JP2571808Y2 - 感熱転写記録装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、感熱記録ヘッドとプラ
テンローラとの間にインクフィルムおよび記録紙を挟装
させ、該インクフィルムのインクを感熱記録ヘッドによ
って記録紙に溶融転写するようにした感熱転写記録装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は、この種の記録装置を概念的に示
したもので、ファクシミリ装置に適用される感熱転写記
録装置を例示している。

【０００３】この記録装置では、感熱記録ヘッド１とプ
ラテンローラ２との間において記録紙３がインクフィル
ム４とともに搬送され、この間、画情報に基づいて駆動
される感熱記録ヘッド１によってインクフィルム４のイ
ンクが記録紙３上に溶融転写される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な感熱転写記録装置では、記録紙３が搬送されている間
は画情報の大小に関わらず、記録紙３の長さ分だけ常に
インクフィルム４も搬送されるため、すなわち、印字が
不要な場合にも、記録紙３とともにインクフィルム４が
搬送されるため、該インクフィルム４の浪費が甚だし
い。

【０００５】このためこの種の記録装置には、従来より
感熱記録ヘッド１のレリーズ機構が設けられており、イ
ンクフィルム４の浪費を可及的に少なくするようにして
いる。すなわち、感熱記録ヘッド１をプラテンローラ２
に対して離接可能に配設するとともに、この感熱記録ヘ
ッド１の移動域上にカム５を配設し、印字不要の場合に
は、図５に示すように、カム５を作動させて感熱記録ヘ
ッド１をプラテンローラ２から離隔させるとともに、イ
ンクフィルム４の搬送を停止して記録紙３のみを搬送さ
せるようにしている。上記カム５は、その作動を確実な
ものとするため、可及的に感熱記録ヘッド１の近傍に配
設する必要がある。

【０００６】しかしながら、上記感熱記録ヘッド１の周
囲には、該感熱記録ヘッド１にインクフィルム４を押圧
するためのプラテンローラ２や該プラテンローラ２にイ
ンクフィルム４を案内するための軸状部材６，６等が配
設されているため、上記カム５を感熱記録ヘッド１の近
傍に配設した場合にはその周囲が極めて雑多となり、そ
の組付作業や保守点検作業が煩雑となる。

【０００７】本考案の目的は、上記実情に鑑みて、組付
作業や保守点検作業の煩雑化を招来することなく、イン
クフィルムの浪費を可及的に少なくすることのできる感
熱転写記録装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案に係る感熱転写記
録装置では、プラテンローラに対して離接可能に配設さ
れた感熱記録ヘッドと、この感熱記録ヘッドを前記プラ
テンローラに対して離接移動させるカムと、前記プラテ
ンローラの両側域に配設され、前記プラテンローラの周
面にインクフィルムを押圧するするとともに該インクフ
ィルムを前記プラテンローラの周面に案内する一対の案
内部材とを備え、前記感熱記録ヘッドを前記プラテンロ
ーラに押圧させた状態で、前記一対の案内部材に案内さ
れたインクフィルムとともにこれらの間に記録紙を挟装
させ、該インクフィルムのインクを前記感熱記録ヘッド
によって前記記録紙に溶融転写する感熱転写記録装置に
おいて、前記カムを前記案内部材に配設している。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、プラテンローラの周面にイ
ンクフィルムを押圧するするとともに該インクフィルム
をプラテンローラの周面に案内するために配設された案
内部材を回動させることによってカムが作動され、感熱
記録ヘッドがプラテンローラに対して離接移動される。

【００１０】

【実施例】以下、実施例を示す図面に基づいて本考案を
詳細に説明する。

【００１１】図１は、本考案に係る感熱転写記録装置の
要部を概念的に示したもので、ファクシミリ装置に適用
される記録装置を例示している。この記録装置には、図
示していない装置本体の内部に記録紙１０の搬送域１１
が構成され、またこの搬送域１１を挟んで互いに対応す
る部位にはそれぞれ感熱記録ヘッド１２およびプラテン
ローラ１３が配設されている。

【００１２】感熱記録ヘッド１２は、その一端に支持軸
１４が固着された支持プレート１５と、この支持プレー
ト１５の一端部一方面に構成された記録部１２ａとを備
えており、該記録部１２ａを上記搬送域１１に臨ませる
態様で、上記支持プレート１５の支持軸１４を介して図
示していない装置本体のフレーム等に揺動可能に配設さ
れている。

【００１３】プラテンローラ１３は、円柱状を成してお
り、その周面を上記感熱記録ヘッド１２の記録部１２ａ
に対向させる態様で図示していない装置本体のフレーム
等に回動自在に保持されている。

