JP2560593B2 - ガスクロマトグラフ装置 - Google Patents

ガスクロマトグラフ装置

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JP2560593B2
JP2560593B2 JP4163462A JP16346292A JP2560593B2 JP 2560593 B2 JP2560593 B2 JP 2560593B2 JP 4163462 A JP4163462 A JP 4163462A JP 16346292 A JP16346292 A JP 16346292A JP 2560593 B2 JP2560593 B2 JP 2560593B2
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一也 中川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスクロマトグラフ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりガスクロマトグラフ分析では、
分析時間の短縮のため、オーブンによりカラムの温度を
徐々に上げてゆくという(プログラム)温度制御分析が
行なわれている。この場合、カラムの温度上昇につれ、
カラムを通過するガスの流速は、ガスの体積増加という
上昇の要因は多少あるものの、総体としてはカラム抵抗
の増加により低下する。そこで最近では、温度上昇によ
るガス流速の低下を補償するため、温度上昇に対応して
ガス圧力も上昇させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】カラムの分解能を表わ
す指数であるHETP(Height Equivalent to a Theor
etical Plate)値は、図3に示すように、カラムを流れ
るキャリヤの線速度vによって変化し、或る線速度vm
において最小となる(最も分解能が良くなる)。ところ
が、従来、上記のように圧力を変化させる場合には、カ
ラム温度の変化に対して、カラムを流れるガスの線速度
ではなく、ガスの質量流量が常に一定となるように計算
を行なっていた。従って、従来の方法では、分析時間の
短縮は行なわれても、分析精度の点では必ずしも最適な
ものとはなっていなかった。本発明はこのような課題を
解決するために成されたものであり、その目的とすると
ころは、カラムの温度を上昇して分析時間を短縮すると
共に、その間、常に最高の分解能で分析を行なうことの
できるガスクロマトグラフ装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明では、分析時にカラムの温度を変化さ
せるガスクロマトグラフ装置において、 a)カラム入口におけるキャリアガスの圧力を調節する
キャリアガス圧力調節手段と、 b)カラム入口のガス圧力を検出する圧力センサと、 c)カラム長さ、カラム内径、及び、カラム温度のデー
タより、カラムを流れるキャリアガスの線速度がHET
P値が最小となる値となるようなカラム入口圧を算出す
る演算手段と、 d)圧力センサによる検出値が算出カラム入口圧となる
ように、キャリアガス圧力調節手段を用いてカラム入口
圧を調節する制御手段とを備えることを特徴としてい
る。
【0005】
【作用】カラムを流れるガスの線速度は、カラム長さ・
内径、ガスの粘度及びカラム入口のガス圧力より流体力
学的に導出することができる(もちろん、更に精度を上
げるために、実験による補正を加えてもよい)。ここ
で、ガスの粘度はガスの種類毎にその温度により定まる
ため、結局、カラム長さ・内径、温度及びカラム入口圧
より線速度を求めることができる。従って逆に、カラム
長さ・内径、ガス温度及び線速度から、カラム入口のガ
ス圧力を算出することができる。演算手段cはこの算出
方法に従い、各時点のカラム温度(これはガス温度と等
しいと考えられる)、カラムの分解能が最良となる(H
ETP値が最低となる)線速度の値vm、及び、使用す
るカラムの長さ・内径のデータより、その線速度vmを
実現するためのカラム入口圧Pmを算出する。ここで、
カラム温度としては実測値を用いてもよいし、温度がプ
ログラム制御されているときには各時点での制御温度の
データを用いてもよい。制御手段dは、圧力センサb及
びキャリヤガス圧力調節手段aを用いて、このカラム入
口圧Pmを実現させる。
【0006】
【実施例】本発明の一実施例であるガスクロマトグラフ
装置を図1により説明する。本実施例のガスクロマトグ
ラフ装置はスプリット(SPL)型のものであり、その
ガス配管系統は、カラム15の入口に設けられた試料注
入部11を中心に、試料注入部11にキャリヤガスを導
入するためのキャリヤガス配管系統、試料注入部11に
注入された試料の一部をカラム15に送出することなく
排出するためのスプリット配管系統、及び、試料注入部
11のゴムが放出する成分を排出するためのパージ配管
系統の各配管系統から構成される。
【0007】キャリヤガス配管系統には、キャリヤガス
の流量U(総流量)を任意の値に制御するためのマスフ
ローコントローラ10が設けられている。なお、マスフ
ローコントローラ10には、キャリヤガス流量を検出す
るための層流素子20及び差圧センサ21と、キャリヤ
ガス流量を調節するための流量調節弁22とが備えられ
ている。スプリット配管系統にはスプリット流量を制御
するための制御バルブ14が、また、パージ配管系統に
は圧力センサ12が設けられている。この圧力センサ1
2と試料注入部11との間にはガス抵抗が殆ど無いた
め、この圧力センサ12により検出される圧力は試料注
入部11内の圧力、すなわちカラム入口圧と同一視でき
る。
【0008】カラム15の周囲にはオーブン18が設け
られており、このオーブン18の温度は制御部16によ
りプログラム制御される。本実施例のガスクロマトグラ
フ装置では制御部16は単にカラム15の温度を変化さ
せるだけではなく、この温度変化に対応して、その間カ
ラム15を流れるガスの線速度vが一定の値vmとなる
ように、カラム入口におけるガス圧力Pを制御する。こ
こで目標とされる線速度の値vmは、図3に示すよう
