JP2573610B2 - リグニンパ−オキシダ−ゼchおよびその製造方法 - Google Patents

リグニンパ−オキシダ−ゼchおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上と利用分野〕 本発明はリグニンパーオキシダーゼCHおよびその製造
方法に関するものである。本発明の酵素はリグニンに作
用して、これを低分子化または分解する性質を有するた
め、木材等のリグノセルロース材料を原料とする紙パル
プ製造工程における種々の工程で利用できる。すなわち
パルプ化工程、パルプ漂白工程、排水処理工程などにお
けるリグニンの低分子化または分解を行わせることに利
用できる。さらに木材の糖化において、糖化の前段の処
理としてリグニンを分解することによって、セルラーゼ
作用を高めるといういわゆるセルロース系バイオマス利
用の分野にも適用できる。
〔従来技術〕
木材等のリグノセルロース物質に白色腐朽菌を接種、
培養することによってリグニンを分解し、セルロースパ
ルプを製造する試みがなされている(特開昭50−46903
号公報参照)。しかし、この方法の白色腐朽菌は共存す
る炭化水素をも分解してしまい、またセルラーゼ欠損変
異株を用いた場合には、本来のリグニン分解力が弱まっ
てしまうこと等の問題点があり、実用化されるに至って
いない。
一方、このような問題点を解決するため、白色腐朽菌
のリグニン分解酵素をリグノセルロール物質に作用さ
せ、リグニンのみを選択的に分解させようとする試みが
なされている(Science,221巻,661−662(1983))。
この報告は、主としてリグニンモデル化合物を基質と
したものであるが、世界で最初にリグニン分解酵素を単
離、精製したものである。この酵素はファネロケーテ・
クリソスポリウムが生産する菌体外酵素であり、主は特
徴は鉄含有酵素であること、分子量が約42,000であるこ
と、酵素作用に過酸化水素が必要であること、リグニン
モデル化合物の4位のフェノール性水酸基がメトキシル
基になった化合物に対して作用することが確認されてい
ること等である。さらにフェネロケーテ・クリソスポリ
ウムが生産する菌体外酵素としては、2つの酵素が報告
されている(FEBS Lett.,169巻,247−250(1984))。
これらの酵素の1つは分子量が41,000以下であるこ
と、もう1つの酵素は分子量が46,000以下であること、
さらにいずれの酵素も鉄含有酵素であると推定されてい
ること、酵素作用に過酸化水素が必要であること、リグ
ニンモデル化合物の4位のフェノール性水産基がエトキ
シル基になった化合物に対して作用することが確認され
ていること等である。
また、Leisolaらは、ファネロケーテ・クリソスポリ
ウムの培養上静をクロマトフォーカシングによって分
解、分析しているが、4つの等電点の異なるリグニンパ
ーオキシダーゼを検出した。これらの酵素の等電点は4.
5,3.5,3.4,3.2であり、5以上のものはなく、分子量は3
9,000−42,000の間であった〔J.Biotechnol,2巻,378−3
82(1985)〕。
近年Phanerochaete chrysosporium以外の菌株もこの
ようなパーオキシダーゼを生産することが報告されてい
る。Waldner,R.らはPolyporus versicolor,Chrysospori
um pruinosum,Pleurotusostreatus,Bjerkandera adusta
の3株の白色腐朽菌からリグニンパーオキシダーゼ活性
を検出している。
これらの株のリグニンパーオキシダーゼは焦点電気泳
動によりいくつかのアイソザイムを含むことが示されて
いるが、検出法がリグニンパーオキシダーゼに特異的で
なく、また、精製もされていない為、本発明の酵素のよ
うに単一の酵素でリグニンモデル化合物を分解するもの
であるが、また複数の酵素の作用の結果としてリグニン
モデル化合物を分解するのが明らかではない。
白色腐朽菌であるTrametes cingulata,Fomeslignosus
からは同様の試験によってリグニンパーオキシダーゼ活
性は検出されておらず、必ずしも全ての白色腐朽菌の該
酵素を生産するとは限らない。
またDodson,A.P.J.らによって精製が報告されている
(Biotechnology in the Pulp and Paper Industry、第
3回国際会議、1986年6月16日〜19日)Coriolus versi
colorのリグニンパーオキシダーゼの場合、ヘム蛋白で
