JP2568922B2 - 油圧ニユットの分配環 - Google Patents

油圧ニユットの分配環

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JP2568922B2 JP1265782A JP26578289A JP2568922B2 JP 2568922 B2 JP2568922 B2 JP 2568922B2 JP 1265782 A JP1265782 A JP 1265782A JP 26578289 A JP26578289 A JP 26578289A JP 2568922 B2 JP2568922 B2 JP 2568922B2
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Description

【発明の詳細な説明】 イ.発明の目的 (産業上の利用分野) 本発明は油圧ポンプと油圧モートとを油圧閉回路を介
して連結してなる油圧式無段変速機等に用いられる油圧
ユニットに関し、さらに詳しくは、油圧回路内に分配環
を用いてなる油圧ユニットに関する。
(従来の技術) このような油圧ポンプ、油圧モータとしてはプランジ
ャ式油圧ユニットが用いられることが多い。プランジャ
式油圧ユニットの場合には、シリンダの回転に応じて、
プランジャが膨張行程にあるシリンダ室に通過する流入
ポートと、プランジャが収縮行程にあるシリンダ室の通
過する流出ポートとを有した分配板(弁板)、分配環が
用いられる。
分配板、分配環は、ポンプもしくはモータシリンダの
側面に摺接して配設され、このシリンダに対して相対回
転する。この場合、摺接部には流入、流出ポートを通る
高圧の作動油が入り込み、この油圧力は分配環を浮き上
げる力として作用する。このため、分配環が浮き上が
り、摺接部から作動油が外部に漏れると容積効率が低下
するという問題があるため、通常、分配板、分配環は浮
き上げ力に抗してシリンダ側面に押圧されるように構成
される。この場合、この押圧力が大きければ、摺接部か
らの作動油の漏れが少なくなるのであるが、これがあま
り大きいと摺接部の潤滑が不足しこの部分が焼き付くお
よれがある。
一般的に言って、内部油圧が大きければ浮き上げ力が
大きく漏れが大きくなり易いが摺接部の潤滑不足は生じ
にくく、内部油圧が小さければその逆である。このた
め、特開昭48−36702号公報および特公昭61−28059号公
報に開示されているように、分配板をポンプもしくはモ
ータシリンダの方に押圧するシリンダ装置を設け、内部
油圧に応じて、もしくは内部油圧を利用してこのシリン
ダ装置による押圧を調整するようにした油圧ユニットが
知られている。このようにすれば、内部油圧が高いとき
は、シリンダ装置の押圧力を大きくして作動油の漏れを
抑え、内部油圧が低いときには、押圧力を小さくして焼
き付きの発生を防止することができる。
上記の場合には、油圧ポンプもしくはモータを単体で
使用し、且て分配板を用いているが、例えば、特開昭63
−149469号公報には、プランジャ式の油圧ポンプと油圧
モータとを油圧閉回路を介して連結してなる油圧式無段
変速機において、油圧閉回路内に分配環を配設したもの
が開示されている。このような油圧式無段変速機におけ
る油圧モータは、それぞれプランジャが摺合された複数
のシリンダ孔に連通する複数の連結ポートを、軸方向端
面における回転軸を中心とする所定円周上に並んで形成
してなるモータシリンダを有し、分配環は、モータシリ
ンダの軸方向端面に摺接し、モータシリンダの回転に応
じて、連結ポートを介してプランジャが膨張行程にある
シリンダ孔に連通する流入ポートおよびプランジャが収
縮行程にあるシリンダ孔に連通する流出ポートを有す
る。
このような分配環を用いるときにも、モータシリンダ
の軸方向端面との摺接部からの作動油の漏れを抑えて容
積効率の低下を防止するために、分配環をこの軸方向端
面に押圧する必要があるのであるが、摺接部の焼き付き
を防止するためには、この押圧力が大きすぎないように
しなければならない。このため、上記公報に開示の無段
変速機では、分配環を固定軸の先端部に軸方向に移動自
在に嵌合させて取り付け、モータシリンダの軸方向端面
が対向する空間を、この嵌合部より外側空間と内側空間
とに分割し、分配環の流入ポートおよび流出ポートの一
方を外側空間に連通させ、他方を内側空間に連通させて
いる。
このようにすると、例えば、ポンプからの吐出油によ
りモータを駆動するときには、外側空間および内側空間
のうちの、ポンプからモータへ流入する作動油が通る空
間内の作動油の油圧が高圧となり、この内部油圧が分解
環に作用して分配環をモータシリンダの方に押圧する。
この押圧力は上記油圧に比例した力であるので、分配環
の押圧力は上記内部油圧に比例した力となり、上記内部
油圧が高ければ押圧力が大きくなって作動油の漏れを防
止し、上記内部油圧が低ければ押圧力が小さくなって作
動油の漏れを防止しつつ摺接面の焼き付きの発生も防止
する。
(発明が解決しようとする課題) 上記構成の油圧式無段変速機を自動車等に用いた場
合、エンジンにより油圧ポンプを駆動し、この油圧ポン
プからの吐出油により油圧モータを回転駆動させ自動車
を駆動するようなときには、上記外側および内側空間の
うちの、油圧ポンプから油圧モータへの作動油の通路と
なる空間(例えば、ここではこれが内側空間であるとす
る)内の作動油の油圧が高圧となり、他方の空間(ここ
では外側空間)内の作動油の油圧は低圧となる。このた
め、分配環に作用する押圧力は、分解環が内側空間内の
油圧を受ける面積、すなわち、固定軸への嵌合部より内
側の受圧面積に比例する。一方、自動車がエンジンブレ
