JP2559713B2 - 高強度セメント製成形体の電気メツキ方法 - Google Patents
高強度セメント製成形体の電気メツキ方法Info
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Description
本発明は、高強度セメント製成形体の電気メッキ方法
に関する。
に関する。
近年、転写性が良好で、成形体の製作が簡便で、製作
期間が短く、堅牢性に優れた高強度セメント製成形体の
製作方法が開発されてきた(特公昭60−59182号公報、
特開昭57−500645号公報、及び特開昭57−501771号公
報)。 これらの高強度セメント製成形体の使用用途は、金属
板を成形するための金属プレス型、プラスチックを成形
するための射出成形型、移送成形型、圧空成形型、及び
真空成形型等の型、並びに、金属を鋳造する砂型を作る
ための鋳物マスター型等の各種成形型、工作機械のベッ
ド、さらに、定盤等多岐にわたっていた。 しかしながら、これらの高強度セメント製成形体は、
圧縮強度が優れていても、引張強度等が劣ることによ
り、特に、成形型等では、多数回繰り返し、応力集中を
受けると、凹凸部等の成形体の表面が欠け、摩耗するな
ど、いわゆる、表面の耐力が劣るという課題があった。 また、成形体表面の耐力を向上させる方法としては、
高強度セメント製成形体の表面を無電解メッキする方法
が提案された(特開昭61−210182号公報)。 無電解メッキによる方法によれば、成形体表面は平滑
であり、かつ、表面硬度が強固な表面層を有する高強度
セメント成形体が得られ、成形体表面の欠け防止や耐摩
耗性向上など、成形体表面の耐力は、成形体の表面を無
電解メッキしない方法と比べて優れるが、多数回繰り返
し応力集中を受けた部分や、特に、応力集中を受けた部
分は無電解メッキ表面層が剥離してしまい、成形体の表
面の耐力がまだ不充分であるという課題を有していた。 本発明者は、上記実状に鑑み、種々検討を加えた結
果、電気伝導性を有する物質を添加した高強度セメント
製成形体の表面を研摩した後、その表面を電気メッキす
る高強度セメント製成形体の電気メッキ方法が、転写性
に優れており、成形体の製作が簡便であるという長所を
有し、かつ、成形体表面の耐力を著しく向上させる方法
であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
期間が短く、堅牢性に優れた高強度セメント製成形体の
製作方法が開発されてきた(特公昭60−59182号公報、
特開昭57−500645号公報、及び特開昭57−501771号公
報)。 これらの高強度セメント製成形体の使用用途は、金属
板を成形するための金属プレス型、プラスチックを成形
するための射出成形型、移送成形型、圧空成形型、及び
真空成形型等の型、並びに、金属を鋳造する砂型を作る
ための鋳物マスター型等の各種成形型、工作機械のベッ
ド、さらに、定盤等多岐にわたっていた。 しかしながら、これらの高強度セメント製成形体は、
圧縮強度が優れていても、引張強度等が劣ることによ
り、特に、成形型等では、多数回繰り返し、応力集中を
受けると、凹凸部等の成形体の表面が欠け、摩耗するな
ど、いわゆる、表面の耐力が劣るという課題があった。 また、成形体表面の耐力を向上させる方法としては、
高強度セメント製成形体の表面を無電解メッキする方法
が提案された(特開昭61−210182号公報)。 無電解メッキによる方法によれば、成形体表面は平滑
であり、かつ、表面硬度が強固な表面層を有する高強度
セメント成形体が得られ、成形体表面の欠け防止や耐摩
耗性向上など、成形体表面の耐力は、成形体の表面を無
電解メッキしない方法と比べて優れるが、多数回繰り返
し応力集中を受けた部分や、特に、応力集中を受けた部
分は無電解メッキ表面層が剥離してしまい、成形体の表
面の耐力がまだ不充分であるという課題を有していた。 本発明者は、上記実状に鑑み、種々検討を加えた結
果、電気伝導性を有する物質を添加した高強度セメント
製成形体の表面を研摩した後、その表面を電気メッキす
る高強度セメント製成形体の電気メッキ方法が、転写性
に優れており、成形体の製作が簡便であるという長所を
有し、かつ、成形体表面の耐力を著しく向上させる方法
であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、セメント質物質、超微粉、高性能減
水剤、電気伝導性物質、及び水を主成分とするセメント
組成物を用いて成形した高強度セメント製成形体の表面
を研摩した後、その表面を電気メッキすることを特徴と
する高強度セメント製成形体の電気メッキ方法である。 以下、本発明をさらに詳しく説明する。 本発明に係る高強度セメント製成形体(以下本成形体
という)とは、圧縮強度が1,000kgf/cm2以上を示すもの
で、面の転写性や複雑な形状のものまで成形できなけれ
ばならないことを考慮すると、その成分は、セメント質
物質、超微粉、高性能減水剤、電気伝導性物質及び水を
主成分とし、これに、その他の添加物を必要に応じて加
えたものである。 本発明では、セメント質物質として、エーライト(3C
aO・SiO2)、ビーライト(2CaO・SiO2)、アルミネート
(mCaO・nSiO2、mとnは自然数)、並びに、それらを
主たる成分とする、例えば、アルミナセメントや、普
通、早強、超早強、白色、及び耐硫酸塩等の各種ポルト
ランドセメントセメント等のセメント類の一種又は二種
以上を組み合わせて使用できる他、高炉スラグやフライ
アッシュなどを混合した混合セメント等も一般に使用で
きる。また、高炉スラグを主体としてアルカリ刺激剤と
組み合わせたものや、膨張成分を用いて収縮特性を改善
した膨張セメント、急硬成分を用いて短時間に所要強度
