JP2559711Y2 - 薄型コイルの保持機構 - Google Patents

薄型コイルの保持機構

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JP2559711Y2
JP2559711Y2 JP1992008998U JP899892U JP2559711Y2 JP 2559711 Y2 JP2559711 Y2 JP 2559711Y2 JP 1992008998 U JP1992008998 U JP 1992008998U JP 899892 U JP899892 U JP 899892U JP 2559711 Y2 JP2559711 Y2 JP 2559711Y2
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隆祐 東
政夫 竹村
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、面対向型モータなどに
適用可能な薄型コイルの保持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】面対向型モータなどの薄型化を図るため
に、駆動コイルとしてスライスコイルと称する薄型コイ
ルを用いる場合がある。実開平2−197103号公報
記載のものはこのような薄型コイルの例である。このよ
うな薄型コイルをモータの駆動コイルとして用いるに当
たっては、複数の薄型コイルを周方向に配列して保持す
るためのコイル保持機構が用いられる。
【0003】従来の薄型コイルの保持機構は、回路パタ
ーンのない枠体に複数の凹部を形成し、各凹部に薄型コ
イルを挿入配置してリードフレームにコイルの電極端子
を半田付けし、あるいは、鉄基板等の回路基板上に薄型
コイルを直接配置するとともに回路基板に形成された回
路パターンの半田付けランドに薄型コイルの電極端子を
直接半田付けしていた。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】上記の、枠体の凹部に
薄型コイルを挿入配置するものによれば、薄型コイルを
精度よく配置することができるが、コイルの電極端子を
リードフレームに半田付けするのは作業性が悪いという
難点がある。また、回路基板上に薄型コイルを直接配置
するとともに回路基板上の半田付けランドに薄型コイル
の電極端子を直接半田付けするものによれば、複数の薄
型コイルを所定の位置に精度よく配置するのは困難であ
るとともに、回路パターンによって薄型コイルの巻層間
がショートしないように特別に対策を施す必要があると
いう難点があった。
【0005】そこで本出願人は、コイル形状の複数の凹
部を有していて樹脂からなるコイル枠体を、結線パター
ン状に加工された金属パターン板とともに一体成形し、
コイル枠体の上記凹部にコイルを挿入配置し、このコイ
ルを金属パターン板の結線パターンに各コイルの電極端
子を半田付け等によって接続してなる薄型コイルに関し
て先に実用新案登録出願した。実願平3−53737号
にかかる考案がそれである。このような薄型コイルによ
れば、複数の薄型コイルを位置精度よく配列することが
できるとともに、各薄型コイルの電極端子の接続が容易
になるという利点があり、また、薄型コイルの巻層間の
ショート防止対策を特別に施す必要がないという利点が
ある。
【0006】しかし、上記出願のような薄型コイルに
も、まだ改良の余地がある。すなわち、薄型コイルの電
極端子を接続する金属パターン板が磁性材料であるとす
れば、磁気回路内に、金属パターンが存在するところと
存在しないところとで磁気的なアンバランスを生じ、薄
型コイルをモータに用いた場合には回転むらを生じるな
ど、不具合を生じ、品質を低下させる要因となってい
た。
【0007】本考案は、このような点に鑑みてなされた
もので、コイル形状の複数の凹部を有していて樹脂から
なるコイル枠体が、結線パターン状に加工された金属パ
ターン板とともに一体成形されてなる薄型コイルの保持
基板において、磁気回路内に、金属パターンが存在する
