JP2571591Y2 - 鋳造用中子製造装置における冷し金供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、鋳造用中子製造装置に
おける金型内の所定位置に冷し金を供給するための装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は鋳造用中子の一例Ｓを示したもの
であるが、鋳型内にこのような中子Ｓを取り付けて中空
状の鋳物製品を製造する場合、鋳物に部分的に肉厚の厚
い部分があると、その厚肉部分の湯の冷却が他の部分よ
りも遅れて、所謂「ひけ巣」を生じ、鋳物製品の品質が
悪くなることから、中子を製造する際に、前記鋳物厚肉
部分に対応する中子成形用型孔部分に、図４に例示する
ような湯の冷却速度を速めるための冷し金Ｍを配置して
おいて、この冷し金Ｍを一体的に埋設した状態に中子Ｓ
を成形し、しかしてこのような冷し金Ｍを有する中子を
使用することによって、「ひけ巣」の生じない鋳物製品
を製造することができる。

【０００３】上記のような冷し金Ｍが一体に埋設された
中子Ｓを製造するのに使用されている中子製造装置につ
いて、本考案の実施例を示す図１の一部を参照して説明
すると、この図において、１は回転式の分割金型、２は
水平移動式の分割金型で、これら一対の分割金型１，２
によって前記中子Ｓを成形する中子成形用金型が形成さ
れ、両金型１，２はそれぞれ同じ形状の型孔１ａ，２ａ
を備えている。回転式分割金型１は、一対のガイドロー
ラ３に回転自在に支持された回転円盤４に起倒自在に枢
着され、水平移動式分割金型２は前記回転円盤４と金型
支持枠５との間に配設されたガイドロッド６に水平移動
自在に取付けてある。

【０００４】しかして、前記中子Ｓの製造にあたって
は、回転式分割金型１を図１の実線図示のように水平姿
勢に保持し、この分割金型１内の所定位置に冷し金Ｍを
作業員が手で挿入する。この場合、冷し金Ｍはこの金型
１の底壁部内に埋設された永久磁石７の吸着力により吸
着保持させる。その後、金型起倒用シリンダ装置８によ
り、前記回動式分割金型１を同図仮想線図示のように起
立させ、次いで他方の水平移動式金型２を金型水平移動
用シリンダ装置９により水平移動させて、この金型２を
水平姿勢にある前記回転式金型１に吻合させる。そして
両金型１，２間に設けられた型砂供給口（図示省略）か
ら両型孔１ａ，２ａ内に、熱硬化性樹脂の混合された中
子用型砂を供給すると共に、その型砂を両型孔１ａ，２
ａ内の隅々まで行き渡るように充填するため、揺動装置
１０により金型支持枠５及び回転円盤４を介して両金型
１，２を揺動させ、更に所要の加熱手段により両金型
１，２を加熱し、それにより型砂を硬化させて、図３に
示すように冷し金Ｍを一体埋設した中子Ｓを製造する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、従来では、
冷し金Ｍを手作業で金型１内に供給していたが、中子用
型砂に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させるために金型を
３００度程度に加熱することから、上記の手作業を高温
環境下で行うことは、作業者に過渡の負担を強いること
になり、作業能率を低下させていた。

【０００６】このため、本考案と同一出願人によって、
上記の冷し金供給作業を自動的に行うようにした装置が
提案され、実開平３−８５１５１号公報に開示されてい
る。しかしながら、この冷し金供給装置では、冷し金を
水平姿勢にある分割金型の型孔内に上方から自動的に送
り込むことはできるが、この送り込んだ冷し金を型孔内
で正確に位置決めすることができなかった。

【０００７】即ち、冷し金は通常鋳物からなるもので、
大きさ、形状は同じでも、鋳造時の製作誤差や公差等に
より、各冷し金の寸法には多少の差異があり、従って冷
し金を金型上方の定位置から金型の型孔内へ垂直下方に
下降して送り込んでも、型孔内における冷し金の水平方
向の位置が所定位置に対しずれを生じていることがあ
が、上記従来の冷し金供給装置によると、冷し金吸引部
材に吸着した冷し金を、金型の型孔内に送り込むまでは
水平方向に移動調整することはできるものの、冷し金を
型孔内に送り込んでしまうと、この冷し金が金型内に埋
設された永久磁石に吸着されて固定されることため、金
型の型孔内で冷し金を正確に位置決めすることができ
ず、このため作業者が手作業で位置の修正を行う必要が
あり、この修正作業に手間がかかって、作業能率の十分
な向上を図ることができなかった。

