JP2568676Y2 - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.考案の目的 １）産業上の利用分野 本考案は、鉄道車両等の乗物の操縦者が前方外界の情
景を見ながら操縦する際に、その操縦者が見ている前方
の外界の情景に種々の情報を兼ねて表示するヘッドアッ
プディスプレイに関する。

このようなヘッドアップディスプレイを用いれば、操
縦者は一々外界から視線をそらせて計器類を見る必要が
なくなるので、外界から視線をそらせている間に生じる
不慮の事故を防ぐことができる。

２）従来の技術 前記従来のヘッドアップディスプレイは、普通、操縦
者の視野前方にハーフミラー等のコンバイナを配置し、
そのコンバイナは外界の情景から出射した光線を操縦者
の方向に透過させるとともに操縦室内側か前記コンバイ
ナに入射した速度情報やブレーキ圧情報等の情報表示光
を操縦者の方向に反射または回折させるように構成され
ている。そして、前記情報表示光をコンバイナに入射さ
せる情報投射装置は、CRT、プラズマディスプレイまた
は発光ダイオードディスプレイ等の光学的情報表示手段
とこの光学的情報表示手段から出射した光を前記コンバ
イナに入射させる光学部材とを備えている。そして、前
記光学部材は、普通リレーレンズ系および反射鏡等から
構成されており、前記情報表示光を操縦者が正面の視野
の中に視認できるように構成されている。

３）考案が解決しようとする課題 ところで、前記ヘッドアップディスプレイで表示され
る情報の中には、前記速度情報またはブレーキ圧情報の
ように、所定の範囲の数値の中のある特定の値を指示す
るものがある。このような情報を表示する場合、所定の
範囲の数値に対応する目盛とその目盛上における指示値
とを表示するアナログメータが知られている。このよう
に、目盛と指示値とを同時に表示すると、現在の値（た
とえば現在の速度）が所定範囲の目盛（たとえば０〜10
0km/h）上のどの位置にあるのかを一目で認識すること
ができるので都合がよい。

ところが、このような表示を行うと、表示情報が多く
なるので、表示情報が操縦者の前方視野の広い範囲を占
めることになる。そうすると、前記表示情報は、操縦者
が乗物前方の情景を認識する妨げになる場合があった。

本考案は、前述の問題点に鑑み、指示値が所定範囲の
目盛上のどの位賃にあるのかを一目で認識できるように
情報を表示するヘッドアップディスプレイにおいて、表
示情報が操縦者による乗物前方の情景の視認の妨げとな
らないようにすることを課題とする。

B.考案の構成 １）課題を解決するための手段 前記課題を解決するために、本考案のヘッドアップデ
ィスプレイは、表示信号出力手段（Ｓ）から出力される
表示信号に応じた情報が表示される表示面を有する光学
的情報表示手段（Ｄ）と前記表示面から出射した情報表
示光（Ｌ）を所定の方向に投射する光学部材（Ａ）とを
備えた情報投射装置（Ｋ）と、操縦者（Ｍ）の前方に傾
斜して設けられ、前方の外界の情報を操縦者（Ｍ）が視
認できるように前記外界からの光線を前方から後方に通
過させるとともに、前記情報投射装置（Ｋ）から投射さ
れた情報表示光（Ｌ）を操縦者が視認できる方向に反射
または回折するコンバイナ（Ｃ）と、を備え、前記表示
面には表示範囲を指示する表示範囲指示バー（12）と、
この表示範囲指示バー（12）に沿って配置された多数の
目盛（13a,13a,…）を表示する目盛表示部（13）と、前
記目盛表示部（13）上の多数の目盛の中で所定の指示値
に対応する目盛（13a）を指示するための指針（14a,14
a）を表示する指示値表示部（14）とが設けられた乗物
用のヘッドアップディスプレイにおいて、 前記所定の指示値に対応する目盛（13a）の近傍部分
の目盛表示部（13）の目盛（13a）を明るく表示すると
ともに、前記指示値から離れた遠方部分の目盛表示部
（13）の目盛（13a）を暗く表示するかまたは全く表示
しない手段を有することを特徴とする。

２）作用 前述の構成を備えた本考案のヘッドアップディスプレ
イにおいては、所定の指示値に対応する目盛の近傍部分
の目盛表示部の目盛を明るく表示するとともに、前記指
示値から離れた遠方部分の目盛表示部の目盛を暗く表示
するかまたは全く表示しないようにしたので、操縦者の
視野前方の明るい表示が少なくなる。したがって、操縦
者は乗物の前方の情景を視認し易くなる。

