JP2572823Y2 - 簡易採血器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、簡易採血器に関する。

【０００２】

【従来例】近年、食生活の変化、ストレスの増加を原因
とする各種成人病、例えば糖尿病患者が急増しつつある
現況において、通院には患者自身に対し生活行動上、大
きな負担を強いることから、生活上での血糖検査等が日
常化するに従い、血液採取自体が大きな問題として注目
を浴びるに至っている。血液採取に際しての苦痛の問題
はこれを繰り返す場合、より重大な問題となるが、特に
小児患者の多いインシュリン依存型の患者にとっては深
刻な問題となりつつある。また近年、血液を介する疾患
が社会問題化しており、エイズや肝炎などの特に重篤な
疾患を防止する上でも繰り返し血液採取を患者に負担な
く自己自身で行なえる様な機器が希求されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、未だに
無痛でしかも簡易に採血する器具は提案されるに至って
いない。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】上記に鑑み、本考案は、減
圧室、生体皮膚吸引部および穿刺・切開手段より構成さ
れる採血器により無痛状態で採血を行なう器具を実現し
た。本考案によれば極めて構成が簡単でしかも小型軽量
であり、また特殊部品を使用しないことから、安価で且
つディスポーザブルに利用可能なものである。

【０００５】本考案の特徴は次の通りである。生体皮膚
表面局所に対し、集中的に減圧吸引を行なう。局所減圧
吸引と共に、皮膚表面内部は充血し表皮の膨大・盛り上
がりが生ずる。この盛り上がった皮膚は、予め所定の位
置に設置された穿刺手段と接触する。盛り上がった皮膚
は十分膨張状態にある為、穿刺手段は皮膚（表皮）を容
易に刺通する。穿刺手段が皮膚を刺通すると内部の充血
した血液が吸出され、採血が行なわれる。局所的に吸引
を行なう為、穿刺手段が皮膚を刺通しても瞬時であり且
つ吸引による刺激と相殺される為に痛みを感じることが
ない。また充血状態で穿刺・切開手段が刺通・切開する
為、血液を無痛で確実に採血できるものである。本考案
で示す減圧室とは、生体皮膚表面を吸引する為の手段で
あり、機械的乃至化学的に減圧行為を行なうもの等が例
示され、特に限定されるものではないが、気密材により
予め減圧状態に成形されたアンプル乃至カセット状物等
も例示できる。また、穿刺・切開手段とは、針、中空
針、側面が鋸波状の針、鍼灸用針微細刃等々が複数乃至
単数例示されるものである。穿刺・切開手段の長さは、
数１００（μｍ）乃至数（ｍｍ）程度が好ましいが特に
限定されない。また、その配置構造は吸引部中央部ある
いはその周縁部に配置され、減圧吸引による表皮の膨張
運動を利用して無痛・効果的に表皮穿通・切開可能なも
のであれば足りる。

【０００６】

【実施例】図１は本考案の一実施例を示す図である。
（11）は減圧室であり、減圧駆動部を内蔵している。減
圧室（11）の上部にスイッチ（16）が設けられており、
このスイッチ（16）を押すことにより、減圧動作を行な
うものである。（100）は孔部であり、減圧室の底部に
複数乃至単数穿設されている。（12）は穿刺手段であ
り、微細針より形成されており、減圧室（11）の底部、
孔部（100）の近傍に設置されている。（13）は、支持
部材であり、柔軟性を有するプラスチック、ゴム、紙等
の素材で同心円筒フィルム状に形成され、減圧室が支持
部材（13）の同心部略中央付近周縁上部と接合してい
る。（14）は粘着剤であり、主に絆創膏に使用される素
材等生体と反応しない素材が使用されている。粘着剤
（14）は、支持部材（13）の底部の外周縁面に配設され
ている。（15）はストッパーであり、減圧時、支持部材
（13）の伸縮を押さえると共に、皮膚の盛り上がりを助
長させるものである。ストッパー（15）は、支持部材
（13）の底部同心略中央周縁下部に配設されている。素
材は、皮膚との摩擦を大きくさせる為、ゴムやプラスチ
ック等が好ましい。（17）は吸引部であり、支持部材
（13）の同心内側面及び穿刺手段（12）及び孔部（10
0）を含む減圧室底部に覆われる様にして形成された部
分である。