ところと存在しないところとで磁気的なアンバランスが
生じるのを防止し、もって、磁気的なアンバランスが生
じることによって生じる不具合を防止して、薄型コイル
を用いた機器の品質向上を図ることができる薄型コイル
の保持機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】 本考案は、金属板の不
要部分を除去して結線パターン状に加工された金属パタ
ーン板に対して、コイル形状の複数の凹部を有するコイ
ル枠体が樹脂で一体成形されてなり、上記金属パターン
は、コイルの内周側もしくは外周側の少なくとも一方
の電極端子に対応する位置に折り曲げ端子を有するとと
もに、非磁性でかつ電気的導通がある材質からなること
を特徴とする。
【0009】
【作用】樹脂からなるコイル枠体の各凹部にコイルを挿
入配置する。コイル枠体と一体成形された金属パターン
板の結線パターンに各コイルの巻き初めと巻き終りを接
続することによりコイルの内部配線が行われる。金属パ
ターン板が非磁性の材料で作られることにより、金属パ
ターン板が存在するところと存在しないところで磁気的
なアンバランスが生じることはない。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照しながら本考案にかかる薄
型コイルの保持機構の実施例について説明する。ただ
し、本考案にかかる薄型コイルの保持基板の構造は、そ
の製造工程を段階的に説明した方が理解しやすいので、
製造工程を段階的に説明することにする。
【0011】図4は、本考案にかかる薄型コイルの保持
基板を得るための金属パターン板の例を示す。図4にお
いて、正方形状の金属パターン板1にはプレス又はエッ
チングなどの加工方法で不要部分が除去され結線パター
ン2が形成されている。この場合、最終的に必要とする
完全な結線パターン2が残るように打ち抜くと、結線パ
ターン2の一部が金属パターン板1から分離してしまう
ので、結線パターン2は最終的なパターンではなく、金
属パターン板1の本体部分と結線パターン2との間の適
所にパターン保持部4,5を残した不完全なパターンと
なっていて、金属パターン板1の本体部分と結線パター
ン2とがパターン保持部4,5で一体に連結された形に
なっている。また、結線パターン2の内周側にはほぼリ
ング状の結線パターン12があり、この結線パターン1
2から放射状に延びた端子部8およびこれに続くパター
ン保持部7によって結線パターン2と上記結線パターン
12が一体に連結されている。パターン保持部4と結線
パターン12との接続部分のうち周方向に一定間隔で配
置されている接続部分には、薄型コイルの外側の電極端
子を接続するための平面端子9が設けられている。
【0012】このように、結線パターン2,12を形成
した金属パターン板1の上記結線パターン2の片面側に
は、図5に示すように、絶縁樹脂を射出して結線パター
ン2と一体化した円形のコイル枠体3を一体成形する。
コイル枠体3は金属パターン板1のほぼリング状の結線
パターン12の部分も覆っている。樹脂成形の際、あと
の工程でコイルの配置を容易にするため、コイル枠体3
の周方向に一定の間隔で、コイルの平面形状にあわせた
ほぼ台形状の凹部10をコイル数にあわせて複数個所に
形成する。各凹部10には薄型コイルが挿入される。各
凹部10を形成する周壁の一部は、コイル枠体3の外周
部において切り欠かれ、各凹部10毎に切欠部23が形
成されている。各切欠部23の形成位置は、凹部10に
挿入配置される薄型コイルの外周側電極端子と前記平面
端子9との接続部近傍であって、各切欠部23において
上記平面端子9が露呈している。
【0013】図4に示すように、金属パターン板1のコ
イル枠体3との一体成形部、特に結線パターン2の部分
には多数の突起11が設けられている。突起11は結線
パターン2の両側に形成されている。従って、上記のよ
うに樹脂を射出して結線パターン2と一体化したコイル
枠体3を形成したとき、成形樹脂が上記突起11の周囲
を取り囲み、金属パターン板1の結線パターン2とコイ
ル枠体3との密着強度が強くなる。
【0014】上記のようにしてコイル枠体3を樹脂で成
