JP2574364C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
この発明は、成形性の優れた半導体装置に関するものである。
〔従来の技術〕
最近では、トランジスタ,IC,LSI等の半導体素子はプラスチツクパツケ
ージを用いた樹脂封止が主流になつている。この種の樹脂封止には、従来からエ
ポキシ樹脂組成物が使用されており、良好な成績を収めている。上記エポキシ樹
脂組成物としては、特に、エポキシ樹脂と、硬化剤としてのフエノール樹脂と、
その他、硬化促進剤としての2−メチルイミダゾール,無機質充填剤としてのシ
リカ粉末等の組成系で構成されているものが、成形性(特にトランスフアー成形
)等に優れたものとして賞用されている。一般に、成形性という観点からこのよ
うな封止樹脂に要望されることは、成形時に封止樹脂が適度に溶解しキヤビテ
イ内を流れて充填せしめることができること、所定の時間内で固化すること、
金型と樹脂の離型が良好であること、キヤビテイ内に充填された封止樹脂内
にボイドが少ないこと、パツケージとフレーム界面に発生する樹脂バリが少な
いこと等である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、上記各要望の中でも、特に、パツケージとフレーム界面に発生
する樹脂バリが問題となつており、従来の封止樹脂材料では、一般に厚み5〜5
0μm 程度の樹脂バリといわれるものはその発生が防止されていなかつた。した
がつて、このような樹脂バリを取り除くためには、樹脂を溶剤で溶解したり、機
械的にバリ取りの処理を行うというようにバリ取りの余計な工程を経なければな
らないのが現状である。 この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、樹脂封止に用いる樹脂組
成物中に特定の粒径の充填剤を一定量含有させることにより樹脂バリの発生を抑
制し、成形性に著しく優れた半導体装置を提供することをその目的とするもので
ある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、この発明の半導体装置は、半導体素子を下記の(
A)成分を含有し、かつ(A)成分の配合割合が樹脂組成物全体の65重量%を
超えて85重量%以下に設定された樹脂組成物で封止するという構成をとる。 (A)平均粒径が10〜25μm で、0.1μm 以下の微細粒子を0.2〜1
0重量%含有する充填剤。 〔作用〕 すなわち、本発明者は、上記樹脂バリの発生を抑制するための一連の研究の過
程で、樹脂バリは低粘度の樹脂組成物を用いたトランスフアー成形時に樹脂組成
物の注入圧力を上げると樹脂バリがよく発生し、注入圧力を下げると樹脂バリの
発生が減少することが確認されていることから、上記樹脂バリは、例えばエポキ
シ樹脂と硬化剤との反応が不充分であり、架橋の不充分なエポキシ樹脂組成物が
注入圧力により流出し発生するものと考えた。そこで、上記エポキシ樹脂組成物
に含有される充填剤がエポキシ樹脂組成物の流出を抑制するのに効果的なのでは
ないかと考え研究を重ねた結果、封止樹脂中に含有される充填剤の粒径とその含
有量によつてトランスフアーモールド成形の際に樹脂組成物の流れ性が変化して
樹脂バリの発生に影響を及ぼすことが確認された。これを中心にさらに研究を重
ねた結果、封止樹脂組成物中に添加する充填剤として、粒径0.1μm 以下の微
粉 末充填剤を全充填剤中0.2〜10%含有した充填剤を使用すると、樹脂バリ等
の形成が抑制されることを見いだしこの発明に到達した。 この発明の半導体装置は、特殊な組成の充填剤を含有する樹脂組成物を用いて
得られる。 上記充填剤としては、酸化珪素,酸化チタン,酸化アンチモン,炭酸カルシウ
ムおよびタルク等の無機質充填剤があげられ、特に、酸化珪素が好適に用いられ
る。 つぎに、上記充填剤中0.2〜10%、好ましくは0.5〜5%の量の充填剤を
予め粒径0.1μm 以下の微粉末にする。このようにすると、上記微粉末充填剤
が堰をつくりエポキシ樹脂組成物の流出を防ぎ、樹脂バリ等の形成を妨げるよう
になる。ただし、上記微粉末充填剤の使用量が0.2%未満になると充填剤によ
る目詰まり効果(充填剤が堰をつくり樹脂の流出を防ぐ)が認められなくなりそ
の結果樹脂バリが生じ、10%を超えると充填剤の表面を樹脂が充分に覆わなく
なり光沢性の悪い樹脂封止の半導体装置となる。 このような微粉末充填剤を前述の割合だけ含有する充填剤は、平均粒径が10
〜25μm のものである。この数値範囲をはずれると、樹脂組成物の未充填部分
を生じ、成形作業性に問題が生じると同時に不良品の発生率が高くなる傾向がみ
