JP2562555C - - Google Patents

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JP2562555C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、操向自在な前輪への伝動系に後輪駆動速度と略等しい駆動速度で伝
動する標準駆動状態と、後輪駆動速度より大きい駆動速度で伝動する増速駆動状
態とに切換えるクラッチ式の前輪変速装置を備えた農用トラクタに関する。 【0002】 【従来の技術】 農用トラクタの前輪を前述のように標準駆動状態と増速駆動状態とに切換操作
するクラッチ式の前輪変速装置を備えた構造のものとして、従来では、 [1] 標準駆動系のクラッチと、増速駆動系のクラッチとを、ともに咬合式クラッ
チで構成したもの。(例えは特開昭56‐60728号公報) [2] 標準駆動系のクラッチと、増速駆動系のクラッチとを、ともに油圧式の摩擦
クラッチで構成したもの。(例えば特開昭54‐120138号公報) 上記[1],[2]に示される技術が知られているが、これらの従来の技術には次のよ
うな問題があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 即ち、前記[1]で示した咬合式クラッチを用いた場合には、構造的には割合に
簡素なもので、高トルクを伝動効率良く伝達できる点では有用なものであるが、
その反面、この種の前輪増速を行う構成の農用トラクタの前輪変速装置に咬合式
クラッチを用いたことによる特有の問題点がある。 つまり、農用トラクタの前輪のトレッド面には突起状のラグが多数設けられて
いる為に、前輪増速作用を用いての旋回時には前輪の駆動力及び地面からの抵抗
により、ラグが弾性変形した状態で前輪の駆動力が地面に伝えられる。これによ
り、旋回終了時に前輪が増速駆動状態から標準駆動状態に切換わる途中の中立状
態時には、弾性変形していたラグが元の形に戻ろうとして前輪を若干量だけ回転
させる。 従って、旋回終了時に咬合式クラッチの咬合が外れる際(前記中立状態に相当
)に、前輪のラグの弾性変形による前述のような逆駆動力によって、咬合式クラ
ッチの前輪側の咬合部が回転駆動されることになる。これにより、咬合式クラッ
チにおける前輪側の咬合部の先端とエンジン側の咬合部の先端とが衝突し合う、
いわゆるギヤ鳴り現象が生じて、咬合部が破損する場合がある。 更に、咬合式クラッチの場合はギヤとギヤの噛み合いなので、標準駆動状態か
ら増速駆動状態に切換わるときに、増速ギヤの咬合により前輪が急速に増速され
て小回りをするからハンドルが取られてスムースなハンドル操作ができず、運転
に不快感を与える。 又、前記[2]で示した油圧式の摩擦クラッチを両駆動系に用いた構造のもので
は、前述の咬合式クラッチを両駆動系に用いた構造の場合のように、増速駆動状
態から標準駆動状態への切換に際してギヤ鳴りを招いたり、ギヤの係脱を伴うた
めにクラッチの断続操作そのものの不円滑さを招き易い、などという虞れがない 点で有利であるが、コスト高となり易いものであり、そのうえ、所要伝達トルク
に見あう多数の摩擦板や油圧操作機構の配設のために、割合に大きな配設用スペ
ースを確保する必要があった。 摩擦クラッチを用いるのに、上記のような油圧式のものを用いずに、手動操作
式のもので構成することにより、この装置のコストダウンを図ることも考えられ
なくはないが、この場合には、農用トラクタが、その作業時に充分なトルク伝達
が可能であるように摩擦板の押圧付勢力を大きく設定しなければならないもので
あることから、クラッチの入り切りに大きな操作力を要し、重くて扱い難くなる
という別の問題を生じる。 又、摩擦板を用いることには変わりがないので、やはり、大きな配設用スペー
スを要するものであった。 更に、この種の摩擦クラッチの、手動式、駆動式の共通する問題点として、所