に、HEPT値が最小(分解能が最高)となるような値
である。
【0009】カラム15を流れるガスの線速度vは、流
体力学理論より、カラム15の長さL、内径D、カラム
を通過するガスの粘性係数μ及びカラム入口のガス圧力
Pから求めることができる。 v=f(D,L,μ,P) 従って、逆に圧力Pは、カラム長さL、内径D、ガスの
粘性係数μ及び線速度vより求めることができる。 P=g(D,L,μ,v) この式g(D,L,μ,v)は具体的には次のような式
で近似することができる。 P=(L/D2)・μ・{a・(L/D2)・μ・v+b}・v …(1) ここでa,bは定数である。
【0010】一方、カラムを通過するガスの粘性係数μ
は絶対温度Tに対して次のように変化する。 μ=α・{(T20+β)/(T+β)}・(T/T203/2 …(2) ここでT20=273+20(K)であり、α,βは定数
である。比較的狭い温度範囲では、式(2)は次のよう
に線形近似することができる。 μ=γ・T+δ …(3) 定数a,b,γ,δ(又はα,β)は実測値をこれらの
式にあてはめることにより求めることができ、例えば式
(1)は P=(L/D2)・μ・{4.05×10-3×(L/D2)・μ・v +3.3}・v …(11) となり(cgs単位系)、式(3)は μ=0.0412×T+18.70 (Heの場合) =0.0355×T+17.24 (Neの場合) =0.0159×T+ 8.73 (H2の場合) =0.0492×T+22.02 (Arの場合) …(31) となる。
【0011】従って、制御部16は温度プログラム制御
を行なう間、次のような手順でガスの線速度を一定値v
mに保つ。まず、キーボード17や外部記憶装置等(図
示せず)から、カラム15の長さL、内径D及び最適線
速度vmのデータを受け、内部に設けられたRAMに記
憶する。次に分析を開始し、温度プログラムに従ってオ
ーブン18の温度T(t)を制御すると共に、各時点t
の温度の値T(t)を式(31)に代入して、キャリヤ
ガスの粘性係数μ(t)を算出する。このμ=μ(t)
の値と、RAMに記憶されているL,D,v=vmの値
を式(11)に代入することにより、その時点における
カラム入口圧P(t)を算出する。
【0012】そして、圧力センサ12により検出される
カラム入口圧Pが算出した値P(t)となるように、制
御バルブ14を制御する。これにより、温度プログラム
分析の間を通して、カラム15におけるガスの線速度v
は常にHETP値が最小(分解能が最高)となる値vm
に保持される。
【0013】なおこのとき制御部16は、スプリット比
を一定に保つために、次のようにマスフローコントロー
ラ10の流量も制御する。カラムの長さL、内径D、線
速度vm及び圧力P(t)が決まるとカラムの流量(質
量流量)Vcが算出され、一方、スプリット流量Vsはカ
ラム流量Vcと所与のスプリット比Sから算出される。
従って、カラム流量とスプリット流量の和である全流量
を算出し、これをマスフローコントローラ10で制御す
ることにより、カラムの線速度vを一定値vmに保ちつ
つ、スプリット比Sも一定となるように制御することが
できる。
【0014】上記実施例ではカラム15の内径Dや長さ
Lの値はキーボード17から入力するものとしたが、こ
れは、使用する可能性のあるカラム15のそれらの値を
予め制御部16内に記憶させておき、カラム15の種類
を特定することにより自動的に対応する値を読み出すよ
うにしてもよい。キャリヤガスの粘性係数μ(t)の式
(或いは参照テーブル)についても同様である。
【0015】本発明の第2実施例を図2に示す。こちら
の例ではカラム入口圧Pをスプリット配管側ではなく、
キャリヤガスの入口側(キャリヤガス配管系統)の方に
設けた制御バルブ19により制御する。本実施例のガス
クロマトグラフ装置では、スプリットモードで分析を行
なう場合はスプリット配管にはニードルバルブを設けて
おけばよいが、ニードルバルブを完全に閉鎖して(又は
スプリット配管を設けずに)、全量分析(WBI)とす
ることもできる。
【0016】
【発明の効果】本発明に係るガスクロマトグラフ装置で
は、温度プログラム制御により温度が変化しても、カラ
ムの線速度を常にHETP値が最小(分解能が最高)と
なる値vmに保持しておくことができるため、分析時間
の短縮と分析精度の向上の双方を達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるガスクロマトグラフ
装置の配管図。
【図2】 本発明の他の実施例であるガスクロマトグラ
フ装置の配管図。
【図3】 カラムを流れるキャリヤガスの線速度vとH
ETP値との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10…マスフローコントローラ 11…試料注入
部 12…圧力センサ 14、19…制
御バルブ 15…カラム 16…制御部 18…オーブン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分析時にカラムの温度を変化させるガス
    クロマトグラフ装置において、 a)カラム入口におけるキャリアガスの圧力を調節する
    キャリアガス圧力調節手段と、 b)カラム入口のガス圧力を検出する圧カセンサと、 c)カラム長さ、カラム内径、及び、カラム温度のデー
    タより、カラムを流れるキャリアガスの線速度がHET
    P値が最小となる値となるようなカラム入口圧を算出す
    る演算手段と、 d)圧力センサによる検出値が算出カラム入口圧となる
    ように、キャリアガス圧力調節手段を用いてカラム入口
    圧を調節する制御手段とを備えることを特徴とするガス
    クロマトグラフ装置。
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JP5644594B2 (ja) * 2011-03-07 2014-12-24 株式会社島津製作所 ガスクロマトグラフ装置及びガスクロマトグラフ分析方法
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