JP2567117B2 - 制御棒駆動機構の取扱方法およびその取扱装置 - Google Patents

制御棒駆動機構の取扱方法およびその取扱装置

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JP2567117B2 JP2006825A JP682590A JP2567117B2 JP 2567117 B2 JP2567117 B2 JP 2567117B2 JP 2006825 A JP2006825 A JP 2006825A JP 682590 A JP682590 A JP 682590A JP 2567117 B2 JP2567117 B2 JP 2567117B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は沸騰水型原子炉に設けられる制御棒駆動機構
の取扱方法およびその取扱装置に関する。
(従来の技術) 軽水炉としての沸騰水型原子炉(以下、BWRとい
う。)では、原子炉の運転(起動・停止)や炉出力制御
を制御棒を炉心部に出し入れすることにより行なってお
り、この制御棒の制御は特開昭60−179690号公報等に示
す制御棒駆動機構(以下、CRDという。)で行なってい
る。
従来のCRD1は、第6図に示すように、BWR2の原子炉圧
力容器3の下部(下鏡部)に多数設けられている。原子
炉圧力容器3は炉水で満される一方、内部に炉心シュラ
ウド4が設けられ、このシュラウド4内に多数の燃料集
合体5を装架した炉心部6が構成される。燃料集合体5
は炉心支持板7および上部格子板8に支持されて立設さ
れる。燃料集合体5を収容した炉心シュラウド4はシュ
ラウドヘッド9により覆われる一方、このシュラウドヘ
ッド9の上方に気水分離器10が設けられ、この気水分離
器10で分離された蒸気は蒸気乾燥器(図示せず)で乾燥
され、乾き蒸気にされる。
また、4体一組の燃料集合体5によって形成される横
断面十字状の間隙内に制御棒11が下方の制御棒案内管12
から案内されるようになっており、この制御棒11は電動
式CRD1により駆動制御される。このCRD1は原子炉圧力容
器3の底壁(下鏡部)を貫通して固定された制御棒駆動
機構ハウジング(以下、CRDハウジングという。)13
と、このCRDハウジング13内に下方から挿入固定された
制御棒駆動機構本体(以下、CRD本体という。)14とか
ら構成され、CRD1の駆動により、炉心部6に制御棒11の
挿入あるいは引抜きが行なわれ、炉出力を制御するよう
になっている。
電動式CRD1は、第7図に示すように、CRDハウジング1
3内にアウタチューブ15を収容しており、このアウタチ
ューブ15内にガイドチューブ16が収容される。アウタチ
ューブ15の下端にはCRD本体フランジ17が一体に取付け
られ、またガイドチューブ16の内周側には中空ピストン
18が上下動可能に収容されている。この中空ピストン18
上端にはカップリング部材19が取付けられており、この
カップリング部材19を介して前記制御棒11と連結されて
いる。また中空ピストン18下端には大径に形成されたド
ライブピストン20が一体に取付けられている。
一方、中空ピストン18内にはボールねじ軸21が貫通配
置されており、このボールねじ軸21はシャフト22を介し
て電動機23から回転駆動力が伝達されるようになってい
る。このボールねじ軸21にはボールナット24が螺合して
いる。上記シャフト22部分は前記CRD本体フランジ17に
下方から固定されたスプールピース25に収容されてお
り、上記電動機23はこのスプールピース25下方に固定さ
れている。またシャフト22とスプールピース25との間に
はシールボックス26を介してシール部材27が装着されて
いる。
ところで、CRD1には原子炉出力を所定の状態に調整維
持するために制御棒11を比較的低速で挿入あるいは引抜
く動作(以後シム動作と称す)と、非常時に原子炉を緊
急停止するために制御棒11を高速で挿入する動作(以下
スクラム動作と称す)とがある。シム動作は、電動機23