あり、至適pHが2.95、分子量50,000、フェロシアニド、
N,N−ジメチルフェニレンジアミン、p−フェニレンジ
アミン、ホモベラトルム酸、グアヤコール、ベラトリル
アルコールに作用する酵素であった。
一方、カワラタケ属の担子菌が生産するリグニン分解
酵素(特開昭61−92568号)の主な特徴は銅含有酵素で
あること、等電点が3.5付近であること、酵素作用に酵
素が必要であること、分子量が約50,000〜60,000である
こと、リグニンモデル化合物の4位のフェノール性水酸
基がメトキシルになった化合物に対して作用しないこと
等であり、前記のファネロケーテ・クリソスポリウムの
生産する菌体外酵素とは全く性質が異なる酵素である。
アカゲラワラタケ、カイダラタケの生産する銅含有の
リグニン分解酵素もそれぞれ精製されており、等電点や
分子量、イオン交換カラムクロマトグラフィーでの挙動
に違いが見られ、カワラタケ、アラゲカワラタケ、カイ
ガラタケはそれぞれ少しずつ性質が異なる酵素であっ
た。〔特願昭61−20278、61−20277〕 アラゲカワラタケは従来よりリグニンの分解力が強い
と言われているが上記の鉄含有のリグニン分解酵素以外
のリグニン分解酵素の存在は知られていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明では白色腐朽菌をそのままリグノセルロース物
質に作用させるときに生ずるリグニンの分解の他に共存
する炭水化物の分解を起こすという上記従来における問
題点を解決することを意図するものである。
そして、上記のように、リグニンを選択的に分解させ
るリグニン分解酵素は従来技術において既に幾つか知ら
れているが、リグニンはその化学構造が複雑であり、単
一のリグニン分解酵素で分解可能な部位は限られている
可能性があり、微生物が実際にリグニンを分解する場に
おいては複数の酵素が関与していると考えられる。
従ってリグニン分解を酵素的に行なおうとする場合、
目的に応じていくつかの酵素を組み合わせる必要がある
と考えられ、従ってこの目的の為には従来より知られて
いる酵素とは異なる性質を有する酵素を得る必要があ
る。
従って、本発明の目的は新規なリグニンパーオキシダ
ーゼおよびその製造方法を提供することにあり、他の目
的は主としてリグノセルロース物質中のリグニンを低分
子化または分解する新規酵素およびその製造方法を提供
することにある。また上記以外の目的は以下の記載から
明らかになるであろう。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は新規なリグニンパーオキシダーゼCHおよびそ
の製造方法に関するものである。
リグニンは木材腐朽菌と呼ばれる担子菌によって良く
分解されることが知られている。しかしながら、高分子
化合物であるリグニンの化学構造は複雑であり、現在で
もその化学構造が決定されていないという障害もあっ
て、リグニン分解酵素に関する知見は非常に少ないのが
実情である。
本発明者らは、摩砕リグニン(MWL)およびリグニン
モデル化合物を基質として鋭意研究を行なった結果、ア
ラゲカワラタケを増殖せしめ、その培養物より得た菌体
外粗酵素を、イオン交換カラム、ゲル濾過、フルオロア
パタイト等を使用し、高度に精製して標品を得て、本発
明に到達した。
すなわち、本発明はアラゲカワラタケから生産され、
下記の性質を有する新規なリグニンパーオキシダーゼCH
である。
(1)作 用 (I)過酸化水素存在下でベラトリルアルコールを酸化
して、ベラトルムアルデヒドを生成する。
(II)過酸化水素存在下で遊離のフェノール性水酸基の
ないリグニンのβ−O−4,2量体モデル化合物を酸化的
に分解する。
(2)基質特異性 ベラトリルアルコールを酸化するが、グアヤコールを
酸化する力は弱い。
ベラトルムエチレングリコール−β−フェルラ酸エー
テルを分解するが、グアヤシルグリセロール−β−グア
ヤシルエーテル(II)(以下GOGと略)、シリンギルグ
リセロール−β−シリンギルエーテル(III)(以下SOS
と略)等の遊離フェノール性水酸基のある基質に対する
活性は弱い。
(3)至適pHおよびpH安定性 酸化する作用が至適であり、pH4ないし6の範囲で安
定である。
(4)至適温度および熱安定性 35℃付近でベラトリルアルコールを酸化する作用が至適
であり、50℃以上の温度で不安定である。
(5)本酵素の分子量は41,000±1,000である。
