JP2559213B2 - 軽量印刷用紙の製造方法 - Google Patents

軽量印刷用紙の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は印刷用紙、各種プリンター用紙としての適
性、即ち印刷適性、通紙適性、印字適性等を有し、かつ
比較的嵩高い軽量印刷用紙の製造方法に関する。さらに
詳しくは繊維壁の厚いパルプ、たとえばホワイトオー
ク、レッドガムなどのアメリカ南部広葉樹さらしパルプ
と、比重の小さい填料、たとえば尿素樹脂系填料を用
い、水分塗工カレンダー処理することを特徴とする嵩高
で不透明かつ平滑性を有する軽量印刷用紙の製造方法に
関する。
〔従来技術〕
紙に文字、図柄等の情報を記録し、伝達するための手
段として印刷、インパクトプリンテイング、ノンインパ
クトプリンテイング等があるが、各々グラビア印刷、オ
フセット印刷、ドットインパクトプリンテイング、静電
記録、インクジエットプリンテイング、感熱転写プリン
テイングなどの方法がある。これらの各機械装置に用い
られる用紙として上質紙もしくは普通紙で坪量が65〜10
0g/m2程度のものが広く用いられている。近年これら用
紙の材料費、輸送費、保管容積その他のてい減等から、
用紙の坪量を軽くすることが社会的に要請されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし用紙の坪量を軽くすると厚さが小さくなるため
腰が弱くなり、通紙適性を満足することができない。従
来この解決手段として各種の方法が提案されている。た
とえば特開昭54−50605号(特公昭57−13680号)は填料
粒子を凝集させて紙料に配合し紙匹に大きな内部空隙を
形成させる方法を開示した。
また、特殊な形状の炭酸カルシウムを配合した剛度お
よび不透明度のすぐれた内填紙が提案されている(特公
昭56−44198号)。しかしながら用紙としては実用上平
滑度たとえばオフセット印刷用紙で50〜300秒(ベック
平滑度、以下同様)が好ましく、グラビア印刷用紙で80
0秒程度が好ましいとされている。また各種プリンター
用紙についても記録の際のミスドットの発生を防ぎ、網
点の再現性を確保するために50〜100秒程度の平滑度が
好ましいとされている。なお、特開昭60−209098号には
尿素ホルムアルデヒドポリマーを用いて透き通しと、滲
み通しのない新聞巻取紙の軽量紙が提案されており、特
開昭58−24000号には未叩解紙料に微細繊維を混合して
抄造した印刷用上級紙が提案されているが、低密度でオ
フセット印刷適性に必要な平滑度50秒以上を満足するも
のは得られていない。
これらの要請に対しては抄造原紙をカレンダーにより
平滑化する必要があるが、上記開示の発明は原紙の空隙
構造にのみ依存するためカレンダー掛けにより効果が大
幅に低下する。そこで現在では原紙を殆どカレンダー掛
けしない低密度−低平滑度の用紙、もしくはカレンダー
掛けした高密度−高平滑度の用紙がそれぞれ、その使用
に耐える用途のみに対して製造、上市され、普遍的に用
いうる低密度−高平滑度の用紙は未だ提供されていな
い。
〔発明の目的〕
本発明は前記従来技術の問題点に鑑み、坪量40〜55g/
m2の印刷用紙(プリンター用紙を含む)の製造方法であ
って、前記通紙適性を満たすと考えられる密度0.7g/cm3
以下で100秒以上の平滑度を有する白色不透明な軽量印
刷用紙の製造方法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者は第1の原紙の嵩と用紙の嵩および平滑度と
の関係について研究を重ねた結果、繊維壁の厚い広葉樹
さらし化学パルプとかさ高い填料とを選択し、これらを
必須配合成分として用いることにより、原紙の骨格構造
に依存し、これに空隙構造を付加した嵩高い原紙をうる
ことができることを見出した。第2にカレンダー掛け
(カレンダリングともいう)の方法について、具体的に
はカレンダリングの際に行う原紙への水分添加の条件に
ついて研究を重ねた結果、後に述べる水分塗工カレンダ
リングを行うことにより嵩の減少を最小にとどめ所定の
平滑度が得られることを見出した。従って本発明が特定
する配合成分からなる原紙を用いて、水分塗工カレンダ
リングを行うことにより、用紙の品質、特に嵩と平滑度
および不透明度について最もすぐれた効果が得られる。
なお以下の説明においてカレンダーにはスーパーカレン
ダーを含む。
本発明により、繊維壁の厚さと繊維幅の比が、平均値
として0.6以上である広葉樹さらし化学パルプを叩解し
て、30〜40゜SRのパルプ紙料とした後、パルプ紙料に、
主として比重1.0〜2.0の填料を原紙中に填料割合20%以
下に内添し、さらにサイズ剤、紙力剤等の製紙用内添薬
品を内添して完成紙料とした後、抄紙し、サイズプレス
によって紙の片面あたり固形分0.3〜3.0g/m2の表面サイ
ズ処理を行なった後、乾燥して、坪量40〜55g/m2、密度
0.5〜0.6g/cm3の原紙を製造した後、原紙に、紙の片面
あたり0.5〜5g/m2の水分を塗工し、塗工後10〜100ミリ
秒以内に、ロール表面温度80〜150℃、線圧20〜40kg/cm
で水分塗工カレンダー処理することを特徴とする密度0.
