JP2560197B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

内燃機関の動弁装置

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JP2560197B2
JP2560197B2 JP5216364A JP21636493A JP2560197B2 JP 2560197 B2 JP2560197 B2 JP 2560197B2 JP 5216364 A JP5216364 A JP 5216364A JP 21636493 A JP21636493 A JP 21636493A JP 2560197 B2 JP2560197 B2 JP 2560197B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数のカムを、それら
カムのうち最小弁リフト量のカムが他の2つのカム間に
挟まれ且つ該2つのカムよりもカムシャフト軸線方向に
幅狭となるようにしてカムシャフトに並設し、機関の運
転域に応じた前記複数のカムの選択により吸気弁または
排気弁の作動特性を変更可能な内燃機関の動弁装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、かかる動弁装置は、たとえば特開
平5−65813号公報等により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記動弁装置では、1
つのカムシャフトに設けられた複数のカムを同時に加工
するときの加工性の上から、各カムのベース円部の半径
が同一に設定されている。しかも各カムのうち、弁リフ
ト量を最小として設定されたカムに作用する動弁負荷は
比較的小さいものであり、全てのカムの耐久性をほぼ同
一とするために、弁リフト量を最小として設定されたカ
ムのカムシャフト軸線に沿う幅は、他のカムに比べて小
さくされるのが一般的である。ところが、そのように各
カムのベース円部半径を同一とし、最小弁リフト量のカ
ムの幅を小さく設定すると、その最小弁リフト量のカム
が他のカム間に挟まれる位置でカムシャフトに設けられ
る場合には、各カムを研削する際に該最小弁リフト量の
カムを研削する砥石を挿入するスペースが隣接の両カム
間の狭い範囲に限定されてしまい、全てのカムを同一の
砥石で研削することが困難となる。また最小弁リフト量
のカム専用の砥石を用いるにしても、該砥石の幅が狭く
なることから破損し易く、砥石の管理が困難となる。
【0004】また斯かる問題は、複数のカムと、外周半
径を全周にわたって一定とした円形に形成される閉弁休
止用の隆起部とを、その隆起部がそれらカムの間に挟ま
れ且つそれらカムよりもカムシャフト軸線方向に幅狭と
なるようにしてカムシャフトに並設した構造のものにお
いて、閉弁休止用の隆起部を砥石で研削する場合にも同
様に発生する。
【0005】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、カムシャフトに設けられる隆起部あるいは
小弁リフト量のカムを、幅の比較的広い同一の砥石で容
易に研削加工し得るようにして加工性を向上した、内燃
機関の動弁装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明によれば、複数のカムを、それ
らカムのうち最小弁リフト量のカムが他のカムの間に挟
まれ且つ該他のカムよりもカムシャフト軸線方向に幅狭
となるようにしてカムシャフトに並設し、機関の運転域
に応じた前記複数のカムの選択により吸気弁または排気
弁の作動特性を変更可能な内燃機関の動弁装置におい
て、各カムは、ベース円部と、該ベース円部から半径方
向外方に張出した高位部とを備え、前記最小弁リフト量
カムのベース円部の半径は、該最小弁リフト量のカム
に隣接する2つのカムのうち弁リフト量が大きい方の
ムの高位部先端が描く回転軌跡の半径以上に設定される
ことを特徴とする。
【0007】また請求項2記載の発明によれば、複数の
カムと、外周半径を全周にわたって一定とした円形に形
成される閉弁休止用の隆起部とを、その隆起部がそれら
カムの間に挟まれ且つそれらカムよりもカムシャフト軸
