JP2560776B2 - 可変容量式斜板型圧縮機 - Google Patents

可変容量式斜板型圧縮機

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JP2560776B2
JP2560776B2 JP63058690A JP5869088A JP2560776B2 JP 2560776 B2 JP2560776 B2 JP 2560776B2 JP 63058690 A JP63058690 A JP 63058690A JP 5869088 A JP5869088 A JP 5869088A JP 2560776 B2 JP2560776 B2 JP 2560776B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は斜板型圧縮機の容量制御に関するものであ
り、例えば自動車用空調装置用の冷媒圧縮機として使用
して有効である。
〔発明の背景〕
本発明者らは先に斜板型圧縮機の容量制御方式とし
て、シャフトにより回転駆動される斜板がスプールの軸
方向移動に応じてその傾きが減少し、ピストンのストロ
ークを可変するという構成を提案した。特に斜板の中心
をスプールの移動に同期して変位させるという構成と
し、そのためピストンの一方側の作動室ではデッドボリ
ュームの大幅な増加があるものの、他方側の作動室では
デッドボリュームの大幅な増加を伴うことなく徐々に容
量を低下させるようにする旨提案した。
従って、この本発明者らが先に提案した可変容量式斜
板型圧縮機では、スプールの変位に応じて圧縮機の容量
が連続的に制御されることになる。
〔発明が解決しようとする課題〕
この圧縮機は、第1図に示すように、制御圧室200空
間の圧力を連続的に制御することによってスプール30の
ストローク量を良好に制御することができる。
しかしながら、本発明者等の実験検討によれば、スプ
ール30のストロークが小さな領域においては、制御圧室
200の圧力を下げていってもスプールが良好に変位しな
い状態があることが確かめられた。
これは、第2図に示すようにスプール30のストローク
比が0.3、すなわちスプール30のストローク量が10mmと
した場合、変位量0mm〜3mmまでの領域においてはスプー
ル30を第1図中左方向に押圧するのに要するスラスト荷
重が負となるからである。
このスプールの変位量が最小値近傍の状態は、第1作
動室50内に残っている圧力が減少している。一方、第2
作動室60側はデッドスペースが生じないため、ピストン
7の往復移動に応じて吸入圧と吐出圧との間で圧力が変
動することになる。従って、このストロークが小さな状
態であっても、第2作動室60内の圧力は吐出圧Pdまで上
昇する。
次に、このスプール30のストロークが小さい状態にお
けるスラスト荷重についてさらに詳細に説明する。第3
図はこの状態においてスプール30に加わる荷重状態を示
したものである。図中FPSiはピストン7の圧縮に伴う斜
板10押さえ力の総和を示す。また図中FPNはピン80に加
わる力を示す。またPsは吸入室74内の圧力を示し、Pcは
制御圧室200内の圧力を示す。さらにこの圧力PsおよびP
cによって発生するスラスト荷重をFPSおよびFPCで示
す。さらに図中FB,FS,FOはそれぞれ球面支持部107と斜
板10との間の摩擦力、シャフト1とリアシャフト40との
間の摩擦力及びスプール30とハウジング内面135との間
の摩擦力を示す。この第3図より明らかなように、ある
容量で作動している状態からスプール30をさらにその変
位量が小さくなる方向、換言すれば図中右方向に変位さ
せるためには FPSi+FPS>FPN+FPC+FB+FS+FO ……(1) が成立しなければならない。
ところが圧縮機の吐出容量が小さな状態では第1作動
室50側の圧力があまり増加せず、一方第2作動室60側は
吐出圧まで上昇可能であるため、FPSiが小さな値となっ
ている。従って上述の不等式が成り立たず、容量を下げ
られないことになる。
この不等式(1)を成り立たせるためには、式の右辺
の第1項(FPN)の値を小さくするか、または式の左辺
の第1項(FPSi)の値を大きくすることが考えられる。
しかしながら、FPNは吸入室74と制御圧室200との差圧
によって生じられるものであり、この値を小さくするこ
