JP2573714Y2 - 溜め桝 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば、排水桝、雨水
桝など地中に埋設設置される溜め桝に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の溜め桝としては、コンク
リート製で、本体の掃除口の直径が300mm 以上の大型の
角桝、丸桝が用いられていたが、重量が大きく施工性が
悪いという問題を有していた。そこで、近年、狭少なス
ペースにも設置でき、接着剤により漏水や侵入水を容易
に防止することができる小型の塩化ビニル樹脂製に溜め
桝が用いられるようになっている。

【０００３】そして、この塩化ビニル樹脂製の溜め桝の
構造としては、例えば桝本体の上部に掃除口管が嵌合接
続される掃除口が突設され、またこの桝本体の底部に泥
溜め体が嵌合接続される泥溜め体接続口が突設され、さ
らにこの桝本体の側部に、１つの流入口および１つの流
出口が外方に向けて所定の角度方向に、例えば90°ある
いは180 °方向にそれぞれ突設された構造が採られてい
る。

【０００４】また、桝本体の側部に１つの流出口が突設
され、この流出口に対して２つの流入口が所定の角度方
向に、例えば90°および180 °方向に突設された構造な
ども採られている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の小型の塩化ビニル樹脂製の溜め桝では、桝本体に突
設された流入口および流出口の位置、流入口の個数など
が定まっているため、設置現場の配管に合わせて桝本体
を適宜に選択し、かつ流入口などの方向を合わせて溜め
桝を設置する必要があり、複数種の溜め桝を用意しなけ
ればならず、在庫管理が煩雑になるとともに、施工性が
悪いという問題を有している。

【０００６】本考案は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、在庫管理が容易になるとともに施工性が高い溜め桝
を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の溜め桝は、上部
に掃除口が形成され、底部に泥溜め体接続口が形成され
た桝本体と、この桝本体の泥溜め体接続口に嵌合接続さ
れ内部に泥溜め部を形成した泥溜め体とを具備し、前記
桝本体は、側部に４つの接続口がそれぞれ外方に向けて
略等角度方向に形成され、この接続口の底部はそれぞれ
桝本体の内部に突設されて延出部が形成されるととも
に、この接続口のうち１つの接続口を下流側の排水管が
嵌合接続される流出口とし、他の３つの接続口をそれぞ
れ同一形状の流入口とし、かつ、この３つの流入口のう
ち少なくとも２つ以上の流入口の内周面には外周面に弾
性リングが嵌着された環状凹溝を形成した閉塞用プラグ
が着脱自在に嵌挿され、この閉塞用プラグのうち必要箇
所の閉塞用プラグが取り外されて、上流側の排水管が嵌
合接続されるものである。

【０００８】

【作用】本考案の溜め桝は、３つの流入口のうち、例え
ばいずれか２つの流入口の内周面に閉塞用プラグをそれ
ぞれ着脱自在に嵌挿した状態で溜め桝を現場に設置した
後、現場の上流側の排水管の数および配管位置に合わせ
て、必要に応じて、閉塞用プラグのうち必要箇所の閉塞
用プラグを取り外して必要でない箇所に嵌挿し直し、あ
るいは必要箇所の閉塞用プラグをさらに取り外し、流入
口のうち必要箇所の流入口に上流側の排水管を嵌合接続
する。これにより、設置現場の配管に合わせて、それぞ
れが略等角度方向に形成された３つの流入口の全部また
は一部に上流側の排水管を任意に嵌合接続することがで
きる。

【０００９】一方、必要でない箇所の流入口の内周面
は、閉塞用プラグの環状凹溝に嵌着された弾性リングに
て密着されるため、液密性が保たれるため、この流入口
は閉塞用プラグにて確実に閉塞される。

【００１０】また、上部の掃除口を介して可撓性の掃除
具を挿入すると、この掃除具が各延出部に当接して撓
み、この延出部に連続する流入口あるいは流出口を介し
て、接続された排水管の内側へと容易に挿入される。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の溜め桝の一実施例を図１ない
し図３について説明する。

【００１２】１は塩化ビニル樹脂にて形成された桝本体
で、この桝本体１は、上部に直径が、例えば150m〜200m
mmで短円筒状の掃除口２が突設され、下部にこの掃除口
２と同心状で同径の泥溜め体接続口３が突設されてい
る。