線方向に幅狭となるようにしてカムシャフトに並設し、
機関の運転域に応じた前記隆起部またはカムの選択によ
り吸気弁または排気弁の作動特性を変更可能な、内燃機
関の動弁装置において、各カムは、ベース円部と、該ベ
ース円部から半径方向外方に張出した高位部とを備え、
前記隆起部の外周半径は、該隆起部に隣接する2つのカ
ムのうち弁リフト量が大きい方のカムの高位部先端が描
く回転軌跡の半径以上に設定されることを特徴とする
【0008】さらに請求項3記載の発明によれば、請求
1又は2の発明の構成に加えて、気弁および排気弁
に共通にして単一のカムシャフトが配設されことを特
徴とする。
【0009】更にまた請求項4の発明によれば、請求項
1の発明の構成に加えて、1気筒に対して一対の吸気弁
ならびに一対の排気弁が配設され、両吸気弁にそれぞれ
個別に連動、連結される一対の吸気弁用駆動ロッカアー
ムと、それらの吸気弁に対して自由となり得る吸気弁用
自由ロッカアームとが隣接配置され、両排気弁に個別に
連動、連結される一対の排気弁用ロッカアームが、前記
各吸気弁用ロッカアームを両側から挟む位置に配置さ
れ、一対の吸気弁用駆動ロッカアームの少なくとも一方
前記最小弁リフト量のカムに摺接され、残余のロッカ
アームには、それらのロッカアームに個別に対応するカ
ムに転がり接触するローラがそれぞれ軸支される。
【0010】更にまた請求項5の発明によれば、請求項
2の発明の構成に加えて、1気筒に対して一対の吸気弁
ならびに一対の排気弁が配設され、両吸気弁にそれぞれ
個別に連動、連結される一対の吸気弁用駆動ロッカアー
ムと、それらの吸気弁に対して自由となり得る吸気弁用
自由ロッカアームとが隣接配置され、両排気弁に個別に
連動、連結される一対の排気弁用ロッカアームが、前記
各吸気弁用ロッカアームを両側から挟む位置に配置さ
れ、一対の吸気弁用駆動ロッカアームの少なくとも一方
が前記隆起部に摺接され、残余のロッカアームには、そ
れらのロッカアームに個別に対応するカムに転がり接触
するローラがそれぞれ軸支される。
【0011】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明する。
【0012】図1ないし図5は本発明の一実施例を示す
ものであり、図1は要部縦断側面図であって図2の1−
1線に沿う断面図、図2は図1の2矢視平面図、図3は
図1の3−3線拡大断面図、図4は図1の4−4線拡大
断面図、図5は図2の5−5線断面図である。
【0013】先ず図1において、SOHC型多気筒内燃
機関における機関本体の主要部はシリンダブロック10
と該シリンダブロック10の上面に結合されるシリンダ
ヘッド11とから構成され、シリンダブロック11に並
設された複数のシリンダ12には、ピストン13が摺動
可能にそれぞれ嵌合され、各ピストン13の上面および
シリンダヘッド11間に燃焼室14がそれぞれ形成され
る。
【0014】各燃焼室14の天井面に開口するようにし
て、一対の吸気弁口15および一対の排気弁口16がシ
リンダヘッド11に設けられており、両吸気弁口15は
シリンダヘッド11の一側面に開口する単一の吸気ポー
ト17に連なり、両排気弁口16はシリンダヘッド11
の他側面に開口する単一の排気ポート18に連なる。両
吸気弁口15を個別に開閉可能な一対の吸気弁VI1,V
I2は、シリンダヘッド11に配設された一対ガイド筒1
9にそれぞれ摺動可能に嵌合されており、各ガイド筒1
9から突出した各吸気弁VI1,VI2の上端部にそれぞれ
固定されたリテーナ20とシリンダヘッド11との間に
は各吸気弁VI1,VI2を囲繞するコイル状の弁ばね21
が介設され、それらの弁ばね21により各吸気弁VI1
I2は上方すなわち閉弁方向に付勢される。また両排気
弁口16を個別に開閉可能な一対の排気弁VE1,V
E2は、シリンダヘッド11に配設された一対のガイド筒
22にそれぞれ摺動可能に嵌合されており、各ガイド筒
22から突出した各排気弁VE1,VE2の上端部にそれぞ
れ固定されたリテーナ23とシリンダヘッド11との間
には各排気弁VE1,VE2を囲繞するコイル状の弁ばね2
4が介設され、それらの弁ばね24により各排気弁
E1,VE2は上方すなわち閉弁方向に付勢される。
【0015】図2、図3、図4および図5を併せて参照