(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による) (6)等電点は4.0±0.1付近である。(アンホライン焦
点電気泳動法による) (7)本酵素はヘム含有酵素であり、その吸収スペクト
ルは407nm付近に極大吸収を示す。
次に本酵素の作用機序を確認するためにリグニンのモ
デル化合物である化合物(I)を用いて試験を行なっ
た。
化合物(I)2mgを小量のジオキサンに溶解し、20mM
の酒石酸緩衝液(pH3.0)に加えて作成した溶液3mlに実
施例1で得た酵素溶液100μを加え、30℃で一夜反応
せしめた。得られた酵素反応液をTLC及び高速液体クロ
マトグラフィー(C18シリカゲルカラム、ID4mmφ×250m
mL)で分析した。TCLは、クロロホルム:メタノール(1
9:1,V/V)で展開し、高速液体クロマトグラフィーの溶
出はメタノールの50%(V/V)水溶液から100%メタノー
ルへの濃度勾配で行なった。
反応生成物の構造はTCL及びNMRによりフェルラ酸及び
ベラトルムアルデヒドと同定した。
同様にSOS,GOGについても試験したが分解産物は得ら
れなかった。
なお、本発明酵素は第1表に示す通りPhanerochaete
chrysosporiumのリグニンパーオキシダーゼMF−1(特
願昭62−053847)と比べ、等電点およびCu,Hgイオンに
よる影響、熱安定性などに差異があり、Phanerochaete
chrysosporiumの他の既知の酵素と比べ、至適pH、分子
量に差異がある。
またカワラタケのリグニンパーオキシダーゼと比べ、
至適pH、分子量に差異がある。
以上のように本発明の酵素は既知の酵素とは性質が異
なる新規な酵素である。
本酵素の性質は以下の通りである。
(1)本酵素は過酸化水素の存在化でベラトリルアルコ
ールに作用してベラトルムアルデヒドを生成する。
(2)本酵素は過酸化水素の存在下で、リグニンモデル
化合物のうち遊離のフェノール性水酸基のないβ−O−
4二量体のCα−Cβ結合もしくはエーテル結合を切断
する。
(3)ベラトリルアルコールを酸化するがグアヤコール
を酸化する力は弱い。
(4)遊離フェノール性水酸基のあるシリルギルグリセ
ロール−β−シリンギルエーテル、グアヤシルグリセロ
ール−β−グアヤシルエーテルに対する活性は弱い。
(4)至適pH 50mM酒石酸ナトリウム緩衝液(pH2〜3)、50mM酢酸
ナトリウム緩衝液(pH4〜5)を用いて本発明酵素の活
性を測定した結果は第1図に示す通りであってその至適
pHは2.5〜3付近と認められる。
(5)pH安定性 10mM酒石酸ナトリウム(pH2.5〜3)、10mM酢酸ナト
リウム(pH4〜5)、10mMリン酸カリウム(pH6〜8)、
10mM Tris−HCl(pH9)の各緩衝液中に本発明酵素を50
℃1時間放置して活性を測定した。その結果は第2図に
示す通りであって、そのpH安定性はpH5付近である。
また上記の各緩衝液中に4℃一夜放置して活性を測定
したところ、pH2.5〜8の間で安定であった。
(6)至適温度 温度条件を変えて酵素反応を行ない本発明酵素の活性
を測定した結果は第3図に示す通りであってその至適温
度は35℃付近であった。
(7)熱安定性 20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)中、30〜70℃の各
温度で本発明酵素を1時間放置し活性を測定した。その
結果は第4図に示す通りであって、本発明酵素は45℃付
近まで安定であり、65℃でも約1割の活性が残ってい
る。
(8)種々の物質の影響 種々の物質を酵素反応液中に添加して本発明酵素の酵
素活性を測定した。添加濃度は1mMである。その結果は
第2表に示す通りである。
(9)分子量 約41,000±1,000〔SDS−ポリアクリルアミド電気泳動
法について測定。分子量マーカーはLKB社製、分子量範
囲12,300〜78,000を使用。〕 (10)等電点 アンホライン(LKB社製)を用いる電気泳動法(pH範
囲2.5〜6)により測定した結果、4.0±0.1であった。
(11)本酵素はヘム含有酵素であり、その水溶液の可視
スペクトル分析により、407nm付近にヘム特有の吸収が
認められる。
(12)本酵素の作用には過酸化水素を必要とする。
本発明はさらにアラゲカワラタケに属するリグニンパ
ーオキシダーゼCH生産菌を培地に接種、培養し、培養物
から該リグニンパーオキシダーゼCHを採取することを特
徴とするリグニンパーオキシダーゼの製造方法に関す
る。
本発明の酵素を生産する微生物は特にアラゲカワラタ