を発現させた急硬セメント、及び石膏系の高強度混和材
等を併用したセメントも使用できる。 膨張セメントの膨張成分としては、エトリンガイド系
のもの、例えば、電気化学工業(株)製商品名「CSA#2
0」又は焼成石灰(CaO)が好ましく、焼成CaO中でも、
1,100〜1,300℃で焼成され、平均結晶径が10μ以下のも
のがより好ましい。 急硬セメントの急硬成分としては、カルシウムアルミ
ネート系のものがよく、例えば、アルミナセメントやア
ルミナセメントと石膏の組み合わせたもの、例えば、電
気化学工業(株)製商品名「デンカES」や小野田セメン
ト(株)製商品名「ジェットセメント」などが用いられ
る。 また、高強度混和材は石膏系のものが好ましく、例え
ば、電気化学工業(株)製商品名「デンカΣ−1000」、
日本セメント(株)製商品名「アサノスーパーミック
ス」等が有効である。 本発明で使用する超微粉は、セメント質物質(平均粒
径10〜30μ程度)の少なくとも1オーダー細かい平均粒
径を有するものであり、平均粒径が2オーダー細かいも
のがセメント質物質や超微粉などと水とを混練した混練
物の流動特性の面から好ましい。 具体的には、シリコン、含シリコン合金、及びジルコ
ニア等を製造する際に副生するシリカダスト(シリカヒ
ューム)やシリカ質ダストが特に好適であり、炭酸カル
シウム、シリカゲル、オパール質珪石、フライアッシ
ュ、高炉スラグ、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び
セメント質物質等の微粉砕品も使用できる。特に、オパ
ール質珪石、フライアッシュ、及び高炉スラグを分級器
と粉砕機とを併用することにより粉砕した超微粉の使用
は硬化収縮を改善するという面から有効である。 超微粉の使用量は、セメント物質と超微粉の混合物
(以下粉体という)100重量部中5〜40重量部が好まし
く、10〜35重量部がさらに好ましい。超微粉の使用量が
5重量部未満では高強度発現効果が小さく、また、40重
量部を越えると混練物の流動性が著しく低下し、成形す
ることが困難となり、かつ、強度発現も不充分となる。 本発明で使用する高性能減水剤とは、セメントに多量
添加しても凝結の過遅延や過度の空気連行を伴わない分
散能力の大きな界面活性剤であって、例えば、ナフタレ
ンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンス
ルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、高分子量リグニ
ンスルホン酸塩、及びポリカルボン酸塩を主成分とする
もの等が挙げられる。 高性能減水剤は、従来、セメントに対して有効成分で
0.3〜1重量%が使用されているが、本発明においては
それよりも多量に添加することが好ましく、その使用量
は、セメント質物質100重量部に対して、有効成分で1
〜5重量部がさらに好ましい。高性能減水剤は、混練物
を低い水/粉体比で得るために必要なものであり、10重
量部を越えると硬化反応にかえって悪影響を与える場合
がある。このような高性能減水剤の使用量において、超
微粉を組み合わせることにより、水/粉体比が25%以下
でも、通常の方法により成形可能な流動性のある混練物
を得ることができる。 ここで使用する水は、セメント成形体成形上必要なも
のであり、本成形体を得るためにはできるだけ少量が良
く、粉体100重量部に対して、水10〜30重量部が好まし
く、12〜25重量部がさらに好ましい。使用水量が30重量
部より多いと本成形体を得ることが困難であり、10重量
部より少ないと、通常の流し込み等の成形が困難とな
る。なお、圧密成形等においてはこれに制限されるもの
ではなく、10重量部より少ない場合においても成形が可
能となる。また、押し出し成形等の通常セメントコンク
リートに用いられている成形方法を用いることも可能で
ある。 電気伝導性物質(以下電導物という)は本成形体を電
気メッキするために必要であり、その電気伝導度は、電
気的導体域である102Ω-1cm-1以上であることが好まし
い。電導物の電気伝導度が102Ω-1cm-1未満の場合に
は、成形体表面を研摩しても電気メッキ表面層を表面全
体に被覆させることが困難である。 電気伝導度が102Ω-1cm-1以上である材料としては、
カーボン、真ちゅう、ジュラルミン、ステンレス鋼、炭
素鋼、及び鋳鉄等の各種合金、アルミニウム、ベリリウ
ム、鉄、ニッケル、及び銅等の各種金属等が挙げられ、
本発明法では、これらの材料を繊維状、網状、及び粒子
状等に加工したもの、例えば、カーボン繊維、真ちゅう
繊維、ステンレス繊維、及び炭素繊維や、カーボン製の
網、真ちゅう製の網、ステンレス製の網、及び炭素鋼製
の網等、並びに、カーボン粒子、ジュラルミン粒子、ス
テンレス粒子、炭素鋼粒子、鋳鉄粒子、アルミニウム粒
子、ベリリウム粒子、鉄粒子、ニッケル粒子、及び銅粒
子等が用いられる。各種粒子は骨材としても使用きこと
が可能である。 これら繊維、網、及び粒子は、本成形体表面を研摩し
た後、電導物の表面積の合計値が本成形体の全体表面の
50%以上となり、かつ、本成形体表面での電導物の隣接
間距離が5mm以下となるように、使用することや配置す
ることが電気メッキを行うために好ましい。 電導物の使用量は特に限定されるものではなく、電導
物の種類、形態により適宜選択できる。 本発明法では、粒子状の電導物以外に通常の骨材を併
用することもできる。 骨材としては、一般に土木建築分野でコンクリートを
調合する際に使用されているものが使用できるが、より
硬質なもの、具体的には、モース硬度6以上、好ましく
は7以上、又は、ヌープ圧子硬度700kg/mm2以上、好ま