して、図示しないクランク軸に1/2の減速比で連動、
連結される単一のカムシャフト25と、各シリンダ12
毎の両吸気弁VI1,VI2との間には、カムシャフト25
の回転運動を吸気弁VI1,VI2の開閉運動に変換する吸
気弁駆動手段26がそれぞれ介設され、カムシャフト2
5と、各シリンダ12毎の両排気弁VE1,VE2との間に
は、カムシャフト25の回転運動を排気弁VE1,VE2
開閉運動に変換する排気弁駆動手段27がそれぞれ介設
される。
【0016】カムシャフト25は、シリンダヘッド11
と該シリンダヘッド11に結合されるホルダ28とで、
各シリンダ11の軸線と直交する水平な軸線を有しなが
ら回転自在に支承される。このカムシャフト25には、
第1および第2吸気側カム31,32と、第1および第
2吸気側カム31,32間の第3吸気側カム33とが各
シリンダ12に対応してそれぞれ一体に設けられる。第
1吸気側カム31は、機関の主として低速運転域で一方
の吸気弁VI1を開閉作動せしめるためのものであり、カ
ムシャフト25の中心からの距離を一定としたベース円
部31aと、該ベース円部31aから半径方向外方に張
出す高位部31bとを有する。また第2吸気側カム32
は、機関の主として低速運転域で他方の吸気弁VI2を実
質的に休止させるためのものであり、カムシャフト25
の中心からの距離を一定としたベース円部32aと、第
1吸気側カム31の高位部31bに対応した位置でベー
ス円部32aから半径方向外方にわずかに突出した高位
部32bとを有し、カムシャフト25の軸線方向に沿う
幅を狭くしてカムシャフト25に設けられる。第3吸気
側カム33は、機関の主として高速運転域で両吸気弁V
I1,VI2を開閉作動せしめる為のものであり、第1吸気
側カム31のベース円部31aと同一半径であるベース
円部33aと、カムシャフト25の半径方向に沿う外方
への張出量を第1吸気側カム31の高位部31bよりも
大としかつその高位部31bよりも広い中心角範囲にわ
たってベース円部33aから張出した高位部33bを有
する。
【0017】またカムシャフト25には、第1、第2お
よび第3吸気側カム31,32,33を両側から挟むよ
うにして第1おび第2排気側カム34,35が各シリン
ダ12に対応して一体に設けられており、これらの排気
側カム34,35は、機関の運転域にかかわらず両排気
弁VE1,VE2を開閉作動せしめるための形状を有するも
のであり、第1および第3吸気側カム31,33のベー
ス円部31b,33bと同一半径であるベース円部34
a,35aと、それらのベース円部34a,35aから
半径方向外方に張出す高位部34b,35bとを有して
同一形状に形成される。
【0018】ところで、1気筒に対応してカムシャフト
25に設けられたカム31,32,33,34,35の
うち、弁リフト量を最小として設定された第2吸気側カ
ム32は、動弁負荷が小さいことから、他のカムよりも
カムシャフト軸線方向の幅が小さく形成されているが、
この第2吸気側カム32におけるベース円部32aの半
径R1 は、該カム32に隣接する2つのカム33,35
のうち弁リフト量が大きい方の第3吸気側カム33にお
ける高位部33bの先端が描く回転軌跡Tの半径R2
上(R1 ≧R2 )に設定される。
【0019】このように、幅の狭い第2吸気側カム32
のベース円部32aの半径R1 を設定すると、第3図で
示すように、第1および第3吸気側カム31,33、な
らびに第1および第2排気側カム34,35の外周を研
削するための比較的幅広の砥石30によって第2吸気側
カム32を研削する際に、カムシャフト25の半径方向
および軸線方向に沿う砥石30の移動が、第2吸気側カ
ム32の両側に在る第2排気側カム35および第3吸気
側カム33によって阻害されることはなく、全てのカム
31〜35を同一の砥石30で研削することが可能とな
る。
【0020】一方、吸気弁駆動手段26は、一方の吸気
弁VI1に連動、連結される第1吸気弁用駆動ロッカアー
ム36と、他方の吸気弁VI2に連動、連結される第2吸
気弁用駆動ロッカアーム37と、第1および第2吸気弁
用駆動ロッカアーム36,37間に隣接配置される吸気
弁用自由ロッカアーム38とを備え、それらのロッカア
ーム36,37,38は、カムシャフト25の斜め上方
