JP2572187Y2 - ロープ案内装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ロープ案内装置に係
り、さらに詳しくは、例えばタグボート等において用い
られる大径で重量のあるロープの繰り出しに有効なロー
プ案内装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】船を牽引するタグボートの甲板上には、
牽引用のロープをドラムから繰り出したり巻き取ったり
するウインチが設けられている。船を牽引する場合に
は、ドラムからロープを繰り出し、繰り出されたロープ
を船首に立設された環状のロープ案内部に差し通し、そ
れからロープの先端を牽引される船まで引っ張って両船
を繋いでいる。また、牽引後にロープを巻き取る場合に
は、牽引された船からロープを解き、ウインチの作動に
よりロープがロープ案内部に案内されながらドラムに巻
き取られる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、通常、
ウインチとロープ案内部との距離が長いので、ロープを
ドラムから繰り出す際に、繰り出されたロープはウイン
チとロープ案内部との間で垂れ下がっていた。そこで、
従来では、垂れ下がったロープをロープ案内部の船首側
から作業者が引っ張って牽引される船側に引き出してい
たが、ロープの直径は、通常、８０〜１００ｍｍ程度と
大きいので、引き出し作業は極めて重労働になるという
問題点があった。本考案はこのような事情に鑑みなされ
たもので、ロープを自動的に繰り出すことができるロー
プ案内装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載のロープ案内装置は、ロープの挿通孔が形成された
架台と、対配置されて、前記挿通孔内に挿通されたロー
プがそれぞれの周面間に載置される繰り出しローラを有
する前記ロープの繰り出し手段と、前記繰り出しローラ
を前記挿通孔に対向する繰り出し位置から前記挿通孔下
の退避位置まで昇降させる昇降手段とを備えるように構
成されている。特に、請求項２記載のロープ案内装置
は、請求項１記載の装置において、前記架台に複数の挿
通孔が横配置され、前記対配置された繰り出しローラを
前記それぞれの挿通孔まで横移動可能な横移動手段を前
記架台に設けるように構成されている。

【０００５】

【作用】請求項１、２記載のロープ案内装置において、
ロープの繰り出し時には、繰り出し手段により対配置さ
れた繰り出しローラを回転させると、両ローラの周面間
に載置されたロープが摩擦力により繰り出される。ま
た、繰り出されたロープを引き戻す際は、繰り出しロー
ラがロープの引き戻しの抵抗になるので、昇降手段によ
り繰り出しローラを繰り出し位置から退避位置まで下降
させることにより、ロープは挿通孔の内周面に接触しな
がら円滑に引き戻される。特に、請求項２記載のロープ
案内装置において、複数の挿通孔のうちの選択された挿
通孔に横移動手段により繰り出しローラを移動させて、
繰り出し手段により任意の挿通孔に挿通されたロープを
繰り出す。なお、他の挿通孔からロープを繰り出す場合
には、横移動手段により次に選択された挿通孔まで繰り
出しローラを移動させて同様に繰り出し手段により繰り
出す。

【０００６】

【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本考案
を具体化した実施例につき説明し、本考案の理解に供す
る。ここに、図１は本考案の第１の実施例に係るロープ
案内装置の断面図、図２は同側面図、図３は同背面図、
図４は本考案の第２の実施例に係るロープ案内装置の背
面図、図５は同側面図を示している。

【０００７】まず、図１〜３を参照して本考案の第１の
実施例に係るロープ案内装置の構成を説明する。図１に
示すように、本考案の第１の実施例に係るロープ案内装
置１０は、タグボートの船首上に立設される架台１１を
有しており、架台１１は一対の角支柱１２を下面が開口
されたケーシング１３により門形に連結させたものであ
る。ケーシング１３の上部中央には直径１００ｍｍのロ
ープ１４の挿通孔１５が形成されており、挿通孔１５の
前後にはステンレスまたは鋳鋼からなる喇叭状のロープ
ガイド１６、１７が設けられている。ケーシング１３よ
り下方の角支柱１２間には、取り付け部材１８が横架さ
れており、取り付け部材１８上に昇降手段の一例である
平行な一対の油圧シリンダ１９が立設されている。それ
ぞれのシリンダ１９のロッド２０の先端には、両角支柱
１２の対向する内側面に形成された一対の縦溝２１に沿
ってケーシング１３内を昇降する昇降板２２が固定され
ている。昇降板２２上には、挿通孔１５内に挿通された
ロープ１４の繰り出し手段２３が取り付けられている。