しくは800kg/mm2以上のいずれかの基準で選定された骨
材を用いることは、強度を著しく向上させることができ
るので好ましい。 この基準を満足する骨材を例示すれば、珪石、エメリ
ー、黄鉄鉱、磁鉄鉱、黄玉、ローソン石、コランダム、
フェナサイト、スピネル、緑柱石、金緑石、電気石、花
崗岩、紅柱石、十字石、ジルコン、焼成ボーキサイト、
重焼ばん土けつ岩、炭化ホウ素、炭化タングステン、フ
ェロシリコンナイトライド、窒化珪素、溶融シリカ、電
融シリカ、電融マグネシア、炭化珪素、及び立方晶窒化
ホウ素等や機械加工可能なステンレス、鉄粉、及び鉄球
等の金属等がある。 骨材の使用量は、通常、粉体に対して、5重量倍量以
内で選択使用される。ただし、プレパックド工法やポス
トパックド工法などの特殊な成形方法の場合にはこの限
りでない。 以上の材料の他に、補強のため各種繊維や鋼の配合も
可能である。 繊維としては、鋳鉄のびびり切削法による繊維、炭素
鋼繊維、ステンレス繊維、石綿、及びアルミナ繊維等の
各種天然又は合成の鉱物繊維、炭素繊維、ガラス繊維、
並びに、ポリプロピレン、ビニロン、アクリロニトリ
ル、及びセルロース等の天然又は合成の有機繊維等が挙
げられる。 また、補強として従来より用いられている鋼棒やFRP
ロッドを用いることも可能であり、特に大型の高強度セ
メント製成形体を成形する場合は必要不可欠なものであ
る。 また、他の機能、例えば、摺動性を付与するものとし
て二硫化モリブデンや六方晶窒化ホウ素などのいわゆる
固体潤滑剤を配合することも可能であり、さらには油し
み込み性のあるカーボンなどを用いることも可能であ
る。 その他、熱伝導性などの特殊な性能を付与するものを
配合させることも可能である。 上記各材料の混合・混練方法は均一に混合・混練でき
ればいずれの方法でも良く、添加順序も特に制限される
ものではないが、注型面の気泡生成について留意し、真
空混練後、真空注型する方法や、注型前に脱気処理を行
うなどして気泡を除去することが好ましい。 研摩する前の本成形体はあらかじめ得られた各種材料
の混練物を、フレームなどを周囲に用意した元型に注型
し、硬化後元型より脱型し、養生することにより得るこ
とができ、非常に簡便に製作が可能であり、転写性に優
れた表面を有する。 なお、電気伝導性を有する網を、フレームなどを周囲
に用意した元型の表面に被覆し、その上から、混練物を
注型し、硬化後元型より脱型し、養生することにより、
成形体表面で電気伝導性を有する網が一体化された、転
写性や製作方法の簡便さに優れている本成形体を得るこ
ともできる。 成形体の養生として、各種の養生方法が可能であり、
常温養生、常圧蒸気養生、高温高圧養生、及び高温養生
等のいずれの方法も採用することができ、必要ならば、
これらを組み合わせることもできる。 なお、本成形体はプラスチックを成形するための射出
成形型などのように成形型の温度調節を行う必要がある
場合には、温調パイプ等を配置したり、外部から加熱・
冷却したりして、本成形体を加熱・冷却することも可能
である。 以上のように製作した本成形体の表面の耐力を向上さ
せる電気メッキの方法について以下述べる。 本成形体の表面を研摩する方法としては、高速回転す
る研削砥石を用いて表面を研摩する方法、研摩布紙を用
いて表面を研摩する方法、表面に高速度で鋼の小球を連
続的に打ちつけるショット・ピーニングによる方法、ド
リルやリーマなどを用いて表面を研摩する方法、金属プ
レス型や鋳物マスター型などの場合には、金属プレス加
工や砂型を成形することにより、意図的に成形体の表面
を摩耗させ研摩する方法、並びに、これらを組み合わせ
た方法等がある。 これらの方法で成形体の表面を研摩することにより、
成形体の表面の電導物の表面積の合計値が本成形体の全
体表面の50%以上となり、かつ、本成形体の表面での電
導物の隣接間距離が5mm以下となることが、電気メッキ
表面層を本成形体表面全体に被覆させ、かつ、電気メッ
キ表面層を本成形体表面と充分接着させる電気メッキを
行うために好ましい。これらの表面積割合と隣接間距離
の範囲外では、本成形体表面に電気メッキを行っても、
電気メッキ表面層を本成形体の表面全体に被覆させ、か
つ、電気メッキ表面層を本成形体表面と充分接着させる
ことは不可能となる場合がある。 本成形体表面をカソードとして浴に浸漬し、本成形体
表面に、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、金、銀、及びス
ズ等各種金属メッキ、鉄とニッケルの合金その他の各種
合金メッキ、並びに、これら金属のマトリックス液中に
複合材微粒子として酸化アルミニウム、炭化珪素、ダイ
ヤモンド、及びPTFE(Polytetrafluoroethylene)等を
共析させた複合メッキ等各種電気メッキを行うことが可
能である。 電気メッキ条件や方法は、通常、カソードが金属であ
る場合の電気メッキ条件や方法をそのまま適用すること
ができる。 電気メッキの準備工程として研磨した本成形体表面を
トリクロルエチレンなどの有機溶剤で脱脂する。 本成形体表面の耐磨耗性向上にはクロムを、また、潤
滑用にはスズを、さらには、肉盛り修正用には銅等を電
気メッキする。 アノードには電気メッキする金属、又は不溶性アノー
ドとして鉛筆を用いる。 また、浴組成、浴温、及び電流密度は電気メッキする
金属により種々異なるが、カソードが金属である場合の
従来の電気メッキ条件が適用される。 電気メッキ表面層の厚みは本成形体表面の耐力向上の
ため20μm以上であることが好ましい。電気メッキ表面
層の厚みが20μm未満では、電気メッキ表面層が外部か
ら繰り返し荷重又は集中荷重を受けた場合、その荷重が
電気メッキ表面層と接着している本成形体表面にも伝達
