JP2570422Y2 - 鋳造用中子保持装置 - Google Patents

鋳造用中子保持装置

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JP2570422Y2
JP2570422Y2 JP1992001803U JP180392U JP2570422Y2 JP 2570422 Y2 JP2570422 Y2 JP 2570422Y2 JP 1992001803 U JP1992001803 U JP 1992001803U JP 180392 U JP180392 U JP 180392U JP 2570422 Y2 JP2570422 Y2 JP 2570422Y2
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茂三 大崎
隆弘 鉄穴口
忠之 倉本
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Mazda Motor Corp
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は鋳造用中子保持装置に関
し、特にエンジンのピストンの頭部に空洞を形成すべき
中子を鋳型内に保持するのに好適な中子保持装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】車両用エンジンの高出力化に伴い、ピス
トンの温度が上昇し、ピストンリング溝部の摩耗、ピス
トンの溶損あるいは焼付き等の不具合が生じ易くなるた
め、ピストン頂部近傍内部に冷却用空洞を形成し、この
空洞内に冷却油を通すようにすることが一般に行なわれ
ている。
【0003】このピストン内部に冷却用空洞を形成する
場合、塩を材料とする環状可溶性中子(塩中子)を鋳込
むことが多い。その場合、例えば実開昭55−1439
46号公報に開示されているように、鋳型に立設された
複数本の中子支持棒を備えた中子保持装置が用いられ
る。その場合、塩中子を上記中子支持棒上に載置し、鋳
型内にセットした後、キャビティ内にアルミニウム合金
溶湯を注湯し、環状塩中子を鋳ぐるんだピストン素材を
作成した後、中子支持棒の鋳抜き穴から水を注入して塩
中子を溶出し、冷却用空洞を完成させるようにしてい
る。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところで、塩中子の成
分であるNaClの比重はアルミニウム合金の比重より
も小さいため、環状塩中子を中子支持棒上に載置したの
みでは、アルミニウム合金溶湯により塩中子が動いてし
まい、所望部位に冷却用空洞が得られないという問題が
あった。
【0005】また、何等かの手段を用いて環状塩中子を
中子支持棒上に固定し得たとしても、700℃以上の温
度を有するアルミニウム合金溶湯と塩中子との接触によ
り、塩中子からガスが発生し、冷却用空洞付近にガス欠
陥が形成され、所望形状の冷却用空洞が得られないとい
う問題があった。
【0006】そこで、実開昭61−58945号公報に
開示されているように、ガス抜き用貫通孔を備えた中子
支持棒を中子に差し込んで中子を固定することも提案さ
れているが、このような中子支持棒を用いた場合であっ
ても、やはり中子保持力が十分でなく、またガス抜き通
路も狭いためにガス抜き作用も不十分であった。上述の
課題に鑑み、本考案は、中子保持力が強く、かつ十分な
ガス抜き機能を備えた鋳造用中子保持装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本考案による鋳造用中子
保持装置は、中子支持棒に、該中子支持棒をその軸線に
沿ってほぼ二分するスリットが上記中子支持棒の先端面
から中途部分まで延設され鋳型には、上記中子支持棒
の外周面の周囲から外部に通じるガス抜き孔が形成さ
れ、塩中子に挿通されかつ先端部を前記スリット内に該
スリットを押し開く態様で嵌入されて該スリット内に弾
性的に挟着されたT型ピンまたは押え部付きピンが、そ
の先端部を上記スリット内に弾性的に挟着された態様
で、中子を中子支持棒上に固定していることを特徴とす
るものである。中子には、上記T型ピンまたは押え部
付きピンの外径よりも大きい内径を有するピン挿通孔が
設けられることが好ましい。また、上記T型ピンの頂部
の外径または上記押え部付きピンの押え部の外径がピン
挿通孔の内径よりも大きく形成されていることが好まし
い。
【0008】
【0009】
【作用および効果】本考案によれば、中子支持棒に、
中子支持棒をその軸線に沿ってほぼ二分するスリットが
上記中子支持棒の先端面から中途部分まで延設され、こ
のスリット内に先端部を該スリットを押し開く態様で嵌
入されて該スリット内に弾性的に挟着されたT型ピンま