ーキ作用を受けて走行するような場合、すなわち、車輪
からの駆動力がエンジンに伝達されエンジンブレーキ力
が働くような場合には、上記とは逆に外側空間内の油圧
が高圧となり、内側空間内の油圧が低圧となる。このた
め、このときにおいて分配環に作用する押圧力は、分配
環が外側空間内の油圧を受ける面積、すなわち、固定軸
への嵌合部より外側の受圧面積に比例する。
分配環が外側もしくは内側空間内の油圧を受ける面積
(これらを外側および内側受圧面積と称する)は、分配
環の固定軸への嵌合径を変更すれば変更できるのである
が、この嵌合径を大きくすれば、内側受圧面積は大きく
できても外側受圧面積は小さくなり、嵌合径を小さくす
ればその逆となる。このため、エンジンからの駆動によ
り自動車の走行を行う状態(これを通常走行状態と称す
る)での分配環の押圧力が適正になるように内側受圧面
積を設定すれば、外側受圧面積が不足したり過大になっ
たりするという問題がある。このように通常走行状態で
分配環の押圧力が適正になるようにした場合には、エン
ジンブレーキが作用して走行する状態(これをエンジン
ブレーキ状態と称する)での分配環の押圧力が不足した
り過大になってりして、分配環の浮き上がりにより作動
油の漏れが増大して変速機の動力伝達効率が低下すると
いう問題や、分配環の摺接部での焼き付きが発生すると
いう問題に繋がる。
なお、以上においてはポンプおよびモータを油圧閉回
路を介して連結してなる油圧式無段変速機の例を用いて
説明したが、油圧ポンプもしくはモータ単体で用いる場
合にも分配環が用いられるものであり、油圧ユニット
(油圧ポンプもしくはモータ)単体の場合にも同様の問
題がある。例えば、油圧モータにより駆動される出力軸
側回転部材を駆動しているときにはモータの入口側油圧
が高圧で出口側油圧が低圧となる。ところが、出力軸側
回転部材が高速回転しているときにモータの駆動力が低
められたような場合には、上述のエンジンブレーキが作
用するときと同様に、出力軸側回転部材の回転慣性力に
より油圧モータが逆に駆動される状態となり、モータの
入口側油圧が低くなり、出口側油圧が高くなる。このよ
うに油圧ユニット単体の場合にも、分配環の押圧力の設
定を適切にする必要があるという問題がある。
また、このような分配環を用いる構造において、分配
環に対してモータシリンダが相対回転して、シリンダの
連結ポートと分配環の流入もしくは流出ポートとが連通
するときに、内部圧力変動が急激に発生し、騒音の原因
となる問題がある。このため通常は、流入ポートの流入
開始側および流出ポートの流出開始側に予圧縮および予
膨張用のノッチを設け、圧力変化を滑らかにして騒音を
抑えるように構成されている。
ところが、この場合、モータシリンダの回転速度が異
なると連結ポートがノッタ部を通るときでの油圧変化が
異なる。具体的には、第10図に示すように、モータシリ
ンダの回転速度が高速であると回転角変化に対する油圧
変化(実線の変化)が滑らかとなるのに対して、低速で
あるとこの油圧変化は破線のように急激となる。なお、
この図においては、分配環の流入および流出ポート101,
102を直線状に展開して示し、モータシリンダの回転に
応じて連結ポート83aが矢印A方向に移動した場合のモ
ータシリンダのシリンダ孔内の油圧変化を示している。
このため、モータシリンダの回転速度が高速のときに
は、連結ポート83aは矢印A方向に高速で移動し、低速
のときには低速で移動する。
モータシリンダが回転して、連結ポート83aの右端が
ノッチ101a上に来ると、ポンプからの作動油が連結ポー
ト83aを通ってシリンダ孔内に流入しシリンダ孔内の油
圧が上昇するのであるが、この油圧の上昇時間が同じで
あれば、モータシリンダの回転が低速のときには連結ポ
ート83aは回転角A1からA2までしか進まないが、高速の
ときにはA3まで進むため、図示のような異なる油圧変化
となるのである。
このような油圧変化が生じるときには、この油圧変化
に応じて分配環を浮き上げる力も変化するため、分配環
を押し付ける力はこの変化に打ち勝つ程度の大きな力と
する必要がある。ところが、このように大きな押圧力を
設定した場合、摺接面の相対滑り速度が小さい低速回転
の場合はともかく、相対滑り速度が大きい高速回転のと
きにこの摺接部が焼き付くおそれがあるという問題があ
る。
特に、モータ用プランジャが奇数本の場合に、モータ
シリンダが高速回転する場合と低速回転する場合とで、
分配環に作用する浮き上げ力が異なるという問題があ
る。これを、例えば、モータ用プランジャが7本の場合
を例にして説明する。まず、モータシリンダが高速回転
する場合には、第10図に示すように油圧変化は滑らかと
なるため、各シリンダ孔に連通する連結ポートから分配
環に作用する浮き上げ力は、第11A図に示すようにな
る。なお、この図で横軸は回転角を示すとともに、縦軸
は浮き上げ力を示し、No.1〜No.7が各シリンダ孔からの
力に対応する。これらの合計の力(TOTAL)を最下段に
示しており、各シリンダ孔からの力を1.0とすると合計
力は3.5となる。このため、この場合に、分配環を押圧
する力は、この合計力より若干大きな力FHTする必要が
ある。
一方、モータシリンダが低速回転する場合には、第10
図に示すように油圧変化は急激となるため、各シリンダ
孔に連通する連結ポートから分配環に作用する浮き上げ
力は、第11B図に示すようになる。これらの合計の力(T
OTAL)は最下段に示すように、各シリンダ孔からの力を
1.0とすると3.0〜4.0となる。この場合に、分配環を押
圧する力は、この合計力の最大値4.0より若干大きな力F
LTとする必要がある。
このようにモート用プランジャの数が奇数本の場合に
