JP2569614B2 - 通電ロール - Google Patents
通電ロールInfo
- Publication number
- JP2569614B2 JP2569614B2 JP62274429A JP27442987A JP2569614B2 JP 2569614 B2 JP2569614 B2 JP 2569614B2 JP 62274429 A JP62274429 A JP 62274429A JP 27442987 A JP27442987 A JP 27442987A JP 2569614 B2 JP2569614 B2 JP 2569614B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phase
- sintered alloy
- precipitated
- less
- based sintered
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、連続電気メッキラインにおける通電ロー
ルに関するものである。
ルに関するものである。
従来、鋼板の連続電気メッキラインにおいて、メッキ
液に触れる環境で使用される通電ロールには、メッキ液
に対する耐食性と被メッキ材である鋼板との接触に対す
る耐摩耗性の両方の特性を備えた材料が使用されてい
る。
液に触れる環境で使用される通電ロールには、メッキ液
に対する耐食性と被メッキ材である鋼板との接触に対す
る耐摩耗性の両方の特性を備えた材料が使用されてい
る。
かかる両方の特性を備えた材料として、特開昭62−12
7443号公報に記載されている通電ロール用Ni基鋳造合金
などのNi基鋳造用合金が知られている。
7443号公報に記載されている通電ロール用Ni基鋳造合金
などのNi基鋳造用合金が知られている。
そして、上記Ni基鋳造用合金を、遠心鋳造により管体
に鋳造し、この管体に機械加工を施してスリーブ状と
し、鋼製パイプの外側に焼嵌めをし、最後に外面に機械
加工を施して通電ロールを製造していた。
に鋳造し、この管体に機械加工を施してスリーブ状と
し、鋼製パイプの外側に焼嵌めをし、最後に外面に機械
加工を施して通電ロールを製造していた。
ところが、上記従来の技術で述べたNi基鋳造用合金
は、鋳造時の湯流れをよくするために、Si,MnまたはAl
を１種または２種以上添加しており、十分な耐食性を得
ることができなかった。さらに、上記Ni基鋳造用合金
を、遠心鋳造により管体に鋳造し、この管体に機械加工
を施してスリーブ状とし、鋼製パイプの外側に焼嵌めを
し、最後に外面に機械加工を施すことにより通電ロール
を製造しようとすると、焼嵌め時に発生する引張応力の
ために、スリーブ部に割れが発生し、また上記割れが発
生せずに通電ロールを製造できたとしても、その組織は
鋳造組織であるために結晶粒径が大きく、硬度も十分で
ないという問題点があった。
は、鋳造時の湯流れをよくするために、Si,MnまたはAl
を１種または２種以上添加しており、十分な耐食性を得
ることができなかった。さらに、上記Ni基鋳造用合金
を、遠心鋳造により管体に鋳造し、この管体に機械加工
を施してスリーブ状とし、鋼製パイプの外側に焼嵌めを
し、最後に外面に機械加工を施すことにより通電ロール
を製造しようとすると、焼嵌め時に発生する引張応力の
ために、スリーブ部に割れが発生し、また上記割れが発
生せずに通電ロールを製造できたとしても、その組織は
鋳造組織であるために結晶粒径が大きく、硬度も十分で
ないという問題点があった。
そこで、本発明者等は、かかる問題点を解決し、一層
すぐれた耐食性、耐摩耗性および硬さを有する通電ロー
ルとその製造方法を開発すべく研究を行った結果、 重量％で（以下、％は重量％を示す）、 Cr:26〜33％、 Mo:16〜23％、 を含有し、さらに必要に応じて （ａ） Fe:1〜10％、 （ｂ） W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1
〜５％、 （ｃ） Co:0.1〜５％、 以上（ａ）〜（ｂ）のうちの１種または２種以上を含有
し、残りがNiと不可避不純物からなる組成を有するアト
マイズ法により製造したNi基合金粉末を、 鋼製パイプとその外側に設けたカプセルからなる空間
部に充填し、真空密封して真空密封構造物を作製し、こ