要伝達トルクを得るために充分な摩擦面積を確保する必要があって、咬合式クラ
ッチに比べて大型となり易く、比較的大きな配設スペースを要し、又、咬合式ク
ラッチよりは部品点数も多く、コスト高となり易いものであった。 本発明は、前述のように前輪を標準駆動状態と増速駆動状態とに切換操作自在
に構成するにあたり、全体として、配設スペースが少なく、かつ構造簡単で、低
コストで製作できるものでありながら、農用トラクタとしての作業時に充分なト
ルクを伝達でき、かつ、前記前輪変速の切換えが操向操作時に自動的に行われる
とともに、ステアリング操作に対してショックがなくスムースなステアリング操
作ができ、しかも、油圧系の故障時においても四輪駆動が行えるようにした農用
トラクタを提供することにその目的がある。 【0004】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、操向自在な前輪への伝
動系に後輪駆動速度と略等しい駆動速度で伝動する標準駆動状態と、後輪駆動速
度より大きい駆動速度で伝動する増速駆動状態とに切換えるクラッチ式の前輪変
速装置を備えた農用トラクタであって、 機体の操向操作に伴って標準駆動状態から増速駆動状態に切換える連係手段を 設けるとともに、 前記前輪変速装置の標準駆動系のクラッチを咬合式クラッチに構成し、増速駆
動系のクラッチを摩擦クラッチに構成し、 かつ、前記両クラッチは、前記摩擦クラッチを押圧するピストン部と前記咬合
式クラッチに咬合するクラッチ係合部とを有する一つのシフト部材と、前記増速
駆動系の摩擦クラッチが切り側へ付勢され、かつ、標準駆動系の咬合式クラッチ
が入り側へ付勢されるように、前記シフト部材を付勢する付勢手段とを備えて構
成されていることであり、その技術手段を講じたことによる作用ならびに効果は
次の通りである。 【0005】 【作用】 (a)運転者が畦際などで操向操作をすると、シフト部材のクラッチ係合部が咬
合式クラッチに咬合する、前輪の駆動速度が後輪の駆動速度と略等しい駆動速度
で伝動する標準駆動状態から、シフト部材のピストン部が摩擦クラッチを押圧す
る、前輪の駆動速度が後輪駆動速度より大きい駆動速度で伝動する増速駆動状態
に自動的に切換わる。そして、農用トラクタにおいて、前輪を増速駆動状態に変
速操作する必要が生じるのは、圃場作業においては畦際で小回転半径で方向転換
を行う場合であるが、このような場合は作業機を使用していないので、農用トラ
クタとしては大きな作業負荷が作用することはない。つまり、農用トラクタが、
耕耘作業やトレンチャー作業などの高負荷作業を行うときは、機体の急旋回は行
わない直進状態または緩旋回状態であるので、前輪は標準駆動系の咬合式クラッ
チを介して駆動され、高トルクが伝達可能な状態にある。そして、この場合は、
伝達トルクは高くても、機体の走行速度はきわめて低速であるため、咬合クラッ
チの入り切りによるショックは割合に少ない。 従って、この標準駆動系のクラッチとしては、低コストで、かつ、配設スペー
スも少なく構成できる咬合クラッチを採用しても、クラッチ断続の際のショック
少なく用いることができる。 (b)そして、前述のような畦際での急旋回時には、高負荷作業を伴わないので
、前輪に高トルクを伝達する必要はなく、増速駆動系の摩擦クラッチを介して駆
動 される際に、その摩擦クラッチの面圧を、クラッチ操作の行い難い強大なものに
設定する必要がない。 従って、増速駆動系のクラッチとしては、摩擦クラッチを用いても、増速駆動
系での所要トルク自体が割合に小さいので、摩擦クラッチの所要面積も割合に少
なくて済み、この点で、摩擦クラッチを採用するものでありながら、全体を小型
化して所要スペースの少ない構成とし易い。 (c)前述の畦際での急旋回は、変速切換時点における動力伝達面の滑りを許す
摩擦クラッチによって行うので、入り切りに際してのショックの少ない円滑な変
