JP2575249B2 - 推進工法用管における滑剤注入口形成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、推進工法用管におい
て、滑剤などの注入口を形成する方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】地中を推進して敷設される推進工法用管
として、鉄管の外周に外装鋼管を配置し、この外装鋼管
と鉄管との間にモルタルを充填したものが知られてい
る。このような推進工法用管を地中に推進させる際に
は、外装鋼管と外部土砂との間の摩擦を軽減するため
に、管内から管外に向けて滑剤を注入することが行われ
ている。このため推進工法用管には、管壁を貫通して滑
剤注入口が形成される。

【０００３】図６は、このような推進工法用管の断面図
を示す。図６において、１は鋳鉄管などの鉄管、２は鉄
管１の厚肉部に形成された滑剤注入用の孔部で、その内
周面には、管内から管外へ滑剤を供給するための供給管
のニップルなどを装着するためのねじが形成されてい
る。３は鉄管１の外周に配置された外装鋼管、４は鉄管
１と外装鋼管３の間に充填されたモルタルであり、鉄管
１の孔部２に対応する位置の外装鋼管３、モルタル４の
部分は穿孔されて除去され、滑剤注入口５が形成され
る。

【０００４】この滑剤注入口５の形成方法はたとえば次
のようにして行われる。図６において、鉄管１に設けら
れた孔部２の外側開口に発泡ポリエチレン製の中子（図
示せず）を嵌着し、次に鉄管１の外周に外装鋼管３を鋼
管内面が中子の外面に密着するように配置する。このと
き、外装鋼管３として、鉄板を螺旋状に巻回し、その衝
き合せ端面を鋼管内面で互いにかしめ合せて構成したス
パイラル鋼管を使用する場合、外装鋼管３の配置時に、
鋼管内面に突出するかしめ部６の中間の鉄板部が中子に
対応する位置にくるように配置される。その後、鉄管１
と外装鋼管３の間にモルタル４が充填されるが、滑剤注
入口となる孔部２の内部にモルタル４が流入することは
中子により阻止される。

【０００５】次に、鉄管１の孔部２の中心を通して管内
からドリルなどにより外装鋼管３にセンター孔（図示せ
ず）を加工し、このセンター孔を利用して管外からホー
ルソー（図示せず）により外装鋼管３に孔をあけ、最後
に中子を取り出して滑剤注入口５を完成する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の滑剤注入口の形成方法では、外装鋼管３を鉄管１の
外周に配置する際に、外装鋼管３の内面に突出するかし
め部６の孔部２に対する位置決めは慎重を要するもので
あり、もし、かしめ部６が孔部２に対してずれて配置さ
れた場合、その後のホールソーによる孔あけの際に、か
しめ部の一部がホールソーによって切断されてしまい、
外装鋼管３の強度が低下するという問題があった。ま
た、標準管に設けられている滑剤注入口５は１ヶ所であ
るが、ユーザーの要求に応じて複数個所に増設すること
が生じた場合、まず孔部を形成しておいて行う従来の形
成方法で、孔部が複数になるため、さらに困難を伴うも
のであった。

【０００７】本発明は上記問題を解決するもので、たと
え外装鋼管にスパイラル鋼管を使用しても、また滑剤注
入口を１ヶ所だけ有する標準管であっても、簡単に増設
することができる滑剤注入口形成方法を提供することを
目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の滑剤注入口形成方法は、外部より外装鋼管
およびモルタルに穿孔し、さらにその位置で鉄管の管壁
に孔部をあけ、この孔部に形成されたねじに装着される
ねじ部を少なくとも下端外周面に有しかつ管内から管外
へ滑剤を供給するための供給管が装着される筒状のソケ
ットを、上記ねじ部を介して鉄管の孔部に装着し、上記
ソケットの外周面と鉄管の孔部内面およびモルタルの間
に樹脂を充填し、ソケットの外周面を管内部に対して密
封するとともに、ソケット内部に滑剤注入口を形成する
ものである。

【０００９】

【作用】上記構成により、ユーザーから複数箇所に滑剤
注入口を設置する要求があっても、管外部から管直部に
容易に注入口を増設することができ、しかも外装鋼管に
スパイラル鋼管を使用したとしても、そのかしめ部に損
傷を与えるようなことはない。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。図１〜図５は本発明の一実施例の推進工法用管に
おける滑剤注入口の形成方法を示す各工程の断面図であ
り、図６と同一符号のものは同一の機能を有し、その詳
細な説明は省略する。