ケに属するリグニンパーオキシダーゼCH生産菌が好まし
いが該リグニンパーオキシダーゼCHを生産するこができ
る微生物であればいかなるものであっても良い。
アラゲカワラタケに属するリグニンパーオキシダーゼ
生産菌としては、例えばCoriolus hirsutus IFO 4917が
あげられるが、本発明は明細書に例示される微生物に限
定されるものではない。上記菌体の培養形態は、液体培
養、固体培養のいずれであっても良い。培地の栄養源と
しては、微生物の培養に通常用いられているものが広く
使用することができるが、ベラトリルアルコールのよう
なリグニンモデル化合物を添加することが望ましい。炭
素源としては同化可能な炭素源であれば良く、例えば木
粉、グルコース、シュークロース、ラクトース、糖蜜な
どが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物
であれば良く、例えばペプトン、肉エキス、大豆粉、カ
ゼイン加水分解物、酒石酸アンモニウムなどが用いれら
れる。窒素源の濃度は低い方が好ましく、例えば酒石酸
アンモニウムの場合1g/程度が用いられる。その他、
リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウ
ム、ナトリウム、銅、マンガン、亜鉛などの塩類が必要
に応じて使用される。培養温度は菌が発育し、該リグニ
ンパーオキシダーゼCHを生産する範囲内で適宜変更し得
るが、好ましくは20〜30℃程度が良く、また培養時間は
条件によって異なるが、液体培養では5〜15日間、固体
培養では1〜3ケ月程度である。
次いで、このようにして得られた培養物からリグニン
パーオキシダーゼを採取するのであるが、本酵素は主と
して菌体外に分泌されるので、本酵素を採取するには、
液体培養においては菌体を濾過、遠心分離等で除去した
培養濾液、また固体培養においては培養物から抽出した
抽出液を用いて例えば陰イオン交換体によるカラムクロ
マトグラフィー、フルオロアパタイトによる吸着クロマ
トグラフィー等通常の酵素の単離、精製方法により行な
うことができる。また他の常法の精製手段を必要に応
じ、組み合わせて用いることが有効な場合もある。
また本発明の酵素は次のようにしても得ることができ
る。本発明の酵素を凄惨できる微生物を窒素源、炭素源
を多く含む上に示したような増殖に適した培地に接種
し、対数期または定常期初期まで増殖せしめた後、集菌
し、菌体を滅菌水又は滅菌生理食塩水にて洗浄し、リグ
ニン又はリグニンを含む物質又はリグニンモデル化合物
を単独で又はこれらを組合わせて含む関連化合物及び/
又はリグニンモデル化合物を含む緩衝液(pH3.5〜6)
に懸濁し、20℃ないし30℃に保温する。本発明の酵素は
3日ないし10日間に緩衝撃液中に産生される。
〔発明の効果〕
本発明により、新規なリグニンパーオキシダーゼCHお
よびその製造方法が提供されるものであり、前記リグニ
ンパーオキシダーゼCHを用いて、リグノセルロース物質
中のリグニンを有効に低分子化または分解することがで
きる。
〔実施例〕
以下本発明を実施例によって説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 グルコース3%、ペプトン1%、KH2PO40.15%、MgSO
4・7H2O 0.05%、塩酸チアミン0.0002%を含有する培地
(pH5.0)200mlを500mlの三角フラスコに入れ、120℃、
20分間加熱殺菌した後、アラゲカワラタケ(Coriolus h
irsutus IFO 4917)を接種し、28℃で8日間振盪培養を
行ない前培養液とした。
該前培等液5mlを下記の培地100mlに懸濁し、ワーリン
グブレンダーで数秒撹拌して菌体ペレットを分散し、50
0ml三角フラスコにて28℃で静置培養を行なった。
第3表リグニンパーオキシダーゼ生産用培地の組成(1中) グルコース 5 g 酒石酸アンモニウム 1 g 2,2−ジメチルコハク酸 15 ベラトリルアルコール 2 mM KH2PO4 1 g NaH2PO4 0.2 g MgSO4・7H2O 0.5 g 塩酸チアミン 0.1 g CaCl2 0.1 g FeSO4・7H2O 0.1 g MnSO4・4H2O 0.01g ZnSO4・7H2O 0.01gCuSO4・5H2O 0.02g 培養開始後3日目より経時的にリグニンパーオキシダ
ーゼ活性を測定した。
酵素の力価はベラトリルアルコール(3,4−ジメトキ
シベンジルアルコール)を基質として、下記第4表に示