は、シリンダ回転が高速の場合と低速の場合とで分配環
に作用する浮き上げ力が異なる。分配環を浮き上がらせ
るような事態は避けなければならないので、この場合に
は、最大の浮き上げ力より大きな押し付け力を設定する
必要があるのであるが、このようにすると高速回転の場
合に押し付け力が大きくなりすぎ、摺接部の焼き付きの
問題が生じるおそれがある。
本発明は以上の問題に鑑みたもので、通常走行状態お
よびエンジンブレーキ状態のいずれの場合にも適切な押
圧力を設定でき、さらには、モータシリンダの回転速度
の如何に拘らず常に適切な押圧力を設定できるような構
成の油圧ユニットの分配環を提供することを目的とす
る。
ロ.発明の構成 (課題を解決するための手段) 上記目的達成のための手段として、本発明において
は、油圧ユニットのシリンダの軸方向端面に、各シリン
ダ孔に連通する複数の連結ポートを円周上に並んで形成
しており、この軸方向端面に分配環を摺接させ、シリン
ダの回転に応じて、分配環に形成した流入および流出ポ
ートを膨張行程および収縮行程にあるシリンダ孔とそれ
ぞれ連通させるようになっており、この分配環を固定軸
の先端部に軸方向に移動自在に嵌合させて取り付け、軸
方向端面が対向する空間をこの嵌合部より外側空間と内
側空間とに分割し、流入ポートおよび流出ポートの一方
を外側空間に連通させるとともに他方を内側空間に連通
させている。さらに、この分配環における嵌合部より外
側に、固定軸側に開口したピストン孔を形成するととも
に、一端が固定軸の端部に当接し得る補助ピストンをピ
ストン孔に摺動自在に嵌入し、ピストン孔を内側空間に
連通させるとともに、上記ピストンの一端を外側空間に
対面させている。
本発明に係るもう一つの油圧ユニットにおいては、上
記と同様な構成の分配環を用い、この分配環における嵌
合部より外側に、固定軸側の開口したピストン孔を形成
し、このピストン孔に補助ピストンを摺動自在に嵌入し
ているのであるが、このピストン孔を、流入ポートの流
入開始側端部に形成されたノッチの先端近傍に開口する
連通路と連通させ、回転する連結ポートが予圧縮用ノッ
チと上記連通路とにほぼ同時に連通し始めるようにして
いる。
さらに、この分配環に、モータシリンダの回転軸を中
心に上記ピストン孔に対してほぼ対称となる位置に第2
のピストン孔を形成し、この第2のピストン孔を、流出
ポートの流出開始側端部に形成されたノッチの先端近傍
に連通開口するとともに内側空間にも連通させても良
い。
(作用) 上記構成の無段変速機の場合には、外側空間内の油圧
が高圧のときに分配環が外側空間の油圧を受ける面積、
すなわち、外側受圧面積は、従来と同じで嵌合部より外
側の面積である。ところが、内側空間内の油圧が高圧の
ときには、内側空間は補助ピストンが嵌入されたピスト
ン孔に連通しているため、この補助ピストンが内側空間
の油圧を受けて固定軸に押圧されるときの反力が分配環
の押圧力として作用するため、分配環が内側空間の油圧
を受ける面積、すなわち、内側受圧面積は、嵌合部より
内側の面積に補助ピストン部の面積を加えた値となる。
このため、嵌合径およびピストン孔の径を適宜調整する
ことにより、外側受圧面積および内側受圧面積をともに
適正な値に設定し、常に適正な分配環の押圧力を得るこ
とができ、分配環の摺接部の焼き付きを防止しつつ、こ
の摺接部からの油の漏れを最小限に抑えることができ
る。
また、もう一つの本発明に係る無段変速機の場合に
は、ピストン孔がノッチ部近傍に開口した連通路と連通
しているため、ピストン孔に導入される油圧は連結ポー
トがノッチ部を通るときに発生する油圧変化を有した油
圧となり、補助ピストンによる分配環の押圧力は、この
油圧変化に対応したものとなる。このため、モータシリ
ンダの回転速度が異なっても、そのときに発生する油圧
変化に対応した適切な押圧力が得られ、この場合にも、
分配環の摺接部の焼き付きを防止しつつ、この摺接部か
らの漏れを最小限に抑えることができる。
(実施例) 以下、図面に基づいて、本発明の好ましい実施例につ
いて説明する。
第1図は本発明を適用した無段変速機の油圧回路図で
あり、この図において、無段変速機Tは、入力軸1を介
してエンジンEにより駆動される定吐出量型斜板アキシ
ャルプランジャ式油圧ポンプPと、前後進切換装置20を
介して車輪(図示せず)を駆動する可変容量型斜板アキ
シャルプランジャ式油圧モータMとを有している。これ
ら油圧ポンプPおよび油圧モータMは、ポンプPの吐出
口およびモータMの吸入口を連通させる第1油路Laとポ
ンプPの吸入口およびモータMの吐出口を連通させる第
2油路Lbとの2本の油路により油圧閉回路を構成して連
結されている。これら2本の油路LaおよびLbのうち第1
油路Laは、エンジンEによりポンプが駆動されこのポン
プPからの油圧によりモータMが回転駆動されて車輪の
駆動がなされるとき、すなわちエンジンEにより無段変
速機Tを介して車輪が駆動されるときに、高圧となり
(なおこのとき第2油路Lbは低圧である)、一方、第2
油路Lbは車両の減速時等のように車輪から駆動力を受け
てエンジンブレーキが作用する状態のときに高圧となる
(このとき、第1油路Laは低圧である)。
この第1油路La内には、この油路Laを断続可能な直結
クラッチ弁DCが配設されている。
一対のギヤ組9a,9bを介してエンジンEにより駆動さ
れるチャージポンプ10の吐出口が、チェックバルブ15を
有するチャージ油路Lhおよび一対のチェックバルブ3,3
を有する第3油路Lcを介して閉回路に接続されている。
チャージポンプ10によりオイルサンプ17から汲み上げら
れチャージ圧リリーフバルブ16により調圧された作動油
は、チェックバルブ3,3の作用により上記2本の油路La,