の真空密封構造物を 温度:1050〜1200℃、 圧力:700kg/cm2以上、 時間:0.5〜５時間保持、 の条件で熱間静水圧プレスすると、鋼製パイプの外面に
Ni合金粉末の成分組成と同じ成分組成の、 Cr:26〜33％、 Mo:16〜23％、 を含有し、さらに必要に応じて、 （ａ） Fe:1〜10％、 （ｂ） W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1
〜５％、 （ｃ） Co:0.1〜５％、 以上（ａ）〜（ｃ）のうちの１種または２種を含有し、
残りがNiと不可避不純物からなる組成並びに比較的軟質
なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質なσ相が析
出した組織を有するNi基焼結合金からなる層が形成され
た通電ロールが得られ、この通電ロールは上記問題点を
解決しうるものであるという知見を得たのである。
すぐれた耐食性、耐摩耗性および硬さを有する通電ロー
ルとその製造方法を開発すべく研究を行った結果、 重量％で（以下、％は重量％を示す）、 Cr:26〜33％、 Mo:16〜23％、 を含有し、さらに必要に応じて （ａ） Fe:1〜10％、 （ｂ） W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1
〜５％、 （ｃ） Co:0.1〜５％、 以上（ａ）〜（ｂ）のうちの１種または２種以上を含有
し、残りがNiと不可避不純物からなる組成を有するアト
マイズ法により製造したNi基合金粉末を、 鋼製パイプとその外側に設けたカプセルからなる空間
部に充填し、真空密封して真空密封構造物を作製し、こ
の真空密封構造物を 温度:1050〜1200℃、 圧力:700kg/cm2以上、 時間:0.5〜５時間保持、 の条件で熱間静水圧プレスすると、鋼製パイプの外面に
Ni合金粉末の成分組成と同じ成分組成の、 Cr:26〜33％、 Mo:16〜23％、 を含有し、さらに必要に応じて、 （ａ） Fe:1〜10％、 （ｂ） W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1
〜５％、 （ｃ） Co:0.1〜５％、 以上（ａ）〜（ｃ）のうちの１種または２種を含有し、
残りがNiと不可避不純物からなる組成並びに比較的軟質
なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質なσ相が析
出した組織を有するNi基焼結合金からなる層が形成され
た通電ロールが得られ、この通電ロールは上記問題点を
解決しうるものであるという知見を得たのである。
この発明は、かかる知見にもとづいてなされたもので
あって、 （１） Cr:26〜33％、 Mo:16〜23％、 を含有し、さらに必要に応じて、 （ａ） Fe:1〜10％、 （ｂ） W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1
〜５％、 （ｃ） Co:0.1〜５％、 以上（ａ）〜（ｃ）のうちの１種または２種以上を含有
し、残りがNiと不可避不純物からなる組成並びにγ相素
地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質なσ相が析出した組
織を有するNi基焼結合金からなる層を鋼製パイプの外面
に形成してなる通電ロール、に特徴を有するものであ
る。
あって、 （１） Cr:26〜33％、 Mo:16〜23％、 を含有し、さらに必要に応じて、 （ａ） Fe:1〜10％、 （ｂ） W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1
〜５％、 （ｃ） Co:0.1〜５％、 以上（ａ）〜（ｃ）のうちの１種または２種以上を含有
し、残りがNiと不可避不純物からなる組成並びにγ相素
地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質なσ相が析出した組
織を有するNi基焼結合金からなる層を鋼製パイプの外面
に形成してなる通電ロール、に特徴を有するものであ
る。
この発明で使用される上記Ni基合金粉末は、アトマイ
ズ法で製造され、主として非酸化性ガスを噴霧すること
により製造される。
ズ法で製造され、主として非酸化性ガスを噴霧すること
により製造される。
このガスアトマイズ法により製造されたNi基合金粉末