３）実施例 以下、図面により本考案の第１実施例を説明する。

第１図において、電車１の前端部には運転室（操縦
室）２が設置されている。この運転室２には、操縦者Ｍ
用の座席３の前方に計器盤４が配設されている。

また、前記運転室２の前方には電車１の車体下部５と
天井６との間にコンバイナとしてのフロントガラスＣが
配設されている。このフロントガラスＣは前方に行くに
従って下方に傾斜するように配置されている。

前記運転室２の計器盤４には光学部材としてのレンズ
系Ａおよび光学的情報表示手段としてのCRT（Cathode R
ay Tube、陰極線管）ディスプレイＤが配設されてい
る。このCRTディスプレイＤの表示面は例えば640×400
ドットのピクセルに分割されており、各々のピクセルの
輝度をコントロールすることにより必要な情報（たとえ
ば、後述の第３図に示す情報）が表示される。前記レン
ズ系Ａは、凹レンズA1および凸レンズA2等から構成され
ており、前記CRTディスプレイＤから出射した情報表示
光Ｌを前記フロントガラスＣに入射させるように配置さ
れている。なお、前記CRTディスプレイＤの代わりに、
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイまたは発光ダ
イオードディスプレイ等のフラットな光学的情報表示手
段を採用することも可能である。

前記フロントガラスＣは前記レンズ系Ａから入射した
情報表示光Ｌの一部を透過させるとともに残部を前記操
縦者Ｍに向けて反射させるように配置されており、また
外部の情景等から入射した外部光Ｘの一部を反射すると
ともに残部を前記操縦者Ｍに向けて透過させるように配
置されている。すなわち、この実施例のフロントガラス
Ｃはそれ自体がコンバイナとしての機能を備えている。

なお、前記レンズ系ＡおよびCRTディスプレイＤから
情報投射装置Ｋが構成されており、また、前記コンバイ
ナとして機能するフロントガラスＣ、前記情報投射装置
Ｋおよび後述の表示信号出力手段Ｓ等からヘッドアップ
ディスプレイＨ（第２図参照）が構成されている。

第２図はヘッドアップディスプレイＨの表示信号出力
手段Ｓの説明図である。

前記表示信号出力手段Ｓは速度センサによって構成さ
れた走行速度検出手段S1と、この走行速度検出手段S1か
らの入力信号に基づいて表示信号を出力する表示信号出
力回路S2とから構成されている。

前記表示信号出力回路S2は、前記走行速度検出手段S1
からの入力信号に基づいて表示データを出力する表示情
報制御部７と、前記表示データが書き込まれる表示メモ
リ８とを備えている。表示メモリ８に書き込まれた前記
表示データはCRTコントローラ９により発生される前記C
RTディスプレイＤの走査に同期した読出しアドレス信号
により読出される。表示メモリ８から読出された表示デ
ータは、並直変換器10によりシリアルデータに変換され
増幅器11を介してCRT表示管Ｄに供給されるように構成
されている。そして、前記符号７〜11で示された構成要
素から前記表示信号出力回路S2が構成されている。

次に、前述の構成を備えた本考案の第１実施例の作用
について説明する。

第１図中左側に在る外界からフロントガラスＣに向っ
て進んで来た光線Ｘは、一部はフロントガラスＣで外界
に反射し、残部はそのままフロントガラスＣを透過して
直進し、操縦者Ｍの眼に至る。これにより操縦者Ｍは外
界の情景をそのまま視認することができる。一方、前記
情報投射装置ＫのCRT表示管Ｄから出射した情報表示光
Ｌはレンズ系Ａを透過してフロントガラスＣに入射す
る。そして、フロントガラスＣに入射した情報表示光Ｌ
は、一部はフロントガラスＣを透過して外界に出射され
るが、残部は反射して操縦者Ｍの眼に至る。これにより
操縦者Ｍは情報表示光Ｌを視認することができる。