【０００８】本考案は、上記の課題に鑑み、特に金型の
型孔内での冷し金の位置決めを正確にしかも自動的に行
えるようにした冷し金供給装置を提供することを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、回転式分割金
型１と水平移動式分割金型２との一対の分割金型１，２
のうち、回転式分割金型１を水平姿勢可能に配置し、こ
の回転式分割金型１の型孔１ａ内に冷し金Ｍを挿入する
と共に、この冷し金Ｍをこの回転式分割金型１内に埋設
された永久磁石７で吸着保持して、両分割金型１，２に
より前記冷し金Ｍを一体的に埋入した状態で鋳造用中子
を成形する鋳造用中子製造装置において、冷し金供給装
置は、駆動手段により水平方向移動可能な水平移動フレ
ーム１５に上下移動用シリンダ１６を垂設し、このシリ
ンダ１６にアーム駆動手段１７を介して冷し金把持アー
ム１８を連結する一方、前記回転式分割金型１の側方に
設けた昇降ガイドフレーム１９に、昇降台２０を昇降用
シリンダ２１によって昇降駆動可能に支持し、この昇降
台２０に水平移動用シリンダ２２を設け、このシリンダ
２２に冷し金押動部材２３を連結し、前記冷し金把持ア
ーム１８によって把持した冷し金Ｍを、前記水平移動フ
レーム１５の水平駆動と第１上下移動用シリンダ１６に
より前記回転式分割金型１の型孔１ａ内に送り込んで、
金型１内の永久磁石７に吸着させた状態で、この冷し金
Ｍを、型孔１ａ内に挿入させた前記冷し金押動部材２３
によって型孔１ａ内の所定位置まで水平方向に押動して
位置決めするようにしてなるものである。

【００１０】

【実施例】本考案に係る冷し金供給装置の実施例につい
て説明すると、この冷し金供給装置は、図１に示すよう
に、シリンダ等からなる駆動手段により水平方向移動可
能な水平移動フレーム１５と、この水平移動フレーム１
５の先端部に垂設された上下移動用シリンダ１６と、こ
のシリンダ１６のピストンロッド１６ａに連結されたア
ーム駆動手段１７と、このアーム駆動手段１７によって
開閉駆動される冷し金把持アーム１８と、回転式分割金
型１の側方に架設された昇降ガイドフレーム１９と、こ
の昇降ガイドフレーム１９に昇降可能に支持された昇降
台２０と、この昇降台２０を前記昇降ガイドフレーム１
９に沿って昇降駆動する昇降用シリンダ２１と、前記昇
降台２０に設置された水平移動用シリンダ２２と、この
水平移動用シリンダ２２のピストンロッド１６ａに連結
された略Ｌ字状の冷し金押動部材２３と、から構成され
ている。前記昇降用シリンダ２１は昇降ガイドフレーム
１９の上部に垂設されている。回転式分割金型１の底壁
部内には永久磁石７が埋設されている。尚、この図１の
中子製造装置については既に説明したので、省略する。

【００１１】したがって、この冷し金供給装置によると
きは、前記水平移動フレーム１５を駆動手段によって図
１の実線図示位置からその右方の所要位置、例えば冷し
金受け取り位置まで後退移動させ、そこで上下移動用シ
リンダ１６及びアーム駆動手段１７を作動させて、冷し
金把持アーム１８により冷し金Ｍを把持しておく。そし
て、前記水平移動フレーム１５を、水平姿勢にある分割
金型１の直上位置まで移動させ、この位置から上下移動
用シリンダ１６を下動させて、冷し金把持アーム１８の
先端側を分割金型１の型孔１ａ内に突入し、アーム駆動
手段１７の作動により冷し金把持アーム１８を開放させ
て、冷し金Ｍを型孔１ａ内の冷し金供給位置の略定位置
に送り込み、そこに設けてある永久磁石７の吸着力によ
って吸着保持し、その後冷し金把持アーム１８は上動さ
せる。

【００１２】それから、昇降用シリンダ２１により昇降
台２０を昇降ガイドフレーム１９に沿って所定高さ位置
まで下降させながら、昇降台２０上の水平移動用シリン
ダ２２を作動させて、冷し金押動部材２３を型孔１ａ内
に挿入し、この押動部材２３の先端部を、図１に示すよ
うに型孔１ａ内で永久磁石７により吸着保持されている
冷し金Ｍの後端面に対向位置させた状態とする。斯かる
状態から、水平移動用シリンダ２２を作動させて、冷し
金押動部材２３の先端部により、型孔１ａ内の冷し金Ｍ
を、永久磁石７に吸着されたままの状態でその吸着力に
抗して型孔１ａ内の所定位置まで水平方向に押動し、所
定位置に位置決めする。

【００１３】上記のように、型孔１ａ内での冷し金Ｍの
位置決めにおいて、冷し金Ｍは、金型１内の永久磁石７
に吸着されたままの状態で、水平移動用シリンダ２２に
よる永久磁石７の吸着力に抗した冷し金押動部材２３の
押動作用によって移動されるから、冷し金押動部材２３
の先端が冷し金Ｍに衝当するときにその衝撃で冷し金Ｍ
が飛び跳ねたり、スリップして必要以上に移動する、と
云った不都合がなく、所定の位置に的確に位置決めする
ことができる。

