JP2565909Y2 - トナー飛散防止フィルム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、電子写真複写機のクリ
ーニング装置、現像装置等に使用されるトナー飛散防止
フィルムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に電子写真複写機は、光導電性感光
層を外周面に有する回転ドラムを備え、このドラムを回
転させながら外周面を一様に帯電させ、次いで、露光し
て感光ドラムの感光層に被複写像の静電潜像を形成して
トナーを付着させ、得られたトナー像を複写紙へ転写し
て複写を行うものである。また、転写が終了した後のド
ラム表面にはなおトナーが付着しているためこれを除去
することが必要であり、このトナーの除去を、図１に示
すような、クリーニング装置によって行っている。この
クリーニング装置は、矢印方向に回転している感光ドラ
ム１の外周面に当接させて配設したクリーニングブレー
ド２と、このクリーニングブレード２の下方の感光ドラ
ム１の回転上流方向に配設したトナー飛散防止フィルム
３と、クリーニングブレード２、トナー飛散防止フィル
ム３等を収容したトナー回収容器４とから構成されてい
る。このクリーニング装置では、感光ドラム１が回転
し、その外周面上をクリーニングブレード２が摺動して
付着トナーをかき落としている。このかき落としたトナ
ーはトナー回収容器４内にトナー飛散防止フィルム３に
より案内され回収される。即ち、トナー飛散防止フィル
ム３はその上端縁がクリーニングブレード２より下方の
位置で感光ドラム１の外周面に対接するように傾斜して
配置されている。

【０００３】上記のトナー飛散防止フィルムとしては、
感光ドラムとの間に空隙が生ずることがないよう、弾性
があり、また感光ドラムとの密着性がよいこと、しかも
感光層を傷つけることのないよう感光ドラムとの対接力
が調整できること、さらにトナーがスムーズに回収容器
に回収できるようトナーとの摩擦係数が小さいこと等の
諸性能が要求される。そしてこれらの諸要求を満たすも
のとして、熱可塑性ウレタンからなるトナー飛散防止フ
ィルムが知られている（実公平１ー２１３２３号公報参
照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上記熱可塑
性ウレタンからなるトナー飛散防止フィルムは、電子写
真複写機を長期間使用すると、オゾン等により変色した
り、加水分解により硬度が低下したり、粘着性が強くな
ることから感光ドラムへの押付力が低下したり、表面が
粘着化してしまう等、耐久性に問題があった。

【０００５】本考案は、上記従来技術の有する実情に鑑
みてなされたもので、耐オゾン性、耐加水分解性で関連
づけられる感光ドラムへの押付力の低下、表面の粘着化
に対する耐久性を改善できるトナー飛散防止フィルムを
提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで本考案によるトナ
ー飛散防止フィルムは、一般式が

【化２】 で示される（但し、ＰＡ；ポリアミド、ＰＥ；ポリエー
テルである）熱可塑性ポリアミドエラストマーからな
り、厚さが０．０５mm〜０．３mm、ＪＩＳＡ硬さが７５
〜９５であることを特徴とする。

【０００７】本考案に係るトナー飛散防止フィルムにお
いて、熱可塑性ポリアミドエラストマーとしたのは、耐
オゾン性、耐水性がよく、耐久性にすぐれた組成となる
ことと、感光ドラムとの間に空隙が生ずることがないよ
うに弾性があり、かつ感光ドラムとの密着性がよいこ
と、しかも感光層を傷つけることのないよう感光ドラム
との対接力が調整できること、さらにトナーがスムーズ
に回収容器に回収できるようトナーとの摩擦係数が小さ
いこと等の諸性能の要求を満足させるためである。

【０００８】厚さを０．０５mm〜０．３mmとしたのは、
０．３mmを超えると、腰が強すぎて感光感光ドラム表面
を傷つけるおそれがあるとともに、感光ドラムに対する
押付力の調整が難しく、０．０５mm未満では厚さを一定
に保つことは困難で特に薄膜でかつ均一な厚さを得るこ
とが難しいとともに、適当な押付力を得ることができな
いからである。