7g/cm3以下でベック法による平滑度100秒/10ml以上の軽
量印刷用紙の製造方法が提供される。
(パルプ紙料) 本発明のパルプ紙料としては、繊維壁の厚さが繊維幅
の0.6倍以上である広葉樹さらし化学パルプを主たるパ
ルプとして用いる。このようなパルプが得られる樹種は
たとえば一般名称でレッドオーク、ホワイトオーク、イ
エローポプラ、リバーバーチなどの広葉樹で、アメリカ
南部地方などで産出する。本発明者は入手した各種広葉
樹クラフトパルプ(LBKP)について繊維デイメンシヨン
を測定し、第1表に繊維壁の厚さ/繊維幅の比率を2W/D
として例示した。2W/Dの測定法はTAPPI T401m−60に準
拠して測定点を決めて、100点以上の計測を行い統計的
に平均値を求めた。
第1表の1欄および2欄記載の各パルプを30゜SRに叩
解した後、坪量50g/m2でシートマシンにより原紙を抄紙
し、密度を測定したところ1欄記載のパルプを用いたも
のは0.63〜0.66g/cm3であったが、2欄記載のパルプを
用いたものは0.55〜0.60g/cm3のように低い値を示し
た。なお、填料として尿素樹脂系のユーパール 1(三
井東圧化学製1次粒子径0.1〜1μm、2次粒子径8〜1
2μm、比重1.45)を対パルプ10〜20%(固形分重量
%、以下同様)添加したものについて比較した。填料添
加量の増加に伴い、いずれの原紙の密度も漸減したが2W
/Dに由来する密度の差異は依然として存在した。填料添
加による密度の減少を考慮すると本発明では2W/Dが0.6
以上の広葉樹さらし化学パルプを用いることができる。
このように厚壁のパルプを用いると用紙の嵩は原紙に依
存する傾向が強くなるので、通常の方法によりカレンダ
リングした場合でも前記先行発明や対照パルプを配合し
た用紙に化し、一層嵩高い用紙をうることができる。な
お、本発明にいう0.6以上の2W/D値は前記した測定法の
とおり、配合されたパルプの2W/Dの平均値であれば足
り、0.6以上のパルプの配合を排除するものではない。
パルプの叩解度は30〜40゜SRの範囲で実施される。用紙
の坪量としては40〜55g/m2のものが提供できる。またパ
ルプとしては第1表の2欄のLBKPが好適である。なおサ
ーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、故紙パルプのよう
な機械パルプ、再生パルプを配合して嵩を増しうる場合
もあるが強度、印刷適性が劣るため配合するの望ましく
ない。
(填 料) 填料としては、主として比重1.0〜2.0の有機、無機填
料を用いる。有機填料としては尿素樹脂系の填料(比重
1.45)、発泡樹脂(比重1.10)、ポリスチレンのような
プラスチツクピグメント、無機填料としては合成シリカ
(比重1.95)、真珠岩系のものなどを用いることができ
る。比重1.0〜2.0のものに限定したのは、この範囲のも
のが用紙のかさ増し材料として好適であるからである。
粒子径としては通常製紙内添用として用いうる範囲、即
ち平均粒子径1〜20μmのものであればよい。なお、通
常は白色填料を用いるが目的により着色填料を用いる場
合もある。上記した各種の填料は単独使用はもちろん、
混合して用いることもできる。填料の添加量は抄紙され
た原紙中の填料割合が20%以下で、かつ不透明度が80%
以上になるように調節する。填料割合が20%以上になる
と空隙構造の寄与率が大きくなり、カレンダリングによ
り嵩の減少が大きくなりやすい。
上記の填料のうち、かさ増し性、不透明度、歩留等が