を駆動させてシャフト22を介してボールねじ軸21を回転
させる。このボールねじ軸21の回転によりボールナット
24が上昇しドライブピストン20を介して中空ピストン18
を上昇させる。これによって制御棒11が低速で所定量挿
入される。逆に制御棒11を引抜く場合には電動機23を逆
回転させる。電動機23の逆回転によるボールねじ軸21も
逆回転してボールナット24が下降し同時に中空ピストン
18も下降する。これによって制御棒11は低速で所定量が
引抜かれる。
またスクラム動作はCRDハウジング13のフランジ13Aお
よびCRD本体ハウジング17に形成された高圧水供給ポー
ト28を介して図示しない高圧水注入機構より高圧水が供
給され、その高圧力が中空ピストン18に作用する。この
高圧力の作用により中空ピストン18は前記ボールナット
24から離脱して高速で上昇し制御棒11を炉心内に高速で
挿入する。これで原子炉の緊急停止がなされる。
次に、CRD本体14をCRDハウジング13内に挿入して取付
ける作業について説明する。まず第8図に示すようにCR
D本体14からスプールピース25および電動機23を切離し
た状態で、CRD本体14をCRD取扱装置30を使ってCRDハウ
ジング13内に下方より挿入する。そしてCRD本体14を中
空ピストン18上端のカップリング部材19を介して制御棒
11と連結させる。すなわち第9図および第10図に示すよ
うにカップリング部材19には4枚の係合板19Aが設けら
れている。一方、制御棒11の下端にはカップリング穴31
が形成されており、このカップリング穴31の内周面には
上記4枚の係合板19Aに嵌合する4つの凹部31Aが形成さ
れている。これら係合凹部31Aに上記4枚の係合板19Aが
それぞれ嵌合するように位相合せをした状態でCRD本体1
4をCRDハウジング13内に挿入する。
そしてカップリング部材19の4枚の係合板19Aがカッ
プリング穴31内に完全に挿入された後もその挿入状態を
より確実にするために制御棒11を若干持ち上げた状態と
なるまでCRD本体14をCRDハウジング13内に挿入する。そ
の際、CRD本体フランジ17のシールリング29を保護する
ために、CRDハウジング13のフランジ13AとCRD本体フラ
ンジ17との間に隙間を設けた状態でCRD本体14の挿入を
停止する。このとき、CRD本体14の上部ガイド33の上面
はCRDハウジング13の上端内面に当接するようになって
おり、上部ガイド33とガイドチューブ16との間に装着さ
れたバッファー用の皿ばね列34は若干圧縮された状態に
ある。
次に第11図および第12図に示すようにCRD本体14を45
゜回転させてカップリング部材19とカップリング穴31と
を係合させてCRD本体14と制御棒11とを連結する。この
連結後に、CRD本体14をCRDハウジング13内にさらに挿入
し、図示しない取付ボルトによりCRDハウジングフラン
ジ13AとCRD本体14のフランジ17を連結してCRD本体14をC
RDハウジング13に固定する。その後、スプールピース25
および電動機23を順次取付ける。CRD本体14をCRDハウジ
ング13から取外す作業は、CRD本体14の取付作業と全く
逆の手順で行なえばよい。
(発明が解決しようとする課題) 従来のCRD取扱装置においては、CRD本体14をCRDハウ
ジング13内に挿入し、取付けたり、取外す場合、カップ
リング部材19の4枚の係合板19Aが制御棒11のカップリ
ング穴31内に完全に挿入された後もその挿入状態をより
確実なものとするためにCRD本体14をCRDハウジング13内
にさらに挿入し、制御棒11が若干浮上するように持ち上
げている。そのため制御棒11と制御棒案内管12とによる
シール機能が一時的に損なわれ、制御棒11と制御棒案内
管12との間から炉水が漏れる。また、CRD本体14を取外
す場合にも、制御棒11を若干持ち上げた状態で操作する
ため、CRD本体14の取付時と同様、制御棒11と制御棒案
内管12との間から炉水が漏れる。
漏れた炉水は上部ガイド33の上面側を介してアウタチ