位置で該カムシャフト25と平行な軸線を有しながらホ
ルダ28に固定的に支持された吸気側ロッカシャフト3
9で揺動自在に支承される。また排気弁駆動手段27
は、各排気弁VE1,VE2に個別に連動、連結されながら
前記カムシャフト25の斜め上方位置で前記吸気側ロッ
カシャフト39と平行にしてホルダ28に固定的に支持
された排気側ロッカシャフト40で揺動自在に支承され
る第1および第2排気弁用ロッカアーム41,42を備
える。
【0021】第1吸気弁用駆動ロッカアーム36の一端
には、第1吸気側カム31に転がり接触するローラ43
が軸支され、吸気弁用自由ロッカアーム38の一端に
は、第3吸気側カム33に転がり接触するローラ44が
軸支される。また第1および第2排気弁用ロッカアーム
41,42の一端には、第1および第2排気側カム3
4,35に転がり接触するローラ45,46がそれぞれ
軸支される。
【0022】しかも第1および第2排気弁用ロッカアー
ム41,42の一端側には、第1および第2吸気弁用駆
動ロッカアーム36,37の一端側の一部を収容するた
めの切欠き部47,48が設けられ、第2吸気弁用駆動
ロッカアーム37の一端には、第2排気弁用ロッカアー
ム42の一端側の一部を収容する切欠き部49が設けら
れるとともに、第2吸気側カム32に摺接するスリッパ
50が第2吸気側カム32に対応して幅を狭くして設け
られる。
【0023】第1および第2吸気弁用駆動ロッカアーム
36,37の他端には、各吸気弁VI1,VI2の上端に当
接するタペットねじ51がそれぞれ進退自在に螺合され
ており、第1および第2吸気弁用駆動ロッカアーム3
6,37の揺動作動に応じて各吸気弁VI1,VI2が開閉
作動することになる。また第1および第2排気弁用ロッ
カアーム41,42の他端には、各排気弁VE1,VE2
上端に当接するタペットねじ52がそれぞれ進退自在に
螺合されており、第1および第2排気弁用ロッカアーム
41,42の揺動作動に応じて各排気弁VE1,VE2が開
閉作動することになる。
【0024】両吸気弁VI1,VI2間でシリンダヘッド1
1には、吸気弁用自由ロッカアーム38を第3吸気側カ
ム33に向けて弾発付勢するロストモーション機構54
が設けられる。
【0025】ロストモーション機構54は、シリンダヘ
ド11に嵌合、固定される有底円筒状のガイド部材55
と、ガイド部材55に摺動可能に嵌合される押圧部材5
6と、押圧部材56を吸気弁用自由ロッカアーム38に
当接する方向に弾発付勢すべく押圧部材56およびガイ
ド部材55間に介装されるばね57とを備える。一方、
吸気弁用自由ロッカアーム38には、ロストモーション
機構54の押圧部材方56に当接する突部59が下方に
向けて突設される。
【0026】吸気弁駆動手段26には、各吸気側ロッカ
アーム36〜38の連結および連結解除を機関の運転状
態に応じて切換可能な連結切換機構60が設けられる。
【0027】この連結切換機構60は、第1吸気弁用駆
動ロッカアーム36および吸気弁用自由ロッカアーム3
8を連結可能な連結ピストン61と、吸気弁用自由ロッ
カアーム38および第2吸気弁用駆動ロッカアーム37
を連結可能な連結ピン62と、連結ピストン61および
連結ピン62の移動を規制する規制部材63と、連結ピ
ストン61、連結ピン62および規制部材63を付勢す
る戻しばね64とを備える。
【0028】第1吸気弁用駆動ロッカアーム36には、
吸気弁用自由ロッカアーム38側に開放した有底の第1
ガイド穴65が吸気側ロッカシャフト39と平行に穿設
されており、この第1ガイド穴65に連結ピストン61
が摺動可能に嵌合され、連結ピストン61の一端と第1
ガイド穴65の閉塞端との間に油圧室66が画成され
る。また第1吸気弁用駆動ロッカアーム36には油圧室
66に連通する連通路67が穿設され、吸気側ロッカシ
ャフト39内には図示しない油圧供給源に通じる油圧供
給路68が設けられ、この油圧供給路68は第1吸気弁
用駆動ロッカアーム36の揺動状態にかかわらず前記連
通路67すなわち油圧室66に常時連通する。
【0029】吸気弁用自由ロッカアーム38には、第1
ガイド穴65に対応するガイド孔69が吸気側ロッカシ
ャフト39と平行にして両側面間にわたって穿設されて