し、電気メッキ表面層と本成形体の弾性係数の違いによ
り、電気メッキ表面層と本成形体表面とが剥離する場合
がある。 以上の方法により形成された電気メッキ表面層を有す
る本成形体は、表面の耐力を有するため、使用用途は金
属板を形成するための金属プレス型、プラスチックを成
形するための射出成形型、移送成形型、圧空成形型、及
び空成形型等の成形型、並びに、金属を鋳造する砂型を
作るための鋳物マスター型等の各種成形型、工作機械の
ベッド、さらに、定盤等多岐にわたる他、その表面層の
電気伝導性を生かし、電磁波シールド箱にも用いられ
る。
水剤、電気伝導性物質、及び水を主成分とするセメント
組成物を用いて成形した高強度セメント製成形体の表面
を研摩した後、その表面を電気メッキすることを特徴と
する高強度セメント製成形体の電気メッキ方法である。 以下、本発明をさらに詳しく説明する。 本発明に係る高強度セメント製成形体(以下本成形体
という)とは、圧縮強度が1,000kgf/cm2以上を示すもの
で、面の転写性や複雑な形状のものまで成形できなけれ
ばならないことを考慮すると、その成分は、セメント質
物質、超微粉、高性能減水剤、電気伝導性物質及び水を
主成分とし、これに、その他の添加物を必要に応じて加
えたものである。 本発明では、セメント質物質として、エーライト(3C
aO・SiO2)、ビーライト(2CaO・SiO2)、アルミネート
(mCaO・nSiO2、mとnは自然数)、並びに、それらを
主たる成分とする、例えば、アルミナセメントや、普
通、早強、超早強、白色、及び耐硫酸塩等の各種ポルト
ランドセメントセメント等のセメント類の一種又は二種
以上を組み合わせて使用できる他、高炉スラグやフライ
アッシュなどを混合した混合セメント等も一般に使用で
きる。また、高炉スラグを主体としてアルカリ刺激剤と
組み合わせたものや、膨張成分を用いて収縮特性を改善
した膨張セメント、急硬成分を用いて短時間に所要強度
を発現させた急硬セメント、及び石膏系の高強度混和材
等を併用したセメントも使用できる。 膨張セメントの膨張成分としては、エトリンガイド系
のもの、例えば、電気化学工業(株)製商品名「CSA#2
0」又は焼成石灰(CaO)が好ましく、焼成CaO中でも、
1,100〜1,300℃で焼成され、平均結晶径が10μ以下のも
のがより好ましい。 急硬セメントの急硬成分としては、カルシウムアルミ
ネート系のものがよく、例えば、アルミナセメントやア
ルミナセメントと石膏の組み合わせたもの、例えば、電
気化学工業(株)製商品名「デンカES」や小野田セメン
ト(株)製商品名「ジェットセメント」などが用いられ
る。 また、高強度混和材は石膏系のものが好ましく、例え
ば、電気化学工業(株)製商品名「デンカΣ−1000」、
日本セメント(株)製商品名「アサノスーパーミック
ス」等が有効である。 本発明で使用する超微粉は、セメント質物質(平均粒
径10〜30μ程度)の少なくとも1オーダー細かい平均粒
径を有するものであり、平均粒径が2オーダー細かいも
のがセメント質物質や超微粉などと水とを混練した混練
物の流動特性の面から好ましい。 具体的には、シリコン、含シリコン合金、及びジルコ
ニア等を製造する際に副生するシリカダスト(シリカヒ
ューム)やシリカ質ダストが特に好適であり、炭酸カル
シウム、シリカゲル、オパール質珪石、フライアッシ
ュ、高炉スラグ、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び
セメント質物質等の微粉砕品も使用できる。特に、オパ
ール質珪石、フライアッシュ、及び高炉スラグを分級器
と粉砕機とを併用することにより粉砕した超微粉の使用
は硬化収縮を改善するという面から有効である。 超微粉の使用量は、セメント物質と超微粉の混合物
(以下粉体という)100重量部中5〜40重量部が好まし
く、10〜35重量部がさらに好ましい。超微粉の使用量が
5重量部未満では高強度発現効果が小さく、また、40重
量部を越えると混練物の流動性が著しく低下し、成形す
ることが困難となり、かつ、強度発現も不充分となる。 本発明で使用する高性能減水剤とは、セメントに多量
添加しても凝結の過遅延や過度の空気連行を伴わない分
散能力の大きな界面活性剤であって、例えば、ナフタレ
ンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンス
ルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、高分子量リグニ
ンスルホン酸塩、及びポリカルボン酸塩を主成分とする
もの等が挙げられる。 高性能減水剤は、従来、セメントに対して有効成分で
0.3〜1重量%が使用されているが、本発明においては
それよりも多量に添加することが好ましく、その使用量
は、セメント質物質100重量部に対して、有効成分で1
〜5重量部がさらに好ましい。高性能減水剤は、混練物
を低い水/粉体比で得るために必要なものであり、10重
量部を越えると硬化反応にかえって悪影響を与える場合
がある。このような高性能減水剤の使用量において、超
微粉を組み合わせることにより、水/粉体比が25%以下
でも、通常の方法により成形可能な流動性のある混練物
を得ることができる。 ここで使用する水は、セメント成形体成形上必要なも
のであり、本成形体を得るためにはできるだけ少量が良
く、粉体100重量部に対して、水10〜30重量部が好まし
く、12〜25重量部がさらに好ましい。使用水量が30重量
部より多いと本成形体を得ることが困難であり、10重量
部より少ないと、通常の流し込み等の成形が困難とな
る。なお、圧密成形等においてはこれに制限されるもの
ではなく、10重量部より少ない場合においても成形が可
能となる。また、押し出し成形等の通常セメントコンク