形した後、金属パターン板1の各パターン保持部4,5
をプレスパンチで切り離し、コイル枠体3を金属パター
ン板1から切り離す。コイル枠体3は金属パターン板1
の結線パターン2,12の部分をインサート成形するた
め、図1、図2に示すように、コイル枠体3によって結
線パターン2が一体に保持されている。コイル枠体3の
各凹部10の中心部には、各凹部10の外形に相似の中
心孔16が形成されている。この各中心孔16を上記各
パターン保持部5が横切っているので、このパターン保
持部5を上記のようにプレスパンチで切り離して端子部
8を残し、さらにこの端子部8を上記中心孔16の縁部
に沿って立ち上げることにより折り曲げ端子17を形成
する。
【0015】図1、図2に示すように、コイル枠体3の
各凹部10には薄型コイル15が挿入されて配置され
る。薄型コイル15は、コイル枠体3の凹部10に挿入
配置される形態、従って、扁平な空間内に平面方向に巻
き回されているものであれば製造方法などは特に限定さ
れないが、絶縁層を被着した導体箔を巻回した巻回体を
所定の厚さに切断してコイルを得、このコイルの巻初め
と巻終りに給電用の電極端子を形成したものを用いるこ
とができる。図3はこのような薄型コイルの例を示すも
ので、薄型コイル15は巻初めと巻終り、すなわち内周
側端部と外周側端部にそれぞれ電極端子18,19を有
している。
【0016】コイル枠体3の各凹部10に薄型コイル1
5を挿入配置することにより、内周側の電極端子18が
前記折り曲げ端子17に沿い、外周側の電極端子19が
前記平面端子9の上に位置する。この状態でリフロー半
田付けを行えば、電極端子18が折り曲げ端子18に、
電極端子19が平面端子9に半田付けされ、コイル15
の結線が完了する。ちなみに、図示の例では各コイル1
5が3相Y形に結線される。リフロー半田付けで各コイ
ル15が結線パターン2,12に結合されることによ
り、各コイル15はコイル枠体3と実質的に一体化され
ることになるが、各コイル15をコイル枠体3により強
固に一体化するために、コイル枠体3に接着してもよ
い。
【0017】前記金属パターン板1は、その結線パター
ン2,12を通じてコイル15に給電する必要があるた
め、電気的導通がある材質である必要がある。ただし、
ここでは、金属パターン板1の材質が、電気的導通があ
る材質であるという条件を満足するのみでなく、非磁性
の材質で作られているものとする。このように、非磁性
でかつ電気的導通がある材質として、真鍮、燐青銅、ア
ルミニウム、18−8ステンレス鋼、洋白(Cu−Ni
−Zn)などがあり、これらの中から適宜のものを選択
して使用すればよい。特に、金属パターン板1の材質と
して洋白を用いた場合は、一体成形する樹脂材料が液晶
ポリマーの場合のように高温の条件で成形するものであ
っても、洋白でなる金属パターン板は酸化しにくく、後
工程での半田付けの容易性も損なわれないという利点が
ある。
【0018】図1、図2に示すように、複数の薄型コイ
ル15を保持してなる保持基板は回路基板20上に配置
される。回路基板20はモータの基板を兼ねており、予
めホール素子等の位置検出素子21が複数個一定間隔で
所定の位置に取付けられ、所定の回路パターンに電気的
に接続されている。上記薄型コイルの保持基板を回路基
板20上に配置することによって、位置検出素子21が
コイル枠体3の凹部10に形成された中心孔16を通し
て薄型コイル15の中心孔に配置される。図示の例では
コイルが3相構成になっていて3個の位置検出素子21
が配置されている。また、前記複数のパターン保持部4
のうち所定の3個は、図1に示すように全てが除去され
ることなく一部が残されており、この3個のパターン保
持部4が回路パターンに接続されてコイルに給電される
ようになっている。
【0019】このようにして、各薄型コイル15および
位置検出素子21が外部回路に接続される。位置検出素
子21はモータのロータマグネットと対向し、ロータマ
グネットの回転位置を検出する。位置検出素子21の検
出信号であるロータマグネットの回転位置信号に応じて