おり、前記連結ピストン61の他端に一端が当接される
連結ピン62がガイド孔69に摺動可能に嵌合される。
【0030】第2吸気弁用駆動ロッカアーム37には、
前記ガイド孔69に対応する有底の第2ガイド穴70が
吸気弁用自由ロッカアーム38側に開放して吸気側ロッ
カシャフト39と平行に穿設されており、連結ピン62
の他端に当接する有底円筒状の規制部材63が第2ガイ
ド穴70に摺動可能に嵌合される。この規制部材63
は、その開口端を第2ガイド穴70の閉塞端側に向けて
配置されるものであり、その開口端部で半径方向外方に
張出した鍔部63aが第2ガイド穴70の内面に摺接す
る。戻しばね64は、第2ガイド穴70の閉塞端および
規制部材63の閉塞端間に縮設されており、この戻しば
ね64のばね力により相互に当接した前記連結ピストン
61、連結ピン62および規制部材63が油圧室66側
に付勢される。しかも第2ガイド穴70の閉塞端には、
空気および油抜き用の連通孔71が穿設される。
【0031】また第2ガイド穴70の内面には、規制部
材63の鍔部63aに係合可能な止め輪72が嵌着され
ており、この止め輪72により規制部材63の第2ガイ
ド穴70からの抜け出しが阻止される。
【0032】かかる連結切換機構60において、吸気側
ロッカシャフト37に各吸気側ロッカアーム36〜38
を組付けた状態で連結ピストン61および連結ピン62
が第1吸気弁用駆動ロッカアーム36および吸気弁用自
由ロッカアーム38から脱落することを阻止するため
に、第1および第2吸気弁用駆動ロッカアーム36,3
7の吸気弁用自由ロッカアーム38に対向する側面に
は、第1および第2吸気弁用駆動ロッカアーム36,3
7の吸気弁用自由ロッカアーム38との相対揺動を許容
しながら吸気弁用自由ロッカアーム38に係合するスプ
リングピン73がそれぞれ植設される。
【0033】燃焼室14の天井面中央部には点火プラグ
74が配設されるものであり、該点火プラグ74を挿入
するためのプラグパイプ75がシリンダヘッド11に配
設される。而して第1および第2排気弁用ロッカアーム
41,42は、相互に隣接して配置される第1、第2吸
気弁用ロッカアーム36,37および吸気弁用自由ロッ
カアーム38の両側で、カムシャフト25の第1および
第2排気側カム34,35に対応して配設されている。
これにより両排気弁用ロッカアーム41,42相互間に
比較的広いスペースを確保することが可能であり、また
両排気弁VE1,VE2もそれらの間の間隔を比較的広くし
て配設可能である。このため、プラグパイプ75は、両
排気弁VE1,VE2の弁軸相互間に軸線を配置するように
して、すなわち両排気弁VE1,VE2相互間、ならびに両
排気弁用ロッカアーム41,42相互間に位置するよう
にしてシリンダヘッド11に配設され、このプラグパイ
プ75に挿入された点火プラグ74が、燃焼室14の天
井面中央部に臨むようにしてシリンダヘッド11に螺着
される。
【0034】次にこの実施例の作用について説明する
と、機関の低速運転域では、吸気弁駆動手段26におい
て連結切換機構60の油圧室66の油圧は解放されてお
り、連結ピストン61、連結ピン62および規制部材6
3は戻しばね64のばね力により油圧室66側に最大限
移動した連結解除状態にある。この状態では、連結ピス
トン61および連結ピン62の当接面は第1吸気弁用駆
動ロッカアーム36および吸気弁用自由ロッカアーム3
8間に対応する位置にあり,連結ピン62および規制部
材63の当接面は吸気弁用自由ロッカアーム38および
第2吸気弁用駆動ロッカアーム37間に対応する位置に
ある。したがって各ロッカアーム36〜38は相互に相
対角変位可能な状態にある。
【0035】かかる連結解除状態にあっては、カムシャ
フト25の回転作動により第1吸気弁用駆動ロッカアー
ム36は第1吸気側カム31との摺接に応じて揺動し、
一方の吸気弁VI1は第1吸気側カム31の形状に応じた
タイミングおよびリフト量で開閉作動し、第2吸気弁用
駆動ロッカアーム37は第2吸気側カム32との摺接に
応じてほぼ静止状態にあり、他方の吸気弁VI2は、一方
の吸気弁VI1の開弁時に第2吸気側カム32の高位部3
2bによって吸気弁口15をわずかに開く程度に作動す
るだけであり、実質的な休止状態となる。この際、吸気