リートに用いられている成形方法を用いることも可能で
ある。 電気伝導性物質(以下電導物という)は本成形体を電
気メッキするために必要であり、その電気伝導度は、電
気的導体域である102Ω-1cm-1以上であることが好まし
い。電導物の電気伝導度が102Ω-1cm-1未満の場合に
は、成形体表面を研摩しても電気メッキ表面層を表面全
体に被覆させることが困難である。 電気伝導度が102Ω-1cm-1以上である材料としては、
カーボン、真ちゅう、ジュラルミン、ステンレス鋼、炭
素鋼、及び鋳鉄等の各種合金、アルミニウム、ベリリウ
ム、鉄、ニッケル、及び銅等の各種金属等が挙げられ、
本発明法では、これらの材料を繊維状、網状、及び粒子
状等に加工したもの、例えば、カーボン繊維、真ちゅう
繊維、ステンレス繊維、及び炭素繊維や、カーボン製の
網、真ちゅう製の網、ステンレス製の網、及び炭素鋼製
の網等、並びに、カーボン粒子、ジュラルミン粒子、ス
テンレス粒子、炭素鋼粒子、鋳鉄粒子、アルミニウム粒
子、ベリリウム粒子、鉄粒子、ニッケル粒子、及び銅粒
子等が用いられる。各種粒子は骨材としても使用きこと
が可能である。 これら繊維、網、及び粒子は、本成形体表面を研摩し
た後、電導物の表面積の合計値が本成形体の全体表面の
50%以上となり、かつ、本成形体表面での電導物の隣接
間距離が5mm以下となるように、使用することや配置す
ることが電気メッキを行うために好ましい。 電導物の使用量は特に限定されるものではなく、電導
物の種類、形態により適宜選択できる。 本発明法では、粒子状の電導物以外に通常の骨材を併
用することもできる。 骨材としては、一般に土木建築分野でコンクリートを
調合する際に使用されているものが使用できるが、より
硬質なもの、具体的には、モース硬度6以上、好ましく
は7以上、又は、ヌープ圧子硬度700kg/mm2以上、好ま
しくは800kg/mm2以上のいずれかの基準で選定された骨
材を用いることは、強度を著しく向上させることができ
るので好ましい。 この基準を満足する骨材を例示すれば、珪石、エメリ
ー、黄鉄鉱、磁鉄鉱、黄玉、ローソン石、コランダム、
フェナサイト、スピネル、緑柱石、金緑石、電気石、花
崗岩、紅柱石、十字石、ジルコン、焼成ボーキサイト、
重焼ばん土けつ岩、炭化ホウ素、炭化タングステン、フ
ェロシリコンナイトライド、窒化珪素、溶融シリカ、電
融シリカ、電融マグネシア、炭化珪素、及び立方晶窒化
ホウ素等や機械加工可能なステンレス、鉄粉、及び鉄球
等の金属等がある。 骨材の使用量は、通常、粉体に対して、5重量倍量以
内で選択使用される。ただし、プレパックド工法やポス
トパックド工法などの特殊な成形方法の場合にはこの限
りでない。 以上の材料の他に、補強のため各種繊維や鋼の配合も
可能である。 繊維としては、鋳鉄のびびり切削法による繊維、炭素
鋼繊維、ステンレス繊維、石綿、及びアルミナ繊維等の
各種天然又は合成の鉱物繊維、炭素繊維、ガラス繊維、
並びに、ポリプロピレン、ビニロン、アクリロニトリ
ル、及びセルロース等の天然又は合成の有機繊維等が挙
げられる。 また、補強として従来より用いられている鋼棒やFRP
ロッドを用いることも可能であり、特に大型の高強度セ
メント製成形体を成形する場合は必要不可欠なものであ
る。 また、他の機能、例えば、摺動性を付与するものとし
て二硫化モリブデンや六方晶窒化ホウ素などのいわゆる
固体潤滑剤を配合することも可能であり、さらには油し
み込み性のあるカーボンなどを用いることも可能であ
る。 その他、熱伝導性などの特殊な性能を付与するものを
配合させることも可能である。 上記各材料の混合・混練方法は均一に混合・混練でき
ればいずれの方法でも良く、添加順序も特に制限される
ものではないが、注型面の気泡生成について留意し、真
空混練後、真空注型する方法や、注型前に脱気処理を行
うなどして気泡を除去することが好ましい。 研摩する前の本成形体はあらかじめ得られた各種材料
の混練物を、フレームなどを周囲に用意した元型に注型
し、硬化後元型より脱型し、養生することにより得るこ
とができ、非常に簡便に製作が可能であり、転写性に優
れた表面を有する。 なお、電気伝導性を有する網を、フレームなどを周囲
に用意した元型の表面に被覆し、その上から、混練物を
注型し、硬化後元型より脱型し、養生することにより、
成形体表面で電気伝導性を有する網が一体化された、転
写性や製作方法の簡便さに優れている本成形体を得るこ
ともできる。 成形体の養生として、各種の養生方法が可能であり、
常温養生、常圧蒸気養生、高温高圧養生、及び高温養生
等のいずれの方法も採用することができ、必要ならば、
これらを組み合わせることもできる。 なお、本成形体はプラスチックを成形するための射出
成形型などのように成形型の温度調節を行う必要がある
場合には、温調パイプ等を配置したり、外部から加熱・
冷却したりして、本成形体を加熱・冷却することも可能
である。 以上のように製作した本成形体の表面の耐力を向上さ
せる電気メッキの方法について以下述べる。 本成形体の表面を研摩する方法としては、高速回転す
る研削砥石を用いて表面を研摩する方法、研摩布紙を用
いて表面を研摩する方法、表面に高速度で鋼の小球を連
続的に打ちつけるショット・ピーニングによる方法、ド
リルやリーマなどを用いて表面を研摩する方法、金属プ
レス型や鋳物マスター型などの場合には、金属プレス加
工や砂型を成形することにより、意図的に成形体の表面
を摩耗させ研摩する方法、並びに、これらを組み合わせ
た方法等がある。 これらの方法で成形体の表面を研摩することにより、
成形体の表面の電導物の表面積の合計値が本成形体の全
体表面の50%以上となり、かつ、本成形体の表面での電
導物の隣接間距離が5mm以下となることが、電気メッキ