【０００７】次に、上記図１で示した実施例の動作説明
を図２及び図３を参照して詳細に説明する。最初に、生
体皮膚（ＭＭＡ）の採血適応部位に本実施例を粘着部
（14）を下にして乗せる。粘着部（14）が生体皮膚（Ｍ
ＭＡ）と接合し、本考案は生体皮膚表面上に固定され、
吸引部（17）は密閉される。この時、刺針手段は生体皮
膚に接触していない状態である。スイッチ（16）を押
す。減圧室は減圧動作を開始する。この減圧動作によ
り、孔部（100）を介して吸引部（17）も減圧状態とな
り、吸引部（17）下の生体皮膚に対し、吸引作用が生じ
る。この吸引作用により生体皮膚（ＭＭＡ）の内部の血
液を含む体液が充血をはじめ、充血部位（ＭＭＢ）を形
成する。至第に図３で示す様に、吸引部（17）下の生体
皮膚は盛り上がりをはじめ、穿刺手段（12）に接触す
る。この部分の生体皮膚は、この盛り上がった状態にお
いて、局所的に張られた状態となる為、穿刺手段（12）
は生体皮膚（ＭＭＡ）を容易に表皮を刺通し、減圧は充
血部分（ＭＭＢ）に達する。この時ストッパー（15）
は、吸引作用によるストッパー（15）下の皮膚の移動を
阻止し、生体皮膚表面の盛り上がりを助長させる。血
液、体液は穿刺手段（12）を伝わって生体皮膚表面に吸
出され、採血が行なわれる。必要に応じて更に、生体皮
膚表面に吸出した血液は、孔部（100）を介して減圧室
（11）内部に取り込まれる。最後に、本実施例物品を生
体表面（ＭＭＡ）から取り外す。尚、第４図は吸引部周
縁部に配置された切開手段（121）を示すものであり、
減圧による表皮の吸引膨張時に表皮表面がこの切開手段
の微細ノコギリ状刃（122）と接触・摺動して無痛切開
されるものである。この切開手段はまた、その全辺乃至
部分辺においてノコギリ状刃構造となるように形成され
ているものである。図５は、図４を底面方向から見た図
である。（100）は孔部であり、減圧室（11）と吸引部
（17）とを連通する部分である。その他構成は図１と同
一であるから、同じ番号を付して説明を省略した。

【０００８】次に、他の実施例を図６に示す。図６では
減圧駆動部（図示せず）を外部に設置し、刺針手段を中
空針としたものである。（11）は図１と同様減圧室であ
り、円筒形を有する。（41）は弁であり円筒状の減圧室
の内部を上下に動く。（42）は摩擦部分であり、減圧室
（11）の円筒形内面の下部に形成されたものである。
（43）は開口部であり、減圧室内部と外部減圧駆動手段
とのインターフェースである。外部減圧駆動手段のイン
ターフェースを（440）に示した。（12）は穿刺手段で
あり、中空針によって形成されている。この中空部は減
圧室内部に及んでいる。（100）は孔部であり、減圧室
内部と吸引部（17）とを接続している。その他は図１の
実施例と同一なので説明は省略する。

【０００９】次に、図６に示す実施例の動作説明をす
る。本実施例を生体表面に乗せる。粘着部（14）は生体
表面と接合する。外部減圧駆動手段のインターフェース
（440）を減圧室上部に接続する。外部減圧駆動手段を
駆動させる。弁（41）が上部へ移動しはじめる。弁（4
1）は摩擦部（42）と接触する為、徐々に上部へ移動す
る。弁が上へ移動し始めると孔部（100）を介して吸引
部（17）の気体が上方へ移動すると同時に吸引部（17）
下の生体皮膚が吸引され充血が行なわれる。弁（41）が
上方に移動すると共に、吸引部（17）下の皮膚は盛り上
がり、摩擦部（42）を通過すると弁（41）は一揮に上方
へ移動し、吸引部（17）下の皮膚もまた可及的な盛り上
がりを生じ、穿刺手段（12）と接触、刺通される。刺通
時、皮下における充血個所に穿刺手段（12）が到達す
る。血液は穿刺手段（12）を介して減圧室（11）に取り
込まれる。採血後、インターフェース（440）を取り外
す。弁（41）は落下するが摩擦部（42）の上部で停止
し、孔部（100）から、採血された血液の漏出は防止で
きる。