られるからである。なお、充填剤としては全てのものの数値が200μm 以下、
特に150μm 以下であることが好ましい。 なお、充填剤の粒径は、シーラスレーザー粒度解折モデル715(Gramulome
tre −715)により測定できる。 上記のような充填剤とともに使用される樹脂は、特に限定するものではなく、
クレゾールノボラツク型等、従来から半導体装置の封止樹脂として用いられる各
種のエポキシ樹脂等が使用される。 上記エポキシ樹脂の硬化剤としては、フエノールノボラツク樹脂が好適に用い
られる。 なお、硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール等が用いられる。 この発明に用いる樹脂組成物は、例えばつぎのようにして製造することができ
る。すなわち、エポキシ樹脂,エポキシ樹脂硬化剤,充填剤およびその他の添加 剤を適宜配合し、例えば、ドライブレンド法によつて均一分散させた後、押出混
練機により溶融混合し、冷却固化後粉砕を行い製造することができる。 微粉末充填剤を前述の割合だけ含有する充填剤は、樹脂組成物全体の65%を
超えて85%以下に設定配合することが好ましい。すなわち、充填剤全体の配合
量が65%以下になると樹脂組成物にチキソトロピ−性を付与しにくく、したが
つて、成形作業性に支障を生じると同時に応力歪みが大きくなり、封止樹脂に悪
影響を生じるようになるからである。逆に、上記充填剤全体の配合量が85%を
超えると、トランスフアーモールド成形等の成形作業において、樹脂組成物の未
充填部分が生じやはり問題が生じる傾向がみられるからである。 このようなエポキシ樹脂組成物を用いての半導体封止は特に限定されるもので
はなく、例えば、トランスフアー成形等の公知のモールド方法(マルチプランジ
ヤ方式を含む)によつて行うことができる。上記トランスフアー成形によつて成
形を行う場合には、その成形条件を、樹脂材料の注入圧力40〜120kg/cm2
、より好ましくは60〜80kg/cm2、成形温度160〜190℃、成形時間4
0秒〜3分間に設定することが好適であり、キユアー条件を、例えば150〜1
80℃で3〜5時間と設定することが好適である。 〔発明の効果〕 以上のように、この発明の半導体装置は、充填剤として0.1μm 以下の粒径
を有する微粉末充填剤を充填剤全体の0.2〜10%含有する樹脂組成物によつ
て被覆モールドされているため、製造過程において樹脂組成物の流出が上記微粉
末充填剤の目詰まり効果によつて妨げられ樹脂バリの発生を抑制することができ
る。したがつて、樹脂バリの除去工程を省略することができる。 つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。 〔実施例1〜4,比較例1〜3〕 後記の第1表に従つて、各原料を配合し、ミキシングロール機(ロール温度1
00℃)で3分間溶融混練を行い、冷却固化後粉砕を行つて目的する微粉末状の
エポキシ樹脂組成物を得た。 つぎに、実施例および比較例によつて得られた微粉末状のエポキシ樹脂組成物
を用い、半導体素子をトランスフアーモールドすることにより半導体装置を得た
。 以上の実施例および比較例で得られた半導体装置について、バリ検査および外
観検査を行つた。その結果を第2表に示した。 なお、バリ検査方法はつぎのようにして行つた。第1図および第2図(第1図
のA−A’断面図)に示すような金型を用意し、トランスフアープレスに装着す
る。1は台、2は溝である。つぎに、金型とトランスフアープランジヤーを温度
175℃に上げ、エポキシ樹脂組成物をポツトに入れすぐにトランスフアー成形
する。成形条件は、トランスフアー圧力70±5kg/cm2、トランスフアーラム
速度3〜6mm/sec に設定する。2分のキユアー時間を経た後、プレスを開く。
つぎに、金型を開き、各々の溝2から出たバリの厚み20μm(A),5μm(B
),50μm(C)の3種類のバリの長さについてノギスにより0.1mmまで測定
する。 上記の表から明らかなように、0.1μm 以下の粒径を有する微粉末充填剤を
0.2〜10%含有した無機質充填剤を使用した実施例品では、外観検査および
バリ検査の結果が良好であり、したがつて比較例品に比べて優れた半導体装置が
得られていることがわかる。
ージを用いた樹脂封止が主流になつている。この種の樹脂封止には、従来からエ
ポキシ樹脂組成物が使用されており、良好な成績を収めている。上記エポキシ樹
脂組成物としては、特に、エポキシ樹脂と、硬化剤としてのフエノール樹脂と、
その他、硬化促進剤としての2−メチルイミダゾール,無機質充填剤としてのシ