の組成は、硬質なσ相と比較的軟質なγ相からなってお
り、このNi基合金粉末を熱間静水圧プレスすることによ
り、上記粉末の粒界は圧接または／および拡散接合され
て均一な焼結合金組織となる。
の組成は、硬質なσ相と比較的軟質なγ相からなってお
り、このNi基合金粉末を熱間静水圧プレスすることによ
り、上記粉末の粒界は圧接または／および拡散接合され
て均一な焼結合金組織となる。
この発明の通電ロールの焼結合金組織を第１図に模擬
的に示す。第１図において12はσ相、13はγ相であり、
σ相12は素地のγ相13中に析出相として分散した組織と
なっている。
的に示す。第１図において12はσ相、13はγ相であり、
σ相12は素地のγ相13中に析出相として分散した組織と
なっている。
つぎに、上記Ni基合金粉末およびNi基焼結合金の成分
組成、Ni基焼結合金の結晶粒径および組織、並びに熱間
静水圧プレス条件を限定した理由について述べる。
組成、Ni基焼結合金の結晶粒径および組織、並びに熱間
静水圧プレス条件を限定した理由について述べる。
（ａ） CrおよびMo これらの成分には、共に素地に固溶して、これの耐食
性を向上させるほか、素地に微細に分散する金属間化合
物を形成して、合金の耐摩耗性を向上させる作用がある
が、その含有量が、それぞれCr:26％未満およびMo:16％
未満では、前記作用に所望の効果が得られず、一方、そ
の含有量が、それぞれCr:33％およびMo:23％を越える
と、機械加工時に割れが発生しやすくなるために、その
含有量を、それぞれCr:26〜33％、Mo:16〜23％と定め
た。
性を向上させるほか、素地に微細に分散する金属間化合
物を形成して、合金の耐摩耗性を向上させる作用がある
が、その含有量が、それぞれCr:26％未満およびMo:16％
未満では、前記作用に所望の効果が得られず、一方、そ
の含有量が、それぞれCr:33％およびMo:23％を越える
と、機械加工時に割れが発生しやすくなるために、その
含有量を、それぞれCr:26〜33％、Mo:16〜23％と定め
た。
（ｂ） Fe Fe成分には、所定量含有の場合、Niと同等の作用を発
揮するので、経済的見地からNiの一部をFeで置換し、も
って合金のコスト低減化をはかることを必要に応じて行
なうことが可能であるが、その含有量が１％未満では、
コスト低減化が小さく、一方、その含有量が10％を越え
ると、合金の耐食性が低下するようになることから、そ
の含有量を１〜10％と定めた。
揮するので、経済的見地からNiの一部をFeで置換し、も
って合金のコスト低減化をはかることを必要に応じて行
なうことが可能であるが、その含有量が１％未満では、
コスト低減化が小さく、一方、その含有量が10％を越え
ると、合金の耐食性が低下するようになることから、そ
の含有量を１〜10％と定めた。
（ｃ） W,Cu、およびＶ これらの成分には、合金の耐食性を一段と向上させる
作用があるので、特により一層の耐食性が要求される場
合に必要に応じて含有されるが、その含有量が0.1％未
満では所望の耐食性向上効果が得られず、一方５％を越
えて含有させても耐食性の向上により一層の効果は得ら
れないことから、その含有量を0.1〜５％と定めた。
作用があるので、特により一層の耐食性が要求される場
合に必要に応じて含有されるが、その含有量が0.1％未
満では所望の耐食性向上効果が得られず、一方５％を越
えて含有させても耐食性の向上により一層の効果は得ら
れないことから、その含有量を0.1〜５％と定めた。
（ｄ） Co Co成分には、耐摩耗性を向上させる作用があるので、
特により一層の耐摩耗性が要求される場合に必要に応じ
て含有されるが、その含有量が0.1％未満では所望の耐
摩耗性向上効果か得られず、一方、その含有量が５％を
越えると、機械加工時に割れが発生するようになること
から、その含有量を0.1〜５％と定めた。
特により一層の耐摩耗性が要求される場合に必要に応じ
て含有されるが、その含有量が0.1％未満では所望の耐
摩耗性向上効果か得られず、一方、その含有量が５％を
越えると、機械加工時に割れが発生するようになること
から、その含有量を0.1〜５％と定めた。
（ｅ） Ni基焼結合金素地中に析出しているσ相の結晶
粒径 熱間静水圧プレス後のNi基焼結合金素地中に析出して
いるσ相の結晶粒径が20μｍを越えると、十分な延性が
得られず、ロール加工の際に支障をきたすので、その焼