たは押え部付きピンによって中子が中子支持棒上に強
固に固定されるため、注湯による中子の位置ずれを防
止することができる。また、鋳型には、上記中子支持棒
の外周面の周囲から外部に通じるガス抜き孔が形成され
ているから、注湯時に中子から発生するガスは上記ス
リットから上記ガス抜き孔を通じて外部に放出されるか
ら、周囲にガス欠陥のない空洞を作成することができ
る。さらに、T型ピンまたは押え部付きピンが、中子支
持棒のスリット部の弾性によりスリットに挟着された態
様で中子支持棒に固定されるため、度重なる使用によっ
ても、スリット部のピン保持力が減少しない効果があ
る。さらに、上記T型ピンまたは押え部付きピンの外径
よりも大きい内径を有するピン挿通孔が中子に設けら
れることにより、ピンの外周面とピン挿通孔内周面との
間に空隙が存在し、この空隙を通じてガス抜きが行な
われるから、ガス抜き性が向上する。またさらに、T型
ピンの頂部の外径または上記押え部付きピンの押え部の
外径がピン挿通孔の内径よりも大きく形成されているこ
とにより、T型ピンの頂部または押え部付きピンの押え
部によりピン挿通孔が蓋をされるから、この部分からガ
スが漏れるのを防止することができるとともに、中子
を強固に押えることができる。
【0010】
【実施例】以下、本考案による鋳造用中子保持装置の実
施例を図面に基いて説明する。
【0011】図1は本考案の実施例による中子保持装置
に環状塩中子を固定した状態を示す正面断面図、図2は
図1のA方向から見た要部の拡大側面断面図、図3は図
1の分解図である。図1において、1は鋳型のセンタコ
ア、2はこのセンタコア1の外周に嵌着されたサイドコ
アである。センタコア1の下部フランジ部1aには、上
端が平坦な中子載置面とされた2本の中子支持棒3,3
が立設され、これら中子支持棒3,3はサイドコア2を
上方へ貫通して、サイドコア2の上面から突出してい
る。
【0012】中子支持棒3には、図2から明らかなよう
に、上記中子支持棒3を軸線に沿ってほぼ二分するよう
に中子支持棒3の上端面から中途部分まで延びるスリッ
ト3aと、このスリット3aから側方へ延びて中子支持
棒3の外周面に開口するガス抜き溝3bが形成されて
いる。また、サイドコアには、中子支持棒3の外周面の
周囲から外部に通じるガス抜き孔2aが形成されてい
る。
【0013】環状塩中子4は、2本の中子支持棒3,3
の平坦な上端面上に載置され、かつ、中子支持棒3,3
の軸線と合致する小径のピン挿通孔4a,4aがあけら
れている。そして、図3に示されているように、これら
ピン挿通孔4a,4aの上方からこれよりも小径のT型
ピン5,5が挿通され、これらT型ピン5,5の下端部
は塩中子4の下面から下方に突出して、中子支持棒3,
3のスリット3aを図2の左右方向へ押し開いた態様で
スリット3a内に嵌入されている。したがって、T型ピ
ン5,5の下端部は、中子支持棒3,3のスリット3a
が設けられている部分の弾性によってスリット3a,3
a内に挟着されることになり、塩中子4が中子支持棒
3,3上に強固に固定されるとともに、中子支持棒3
スリット3aおよびガス抜き溝3bサイドコア2の
ガス抜き孔2aを通じて鋳型の外部に連通している。上
記T型ピン5,5のT型の頂部の外径は、ピン挿通孔4
a,4aの上端を蓋し得るように、ピン挿通孔4a,4
aの内径よりも大きく形成されて、塩中子4を強固に押
えるとともに、この部分からガスが漏れるのを防止する
ようになっている。また、T型ピン5,5の外径は、そ
の外周面とピン挿通孔4a,4aの内周面との間に空隙
が存在するように、ピン挿通孔4a,4aの内径より小
径にして、ガス抜き性を良好にしている。なお、上記T
型ピン5,5の代えて、頂部に押え部を備えた押え部付
きピンを用いても良いことは言うまでもない。
【0014】図4は上述の中子保持装置に取付けられた
塩中子4がピストン材料のアルミニウム合金によってピ
ストン素材6内に鋳ぐるまれた状態を示す断面図で、注
湯時に塩中子4から発生するガスは、中子支持棒3,3
のスリット3aおよびガス抜き溝3bならびにサイドコ
ア2のガス抜き孔2aを通じて外部に放出される。ピス
トン素材6がコア1,2から取外された後、湯口部8お
よび押し湯部7が1点鎖線に示す位置から切断される。
そして中子支持棒3,3の鋳抜き穴9から水が注入され
て、環状塩中子4が溶出され、かつT型ピン5,5が放
出され、図5に示すような冷却用空洞10がピストン素
材6内に形成される。
【0015】次に上述した本考案による鋳造用中子保持
装置を用いたピストンの製造方法について説明する。
【0016】まず、粉末粒度100メッシュ以下のNa
Cl粉を用いて、圧粉圧力1.2 ton/cm2 にて圧粉体
よりなる環状塩中子4を成形した。次にこの圧粉体を1