【００１４】図１に示すように、上記感熱記録ヘッド１
２における支持プレート１５の他端部と、図示していな
い装置本体の支持部Ｆとの間には、該感熱記録ヘッド１
２の記録部１２ａをプラテンローラ１３の周面に常時押
圧するスプリング１６が介在され、また、上記プラテン
ローラ１３の端部には、該ローラ１３を回転駆動する駆
動モータＭが接続されている。

【００１５】一方、上記感熱転写記録装置は、記録紙１
０の搬送域１１におけるプラテンローラ１３の両側域に
対応する部位にそれぞれシャフト（案内部材）１７、１
８を備えている。

【００１６】搬送域１１の上流側（図中の右方側）に配
置された一方のシャフト１７（以下、貼着シャフトとい
う）は、その周面が極めて滑らかに成形された円柱状を
成しており、上記プラテンローラ１３の軸心に沿う態様
で、上述した図示していない装置本体のフレーム等に保
持されている。

【００１７】上記搬送域１１の下流側（図中の左方側）
に配置された他方のシャフト１８（以下、剥離シャフト
という）は、その周面が極めて滑らかに成形された円柱
状を成し、かつ図１および図３に示すように、その中程
に一体成形された一対のカム１９，１９を備えており、
上記感熱記録ヘッド１２における支持プレート１５の他
端部下方域に、プラテンローラ１３の軸心に沿う態様で
図示していない装置本体のフレーム等に回動可能に保持
されている。なお、この剥離シャフト１８の一端部に
は、該剥離シャフト１８を回動させるロータリソレノイ
ドＲＳが接続されている。

【００１８】一対のカム１９，１９は、それぞれ上記記
録部１２ａがプラテンローラ１３の周面に当接した状態
にある感熱記録ヘッド１２の支持プレート１５と、剥離
シャフト１８の軸心との間の距離よりも十分に大きな高
さを有しており、該シャフト１８の周面に互いに間隔を
もち、かつ互いに同位相に配設されている。

【００１９】図１からも明らかなように、これら貼着シ
ャフト１７および剥離シャフト１８は、それぞれプラテ
ンローラ１３側に片寄って配設され、すなわち、互いの
軸心を結ぶ平面が上記感熱記録ヘッド１２の記録部１２
ａとプラテンローラ１３の周面との当接部Ｘよりもプラ
テンローラ１３側に片寄って配設されており、図３に示
すように、繰出コア２０から繰り出されて巻取コア２１
に巻取られるインクフィルム２２に巻回してその繰出部
分をプラテンローラ１３の周面に押しつける状態で、プ
ラテンローラ１３の周面における感熱記録ヘッド１２と
の当接部Ｘに案内している。

【００２０】繰出コア２０および巻取コア２１は、それ
ぞれ上記搬送域１１の感熱記録ヘッド１２側で、該搬送
域１１から十分に離隔した位置に配置され、また巻取コ
ア２１の端部には該コア２１を回転させてインクフィル
ム２２を搬送させるフィルム搬送手段（図示せず）が接
続されている。

【００２１】上記のように構成された感熱転写記録装置
では、図１に示すように、剥離シャフト１８に配設され
た一対のカム１９，１９をそれぞれ感熱記録ヘッド１２
の支持プレート１５から離隔させた状態、すなわち該感
熱記録ヘッド１２の記録部１２ａがプラテンローラ１３
の周面に押圧された状態が記録待機状態となる。

【００２２】この状態から図示していない起動スイッチ
を押下すると、上記記録紙搬送手段（図示せず）によっ
て記録紙１０の搬送が開始され、次いでこの搬送された
記録紙１０の先端が貼着シャフト１７に到達した時点か
ら上記駆動モータＭが作動され、プラテンローラ１３が
回転するとともに、上記フィルム搬送手段（図示せず）
が作動され、巻取コア２１が回転することによってイン
クフィルム２２の搬送が開始される。

【００２３】貼着シャフト１７を通過した記録紙１０
は、該シャフト１７によってその記録面１０ａにインク
フィルム２２が重ね合わされ、この状態のまま上記感熱
記録ヘッド１２とプラテンローラ１３の周面との間に挟
装され、さらに下流側の剥離シャフト１８を通過した時
点で該剥離シャフト１８によってインクフィルム２２か
ら剥離される。

【００２４】この間、感熱記録ヘッド１２の記録部１２
ａが画情報に基づいて駆動され、インクフィルム２２の
インクが溶融転写されることによって記録紙１０の記録
面１０ａ上に順次記録が行われる。

【００２５】ここで、記録紙１０がプラテンローラ１３
と感熱記録ヘッド１２との間に位置された状態で記録が
終了すると、その記録終了信号、たとえばファクシミリ
装置においては原稿読取完了信号に基づいてロータリソ
レノイドＲＳが駆動され、図２に示すように、上記剥離
シャフト１８が回動してカム１９，１９が支持プレート
１５に当接することにより感熱記録ヘッド１２の記録部
１２ａがプラテンローラ１３の周面から離隔するととも
に、巻取コア２１が停止し、インクフィルム２２の搬送
が停止する。