結粒径を20μｍ以下に定めた。
粒径 熱間静水圧プレス後のNi基焼結合金素地中に析出して
いるσ相の結晶粒径が20μｍを越えると、十分な延性が
得られず、ロール加工の際に支障をきたすので、その焼
結粒径を20μｍ以下に定めた。
（ｆ） Ni基焼結合金の組織 熱間静水圧プレス後のNi基焼結合金組織は比較的軟質
なγ相素地中に硬質なσ相が析出して均一分散した組織
となっており、比較的軟質なγ相を素地とすることによ
り靭性を確保し、この比較的軟質なγ相素地中に硬質な
σ相を析出分散させることにより優れた耐摩耗性が得ら
れ、したがって、靭性と耐摩耗性を付与するものであ
る。
なγ相素地中に硬質なσ相が析出して均一分散した組織
となっており、比較的軟質なγ相を素地とすることによ
り靭性を確保し、この比較的軟質なγ相素地中に硬質な
σ相を析出分散させることにより優れた耐摩耗性が得ら
れ、したがって、靭性と耐摩耗性を付与するものであ
る。
（ｇ） 熱間静水圧プレスの条件 熱間静水圧プレスの条件については、温度が1050℃未
満と時は焼結合金からなる層内に空隙が残留しその強度
が十分でなくなり、また、温度が1200℃を越えると焼結
合金からなる層内に局部的な溶融が始まり、十分な耐食
性が得られなくなるため、その温度を1050〜1200℃の範
囲内と定めた。
満と時は焼結合金からなる層内に空隙が残留しその強度
が十分でなくなり、また、温度が1200℃を越えると焼結
合金からなる層内に局部的な溶融が始まり、十分な耐食
性が得られなくなるため、その温度を1050〜1200℃の範
囲内と定めた。
また、圧力が700kg/cm2未満の場合、焼結合金からな
る層内に空隙が残留し、その強度が十分でなくなるの
で、その圧力を700kg/cm2以上と定めた。
る層内に空隙が残留し、その強度が十分でなくなるの
で、その圧力を700kg/cm2以上と定めた。
さらに、熱間静水圧プレスの処理時間が30分未満の場
合、焼結合金からなる層内に空隙が残留し、その強度が
十分でなくなり、５時間を越えると結晶粒径が20μｍ以
上となり、十分な延性が得られず、ロール加工の際に支
障をきたすので、上記熱間静水圧プレスの処理時間を30
分以上５時間以下と定めた。
合、焼結合金からなる層内に空隙が残留し、その強度が
十分でなくなり、５時間を越えると結晶粒径が20μｍ以
上となり、十分な延性が得られず、ロール加工の際に支
障をきたすので、上記熱間静水圧プレスの処理時間を30
分以上５時間以下と定めた。
次に、この発明の通電ロールについて実施例により具
体的に説明する。
体的に説明する。
高周波誘導炉を用いて真空中で溶解し、第１表に示さ
れる成分組成をもった溶湯を調製し、溶湯の温度を1550
℃に保持した。この溶湯を予熱したタンディッシュ内に
注湯し、その底に設けたノズルより落下せしめ、それを
専用の噴霧ノズルより窒素ガスを噴出し、圧力:25kg/cm
2、流量:12Nm3/分なる条件で粉末化を行なった。このよ
うにして得られた第１表に示される成分組成の粉末を、
第２図に示されるステンレス製カプセル２と軟鋼製パイ
プ４から形成された空間部に充填し、加熱温度:400℃、
真空度:10-5Torrの条件下で12時間粉末表面に吸着した
ガスの真空脱ガス処理を行い、密封して真空密封構造物
を作製した。
れる成分組成をもった溶湯を調製し、溶湯の温度を1550
℃に保持した。この溶湯を予熱したタンディッシュ内に
注湯し、その底に設けたノズルより落下せしめ、それを
専用の噴霧ノズルより窒素ガスを噴出し、圧力:25kg/cm
2、流量:12Nm3/分なる条件で粉末化を行なった。このよ
うにして得られた第１表に示される成分組成の粉末を、
第２図に示されるステンレス製カプセル２と軟鋼製パイ
プ４から形成された空間部に充填し、加熱温度:400℃、
真空度:10-5Torrの条件下で12時間粉末表面に吸着した
ガスの真空脱ガス処理を行い、密封して真空密封構造物
を作製した。
上記第２図は、軟鋼製パイプの外側にカプセルを設け
て空間部を形成し、その空間部にNi基合金粉末を充填し
た状態の断面図である。上記第２図において、１は粉末
充填口、２はカプセル、３はNi基合金粉末、４は軟鋼製
パイプ、５は溶接部、６は密封構造物である。
て空間部を形成し、その空間部にNi基合金粉末を充填し
た状態の断面図である。上記第２図において、１は粉末
充填口、２はカプセル、３はNi基合金粉末、４は軟鋼製
