JP2568476Y2 - 柱・梁接合部の補強構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、柱・梁接合部、特に鉄
筋コンクリート（ＲＣ）柱と鉄骨（Ｓ）梁の接合部の補
強構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、圧縮に強い鉄筋コンクリート柱
と、軽量で大スパンが可能な鉄骨梁との複合構造は、建
物の重量を大幅に低減することができると共に、鉄骨構
造に比べて剛性を著しく改善することができる利点があ
り、高層建物に適した構造である。

【０００３】従来、この種の柱・梁接合部の構造として
は、図８に示すように、鉄筋コンクリート柱Ａと鉄骨梁
Ｂの接合部の周囲を囲み板Ｃにより取り囲んだものがあ
った。

【０００４】しかしながら、上記従来の柱・梁接合部の
構造は、囲み板Ｃの板厚が全て同じ厚みであるため、Ｘ
方向の鉄骨梁Ｂに応力がかかった場合にはこれと直交す
るＹ方向の鉄骨梁Ｂをねじ曲げる力が働くという問題点
があり、また、従来の囲み板Ｃは型枠としての機能しか
ないために、鉄骨コンクリート柱Ａのコンクリートとの
一体性がなく、その結果、囲み板が変形し易い等の問題
点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するためになされたもので、その目的とす
るところは、直交する鉄骨梁に二次的な過剰応力を及ぼ
す恐れがなく、また囲み板の変形性状を著しく改善する
ことができる柱・梁接合部の補強構造を提供することに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の柱・梁接合部の
補強構造は、鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部の
周囲を囲み板により取り囲んだ構造において、該囲み板
内の鉄骨梁のウェブおよびフランジにスチフナを一体的
に付設したことを特徴とする。上記スチフナは同じ鉄骨
梁につき複数枚並設してもよい。上記囲み板のＬ状角部
分の内側にシャーコネクターを付設したことも特徴とす
る。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例について図面を参照
しながら説明する。図１において、１はＨ型鋼からなる
Ｘ方向およびＹ方向の鉄骨梁であって、鉄筋コンクリー
ト柱（図示せず）との接合部において十字状に直交して
一体化されている。２は囲み板であって、前記接合部の
周囲を取り囲んでいる。

【０００８】図２からも明かなように、上記囲み板２の
うち鉄骨梁１に溶接されている溶接部分２ａの板厚ｔ
は、囲み板２のその他のＬ状角部分２ｂの板厚ｔ′より
も厚くなるように構成されている。上記接合部分２ａの
板厚ｔは、応力に応じた厚さとする。

【０００９】上記囲み板２内の鉄骨梁１のウェブ１ａお
よびフランジ１ｂには、該囲み板２と平行にスチフナ３
が一体的に取り付けられている。該スチフナ３は、コン
クリートの打設を妨げない程度の間隔で、上記囲み板２
の近くに配置されている。

【００１０】上記スチフナ３の形状としては、図３に示
すように、矩形、三角形、台形、等いずれでもよいが、
少なくともウェブ１ａの左右のスチフナ３は対称に付設
するのが好ましい。

【００１１】図４は別の実施例を示すもので、上記囲み
板２の肉厚が均一な場合、すなわち溶接部分２ａおよび
Ｌ状角部分２ｂが等しい場合には、特に、上記スチフナ
３を複数枚（本実施例では２枚）平行に配置して補強す
る。

【００１２】図５および図８は、さらに別の実施例を示
すもので、上記囲み板２の内側に多数のシャーコネクタ
ー４を付設することにより、接合部内のコンクリートと
の一体化を図り、変形性状を著しく改善できるので、図
７に示すように、安定した変形ループを得ることができ
る。

【００１３】

【考案の効果】

（１） 囲み板内の鉄骨梁のウェブおよびフランジにス
チフナを一体的に付設したので、鉄骨梁のフランジ部の
圧縮だけでなく引張りの場合も含めて、両方向のフラン
ジ部の応力を接合部コンクリートに効果的に伝達するこ
とが出来ると共に、鉄骨梁の接合部からの引き抜け・め
り込みや、囲み板の局所的な変形を防止することが出
来、直交鉄骨梁への伝達応力を低減して直交梁の捻れを
防止することが出来る。 （２） 囲み板のＬ状角部分の内側にシャーコネクター
を付設したので、接合部内のコンクリートと囲み板との
付着力が高まり、鉄骨梁から囲み板を経て接合部コンク
リートへの力の伝達経路を確実にし、鉄骨梁のフランジ
部の外側でのコンクリートへの応力分布を良くすること
ができ、局所的な損傷が防止され、全体の変形履歴性状
が改善される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の柱・梁接合部の一実施例を示す斜視図
である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図２のイ−イ線に沿った側断面図である。

【図４】別の実施例を示す平面図である。

【図５】さらに別の実施例を示す平面図である。

【図６】図５のロ−ロ線に沿った断面図である。

【図７】応力線図である。

【図８】従来の柱・梁接合部の斜視図である。

【符号の説明】

１ 鉄骨梁 １ａ ウェブ １ｂ フランジ ２ 囲み板 ２ａ 溶接部分 ２ｂ Ｌ状角部分 ３ スチフナ ４ シャーコネクター

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部
   の周囲を囲み板により取り囲んだ構造において、該囲み
   板内の鉄骨梁のウェブおよびフランジにスチフナを一体
   的に付設したことを特徴とする柱・梁接合部の補強構
   造。
2. 【請求項２】 上記スチフナを同じ鉄骨梁につき複数枚
   並設したことを特徴とする請求項１に記載の柱・梁接合
   部の補強構造。
3. 【請求項３】 上記囲み板のＬ状角部分の内側にシャー
   コネクターを付設したことを特徴とする請求項１または
   ２に記載の柱・梁接合部の補強構造。