【００１０】次に、他の実施例を図７に示し、説明す
る。図７で示す実施例は、減圧駆動部を内部に設け、更
に刺針手段を複数にしたものである。（51）は留具であ
り、摺動部材Ａ（52）と摺動部材Ｂ（53）を所定の位置
で離れない様に留めておくものである。摺動部材Ａ（5
2）と摺動部材Ｂ（53）は左右に摺動し、バネ（54）を
介して接続されている。摺動部材Ａ（52）と摺動部材Ｂ
（53）が対向する部分が、減圧空間（55）となってい
る。（12）は針であり、数本が減圧室（11）の底部に配
設されている。（100）は孔部であり複数穿設され、減
圧空間（55）と吸引部（17）とを接続している。（56）
は剥離部材であり、粘着剤（14）の乾燥乃至粘度の低下
を防止し、使用時に剥離されるものである。その他の構
成は、図１で示した実施例と同一であるから説明は省略
する。

【００１１】次に、図７で示した実施例の動作を図８を
含めて説明する。使用時、剥離部材（56）を剥離し、人
体採血部位に乗せる。摺動部材Ａ（52）と摺動部材Ｂ
（53）とは留具（51）によって所定の位置で固定されて
いる。この時、バネ（54）は圧縮された状態を維持して
いる。次に、図６で示す様に留具（51）を外す。摺動部
材Ａ（52）と摺動部材Ｂ（53）は、バネ（54）の開放力
によって外側へ押し出され、減圧空間（55）はその容積
を拡張する。貼着時、吸引部（17）、減圧空間（55）は
生体皮膚によって密封される為、減圧空間（55）が拡張
すると吸引部（17）下の皮膚を吸引する。皮下は、充血
すると共に表面は盛り上がって引っ張られ、穿刺手段
（12）は皮膚と接触した後、これを刺通する。穿刺手段
（12）は充血部に到達すると共に穿刺手段（12）表面を
沿って血液が外部へ表出し、採血が行なわれる。

【００１２】皮膚を吸引した後、充血を待つ時間、穿刺
手段が皮膚に刺通される迄の時間もまた適宜選択される
ものである。尚、充血を待つ必要は特に主とせず、少な
くとも吸引後、皮膚の盛り上がりによる張りが出てきた
状態で穿刺手段によって皮膚を刺通すれば、本考案の動
作としては充分である。次に、図７で示した本実施例の
一つを生体の上腕部に貼着した状態を図９に示す。（1
1）は減圧室を示し、（13）は支持部材を示す。小型で
且つ軽量である為、図９で示す様に貼着使用も可能であ
る。尚、粘着部の採用は適宜であり、粘着部が無い状態
すなわち手持ち型であってもかまわないものである。

【００１３】

【考案の効果】以上詳述の如く本考案は、小型軽量でし
かも安価にできる為、ディスポーザブルに適し、また、
採血も確実に行なえる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す図。

【図２】

【図３】図１で示した実施例の動作を説明する為の図。

【図４】本考案の他の実施例を示す断面図。

【図５】図４で示した実施例の底面図。

【図６】本考案の他の実施例を示す断面図。

【図７】本考案の他の実施例を示す断面図

【図８】図７で示した実施例の動作を説明する為の図。

【図９】図７で示した実施例を使用した場合を説明する
為の図。

【符号の説明】

１１ 減圧室 １２ 穿刺手段 １３ 支持部材 １４ 粘着剤 １５ ストッパー １６ スイッチ １７ 吸引部 １２１ 切開手段

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 減圧室、前記減圧室と接続し生体皮膚方
   向に開口部を有する生体皮膚吸引部及び前記生体皮膚吸
   引部内であって、前記減圧室の減圧動作による皮膚の盛
   り上がりにより、当該皮膚を穿刺、切開する位置に配置
   された穿刺・切開手段よりなる簡易採血器。
2. 【請求項２】前記生体皮膚吸引部の縁部に形成され、吸
   引による吸引部以外の生体皮膚のずれを防止する為のス
   トッパーより成ることを特徴とする請求項１に記載の簡
   易採血器。