パイプ、５は溶接部、６は密封構造物である。
上記軟鋼製パイプ４の外側にカプセル２を装着し、上
記軟鋼製パイプ４とカプセル２とを溶接部５にて溶接す
る。このようにして作製した構造物の空間部にNi基合金
粉末を粉末充填口１を通じて充填し、上記条件で真空脱
ガス処理を行ない、上記粉末充填口１を密封することに
より真空密封構造物６を作製する。上記Ni基合金粉末を
充填し、真空脱ガスし密封した真空密封構造物６を、第
１表に示された条件で熱間静水圧プレスし、粉末を圧密
化し、冷却後ボス付きシャフトを接合し、本体外面を所
要寸法に加工して、外径:300mm、内径:230mm、長さ:400
mm、焼結合金からなる層の厚み:10mmの寸法を有する通
電ロールを作製した。
記軟鋼製パイプ４とカプセル２とを溶接部５にて溶接す
る。このようにして作製した構造物の空間部にNi基合金
粉末を粉末充填口１を通じて充填し、上記条件で真空脱
ガス処理を行ない、上記粉末充填口１を密封することに
より真空密封構造物６を作製する。上記Ni基合金粉末を
充填し、真空脱ガスし密封した真空密封構造物６を、第
１表に示された条件で熱間静水圧プレスし、粉末を圧密
化し、冷却後ボス付きシャフトを接合し、本体外面を所
要寸法に加工して、外径:300mm、内径:230mm、長さ:400
mm、焼結合金からなる層の厚み:10mmの寸法を有する通
電ロールを作製した。
比較のために、上記実施例で使用したNi基合金粉末の
一部を用いて、この発明の条件を外れた第１表の※印を
付した条件で熱間静水圧プレスを行い、上記実施例で作
製した通電ロールと同一寸法の通電ロールを作製し、比
較例とした。
一部を用いて、この発明の条件を外れた第１表の※印を
付した条件で熱間静水圧プレスを行い、上記実施例で作
製した通電ロールと同一寸法の通電ロールを作製し、比
較例とした。
このようにして得られた本発明実施例１〜10および比
較例１〜５の通電ロールについて、耐摩耗性を評価する
目的で、ビッカース硬さを測定すると共に、これを試験
用電気メッキラインに通電ロールとして焼結合金からな
る層の表面に金属光沢を付与した状態でメッキ槽中に設
置し、メッキ液として、ZnSO4:30％、H2SO4:1.5％を含
む水溶液を用い、60℃±２℃に加熱し、鋼板を通電ロー
ルに接触させながら鋼板を移動させ電気メッキを実施し
た。この間、実際の電気メッキラインにおける運転条件
より厳しい条件、すなわち鋼板通板速度:100m/分、電流
密度:40A/dm2の条件で上記鋼板に電気メッキを施し、こ
れを22時間行った後の上記通電ロール本体の重量減少量
を測定し、かつ通電ロール表面における金属光沢の有無
を観察し、これらの結果も第１表に示した。
較例１〜５の通電ロールについて、耐摩耗性を評価する
目的で、ビッカース硬さを測定すると共に、これを試験
用電気メッキラインに通電ロールとして焼結合金からな
る層の表面に金属光沢を付与した状態でメッキ槽中に設
置し、メッキ液として、ZnSO4:30％、H2SO4:1.5％を含
む水溶液を用い、60℃±２℃に加熱し、鋼板を通電ロー
ルに接触させながら鋼板を移動させ電気メッキを実施し
た。この間、実際の電気メッキラインにおける運転条件
より厳しい条件、すなわち鋼板通板速度:100m/分、電流
密度:40A/dm2の条件で上記鋼板に電気メッキを施し、こ
れを22時間行った後の上記通電ロール本体の重量減少量
を測定し、かつ通電ロール表面における金属光沢の有無
を観察し、これらの結果も第１表に示した。
さらに、上記実施例で示した成分組成のNi基合金を上
記高周波溶解炉で真空溶解した溶湯を、そのまま管体に
鋳造し、この管体に機械加工を施してスリーブとし、鋼
製パイプの外側に焼嵌めをし最後に外面に機械加工を施
してロールを製 造し、このロールを上記実施例または比較例と同一条件
に設置して鋼板の電気メッキを行い、その結果を第２表
に示した。この場合、第１表の本発明実施例１〜10のNi
基合金粉末の成分組成と第２表の従来例のスリーブの成
分組成とは全く同一である。
記高周波溶解炉で真空溶解した溶湯を、そのまま管体に
鋳造し、この管体に機械加工を施してスリーブとし、鋼
製パイプの外側に焼嵌めをし最後に外面に機械加工を施
してロールを製 造し、このロールを上記実施例または比較例と同一条件
に設置して鋼板の電気メッキを行い、その結果を第２表
に示した。この場合、第１表の本発明実施例１〜10のNi