ューブ15とCRDハウジング13との間を流下して、CRDハウ
ジング13のフランジ13AおよびCRD本体フランジ17との間
から例えば、約3kg/cm2の圧力で流出する。そのためCRD
本体14の取付、取外しの作業性が悪化し作業に長時間を
要したり、各種機器に防水対策を施した設計をしなけれ
ばならなかったり、また、作業現場の汚染、作業員の被
曝が心配されていた。
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、CR
D本体をCRDハウジング内に取付けあるいは取外しする際
の炉水の洩れを確実に防止して作業性の向上および作業
時間の短縮を図るとともに各種機器への防水処置を無用
にして設備の簡素化を図り、さらに作業員の被曝低減を
図ることが可能な制御棒駆動機構の取扱方法およびその
取扱装置を提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明に係る制御棒駆動機構の取扱方法は、上述した
課題を解決するために制御棒駆動機構本体を制御棒駆動
機構ハウジングに取付けたり、取外す制御棒駆動機構の
取扱方法において、制御棒駆動機構本体を制御棒駆動機
構ハウジングに取付け、取外しを行なう際に、制御棒駆
動機構取扱装置に備えた緩衝支持装置で制御棒駆動機構
本体の中空ピストン組立部を独立的に支持し、前記緩衝
支持装置による支持により、制御棒を制御棒案内管に常
時着座させた状態で中空ピストン組立部の上端部に設け
たカップリング部材と制御棒とのカップリングあるいは
分離(アンカップリング)を行なう方法である。
また、上述した従来技術の課題を解決するために、本
発明の制御棒駆動機構の取扱装置は、原子炉圧力容器の
底壁に貫通固定された制御棒駆動機構ハウジングと、こ
のハウジングに取付け、取外し可能に固定される制御棒
駆動機構本体と、この制御棒駆動機構本体を制御棒駆動
機構ハウジングに取付けたり、取外す際、前記制御棒駆
動機構本体を昇降自在に支持する制御棒駆動機構取扱装
置本体とを有し、前記制御棒駆動機構本体は制御棒駆動
機構ハウジング内に収容されたアウタチューブと、この
アウタチューブ内に上下動可能に収容され、上端部に制
御棒とカップリング可能なカップリング部材を設けた中
空ピストン組立部と、この中空ピストン組立部を昇降さ
せるボールねじ組立部を備えた駆動機構とを有する制御
棒駆動機構の取扱装置において、前記制御棒駆動機構取
扱装置本体は、前記中空ピストン組立部およびボールね
じ組立部を独立的に支持する緩衝支持装置を備え、前記
制御棒駆動機構取扱装置本体は、制御棒駆動機構本体全
体を支持するとともに前記緩衝支持装置が中空ピストン
組立部およびボールねじ組立部を支持したものである。
さらに、本発明の制御棒駆動機構の取扱装置において
は、上述した課題を解決するために、緩衝支持機構は支
持ばねを備えた弾性支持機構であり、上記支持ばねのば
ね力は中空ピストン組立部およびボールねじ組立部の総
重量より強く、この総重量に制御棒の重量を組み合せた
重量より弱く設定したものである。
(作用) 本発明に係る制御棒駆動機構の取扱方法およびその取
扱装置においては、制御棒駆動機構本体(CRD本体)を
制御棒駆動機構ハウジング(CRDハウジング)に取付け
たり、取外す際、CRD本体を制御棒駆動機構取扱装置本
体(CRD取扱装置本体)に支持するとともに、CRD本体の
中空ピストン組立部およびボールねじ組立部を緩衝支持
装置により独立的に支持可能としたから、CRD本体を取
付けたり、取外す作業を制御棒が制御棒案内管に着座し
てシールされた状態で行なうことができるので、炉水が
漏洩するのを未然にかつ確実に防止することができる。
また、制御棒駆動機構(CRD)取扱装置本体に緩衝支
持装置を設けたので、この緩衝支持装置により中空ピス
トン組立部やボールねじ組立部を緩衝的に支持でき、カ
ップリング部材と制御棒とのカップリングや分離の際の
衝撃を緩和でき、信頼性が向上する。
さらに、緩衝支持装置が支持ばねを備えた弾性支持機
