JP2563932Y2 - クラッチライニング材 - Google Patents

クラッチライニング材

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JP2563932Y2
JP2563932Y2 JP1990070356U JP7035690U JP2563932Y2 JP 2563932 Y2 JP2563932 Y2 JP 2563932Y2 JP 1990070356 U JP1990070356 U JP 1990070356U JP 7035690 U JP7035690 U JP 7035690U JP 2563932 Y2 JP2563932 Y2 JP 2563932Y2
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clutch
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修一 藤本
利夫 三浦
宏典 鈴木
康宰 鈴木
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Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車両等において動力の伝達を制御するクラ
ッチ装置に関し、特に駆動部材と被動部材とを押圧係合
するクラッチ装置におけるクラッチライニング材であっ
て、石綿を使用しないものに関する。
従来技術 駆動部材と被動部材とを押圧係合するクラッチ装置に
おいて接合部に用いられるクラッチライニング材として
は石綿が一般に使用されるが、石綿を使用しないもので
は、石綿の代用品として硫酸バリウムBaSO4および炭酸
カルシウムCaCO3が重量比で20〜43%配合され、バイン
ダーとしてフェノールレジンが3〜13%、添加剤として
フェノール繊維および生ゴムが16〜17%配合されたもの
が使用されていた。
解決しようとする課題 上記従来のクラッチライニング材の温度に対する摩擦
係数の特性をグラフに表わすと第1図に示す如くであ
る。
何ら熱履歴を有しない新品のクラッチライニング材の
場合は、実線で示すようにクラッチアウター温度が常温
から150℃において間圧係数μは0.45程度であり、温度
が150℃を超えて上昇すると配合成分中の有機物がガス
を発生したり劣化を起しフェードを誘発し摩擦係数μは
低下して0.3近辺を上下する。
ところが半クラッチ状態等ですべり摩擦により生じる
熱で一度でも加熱され熱履歴を受けると、炭化によりラ
イニング材が硬化し、常温から150℃程度までは摩擦係
数μは新品の場合より下がって0.3程度の低い値を示す
が、さらに温度が上昇すると、摩擦係数μの値は急激に
上昇して0.5を越え、その後若干低下するものの再び上
昇して0.6程度までに至る。
以上のようにクラッチライニング材が新品の場合と、
熱履歴を有する場合とでは特性は逆になるものの温度に
対する摩擦係数μの値の変化はともに大きく、かつ熱履
歴を受ける前後での摩擦係数の特性変化も大きいのでク
ラッチの継り具合が一定せずクラッチ感覚の変化が大き
いところがある。
また熱履歴を有するクラッチライニングの場合、高温
度で摩擦係数μを0.5を越え、0.6程度まで上昇するが、
μ=0.6ともなるとクラッチの係脱が極めて短いすべり
期間(半クラッチ期間)ののちに行なわれ、滑らかなク
ラッチ作動が困難である。
なお摩擦係数μが略0.50を越えるとクラッチの係脱に
滑らかさが失われていく。
特に自力倍力作用が働らくリーディングシュー式遠ク
ラッチの場合は、摩擦係数μが高くなると継り具合は極
めて悪くなる。
本考案はかかる点に鑑みなされたもので、その目的と
する処は、温度による摩擦係数の変化が小さいクラッチ
ライニング材を供する点にある。
課題を解決するための手段および作用 上記目的を達成するために、本考案は、駆動軸に設け
られ回転をともにする駆動部材と被動軸に設けられ回転
をともにする被動部材とを押圧係合させて動力の伝達を
行うクラッチ装置の接合部に用いられる石綿を使用しな
いクラッチライニング材において、同クラッチライニン
グ材に生ゴムおよび重量比で全体の0.1〜1.0%のカーボ
ンファイバーを配合して成型した後、同クラッチライニ
ング材の表面を350℃以上に加熱処理し、同クラッチラ
イニング材の表層部のみを炭化させたクラッチライニン
グ材とした。
本クラッチライニング材は、ゴム系配合材を有しカー
ボンファイバーを重量比で0.1〜1.0%配合して成型後表
面を350℃以上に加熱処理してクラッチライニング材の
表層部のみ炭化するものであり、ゴム系配合材を有する
ので、カーボンファイバーを低い配合に抑え成型後高温
で表層部を加熱処理して炭化することで逆フェード現象
を許容してクラッチライニング材の表層部の摩擦係数を
適当な低い値に安定化させている。
本クラッチライニング材は、表層部の加熱処理により
初期から温度変化に対して安定した摩擦係数を得ること
ができ、かつ使用に伴い表層部が摩耗すると同時に表層