表面層を本成形体表面全体に被覆させ、かつ、電気メッ
キ表面層を本成形体表面と充分接着させる電気メッキを
行うために好ましい。これらの表面積割合と隣接間距離
の範囲外では、本成形体表面に電気メッキを行っても、
電気メッキ表面層を本成形体の表面全体に被覆させ、か
つ、電気メッキ表面層を本成形体表面と充分接着させる
ことは不可能となる場合がある。 本成形体表面をカソードとして浴に浸漬し、本成形体
表面に、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、金、銀、及びス
ズ等各種金属メッキ、鉄とニッケルの合金その他の各種
合金メッキ、並びに、これら金属のマトリックス液中に
複合材微粒子として酸化アルミニウム、炭化珪素、ダイ
ヤモンド、及びPTFE(Polytetrafluoroethylene)等を
共析させた複合メッキ等各種電気メッキを行うことが可
能である。 電気メッキ条件や方法は、通常、カソードが金属であ
る場合の電気メッキ条件や方法をそのまま適用すること
ができる。 電気メッキの準備工程として研磨した本成形体表面を
トリクロルエチレンなどの有機溶剤で脱脂する。 本成形体表面の耐磨耗性向上にはクロムを、また、潤
滑用にはスズを、さらには、肉盛り修正用には銅等を電
気メッキする。 アノードには電気メッキする金属、又は不溶性アノー
ドとして鉛筆を用いる。 また、浴組成、浴温、及び電流密度は電気メッキする
金属により種々異なるが、カソードが金属である場合の
従来の電気メッキ条件が適用される。 電気メッキ表面層の厚みは本成形体表面の耐力向上の
ため20μm以上であることが好ましい。電気メッキ表面
層の厚みが20μm未満では、電気メッキ表面層が外部か
ら繰り返し荷重又は集中荷重を受けた場合、その荷重が
電気メッキ表面層と接着している本成形体表面にも伝達
し、電気メッキ表面層と本成形体の弾性係数の違いによ
り、電気メッキ表面層と本成形体表面とが剥離する場合
がある。 以上の方法により形成された電気メッキ表面層を有す
る本成形体は、表面の耐力を有するため、使用用途は金
属板を形成するための金属プレス型、プラスチックを成
形するための射出成形型、移送成形型、圧空成形型、及
び空成形型等の成形型、並びに、金属を鋳造する砂型を
作るための鋳物マスター型等の各種成形型、工作機械の
ベッド、さらに、定盤等多岐にわたる他、その表面層の
電気伝導性を生かし、電磁波シールド箱にも用いられ
る。
以下、実施例により本成形体の電気メッキ方法をさら
に詳細に説明する。 実施例1 第1図は自動車のオイルパンを成形するための本成形
体の製作工程と研磨工程模式図を示したものである。 石膏元型1の表面に離型剤「QZ−5T」日本チバガイギ
ー(株)製を吹き付け、雄成形型、しわ押え成形型用鉄
枠2をセットした(工程A)。 次いで電導物を混合した混練物3を注型した。混練物
3は下記の使用材料を用い「真空オムニミキサーOM−30
V」千代田技研(株)製で真空混練した後注型した(工
程B)。 20℃下で1日湿空養生後、硬化した雄成形型4、しわ
押え成形型5を、鉄枠2と共に脱型、反転し、表面に厚
さ1.0mmのシートワックス6「シートワックス」相河工
業(株)製を被覆させた後、雌成形型用鉄枠7をセット
した(工程C)。 工程Bと同様の方法で混練物3を注型した(工程
D)。 工程Cと同様に20℃下で1日湿空養生後硬化した雌成
形型9を脱型し、鉄枠2及び鉄枠7を各々雄成形型4、
しわ押え成形型5、雌成形型9より取りはずし、各々の
成形型を下記の本養生条件で養生した。養生した成形型
各々の裏面に「プラスセメントWR」国際ケミカル(株)
製の樹脂を10mm程度裏打ちした後、裏面を平面切削し、
裏打ち樹脂層10を形成させた。 こうして得られた成形型表面に電気メッキのための電
導物を形成させるための表面研摩方法として、得られた
成形型にP力200t、C力25tを加え、厚さ1.0mmのSPC冷
間圧延鋼板(JIS R 3310−65)を50枚成形加工した。 成形加工した後、雌成形型表面を観察すると、その表
面は鉄粒子及び鋼繊維で表面積の80%が占められてお
り、鉄粒子と鋼繊維からなる表面の電導物の隣接間距離
は1mm以下であった(以下工程E)。 以上の工程により表面を研摩した雌成形型の表面をカ
ソードとし、浴に浸漬させ成形型表面にクロムメッキ表
面層を形成させた。クロムメッキ条件を以下に示す。 <使用材料> セメント:白色セメント、秩父セメント(株)製、80重
量部 超微粉:シリカヒューム、日本重化学工業(株)製、20
重量部 電導物a:粒径1.0mm以下の鉄粒子、「鉄粉A」同和鉄粉
工業(株)製、100重量部 電導物b:粒径0.15mm以下の鉄粒子、「鉄粉NC」同和鉄粉
工業(株)製、100重量部 電導物c:鋳鉄のびびり切削法による繊維、神戸鋳鉄所
(株)製、長さ2mm、10重量部 高性能減水剤:β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮
合物の塩、「セルフロー110P」第一工業製薬(株)製、
2重量部 水:水道水、24重量部 <本養生条件> 50℃1日湿空養生 <クロムメッキ条件> アノード:鉛 脱脂:アセトンで表面を脱脂した。 浴組成:無水クロム酸400g/l、硫酸1.0g/l、フッ酸2ml/
l 浴温:30℃ 電流密度:成形型表面での電流密度は0.23A/cm2 電気メッキ時間:80分 クロムメッキ表面層の厚さ:40μm また、同一条件で製作した4×4×6cmの供試体で測
定した高強度セメント硬化体の圧縮強度は1,500kgf/c
m2、曲げ強度は320kgf/cm2であった(JIS R 5201)。 成形型の上面から見た断面図を第2図、横から見た断