【００２６】その際、上記カム１９，１９は、感熱記録
ヘッド１２の極近傍に配設されているため、該カム１
９，１９の作動によって感熱記録ヘッド１２が直ちに、
かつ確実にプラテンローラ１３の周面から離隔されるこ
ととなる。

【００２７】この状態においては、図示していない記録
紙搬送手段によって記録紙１０のみが搬送されることに
なるため、印字不要時におけるインクフィルム２２の浪
費を可及的に少なくすることができる。

【００２８】しかも、この感熱転写記録装置では、イン
クフィルム２２をプラテンローラ１３の周面に案内する
ために従来から装置本体内に設けられている剥離シャフ
ト１８に、感熱記録ヘッド１２の記録部１２ａをプラテ
ンローラ１３の周面から離隔するためのカム１９，１９
を配設しているため、取扱い部品点数の増大を招来する
ことはなく、その組付作業や保守点検作業が煩雑となる
こともない。

【００２９】記録の施された記録紙１０の搬送が終了す
ると、たとえば図示していない排紙スタッカに排出され
ると、上記ロータリソレノイドＲＳが先とは逆方向に駆
動され、剥離シャフト１８に配設された一対のカム１
９，１９がそれぞれ感熱記録ヘッド１２の支持プレート
１５から離隔した状態、すなわち該感熱記録ヘッド１２
の記録部１２ａがプラテンローラ１３の周面に押圧され
た記録待機状態に復帰する。

【００３０】なお、上記実施例では、ファクシミリ装置
に適用される感熱転写記録装置を例示しているが、本考
案はこれに限定されない。また、支持軸１４を介して感
熱記録ヘッド１２を揺動可能に配設することによってプ
ラテンローラ１３の周面に離接させるようにしている
が、その他の移動態様によってプラテンローラの周面に
離接移動させるようにしてもよい。

【００３１】また、上記実施例では、搬送域１１におけ
るプラテンローラ１３よりも下流側に配置された剥離シ
ャフト１８にカム１９，１９を配設するようにしている
が、上流側の貼着シャフト１７にカム１９を配設しても
構わない。なお、実施例においてはカム１９が配設され
たシャフト１７をロータリソレノイドＲＳによって回動
させるようにしているが、もちろんその他の駆動手段を
用いてもよい。さらに、シャフト１７に一対のカム１
９，１９を一体に成形しているが、カムは必ずしも２つ
である必要はなく、またシャフトと別体に成形しても構
わない。

【００３２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係る感熱
転写記録装置によれば、プラテンローラの周面にインク
フィルムを押圧するするとともに該インクフィルムをプ
ラテンローラの周面に案内するために配設された案内部
材を回動させることによってカムが作動され、感熱記録
ヘッドがプラテンローラに対して離接移動されるため、
すなわち、取扱い部品点数を増大させることなく感熱記
録ヘッドをプラテンローラに離接移動させることができ
るため、感熱記録ヘッドの周囲を雑多とすることがな
く、さらに組付作業や保守点検作業の煩雑化を招来する
ことなく、インクフィルムの浪費を可及的に少なくする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案に係る感熱転写記録装置の記録
状態を概念的に示した要部側面図である。

【図２】図２は、その作用を概念的に示した要部側面図
である。

【図３】図３は、本考案に係る感熱転写記録装置の要部
を概念的に示した拡大斜視図である。

【図４】図４は、従来の感熱転写記録装置の記録状態を
概念的に示した要部側面図である。

【図５】図５は、その作用を概念的に示した要部側面図
である。

【符号の説明】

１０ 記録紙 １２ 感熱記録ヘッド １３ プラテンローラ １７，１８ 軸状部材 １９ カム ２２ インクフィルム

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラテンローラに対して離接可能に配設
   された感熱記録ヘッドと、 この感熱記録ヘッドを前記プラテンローラに対して離接
   移動させるカムと、 前記プラテンローラの両側域に配設され、前記プラテン
   ローラの周面にインクフィルムを押圧するするとともに
   該インクフィルムを前記プラテンローラの周面に案内す
   る一対の案内部材とを備え、前記感熱記録ヘッドを前記
   プラテンローラに押圧させた状態で、前記一対の案内部
   材に案内されたインクフィルムとともにこれらの間に記
   録紙を挟装させ、該インクフィルムのインクを前記感熱
   記録ヘッドによって前記記録紙に溶融転写する感熱転写
   記録装置において、 前記カムを前記案内部材に配設したことを特徴とする感
   熱転写記録装置。