とは構造上困難である。すなわち制御圧室200内の圧力P
cを吸入圧Ps以下にすることは困難である。さらにFB,F
S,FUはそれぞれ摩擦力であり、各部の摩擦係数を低下さ
せることには限界がある。また、FPSiを変化させること
は可能であるが、その為には、圧縮機側に特別な機構を
追加しなければならず、実用上の困難を伴うことがあ
る。
そこで、本発明者等は、上記圧縮機について更に検討
を加え、他に不等式(1)に影響を及ぼす要因がないか
考察した。その結果、本発明者らは、斜板の遠心力によ
るモーメント及びピストンの慣性力によるモーメントが
不等式に影響を与えることを見出した。即ち、第4図に
示すように、ピストン7の慣性力FPによるモーメントMp
は斜板10をより傾斜させる方向に働くのに対し、斜板10
の遠心力FSによるモーメントMsは斜板10の傾斜を小さく
する方向に働くことに本発明者等は着目した。尚、図中
Mgはシリンダ内圧力FPSiによるモーメント、Mcはスプー
ル30によるモーメントFPNを示す。
そこで、本発明者等は、まず、斜板10の遠心力Fsによ
るモーメントMsを計算した。第5図のようにZ軸とシャ
フト1中心軸を一致させ、かつ、Y軸が斜板10に含まれ
るようにして摩擦をとって計算したところ、Z軸のまわ
りに斜板10が角速度ωで回転するときの、斜板10全体に
よるY軸まわりのモーメントMsは、 となる。但し、ここで、R:斜板10の外周半径、R0:斜板1
0の内周半径、H:斜板10の厚さ、β:斜板10の傾斜角、
ρ:斜板10の密度、g:重力加速度である。
一方、第6図のように第5図と同じ座標系において、
ピストン7の慣性力FpによるモーメントMpを計算したと
ころ、等間隔にピストン7がn本配置したときのモーメ
ントは、 となる。ここで、L:シリンダピッチ円半径、Wp:シュー1
8,19を含んだ状態におけるピストン7の重量である。
上記の(2)式と(3)式とを対比すれば、共に角速
度ωを含んでいるので、両式は角速度ωの大きさに拘
わらず比較可能であることが認められる。また、不等式
(1)が問題となるのは、スプールストロークの小さい
状態、即ち斜板10の傾斜角βが小さい状態であり、この
状態では、sinβcosβと、tanβとはほとんど同一とな
る。従って、(2)、(3)式は、斜板10の傾斜角βの
大きさに拘わらず比較することが可能であることが認め
られる。本発明は、このような本発明者等の検討結果に
基づいて案出されたもので、圧縮機吐出容量が最小とな
る部位にスプールが確実に変位できるようにすることを
目的とする。
又、本発明は、圧縮機の運転状態に応じて、例えば圧
縮機の高速回転時等には、吐出容量を最小とすることが
できるようにすることを目的とする。
〔構成及び作動〕
上記目的を達成するため、本発明では、斜板遠心力に
よるモーメントMsを、特に斜板傾斜角βの状態において
もピストン慣性力によるモーメントMpより大きくすると
いう構成を採用する。即ち、 とする。
これにより、本発明では、上記(1)式の不等式を緩
和でき、圧縮機の吐出容量を小容量側へ良好に制御可能
となる。
〔実施例〕
以下本発明の一実施例を図に基づいて述べる。第1図
は可変容量式斜板型圧縮機の縦断面図である。アルミニ
ウム合金製のフロントハウジング4、フロントサイドプ
レート8、吸入弁9、フロントシリンダブロック5、リ
アシリンダブロック6、吸入弁12、リアサイドプレート
11及びリアハウジング13はスルーボルト2によって一体
的に固定された圧縮機の外殻を成している。シリンダブ
ロック5,6には第7図に示すようにシリンダ64(641〜64
5)が夫々5ヶ所、各シリンダ64が互いに平行になるよ
うに形成されている。図示しない自動車走行用エンジン
の駆動力を受けて回転するシャフト1はベアリング3を
介してフロントシリンダブロック5に回転自在に軸支さ
れている。また、シャフト1に加わるスラスト力(図中
左方向へ働く力)はスラスト軸受15を介してフロントシ
リンダブロック5で受けシャフト1の図中左方向への動
きを規制している。
シャフト1の後端はベアリング14を介してリアハウジ
ング13に回転自在に軸支されている。シャフト1の後端
に働くスラスト力(図中右方向へ働く力)はスラスト軸
受116を介してスプール30で受けている。スプール30は
リアシリンダブロック6の円筒部65及びリアハウジング
13の円筒部135内に軸方向摺動可能に配されている。