弁用自由ロッカアーム38は第3吸気側カム33との摺
接に応じて揺動するが、その揺動動作は第1および第2
吸気弁用駆動ロッカアーム36,37に何らの影響も及
ぼさない。また排気弁VE1,VE2は第1および第2排気
側カム34,35の形状に応じたタイミングおよびリフ
ト量で開閉作動する。
【0036】機関の高速運転域では油圧室66に高油圧
が供給される。これにより吸気弁駆動手段26の連結切
換機構60において連結ピストン61、連結ピン62お
よび規制部材63は戻しばね64のばね力に抗して連結
位置側へと移動し、連結ピストン61がガイド孔69に
嵌合するとともに連結ピン62が第2ガイド穴70に嵌
合し、各吸気側ロッカアーム36〜38が連結される。
これにより第1および第2吸気弁用駆動ロッカアーム3
6,37は吸気弁用自由ロッカアーム38とともに揺動
し、両吸気弁VI1,VI2は第3吸気側カム33の形状に
応じたタイミングおよびリフト量で開閉作動せしめられ
る。
【0037】しかもこの高速運転域で排気弁駆動手段2
7における第1および第2排気弁用ロッカアーム41,
42は、低速運転域と同様に第1および第2排気側カム
34,35の形状に応じたタイミングおよびリフト量で
両排気弁VE1,VE2を開閉作動せしめる。
【0038】このようにして機関の高速運転域と低速運
転域とで、吸気弁駆動手段26における3つのカム3
1,32,34の選択により一対の吸気弁VI1,VI2
作動特性を変更することがてき、それにより、機関の運
転状態に適応した動弁特性にして機関出力の向上を図る
ことができる。
【0039】かかる内燃機関の動弁装置において、カム
シャフト25に対応する位置では、第1吸気弁用駆動ロ
ッカアーム36、第2吸気弁用駆動ロッカアーム37お
よび吸気弁用自由ロッカアーム36〜38が相互に隣接
して配置されることになり、それらのロッカアーム36
〜38をコンパクトにまとめて配設することができる。
これにより連結切換機構60もコンパクトに構成される
ことになり、連結切換機構60の作動を円滑に行なうた
めに連結切換機構60の構成要素の寸法精度向上が容易
に可能となるだけでなく、各吸気側ロッカアーム36〜
38の重量低減に寄与することができる。
【0040】しかも1気筒に対応してカムシャフト25
に設けられたカム31,32,33,34,35のう
ち、弁リフト量を最小として設定された第2吸気側カム
32におけるベース円部32aの半径R1 が、該カム3
2に隣接する2つのカム33,35のうち弁リフト量が
大きい方の第3吸気側カム33における高位部33bの
先端が描く回転軌跡Tの半径R2 以上(R1 ≧R2 )に
設定されることにより、幅の狭い第2吸気側カム32以
外のカム31,33,34,35の外周を研削するため
の比較的幅広の砥石30によって、第2吸気側カム32
を研削することが可能であり、全てのカム31〜35を
同一の砥石30で研削することを可能として加工性を向
上することができる。
【0041】また吸気弁駆動手段26および排気弁駆動
手段27に共通に単一のカムシャフト25を配設したS
OHC型動弁装置においては、吸気弁駆動手段26にお
ける3つのロッカアーム36,37,38ならびに排気
弁駆動手段27における一対のロッカアーム40,41
を比較的狭いスペースに配置することが求められるが、
第1吸気弁用駆動ロッカアーム36および吸気弁用自由
ロッカアーム38はローラ43,44を介して第1およ
び第3吸気側カム31,33に転がり接触するものであ
り、また第1および第2排気弁用ロッカアーム41,4
2はローラ45,46を介して第1および第2排気側カ
ム34,35に転がり接触するものであるので、ローラ
43〜46による転がり接触により接触面圧の低減を図
ることで、各カム31,33,34,35の幅を比較的
小さくすることを可能とする。
【0042】図6は本発明の他の実施例を示すものであ
り、吸気弁VI2を実質休止させるための第2吸気側カム
32に代えて、外周半径を全周にわたって一定とした円
形に形成される閉弁休止用の隆起部32′がカムシャフ
ト25に設けられ、機関の低速運転域で吸気弁VI2は完
全な閉弁休止状態となる。
【0043】このような動弁装置においても、隆起部3