部の摩擦熱が下層部に伝わり下層部の熱処理が順次行わ
れ、新たに熱処理された表層部が常に表れて逆フェード
現象を許容して安定した摩擦係数を常時得ることができ
る。
特にクラッチライニング材としてクラッチの係脱が適
度な半クラッチ状態を経て行われクラッチの継り具合を
常時安定して良好に維持することができる。
実施例 以下第2図ないし第6図に図示した本考案に係る一実
施例について説明する。
本実施例はパワーユニット式自動二輪車のクラッチ装
置に適用したものであり、第2図はパワーユニット1の
ベルトコンバータ部分の横断面図である。
クラッチシャフト2にともに回転可能に設けられたド
ライブプーリ3とドライブシャフト8に回転自在に設け
られたドリブンプーリ5との間にドライブベルト4が架
渡され、前後のプーリ3,5の径が回転数に応じて自動的
に変化して変速比を変えてクラッチインナー6に動力を
伝達する。
クラッチインナー6の回転は、自動遠心クラッチ20の
作動でドライブシャフト8に一体に取付けられたクラッ
チアウター7に伝達され、ドライブシャフト8を回転
し、ドライブシャフト8の回転はギアの噛み合いにより
カウンタシャフト9を介してファイナルシャフト10に伝
達され後輪11を回転させる。
ここに自動遠心クラッチ20のクラッチインナー6の側
面図を第3図に、そのIV−IV断面図を第4図に示す。
ドライブシャフト8に嵌着する円板状のクラッチドラ
イブプレート21に3個のクラッチウェイト23が一端をピ
ボット22を介して枢支されている。
クラッチウェイト23は、三日月状をなし、ピボット22
にクラッチサイドワッシャ24を介してサークリップ25で
係止された枢支部からクラッチアウター7の内周面に沿
うように延出しており、同クラッチウェイト23の揺動を
適当に規制するストッパーラバー26がクラッチドライブ
プレート21に突設されてクラッチウェイト23の凹部に嵌
入している。
またクラッチウェイト23とクラッチドライブプレート
21との間にはクラッチスプリング27が架設されてクラッ
チウェイト23を縮径する方向に付勢している。
かかるクラッチウェイト23の先端外周面にクラッチラ
イニング材28が張設されており、クラッチインナー6の
回転に伴ない遠心力により拡開するクラッチウェイト23
が、所定回転数以上になるとクラッチアウター7の内周
面にクラッチライニング材28が達し、両者間の摩擦力に
より動力がクラッチアウター7に伝達される。
このクラッチライニング材28は、硫酸バリウムBaS
O4、炭酸カルシウムCaCO3が20〜43%、フェノールレジ
ン3〜13%、フェノール繊維および生ゴムが16〜17%と
前記従来のクラッチライニング材と同じ成分を略同じ重
量比で配合するとともに、カーボンファイバーを重量比
で0.8%配合している。
ここにカーボンファイバーは、径が約14.5μmで長さ
が0.37mmのものが使用されている。
カーボンファイバーは、高温で処理された耐熱性・耐
摩耗性に優れた材料であり、クラッチライニング材のよ
うな複合材料に含まれることにより同性質が発揮されク
ラッチライニング材の耐熱性、耐摩耗性を向上させるこ
とができるとともに、カーボンファイバー自身が低い摩
擦係数を有するので、クラッチライニング材もと当初よ
り低目の摩擦係数を得ることができる。
第5図は、本実施例に係るクラッチライニング材28の
実験結果であり、実線が熱履歴を受ける前の新品時のも
ので、クラッチアウター7における温度に対する摩擦係
数μの変化は、120℃近辺でμが0.46程度で最も高く、1
20℃前後では減少して200℃を越えると、概ね0.3程度に
あって、全体として0.2以上で0.47以下に納まってい
る。
したがってクラッチの作動に不具合を生じないが、12
0℃近辺で若干摩擦係数は高目である。
これはクラッチライニング材28には添加剤として生ゴ
ムが配合されていて熱処理前で炭化されていないためで
ある。
しかし使用による摩擦熱によりまたは強制的に熱処理
を施すことにより、一度熱履歴を受けると、生ゴムが炭
化して120℃近辺での高目の摩擦係数を低くして温度変
化に対しより安定した摩擦係数を得ることができる。
そこで新品のクラッチライニング28の表面をヒートプ
レートを押しつけて630℃で2秒間加熱した後の実験結
果は第5図の破線で示すごとくである。
200℃以下では摩擦係数は大幅に減少しているととも
に、200℃以上では増大はしているものの、従来のカー
ボンファイバーを含まないもののように0.47を大幅に越
えて0.6程度に大きくなることはなく、カーボンファイ
バーの配合によりμを0.4以下に押えており、かつ上下
幅も小さく0.3〜0.4の適切な値で極めて安定している。
したがって半クラッチ状態が適度に介在してクラッチ
が係脱し、クラッチの継り具合が常に安定して良好であ
る。
ここにクラッチライニング材28の表面に熱処理を施す
加熱器30を第6図に示す。
クラッチウェイト23の外側面に張設されたクラッチラ
イニング材28の表面形状に沿って弯曲した当接面を有し
たヒートプレート31の内部にニクロム線32が配設されて
