JP2577203C - - Google Patents

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JP2577203C
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ガラスの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、家、また
は自動車、電車、飛行機等の乗り物に用いられている窓ガラスや鏡、またはガラ
ス容器や眼鏡等のガラス表面が、直接、または保護膜を介して、フッ素を含む界 面活性剤よりなる単分子膜状の被膜で覆われている、撥水撥油性に優れたガラス
の製造方法を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来より、ガラス表面の撥水撥油性を改善する方法には、ガラス表面にSi系
界面活性剤を塗布したり(特開昭55−9652号公報)、フルオロカーボン系
ポリマーの懸濁液を塗布する方法が用いられてきた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前記従来の塗布方法では製造が容易である反面、シリコン系界
面活性剤では撥油性が乏しく、一方、フルオロカーボン系ポリマー膜は表面エネ
ルギーが極めて小さく、ガラスに対して反応しにくいため、ガラス表面と塗膜の
密着性を良くすることには限界があり、耐久性のよい塗膜は得られないという問
題があった。特に、塗膜にピンホールが混在した場合、このピンホールが引金と
なり膜剥がれが生じ易かった。 【0004】 本発明は、前記従来の問題を解決するため、表面に均一に且つピンホール無く
フルオロカーボン基を含む界面活性剤よりなる単分子膜状の耐剥離性の高い撥水
撥油性被膜を備えた防汚性ガラスの製造方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため本発明の防汚性ガラスの製造方法は、一端に−CF3
基を有し他端にクロロシリル基またはアルコキシシリル基を有するシラン系界面
活性剤と非水系有機溶媒を含む混合溶液を用い、表面に親水性基を含むガラス表
面または表面に親水性基を含む保護膜の形成されたガラス表面と前記非水系有機
溶媒を含む混合溶液中のシラン系界面活性剤を接触反応させて、前記ガラス表面
または保護膜の形成されたガラス表面に化学結合した前記界面活性剤の分子残基
からできた単分子膜を形成するという構成を備えたものである。 【0006】 前記方法においては、一端に−CF3基を有し他端にクロロシリル基またはア
ルコキシシリル基を有するシラン系界面活性剤分子が前記一般式(化1)及び(
化2)から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。 【0007】 前記一般式(化1)及び(化2)で表わされるシラン系界面活性剤を用ると、
ガラス表面と反応一体化させることで下記一般式(化3)または(化4)で表わ
される有機基がガラス最表面に酸素または窒素原子を介して化学結合してなるガ
ラスを製造する上で好都合である。 【0008】 【化3】 (式中、m=1〜15、n=0〜15の各整数を表わす) 【0009】 【化4】 (式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25の各
整数を表し、Aは酸素原子(−O−)、カルボキシ基(−COO−)、またはジ
メチルシリル基(−Si(CH32−)を表わす。) 【0010】 本発明のガラスの製造方法では、表面にはフッ化炭素基が露出し、ガラスや保
護膜との界面ではガラスや保護膜と共有結合した、すなわち基材と一体になった
実用上剥離しないナノメーターレベルの膜厚の撥水撥油性の被膜を作製できる。
したがって、ガラス本来の透明性や光沢が生かされ、且つ耐久性に優れた防汚効
果を発揮できる作用がある。 【0011】 さらに、本発明のガラスの製造方法で作製したガラスは、表面がフッ化炭素の 有機基で覆われているため、表面の摩擦係数が低くなりガラス自体の耐擦傷性が
向上する作用もある。 【0012】 【実施例】 以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお下記の実施例中
、%は重量%である。 【0013】 (実施例) 例えば、図1に示すように、あらかじめよく洗浄したガラス基材1(例えば強
化ガラス板)を用意しておく。一方、80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭
素、8%クロロホルムよりなる非水系有機溶媒の混合溶液に、ビニル基2(CH
2=CH−)を含むシラン界面活性剤、たとえば、CH2=CH−(CH2n−S
iCl3(n:整数。10〜20程度が最も扱いやすい。本実施例ではn=12
:テトラデセニルトリクロロシラン、n=16:オクタデセニルトリクロロシラ
ン、n=17:ノナデセニルトリクロロシランをそれぞれ用いた。)を3×10
-3〜5×10- 2M(モル)程度の濃度で溶かした化学吸着液を調整しておき、前
記ガラス基材1を室温で1時間程度浸漬する(このとき、ガラス基材は必ずしも
化学吸着液に浸漬する必要はなく、液を塗布したりスプレーして、化学吸着液と