2′の外周半径R1 、該隆起部32に隣接する2つの
カム33,35のうち弁リフト量が大きい方の第3吸気
側カム33の高位部33b先端が描く回転軌跡Tの半径
2 以上に設定しておくことにより、隆起部32′の外
周面研削にあたっての加工性を向上することがきる。
【0044】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0045】たとえば単一の吸気弁に対して、機関の低
速運転域で該吸気弁を閉弁休止させる隆起部または該吸
気弁を開閉作動させるカムと、機関の中速運転域で吸気
弁を開閉作動させるカムと、機関の高速運転域で吸気弁
を開閉作動させるカムとがカムシャフトに設けられる動
弁装置に関して本発明を適用することも可能であり、ま
た本発明をDOHC型動弁装置の吸気弁に適用すること
も可能であり、さらに排気弁の作動特性を変更可能とし
た動弁装置に本発明を適用することも可能である。
【0046】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
最小弁リフト量のカムの幅が他のカムの幅より狭くて
も、該最小弁リフト量のカムを、これに隣接するカムと
干渉することなく同一の砥石で的確に研削できるように
なるから、加工性の向上を図ることができるとともに、
幅の狭い該最小弁リフト量のカムに専用に幅の狭い砥石
を用いることを不要として砥石管理を簡易にすることが
できる。
【0047】また請求項2記載の発明によれば、閉弁休
止用の隆起部の幅が複数のカムの幅より小さくても、そ
の隆起部を、これに隣接するカムと干渉することなく同
一の砥石で的確に研削できるようになるから、加工性の
向上を図ることができるとともに、幅の狭い隆起部に専
用に幅の狭い砥石を用いることを不要として砥石管理を
簡易にすることができる。
【0048】更に請求項3の発明によれば、吸気弁およ
び排気弁にそれぞれ対応するカムあるいは隆起部の全て
を同一砥石で研削することを可能として、加工性をより
向上することができる。
【0049】さらにまた請求項4又は5の発明によれ
ば、幅の狭い最小弁リフト量のカムあるいは隆起部以外
のカムには、それらのカムに軸支されたローラを転がり
接触させるようにして、狭い設置スペースに比較的多く
のカムあるいは隆起部、ならびにロッカアームを配置す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の要部縦断側面図であって図2の1−
1線に沿う断面図である。
【図2】図1の2矢視平面図である。
【図3】図1の3−3線拡大断面図である。
【図4】図1の4−4線拡大断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】他の実施例の図1に対応した断面図である。
【符号の説明】
25・・・カムシャフト 31,32,33,34,35・・・カム 31a,32a,33a,34a,35a・・・ベース
円部 31b,32b,33b,34b,35b・・・高位部 32′・・・隆起部 36,37・・・吸気弁用駆動ロッカアーム 38・・・吸気弁用自由ロッカアーム 41,42・・・排気弁用ロッカアーム 43,44,45,46・・・ローラ VE1,VE2・・・排気弁 VI1,VI2・・・吸気弁

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のカム(31〜35)を、それらカ
    ム(31〜35)のうち最小弁リフト量のカム(32)
    が他のカム(31,33〜35)の間に挟まれ且つ該他
    のカム(31,33〜35)よりもカムシャフト軸線方
    向に幅狭となるようにしてカムシャフト(25)に並設
    、機関の運転域に応じた前記複数のカム(31〜3
    5)の選択により吸気弁(VI1,VE2)または排気弁
    (VE1,VE2)の作動特性を変更可能な、内燃機関の動
    弁装置において、 各カム(31〜35)は、ベース円部(31a〜35
    )と、該ベース円部(31a〜35a)から半径方向
    外方に張出した高位部(31b〜35b)とを備え、
    記最小弁リフト量のカム(32)のベース円部(32
    a)の半径は、該最小弁リフト量のカム(32)に隣接