構で構成し、上記支持ばねのばね力を中空ピストン組立
部およびボールねじ組立部の総重量より強く、この総重
量に制御棒を組み合せた重量より弱く設定すると、CRD
本体をCRDハウジングに取付けたり、取外す際、CRD取扱
装置本体はCRD本体全体を支持するとともに、弾性支持
機構がCRD本体の中空ピストン組立部およびボールねじ
組立部を支持するので、中空ピストン上端のカップリン
グ部材が制御棒に強く押し付けられる。しかし、このと
き、制御棒案内管に着座している制御棒を持ち上げるこ
とがなく、炉水は着座面でシールされるので、炉水の漏
洩を防止できる。
炉水の漏洩を防止できるので作業性が向上し、作業時
間の短縮を図ることができるとともに、各種機器に防水
対策を施す必要がないので、設備の簡略化が図れる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例について添付図面を参照して
説明する。
軽水炉としての沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器3の
底部(下鏡部)3aに取付けられる制御棒駆動機構(CR
D)40の構成は、第6図および第7図に示される制御棒
駆動機構1と実質的に異ならないので、同じ部分には同
一符号を付して説明を省略する。
このCRD40の制御棒駆動機構本体(CRD本体)41をCRD
ハウジング13に挿入して取付けたり、CRDハウジング13
から取外す制御棒駆動機構取扱装置(CRD取扱装置)44
は第1図に示すように構成されている。この取扱装置44
は、CRD本体フランジ17に係合可能なCRD取扱装置本体45
を有し、この取扱装置本体45上に、スプールピース25お
よび電動機23(第7図参照)を取り外したCRD本体41を
昇降自在に支持している。
CRD取扱装置本体45は頂部にCRD本体41の下方突出部41
aを収納可能な凹所46が形成され、この凹所46中央部に
ガイドシャフト47が立設される。ガイドシャフト47には
コイルばね等の支持ばね48と、ボールねじ軸21の下端カ
ップリング部21aと係合可能な受座49が介装され、この
受座49の飛び出しは、ガイドシャフト47の頂部ヘッド47
aにより規制される。上記支持ばね48および受座49によ
り、ボールねじ組立部50および中空ピストン組立部51を
弾力的に支持する緩衝支持装置としての弾性支持機構52
を構成している。ボールねじ組立部51はボールねじ軸21
とボールナット24とにより主に構成され、中空ピストン
組立部51は中空ピストン18とこの中空ピストン18と一体
のドライブピストン20と中空ピストン18の上端に設けら
れたカップリング部材19とにより構成される。
弾性支持機構52の支持ばね48のばね力(ばね強さ)
は、CRD40のカップリング部材19、中空ピストン18、ド
ライブピストン20、ボールねじ軸21およびボールナット
24の総重量より強く、かつこの重量に制御棒11の重量を
加えた加算総重量より弱くなるように設定されている。
すなわち、支持ばね48は中空ピストン組立部51やボール
ねじ組立部50をほとんど変形することなく支持し、これ
に制御棒11の重量が加わったとき、変形して弾性的に支
持している。
CRD40は定期検査時にCRD本体41がCRDハウジング13か
ら着脱される。このCRD本体41をCRDハウジング13に挿入
して取付けたり、またCRDハウジング13から取外す場
合、CRD本体41はCRD取扱装置本体45により下部が支持さ
れる。このとき、スプールピース25や電動機23(第7図
参照)はCRD本体41から取外された状態にセットされ
る。
CRD取扱装置本体45でCRD本体41下部を支持すると、取
扱装置本体45に設けられた弾性支持機構52は中空ピスト
ン組立部51やボールねじ組立部50を支持するが、弾性支
持機構52は中空ピストン組立部51やボールねじ組立部50
のみを支持するときは、支持ばね48が弾性変形をほとん
どせず、剛性的に支持され、制御棒11の荷重が加わった
ときは支持ばね48は大きな荷重を受けて弾性変形し、弾