速が行われ、またハンドルが取られることもないから不快感もなくスムースに快
適なハンドル操作ができる。 (d)高トルクの必要な標準駆動系では咬合式クラッチを用いるものでありなが
ら、前輪と後輪との駆動速度に大きな差が生じる前輪増速を行うための増速駆動
系では摩擦クラッチを用いるため、旋回終了時に前述のような前輪ラグの弾性復
帰による逆駆動力が生じても、摩擦クラッチにおいて一時的な滑りが生ずるだけ
であり、ギヤ鳴り現象なしに逆駆動力が吸収される。 (e)前記両クラッチは、前記増速駆動系の摩擦クラッチが切り側へ付勢され、
標準駆動系の咬合式クラッチが入り側へ付勢されるように、一つのシフト部材が
付勢手段によって付勢されているので、油圧系の故障などで摩擦クラッチの操作
ができない場合にも、付勢手段の付勢作用で標準駆動系の咬合式クラッチは入り
状態とすることができる。したがって、前輪の増速は行えなくとも四輪駆動状態
は現出することができる。 【0006】 【発明の効果】 イ.前記a,bの作用から、構造的にはきわめて簡素なものである咬合式クラッ
チと、比較的小型の摩擦クラッチとで、標準駆動系と増速駆動系との各クラッチ
を、構造簡単に、かつ、低コストでしかも、全体として配設スペースの少ない状
態で構成できる。 ロ.前記a〜cの作用から、農用トラクタとしての作業に必要な充分大きなトル
クを伝達できながら、操向操作に伴う前輪増速状態と標準状態との自動切換えの ときに、クラッチ断続によるショック少なく用いることのできる農用トラクタを
得られた。 ハ.前記dの作用から、簡素な構成で前輪増速状態から標準状態への切換えに際
してのギヤ鳴りを避けられる。 ニ.油圧系に故障が生じても付勢手段の作用で前輪変速装置を標準駆動状態にし
て、作業走行に必要な四輪駆動での走行状態を確保することが可能となる。 【0007】 【実施例】 以下、図面に基いて本発明の実施例を説明する。 図4に示すように、左右一対の操向型の前輪1,1及び後輪2,2を各々駆動
自在に支持した機体フレーム3にエンジン4、主クラッチ5、ミッションケース
6及び操縦部7を搭載し、機体後部にロータリー耕耘装置等の各種作業装置を昇
降自在に連結するための上下に揺動駆動自在なリフトアーム8及び作業装置に動
力を伝達するPTO軸9を設けて四輪駆動型の農用トラクタを構成している。 【0008】 次に農用トラクタの動力伝達系統及び前輪変速装置10について詳述すると、
図3及び図4に示すように、エンジン4からの動力は主クラッチ5、動力伝達軸
11を介してミッションケース6内の主変速装置(図示せず)及び副変速装置1
2に伝達され変速操作されて後輪2,2を駆動すると共に、副変速装置12のギ
ヤ12aから分岐した動力は前輪変速装置10内の前輪変速ミッション部14に
送られ変速操作されて、前輪出力軸15を介して前輪デフ機構1aに送られて、
前輪1,1を駆動するように構成している。 【0009】 次に前記前輪変速ミッション部14について詳述すると、図1、図2、図3に
示すように、副変速装置12のギヤ12aと咬合うギヤ13aを伝動軸13に固
定し、この伝動軸13に2種の出力ギヤ16a,16bを固定している。更に、
この出力ギヤ16aと咬合う受動ギヤ17aを前輪出力軸15に遊転外嵌し、出
力ギヤ16aと咬合う受動ギヤ17bを前記前輪出力軸15に遊転外嵌されたク
ラッチケース18aに固定すると共に、受動ギヤ17aとクラッチケース18a の間に後述する摩擦クラッチ18のピストン部材を兼ねるシフト部材19をスプ
ライン構造にて前輪出力軸15に一体回動及び軸芯方向にスライド可能に取付け
ている。 このシフト部材19は受動ギヤ17a側に係合部19a、受動ギヤ17b側に
ピストン部19bを持ち、クラッチケース18aとの間に多板式の摩擦クラッチ
18、シフト部材19と前記受動ギヤ17aとの間に咬合式クラッチ20を構成