【０００８】繰り出し手段２３は、中央部に駆動源とな
る油圧モータ２４が配置されて、上方に一対の出力軸２
５が延びた減速機２６を有しており、それぞれの出力軸
２５にはそれぞれの周面の上部間にロープ１４が載置さ
れる一対の球状の繰り出しローラ２７が固着されてい
る。各々の繰り出しローラ２７は、それぞれの周面を近
接させて平行に配置されており、回転方向はロープ１４
の繰り出しができるように互いに逆方向に水平回転す
る。なお、モータ２４はケーシング１３の前面中央の切
欠部１３ａから外方に突出されており、切欠部１３ａは
モータ２４の保護ケース２８により被われている（図２
参照）。前記シリンダ１９のロッド２０を出し入れさせ
ることにより、縦溝２１に沿って繰り出しローラ２７を
含む繰り出し手段２３の全体が図２に示す挿通孔１５に
対向する繰り出し位置ａから挿通孔１５下の退避位置ｂ
まで昇降する。図において、記号Ｌ１は作業甲板の高さ
位置を示し、記号Ｌ２はアッパーデッキの高さ位置を示
している。

【０００９】続いて、本考案の第１の実施例に係るロー
プ案内装置１０の動作を説明する。船を牽引する場合に
は、図外の甲板上に設けられたウインチのドラムからロ
ープ１４を繰り出し、図３に示すように繰り出されたロ
ープ１４を船首に立設されたロープ案内装置１０の挿通
孔１５にロープガイド１７側から差し通すと、同図実線
に示すようにロープ１４は自重により繰り出し位置ａに
配置された繰り出しローラ２７の周面の上部間に載置さ
れる。その後、モータ２４により繰り出しローラ２７を
回転させることにより、両ローラ１４の周面間に載置さ
れた大径で重量のあるロープ１４が摩擦力により船首側
に自動的に繰り出される。

【００１０】このように、ロープ１４は繰り出しローラ
２７の周面の上部間に載置されているだけなので、仮に
繰り出しローラ２７間にロープ１４を挟んで繰り出す方
式を採用した場合には、必然的にロープ１４の太さに応
じて繰り出しローラ２７間の距離を調整する機構が必要
であるが、本手段では大径なロープ１４の自重を利用し
た載置式なので、同様にロープ１４を良好に繰り出せ、
しかもこの特別なローラ間調整機構を不要にできる。こ
うして、ロープ１４は牽引される船まで引き出され、そ
の後に両船はロープ１４により繋がれる。

【００１１】繰り出されたロープ１４を引き戻す際は、
繰り出しローラ２７がロープ１４の引き戻しの抵抗にな
るので、まずシリンダ１９のロッド２０を引き戻して繰
り出しローラ２７を退避位置ｂまで下降させ、次いで図
外のウインチのドラムを回転させたり、場合によっては
ドラムの回転と共にモータ２４により繰り出しローラ２
７を逆回転させてロープ１４を引き戻す。このようにロ
ープ１４を引き戻す際にシリンダ１９により繰り出しロ
ーラ２７が退避位置ｂまで下降されるので、同図鎖線に
示すようにロープ１４を挿通孔１５の内周面に接触させ
ながら円滑に引き戻すことができる。

【００１２】次に、図４、５を参照して本考案の第２の
実施例に係るロープ案内装置を説明する。第３の実施例
のロープ案内装置３０は、架台３１の比較的横長なケー
シング３２に二つの挿通孔１５を横に並べて形成し、そ
れぞれの挿通孔１５間にロープ１４の繰り出し手段２３
を横移動手段３３により横移動させることにより、２本
の牽引用のロープ１４を選択的に繰り出せるようにした
ものである。以下、その具体的な構成を説明する。一対
の油圧シリンダ１９は、ブラケット３４を介して角支柱
１２の下部に立設されており、ロッド２０の先端には横
長な中空の基台３５の下面両端が固着されている。基台
３５の上部内にはボールネジ３６が回転可能に軸着され
ており、ボールネジ３６には繰り出し手段２３が上面に
取り付けられた摺動板３７がナット３８を介して横移動
可能に設けられている。基台３５の一端部内にはモータ
３９が配置されており、モータ３９の駆動によりギヤ４
０、４１を介してボールネジ３６が回転することにより
ナット３８が横移動する。図において、符号４２、４３
は二つの挿通孔１５用のロープガイドを示している。