Lbのうちの低圧側の油路に供給される。
シャトルバルブ4を有する第4油路Ldが上記閉回路に
接続されている。このシャトルバルブ4には、低圧リリ
ーフバルブ6を有してオイルサンプ17に繋がる第5油路
Leが接続されている。シャトルバルブ4は、2ポート3
位置切換弁であり、第1および第2油路La,Lbの油圧差
に応じて作動し、第1および第2油路La,Lbのうち低圧
側の油路を第5油路Leに連通させる。これにより低圧側
の油路のリリーフバルブ6の設定圧に調圧される。
第1および第2油路La,Lb間には、両油路を短絡する
第6油路Lfも設けられており、この第6油路Lfにはこの
油路の開度を制御する可変絞り弁からなるメインクラッ
チ弁CLが配設されている。
油圧モータMの回転軸2と平行に出力軸28が配置され
ており、両軸2,28間に前後進切換装置20が設けられる。
この装置20は回転軸2上に軸方向に間隔を有して配され
た第1および第2駆動ギヤ21,22と、出力軸28に回転自
在に支承されるとともに第1駆動ギヤ21に噛合する第1
被動ギヤ23と、中間ギヤ24を介して第2駆動ギヤ22に噛
合するとともに出力軸28に回転自在に支承された第2被
動ギヤ25と、第1および第2被動ギヤ23,25間で出力軸2
8に固設されるクラッチハブ26と、軸方向に滑動可能で
ありクラッチハブ26と前記両被動ギヤ23,25の側面にそ
れぞれ形成されたクラッチギヤ23aもしくは25aとを選択
的に連結するスリーブ27とを備え、このスリーブ27はシ
フトフォーク29により左右に移動される。なお、この前
後進切換装置20の具体的構造は第2図に示す。この前後
進切換装置20においては、スリーブ27がシフトフォーク
29により図中左方向に滑動されて図示の如く第1被動ギ
ヤ23のクラッチギヤ23aとクラッチハブ26とが連結され
ている状態では、出力軸28が回転軸2と逆方向に回転さ
れ、車輪が無段変速機Tの駆動に伴い前進方向に回転さ
れる。一方、スリーブ27がシフトフォーク29により右に
滑動されて第2被動ギヤ25のクラッチギヤ25aとクラッ
チハブ26とが連結されている状態では、出力軸28は回転
軸2と同方向に回転され、車輪は後進方向に回転され
る。
次に、上記無段変速機Tの具体的な構造を第2図を用
いて説明する。
この無段変速機Tは、第1〜第3ケース5a〜5cにより
囲まれた空間内に油圧ポンプPおよび油圧モータMが同
芯に配設されて構成されている。油圧ポンプPの入力軸
1はエンジンEの出力軸ESと結合されている。
油圧ポンプPは、入力軸1にスプライン結合されたポ
ンプシリンダ60と、このポンプシリンダ60に円周上等間
隔に形成された複数のシリンダ孔61に摺合した複数のポ
ンププランジャ62とを有してなり、入力軸1を介して伝
達されるエンジンEの動力により回転駆動される。
油圧モータMは、ポンプシリンダ60を外囲して設けら
れたモータシリンダ70と、モータシリンダ70に円周上等
間隔に形成された複数のシリンダ孔71に摺合した複数の
モータプランジャ72とから構成されており、ポンプシリ
ンダ60と同芯上にて相対回転可能なようになっている。
モータシリンダ70は、軸方向に並んで一体に結合され
た第1〜第4の部分70a〜70dにより構成される。第1の
部分70aはその左端外周においてベアリング79aを介して
ケース5bにより回転自在に支持されるとともに、右側内
側面は入力軸1に対して傾斜してポンプ斜板部材を構成
しており、このポンプ斜板部材上にポンプ斜板リング63
が設けられている。第2の部分70bには前記複数のシリ
ンダ孔71が形成され、第3の部分70cは各シリンダ孔61,
71への油路が形成された分配盤80を有する。第4の部分
70dは第3の部分70Cと結合され、ベアリング79bを介し
てケース5cにより回転自在に支持されている。なお、第
4の部分70dには、第1および第2駆動ギヤ21,22を有す
るギヤ部材が圧入されている。
上記ポンプ斜板リング63上には、円環状のポンプシュ
ー64が回転滑動自在に取り付けられ、このポンプシュー
64とポンププランジャ62とが連接桿65を介してある程度
首振り自在に連結されている。ポンプシュー64とポンプ
シリンダ60には互いに噛合する傘歯車68a,68bが形成さ
れている。このため、入力軸1からポプシリンダ60を回
転駆動するとポンプシュー64も同一回転駆動され、ポン
プ斜板リング63の傾斜に応じてポンププランジャ62は往
復動され、吸入口からのオイルの吸入および吐出口への
オイルの吐出がなされる。
また、各モータプランジャ72に対向する斜板部材73
が、その両外側から紙面に直角な方向に突出する一対の
トラニオン軸(揺動軸)73aを介して第1および第2ケ
ース5a,5bにより揺動自在に支承されている。この斜板
部材73のモータプランジャ72に対向する面上にはモータ
斜板リング73bが配設され、このモータ斜板リング73b上
に滑接してモータシュー74が取り付けられている。モー
タシュー74は、各モータプランジャ72の端部に首振り自
在に連結されている。斜板部材73は、そのトラニオン軸
73aから離れた位置で、リンク部材39を介して変速用サ
ーボユニット30のピストンロッド33と連結されており、
変速用サーボユニット30により、ピストンロッド33が軸
方向に移動されると、斜板部材73はトラニオン軸73aを
中心に揺動されるようになっている。
モータシリンダ70の第4の部分70dは中空に形成され
ており、その中心部に、配圧盤18に固定された固定軸91
が挿入されている。この固定軸91の左端には分配環100
が液密に嵌着されており、この分配環100の軸線方向左
端面が偏心して分配盤80に摺接し得るようにされてい