各コイルへの通電を切り換えることにより、ロータマグ
ネットを含むロータを回転駆動することができる。
【0020】なお、各コイル15の電極端子18と折り
曲げ端子17の接続、電極端子19と平面端子9との接
続と、パターン保持部4と回路パターンとの接続は、1
回のリフロー半田付けで同時に行ってもよい。各コイル
15の外周側の電極端子19を接続する保持基板側の端
子は平面端子9としたが、平面端子9の一部を折り曲げ
て折り曲げ端子としてもよい。
【0021】コイル枠体3を含むコイル全体の厚さ寸法
をできるだけ小さくしてコイルの薄型化を図る一方、コ
イルの占積率をできるだけ高くするためには、コイル枠
体3に形成したコイル挿入部10の底部の厚さ寸法をで
きるだけ薄く、例えば、0.15〜0.3mm程度とす
る。また、結線パターン2,12の厚さ寸法は0.05
〜0.1mm程度とする。
【0022】以上説明した実施例によれば、コイル形状
の複数の凹部10を有していて樹脂からなるコイル枠体
3が、結線パターン状に加工された金属パターン板1と
ともに一体成形されてなる薄型コイルの保持基板におい
て、金属パターン板1が非磁性の材料で作られるている
ため、金属パターン板1が存在するところと存在しない
ところで磁気的なアンバランスが生じることはなくな
り、薄型コイル15をモータに用いた場合に回転むらが
生じるなどの不具合を防止することができ、品質の向上
を図ることができる。
【0023】本考案にかかる薄型コイルの保持機構は、
面対向型モータの駆動コイルに適用することができるほ
か、コイルを用いる各種機器のコイルの保持機構として
適用することができる。
【0025】
【考案の効果】 本考案によれば、次のような効果を得
ることができる。 (1) コイル形状の複数の凹部を有していて樹脂からな
るコイル枠体が、結線パターン状に加工された金属パタ
ーン板とともに一体成形されてなる薄型コイルの保持基
板において、金属パターン板が非磁性の材料で作られる
ているため、金属パターン板が存在するところと存在し
ないところで磁気的なアンバランスが生じることはなく
なり、薄型コイルをモータに用いた場合に回転むらが生
じるなどの不具合を防止することができ、品質の向上を
図ることができる。(2)金属板からなる金属パターン板にコイル枠体が樹
脂で一体成形されているので、薄型形状にしても金属パ
ターン板の剛性によってコイル保持基板全体の剛性を高
めることができる。 (3)金属パターン板は、コイルの内周側もしくは外周
側の少なくとも一方の電極端子に対応する位置に折り曲
げ端子を有しているため、一体成形されたコイル枠体の
コイル形状の凹部にコイルを挿入すると、容易にコイル
の電極端子と金属パターン板との電気的接続をとること
ができる。しかも、金属パターン板の一部を折り曲げて
端子を形成してあるので、金属パターン板自体の剛性が
一層高いものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかる薄型コイルの保持機構の実施例
を示す平面図。
【図2】図1中の線A−Aに沿った分解断面図。
【図3】本考案に用いられる薄型コイルの例を示す平面
図。
【図4】本考案に適用可能な金属パターン板の例を示す
平面図。
【図5】同上金属パターン板にコイル枠体を一体成形し
た状態を示す平面図。
【符号の説明】
1 金属パターン板 2 結線パターン 3 コイル枠体 10 凹部 15 薄型コイル

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の不要部分を除去して結線パター
    ン状に加工された金属パターン板に対して、コイル形状
    の複数の凹部を有するコイル枠体が樹脂で一体成形され
    てなり、 上記金属パターン板は、コイルの内周側もしくは外周側
    の少なくとも一方の電極端子に対応する位置に折り曲げ
    端子を有するとともに、非磁性でかつ電気的導通がある
    材質からなることを特徴とする薄型コイルの保持機構。
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