性剤として下記一般式(化1)または
下記一般式(化2)で表わされる分子を用いることが好ましい。 【0008】 【化1】 (式中、m=1〜15、n=0〜15、q=0〜2の各整数を示し、Rはアルキ
ル基を表し、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす) 【0009】 【化2】 (式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25、q
=0〜2の各整数を示し、Aは酸素原子(−O−)、オキシカルボニル基(−C
OO−)Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす。) 【0010】 本発明のガラスでは、表面にはフッ化炭素基が露出し、ガラスや保護膜との界
面ではガラスや保護膜と共有結合した、すなわち基材と一体になった実用上剥離
しないナノメーターレベルの膜厚の撥水撥油性の被膜が形成されている。したが
って、ガラス本来の透明性や光沢が生かされ、且つ耐久性に優れた撥水撥油効果
を発揮できる作用がある。 【0011】 さらに、本発明のガラスは、表面がフッ化炭素の有機基で覆われているため、
表面の摩擦係数が低くなりガラス自体の耐擦傷性が向上する作用もある。 【0012】 【実施例】 以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお下記の実施例中
、%は重量%を意味する。 【0013】 (実施例1) 例えば図1に示すように、あらかじめよく洗浄したガラス基材1(例えば強化
ガラス板)を用意しておく。一方、80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭素
、8%クロロホルムよりなる非水系有機溶媒の混合溶液に、ビニル基2(CH2
=CH−)を含むシラン界面活性剤、たとえば、CH2=CH−(CH2n−S
iCl3(n:整数。10〜20程度が最も扱いやすい。本実施例ではn=12 :テトラデセニルトリクロロシラン、n=16:オクタデセニルトリクロロシラン
、n=17:ノナデセニルトリクロロシランをそれぞれ用いた。)を3×10-3
〜5×10-2M(モル)程度の濃度で溶かした化学吸着液を調整しておき、前記
ガラス基材1を室温で1時間程度浸漬した。このとき、ガラス基材は必ずしも化
学吸着液に浸漬する必要はなく、液を塗布したりスプレーして、化学吸着液とガ
ラス基材を接触させておけば良い。このようにすると、図1に示したようにガラ
ス基体1表面は水酸基を含んでいるため、クロロシラン系界面活性剤のクロロシ
リル基と水酸基とが反応して表面に下記式(化3)の結合が生成され、ビニル基
2を含んだ単分子膜状の保護膜3aが酸素原子を介して化学結合した形で一層保
護膜として形成された。厚さは20〜30オングストローム(2〜3nm)であ
った。 【0014】 【化3】 【0015】 次に、酸素またはN2を含んだ雰囲気中で(空気中でもよい)、このガラス基
体をエネルギー線(電子線、X線、γ線、紫外線若しくはイオン線)で3Mra
d程度照射し、図2に示したようにビニル基部2に水酸(−OH)基4(酸素雰
囲気の場合)、または図3に示したようにアミノ(−NH2)基5(窒素雰囲気
の場合)を付加させる(なお、雰囲気が空気の場合はこの両者が生成する)。 【0016】 なお、これらの官能基がビニル基に付加することは、FTIR分析により確認
された。また、このとき表面に並んだビニル基は、O2やN2を含んだプラズマ中
で処理する方法でも、図2に示したような−OH基を付加させた単分子吸着保護
膜3b、または図3に示したような−NH2基を付加させた単分子吸着保護膜3
cを形成できる。 【0017】 最後に、フッ化炭素基を含むシラン系の界面活性剤として一般式 F(CF2m(CH2nSiRq3-q (式中m=1〜15、n=0〜15、m+n=1〜30(なお、被膜形成する
上で分子配向の最適値は10〜30であった)、q=0〜2の各整数を示し、R
はアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす) または F(CF2m(CH2nA(CH2pSi(CH3q3-q (式中m=1〜8、n=0〜2、m+n=1〜10、p=5〜25、q=0〜
2の各整数を示し、Aは酸素原子(−O−)、オキシカルボニル基(−COO−
)、またはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わし、Xはハロゲン原