面図を第3図に示す。また、表面を電気メッキした本発
明による成形型のプレス成形結果を、表面を電気メッキ
しなかった成形型のプレス成形結果と共に表1に示す。 クロムメッキ層の表面に接着剤「ハードロックC−32
3」電気化学工業(株)製を薄く0.1mm以下に塗布した
後、その表面に径100mmの鉄製接着板を接着させ接着剤
が硬化後、垂直引張り試験を行った。その結果と成形型
と同一条件で製作した高強度セメント硬化体の引張り試
験結果(ASTM C 190−72)を表1に併記する。 表から明らかなように、本発明による成形型のメッキ
の接着力は70kgf/cm2とコンクリートの強度に近いもの
であった。 実施例2 実施例1の工程Cにおいて、シートワックスを被覆さ
せた後、シートワックス表面に金網12とシートワックス
を接着させるための接着樹脂層11として「ACRハードナ
ーH−300」エー・シー・アール(株)製を約30μmの
厚みに吹き付け、直ちに直径1mmの鋼を幅4mmに織った市
販の金網を表面形状に沿わせてシートワックス表面に接
着させた。 接着樹脂層11が硬化した後、実施例1と同様に雌成形
型用鉄枠7をセットし、混練物を注型し、他は実施例1
と全く同一条件で網入りの第4図のように雌成形型、雄
成形型、しわ押え成形型を得た。 即ち、雌成形型に網を入れた以外は実施例1と全く同
じ工程、使用材料、本養生条件で、雌成形型、雄成形
型、しわ押え成形型をえて、さらにまた、実施例1と全
く同じ表面研摩方法、クロムメッキ条件で網入り雌成形
型表面を電気メッキし、実施例1と全く同じ条件でプレ
ス成形を行い評価した結果、網入り雌成形型を用いた場
合、1,000枚成形したが、メッキ表面層の剥離などな
く、全て所望の製品が得られた上、メッキ表面層と成形
型表面での剥離引張り強度は83kgf/cm2と良好な値が得
られた。 なお、表面研摩した後の網入り雌成形型表面は、鉄粒
子、鋼繊維、及び金網で表面積の98%が占められてお
り、表面の電導物の隣接間距離は0.1mm以下であった。
に詳細に説明する。 実施例1 第1図は自動車のオイルパンを成形するための本成形
体の製作工程と研磨工程模式図を示したものである。 石膏元型1の表面に離型剤「QZ−5T」日本チバガイギ
ー(株)製を吹き付け、雄成形型、しわ押え成形型用鉄
枠2をセットした(工程A)。 次いで電導物を混合した混練物3を注型した。混練物
3は下記の使用材料を用い「真空オムニミキサーOM−30
V」千代田技研(株)製で真空混練した後注型した(工
程B)。 20℃下で1日湿空養生後、硬化した雄成形型4、しわ
押え成形型5を、鉄枠2と共に脱型、反転し、表面に厚
さ1.0mmのシートワックス6「シートワックス」相河工
業(株)製を被覆させた後、雌成形型用鉄枠7をセット
した(工程C)。 工程Bと同様の方法で混練物3を注型した(工程
D)。 工程Cと同様に20℃下で1日湿空養生後硬化した雌成
形型9を脱型し、鉄枠2及び鉄枠7を各々雄成形型4、
しわ押え成形型5、雌成形型9より取りはずし、各々の
成形型を下記の本養生条件で養生した。養生した成形型
各々の裏面に「プラスセメントWR」国際ケミカル(株)
製の樹脂を10mm程度裏打ちした後、裏面を平面切削し、
裏打ち樹脂層10を形成させた。 こうして得られた成形型表面に電気メッキのための電
導物を形成させるための表面研摩方法として、得られた
成形型にP力200t、C力25tを加え、厚さ1.0mmのSPC冷
間圧延鋼板(JIS R 3310−65)を50枚成形加工した。 成形加工した後、雌成形型表面を観察すると、その表
面は鉄粒子及び鋼繊維で表面積の80%が占められてお
り、鉄粒子と鋼繊維からなる表面の電導物の隣接間距離
は1mm以下であった(以下工程E)。 以上の工程により表面を研摩した雌成形型の表面をカ
ソードとし、浴に浸漬させ成形型表面にクロムメッキ表
面層を形成させた。クロムメッキ条件を以下に示す。 <使用材料> セメント:白色セメント、秩父セメント(株)製、80重
量部 超微粉:シリカヒューム、日本重化学工業(株)製、20
重量部 電導物a:粒径1.0mm以下の鉄粒子、「鉄粉A」同和鉄粉
工業(株)製、100重量部 電導物b:粒径0.15mm以下の鉄粒子、「鉄粉NC」同和鉄粉
工業(株)製、100重量部 電導物c:鋳鉄のびびり切削法による繊維、神戸鋳鉄所
(株)製、長さ2mm、10重量部 高性能減水剤:β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮
合物の塩、「セルフロー110P」第一工業製薬(株)製、
2重量部 水:水道水、24重量部 <本養生条件> 50℃1日湿空養生 <クロムメッキ条件> アノード:鉛 脱脂:アセトンで表面を脱脂した。 浴組成:無水クロム酸400g/l、硫酸1.0g/l、フッ酸2ml/
l 浴温:30℃ 電流密度:成形型表面での電流密度は0.23A/cm2 電気メッキ時間:80分 クロムメッキ表面層の厚さ:40μm また、同一条件で製作した4×4×6cmの供試体で測
定した高強度セメント硬化体の圧縮強度は1,500kgf/c
m2、曲げ強度は320kgf/cm2であった(JIS R 5201)。 成形型の上面から見た断面図を第2図、横から見た断
面図を第3図に示す。また、表面を電気メッキした本発
明による成形型のプレス成形結果を、表面を電気メッキ
しなかった成形型のプレス成形結果と共に表1に示す。 クロムメッキ層の表面に接着剤「ハードロックC−32
3」電気化学工業(株)製を薄く0.1mm以下に塗布した
後、その表面に径100mmの鉄製接着板を接着させ接着剤
が硬化後、垂直引張り試験を行った。その結果と成形型
と同一条件で製作した高強度セメント硬化体の引張り試
