JP2574006B2 - ソレノイド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ソレノイドに関する。

〔従来の技術〕

第５図はソレノイドの１つをあらわしている。同ソレ
ノイドは、円筒体１と前蓋３を有するケーシング４を備
えている。前記ケーシング４の後端部には一方のヨーク
２が取付けられ、前記前蓋３の内側端部には他方のヨー
ク12が取付けられている。前記ケーシング１の内周部に
は、コイル枠10に巻き付けられた状態のコイル11が同心
状に内蔵されている。同コイル11の中心には孔が貫通し
て開口し同孔の軸中心線Ｏにくるように固定鉄心６が取
付けられている。同固定鉄心６の後端部は前記一方のヨ
ーク２に形成された孔５に嵌め込まれて取付けられてい
る。可動鉄心７は、同固定鉄心６の前方に対向して前記
軸中心線Ｏ上にあって進退し得るようになっている。同
可動鉄心７には前記軸中心線Ｏ上にくるようにして出力
軸８が挿通固定されているとともに、出力軸８は、前記
前蓋３の中央の孔に嵌め込まれた軸受部材９を通して前
方たる外部に延びていて軸受部材９により進退し得るよ
うに支持されている。なお、前記前蓋３内の空間には、
前記出力軸８を突き出し方向へ復帰させるためのバネ13
が設けられている。

〔発明が解決しようとする課題〕

前記ソレノイドは、作動する可動鉄心７と出力軸８が
一方では出力軸８を通して前記軸受部材９で支持されて
はいるものの、他方では、前記コイル11の孔内に嵌め込
み状に取付けられたガイドパイプ14に前記可動鉄心７が
摺動するようにされることで支持されていた。その摺動
のさせ方には、同図にみるように、可動鉄心７の外周に
テフロン樹脂シートのようなすべり性の良い材料でなる
軸受部材15を貼り付けておいて相手側のガイドパイプ14
の内周面に摺動させる場合と、逆にガイドパイプ14の内
周に軸受部材を貼り付けておいて可動鉄心７の外周がこ
れに摺動するようにする場合の２通りがあるが、これら
いずれの方式によるとしても、コイル11と可動鉄心７間
には、すべり性が良いため逆に磁気的な絶縁性のあるガ
イドパイプ14と軸受部材15が存在するので、コイル11か
らの磁気抵抗が増大して可動鉄心７を効率的に駆動させ
ることができなかった。前記のように、ガイドパイプ14
等が設けられているので、それだけのスペース分、コイ
ル11の実質的な巻数が少なくなり、しかも、コストも高
くついていた。前記可動鉄心７と出力軸８の２つの部品
は、一方で出力軸８で支持され、他方で可動鉄心７で支
持されるように、異なる部品をそれぞれ介して支持させ
るようになっているので、相手の軸受側との同軸度が今
一つ出しにくく、その結果、可動側とこれを受ける側と
のガタが生じやすくて、ソレノイドの寿命を短くさせる
原因になっていた。

前記事情に鑑みて、この発明の課題は、コイルと可動
鉄心間の磁気抵抗を最小にし、かつ、コイルの実質的な
巻数を増やすことができ、しかもコストダウンも図られ
るようにするとともに、可動側部品の相手側に対するガ
タをより少なく抑えて寿命がより永くなるようにするこ
とにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記課題を解決するため、この発明は、出力軸の内側
端が可動鉄心を貫通してコイルの孔内でも軸受けされる
ことにより、前記可動鉄心が前記コイルの孔の内周面に
直接面するが同内周面からは浮いた状態で進退し得るよ
うになっている。

〔作用〕

出力軸の内側端が可動鉄心を貫通してコイルの孔内で
も軸受けされることにより、前記可動鉄心が前記コイル
の孔の内周面に直接面するが同内周面からは浮いた状態
で進退し得るようになっていると、コイルと可動鉄心間
にはヨーク以外にガイドパイプや軸受部材のようなもの
が必要でなくなって、磁気抵抗が小さくなるとともにコ
イルをそれだけ多く巻くことができる。しかも、可動鉄
心を介することなく出力軸だけを介して支持されるよう
にしていると、同軸度を出しやすくなる。