る。この分配環100により、第4の部分70d内に形成され
た中空部が、内側空間と外側空間とに区画され、内側空
間が第1油路Laを構成し、外側空間が第2油路Lbを構成
する。なお、上記配圧盤18は、シャトルバルブ4、低圧
リリーフバルブ6等を有しており、第2ケース5bの右側
面に取り付けられるとともに、第3ケース5cにより覆わ
れている。
この分配盤80および第4の部分70d内の詳細構造を第
3図に示しており、以下、第3図も参照して説明する。
分配盤80には、ポンプ吐出ポート81aおよびポンプ吸
入ポート82aが穿設されており、その吐出ポート81aおよ
びこれに繋がる吐出路81bを介して、吐出行程にあるポ
ンププランジャ62のシリンダ孔61と内側空間からなる第
1油路Laとが連通され、また、ポンプ吸入ポート82aお
よびこれに繋がる吸入路82bを介して、吸入行程にある
ポンププランジャ62のシリンダ孔61と外側空間からなる
第2油路Lbが連通される。さらに、分配盤80には各モー
タプランジャ72のシリンダ孔(シリンダ室)71にそれぞ
れ連通する複数(プランジャ72と同数)の連絡路83が形
成されており、この連絡路83の開口が、分配環100の作
用により、モータシリンダ70の回転に応じて第1油路La
もしくは第2油路Lbと連通される。このため、膨張行程
にあるモータプランジャ72のシリンダ孔71と第1油路La
とが、収縮行程にあるモータプランジャ72のシリンダ孔
71と第2油路Lbとがそれぞれ連絡路83を介して連通され
る。
このようにして、油圧ポンプPと油圧モータMとの間
には、分配盤80および分配環100を介して油圧閉回路が
形成されている。したがって、入力軸1よりポンプシリ
ンダ60を駆動すると、ポンププランジャ62の吐出行程に
より生成された高圧の作動油が、ポンプ吐出ポート81a
からポンプ吐出路81b、第1油路La(内側空間)および
これと連通状態にある連絡路83を経て膨張行程にあるモ
ータプランジャ72のシリンダ孔71に流入して、そのモー
タプランジャ72に推力を与える。一方、収縮行程にある
モータプランジャ72により排出される作動油は、第2油
路Lb(外側空間)に連通する連絡路83、ポンプ吸入路82
bおよびポンプ吸入ポート82aを介して吸入行程にあるポ
ンププランジャ62のシリンダ孔61に流入する。
このような作動油の循環により、吐出行程のポンププ
ランジァ62がポンプ斜板リング63を介してモータシリン
ダ70に与える反動トルクと、膨張行程のモータプランジ
ャ72がモータ斜板部材73から受ける反動トルクとの和に
よって、モータシリンダ70が回転駆動される。
ポンプシリンダ60に対するモータシリンダ70の変速比
は次式によってあたえられる。
上式からわかるように、変速用サーボユニット30によ
り斜板部材73を揺動させ、油圧モータMの容量を0から
ある値に変えれば、変速比を1(最小値)からある必要
な値(最大値)にまで変えることができる。
一方、前述のように、モータシリンダ70の第4の部分
70dには、第1および第2駆動ギヤ21,22を有するギヤ部
材GMが圧入固設されている。このため、モータシリンダ
70の回転駆動力は、前後進切換装置20を介して出力軸28
に伝達される。
なお、第4の部分70dの中空部分に挿入された固定軸9
1内には、第1油路Laと第2油路Lbとの短絡路を形成す
るとともにこの短絡路を全閉から全開まで制御可能なメ
インクラッチ弁CL、および第1油路Laを断続制御可能な
直結クラッチ弁DCが配設される。
固定軸91の周壁には、第1油路Laと第2油路Lbとを連
通し得る短絡ポート91aが穿設されており、この固定軸9
1の中空部に挿入された円筒状のメインクラッチ弁体95
により短絡ポータ91aの開閉制御を行うのがクラッチ弁C
Lである。このため、弁体95により、短絡ポート91aの開
度を全開から全閉まで制御することができ、短絡通路の
開度が全開であれば、ポンプ吐出ポート81aから第1油
路Laに吐出された作動油は、直接第2油路Lbに流入する
とともにポンプ吸入ポート82aに流入するので、油圧モ
ータMが不作動となり、クラッチOFFの状態となる。当
然ながら、逆に、短絡回路の開度が全閉であれば、クラ
ッチON状態が実現する。
このメインクラッチ弁体95の中空部内に、直結クラッ
チ弁DCが配設される。この直結クラッチ弁DCは、シュー
86を有し、シュー86により分配盤80の端面に開口するポ
ンプの吐出路を塞ぎ、第1油路Laを遮断することができ
るようになっている。このようにポンプ吐出路を閉塞し
た状態では、ポンププランジャ62が油圧的にロックさ
れ、油圧ポンプPと油圧モータMとが直結状態となる。
なお、この直結状態は、モータMの斜板部材73を直立
にした変速比最小の位置、すなわち、トップ位置にて行
われるもので、直結させることにより入力軸1から出力
軸2への動力伝達効率を向上するとともに、モータプラ
ンジャ72が斜板部材73に及ぼす推力を低減させて、摩擦
抵抗の減少および軸受等に加わる負荷の軽減を図ること
ができる。
以上の構成の油圧式無段変速機における分配環100に
ついて、以下に詳細に説明する。
この分配環100を、分配盤80の側端面80aと摺接する面
側から見た図を第4A図に、これと反対側から見た図を第
4B図に示している。さらに、分配盤80の摺接面80aを第
5図に示している。
分配盤80の摺接面80aには、第5図に示すように、ポ
ンプ吐出路81bがほぼ中央に開口し、さらにモータシリ
ンダの回転軸を中心とする円周上に並んで複数の連結路
83が開口している。分配環100の摺接面100aには、この
連絡路83が位置する円周と対応する弧状の第1開口101c
とポンプ吐出路81bに対応する円状の第2開口101bとか