斜板10の中央部には球面部107が形成され、この球面
部107は揺動可能な状態で球面支持部405に支持されてい
る。球面支持部405はシャフト1上に摺動自在に支持さ
れている。斜板10の側面にはスリット105が形成されて
おり、一方、シャフト1のうち斜板10のスリット105と
対向する面には平板部165が形成されている。そして、
平板部165がスリット105内壁に面接触するようにして配
置されることにより、シャフト1に与えられた回転駆動
力を斜板10に伝えるものである。
また、斜板10両面側にはシュー18及びシュー19が摺動
自在に配設されている。一方、フロントシリンダブロッ
ク5のシリンダ64及びリアシリンダブロック6のシリン
ダ64内にはピストン7が摺動可能に配されている。上述
のようにシュー18及び19は斜板10に対し、摺動自在に取
り付けられている。またシュー18及び19はピストン7の
内面に対し、回転可能に係合している。従って、斜板10
の回転を伴う揺動運動は、このシュー18及び19を介しピ
ストンに往復運動として伝達される。尚、シュー18,19
は斜板10上に組み付けられた状態で、外面が同一球面上
にくるように形成されている。
前記シャフト1の平板部165には長溝166が設けられて
おり、また、斜板10にはピン通し孔が形成されている。
シャフト1の平板部165は斜板10のスリット105に配され
た後、ピン80及び止め輪によりピン通し孔とシャフト1
の長溝166とに係止される。この長溝166内のピン80の位
置により斜板10の傾きが変わるのであるが、傾きが変わ
ると共に斜板中心(球面支持部405中心)の位置も変わ
る。すなわち、第1図中右側の第2作動室60において
は、斜板10の傾きが変わってピストン7のストロークが
変化しても、ピストン7の作動室60側の上死点は殆ど変
わらずデッドボリュームの増加が実質的に生じないよう
に長溝166が設けられている。一方、図中左方向の第1
作動室50では斜板の傾きが変わると共にピストン7の上
死点は変化するため、デッドボリュームも変化する。
本例では上述したように斜板10の傾斜角が変動して
も、ピストン7の第2作動室60側の上死点位置が変動し
ないような形状に長溝166が形成されている。従ってこ
の長溝166は厳密には曲線状となるが、実際の形式に当
たってはほぼ直線の長溝で近似できることになる。さら
に本例では長溝166の形式により平板部165の形状が過大
となることがないように、長溝166はシャフト1の軸線
状に配設されている。このように長溝166をシャフト1
の軸線上に形成し、平板部165を小型化することは平板
部165がピストン7の内側に配設されるタイプの斜板型
圧縮機においては特に有効である。
図中符号21は軸封装置であり、シャフト1を伝って冷
媒ガスや潤滑オイルが外部へ洩れるのを防いでいる。図
中符号24は作動室50,60に開口し、吐出室90,93と連通す
る吐出口であり、この吐出口24は、吐出弁22によって開
閉される。吐出弁22は弁押さえと共に図示しないボルト
によりフロントサイドプレート8及びリアサイドプレー
ト11に固定されている。図中符号25は作動室50,60と吸
入室72,74とを連通する吸入口で、吸入弁9によって開
閉される。
図中符号400は制御圧空間200内圧力を制御するための
制御弁である。制御弁400の一方は低圧導入通路97によ
りリア側の吸入空間74と結ばれている。また、他方は絞
り99及び高圧導入通路96を介して吐出空間93と結ばれる
と共に、制御圧通路98を介して制御圧室200と結ばれて
いる。
図中フロント側の吐出空間90は、シリンダブロック5
に形成された吐出通路により吐出ポートに導かれ、又、
リア側の吐出空間93はシリンダブロック6に形成された
吐出通路により吐出ポートに導かれている。吐出ポート
は外部配管95により連結されるため、吐出空間90と吐出
空間93内圧力は同一圧力である。またフロント側の吸入
空間72は吸入通路71によりハウジング中央部に形成され
た吸入空間70に導かれ、同様にリア側の吸入空間74も吸
入通路73により吸入空間70に導かれている。
以上説明したとおり、本例圧縮機の構成は本発明者等
が先に提案したものと同様となっているが、本例では、
斜板10の遠心力に伴うモーメントMsがピストン7の慣性
力に伴うモーメントMpより大きくなるよう、斜板10の形
