JP2570439Y2 - クリーム状物注出容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、シャンプー等の粘性液
を手動のポンプで注出するクリーム状物注出容器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】この種注出容器は従来から多数提案され
ていて極く周知であり、実願平2-79659 号はそれらのな
かの１例である。この例から判るように、この種注出容
器の基本は液を収納した容器体口頸部に手動操作のポン
プの注出器本体をねじキャップで取付けた構成としたも
のである。

【０００３】注出器本体は、底部開口に吸込み弁を設け
て容器体口頸部に内設固定された縦形シリンダーの固定
部と、このシリンダーに内嵌された筒状ピストン、この
筒状ピストンに下端を連通固定して上方外部に立上った
ステム、一側にノズル管を設けてステム上端に連通固定
された押下げヘッドの可動注出路系と、この可動注出路
系に設けられた吐出弁及び、可動注出路系を常時押上げ
付勢する復帰ばねとで構成している。

【０００４】この構成で、液の注出時には押下げヘッド
を介し可動注出路系を復帰ばねに抗し押し下げ操作すれ
ばよく、すると筒状ピストンがシリンダー内の液を加圧
し、この加圧液が開弁した吐出弁を通しステムを経てノ
ズル管から外部に注出される。

【０００５】注出終了で押下げを停止すると、可動注出
路系が復帰ばねにより上方に復帰し、この復帰でシリン
ダー内が負圧化し、これにより吸込み弁が開弁して容器
体内液をシリンダー内に吸上げ、次回の注出に備える。

【０００６】このシリンダーへの吸上げがあると容器体
内が負圧化し、爾后の吸上げに支障が生じることから、
容器体は下面側を大気圧とした上下スライド可能な中皿
を内嵌し、この中皿上面側に液を収容する構成としてお
り、液吸上げで容器体内が負圧化しようとすると中皿を
大気圧利用で上昇移動させて負圧化を防止している。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】上記したように、従来
における容器体は中皿を上下方向スライド可能に内嵌
し、シリンダーへの吸上げに応じてこの中皿を大気圧を
利用して上昇スライドさせ負圧化を防止する構造であ
り、従って所期通りの作用を期待するには中皿のシール
性が重要となり、といって滑り抵抗が大きすぎるとスラ
イドの円滑さを欠くことから、単に部品が増えるのみで
なく組立て構造が面倒化している。

【０００８】さらに、容器体の胴部は正確な直筒状の形
状とし、かつ剛性が要求されることから硬質の樹脂材で
肉厚に形成する必要もある。

【０００９】本考案は、スライドさせる中皿が不要であ
りながら負圧化が防止でき、従って構造が簡単化し、し
かも合成樹脂量が節約できる低コストの容器体を備えた
クリーム状物注出容器を得るにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案のクリーム状物注
出容器は、容器体９を、肩部１、胴部２、底壁３で形成
している胴体４の左または右半部を肉薄の軟質合成樹脂
材で変形可能部５に形成し、他半部を肉厚の硬質合成樹
脂材で剛性部６に形成し、注出器本体７を取付ける口頸
部８を剛性部６側の肩部１ａから立設した構成としたも
のである。

【００１１】

【作用】上記において、注出器本体７の押下げ操作でこ
の本体７のシリンダー内のクリーム状物が外部に注出さ
れると、この本体７の復帰時容器体９内のクリーム状物
はシリンダー内に吸上げられ、これにより容器体９内が
負圧化しようとするが、容器体９の左または右のいずれ
か半部は肉薄軟質材により変形可能部５となっているの
で、この変形可能部５が容器体９の容積を縮少するよう
に内方に変形して負圧化を防止する。

【００１２】図２の２点鎖線“イ”は容器体９内のクリ
ーム状物が半量近く吸上げられた場合の変形可能部５の
変形状態で、このときの容器体９の容積は略半分であ
り、また２点鎖線“ロ”は略全量のクリーム状物が吸上
げられた場合の変形状態であり、この場合は変形可能部
５は剛性部６内面に２重壁状にピッタリ張りつくまで変
形し、容器体９の容積は実質零の状態である。

【００１３】このように、本考案では容器体９の胴体自
体が変形して負圧化を防止するので、中皿等の部品が不
要であり、従って中皿を装着する場合の組立ての面倒さ
も省けて構造が簡単化し、また容器体９の半部は肉薄な
ので、中皿省略と合わせ合成樹脂量が節約できる。