験結果(ASTM C 190−72)を表1に併記する。 表から明らかなように、本発明による成形型のメッキ
の接着力は70kgf/cm2とコンクリートの強度に近いもの
であった。 実施例2 実施例1の工程Cにおいて、シートワックスを被覆さ
せた後、シートワックス表面に金網12とシートワックス
を接着させるための接着樹脂層11として「ACRハードナ
ーH−300」エー・シー・アール(株)製を約30μmの
厚みに吹き付け、直ちに直径1mmの鋼を幅4mmに織った市
販の金網を表面形状に沿わせてシートワックス表面に接
着させた。 接着樹脂層11が硬化した後、実施例1と同様に雌成形
型用鉄枠7をセットし、混練物を注型し、他は実施例1
と全く同一条件で網入りの第4図のように雌成形型、雄
成形型、しわ押え成形型を得た。 即ち、雌成形型に網を入れた以外は実施例1と全く同
じ工程、使用材料、本養生条件で、雌成形型、雄成形
型、しわ押え成形型をえて、さらにまた、実施例1と全
く同じ表面研摩方法、クロムメッキ条件で網入り雌成形
型表面を電気メッキし、実施例1と全く同じ条件でプレ
ス成形を行い評価した結果、網入り雌成形型を用いた場
合、1,000枚成形したが、メッキ表面層の剥離などな
く、全て所望の製品が得られた上、メッキ表面層と成形
型表面での剥離引張り強度は83kgf/cm2と良好な値が得
られた。 なお、表面研摩した後の網入り雌成形型表面は、鉄粒
子、鋼繊維、及び金網で表面積の98%が占められてお
り、表面の電導物の隣接間距離は0.1mm以下であった。
本発明の高強度セメント製成形体の電気メッキ方法
は、高強度セメント製成形型が転写性に優れており、成
形体の製作が簡便であるという長所を有し、かつ、成形
体の表面の耐力を著しく向上させる方法であることにそ
の効果を見いだすものである。
は、高強度セメント製成形型が転写性に優れており、成
形体の製作が簡便であるという長所を有し、かつ、成形
体の表面の耐力を著しく向上させる方法であることにそ
の効果を見いだすものである。
第1図は本発明の成形型の製作工程と研摩工程の模式図
である。 第2図は成形型の上面から見た断面図である。 第3図は成形型の横から見た断面図である。 第4図は金網を入れた成形型の断面図である。 符号 1……石膏元型 2……鉄枠 3……混練物 4……雄成形型 5……しわ押え成形型 6……シートワックス 7……鉄枠 8……鉄板 9……雌成形型 10……裏打ち樹脂層 11……接着樹脂層 12……金網
である。 第2図は成形型の上面から見た断面図である。 第3図は成形型の横から見た断面図である。 第4図は金網を入れた成形型の断面図である。 符号 1……石膏元型 2……鉄枠 3……混練物 4……雄成形型 5……しわ押え成形型 6……シートワックス 7……鉄枠 8……鉄板 9……雌成形型 10……裏打ち樹脂層 11……接着樹脂層 12……金網
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高口 一二三 市原市五井南海岸6番地 電気化学工業 株式会社千葉工場内 審査官 瀬良 聡機 (56)参考文献 特開 昭59−5506(JP,A) 特開 昭49−104904(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】セメント質物質、超微粉、高性能減水剤、
電気伝導性物質、及び水を主成分とするセメント組成物
を用いて成形した高強度セメント製成形体の表面を研摩
した後、その表面を電気メッキすることを特徴とする高
強度セメント製成形体の電気メッキ方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61248486A JP2559713B2 (ja) | 1986-10-21 | 1986-10-21 | 高強度セメント製成形体の電気メツキ方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61248486A JP2559713B2 (ja) | 1986-10-21 | 1986-10-21 | 高強度セメント製成形体の電気メツキ方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63105997A JPS63105997A (ja) | 1988-05-11 |
JP2559713B2 true JP2559713B2 (ja) | 1996-12-04 |
Family
ID=17178876
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61248486A Expired - Lifetime JP2559713B2 (ja) | 1986-10-21 | 1986-10-21 | 高強度セメント製成形体の電気メツキ方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2559713B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5319606B2 (ja) * | 1973-02-05 | 1978-06-22 | ||
JPS595506A (ja) * | 1982-06-30 | 1984-01-12 | 住友化学工業株式会社 | 導電回路材 |
-
1986
- 1986-10-21 JP JP61248486A patent/JP2559713B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63105997A (ja) | 1988-05-11 |
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