状(R,R0,H)材質(ρ)及びピストン7の配置位置
(L)、重量(Wp)を定めている。即ち、本例では、 となるように斜板10、ピストン7及びシュー18,19が定
められている。
次に、上記構成よりなる圧縮機の作動について述べ
る。図示しない電磁クラッチが接続され、シャフト1に
エンジンからの駆動力が伝えられると圧縮機は起動す
る。
この起動が、圧縮機の停止後長時間経過した後に行わ
れた場合には、冷凍サイクル内の圧力が均圧化している
ことにより吸入室74と吐出室93との間に大きな圧力差は
生じなくなっている。従って、制御圧室200内の制御圧
と吸入室74内の圧力との間にも大きな差はなく、スプー
ル30はスプリング900の付勢力により第1図中右方向に
変位している。
この状態では球面支持部405も第1図中右方向に最大
変位していることとなり、斜板10の傾斜角は最小となっ
ている。従って、斜板の傾斜に伴う揺動量も最小とな
り、ピストン7の往復ストロークも最小である。
このような状態でシャフト1が回転を開始すると、シ
ャフト1の回転は斜板10を介してピストン7を往復駆動
することになる。このピストン7の往復移動に伴い作動
室60内で冷媒の吸入、圧縮、吐出が行われることにな
る。
そしてこの場合、リア側の作動室60とフロント側の作
動室50との圧力差に基づく力がピストン7およびシュー
18,19を介して斜板10に加わることになる。特に斜板10
は球面支持部405によって揺動自在に支持されており、
かつスリット105と平板部165との嵌合によりシャフト1
の回転力を受けるようになっているため、ピストン7に
加わる力が斜板10の傾斜角を減少させる方向にモーメン
トとして作動することになる。
例えば第7図に軸線X上にピン80が位置している状態
では、第1シリンダ空間641に配設されているピストン
からは斜板10に対し傾斜角を変動させるモーメントは発
生しない。しかしながら第2乃至第5のシリンダ空間64
2,643,644,645に配設されたピストン7からは、斜板10
の傾斜角を減少させる方向に回転モーメントが発生す
る。この回転モーメントは、ピン80周りに生ずるモーメ
ントによって受けられることになる。またこのピストン
7により発生する回転モーメントは、球面支持部405に
対し押圧力を加えることになる。
その結果、球面支持部405およびスプール30が図中右
方向に変位し、斜板10はその傾斜角を小さくする。た
だ、斜板10はシャフト1の長溝166にピン80によって規
制されているため、斜板10は傾きを減少すると共に、斜
板10の中心にある球部405に対し図中右方向に力を与
え、球部405を右方向へ移動させる。球面支持部405に働
く図中右方向の力はスラスト軸受16を介してスプール30
に伝えられ、スプール30はリアハウジング13の底部に当
たるまで移動する。この状態では圧縮機の吐出容量が最
小となる。
そして、図示されない吸入ポート(冷凍サイクルの蒸
発器につながる)より吸入される冷媒ガスは、中央部の
吸入空間70へ入り、次いで吸入通路73を通り、リア側の
吸入室74へ入る。その後、ピストン7の吸入行程におい
て、吸入弁12を介して吸入口25より作動室60内へ吸入さ
れる。吸入された冷媒ガスは圧縮行程で圧縮され、所定
圧まで圧縮されれば吐出口24より吐出弁22を押し開いて
吐出室93へ吐出される。高圧の冷媒ガスは吐出通路を通
り、吐出ポートより冷凍サイクルの図示しない凝縮器に
吐出される。
この際、フロント側の第1の作動室50はデッドボリュ
ームが大きいため、リア側の第2作動室60よりも圧縮比
が小さく、第1作動室50内の冷媒ガスの圧力が吐出空間
90内圧力(リア側第2作動室60の吐出圧力が導かれてい
る)よりも低く、フロント側第1作動室50での冷媒ガス
の吸入、吐出作用は行われない。
圧縮機の起動時には、上述したように圧縮機吐出容量
を最小容量とする。しかし冷凍サイクルより要求される
圧縮機の能力が高い場合には、吸入圧力も設定圧力より
高くなり、それに応じ制御弁400は制御圧通路98と低圧
導入通路97との間を遮断する。その状態では制御圧室20
0は絞り99を介し、高圧導入通路96と連通している。従
って、このように低圧導入通路97との間が遮断された状
態では、制御圧室200には高圧導入通路96より受ける吐
出圧の影響が大きくなり、制御圧室200内の圧力は上昇
してくる。