【００１４】上記のようにして冷し金Ｍを型孔１ａ内の
所定位置に位置させたならば、水平移動用シリンダ２２
により冷し金押動部材２３を若干後退させた後、昇降用
シリンダ２１により昇降台を適宜上昇させて、冷し金押
動部材２３を型孔１ａ内から金型１の外側方へ脱出させ
る。

【００１５】以上説明した実施例の冷し金供給装置で冷
し金の位置決めを行った金型により成形された鋳造用中
子Ｓが図４に示されたものである。尚、冷し金は中子の
形状によって所望の形状に形成されるものである。

【００１６】

【考案の作用及び効果】本考案の冷し金供給装置による
と、冷し金を把持アームにより把持した状態で、水平移
動フレームをその駆動手段により水平方向に移動させる
と共に、上下移動用シリンダを作動させて、この冷し金
を回転式分割金型の型孔内に送り込み、アーム駆動手段
により冷し金把持アームを開放させることによって、こ
の冷し金を型孔内の略定位置に金型の永久磁石で吸着保
持させる。一方、昇降用シリンダにより昇降台を昇降ガ
イドフレームに沿って所定高さ位置まで下降させなが
ら、昇降台上の水平移動用シリンダを作動させて、冷し
金押動部材を型孔内に挿入し、しかしてこの押動部材の
先端部により、型孔内の冷し金を、永久磁石に吸着され
たままの状態でその吸着力に抗して型孔内の所定位置ま
で水平方向に押動することによって所定位置に位置決め
する。

【００１７】上記のように、回転式分割金型の型孔内で
の冷し金の位置決めにおいて、この冷し金は、金型内の
永久磁石に吸着されたままの状態で、水平移動用シリン
ダによる永久磁石の吸着力に抗した冷し金押動部材の押
動作用によって移動されるから、冷し金押動部材の先端
が冷し金に衝当するときにその衝撃で冷し金が飛び跳ね
たり、スリップしたりして必要以上に移動すると云った
不都合がなく、所定の位置に的確に位置決めすることが
できる。

【００１８】また、冷し金押動部材は、回転式分割金型
の側方に配設された昇降ガイドフレ ームに沿って昇降す
る昇降台上の水平移動用シリンダによって上下及び水平
方向に移動可能であるから、回転式分割金型の型孔に対
し挿脱可能であって、型孔内の任意の位置に突入でき
て、冷し金を確実に押動させることができると共に、冷
し金の位置決め後における分割金型の回転に支障を来す
ようなことがない。

【００１９】したがって本考案の冷し金供給装置によれ
ば、回転式分割金型の型孔内での冷し金の位置決めを簡
単な操作で的確にしかも自動的に行うことができ、従来
装置のような手作業による修正作業が不要となり、作業
能率の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 鋳造用中子製造装置及び本考案に係る冷し金
供給装置の一実施例を示す一部断面側面図である。

【図２】 図１の冷し金供給装置による冷し金の供給動
作を説明する斜視図である。

【図３】 冷し金が埋設された状態に成形された中子を
示す斜視図である。

【図４】 冷し金を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 回転式分割金型 １ａ 型孔 ２ 水平移動式分割金型 ２ａ 型孔 ７ 永久磁石 １１ 吸着部材 １２ 電磁石１５ 水平移動フレーム １６ 上下移動用シリンダ １７ アーム駆動手段 １８ 冷し金把持アーム １９ ガイドフレーム ２０ 昇降台 ２１ 昇降用シリンダ ２２ 水平移動用シリンダ ２３ 冷し金押動部材 Ｍ 冷し金 Ｓ 鋳造用中子

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転式分割金型と水平移動式分割金型との
   一対の分割金型のうち、回転式分割金型を水平姿勢可能
   に配置し、この回転式分割金型の型孔内に冷し金を挿入
   すると共に、この冷し金をこの回転式分割金型内に埋設
   された永久磁石で吸着保持して、両分割金型により前記
   冷し金を一体的に埋入した状態で鋳造用中子を成形する
   鋳造用中子製造装置において、駆動手段により水平方向
   移動可能な水平移動フレームに上下移動用シリンダを垂
   設し、このシリンダにアーム駆動手段を介して冷し金把
   持アームを連結する一方、前記回転式分割金型の側方に
   設けた昇降ガイドフレームに、昇降台を昇降用シリンダ
   によって昇降駆動可能に支持し、この昇降台に水平移動
   用シリンダを設け、このシリンダに冷し金押動部材を連
   結し、前記冷し金把持アームによって把持した冷し金
   を、前記水平移動フレームの水平駆動と前記上下移動用
   シリンダにより前記回転式分割金型の型孔内に送り込ん
   で、金型内の永久磁石に吸着させた状態で、この冷し金
   を、型孔内に挿入させた前記冷し金押動部材によって型
   孔内の所定位置まで水平方向に押動して位置決めするよ
   うにしてなる冷し金供給装置。