力的に支持される。
このように、CRD本体45をCRDハウジング13から取外し
たり、取付けたりする場合には、CRD本体41の下部をCRD
取扱装置本体45で支持すると同時に弾性支持機構52によ
り中空ピストン組立部51とボールねじ組立部50をCRD本
体41から独立的に支持し、CRD本体41をCRDハウジング13
の所定位置まで挿入したとき、弾性支持機構52はカップ
リング部材19を制御棒11に強く押し付けた状態にセット
される。これにより、カップリング部材19は制御棒11と
の結合が、確実に行なわれているか否かを正確に判断す
ることができる。また、弾性支持機構52に制御棒11の荷
重が加わると、支持ばね48が変形し、制御棒11を制御棒
案内管12から持ち上げることがないので、原子炉圧力容
器12内の炉水の漏洩を有効的かつ確実に防止することが
できる。
次に、制御棒駆動機構12のCRD本体41をCRDハウジング
13に挿入し、取付ける作業を説明する. CRD本体41をCRDハウジング13に挿入固定する際には、
従来と同様、CRD本体41をCRD取扱装置本体45上に支持し
て、CRD本体41の軸心をCRDハウジング13の軸心と合せる
一方、第9図および第10図に示すように、カップリング
部材19の4枚の係合板19A(係合板は複数枚でよく、2
枚であっても、3枚であってもよい。)と制御棒11のカ
ップリング穴31の係合凹部31Aとの位相合せを行なう。
このとき、スプールピース25や電動機23はCRD本体41か
ら取外されている。
その後、第1図に示すように、CRD本体41をCRDハウジ
ング13内に挿入して4枚の係合板19Aを係合凹部31Aに嵌
合させつつスライドさせ、カップリング部材19をカップ
リング穴31内に挿入する。このとき、弾性支持機構52は
CRD本体41の中空ピストン組立部51およびボールねじ組
立部50を支持しており、中空ピストン20上端のカップリ
ング部材19は制御棒案内管122に着座して制御棒11を強
く押し付けた状態となるが、支持ばね48は制御棒11を持
ち上げることはない。この状態で、カップリング部材19
は制御棒11下端部のカップリング穴31に正確に嵌合せし
められる。
この状態から、次にCRD本体41を45度回転させてカッ
プリング部材19をカップリング穴31の係合凹部31Aから
シフトさせることにより、適正なカップリング状態(結
合状態)となる。
続いて、CRD本体41をCRDハウジング13に図示しない取
付ボルトにより固定し、さらに、CRD本体フランジ17に
スプールピース25および電動機23を順次取付け、CRD40
の取付けが完了する。
CRD本体41をCRDハウジング13内に挿入して取付けると
き、CRD取扱装置本体45に設けられた弾性支持機構52に
より、制御棒11が制御棒案内管12から持ち上げられるこ
とがないので、原子炉圧力容器3内の炉水が漏洩するの
を確実に防止できる。
次に、CRD本体41をCRDハウジング13から取外す場合に
は、取付時の作業手順と全く逆の手順にて作業を進めて
いけばよい。このときも、CRD本体41の取付作業と同様
に、制御棒11が制御棒案内管12から持ち上げられること
がないので、炉水が漏洩するのを確実に防止できる。
このように、CRD取扱装置本体45に弾性支持機構52を
組み込み、弾性支持機構52のばねのばね強さを適当な値
に設定することにより、CRD本体41をCRDハウジング13に
取付けたり、取外す着脱作業時に、弾性支持機構52の支
持ばね48により、中空ピストン組立部51およびボールね
じ組立部50を支持してカップリング部材19を制御棒11に
強く押し付けるが、制御棒11を持ち上げることがないの
でカップリング部材19と制御棒11は確実にカップリング
され、カップリングが正確に行なわれているか否かを判
別できるとともに炉水の漏洩を確実に防止できる。
このため、従来のCRD1の取扱装置のように、炉水の漏
洩により作業性が悪化し、作業時間が長引くことがな
く、作業性の向上、作業時間の短縮を図ることができ、