している。 そして、このシフト部材19は、前記摩擦クラッチ18を切り側へ付勢すると
ともに咬合式クラッチ20を入り側へ付勢するように、前輪出力軸15との間に
バネ24を介装して設けてあり、このバネ24が、前記増速駆動系の摩擦クラッ
チ18を切り側へ付勢するとともに標準駆動系の咬合式クラッチ20を入り側へ
付勢する付勢手段を構成している。 【0010】 図1は前記バネ24の付勢力によってシフト部材19の係合部19aと受動ギ
ヤ17aの係合部17cとを咬合せて咬合式クラッチ20が入り状態となってい
る状態を示しており、動力は出力ギヤ16a、受動ギヤ17a、シフト部材19
を介して前輪出力軸15に標準駆動状態で伝達される。 前記シフト部材19はシフター21及びレリーズワイヤ22を介して人為操作
具23の一例であるサイドブレーキペダル23,23と連動連結されている。こ
のレリーズワイヤ22は、図1のように、アウターワイヤが一方のサイドブレー
キペダル23に、インナーワイヤが他方のサイドブレーキペダル23に接続され
ており、片方のサイドブレーキペダル23のみを踏み操作するとインナーワイヤ
が引き操作されてシフト部材19が図2に示すように摩擦クラッチ18側へ移行
する。 そして、この移行したシフト部材19におけるピストン部19bの押圧作用に
よって摩擦クラッチ18が入り状態となり、動力は出力ギヤ16b、受動ギヤ1
7b、摩擦クラッチ18を介して前輪出力軸15に増速駆動状態で伝達される。 【0011】 以上のようにシフター21、レリーズワイヤ22及びバネ24により、シフト 部材19とサイドブレーキペダル23,23とを連動連結する連係手段が構成さ
れているのである。このようにしてサイドブレーキペダル23の片側を踏み操作
して後輪2,2の片側を止め、前輪1,1を増速駆動状態とすることによって、
農用トラクタを小回転半径で旋回させることができるのである。 【0012】 尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該
記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】 【図1】 前輪変速装置を標準駆動側に操作している状態を示す側面図 【図2】 前輪変速装置を増速駆動側に操作している状態を示す側面図 【図3】 前輪変速装置及び副変速装置付近の概略平面図 【図4】 農用トラクタの全体側面図 【符号の説明】 1 前輪 10 前輪変速装置 18 摩擦クラッチ 20 咬合式クラッチ 22 連係手段 24 付勢手段

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 操向自在な前輪(1),(1)への伝動系に後輪駆動速度と略等しい駆動速度
    で伝動する標準駆動状態と、後輪駆動速度より大きい駆動速度で伝動する増速駆
    動状態とに切換えるクラッチ式の前輪変速装置(10)を備えた農用トラクタで
    あって、 機体の操向操作に伴って標準駆動状態から増速駆動状態に切換える連係手段(
    22)を設けるとともに、 前記前輪変速装置(10)の標準駆動系のクラッチを咬合式クラッチ(20)
    に構成し、増速駆動系のクラッチを摩擦クラッチ(18)に構成し、 かつ、前記両クラッチ(18),(20)は、前記摩擦クラッチ(18)を押
    圧するピストン部(19b)と前記咬合式クラッチ(20)に咬合するクラッチ
    係合部(19a)とを有する一つのシフト部材(19)と、前記増速駆動系の摩
    擦クラッチ(18)が切り側へ付勢され、かつ、標準駆動系の咬合式クラッチ(
    20)が入り側へ付勢されるように、前記シフト部材(19)を付勢する付勢手
    段(24)とを備えて構成されている農用トラクタ。

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