    する2つのカム(33,35)のうち弁リフト量が大き
    い方のカム(33)の高位部(33b)先端が描く回転
    軌跡(T)の半径以上に設定されることを特徴とする、
    内燃機関の動弁装置。
  2. 【請求項2】 複数のカム(31,33〜35)と、外
    周半径を全周にわたって一定とした円形に形成される閉
    弁休止用の隆起部(32′)とを、その隆起部(3
    2′)がそれらカム(31,33〜35)の間に挟まれ
    且つそれらカム(31,33〜35)よりもカムシャフ
    ト軸線方向に幅狭となるようにしてカムシャフト(2
    5)に並設し、機関の運転域に応じた前記隆起部(3
    2′)またはカム(31,33〜35)の選択により吸
    気弁(V I1 ,V E2 )または排気弁(V E1 ,V E2 )の作動
    特性を変更可能な、内燃機関の動弁装置において、 各カム(31,33〜35)は、ベース円部(31a,
    33a〜35a)と、該ベース円部(31a,33a〜
    35a)から半径方向外方に張出した高位部(31b,
    31b〜35b)とを備え、前記隆起部(32′)の外
    周半径は、該隆起部(32′)に隣接する2つのカム
    (33,35)のうち弁リフト量が大きい方のカム(3
    3)の高位部(33b)先端が描く回転軌跡(T)の半
    径以上に設定されることを特徴とする、内燃機関の動弁
    装置。
  3. 【請求項3】 気弁(VI1,VI2)および排気弁(V
    E1,VE2)に共通にして単一のカムシャフト(25)が
    配設されことを特徴とする、請求項1又は2に記載の
    内燃機関の動弁装置。
  4. 【請求項4】 気筒に対して一対の吸気弁(VI1,V
    I2)ならびに一対の排気弁(VE1,VE2)が配設され、
    両吸気弁(VI1,VI2)にそれぞれ個別に連動、連結さ
    れる一対の吸気弁用駆動ロッカアーム(36,37)
    と、それらの吸気弁(VI1,VI2)に対して自由となり
    得る吸気弁用自由ロッカアーム(38)とが隣接配置さ
    れ、両排気弁(VE1,VE2)に個別に連動、連結される
    一対の排気弁用ロッカアーム(41,42)が、前記各
    吸気弁用ロッカアーム(36,37,38)を両側から
    挟む位置に配置され、一対の吸気弁用駆動ロッカアーム
    (36,37)の少なくとも一方(37)が前記最小弁
    リフト量のカム(32)に摺接され、残余のロッカアー
    ム(36,38,41,42)には、それらのロッカア
    ーム(36,38,41,42)に個別に対応するカム
    (31,33,34,35)に転がり接触するローラ
    (43,44,45,46)がそれぞれ軸支されること
    を特徴とする、請求項1記載の内燃機関の動弁装置。
  5. 【請求項5】 1気筒に対して一対の吸気弁(V I1 ,V
    I2 )ならびに一対の排気弁(V E1 ,V E2 )が配設され、
    両吸気弁(V I1 ,V I2 )にそれぞれ個別に連動、連結さ
    れる一対の吸気弁用駆動ロッカアーム(36,37)
    と、それらの吸気弁(V I1 ,V I2 )に対して自由となり
    得る吸気弁用自由ロッカアーム(38)とが隣接配置さ
    れ、両排気弁(V E1 ,V E2 )に個別に連動、連結される
    一対の排気弁用ロッカアーム(41,42)が、前記各
    吸気弁用ロッカアーム(36,37,38)を両側から
    挟む位置に配置され、一対の吸気弁用駆動ロッカアーム
    (36,37)の少なくとも一方(37)が前記隆起部
    (32′)に摺接され、残余のロッカアーム(36,3
    8,41,42)には、それらのロッカアーム(36,
    38,41,42)に個別に対応するカム(31,3
    3,34,35)に転がり接触するローラ(43,4
    4,45,46)がそれぞれ軸支されることを特徴とす
    る、請求項2記載の内燃機関の動弁装置。
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