さらに作業現場の環境汚染防止や、この防止により作業
員の被曝低減を図ることができる。また、各種機器に炉
水漏洩対策のための防水処置を施すことがなく、設備の
簡略化を図ることができる。
なお、CRDの取扱装置の一実施例においては、弾性支
持機構52にコイルばね等の支持ばね48を備えた例を説明
したが、CRD本体41をCRDハウジング13から取外すことに
着目した場合、ボールナット24をさらに下降させて中空
ピストン18が制御棒11に吊設状態に支持し、この支持状
態でCRD本体45を45度回転させてカップリング部材19を
制御棒11のカップリング穴31から分離させてもよく、こ
の場合には支持ばの48がなくても炉水の漏洩を防止でき
る。しかし、この場合、制御棒11からカップリング部材
19が分離したとき、中空ピストン18がボールナット24上
に落下し、CRD40の健全性が問題となるので、支持ばね4
8はCRD40の健全性を保つ緩衝支持機構として機能するの
で設置することが望ましい。この場合、支持ばね48のば
ね強さは、中空ピストン組立部51やボールねじ組立部5
0、制御棒11の重量関係に必ずしも限定されない。
次に、本発明に係る制御棒駆動機構の取扱装置の第2
実施例を第2図を参照して説明する。
この実施例に示されたCRD40の取扱装置44Aは、CRD取
扱装置本体45に弾性支持機構52Aを備え、この弾性支持
機構52Aを構成するコイルばね等の支持ばね48は、その
ばね上下端部をばね受座49,50に当接させ、支持させた
ものである。他の構成は、第1図に示すものと異ならな
いので同一符号を付して説明を省略する。
また、第3図に示された制御棒駆動機構の取扱装置44
BはCRD取扱装置本体45に緩衝支持機構として流体シリン
ダ装置55を設け、この流体シリンダ装置55から突出する
ピストンロッド56の先端に受座57を設け、この受座57で
中空ピストン組立部51およびボールねじ組立部50を支持
させるようにしてもよい。
さらに、第4図および第5図に示すように緩衝支持装
置としての弾性支持機構52Aや流体シリンダ装置55にロ
ードセル等の荷重検出手段59を組み込み、この荷重検出
手段59で弾性支持機構52Aや流体シリンダ装置52Bに作用
する荷重を検出しつつCRD本体41のCRDハウジング13への
着脱作業を進めるようにしてもよい。
〔発明の効果〕
以上に述べたように本発明に係る制御棒駆動機構の取
扱方法およびその取扱装置においては、CRD本体をCRDハ
ウジングに取付けたり、取外す際、CRD本体をCRD取扱装
置本体で昇降自在に支持するとともに、CRD本体の中空
ピストン組立部およびボールねじ組立部を緩衝支持装置
により独立的に支持可能としたから、CRD本体の取付・
取外作業を、制御棒が制御棒案内管に着座している状態
で行なうことができ、炉水の漏洩を未然にかつ確実に防
止できる。このため、作業性が向上し、作業時間の短縮
を図ることができるとともに、作業現場の環境汚染防止
を図ることができて作業員の被曝低減を図ることがで
き、各種機器に防水対策を施す必要がないので、設備の
簡素化を図ることができる。
また、CRD取扱装置本体に緩衝支持装置を設けたの
で、この支持装置により中空ピストン組立部およびボー
ルねじ組立部を緩衝的に支持でき、カップリング部材と
制御棒とのカップリングや分離の際の衝撃荷重を緩和で
き、信頼性が向上する。
さらに、緩衝支持装置が支持ばねを備えた弾性支持機
構で構成され、上記支持ばねのばね力を中空ピストン組
立部およびボールねじ組立部の総重量より強く、この総
重量に制御棒を組み合せた重量より弱く設定すると、CR
D本体をCRDハウジングに取付けたり、取外す際、CRD取
扱装置本体はCRD本体全体を支持するとともに、弾性支
持機構がCRD本体の中空ピストン組立部およびボールね
じ組立部を支持するので、中空ピストン上端のカップリ
ング部材が制御棒に強く押し付けられるが、このとき、
制御棒案内管に着座している制御棒を持ち上げることが
なく、炉水は着座面でシールされるので、炉水の漏洩を