第３図にはこの実施例の表示の一例として速度情報を
表示する場合が示されている。

第３図において、破線で示された部分Ｆが前記操縦者
Ｍが前方を見ているときの視野Ｆを示しており、その視
野Ｆ内には前方の線路が見えている。この図において、
円弧状曲線によって表示範囲指示バー12が表示され、こ
の表示範囲指示バー12の両端には車両の表示時速の下限
および上限を現す数値「０」および「100」が表示され
ている。また、前記表示範囲指示バー12の中心位置に前
記時速を現す数値の単位「km/h」が表示されている。前
記表示範囲指示バー12、数値「０」、「100」、および
単位「km/h」は、時速表示の際には、常時表示される。

前記円弧状の表示範囲指示バー12に沿って多数の目盛
13a,13a,…を選択的に表示するための目盛表示部13が設
けられ、また、前記目盛13a,13a,…に沿って５個置きに
時速を現す数字が表示されるようになっている。そして
また、多数の指針14a,14a,…を表示する指示値表示部14
により現在の実際の走行速度を表示するようになってい
る。

そして、現在の時速が56km/hの場合、第３図に示すよ
うに、指示値56km/hに対応する指針14aと、その近傍の
目盛13a,13a,…と、前記時速を表示する数値の中の55お
よび60が表示される。そして、前記指示値56km/hから離
れた遠方位置にある目盛13a,13a,…および時速を現す数
値は表示しない。なお、この指示値から遠方にある目盛
および時速を現す数値は、操縦者による乗物前方視認の
妨げにならないような薄い明るさで表示することも可能
である。

第４図は、前記第３図に示した時速表示と同様の速度
表示を液晶パネルを用いて行う場合の説明図である。

第４図において、速度センサから成る速度検出手段S1
によって検出された速度のアナログ信号はA/D変換器21
によりデジタル信号に変換されてデコーダ22に入力され
る。デコーダ22の多数の出力端子22aは、後述の液晶パ
ネルの表示用選択電極のアナログゲート23のゲート端子
23aに接続されている。そして、前記デコーダ22は、前
記入力された検出速度のデジタル信号に応じて、所定の
出力端子22aから「１」を出力し、残りの出力端子22aか
らは「０」を出力する。

第４図において速度表示を行う液晶パネルには、円弧
状曲線からなる表示範囲指示バー12が配置され、この表
示範囲指示バーの両端には車両の表示時速の下限および
上限を現す数値「０」および「100」が配置されてい
る。また、前記表示範囲指示バー12の中心位置に前記時
速を現す数値の単位「km/h」が表示されている。前記表
示範囲指示バー12、数値「０」、「100」は、それらの
液晶表示用選択電極が互いに道通されて一本のリード線
で一個のアナログゲート23の出力端子23aに接続されて
いる。したがってそれらは、同時に表示されるようにな
っている。そして、前記表示範囲指示バー12、数値
「０」、「100」および単位「km/h」は、時速表示の
際、常時表示される。ただし、その明るさは明るくても
薄暗くてもかまわない。

前記符号21〜23で示された構成要素から表示信号出力
回路S2が構成されている。

前記円弧状の表示範囲指示バー12に沿って配置される
多数の目盛13a,13a,…によって目盛表示部13が構成さ
れ、また、前記目盛13a,13a,…に沿って５個置きに時速
を現す数字が配置されている。そして、その時速を現す
数字を表示する選択電極は、その数字に対応する前記目
盛13aと道通され、一本のリード線で一個のアナログゲ
ート23の出力端子23aに接続されている。したがって、
それらは同時に表示されるようになっている。また、数
字の付されていない目盛13a,13a,…は、それぞれ個別に
一本のリード線で一個のアナログゲート23の出力端子23
aに接続されている。

そしてまた、個別に選択表示される多数の指針14a,14
a,…からなる指示値表示部14が円弧状に配置されてい
る。そして、前記多数の指針14a,14a,…の中から時速に
対応する所定の一個の指針14aが選択表示されるように
なっている。

次に、前記第４図の液晶パネルを用いた実施例の作用
を説明する。

この液晶パネルは前述のように、前記表示範囲指示バ
ー12、数値「０」、「100」および単位「km/h」は、時
速表示の際、常時表示される。

たとえば、速度検出手段S1で検出された現在の速度が
56km/hの場合、そのデジタル信号が前記デコーダ22に入
力される。このとき、デコーダ22は、56±６の範囲すな
わち50km/h以上且つ62km/h以下に対応する目盛13a,13a,
…を表示する出力端子22aおよび56km/hに対応する指針1
4aを表示する出力端子22aの出力を「１」とし、他の目
盛13a,13a,…および指針14a,14a,…を表示する出力端子
22aの出力を「０」とする。この時第４図に示すよう
に、前記多数の目盛13a,13a,…から成る目盛表示部13
は、前記指示値（56km/h）の近傍部分が明るく表示され
るが、遠方部分が全く表示されない。