ガラス基材を接触させておけば良い)。この処理により、図1に示したようにガ
ラス基体1表面は水酸基を含んでいるため、クロロシラン系界面活性剤のクロロ
シリル基と水酸基とが脱塩化水素反応して表面に下記式(化5)の結合が生成さ
れ、ビニル基2を含んだ単分子膜状の保護膜3aが酸素原子を介して化学結合し
た形で一層保護膜として形成された。この保護膜3aは20〜30オングストロ
ーム(2〜3nm)の厚さであった。 【0014】 【化5】 (ただしn:整数でかつ10〜20の範囲。) 【0015】 次に、酸素またはN2を含んだ雰囲気中で(空気中でもよい)、このガラス基
体をエネルギー線(電子線、X線、γ線、紫外線若しくはイオン線)で3Mra
d程度照射し、図2に示したようにビニル基部2に水酸(−OH)基4(酸素雰
囲気の場合)、または図3に示したようにアミノ(−NH2)基5(窒素雰囲気
の場合)を付加させる(なお、雰囲気が空気の場合はこの両者が生成する)。 【0016】 なお、これらの官能基がビニル基に付加することは、FTIR分析により確認
された。また、このとき表面に並んだビニル基は、O2やN2を含んだプラズマ中
で処理する方法でも、図2に示したような−OH基を付加させた単分子吸着保護
膜3b、または図3に示したような−NH2基を付加させた単分子吸着保護膜3
cを形成できる。 【0017】 最後に、フッ化炭素基を含むシラン系の界面活性剤として一般式 F(CF2m(CH2nSiRq3 -q (式中m=1〜15、n=0〜15、(なお、被膜を形成する上で分子配向性
の最適値はm+n=10〜30であった)、q=0〜2の各整数を示し、Rはア
ルキル基を表わし、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす) または F(CF2m(CH2nA(CH2pSi(CH3q3-q (式中m=1〜8、n=0〜2、m+n=1〜10、p=5〜25、q=0〜
2の各整数を示し、Aは酸素原子(−O−)、オキシカルボニル基(−COO−
)、またはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わし、Xはハロゲン原 子またはアルコキシ基を表わす。) で表わされる物質、例えばフッ化炭素基とクロロシリル基を含む CF3CH2O(CH215SiCl3 を用い、あらかじめ作製しておいた80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭素
、8%クロロホルムよりなる有機溶媒の混合溶液に2×10-3〜5×10-2M程
度の濃度で溶かした化学吸着液を調製し、前記単分子吸着保護膜3b、もしくは
3cが形成されたガラス基体1を1時間程度室温で浸漬すると(このときも、ガ
ラス基材は必ずしも化学吸着液に浸漬する必要はなく、液を塗布したりスプレー
して、化学吸着液とガラス基材を接触させておけば良い)、図2に示したように
表面に−OH基や、図3に示したように表面に−NH2基が露出しているため、
フッ化炭素基を含むクロロシラン系界面活性剤のクロロシリル基と−OH基また
は−NH2基とが脱塩化水素反応して表面に下記式(化6)の結合、または(化
7)の結合が生成され、ガラス基体の表面にフッ化炭素基を含む単分子吸着膜6
が、図4に示したような下層の単分子内層膜3d、もしくは図5に示したような
下層の単分子内層膜3eと層間で酸素分子または窒素分子を介して化学結合した
状態で単分子累積膜7として形成できた。 【0018】 【化6】 【0019】 【化7】 【0020】 なお、表面の撥水撥油性膜とガラス基体の間に内層の保護膜を必要としない場 合には、第1回目の化学吸着工程で、フルオロカーボン基を含むクロロシラン界
面活性剤を用いて、ガラス表面にフルオロカーボン基を含む単分子吸着膜のみ1
層形成することができた。 【0021】 一方、複数層の単分子保護膜を必要とする場合には、吸着試薬としてCH2
CH−(CH2n−SiCl3を用い、化学吸着と放射線照射の工程を繰り返し
た後、最後に吸着試薬としてフルオロカーボン基を含むクロロシラン系界面活性
剤を吸着すれば、必要とする層数の保護膜を介して最表面にフルオロカーボン基
を含む単分子吸着膜が累積形成されたガラスを作製できた。 【0022】 なお、上記実施例では、最表面に形成すべきフッ化炭素基を含むシラン系界面
活性剤としてCF3CH2O(CH215SiCl3を用いたが、これ以外にも例え
ば等が利用できた。 (1)CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3 (2)F(CF24(CH22Si(CH32(CH29SiCl3 (3)CF3COO(CH215SiCl3 (4)CF3(CF27(CH22SiCl3 また、上記物質においてクロロシリル基をアルコキシシリル基に置換した物質
をそれぞれ用いてもガラス基材表面に同様の被膜を形成できた。 【0023】 (実施例2) 次に、吸着形成した種々の単分子膜の臨界表面エネルギーを求めるために、い
ろいろな表面張力を持った各種液体を用い、液滴の濡れ角度による評価(自動接
触角計(協和界面科学(株)製))を行った。結果を図6に示す。なお、図6で
は測定した接触角のcosθと液滴の表面張力との関係で示した。この図6を用
いると、各種被膜の臨界表面エネルギーを、それぞれのデータをcosθが1.