基合金粉末の成分組成と第２表の従来例のスリーブの成
分組成とは全く同一である。
第１表および第２表の結果から、この発明の粉末によ
り通電ロールを製造すると、加工時の割れの発生がな
く、製品の歩止りが向上し、さらに、同一成分組成の合
金であっても、この発明の粉末から熱間静水圧プレスす
ることにより製造した通電ロールのビッカース硬さは大
きく、通電ロール使用による重量減少量は少ない。
り通電ロールを製造すると、加工時の割れの発生がな
く、製品の歩止りが向上し、さらに、同一成分組成の合
金であっても、この発明の粉末から熱間静水圧プレスす
ることにより製造した通電ロールのビッカース硬さは大
きく、通電ロール使用による重量減少量は少ない。
したがって、この発明の通電ロールは、加工時の割れ
の発生かなく製品の歩止りが向上するため、従来の遠心
鋳造法よりも結果的にはコストが安くなり、耐食性およ
び耐摩耗性にもすぐれていることから、メッキラインの
連続使用時間の長時間化がはかられ、ライン稼動率の向
上に役立つ等、工業的にすぐれた効果を奏するものであ
る。
の発生かなく製品の歩止りが向上するため、従来の遠心
鋳造法よりも結果的にはコストが安くなり、耐食性およ
び耐摩耗性にもすぐれていることから、メッキラインの
連続使用時間の長時間化がはかられ、ライン稼動率の向
上に役立つ等、工業的にすぐれた効果を奏するものであ
る。
第１図は、この発明の通電ロールの圧密化部分の組織を
模擬的に示した概略図、 第２図は、密封構造物の断面概略図、 １……粉末充填口、２……カプセル、３……合金粉末、
４……鋼製パイプ、 ５……溶接部、６……密封構造物、12……α相、13……
γ相。
模擬的に示した概略図、 第２図は、密封構造物の断面概略図、 １……粉末充填口、２……カプセル、３……合金粉末、
４……鋼製パイプ、 ５……溶接部、６……密封構造物、12……α相、13……
γ相。
Claims (8)
- 【請求項１】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、を含有し、残
りがNiおよび不可避不純物からなる組成並びに比較的軟
質なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質なσ相が
析出した組織を有するNi基焼結合金からなる層を鋼製パ
イプの外面に形成してなることを特徴とする通電ロー
ル。 - 【請求項２】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、Fe:1〜10％を
含有し、残りがNiおよび不可避不純物からなる組織並び
に比較的軟質なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬
質なσ相が析出した組織を有するNi基焼結合金からなる
層を鋼製パイプの外面に形成してなることを特徴とする
通電ロール。 - 【請求項３】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、W,CuおよびＶ
のうちの１種または２種類以上:0.1〜５％を含有し、残
りがNiおよび不可避不純物からなる組成並びに比較的軟
質なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の軟質なσ相が
析出した組識を有するNi基焼結合金からなる層を鋼製パ
イプの外面に形成してなることを特徴とする通電ロー
ル。 - 【請求項４】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、Co:0.1〜５％
を含有し、残りがNiおよび不可避不純物からなる組成並
びに比較的軟質なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の
硬質なσ相が析出した組織を有するNi基焼結合金からな
る層を鋼製パイプの外面に形成してなることを特徴とす
る通電ロール。 - 【請求項５】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、Fe:1〜10％、
W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1〜５％を
含有し、残りがNiおよび不可避不純物からなる組成並び
に比較的なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質な