【００１３】そして、この桝本体１の側部には、直径が
例えば75mm〜100 mmの４つの接続口が外方に向けてそれ
ぞれ直交方向に突設されている。また、この４つの接続
口のうち１つの接続口は、内周面が外方に向けて下向き
傾斜されて流出口４として形成されるとともに、他の３
つの接続口は、内周面が外方に向けて上向き傾斜されて
流入口５、即ち流入口5a，5b，5cとしてそれぞれ略同一
形状に形成されている。そして、この流出口４および流
入口5a，5b，5cは、それぞれ管体が嵌合接続する受口と
され、各受口の内周面の奥部には接続する管体を係止す
るストッパー６が内方に向けて突設されている。

【００１４】また、前記流出口４および流入口5a，5b，
5cの底部はそれぞれ桝本体１の内部に突設され、縦断面
弧状あるいは半円状の延出部７が形成されている。

【００１５】そして、前記掃除口２には、塩化ビニル樹
脂からなる掃除口管８が嵌合接続され、地表面Ｇまで立
ち上げられている。そして、この掃除口管８の上端の開
口部は嵌脱自在な蓋体９にて閉塞されている。

【００１６】また、前記泥溜め体接続口３には、塩化ビ
ニル樹脂の底部を底板11にて閉塞した泥溜め体12が嵌合
接続されており、この泥溜め体12の内部が泥溜め部13と
なっている。そして、この泥溜め部13には泥などの堆積
物を収納する収納容器14が設置され、この収納容器14の
内底中央部から長尺状の把手15が前記掃除口管８の上端
近傍までそれぞれ延出されている。

【００１７】また、21は一端面22が閉塞された塩化ビニ
ル樹脂からなる閉塞用プラグで、この閉塞用プラグ21は
流入口5a，5b，5cの内周面にそれぞれ着脱自在に嵌挿さ
れるようになっている。そして、この閉塞用プラグ21の
他端面23の周縁部には各流入口5a，5b，5cの先端部近傍
を囲むようにフランジ部24が形成され、外周面の奥部に
は前記ストッパー６に係止される環状突条25が外方に向
けて突設され、さらにこの環状突条25とフランジ部24と
の中間部には弾性リング26が嵌着された環状凹溝27が形
成されている。

【００１８】次に、この実施例の作用について説明す
る。

【００１９】まず、前記流入口5a，5b，5cのうちいずれ
か任意の２つ、例えば流入口5a，5bに閉塞用プラグ21を
それぞれ圧入して嵌挿し、溜め桝を現場に設置する。

【００２０】次に、前記流出口４に図示しない下水道本
管へと至る下流側の排水管31を嵌合接続する。

【００２１】次いで、設置現場の家庭などから接続され
た上流側の排水管32の位置に合わせて、例えば流入口5a
に嵌挿した閉塞用プラグ21を取り外して流入口5cに嵌挿
し直す。そして、図１および図３に示すように、閉塞用
プラグ21を取り外した流入口5aに排水管32を嵌合接続す
る。

【００２２】この状態で溜め桝を使用すると、排水管32
が嵌合されない他の流入口5b，5cの内周面は閉塞用プラ
グ21の環状凹溝27に嵌着された弾性リング26にて密着さ
れて、液密が保たれ、流入口5b，5cは閉塞用プラグ21に
て確実に閉塞される。

【００２３】また、上流側の排水管32から流入する排水
が桝本体１の内部を通過して下流側の排水管31へと流出
する間に、泥などは泥溜め部13に設置した収納容器14に
堆積されて溜まる。そして、蓋体９を取り外し、収納容
器14の把手15を持ち上げて収納容器14を引き上げること
により、この溜まった泥などを容易に除去することがで
きる。