【００１３】続いて、第２の実施例のロープ案内装置３
０の動作を説明すると、ロープ１４を繰り出す場合に
は、まずモータ３９によりボールネジ３６を回転させて
何れかの挿通孔１５の方に繰り出しローラ２７を移動さ
せて、第１の実施例と同様に繰り出し手段２３により、
選択された挿通孔１５に挿通されたロープ１４が繰り出
される。また、他の挿通孔１５からロープ１４を繰り出
す場合には、モータ３９を逆回転させて他の挿通孔１５
まで繰り出しローラ２７を移動させ、同様に繰り出し手
段２３により繰り出す。

【００１４】以上、本考案の実施例を説明したが、本考
案はこの実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱
しない範囲での設計変更や動作の変更があっても本考案
に含まれる。例えば、実施例では、繰り出しローラの形
状を球状としたが、これに限定しなくても繰り出しロー
ラ間にロープが繰り出し可能に載置できればどのような
形状であってもよい。

【００１５】また、繰り出し手段は実施例の構造のもの
に限定しなくても、繰り出しローラ上に載置されたロー
プを繰り出しできればどのような構造のものでもよい。
さらに、昇降手段も実施例の構造のものに限定しなくて
も、少なくとも繰り出しローラを繰り出し位置から退避
位置まで昇降できればどのような構造のものでもよい。
さらにまた、架台に形成される挿通孔の数も１または２
個に限定しなくても３個以上であってもよく、また繰り
出しローラの横移動手段も実施例の構造のものに限定し
なくても、少なくとも繰り出しローラを横移動できれば
どのような構造のものでもよい。そして、実施例では、
本考案のロープ案内装置としてタグボート用のものを例
に示したが、これに限定しなくてもどのような用途のロ
ープ案内装置にも適用できる。ただし、大径で重量のあ
るロープを繰り出すものに有効である。

【００１６】

【考案の効果】請求項１、２記載のロープ案内装置は、
このように繰り出し手段により対配置された繰り出しロ
ーラを回転させて、両ローラの周面間に載置されたロー
プを繰り出すようにしたので、自動的にロープを繰り出
すことができる。また、ロープを引き戻す際に、昇降手
段により繰り出しローラが繰り出し位置から下方の退避
位置まで下降されるので、ロープを挿通孔の内周面に接
触させながら円滑に引き戻すことができて、繰り出しロ
ーラがロープの引き戻しの邪魔にならない。特に、請求
項２記載のロープ案内装置においては、架台に複数の挿
通孔が横配置され、繰り出しローラをそれぞれの挿通孔
まで横移動させる横移動手段を架台に設けたので、複数
の挿通孔のうちの選択された挿通孔に横移動手段により
繰り出しローラを移動させて、繰り出し手段により任意
の挿通孔に挿通されたロープを繰り出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例に係るロープ案内装置の
断面図である。

【図２】同側面図である。

【図３】同背面図である。

【図４】本考案の第２の実施例に係るロープ案内装置の
背面図である。

【図５】同側面図である。

【符号の説明】

１０ ロープ案内装置 １１ 架台 １２ 角支柱 １３ ケーシング １３ａ 切欠部 １４ ロープ １５ 挿通孔 １６ ロープガイド １７ ロープガイド １８ 取り付け部材 １９ 油圧シリンダ ２０ ロッド ２１ 縦溝 ２２ 昇降板 ２３ 繰り出し手段 ２４ 油圧モータ ２５ 出力軸 ２６ 減速機 ２７ 繰り出しローラ ２８ 保護ケース ３０ ロープ案内装置 ３１ 架台 ３２ ケーシング ３３ 横移動手段 ３４ ブラケット ３５ 基台 ３６ ボールネジ ３７ 摺動板 ３８ ナット ３９ モータ ４０ ギヤ ４１ ギヤ ４２ ロープガイド ４３ ロープガイド

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロープの挿通孔が形成された架台と、対
   配置されて、前記挿通孔内に挿通されたロープがそれぞ
   れの周面間に載置される繰り出しローラを有する前記ロ
   ープの繰り出し手段と、前記繰り出しローラを前記挿通
   孔に対向する繰り出し位置から前記挿通孔下の退避位置
   まで昇降させる昇降手段とを備えたことを特徴とするロ
   ープ案内装置。
2. 【請求項２】 前記架台に複数の挿通孔が横配置され、
   前記対配置された繰り出しローラを前記それぞれの挿通
   孔まで横移動可能な横移動手段を前記架台に設けたこと
   を特徴とする請求項１記載のロープ案内装置。