した反応液中30℃で該酵素を作用せしめ、生成するベラ
トルムアルデヒドの紫外吸収値A310nmの増加を経時的に
記録測定して算出した。1分間に1n mol生成せしめる酵
素量を1単位とした。第4表 酵素の力価測定のための反応液組成 8mMベラトリルアルコール 0.5ml 0.5M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH3.0) 1.0ml 5.4mM過酸化水素水 0.5ml酵素液 8ml 酵素活性の増加が頭打ちとなった時点で菌体を濾別し
て粗酵素液を得た。
次にこの粗酵素液を、20mM酒石酸ナトリウム緩衝液
(pH4.5)に対し充分透析し、該緩衝液で平衡化したDEA
E−トヨパールカラム(15mmφ×150mmL)に通して酵素
を吸着せしめた後、0〜500mMの食塩の濃度勾配を用い
て溶出せしめた。活性画分を集め、限外濾過(YM−10,
アミコン社製)にて濃縮した後、セファクリンS200のゲ
ル濾過を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)中で行な
った。
活性画分を集め、限外濾過で濃縮後フルオロアパタイ
トカラム(4mmφ×250mmL)を用いて高速液体クロマト
グラフィーにより単離精製した。溶出は1〜10mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH6)で行なった。
培養液600mlから、0.5mgの精製酵素が得られ、比活性
は2800単位/mgであった。
得られた活性画分はSDSを含む、および含まないポリ
アクリルアミドゲル電気泳動で単一のバンドを示し、均
一であることが確認された。
実施例2 実施例1の前培養液200mlを無菌的に濾別し滅菌生理
食塩水で洗浄して得られた菌体を、滅菌したグルコース
0.2%、酒石酸アンモニウム0.1%、ベラトリルアルコー
ル4mMを含む2,2−ジメチルコハル酸ナトリウム緩衝液
(pH4.5)、100mlに懸濁し、ワーリングブレンダーで数
秒撹拌し、三角フラスコ(500ml容)に入れ、28℃に静
置した。
植菌後3日目より経時的にリグニンパーオキシダーゼ
活性を測定し、8〜12日目に活性が最大となったところ
で実施例1と同様の方法によって菌体を濾別し、濾液か
ら本発明の酵素を採取した。
実施例1では10〜100単位/mlの酵素が生産されるのに
対し、実施例2では200単位/mlの酵素が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は至適pH、第2図はpH安定性、第3図は至適温
度、第4図は熱安定性を示すグラフである。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の性質を有するリグニンパーオキシダ
    ーゼCH (1)作用 (I) 過酸化水素存在下でベラトリルアルコールを酸
    化して、ベラトルムアルデヒドを生成する。 (II) 過酸化水素存在下で遊離のフェノール性水酸基
    のないリグニンのβ−O−4,2量体モデル化合物を酸化
    的に分解する。 (2)基質特異性 ベラトリルアルコールを酸化するが、グアヤコールを酸
    化する力は弱い。 下記式(I)で表される、ベラトルムエチレングリコー
    ル−β−フェルラ酸エーテルを分解するが、下記式(I
    I)で表される、グアヤシルグリセロール−β−グアヤ
    シルエーテル、及び、下記式(III)で表される、シリ
    ンギルグリセロール−β−シリンギルエーテル等の遊離
    フェノール性水酸基のある基質に対する活性は弱い。 (3)至適pHおよびpH安定性 pH2.5〜3付近でベラトリルアルコールを酸化する作用
    が至適であり、pHないし6の範囲で安定である。 (4)至適温度および熱安定性 35℃付近でベラトリルアルコールを酸化する作用が至適
    であり、50℃以上の温度で不安定である。 (5)本酵素の分子量は41,000±1,000である。 (SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による) (6)等電点は4.0±0.1付近である。(アンホライン焦
    点電気泳動法による) (7)本酵素はヘム含有酵素であり、その吸収スペクト
    ルは407nm付近に極大吸収を示す。
  2. 【請求項2】Coriolus属に属する微生物から得られる特
    許請求の範囲第1項記載のリグニンパーオキシダーゼC