子またはアルコキシ基を表わす。) で表わされる物質、例えばフッ化炭素基とクロロシリル基を含む CF3CH2O(CH215SiCl3 を用い、あらかじめ作製しておいた80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭素
、8%クロロホルムよりなる有機溶媒の混合溶液に2×10-3〜5×10-2M程
度の濃度で溶かした化学吸着液を調製し、前記単分子吸着保護膜3b、もしくは
3cが形成されたガラス基体1を1時間程度室温で浸漬すると(このときも、ガ
ラス基材は必ずしも化学吸着液に浸漬する必要はなく、液を塗布したりスプレー
して、化学吸着液とガラス基材を接触させておけば良い)、図2に示したように
表面に−OH基や、図3に示したように表面に−NH2基が露出しているため、
フッ化炭素基を含むクロロシラン系界面活性剤のクロロシリル基と−OH基また
は−NH2基とが反応して表面に下記式(化4)の結合、または下記式(化5)
の結合が生成され、ガラス基体の表面にフッ化炭素基を含む単分子吸着膜6が、
図4に示したような下層の単分子吸着保護膜3d、もしくは図5に示したような
下層の単分子吸着保護膜3eと層間で酸素または窒素を介して化学結合した状態
で単分子累積膜7,8として形成できた。 【0018】 【化4】 【0019】 【化5】 【0020】 なお、表面の撥水撥油性膜とガラス基体の間に保護膜を必要としない場合には
、第1回目の化学吸着工程で、フルオロカーボン基を含むクロロシラン界面活性
剤を用いて、ガラス表面にフルオロカーボン基を含む単分子吸着膜のみ1層形成
することができた。 【0021】 一方、複数層の単分子保護膜を必要とする場合には、吸着試薬としてCH2
CH−(CH2n−SiCl3を用い、化学吸着と放射線照射の工程を繰り返し
た後、最後に吸着試薬としてフルオロカーボン基を含むクロロシラン系界面活性
剤を吸着すれば、必要とする層数の保護膜を介して最表面にフルオロカーボン基
を含む単分子吸着膜が累積形成されたガラスを作製できた。 【0022】 なお、上記実施例では、最表面に形成すべきフッ化炭素基を含むシラン系界面
活性剤としてCF3CH2O(CH215SiCl3を用いたが、これ以外にも例え
ば、 (1) CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3 (2) F(CF24(CH22Si(CH32(CH29SiCl3 (3) CF3COO(CH215SiCl3 (4) CF3(CF27(CH22SiCl3 等が利用できた。また、上記物質においてクロロシリル基をアルコキシシリル基 に置換した物質をそれぞれ用いてもガラス基材表面に同様の被膜を形成できた。 【0023】 (実施例2) 次に、吸着形成した種々の単分子膜の臨界表面エネルギーを求めるために、い
ろいろな表面張力を持った各種液体を用い、液滴の濡れ角度による評価(自動接
触角計(協和界面科学(株)製))を行った。結果を図6に示す。なお、図6で
は測定した接触角のcosθと液滴の表面張力との関係で示した。この図6を用
いると、各種被膜の臨界表面エネルギーを、それぞれのデータをcosθが1.
0になるまで外挿することで求めることができる。 【0024】 図6より明らかなように、臨界表面エネルギーは被膜に含まれるフッ素の数が
多くなるほど小さくなり、フッ素の数が9以上では約17dyne/cm以下と
なった。この値は、ポリ4フッ化エチレン(約18dyne/cm:機能性含ふ
っ素高分子、日刊工業新聞社刊)のそれより小さく、これら被膜の表面では撥水
撥油性が極めて高いことが確認できた。 【0025】 さらに、この表面の水に対する濡れ角度を測定すると、基材表面の荒さにも依
存するが100〜150度となった。 従って、このガラス窓を用いれば乗り物の窓ガラスをワイパーレス化できたり
、眼鏡表面の曇を防止できる。 【0026】 なお図6中の略語は、下記の化合物からそれぞれ作成された被膜を示す。 (1)F17:F(CF28Si(CH32(CH29SiCl3 (2)F9:F(CF24(CH22O(CH215SiCl3 (3)F3:CF3COO(CH215SiCl3 (4)NTS:CH3(CH219SiCl3 なお、上記実施例では、基材に強化ガラスを用いたが、本発明の方法は、家、
または自動車、電車、飛行機等の乗り物に用いられている窓ガラスや鏡、または