そのため、スプール30に対し、圧力差により図中左方
向へ働く力(制御圧室200と吸入空間74との圧力差によ
る)は圧縮機の回転に伴い次第に上昇する。そして、こ
の力が前述した球面支持部405を図中右方向へ押す力に
打ち勝つと、スプール30は次第に図中左方向へ移動し始
める。そしてシャフト1の長溝166とピン80の作用によ
り斜板10はその回転中心(球面支持部405)を図中左方
向へ移動しつつその傾きを大きくしてゆく。更に制御圧
室200内圧力が上がってゆくと、スプール30はその肩部3
05がリアサイドプレート11に当たるまで図中左方向へ移
動し、最大容量状態を実現する。この状態では、図示さ
れない吸入ポートより吸入される冷媒ガスは中央の吸入
空間70に入り、吸入通路71及び73を通ってそれぞれ吸入
室72及び74流入する。そして、吸入行程では吸入口25よ
り吸入弁9及び12を介して、それぞれ作動室50及び60へ
入り、次いでピストン7の変位と共に圧縮され、吐出口
24より吐出弁22を介して、それぞれ吐出空間90及び93へ
入り、吐出通路91及び94を通り吐出ポート92及び95より
吐出され、外部配管で合流するものである。この状態で
は作動室50及び作動室60共に冷媒ガスの吸入、吐出作用
を行っている。
ここで、本例ではスプール30を変位させるための高圧
圧力を吐出室93の下部より採るようにしているため、こ
の制御圧力により同時に可変機構の潤滑が行われること
になる。即ち、吐出室の下部には圧縮機の潤滑油が高濃
度で貯えられることとなっているので、この部位より制
御圧を導入すれば、高濃度に潤滑油を含む冷媒がスプー
ル30側へ供給されることになり、スプール30等の摺動が
より円滑となる。
また、第11図、第12図に示すように制御弁400を介し
て吐出室93下部とシャフト1後端部60とを結ぶ給油通路
601を設けるようにしてもよい。これにより、圧縮機の
摺動部、回転部の潤滑がより円滑となる。
第8図中実線aは本発明による可変容量式斜板型圧縮
機のピストンストロークと圧縮機容量との関係を表す図
である。本例による容量制御方式は斜板10の傾きを変え
ることにより、ピストン7のストロークを変えると共に
斜板10の中心位置をも変えるため、リア側第2作動室60
ではピストンストロークの減少によるデッドボリューム
の増加は殆どない。そのため、一点鎖線bに示すよう
に、ピストンストロークに応じて吐出容量は漸減する。
逆にフロント側第1作動室50ではピストンストロークの
減少につれてデッドボリュームが増大するものであり、
デッドボリュームの増加により圧縮比が低下し、吐出容
量は第8図中破線cで示すように急激に減少する。そし
て、フロント側作動室50での最高圧力(吐出圧力)が作
動室60での吐出圧力よりも低くなった時点(第8図中d
点)でフロント側作動室50の吸入、吐出作用が行われな
くなり、リア側作動室60だけで冷媒ガスの吸入、圧縮、
吐出作用が行われる。
なお、このピストンストロークはスプール30の移動量
に殆ど比例するものであり、第1図中スプール30が図中
右方向へ行ききった状態を0,図中左方向へ行ききった状
態をlとすれば第8図のようにスプールの移動量と圧縮
機容量の関係を見ることができる(L∝l)。
さて、第8図中実線部aが本発明による圧縮機の容量
変化特性であるが、スプール30の移動量l〜e区間にお
いては、容量は実線aの如く変化し、図中細線fのよう
にスプール移動量に対し、圧縮機容量がリニアに変化す
るものに対し勾配が急なため制御性が劣るが、スプール
変位量e〜0区間においては容量は図中実線a2の如く変
化し、勾配は細線fよりも緩やかとなり、特に低容量時
での制御性に優れるものである。
しかも、本例の圧縮機では、斜板10の遠心力に伴うモ
ーメントMsをピストン7の慣性力によるモーメントMpよ
り大きくしているため、スプール30を圧縮機最小容量側
へ確実に変位制御できる。
第9図中一点鎖線AはMp>Msとした圧縮機におけるス
プール30の変位域を示し、実線Bは本例に係るMp<Msと
した圧縮機におけるスプール30の変位域を示すが、図よ
り明らかなように、本例のものでは変位域を圧縮機の最
少容量側に拡大することができる。
しかも、本例による効果は、斜板10の回転速度が大き
くなった状態でより顕著となる。即ち、前述の(2)式
・(3)式の関係よりMs>Mpは回転速度ωに拘わらず常