最もすぐれた填料は尿素樹脂系填料である。尿素樹脂系
の填料は例えば特開昭54−135893号に開示された方法で
作られる。この方法ではホルムアルデヒド水溶液、尿
素、カルボキシメチルセルロース及び水を混合した後、
苛性ソーダ水にてpHを7に調整し、反応させて初期縮合
物が得られる。この初期縮合物の液を数%の硫酸水溶液
とインラインミキサーで連続的に混合しつつ、混合物が
固化を開始する前に耐酸性ゴムの無端ベルト上に供給さ
れ、混合液はベルト上で固化する。このようにして得ら
れる固化物に水を加え、撹拌してスラリー化し、次いで
中和した後、コロイドミルで微粉砕し、架橋尿素ホルム
アルデヒドポリマー粒子の分散液(填料分散液)が得ら
れる。商品形態はこれを別脱水した例えば25%固形分
のケーキ状物である。なお別脱水した廃液を回収利用
する方法も開示されているが(特開昭57−53519号)、
品質特性および商品形態は前記と同様である。なお、紙
の嵩および不透明度を維持しつつ強度を改善するため
に、本発明が特定する填料の40%以下をその他の填料た
とえば沈降性炭酸カルシウム(比重2.6〜2.8)で代替し
て用いることは本発明の好ましい態様の1つである。40
%以上では尿素樹脂系填料などの嵩高効果を妨げやす
い。結晶形、粒子形には制限はなくカルサイト、アラゴ
ナイト、塊状(前記特公昭56−44198号)等いづれも用
いることができる。
(原紙の製造方法) パルプは広葉樹さらし化学パルプを叩解し、叩解度30
〜40゜SRのパルプ紙料とする。これに所定の填料を加え
て完成紙料とし、長網抄紙機を用い坪量40〜55g/m2で抄
紙する。完成紙料には紙力向上、印刷適性、筆記適性、
歩留等の向上を目的として、アルキルケテンダイマー
系、石油樹脂系等の中性サイズ剤、その他酸性サイズ
剤、およびカチオン化でんぷん、カチオン化ポリアクリ
ルアミドその他通常の内添薬品を加えることができる。
またでんぷん、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、耐水化剤等の公知の表面サイズ剤をサイズプレ
ス、オンマシンコーター等において塗工することができ
る。表面サイズ剤は通常、紙の片面あたり0.3〜3g/m2
工し紙匹水分を2〜6%に調節し、原紙とする。このよ
うに製造した原紙の密度は完成紙料の配合如何により0.
5〜0.6g/cm3の嵩高いものが得られる。
(水分塗工カレンダリング) 本発明に用いる原紙は、以下に述べる水分塗工カレン
ダリングを採用することにより、通常のカレンダリング
に比し嵩の減少が少く平滑性のある嵩高い用紙をうるこ
とができる。一般にカレンダーロールのニップ圧、通過
時間、水分、温度等を上げると紙の嵩が減少することは
知られている。またカレンダーによる平滑化作用は砕木
パルプを含む印刷用紙について、次のように説明されて
いる(S・SchmidtおよびR・Kirbis,紙匹の平担化工程
における温度の役割、ヴオッヒエンブラットフュア パ
ピア フアブリカチオン23/24・1979.P.933〜P.940)。
これを要約すると1)紙匹の外層に存在するセルロース
及びリグニンのガラス転移点は水分が存在すると著しく
低下する。たとえば乾燥状態における純セルロースのガ
ラス転移点は220℃であるが、5%の水分を含有する結
晶化度55%の純セルロースのガラス転移点は約100℃に
低下する。またリグニンのガラス転移点は水が存在する
と80〜90℃である。ガラス転移点以上では原紙表面が可
塑性となり線圧による平滑化作用をうけやすくなる。し