σ相が析出した組織を有するNi基焼結合金からなる層を
鋼製パイプの外面に形成してなることを特徴とする通電
ロール。 - 【請求項６】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、Fe:1〜10％、
Co:0.1〜５％を含有し、残りがNiおよび不可避不純物か
らなる組成並びに比較的軟質なγ相素地中に結晶粒径:2
0μｍ以下の硬質な相が析出した組織を有するNi基焼結
合金からなる層を鋼製パイプの外面に形成してなること
を特徴とする通電ロール。 - 【請求項７】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、W,CuおよびＶ
のうちの１種または２種以上:0.1〜５％、Co:0.1〜５％
を含有し、残りがNiおよび不可避不純物からなる組成並
びに比較的なγ相素地中に結晶粒径:20μｍ以下の硬質
なσ相が析出した組織を有するNi基焼結合金からなる層
を鋼製パイプの外面に形成してなることを特徴とする通
電ロール。 - 【請求項８】Cr:26〜33％、Mo:16〜23％、Fe:1〜10％、
W,CuおよびＶのうちの１種または２種以上:0.1〜５％、
Co:0.1〜５％を含有し、残りがNiおよび不可避不純物か
らなる組成並びに比較的軟質なγ相素地中に結晶粒径:2
0μｍ以下の硬質なσ相が析出した組織を有するNi基焼
結合金からなる層を鋼製パイプの外面に形成してなるこ
とを特徴とする通電ロール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62274429A JP2569614B2 (ja) | 1987-10-29 | 1987-10-29 | 通電ロール |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62274429A JP2569614B2 (ja) | 1987-10-29 | 1987-10-29 | 通電ロール |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH01116098A JPH01116098A (ja) | 1989-05-09 |
| JP2569614B2 true JP2569614B2 (ja) | 1997-01-08 |
Family
ID=17541551
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62274429A Expired - Lifetime JP2569614B2 (ja) | 1987-10-29 | 1987-10-29 | 通電ロール |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2569614B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2619901B2 (ja) * | 1988-02-15 | 1997-06-11 | トーカロ株式会社 | コンダクターロールの製造方法 |
| CN103273064A (zh) * | 2013-04-22 | 2013-09-04 | 北京航空航天大学 | 一种整体随形包套制备整体叶盘的热等静压成型方法 |
Family Cites Families (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5669304A (en) * | 1979-11-10 | 1981-06-10 | Kobe Steel Ltd | Production of roll |
| JPS5687608A (en) * | 1979-12-17 | 1981-07-16 | Kobe Steel Ltd | Production of roll |
| JPS56152908A (en) * | 1980-04-26 | 1981-11-26 | Kobe Steel Ltd | Manufacture of composite roll |
| JPS57169032A (en) * | 1981-04-09 | 1982-10-18 | Hitachi Metals Ltd | High abrasion resistant and heat resistant composite hot working tool material |