いる。
ニクロム線32に電流を流し発熱させてヒートプレート
31を所要温度に加熱し、所定位置に固定されたクラッチ
ウェイト23のクラッチライニング材28の表面にヒートプ
レート31を所定時間押しつけることにより容易にクラッ
チライニング材28の表面に熱処理を施すことができる。
前記実施例では、630℃で2秒間加熱したが、熱処理
温度としてはクラッチライニング材に含有されるゴム系
配合材やレジン樹脂の耐熱温度以上すなわち350℃以上
で加熱する必要がある。
またクラッチライニング材へのカーボンファイバーの
配合重量比は、クラッチ発熱量、面圧、クラッチアウタ
ーのヒートマス等により決定されるが、概ね0.1〜1.0%
の範囲内に設定される。
しかし0.1%以下であるとカーボンファイバーを含有
した効果が現われず、また1.0%を越えてカーボンファ
イバーが含有されると、摩擦係数が低くなりすぎて、半
クラッチ状態が必要以上に長くなって不具合を生じるよ
うになる。
次にカーボンファイバーを重量比で0.26%配合したク
ラッチライニング材を用いた異なる2種類の機種につい
て実験した結果を第7図および第8図に示す。
実線が熱処理前の新品についての結果であり、破線が
熱処理を施した後の結果である。
第7図の場合、熱処理前において温度が上昇するにし
たがい徐々に摩擦係数は下がっているが、全体として0.
2〜0.43の範囲内にあって変動幅が小さく、熱処理を施
すと約250℃を境いにして上下が逆転するが、250℃以下
では略0.3以上あり、250℃以上では前記実施例よりカー
ボンファイバーの配合が少ない分上昇しているが、略0.
42以下であって変動幅は0.31〜0.42と挟まって概ね安定
している。
一方第8図の例では、熱処理前の摩擦係数特性がカー
ボンファイバーを含有することで低目に抑えられ温度上
昇に伴い極めて緩やかに下降して概ね安定している。
このクラッチライニング材に熱処理を施すと、摩擦係
数曲線は温度に対して略水平となり、0.4を僅かに上下
する理想的な特性を示す。
温度変化に対して殆ど摩擦係数は変動せずクラッチア
ウター温度に関係なく常に適度な半クラッチ状態を経て
クラッチの係脱が行われる。
考案の効果 本考案は、ゴム系配合材を有するので、カーボンファ
イバーを低い配合にして成型後高温で加熱処理すること
で、摩擦係数を適切な値に安定化させることができ、ク
ラッチの係脱が適度な半クラッチ状態を経て行われ、快
適なドライバビリティを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来のクラッチライニング材の温度に対する摩
擦係数特性を示す図、第2図は本考案の一実施例の自動
二輪車のパワーユニットの一部横断面図、第3図はクラ
ッチインナーの側面図、第4図は第3図のIV-IV線断面
図、第5図は同実施例の温度に対する摩擦係数特性を示
す図、第6図は同実施例に用いられた加熱器による熱処
理方法を示す図、第7図および第8図はそれぞれ別実施
例における温度に対する摩擦係数特性を示す図である。 1……パワーユニット、2……クランクシャフト、3…
…ドライブプーリ、4……ドライブベルト、5……ドリ
ブンプーリ、6……クラッチインナー、7……クラッチ
アウター、8……ドライブシャフト、9……カウンタシ
ャフト、10……ファイナルシャフト、11……後輪、20…
…自動遠心クラッチ、21……クラッチドライブプレー
ト、22……ピボット、23……クラッチウェイト、24……
クラッチサイドワッシャ、25……サークリップ、26……
ストッパーラバー、27……クラッチスプリング、28……
クラッチライニング材、30……加熱器、31……ヒートプ
レート、32……ニクロム線。
フロントページの続き (72)考案者 鈴木 康宰 静岡県浜松市和田町631―4 (56)参考文献 特開 昭63−57930(JP,A) 特開 昭63−69833(JP,A) 特開 昭59−113038(JP,A) 特開 平2−187324(JP,A) 特公 平1−48304(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動軸に設けられ回転をともにする駆動部
    材と被動軸に設けられ回転をともにする被動部材とを押
    圧係合させて動力の伝達を行うクラッチ装置の接合部に
    用いられる石綿を使用しないクラッチライニング材にお
    いて、同クラッチライニング材に生ゴムおよび重量比で
    全体の0.1〜1.0%のカーボンファイバーを配合して成型
    した後、同クラッチライニング材の表面を350℃以上に
    加熱処理し、同クラッチライニング材の表層部のみを炭
    化させたことを特徴とするクラッチライニング材。
JP1990070356U 1990-07-03 1990-07-03 クラッチライニング材 Expired - Fee Related JP2563932Y2 (ja)

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