リカ粉末等の組成系で構成されているものが、成形性(特にトランスフアー成形
)等に優れたものとして賞用されている。一般に、成形性という観点からこのよ
うな封止樹脂に要望されることは、成形時に封止樹脂が適度に溶解しキヤビテ
イ内を流れて充填せしめることができること、所定の時間内で固化すること、
金型と樹脂の離型が良好であること、キヤビテイ内に充填された封止樹脂内
にボイドが少ないこと、パツケージとフレーム界面に発生する樹脂バリが少な
いこと等である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、上記各要望の中でも、特に、パツケージとフレーム界面に発生
する樹脂バリが問題となつており、従来の封止樹脂材料では、一般に厚み5〜5
0μm 程度の樹脂バリといわれるものはその発生が防止されていなかつた。した
がつて、このような樹脂バリを取り除くためには、樹脂を溶剤で溶解したり、機
械的にバリ取りの処理を行うというようにバリ取りの余計な工程を経なければな
らないのが現状である。 この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、樹脂封止に用いる樹脂組
成物中に特定の粒径の充填剤を一定量含有させることにより樹脂バリの発生を抑
制し、成形性に著しく優れた半導体装置を提供することをその目的とするもので
ある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、この発明の半導体装置は、半導体素子を下記の(
A)成分を含有し、かつ(A)成分の配合割合が樹脂組成物全体の65重量%を
超えて85重量%以下に設定された樹脂組成物で封止するという構成をとる。 (A)平均粒径が10〜25μm で、0.1μm 以下の微細粒子を0.2〜1
0重量%含有する充填剤。 〔作用〕 すなわち、本発明者は、上記樹脂バリの発生を抑制するための一連の研究の過
程で、樹脂バリは低粘度の樹脂組成物を用いたトランスフアー成形時に樹脂組成
物の注入圧力を上げると樹脂バリがよく発生し、注入圧力を下げると樹脂バリの
発生が減少することが確認されていることから、上記樹脂バリは、例えばエポキ
シ樹脂と硬化剤との反応が不充分であり、架橋の不充分なエポキシ樹脂組成物が
注入圧力により流出し発生するものと考えた。そこで、上記エポキシ樹脂組成物
に含有される充填剤がエポキシ樹脂組成物の流出を抑制するのに効果的なのでは
ないかと考え研究を重ねた結果、封止樹脂中に含有される充填剤の粒径とその含
有量によつてトランスフアーモールド成形の際に樹脂組成物の流れ性が変化して
樹脂バリの発生に影響を及ぼすことが確認された。これを中心にさらに研究を重
ねた結果、封止樹脂組成物中に添加する充填剤として、粒径0.1μm 以下の微
粉 末充填剤を全充填剤中0.2〜10%含有した充填剤を使用すると、樹脂バリ等
の形成が抑制されることを見いだしこの発明に到達した。 この発明の半導体装置は、特殊な組成の充填剤を含有する樹脂組成物を用いて
得られる。 上記充填剤としては、酸化珪素,酸化チタン,酸化アンチモン,炭酸カルシウ
ムおよびタルク等の無機質充填剤があげられ、特に、酸化珪素が好適に用いられ
る。 つぎに、上記充填剤中0.2〜10%、好ましくは0.5〜5%の量の充填剤を
予め粒径0.1μm 以下の微粉末にする。このようにすると、上記微粉末充填剤
が堰をつくりエポキシ樹脂組成物の流出を防ぎ、樹脂バリ等の形成を妨げるよう
になる。ただし、上記微粉末充填剤の使用量が0.2%未満になると充填剤によ
る目詰まり効果(充填剤が堰をつくり樹脂の流出を防ぐ)が認められなくなりそ
の結果樹脂バリが生じ、10%を超えると充填剤の表面を樹脂が充分に覆わなく
なり光沢性の悪い樹脂封止の半導体装置となる。 このような微粉末充填剤を前述の割合だけ含有する充填剤は、平均粒径が10
〜25μm のものである。この数値範囲をはずれると、樹脂組成物の未充填部分
を生じ、成形作業性に問題が生じると同時に不良品の発生率が高くなる傾向がみ
られるからである。なお、充填剤としては全てのものの数値が200μm 以下、
特に150μm 以下であることが好ましい。 なお、充填剤の粒径は、シーラスレーザー粒度解折モデル715(Gramulome
tre −715)により測定できる。 上記のような充填剤とともに使用される樹脂は、特に限定するものではなく、
クレゾールノボラツク型等、従来から半導体装置の封止樹脂として用いられる各
種のエポキシ樹脂等が使用される。 上記エポキシ樹脂の硬化剤としては、フエノールノボラツク樹脂が好適に用い