【００１１】図１において、図６に示す鉄管１の直管部
１ａにおいて、スパイラン鋼管よりなる外装鋼管３をか
しめ部を除く部分でホールソー（図示せず）により穿孔
し、この部分のモルタル４を取り除き、さらにこの位置
で、図２に示すように、鉄管１の管壁に孔部11を形成
し、この孔部11の内周面にねじ12を切る。

【００１２】次に、図３に示すように、孔部11のねじ12
に装着されるねじ部13を下端外周面に有しかつ管内から
管外へ滑剤を供給するための供給管のニップルなどが装
着されるねじ部14を内周面に有するソケット15を製作す
る。

【００１３】次に、図４に示すように、ソケット15を管
外より挿入し、下端外周面のねじ部13を管壁の孔部11の
ねじ12にねじ込んで植立させ、その後、ねじ12とねじ部
13との装着部およびモルタル４とソケット15の上部外周
面との間に樹脂16を充填し、ソケット15の外周面を管内
部に対して密封するとともに、ソケット15の内部に滑剤
注入口17を形成する。

【００１４】上記のような手順によって形成された滑剤
注入口17に、図５に示すように、中央に開口18を有する
止水リング19と、この止水リング19の下面に圧着する０
リング20を閉塞上面部に有するプラグ21とを、ソケット
15の内周面に形成されたねじ部14を介して装着させて取
り付けることにより、図６に示す１つ目の注入口５と同
じ機能を持たせることが可能となる。なお、止水リング
19の外周面のねじ部とソケット15の上部内周面のねじ部
14との装着部には、さらに樹脂22が充填され、止水リン
グ19の外周面を管内部に対して密封する。

【００１５】以上のように、本実施例によれば、標準管
に設けられる１ヶ所の滑剤注入口以外に、ユーザーの要
求に応じて複数箇所に設置する場合が発生しても、簡単
にこれに対応できる。しかも、外装鋼管にスパイラル鋼
管を使用しても、そのかしめ部を避けて実施することが
容易に行えるため、スパイラル鋼管の強度を低下させる
ようなことはなくなる。なお、標準管に設けられる１つ
目の滑剤注入口も上記のような方法で形成することも可
能である。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、ユーザー
の要求に応じて複数箇所に滑剤注入口を形成することが
容易となり、またスパイラル鋼管の外装鋼管に対しても
そのかしめ部を避けて実施することが容易となり、その
実用的価値は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の滑剤注入口形成方法におい
て、推進工法用管の外装鋼管およびモルタルに穿孔する
工程を示す断面図である。

【図２】同滑剤注入口形成方法において、管壁に孔部を
あける工程を示す断面図である。

【図３】同滑剤注入口形成方法において、管壁の孔部に
装着するソケットの断面図である。

【図４】同滑剤注入口形成方法において、ソケットを管
壁の孔部に装着する工程を示す断面図である。

【図５】同滑剤注入口形成方法において、注入口に止水
リングとプラグを取り付けて１つ目の注入口と同じ機能
を持たせることを示す断面図である。

【図６】従来の推進工法用管の断面図である。

【符号の説明】

１ 鉄管 ３ 外装鋼管 ４ モルタル ６ かしめ部 11 孔部 12 孔部に形成したねじ 13 ソケットの下端外周面に形成したねじ部 14 ソケットの内周面に形成したねじ部 15 ソケット 16 樹脂 17 滑剤注入口

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄管とその外周に配置された外装鋼管と
   の間にモルタルが充填される推進工法用管における滑剤
   注入口の形成方法であって、外部より外装鋼管およびモ
   ルタルに穿孔し、さらに鉄管の管壁に孔部をあけ、この
   孔部に形成されたねじに装着されるねじ部を少なくとも
   下端外周面に有しかつ管内から管外へ滑剤を供給するた
   めの供給管が装着される筒状のソケットを、上記ねじ部
   を介して鉄管の孔部に装着し、上記ソケットの外周面と
   鉄管の孔部内面およびモルタルの間に樹脂を充填し、ソ
   ケットの外周面を管内部に対して密封するとともに、ソ
   ケット内部に滑剤注入口を形成することを特徴とする推
   進工法用管における滑剤注入口形成方法。