に達成されるのであるが、そのモーメントの差|Ms−Mp|
は回転速度ωの増大に応じて大きくなることが認められ
る。
ここで回転速度ωが大きな状態とは圧縮機が高速回転
している状態であり、この状態では通常圧縮機に要求さ
れる吐出容量が小さくなった状態である。それゆえ、本
例の圧縮機ではこのような状態で圧縮機の吐出容量を確
実に減少させることが可能となり、その実用的価値は高
いものである。また、この圧縮機の高速回転状態は、自
動車の加速状態に符号することが多く、その様な状態で
圧縮機吐出容量を低減できるのは、自動車走行用エンジ
ンに加わる負荷低減となり、加速性能の向上という効果
も併せて有する。
尚、上述の例では斜板10、ピストン7の材質、形状等
の工夫でMs>Mpを達成したが、必要に応じて斜板10に加
わるモーメントMsを増大する手段もしくはピストン7に
加わるモーメントMpを減少する手段を付加するようにし
てもよい。
第10図図示例では斜板10にバランスウェイト500、501
を付加して、斜板10の遠心力によるモーメントMsを大き
くするようにしている。また、ピストン7をより軽質な
材料で作成したり、肉ぬすみを設けたりして、ピストン
7の慣性力によるモーメントMpを低減してもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の圧縮機では回転に伴い
ピストン、斜板に生じるモーメントを適宜設定したた
め、圧縮機の吐出容量の制御がより確実、かつ良好に行
われるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る圧縮機の一例を示す断面図、第2
図は第1図図示圧縮機に係るスプール変位を示す説明
図、第3図第1図図示圧縮機に係る荷重状態を示す説明
図、第4図は第1図図示圧縮機に係る荷重状態を示す説
明図、第5図は第1図図示斜板に係る座標を示す説明
図、第6図は第1図図示ピストンに係る座標を示す説明
図、第7図は第1図のVII−VII線に沿う断面図、第8図
は第1図図示圧縮機の吐出容量とスプール変位との関係
を示す説明図、第9図は第1図図示圧縮機に係るスプー
ル変位を示す説明図、第10図は本発明圧縮機の他の例を
示す断面図、第11,12図は給油通路を設けた圧縮機を示
す断面図である。 1……シャフト,7……ピストン,10……斜板,50,60……
作動室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩波 重樹 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 小島 昭和 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部にシリンダ室を有するシリンダブロッ
    クと、 このシリンダブロック内に回転自在に支持されたシャフ
    トと、 このシャフトに揺動可能に連結し、シャフトと一体回転
    する斜板と、 前記シリンダ室に摺動自在に配設され、前記斜板にシュ
    ーを介して係合し、前記斜板の揺動運動を受けて前記シ
    リンダ室内を往復移動し、その両側の端部と前記シリン
    ダ室内面との間で作動室を形成するピストンと、 前記斜板の中心点位置を回転自在に支持し、前記斜板の
    傾斜角度を変位させると共に、前記斜板の前記中心点位
    置を前記シャフトの軸方向に変位させる支持部材と、 この支持部材を前記シャフトの軸方向に変位させ、前記
    斜板の傾斜角を前記斜板の回転中心位置とを変位させ、
    前記ピストンの一面側に形成された作動室においては、
    前記斜板の傾斜角変化に応じてデッドボリュームを増大
    させるようにする制御手段とを備え、 前記斜板と前記ピストン及び前記シューとの関係を 但し、R:斜板外周半径 R0:斜板内周半径 H:斜板厚さ ρ:斜板密度 WP:ピストン及びシューの重量 N:ピストン本数 L:シャフト軸線とピストン軸線との距離 としたことを特徴とする可変容量式斜板型圧縮機。
JP63058690A 1988-03-11 1988-03-11 可変容量式斜板型圧縮機 Expired - Lifetime JP2560776B2 (ja)

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