【０００９】硬度をＪＩＳＡ硬さ７５〜９５としたの
は、ＪＩＳＡ硬さ（ＪＩＳＫ6301）が７５未満では感光
ドラムとの間に空隙が生じやすく、また、弾性が弱く、
ドラムとの密着性が悪く、さらにトナーがスムーズに回
収箱に回収できないからである。一方、ＪＩＳＡ硬さが
９５を超えると、押付力が大きくなりすぎ、感光層を傷
つけるおそれがあるとともに、感光ドラムとの対接力の
調整が困難となる。本考案のトナー飛散防止フィルムを
形成する熱可塑性ポリアミドエラストマーには、可塑剤
を配合しないのが好ましい。熱可塑性ポリアミドエラス
トマー中の可塑剤のブリードによる、感光ドラム表面の
汚染を防止するためである。なお、本考案のトナー飛散
防止フィルムは上記したクリーニング装置だけでなく、
現像装置のトナー飛散防止にも使用できるものである。

【００１０】

【作用・効果】本考案のトナー飛散防止フィルムは、熱
可塑性ポリアミドエラストマーから形成されているの
で、オゾンによる劣化、変色に対する耐久性が従来のト
ナー飛散防止フィルムよりも良好になる。また、耐加水
分解性も従来のトナー飛散防止フィルムに比べ改善さ
れ、硬度の低下に対する耐久性が良好になる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の実施例を説明する。熱可塑性
ポリアミドエラストマー（大日本インキ製グリラック
ス）を用いて可塑剤なしで厚さ０．２mmのフィルムを成
形し、耐オゾン性、加水分解性、汚染性評価の測定を、
次のように行って、その結果を表１に示した。比較のた
め、ポリカプロラクトン ウレタン及びポリエチレンア
ジペート ウレタンのエラストマーから厚さ０．２mmの
フィルムに成形したトナー飛散防止フィルムについて、
それぞれ比較例１及び２として、上記実施例と同様に耐
オゾン性等を測定し、その結果を併せて表１に示した。

【００１２】耐オゾン性は、オゾン２０ｐｐｍの雰囲気
で、１２時間保持して変色を調べた。加水分解性は、８
０℃の温水中に２４時間浸漬し、ＪＩＳＡ硬さの変化を
調べた。汚染性評価は、フィルムを感光層に２４時間接
触させた後の、感光層の変化とコピー画質を調べること
により行った。

【００１３】

【表１】

【００１４】以上、表１から明らかなように、本考案に
よるトナー飛散防止フィルムは、オゾン中で曝しても変
色がなく、耐オゾン性にすぐれる。加水分解性について
も、ＪＩＳＡ硬さの変化がなく、安定しており、初期の
性能を維持し耐久性に優れている。また、感光ドラムの
汚染性評価においても、感光ドラムにトナーが付着する
のはなかった。なお、熱可塑性ポリアミドエラストマー
をメーカーの異なるもの（ダイセルヒュルス製ダイアミ
ド−ＰＡＥ、東レ製ペバックス等）を用いて成形したト
ナー飛散防止フィルムによっても上記と同様の結果が得
られた。

【００１５】

【考案の効果】上記のように、本考案によれば、感光ド
ラムとフィルムとの間に空隙が生ずることがないように
弾性があり、密着性がよく、しかも感光層を傷つけるこ
とのないよう感光ドラムとの対接力が調整でき、さらに
感光ドラムを汚染することなくトナーがスムーズに回収
容器に回収できるようトナーとの摩擦係数が小さいとと
もに、オゾンに対する耐久性がよく、硬度の低下に対す
る耐久性がよいトナー飛散防止フィルムを得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のトナー飛散防止フィルムを説明するた
めのクリーニング装置の説明図である。

【符号の説明】

１ 感光ドラム ２ クリーニングブレード ３ トナー飛散防止フィルム

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一般式が 【化１】 で示される（但し、ＰＡ；ポリアミド、ＰＥ；ポリエー
   テルである）熱可塑性ポリアミドエラストマーからな
   り、厚さが０．０５mm〜０．３mm、ＪＩＳＡ硬さが７５
   〜９５であることを特徴とするトナー飛散防止フィル
   ム。