【００２４】なお、前記実施例では、流入口5aに嵌挿し
た閉塞用プラグ21のみを取り外したものについて説明し
たが、設置現場の配管に合わせて、略90°毎に配置され
た流入口5a，5b，5cのいずれからも任意に閉塞用プラグ
21を取り外して上流側の排水管32を嵌合接続することが
できる。このため、１つの溜め桝で、流入口5aのみ、流
入口5bのみ、もしくは流入口5cのみに各排水管32を嵌合
接続したもの、流入口5a，5b、流入口5b，5c、流入口5
a，5cに各排水管32を嵌合接続したもの、または流入口5
a，5b，5cの全てに各排水管32を嵌合接続したものを兼
用できる。即ち、設置現場の配管に合わせて、流出口４
に対する角度方向が略90°、略180 °、略270 °に位置
する３つの流入口5a，5b，5cの全部または一部に各排水
管32を任意に嵌合接続することができるため、複数種の
溜め桝を用意する必要がなくなり、在庫管理が容易にな
り、施工性が高まる。

【００２５】しかも、溜め桝の使用を開始した後におい
ても、設置現場の配管の変更に応じて、必要箇所の流入
口５に上流側の排水管32を追加して嵌合接続したり、あ
るいは不必要となった流入口５に閉塞用プラグ21を嵌挿
して閉塞することにより、配管の変更に容易に対処する
ことができ、施工性が一層高まる。

【００２６】なお、前記実施例では、流入口5a，5b，5c
のうちいずれか任意の２つに閉塞用プラグ21を嵌挿した
後に溜め桝を現場に設置しているが、予め上流側の排水
管32の配管位置が定まっている場合は、はじめからこの
排水管32を嵌合接続する流入口5aを閉塞しないで、流入
口5b，5cを閉塞用プラグ21にて閉塞してもよい。

【００２７】また、上部の蓋体９を取り外した状態で、
掃除口管８を介して可撓性の掃除具を挿入すると、この
掃除具が各延出部７に当接して撓み、この延出部７に連
続する流入口5a，5b，5cあるいは流出口４を介して、排
水管31，32の内側へと挿入されるため、排水管31，32の
内部を容易に掃除することができる。

【００２８】なお、各実施例では、泥溜め部13の内部に
収納容器14を設置したものについて説明したが、収納容
器14を設置しないで、泥溜め部13に泥などを直接堆積さ
せるようにすることもできる。

【００２９】

【考案の効果】本考案の溜め桝によれば、設置現場の配
管に合わせて、それぞれが略等角度方向に形成された少
なくとも２つ以上の流入口の全部または一部に上流側の
排水管を任意に嵌合接続することができるとともに、必
要箇所でない流入口は閉塞用プラグにて確実に閉塞でき
るため、複数種の溜め桝を用意する必要がなくなり、在
庫管理が容易になるとともに、施工性が高まる。

【００３０】また、上部の掃除口を介して可撓性の掃除
具を挿入すると、この掃除具が各延出部に当接して撓
み、この延出部に連続する流入口あるいは流出口を介し
て、接続された排水管の内側へと容易に挿入されること
により、掃除がし易くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の溜め桝の一実施例を示す平面図であ
る。

【図２】図１のＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】図１のＹ−Ｙ線断面図である。

【符号の説明】

１ 桝本体 ２ 掃除口 ３ 泥溜め体接続口 ４ 流出口 ５，5a，5b，5c 流入口 ７ 延出部 12 泥溜め体 13 泥溜め部 21 閉塞用プラグ 26 弾性リング 27 環状凹溝 31，32 排水管

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部に掃除口が形成され、底部に泥溜め
   体接続口が形成された桝本体と、この桝本体の泥溜め体
   接続口に嵌合接続され内部に泥溜め部を形成した泥溜め
   体とを具備し、 前記桝本体は、側部に４つの接続口がそれぞれ外方に向
   けて略等角度方向に形成され、 この接続口の底部はそれぞれ桝本体の内部に突設されて
   延出部が形成されるとともに、 この接続口のうち１つの接続口を下流側の排水管が嵌合
   接続される流出口とし、他の３つの接続口をそれぞれ同
   一形状の流入口とし、かつ、 この３つの流入口のうち少なくとも２つ以上の流入口の
   内周面には外周面に弾性リングが嵌着された環状凹溝を
   形成した閉塞用プラグが着脱自在に嵌挿されるととも
   に、この閉塞用プラグのうち必要箇所の閉塞用プラグが
   取り外されて上流側の排水管が嵌合接続されることを特
   徴とする溜め桝。