【００１４】

【実施例】以下図面を参照して一実施例を説明するに、
本考案のクリーム状物注出容器は、容器体９の胴体４の
左または右半部を変形可能部５とし、この変形可能部５
を吸上げ時変形させることにより容器体９の負圧化を防
止させるようにした点に特徴を有する。

【００１５】このため、この実施例では図１、図２に示
すようにポリエチレン等の硬質の合成樹脂材により胴体
４の左半部である肩部１ａ、胴部２ａ、底壁３ａと、肩
部１ａから立設して偏心させた口頸部８ａとの容器体９
の左半部の剛性部６を肉厚に成形形成し、一方ナイロン
等の軟質合成樹脂材により前記口頸部８ａに対応した位
置に口頸部８ｂを持つ容器体９の全形を肉薄に変形可能
部５に成形形成し、この場合口頸部８ｂを含む左半部を
前記剛性部６より１回りサイズを小さくし、この小サイ
ズの左半部を剛性部６に２重壁状になるように内嵌装着
し、この嵌合した２重部分を接着剤または超音波等の手
段により一体に接着して構成する。

【００１６】従って、容器体９の口頸部８を含む図示左
半部は剛性部６に、そして右半部は肩部１ｂ、胴部２
ｂ、底壁３ｂのいずれもが変形できる変形可能部５とな
る。

【００１７】なお、剛性の口頸部８ａ外面にはねじ山10
が形成され、また変形可能部５側の口頸部８ｂ上端には
剛性口頸部８ａ口頂面に重ねられる外向きフランジ11が
形成してある。また口頸部８はやや背が高く、注出器本
体７のシリンダーはこの口頸部８部分に納まるようにし
てある。

【００１８】この実施例によれば、容器体９の胴体４の
右半部は肉薄の軟質合成樹脂材により変形可能部５とし
てあるので、注出操作における復帰の吸上げ時、容器体
９から注出器本体７のシリンダーにクリーム状物が吸上
げられ、この容器体９が負圧化しようとすれば、変形可
能部５が容器体９の容積を縮少するよう内方に変形する
ので負圧化が防止できる。変形可能部５の変形度は吸上
げ量に対応し、最終的には他半部の剛性部６内面に密接
し、容器体９の容積は実質零の状態となる。

【００１９】従って、従来におけるスライドする中皿が
不要となり、また中皿装着の組立ても不要となるので構
造が簡単化し、また容器体９は半分が肉薄でかつ中皿が
省略されることから合成樹脂量が節約でき、さらに胴部
は直筒状にする必要がないので壜形が自在にできる利点
もある。

【００２０】この実施例において、ポンプ形の注出器本
体７は従来技術の項で説明しており、しかも本考案要旨
はこの注出器本体７とは直接係わりがないので、その説
明は省略する。なお、図１の注出器本体７で、12はねじ
キャップ、13はシリンダー、14は押下げヘッド、15はノ
ズル管であり、他の構成要素は図が外形図のためこの図
に表われていない。

【００２１】上記実施例において、変形可能部５を口頸
部８ｂを設けない胴体４側のみの半部とし、この半部を
剛性部６半部との互いの縁部で接着して壜形の容器体９
を形成するようにしてもよいことは勿論である。

【００２２】また剛性部６の底壁３ａを変形可能部５の
底壁３ｂ側まで延長し、しかしこの延長底壁部分では変
形可能部５側底壁３ｂと一体に接着せずフリーとして、
容器体９の自立を安定化させるようにすることもでき
る。

【００２３】

【考案の効果】上記したように、本考案のクリーム状物
注出容器では、容器体９の左または右半部を肉薄の軟質
合成樹脂材により変形可能部５に形成し、この変形可能
部５の変形により容器体９の負圧化を防止するようにし
たので、従来におけるスライドする中皿が不要となって
部品が減り、従ってまた組立て等の工程が省略でき構造
が簡単化し、更に合成樹脂量が節約できることからコス
トが低減し、その上容器体９を任意形状に形成できる等
の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の分解外形斜視図である。

【図２】同実施例の容器体の縦断面図である。

【符号の説明】

４ 胴体 ５ 変形可能部 ６ 剛性部 ７ 注出器本体 ９ 容器体

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 肩部１、胴部２、底壁３で形成している
   胴体４の左または右半部を肉薄の軟質合成樹脂材で変形
   可能部５に形成し、他半部を肉厚の硬質合成樹脂材で剛
   性部６に形成し、注出器本体７を取付ける口頸部８を剛
   性部６側の肩部１ａから立設した容器体９を持つクリー
   ム状物注出容器。