0℃/分の昇温速度で120℃まで加熱し、かつ30分
間保持して予備焼結体を得た。この予備焼結体のほぼ直
径上の2ケ所に、直径1.2mmのピン挿通孔4a,4a
をドリル加工によって作成し、10℃/分の昇温速度で
600℃まで加熱昇温し、かつ30分間保持して焼結を
行なった。このようにして得られた焼結体よりなる環状
塩中子4を鋳型内の中子支持棒3,3上に載置し、直径
0.9mmのT型ピン5,5をそれぞれピン挿通孔4a,
4aに挿通し、T型ピン5,5の下端部を中子支持棒
3,3のスリット3aに嵌入して、環状塩中子4を中子
支持棒3,3上に固定した後、型閉めを行なった。次に
鋳込温度770℃のアルミニウム合金 (JIS AC
8A)の溶湯を鋳型湯口から注湯し、図4に示したよう
な、環状塩中子4を鋳ぐるんだピストン素材6を作成
し、湯口部8および押し湯部7を切断後、中子支持棒
3,3の鋳抜き穴9から水を注入し、環状塩中子4を溶
出し、かつT型ピン5,5を放出して、冷却用空洞10
を作成した。
【0017】以上の方法で得られたピストン素材6に対
し、X線透過にて冷却用空洞10内の残塩および形状を
検査したところ、冷却用空洞10内には塩中子4の残塩
はなく、かつ冷却用空洞10の部位および形状も良好で
あり、ガス欠陥等も観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による鋳造用中子保持装置に環状塩中子
を固定した状態を示す正面断面図
【図2】図1のA方向から見た要部の拡大側面断面図
【図3】図1の分解正面図
【図4】ピストン素材内に環状塩中子が鋳ぐるまれた状
態を示す正面断面図
【図5】ピストン素材内に冷却用空洞が形成された状態
を示す正面断面図
【符号の説明】
1 センタコア 2 サイドコア 2a ガス抜き孔 3 中子支持棒 3a スリット 3b ガス抜き溝 4 環状塩中子 4a ピン挿通孔 5 T型ピン 6 ピストン素材 9 鋳抜き穴 10 冷却用空洞
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 倉本 忠之 広島県東広島市高屋町大字郷660番地1 マツダ精密株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−58945(JP,U) 実開 昭58−4252(JP,U)

Claims (4)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中子を鋳型内に保持する中子支持棒を
    備えた中子保持装置において、 前記中子支持棒に、該中子支持棒をその軸線に沿ってほ
    ぼ二分するスリットが前記中子支持棒の先端面から中途
    部分まで延設され前記鋳型に、前記中子支持棒の外周面の周囲から外部に
    通じるガス抜き孔が形成され、 前記中子に挿通されかつ先端部を前記スリット内に該
    スリットを押し開く態様で嵌入されて該スリット内に弾
    性的に挟着されたT型ピンが、前記中子を前記中子支
    持棒上に固定してなることを特徴とする鋳造用中子保持
    装置。
  2. 【請求項2】 中子を鋳型内に保持する中子支持棒を
    備えた中子保持装置において、 前記中子支持棒に、該中子支持棒をその軸線に沿ってほ
    ぼ二分するスリットが前記中子支持棒の先端面から中途
    部分まで延設され、 前記鋳型に、前記中子支持棒の外周面の周囲から外部に
    通じるガス抜き孔が形成され、 前記中子に挿通されかつ先端部を前記スリット内に該
    スリットを押し開く態様で嵌入されて該スリット内に弾
    性的に挟着された押え部付きピンが、前記中子を前記
    中子支持棒上に固定してなることを特徴とする鋳造用中
    子保持装置。
  3. 【請求項3】 前記中子に前記T型ピンまたは前記押
    え部付きピンの外径よりも大きい内径を有するピン挿通
    孔が設けられてなることを特徴とする請求項1または2
    記載の鋳造用中子保持装置。
  4. 【請求項4】 前記T型ピンの頂部の外径または前記押
    え部付きピンの押え部の外径が前記ピン挿通孔の内径よ
    りも大きく形成されてなることを特徴とする請求項3記
    載の鋳造用中子保持装置。
JP1992001803U 1992-01-22 1992-01-22 鋳造用中子保持装置 Expired - Lifetime JP2570422Y2 (ja)

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JPH0560640U JPH0560640U (ja) 1993-08-10
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