0になるまで外挿することで求めることができる。 【0024】 図6より明らかなように、臨界表面エネルギーは被膜に含まれるフッ素の数が 多くなるほど小さくなり、フッ素の数が9以上では約17dyne/cm以下と
なった。この値は、ポリ4フッ化エチレン(約18dyne/cm:機能性含ふ
っ素高分子、日刊工業新聞社刊)のそれより小さく、これら被膜の表面では撥水
撥油性が極めて高いことが確認できた。 【0025】 さらに、この表面の水に対する濡れ角度を測定すると、基材表面の荒さにも依
存するが100〜150度となった。 従って、このガラス窓を用いれば乗り物の窓ガラスをワイパーレス化できたり
、眼鏡表面の曇を防止できる。 【0026】 なお図6中の記号は次の化合物で形成された単分子膜を示している。 (1)F17:F(CF28Si(CH32(CH29SiCl3 (2)F9:F(CF24(CH22O(CH215SiCl3 (3)F3:CF3COO(CH215SiCl3 (4)NTS:CH3(CH219SiCl3 なお、上記実施例では、基材に強化ガラスを用いたが、本発明の方法は、家、
または自動車、電車、飛行機等の乗り物に用いられている窓ガラスや鏡、または
ガラス容器やレンズ等のガラス表面、その他撥水撥油性を必要としたガラス表面
の改質を目的とする全てのガラスに応用できる。また、無色透明なガラスに限定
されるものでもなく、例えば表面を粗面化したすりガラスや、さらに着色された
色ガラス、またはガラス繊維等でもよい。 【0027】 本発明は、親水性基を表面に有するガラスと、フルオロカーボン基を含有する
シラン界面活性剤とを化学吸着法を用いてガラス表面に化学結合させる技術であ
れば、全て範疇にはいる。 【0028】 なお保護膜は必ずしも単分子膜である必要はない。塗布された有機膜、その他
ゾルゲル法を用いたシリカコート膜や透明性の蒸着膜でもよい。ただし、表面が
親水性でない場合には、コロナ照射或はスパッタリング等の通常の手法により表 面を親水性にした後、本発明のフルオロカーボン基含有シラン界面活性剤を接触
させる必要がある。 【0029】 【発明の効果】 本発明のガラスの製造方法を用いれば、ガラスまたは保護膜を有したガラスの
表面にフルオロカーボン基を含むクロロシラン系またはフルオロカーボン基を含
むアルコキシシラン系界面活性剤を吸着反応させて、表面にはフッ化炭素基が露
出し、ガラスや保護膜との界面ではガラスや保護膜と共有結合した、すなわち基
材と一体になったナノメーターレベルの膜厚の撥水撥油性の被膜を形成できるの
で、ガラスの透明性や光沢を損なうことなく、防汚性が高く且つ実用上剥離しな
い耐久性に優れたガラスを提供できる効果がある。 【0030】 さらに、本発明のガラスの製造方法を用いれば、表面をフッ化炭素の有機基で
被うので、ガラス表面の摩擦係数が低くなりガラス自体の耐擦傷性が向上する。
したがって、基材ガラスそのものよりもさらに強靭性に優れたガラスを提供でき
る効果もある。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例1の末端にビニル基を有する化学吸着膜作成時のガ
ラス表面の状態を分子レベルまで拡大した工程断面概念図。 【図2】 同、図1の状態から末端ビニル基を水酸基に置換した工程断面概念
図。 【図3】 同、図1の状態から末端ビニル基をアミノ基に置換した工程断面概
念図。 【図4】 同、図2の分子膜の表面にフロロカーボン基を有する分子膜を形成
した工程断面概念図。 【図5】 同、図3の分子膜の表面にフロロカーボン基を有する分子膜を形成
した工程断面概念図。 【図6】 本発明の実施例2の各種化学吸着膜の表面エネルギーを求めるため
にそれぞれの被膜上で測定した、各種表面張力を有する液滴に対する接触角のc osθをプロットした図。 【符号の説明】 1 ガラス基体 2 ビニル基 3a,3b、3c 単分子吸着保護膜 3d,3e 単分子内層膜 4 水酸基 5 アミノ基 6 フルオロカーボン基を含む単分子吸着膜 7,8 単分子累積膜

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 一端に−CF3基を有し他端にクロロシリル基またはアルコキ
    シシリル基を有するシラン系界面活性剤と非水系有機溶媒を含む混合溶液を用い
    表面に親水性基を含むガラス表面または表面に親水性基を含む保護膜の形成さ
    れたガラス表面と前記非水系有機溶媒を含む混合溶液中のシラン系界面活性剤を
    接触反応させて、前記ガラス表面または保護膜の形成されたガラス表面に化学結
    合した前記界面活性剤の分子残基からできた単分子膜を形成する防汚性ガラスの
    製造方法。 【請求項2】 一端に−CF3基を有し他端にクロロシリル基またはアルコキ
    シシリル基を有するシラン系界面活性剤分子が下記一般式(化1)及び(化2)
    から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の防汚性ガラスの製造方法。 【化1】 (式中、m=1〜15、n=0〜15、q=0〜2の各整数を示し、Rはアルキ
    ル基を表し、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす) 【化2】 (式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25、q
    =0〜2の各整数を示し、Aは酸素原子(−O−)、オキシカルボニル基(−C
    OO−)、またはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わし、Xはハロ
    ゲン原子またはアルコキシ基を表わす。)

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