られる。 なお、硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール等が用いられる。 この発明に用いる樹脂組成物は、例えばつぎのようにして製造することができ
る。すなわち、エポキシ樹脂,エポキシ樹脂硬化剤,充填剤およびその他の添加 剤を適宜配合し、例えば、ドライブレンド法によつて均一分散させた後、押出混
練機により溶融混合し、冷却固化後粉砕を行い製造することができる。 微粉末充填剤を前述の割合だけ含有する充填剤は、樹脂組成物全体の65%を
超えて85%以下に設定配合することが好ましい。すなわち、充填剤全体の配合
量が65%以下になると樹脂組成物にチキソトロピ−性を付与しにくく、したが
つて、成形作業性に支障を生じると同時に応力歪みが大きくなり、封止樹脂に悪
影響を生じるようになるからである。逆に、上記充填剤全体の配合量が85%を
超えると、トランスフアーモールド成形等の成形作業において、樹脂組成物の未
充填部分が生じやはり問題が生じる傾向がみられるからである。 このようなエポキシ樹脂組成物を用いての半導体封止は特に限定されるもので
はなく、例えば、トランスフアー成形等の公知のモールド方法(マルチプランジ
ヤ方式を含む)によつて行うことができる。上記トランスフアー成形によつて成
形を行う場合には、その成形条件を、樹脂材料の注入圧力40〜120kg/cm2
、より好ましくは60〜80kg/cm2、成形温度160〜190℃、成形時間4
0秒〜3分間に設定することが好適であり、キユアー条件を、例えば150〜1
80℃で3〜5時間と設定することが好適である。 〔発明の効果〕 以上のように、この発明の半導体装置は、充填剤として0.1μm 以下の粒径
を有する微粉末充填剤を充填剤全体の0.2〜10%含有する樹脂組成物によつ
て被覆モールドされているため、製造過程において樹脂組成物の流出が上記微粉
末充填剤の目詰まり効果によつて妨げられ樹脂バリの発生を抑制することができ
る。したがつて、樹脂バリの除去工程を省略することができる。 つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。 〔実施例1〜4,比較例1〜3〕 後記の第1表に従つて、各原料を配合し、ミキシングロール機(ロール温度1
00℃)で3分間溶融混練を行い、冷却固化後粉砕を行つて目的する微粉末状の
エポキシ樹脂組成物を得た。 つぎに、実施例および比較例によつて得られた微粉末状のエポキシ樹脂組成物
を用い、半導体素子をトランスフアーモールドすることにより半導体装置を得た
。 以上の実施例および比較例で得られた半導体装置について、バリ検査および外
観検査を行つた。その結果を第2表に示した。 なお、バリ検査方法はつぎのようにして行つた。第1図および第2図(第1図
のA−A’断面図)に示すような金型を用意し、トランスフアープレスに装着す
る。1は台、2は溝である。つぎに、金型とトランスフアープランジヤーを温度
175℃に上げ、エポキシ樹脂組成物をポツトに入れすぐにトランスフアー成形
する。成形条件は、トランスフアー圧力70±5kg/cm2、トランスフアーラム
速度3〜6mm/sec に設定する。2分のキユアー時間を経た後、プレスを開く。
つぎに、金型を開き、各々の溝2から出たバリの厚み20μm(A),5μm(B
),50μm(C)の3種類のバリの長さについてノギスにより0.1mmまで測定
する。 上記の表から明らかなように、0.1μm 以下の粒径を有する微粉末充填剤を
0.2〜10%含有した無機質充填剤を使用した実施例品では、外観検査および
バリ検査の結果が良好であり、したがつて比較例品に比べて優れた半導体装置が
得られていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図は金型の平面図、第2図は第1図の金型のA−A’断面図である。
1…台 2…溝
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 (1) 半導体素子を下記の(A)成分を含有し、かつ(A)成分の配合割合が樹
脂組成物全体の65重量%を超えて85重量%以下に設定された樹脂組成物で封
止してなる半導体装置。 (A)平均粒径が10〜25μm で、0.1μm 以下の微細粒子を0.2〜1
0重量%含有する充填剤。 (2) 上記(A)成分である充填剤は、全ての粒子が粒径200μm以下である
請求項1記載の半導体装置。 (3) 上記(A)成分である充填剤は、全ての粒子が粒径150μm以下である
請求項1記載の半導体装置。
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