らなる流入ポート101が開口するとともに、第1開口か
ら180゜離れて位置し上記連絡路83が位置する円周と対
応する弧状の流出ポートが開口する。なお、流入ポート
101および流出ポート102の流入開始側および流出開始側
には予圧縮もしくは予膨張用として作用するノッチ101
a,102aが形成されている。
さらに、分配環100における固定軸91と対向する側に
は、上記第1開口101cおよび流出ポート102を形成する
弧の中心a1に対して偏心した中心a2を有する嵌合穴103
が形成されている。この嵌合穴103内に固定軸91の先端
部91bが入り込むようにして、分配環100が固定軸91の先
端に軸方向に移動可能に取り付けられる。なお、このよ
うに取り付けられた状態で、分配環100の4個のアーム1
04が固定軸91の係止溝(図示せず)に入り込んで係止さ
れ、分配環100の回転が阻止される。
分配環100にはさらに、嵌合穴103より外側における上
記中心a1に対して対称となる位置2箇所に、固定軸91と
対向する側からピストン孔105が形成されている。この
ピストン孔105内にはそれぞれ摺動自在に補助ピストン1
10が嵌入される。このピストン孔105に補助ピストン110
が嵌入されるとともに、分配環100が固定軸91に取り付
けられた状態で、ピストン孔105の周りの矢印IV−IVに
沿った断面を、第4C図および第4D図に示している。これ
らの図から分かるように、ピストン孔105は、固定軸91
の側に開口した止まり穴であり、その底部において弧状
の溝106を介して第1油路(内側空間)Laと連通する。
第4C図は、通常走行状態で、第1油路La内の油圧が高
圧となり第2油路Lb内の油圧が低圧となった場合を示し
ており、この場合には、第1油路La内の高圧が、溝106
を介して、ピストン孔105内における補助ピストン110の
左端面110aに覆われた内部空間107にも作用する。補助
ピストン110は右方に押され、その右端面110bは固定軸9
1の端面に当接する。このため、内部空間107の油圧力は
補助ピストン110を固定軸に押し付けるとともに、この
反力が分配環110を分配盤80の方に押圧する力として働
く。なお、第1油路La内の高圧は分配環100の嵌合穴103
より内側部分にも作用するため、第6A図においてハッチ
ングを付した部分に第1油路La内の油圧が作用し、分配
環100を分配盤80の方に押圧する。すなわち、通常走行
時に、分配環100が第1油路(内側空間)La内の油圧を
受ける面積、すなわち内側受圧面積は、嵌合穴103より
内側の受圧面積と2箇所のピストン孔105の受圧面積と
の合計面積であり、このとき分配環100を分配盤80の方
に押圧する力は、この合計面積に比例する。
一方、第4D図は、エンジンブレーキ状態で、第2油路
Lb内の油圧が高圧となり第1油路La内の油圧が低圧とな
った場合を示しており、この場合には、第2油路Lb内の
高圧は、嵌合穴103より外側の部分に作用する。補助ピ
ストン110はその右端面110bにこの高圧を受けてピスト
ン孔105内に押し込まれるため、この高圧の油圧力は補
助ピストン110を介して分配環110の押圧力として作用す
る。このため、エンジンブレーキ状態時に、分配環100
が第2油路(外側空間)Lb内の油圧を受ける面積、すな
わち外側受圧面積は、第6B図においてハッチングを施し
た部分の面積となり、このとき分配環100を分配盤80の
方に押圧する力は、このハッチング面積に比例する。
第6A図および第6B図から分かるように、ピストン孔10
5の受圧面積は、内側受圧面積および外側受圧面積のい
ずれにも含まれており、内側受圧面積は嵌合穴103の内
側の面積よりピストン孔105の受圧面積分だけ大きい。
このため、例えば、エンジンブレーキ状態での分配環10
0の押圧力が適正となるように外側受圧面積を設定した
ときに、通常走行状態で嵌合穴103より内側の受圧面積
だけでは押圧力が不足したとしてもピストン孔105の受
圧面積分の押圧力によりこの不足分を補い、通常走行状
態においても適正な押圧力を設定することができる。
次に、本発明の異なる実施例に係る分配環100′につ
いて、第7A図、第7B図および第8図に基づいて説明す
る。なお、この分配環100′は第4A図および第4B図に示
した分配環100と類似するため、この分配環100と同一部
分には同一番号を付し、その説明を省略する。
分配環100′には、分配環100の場合と同一の位置に、
2個のピストン孔115,116が形成されている。このう
ち、第1ピストン孔115には、摺接面100aにおけるノッ
チ102aの近傍に開口する第1小孔115aが連通形成される
とともに、溝106を介して第1油路(内側空間)Laとも
連通する。一方、第2ピストン孔116には、摺接面110a
におけるノッチ101aの近傍に開口する第2小孔116aが連
通形成されている。
このため、通常走行状態で、第1油路La内の油圧が高
圧となり第2油路Lb内の油圧が低圧となった場合には、
第1油路La内の油圧は、嵌合穴103より内側部分(斜線
で影を付けた部分S1)に作用するだけでなく、溝106か
ら第1ピストン孔115内(影の部分S3)にも作用する。
第2ピストン孔116は第1油路Laとは直接連通してい
ないため、第1油路La内の高圧は直接作用しない。しか
しながら、第2ピストン孔116に連通する第2小孔116a
はノッチ101aの先端近傍に開口しているため、連結ポー
ト83がノッチ101a上を通過するときにこのノッチ101a内
に発生する油圧とほぼ同じ油圧がこの第2小孔116aを介
して第2ピストン孔116内に作用する。この油圧は、第1
0図に示す油圧であり、既述のように、モータシリンダ7