かし原紙の温度が高すぎると、この作用は最早その外層
上に限られなくなり、経験上、不透明度、気孔度、白色
度、ピッキング強度等が損われる。このようなことから
カレンダー掛けは通常ロール表面温度を最高95℃程度ま
でで運転される。2) 線圧一定の場合、ロール表面温
度が高いほど高い平滑度が得られ、かつ嵩の減少は少く
てすむ。従って一定の平滑度をうるにはロール表面温度
を高くして線圧を減らすことにより嵩の減少を防ぐこと
ができる。3) ロールを加熱しない場合でも圧潰作用
により所望の平滑度は得られるが、加熱した場合に比し
嵩の減少が著しく大きい。
しかしながら前記S・SchmidtおよびR・Kirbisは上
記のような温度一水分効果はグラビア印刷用紙のように
顧客から800秒という高い平滑度が要求されている場合
にのみ効果があり、オフセット用紙のように要求平滑度
が低い場合(100〜300秒)には平滑度と嵩のコントロー
ルが困難であると記載している。たとえばロール温度30
〜60℃、線圧180〜210da N/cm、入口水分6〜8%、出
口水分4〜6%で平滑度100〜300秒が得られるが、原紙
は全プロフイルにわたって圧縮されるという。
本発明者は主として平滑度100秒以上の軽量印刷用紙
を得るための製造方法として水分塗工カレンダリングに
着目した。水分塗工カレンダリングとは、カレンダリン
グ時に紙表面の水分を高く紙層内部の水分が低くなるよ
うに水分を塗工することをいう。一般に紙表面に水分を
添加すると水はある濡れ時間の後に紙中への滲透が始ま
る。この濡れ時間とは紙表面の凹部に水が流れ込む時間
および繊維表面が化学的に濡れる時間である。
従って、この濡れ時間のうちにロールニップを通過す
れば、水分が増加した原紙外層のセルロース等のガラス
転移点の低下または水分を吸収したパルプ繊維の軟化等
により、より少い嵩の減少で紙面が平滑化される。濡れ
時間は原紙の製造条件、特に原紙の表面サイズ剤の量に
より調節し、水分塗工後10〜100ミリ秒以内にカレンダ
リングする。前記したように表面サイズ剤は紙匹の片面
あたり0.3〜3g/m2(固形分、以下同様)を塗工する。0.
3g/m2以下では塗工水分が内層に滲透しやすいし、塗工
作業も困難となる。また3g/m2以上になるとパルプ繊維
の吸水が妨げられるので可塑化しにくく本発明の効果は
あげにくい。好ましい表面サイズ剤の量は片面あたり0.
5〜2g/m2である。なお、表面サイズ剤は上記のような作
用をなすとともに、親水性の表面サイズ剤はそれ自体が
膨潤し平滑性を増すことに役立つ。従って表面サイズ剤
の一部を塗工水分中に加えて用いることにより平滑度を
高めうる場合もある。塗工する水分の量は紙面の状態に
より異り、主として紙面に存在する凹部の数と容積から
算出できるが、実用上は片面あたり0.5〜10g/m2の水分
を塗工する。塗工装置、塗工作業の容易さなどの点から
0.5〜5g/m2の水量が好適である。塗工装置は均一に水分
添加ができるものであればよく制限はない。ロールコー
ターが好適であるが、スリットやノズルから加圧して水
を出す方式、霧吹き方式なども用いることができる。カ
レンダリングの際の加熱はセルロース等の可塑化と乾燥
のために通常はロール表面温度80〜150℃で行われる。
しかし本発明方法では場合により常温でも効果がある。
また加圧条件は20〜40kg/cmの線圧で行うことができ
る。本発明が特定する原紙を用い、水分塗工カレンダリ
ングを行うことにより密度0.7g/cm3以下、特に0.55〜0.