ガラス容器やレンズ等のガラス表面、その他撥水撥油性を必要としたガラス表面 の改質を目的とする全てのガラスに応用できる。また、無色透明なガラスに限定
されるものでもなく、例えば表面を粗面化したすりガラスや、さらに着色された
色ガラス、またはガラス繊維等でもよい。 【0027】 要するに本発明は、親水性基を表面に有するガラスと、フルオロカーボン基を
含有するシラン界面活性剤とを化学吸着法を用いてガラス表面に化学結合させる
技術であれば、全て範疇にはいる。 【0028】 なお保護膜は必ずしも単分子膜である必要はない。塗布された有機薄膜、その
他ゾルゲル法を用いたシリカコート膜や透明性の蒸着膜でもよい。ただし、表面
が親水性でない場合には、コロナ照射或はスパッタリング等の通常の手法により
表面を親水性にした後、本発明のフルオロカーボン基含有シラン界面活性剤を作
用させる必要がある。 【0029】 【発明の効果】 本発明のガラスを用いれば、ガラスまたは保護膜を有したガラスの表面にフル
オロカーボン基を含むクロロシラン系またはフルオロカーボン基を含むアルコキ
シシラン系界面活性剤を吸着反応させて、表面にはフッ化炭素基が露出し、ガラ
スや保護膜との界面ではガラスや保護膜と共有結合した、すなわち基材と一体に
なったナノメーターレベルの膜厚の撥水撥油性の被膜が形成されているので、ガ
ラスの透明性や光沢を損なうことなく、防汚性が高く且つ実用上剥離しない耐久
性に優れた撥水撥油性ガラスを提供できる効果がある。 【0030】 さらに、本発明のガラスを用いれば、表面をフッ化炭素の有機基で被うので、
ガラス表面の摩擦係数が低くなりガラス自体の耐擦傷性が向上する。したがって
、基材ガラスそのものよりもさらに強靭性に優れたガラスを提供できる効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例1の末端にビニル基を有する化学吸着膜作成時のガ ラス表面の状態を分子レベルまで拡大した工程断面概念図。 【図2】 同、図1の状態から末端ビニル基を水酸基に置換した工程断面概念
図。 【図3】 同、図1の状態から末端ビニル基をアミノ基に置換した工程断面概
念図。 【図4】 同、図2の分子膜の表面にフロロカーボン基を有する分子膜を形成
した工程断面概念図。 【図5】 同、図3の分子膜の表面にフロロカーボン基を有する分子膜を形成
した工程断面概念図。 【図6】 本発明の実施例2の各種化学吸着膜の表面エネルギーを求めるため
にそれぞれの被膜上で測定した、各種表面張力を有する液滴に対する接触角のc
osθをプロットした図。 【符号の説明】 1 ガラス基体 2 ビニル基 3a,3b、3c 単分子吸着保護膜 3d,3e 単分子内層膜 4 水酸基 5 アミノ基 6 フルオロカーボン基を含む単分子吸着膜 7,8 単分子累積膜

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 撥水撥油性膜を表面に形成したガラスであって、一端に-CF3
    基を有し他端にクロロシリル基またはアルコキシシリル基を有するシラン系界面 親水性基を含むガラス表面または表面に-OH基または-NH2基からなる親水性
    基を含む保護膜の形成されたガラスの表面に化学結合した状態で形成され、液体
    の接触角のcosθを1.0に外挿した値である臨界表面エネルギーが20dy
    ne/cm以下であり、かつ前記撥水撥油膜の表面にフッ化炭素基を露出させた
    ことを特徴とする撥水撥油性ガラス(但し、前記撥水撥油膜中、下記一般式[A
    (式中、m=1〜15、n=0〜15、ただしm+n=10〜30の各整数を表
    わす) または下記一般式[B] (式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25の各
    整数を表し、Aはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わす。) で表わされる有機基がナノメーターレベルの膜厚で形成された膜、及び前記式[
    1]または[2]で示されるフッ素を含む有機基が単分子累積膜として形成され
    ている膜を除く。) 。 【請求項2】 シラン系界面活性剤から作製された膜を形成する分子のフッ素
    の数が9以上で、かつ臨界表面エネルギーが17dyne/cm以下である請求
    項1に記載の撥水撥油性ガラス。

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