| JPS57169061A (en) * | 1981-04-09 | 1982-10-18 | Hitachi Metals Ltd | High abrasion resistant and heat resistant hot working composite tool material |
| JPS5924766U (ja) * | 1982-08-07 | 1984-02-16 | 株式会社クボタ | 通電ロ−ル |
-
1987
- 1987-10-29 JP JP62274429A patent/JP2569614B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH01116098A (ja) | 1989-05-09 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US5897830A (en) | P/M titanium composite casting | |
| CN109355652B (zh) | 激光熔覆用镍基合金粉末及其制备方法 | |
| JP4193958B2 (ja) | 溶融金属に対する耐食性に優れた溶融金属用部材およびその製造方法 | |
| JP2569614B2 (ja) | 通電ロール | |
| JP2796917B2 (ja) | 耐食耐摩耗性等にすぐれた非鉄金属溶湯部材用複合焼結合金 | |
| CN108531773A (zh) | 一种Ti3Al金属间化合物高温结构材料 | |
| JPS602676A (ja) | 耐摩耗性被覆の形成方法 | |
| Hodge et al. | Metallic materials resistant to molten zinc | |
| GB2157711A (en) | Improvements relating to tough material for tools and/or wearing parts | |
| JP2562445B2 (ja) | 耐摩耗性複合ロ−ル | |
| CN111315919B (zh) | 浴中设备用构件、熔融金属浴中设备及热浸镀金属材制造装置 | |
| JP2813517B2 (ja) | 電気メッキ用通電ロール及びその製造方法 | |
| JPH1112758A (ja) | サーメット焼結体被覆金属部品及びその製造方法 | |
| RU2026890C1 (ru) | Способ формирования износостойких покрытий | |
| JP3460160B2 (ja) | 連続鋳造用鋳型の製造方法 | |
| CN116657014A (zh) | 一种高耐磨的硬质合金复合材料及其制备方法 | |
| JPS60158906A (ja) | 圧延用複合ロ−ルおよびその製造方法 | |
| JPH10113756A (ja) | Ｍｇダイカストシリンダ用スリーブ及びその製造方法とＭｇダイカストシリンダ | |
| JPH08158002A (ja) | 窒化ケイ素質セラミックスと金属の複合材料及びアルミニウム溶湯用部品 | |
| JP3175457B2 (ja) | 熱間静水圧プレスにより得られた耐食性に優れたＮｉ基燒結合金 | |
| JP2789786B2 (ja) | 耐食性に優れた構造部材製造用Ｎｉ基合金粉末 | |
| JP2023130647A (ja) | Ｎｉ基自溶合金 | |
| JPH1046319A (ja) | 摺動部品の製造方法 | |
| JP3343270B2 (ja) | コンダクターロール及びその製造方法 | |
| JPH0418956B2 (ja) |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071024 Year of fee payment: 11 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024 Year of fee payment: 12 |
|
| EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024 Year of fee payment: 12 |