    H。
  3. 【請求項3】Coriolus hirsutus(アラゲカワラタケ)
    から得られる特許請求の範囲第2項記載のリグニンパー
    オキシダーゼCH。
  4. 【請求項4】Coriolus属に属するリグニンパーオキシダ
    ーゼCH生産能を有する微生物を培地に培養し、培養液中
    にリグニンパーオキシダーゼCHを生成させ、該培養液か
    ら該酵素を採取することを特徴とする下記の性質を有す
    るリグニンパーオキシダーゼCHの製造方法。 (1)作用 (I)過酸化水素存在下でベラトリルアルコールを酸化
    して、ベラトルムアルデヒドを生成する。 (II)過酸化水素存在下で遊離のフェノール性水酸基の
    ないリグニンのβ−O−4,2量体モデル化合物を酸化的
    に分解する。 (2)基質特異性 ベラトリルアルコールを酸化するが、グアヤコールを酸
    化する力は弱い。 下記式(I)で表される、ベラトルムエチレングリコー
    ル−β−フェルラ酸エーテルを分解するが、下記式(I
    I)で表される、グアヤシルグリセロール−β−グアヤ
    シルエーテル、及び、下記式(III)で表される、シリ
    ンギルグリセロール−β−シリンギルエーテル等の遊離
    フェノール性水酸基のある基質に対する活性は弱い。 (3)至適pHおよびpH安定性 pH2.5〜3付近でベラトリルアルコールを酸化する作用
    が至適であり、pHないし6の範囲で安定である。 (4)至適温度および熱安定性 35℃付近でベラトリルアルコールを酸化する作用が至適
    であり、50℃以上の温度で不安定である。 (5)本酵素の分子量は41,000±1,000である。 (SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による) (6)等電点は4.0±0.1付近である。(アンホライン焦
    点電気泳動法による) (7)本酵素はヘム含有酵素であり、その吸収スペクト
    ルは407nm付近に極大吸収を示す。
  5. 【請求項5】Coriolus属に属する微生物がCoriolus hir
    sutus(アラゲカワラタケ)であることを特徴とする特
    許請求の範囲第4項記載の製造方法。
  6. 【請求項6】Coriolus属に属するリグニンパーオキシダ
    ーゼCH生産能を有する微生物を培養してリグニンパーオ
    キシダーゼCHを生成するに当たり、該微生物の対数増殖
    期から定常期初期の培養の菌体をリグニン関連物質また
    は/およびそのモデル化合物を含む緩衝液中に菌体を再
    懸濁し、静置、保温することによりリグニンパーオキシ
    ダーゼCHを生成させることを特徴とする下記の性質を有
    するリグニンパーオキシダーゼCHの製造方法。 (1)作用 (I)過酸化水素存在下でベラトリルアルコールを酸化
    して、ベラトルムアルデヒドを生成する。 (II)過酸化水素存在下で遊離のフェノール性水酸基の
    ないリグニンのβ−O−4,2量体モデル化合物を酸化的
    に分解する。 (2)基質特異性 ベラトリルアルコールを酸化するが、グアヤコールを酸
    化する力は弱い。 下記式(I)で表される、ベラトルムエチレングリコー
    ル−β−フェルラ酸エーテルを分解するが、下記式(I
    I)で表される、グアヤシルグリセロール−β−グアヤ
    シルエーテル、及び、下記式(III)で表される、シリ
    ンギルグリセロール−β−シリンギルエーテル等の遊離
    フェノール性水酸基のある基質に対する活性は弱い。 (3)至適pHおよびpH安定性 pH2.5〜3付近でベラトリルアルコールを酸化する作用
    が至適であり、pHないし6の範囲で安定である。 (4)至適温度および熱安定性 35℃付近でベラトリルアルコールを酸化する作用が至適
    であり、50℃以上の温度で不安定である。 (5)本酵素の分子量は41,000±1,000である。 (SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による) (6)等電点は4.0±0.1付近である。(アンホライン焦
    点電気泳動法による) (7)本酵素はヘム含有酵素であり、その吸収スペクト
    ルは407nm付近に極大吸収を示す。
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