より効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る制御棒駆動機構の取扱装置の一実
施例を示す図、第2図ないし第5図は本発明に係る制御
棒駆動機構の取扱装置の第2実施例ないし第5実施例を
それぞれ示す部分断面図、第6図は従来の一般的な沸騰
水型原子炉の概略構成を示す縦断面図、第7図は従来の
制御棒駆動機構の縦断面図、第8図は従来の制御棒駆動
機構の取扱装置を示す縦断面図、第9図はカップリング
部材を制御棒下部カップリング穴内に挿入した状態を示
す断面図、第10図は第9図のX−X線に沿う断面図、第
11図はカップリング部材を制御棒下部穴内に挿入した後
45゜回転させて両者を係合させた状態を示す断面図、第
12図は第11図のXII−XII線に沿う断面図である。 1……制御棒駆動機構、3……原子炉圧力容器、6……
炉心部、11……制御棒、12……制御棒案内管、13……制
御棒駆動機構ハウジング、18……中空ピストン、19……
カップリング部材、21……ボールねじ軸、23……電動
機、24……ボールナット、25……スプールピース、31…
…カッブリング穴、40……制御棒駆動機構(CRD)、41
……制御棒駆動機構本体、44,44A,44B……制御棒駆動機
構取扱装置、45……制御棒駆動機構取扱装置本体、47…
…ガイドシャフト、48……支持ばね、49,50,57……受
座、52,52A……弾性支持機構、55……流体シリンダ装
置、56……ピストンロッド、59……荷重検出手段。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御棒駆動機構本体を制御棒駆動機構ハウ
    ジングに取付けたり、取外す制御棒駆動機構の取扱方法
    において、制御棒駆動機構本体を制御棒駆動機構ハウジ
    ングに取付け、取外しを行なう際に、制御棒駆動機構取
    扱装置に備えた緩衝支持装置で制御棒駆動機構本体の中
    空ピストン組立部を独立的に支持し、前記緩衝支持装置
    による支持により、制御棒を制御棒案内管に常時着座さ
    せた状態で中空ピストン組立部の上端部に設けたカップ
    リング部材と制御棒とのカップリングあるいは分離を行
    なうことを特徴とする制御棒駆動機構の取扱方法。
  2. 【請求項2】2.原子炉圧力容器の底壁に貫通固定された
    制御棒駆動機構ハウジングと、このハウジングに取付
    け、取外し可能に固定される制御棒駆動機構本体と、こ
    の制御棒駆動機構本体を制御棒駆動機構ハウジングに取
    付けたり、取外す際、前記制御棒駆動機構本体を昇降自
    在に支持する制御棒駆動機構取扱装置本体とを有し、前
    記制御棒駆動機構本体は制御棒駆動機構ハウジング内に
    収容されたアウタチューブと、このアウタチューブ内に
    上下動可能に収容され、上端部に制御棒とカップリング
    可能なカップリング部材を設けた中空ピストン組立部
    と、この中空ピストン組立部を昇降させるボールねじ組
    立部を備えた駆動機構とを有する制御棒駆動機構の取扱
    装置において、前記制御棒駆動機構取扱装置本体は、前
    記中空ピストン組立部およびボールねじ組立部を独立的
    に支持する緩衝支持装置を備え、前記制御棒駆動機構取
    扱装置本体は、制御棒駆動機構本体全体を支持するとと
    もに前記緩衝支持装置が中空ピストン組立部およびボー
    ルねじ組立部を支持したことを特徴とする制御棒駆動機
    構の取扱装置。
  3. 【請求項3】緩衝支持機構は支持ばねを備えた弾性支持
    機構であり、上記支持ばねのばね力は中空ピストン組立
    部およびボールねじ組立部の総重量より強く、この総重
    量に制御棒の重量を組み合せた重量より弱く設定したこ
    とを特徴とする請求項2記載の制御棒駆動機構の取扱装
    置。
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