65g/cm3で平滑度が10秒以上の用紙をうることができ
る。
以上、カレンダーを用いる場合の水分塗工について説
明したが、カレンダーはチルドロールからなる抄紙機カ
レンダー、チルドロールと弾性ロールからなるスーパー
カレンダーのいずれでもよいことは勿論である。また製
紙工業においては、紙を平滑にする各種の機械装置たと
えばクロムメッキ加熱シリンダーを用いたり、カレンダ
ーロールと大径の加熱シリンダーを組合せた“グロスカ
レンダー”などが知られているが、本発明方法の技術的
思想の範囲内にある限り、いずれの方法をも含むもので
ある。
〔発明の効果〕
本発明はパルプとして繊維壁の厚いパルプを用いた
ので原紙の骨格構造自体が嵩高なものとなったこと、
空隙構造に寄与する填料の添加は最少範囲にとどめたこ
と、以上によりカレンダリングによる圧縮抵抗性の大き
い原紙を作ることができる。
また水分塗工カレンダリングにより原紙に付与された
水分が原紙面に留まり、内部に滲透する前にロールニッ
プを通過するから、原紙面のみが可塑性になり高密度化
され、内層が低密度の原紙構造を殆ど破壊されない作用
効果が得られる。即ち本発明により製造された用紙は、
紙の表裏が高密度で内層が低密度という3層構造を有す
るものであって、これによって全体として低密度で嵩高
い軽量印刷用紙を提供できるものである。本発明により
製造された軽量印刷用紙は前記各種の印刷方式に普遍的
に用いうるが白色度が高いので特に色彩豊かな多色印刷
に好適である。
〔実施例1〕 ホワイトオーク、レッドガム等のアメリカ南部材のLB
KPアラバマリバー(商品名、アラバマリバーパルプ社
製、繊維壁/繊維幅比0.667)を30゜SRまで叩解後、2
次粒子径8〜12μmの尿素樹脂系有機填料ユーパール
I(三井東圧化学製)を対パルプ20%(固形分重量比、
以下同様)、中性サイズ剤としてサイズパイン K901
(荒川林産化学製)を対パルプ0.5%、紙力増強剤とし
てポリストロン PS619(荒川林産化学製)を1.0%添加
した後シートマシンで坪量40g/m2,55g/m2を目標に抄紙
し乾燥した。表面サイズ剤としてとうもろこしでんぷん
SK−100(商品名、日本コーンスターチ製)4%濃度、
ポリビニルアルコール(デンカサイス A−50、電気化
学製)1.17%濃度、表面サイズ剤MS−501(商品名、三
洋化成製)0.18%濃度、合計5.35%濃度の水溶液を調整
した。これを前記シートマシン抄きの紙にテストサイズ
プレス機を用いて固形分として0.5g/m2づつ表裏に均一
に塗工し乾燥し原紙を作った。原紙の必要な物性を第2
表に示した。この原紙をテスト用スーパーカレンダーの
チルドロールとアスベストロール間のニップ手前70ミリ
秒の所で片面あたり2g/m2の水をグラビアロールを用い
て通紙速度200m/分で付着させた後、線圧20kg/cm、ロー
ル表面温度140℃でロールニップを通過させて完成紙を
作った。その紙質を第2表に示した。
第2表によれば完成紙の嵩の減少(密度の増加)は僅
かであり、かつ平滑度および不透明度の高いものが得ら
れた。また完成紙の断面構造を電子顕微鏡で観察したと
ころ高密度の外層と低密度の内層との3層構造をなすこ
とが確認できた。本例の完成紙をフオグラ印刷適性試験
機を用いて試験し良好な結果を得た。これに対し、第2
表の55g/m2品の原紙を水分塗工をせずに通常のカレンダ
ー条件である50℃、20kg/cmの条件で処理したところ密
度0.68g/cm3、平滑度70秒/100mlの完成紙を得た。この
ことから本発明が特定する原紙を用いれば格別なカレン
ダー操作を行わなくても効果があり、水分塗工により更
に効果が増すことが判る。因みに市販の軽量印刷用紙の
密度は0.64〜0.65g/cm3で平滑度は40秒/10ml(表)と低
く、その断面プロフイル構造は3層に分化しているとは
認め難かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 27/00 合議体 審判長 宮本 晴視 審判官 河合 厚夫 審判官 久保田 健 (56)参考文献 特開 昭60−209098(JP,A) 特開 昭58−24000(JP,A) 大江礼三郎翻訳監修「紙およびパルプ 製紙の化学と技術」第294〜296頁、有限 会社中外産業調査会発行

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維壁の厚さと繊維幅の比が、平均値とし
    て0.6以上である広葉樹さらし化学パルプを叩解して、3
    0〜40゜SRのパルプ紙料とした後、 パルプ紙料に、主として比重1.0〜2.0の填料を原紙中の
    填料割合20%以下に内添し、さらにサイズ剤、紙力剤等
    の製紙用内添薬品を内添して完成紙料とした後、 抄紙し、サイズプレスによって紙の片面あたり固形分0.
    3〜3.0g/m2の表面サイズ処理を行なった後、乾燥して、
    坪量40〜55g/m2、密度0.5〜0.6g/cm3の原紙を製造した
    後、 原紙に、紙の片面あたり0.5〜5g/m2の水分を塗工し、塗
    工後10〜100ミリ秒以内に、ロール表面温度80〜150℃、
    線圧20〜40kg/cmで水分塗工カレンダー処理することを
    特徴とする密度0.7g/cm3以下でベック法による平滑度が
    100秒/10ml以上の軽量印刷用紙の製造方法。
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大江礼三郎翻訳監修「紙およびパルプ製紙の化学と技術」第294〜296頁、有限会社中外産業調査会発行

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JPS62177299A (ja) 1987-08-04

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