0の回転が高速のときには回転角変化に対する油圧変化
は緩やかで、低温のときには油圧変化は急激となり、例
えば、回転角A2における油圧は、高速回転のときにはP
HSであるが、低速回転のときにはPLSとなる。すなわ
ち、第2ピストン孔116内に作用する油圧は、第10図に
示すような油圧であり、この油圧に対応する油圧力が第
2ピストン孔116内に挿入された補助ピストン110に作用
し、その反力が分配環100′を分配盤80の方に押圧する
力となる。
このように、第8図において影を付けた部分S1,S2,S3
のうち、S1およびS3には第1油路La内の油圧と同じ油圧
が作用するが、S2には第10図に示すような油圧、すなわ
ち、連結ポート83がノッチ101a上を通過するときに発生
する油圧変化を有した油圧となり、第2ピストン孔116
内の補助ピストン110による分配環100′の押圧力はこの
油圧変化に対応したものとなる。このため、モータシリ
ンダ70の回転速度が変化しても、その回転速度で発生す
る油圧変化に対応した適切な分配環100′の押圧力設定
を行うことができる。
なお、第1ピストン孔115内に導入された高圧油は、
第1小孔115aを介して摺接面100a上に導かれ、この面で
の圧力変動を少なくし、分配環100′を浮き上がらせる
方向の力の変動を減少させるようになっている。
この構成の分配環100′を用いた場合での、押し付け
荷重重心および浮き上げ荷重重心を油圧分布を計算して
求め、この計算重心位置の変化を第9図に示している。
このグラフは、原点をモータシリンダ70の回転中心とし
て示しており、嵌合穴103が下側に偏心しているため、
加速時すなわち通常走行状態での押し付け荷重重心およ
び浮き上げ荷重重心は横軸より下側に位置し、減速時す
なわちエンジンブレーキ状態での押し付け荷重重心およ
び浮き上げ荷重重心は横軸より上側に位置する。
まず、通常走行状態では、モータシリンダ70の回転速
度すなわち車速が高速か低速かで、ノッチ101a部の油圧
および第2ピストン孔116内に作用する油圧が第10図に
示すように変化するため、押し付け荷重重心および浮き
上げ荷重重心位置も変化する。この図において、C1およ
びD1が高速での押し付け荷重重心および浮き上げ荷重重
心位置を示し、C2およびK1が低速での重心位置を示して
いる。このように、本発明に係る分配環100′を用いる
と、押し側および浮き側重心位置が近接してバランス良
く分配環100′の押圧を行う。
このときの荷重の大きさは嵌合穴103の大きさおよび
位置、ピストン孔115,116の大きさおよび位置により異
なるが、計算値の1例を示すと次のようになる。
高速時、押し付け荷重:1682kg、浮き上げ荷重:1607〜
1704kg、分配環外縁部荷重:81.2kg(MAX.)(これは焼
き付きが問題とならない程度の荷重である) 低速時、押し付け荷重:1794kg、浮き上げ荷重:1572kg
〜1866kg、分配環外縁部荷重:−75.9kg(MIN.)(この
値は浮き上げ側荷重であるが、極く小さな値であり許容
範囲内にある) 次に、エンジンブレーキ状態では、押し付け荷重位置
は変化せずC3で示す位置にあるが、浮け上げ荷重は高速
時にはD2で示す位置にあり、低速時にはK2で示す位置に
ある。このときの荷重の計算値は次のようになる。
押し付け荷重:3403kg(高速および低速時)、浮き上
げ荷重:3108〜3203kg(高速時、2912〜3245kg(低速
時)、分配環外縁部荷重:232.5kg(MAX.)(高速時の最
大値で焼き付きが問題とならない値である)、29.0kg
(MIN.)(低速時の最小値で浮き上がりは生じない) ハ.発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、分配環を固定
軸の先端部に軸方向に移動自在に嵌合させて取り付け、
軸方向端面が対向する空間をこの嵌合部より外側空間と
内側空間とに分割し、流入ポートおよび流出ポートの一
方を外側空間に連通させるとともに他方を内側空間に連
通させ、さらに、この分配環における嵌合部より外側
に、固定軸側に開口したピストン孔を形成するととも
に、一端が固定軸の端部に当接し得る補助ピストンをピ
ストン孔に摺動自在に嵌入し、ピストン孔を内側空間に
連通させているので、内側空間内の油圧が高圧のときに
は、補助ピストンが内側空間の油圧を受けて固定軸に押
圧されるときの反力が分配環の押圧力として作用し、分
配環が内側空間の油圧を受ける面積、すなわち、内側受
圧面積は、嵌合部より内側の面積に補助ピストン部の面
積を加えた値となる。このため、嵌合径およびピストン
孔の径を適宜調整することにより、外側受圧面積および
内側受圧面積をともに適正な値に設定し、常に適正な分
配環の押圧力を得ることができ、分配環の摺接部の焼き
付きを防止しつつ、この摺接部からの油の漏れを最小限
に抑えることができる。
また、第2の発明においては、分配環における嵌合部
より外側に、固定軸側の開口したピストン孔を形成し、
このピストン孔に補助ピストンを摺動自在に嵌入してい
るのであるが、このピストン孔を、流入ポートの流入開
始側端部に形成されたノッチの先端近傍に開口する連通
路と連通させているので、ピストン孔に導入される油圧
は連結ポートがノッチ部を通るときに発生する油圧変化
を有した油圧となり、補助ピストンによる分配環の押圧
力は、この油圧変化に対応したものとなる。このため、
モータシリンダの回転速度が異なっても、そのときに発
生する油圧変化に対応した適切な押圧力が得られ、この
場合にも、分配環の摺接部の焼き付きを防止しつつ、こ
の摺接部からの漏れを最小限に抑えることができる。
さらに、第3の発明として、この分配環に、モータシ