なお、この液晶パネルを用いた場合にも、前記指示値
から遠方にある目盛および時速を現す数値は、操縦者に
よる乗物前方視認の妨げにならないような薄い明るさで
表示することが可能である。

以上、本考案の実施例を詳述したが、本考案は、前記
実施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求の
範囲に記載された本考案を逸脱することなく種々の設計
変更を行うことが可能である。

例えば、本考案は電車以外の各種乗物に適用すること
が可能である。また、速度情報以外の情報たとえばブレ
ーキ圧情報、時刻情報、エンジン回転数、油温等を個別
にまたは同時に表示することも可能であり、またCRT、
液晶ディスプレイ以外の各種ディスプレイたとえばLED
ディスプレイ、プラズマディスプレイ、等を使用するこ
とも可能である。さらに、表示範囲指示バーの形状は円
弧状に限らず、円形、楕円形、または直線状とすること
も可能である。

C.考案の効果 前述の本考案のヘッドアップディスプレイは、表示面
に表示される情報として表示範囲を指示する表示範囲指
示バーと、この表示範囲指示バー（12）に沿って配置さ
れた多数の目盛表示部とそれらの目盛上における指示値
を示すための指示値表示部とを有する乗物用のヘッドア
ップディスプレイにおいて、所定の指示値に対応する目
盛の近傍部分の目盛表示部の目盛を明るく表示するとと
もに、前記指示値から離れた遠方部分の目盛表示部の目
盛を暗く表示するかまたは全く表示しないようにしてい
る。したがって、操縦者による乗物前方の情景の視認の
妨げとならないように情報を表示することができる。し
かも、現在の指示値が所定範囲の目盛上のどの位置にあ
るのかを容易に認識することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヘッドアップディスプレイの一実施例
が電車に設置された状態を示す図、第２図は同実施例の
表示信号出力手段の詳細説明図、第３図は本考案の情報
表示例の説明図、第４図は本考案の他の実施例の説明
図、である。 Ａ……光学部材、Ｃ……コンバイナ、Ｄ……光学的情報
表示手段（CRTディスプレイ）、Ｈ……ヘッドアップデ
ィスプレイ、Ｋ……情報投射装置、Ｌ……情報表示光、
Ｍ……操縦者、Ｓ……表示信号出力手段、S1……走行速
度検出手段、S2……表示信号出力回路、12……表示範囲
指示バー、13……目盛表示部、13a……目盛、14……指
示値表示部、14a……指針

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表示信号出力手段（Ｓ）から出力される表
   示信号に応じた情報が表示される表示面を有する光学的
   情報表示手段（Ｄ）と前記表示面から出射した情報表示
   光（Ｌ）を所定の方向に投射する光学部材（Ａ）とを備
   えた情報投射装置（Ｋ）と、操縦者（Ｍ）の前方に傾斜
   して設けられ、前方の外界の情景を操縦者（Ｍ）が視認
   できるように前記外界からの光線を前方から後方に透過
   させるとともに、前記情報投射装置（Ｋ）から投射され
   た情報表示光（Ｌ）を操縦者が視認できる方向に反射ま
   たは回折するコンバイナ（Ｃ）と、を備え、前記表示面
   には表示範囲を指示する表示範囲指示バー（12）と、こ
   の表示範囲指示バー（12）に沿って配置された多数の目
   盛（13a,13a,…）を表示する目盛表示部（13）と、前記
   目盛表示部（13）上の多数の目盛の中で所定の指示値に
   対応する目盛（13a）を指示するための指針（14a,14a）
   を表示する指示値表示部（14）とが設けられた乗物用の
   ヘッドアップディスプレイにおいて、 前記所定の指示値に対応する目盛（13a）の近傍部分の
   目盛表示部（13）の目盛（13a）を明るく表示するとと
   もに、前記指示値から離れた遠方部分の目盛表示部（1
   3）の目盛（13a）を暗く表示するかまたは全く表示しな
   い手段を有することを特徴とするヘッドアップディスプ
   レイ。