〔実施例〕

以下に、この発明を、その実施例をあらわした図面を
参照しつつ詳しく説明する。

第１図は、この発明にかかるソレノイドの一実施例を
あらわしている。このソレノイドは、同図にみるよう
に、円筒体21と前蓋23を有するケーシング24を備えてい
る。前記ケーシング24の後端部には一方のヨーク22が取
付けられ、前記前蓋23の内側端部には他方のヨーク32が
取付けられている。前記ケーシング24の内周部には、コ
イル枠30に巻き付けられた状態のコイル31が同心状に内
蔵されている。同コイル31の中心には、孔40が貫通して
開口し同孔40の中心線Ｏ′にくるように固定鉄心26が取
付けられている。同固定鉄心26の後端部は前記一方のヨ
ーク22に形成された孔25に嵌め込まれて取付けられてい
る。可動鉄心27は、同固定鉄心26の前方に対向して前記
軸中心線Ｏ′上にあって進退し得るようになっている。
同可動鉄心27には前記軸中心線Ｏ′上にくるようにして
出力軸28が挿通固定されているとともに、同出力軸28
は、前記前蓋23中央の孔に嵌め込まれた軸受部材29の孔
29a内を通して前方たる外部に延びていて軸受部材29に
より進退し得るように支持されている。

ところで、前記ソレノイドには、従来のようなガイド
パイプは組み込まれておらず、前記出力軸28は、前記可
動鉄心27を貫通していてその一方が前記軸受部材29で支
持されているとともに前記固定鉄心26にも支持されてい
る。同固定鉄心26への出力軸28の支持は、中空状に形成
された同固定鉄心26の内部空間に嵌め込まれた軸受部材
33によって摺動自在になっている。前記可動鉄心27は、
前記コイル枠30の内周面に直接面しているが浮いた状態
で進退し得るようになっている。なお、バネ34は前記軸
受部材33と可動鉄心27間にコイルタイプのものとして介
装されている。

前記のように、この発明にかかるソレノイドは、出力
軸の内側端が前記可動鉄心を貫通して前記コイルの孔内
でも軸受けされることにより、前記可動鉄心が前記コイ
ルの孔の内周面に直接面するが同内周面からは浮いた状
態で進退し得るようになっているので、コイルと可動鉄
心間にはガイドパイプや軸受部材のようなものが必要で
なくなって、磁気抵抗を最も小さくすることできて効率
的な駆動を行なわせることができるとともに、ガイドパ
イプ等が省略されるので、その分だけコイル多く巻くこ
とができ、コストダウンにもつながる。しかも、可動鉄
心を介することなく出力軸だけを介して支持されている
ので、同軸度を出しやすくなり、可動側部品の相手側に
対するガタがより少なく抑えられてソレノイドの寿命が
より永くなる。

なお、前記軸受部材のうちとくに固定鉄心26に設けら
れるものについては、第２図にみるように、フッ素樹脂
材料による軸受部材35や、第３図にみるように、焼結金
属材料による軸受部材36を用いることができる。第４図
にみるように、フッ素樹脂シート37aの外周に磁性体で
あるバックメタル37b付の軸受部材37を用いれば、同軸
受部材37を固定鉄心のような磁気回路部品に固定する際
にも磁路断面積の減少を少なく抑えることができる。そ
のときの磁気回路構造に応じて前記出力軸は磁性材料を
選ぶか非磁性材料を選ぶかが決められる。

〔発明の効果〕

この発明にかかるソレノイドは、以上のように構成さ
れているため、コイルと可動鉄心間の磁気抵抗が最小に
なり、かつ、コイルの実質的な巻数を増やすことがで
き、しかも、コストダウンも図られるようになるととも
に、可動側部品の相手側に対するガタがより少なく抑え
られてソレノイドの寿命をより永くすることができるよ
うになった。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明にかかるソレノイドの一実施例をあら
わした断面図、第２図ないし第４図はそれに用いられる
各種の軸受部材をあらわした斜視図、第５図は従来のソ
レノイドの１つをあらわした断面図である。 26……固定鉄心、27……可動鉄心、28……出力軸、29,3
3……軸受部材、31……コイル

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】励磁コイル、同コイルの孔内においてその
   軸中心線上に位置する固定鉄心、前記コイルの孔内にお
   いてその軸中心線上に前記固定鉄心に対向するように位
   置して進退する可動鉄心、同可動鉄心に取付けられ前記
   コイルの軸中心線上に位置しつつ前記固定鉄心とは反対
   側に延びて前記コイル外で軸受けされるとともに外側に
   取り出されている出力軸をそれぞれ備えているソレノイ
   ドにおいて、前記出力軸の内側端が前記可動鉄心を貫通
   して前記コイルの孔内でも軸受けされることにより、前
   記可動鉄心が前記コイルの孔の内周面に直接面するが同
   内周面からは浮いた状態で進退し得るようになっている
   ことを特徴とするソレノイド。