リンダの回転軸を中心に上記ピストン孔に対してほぼ対
称となる位置にもう一つのピストン孔を形成し、このピ
ストン孔を流出ポートの流出開始側端部に形成されたノ
ッチの先端近傍に連通開口するとともに内側空間にも連
通させても良く、このようにすると、このピストン孔内
に導入された高圧油は、開口部を介して摺接面上に導か
れ、この面での圧力変動を少なくし、分配環を浮き浮得
がらせる方向の力の変動を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に用いられる油圧式無段変速機の油圧回
路図、 第2図はこの無段変速機の構造を示す断面図、 第3図はこの無段変速機における分配環周辺を示す断面
図、 第4A図および第4B図は本発明に係る分配環を示す正面図
および背面図、 第4C図および第4D図は第4B図の矢印IV−IVに沿った断面
図、 第5図は分配盤の摺接面を示す端面図、 第6A図および第6B図は上記分配環の受圧面積を示す投影
図、 第7A図および第7B図はもう一つの本発明に係る分配環を
示す正面図および背面図、 第8図はこの分配環の受圧面積を示す投影図、 第9図はこの分配環に作用する押し付け荷重および浮き
上げ荷重の重心位置を示すグラフ、 第10図はシリンダ回転に伴う作動油圧変化を示すグラ
フ、 第11A図および第11B図はシリンダ回転に伴い分配環に作
用する浮き上げ荷重を示すグラフである。 1……入力軸、4……シャトルバルブ 60……ポンプシリンダ、62……ポンププランジャ 70……モータシリンダ、72……モータプランジャ 80……分配盤、83……連絡路 100……分配環、101……流入ポート 102……流出ポート、103……嵌合穴 105,115,116……ピストン孔 110……補助ピストン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 正忠 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特公 昭41−10138(JP,B1)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれプランジャが摺合された複数のシ
    リンダ孔に連通する複数の連結ポートを、軸方向端面に
    おける回転軸を中心とする所定円周上に並んで形成して
    なるシリンダを有する油圧ユニットに用いられ、 前記軸方向端面に摺接し、前記シリンダの回転に応じて
    膨張行程となる前記プランジャが摺合された前記シリン
    ダ孔に前記連結ポートを介して連通する流入ポート、お
    よび前記シリンダの回転に応じて収縮行程となる前記プ
    ランジャが摺合された前記シリンダ孔に前記連結ポート
    を介して連通する流入ポートを有してなる分配環におい
    て、 この分配環は、固定軸の先端部に軸方向に移動自在に嵌
    合されて取り付けられ、前記軸方向端面が対向する空間
    を、この嵌合部より外側空間と内側空間とに分割し、前
    記流入ポートおよび前記流出ポートの一方を前記外側空
    間に連通させるとともに他方を前記内側空間に連通させ
    てなり、 前記分配環における嵌合部より外側に、前記固定軸側に
    開口したピストン孔を形成するとともに、一端が前記固
    定軸の端部に当接し得る補助ピストンを前記ピストン孔
    に摺動自在に嵌入し、前記ピストン孔を前記内側空間に
    連通させるとともに、前記一端を前記外側空間に対面さ
    せたことを特徴とする油圧ユニットの分配環。
  2. 【請求項2】それぞれプランジャが摺合された複数のシ
    リンダ孔に連通する複数の連結ポートを、軸方向端面に
    おける回転軸を中心とする所定円周上に並んで形成して
    なるシリンダを有する油圧ユニットに用いられ、 前記軸方向端面に摺接し、前記シリンダの回転に応じて
    膨張行程となる前記プランジャが摺合された前記シリン
    ダ孔に前記連結ポートを介して連通する流入ポート、お
    よび前記シリンダの回転に応じて収縮行程となる前記プ
    ランジャが摺合された前記シリンダ孔に前記連結ポート
    を介して連通する流入ポートを有してなる分配環におい
    て、 この分配環は、固定軸の先端部に軸方向に移動自在に嵌
    合されて取り付けられ、前記軸方向端面が対向する空間
    を、この嵌合部より外側空間と内側空間とに分割し、前
    記流入ポートおよび前記流出ポートの一方を前記外側空
    間に連通させるとともに他方を前記内側空間に連通させ
    てなり、 前記分配環における嵌合部より外側に、前記固定軸側に
    開口したピストン孔を形成するとともに、一端が前記固
    定軸の端部に当接し得る補助ピストンを前記ピストン孔
    に摺動自在に嵌入し、 前記流入ポートの流入開始側端部に形成されたノッチの
    先端近傍に開口するとともに前記ピストン孔に連通する
    連通路を前記分配環に形成し、 この連通路は、前記シリンダの回転に応じて前記連結ポ
    ートが前記ノッチと連通するとき、ほぼ同時に前記連結
    ポートと連通し始めるように構成されていることを特徴
    とする油圧ユニットの分配環。
  3. 【請求項3】前記分配環には、前記回転軸を中心に前記
    ピストン孔に対してほぼ対象となる位置に第2のピスト
    ン孔が形成されており、この第2のピストン孔は前記内
    側空間に連通していることを特徴とする請求項2に記載
    の油圧ユニットの分配環。
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