JP2558134B2 - 高能率電解クロムめっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高能率電解クロムめっき鋼板の製造方法

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JP2558134B2 JP63003095A JP309588A JP2558134B2 JP 2558134 B2 JP2558134 B2 JP 2558134B2 JP 63003095 A JP63003095 A JP 63003095A JP 309588 A JP309588 A JP 309588A JP 2558134 B2 JP2558134 B2 JP 2558134B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電解クロムめっき鋼板の製造方法に関するも
のである。
従来の技術 従来、ティンフリースチールクロミウムタイプ(Meta
l−Cr[下層]/Oxide−Cr[上層]:以下TFS−CTと略称
する。)の製造方法としては、同一の浴組成を用いる一
浴によるものと異なる浴組成を用いる二浴による方法が
知られている。
一浴によるTFS−CTの製造方法の例としては特公昭35
−8207、特公昭41−13008等があり、この方法は無水ク
ロム酸を含有する特定の組成の浴中で電解処理を行ない
金属クロムを主体とする下層皮膜とクロム水和酸化物を
主体とする上層皮膜よりなる皮膜を同時に形成する方法
であり、そのコントロールのために種々の添加剤を使用
している。
また、一浴によるTFS−CTの製造法の他の例としては
特公昭46−19522の方法があり、この方法は無水クロム
酸を含有する特定の組成の同一浴を用いて電流密度を変
えて2ステップの電解処理を行ない、金属クロムを主体
とする下層皮膜とクロム水和酸化物を主体とする上層皮
膜を個別に制御する方法である。
発明が解決しようとする課題 従来からこの二つの方法の中で、一浴法によるTFS−C
T製造法の問題点は (1)Metallic−Crの析出は比較的容易であるが、その
上のOxide−Crの析出制御は非常に難しく、制御法とし
ては浴調整、特に添加元素の選択、その量のコントロー
ルによって制御している。電解液としてはCrO3 150g/
以下という比較的低濃度の溶液を用いる場合、添加剤と
して、フェノールジスルフォン酸、カテコールジスルフ
ォン酸またはそれらの水溶性塩、あるいは少量のH2SO4
とフッ素化合物等を使用する方法(特公昭35−8207、特
公昭41−13008等)、またはCrO3にチオシアン基金属化
合物とふっ化アルミニウムとふっ化アルカリ金属との複
塩を添加する方法(特公昭47−35172)等が知られてい
る。
しかしMetallic CrとOxide Crの制御を添加剤を使用
することのみで行うことは非常に困難である。例えば特
公昭43−2768に述べられているようにCrO3=40g/、H2
SO4=0.5g/、電流密度15A/dm2の条件でMetallic−Cr
88mg/m2、Oxide−Cr 57mg/m2のものが得られているが、
この条件中H2SO4を0.42g/に変更すると、Metallic Cr
は110mg/m2、Oxide Crは117mg/m2と変化しており、その
生成量が添加剤以外の条件により大きく変わることがわ
かる。
(2)電流密度が非常に低く、生産性が悪い。即ち高電
流密度で作業することは困難であり、せいぜい70A/dm2
が限界であった。そのため従来は電解層のパスライン、
槽数を増やさなくては目的のものが得られなかった。
(3)1浴法でMetallic−CrとOxide−Crをコントロー
ルする前記の特公昭46−19522に示されている方法での
問題点は、ラインスピードによって2ステップ目の電流
調整を決め細かく行なう必要があり、高度の制御技術が
要求される。
1ステップ目でMetallic−Crを付け、その上に残って
いるOxide−Crが2ステップ目の電解を受けるまでの間
に溶解するが、その量がラインスピードによって変わる
からである。また、このOxide−Crの溶解量はめっき浴
組成の変化によっても大きく変わり、そのコントロール
は非常に難しい。
本発明の目的はこのような従来法の問題点を解決する
ために新規な電気めっき方法を提供することにある。ま
た、他の目的は電解析出被膜組成のコントロールが容易
な電気めっき方法を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明は、走行する鋼ストリップを挟んで対向配置さ
れ、鋼ストリップと対向する電極面にめっき液噴出孔を
有する静圧流体パッド電極を1つの電解槽内に少なくと
も2対配置した電解めっき装置を用いて、走行する鋼ス
トリップ面に前記のめっき液噴出孔から電気めっき液を
噴出するとともに鋼ストリップ入側の電極部で70A/dm2
超の高電流密度で電解し、次いで鋼ストリップ出側の電
極部で電気めっき液流速を1.0m/秒以上にコントロール
しながら、無通電で処理するか若しくは50A/dm2以下の
電流密度で電解処理することを特徴とする高能率電解ク
ロムめっき鋼板の製造方法である。
また本発明は、1つの電解槽内に走行する鋼ストリッ
プを挟んで対向配置され、鋼ストリップと対向する面に
めっき液噴出孔を有する静圧流体パッドと該パッドの長
手方向(ストリップ進行方向)の前後に電極を配設した
電気めっき装置を用いて、走行する鋼ストリップ面に前
記のめっき液噴出孔から電気めっき液を噴出するととも
に鋼ストリップ入側の電極部で70A/dm2超の高電流密度
で電解し、次いで鋼ストリップ出側の電極部で電気めっ
き液流速を1.0m/秒以上にコントロールしながら、無通
電で処理するか若しくは50A/dm2以下の電流密度で電解
処理することを特徴とする高能率電解クロムめっき鋼板
の製造方法である。
作用 以下本発明を詳細に説明する。
ティンフリースチールは近年その需要量が飛躍的に延
びて来ており、従来のブリキにとって変わろうとしてい
る。その需要は美術缶から食缶まで年々用途が拡大され
て来ている。TFS−CTの製造において金属クロムは電着
効率が低くこの効率を如何に上げるか、その上に生成す
る酸化クロームの量、質を如何にコントロールするかが
問題である。特に酸化クロームの特性が重要で、耐食
性、特に塗装後の耐食性を左右する酸化クロームの制御
が重要である。
本発明者等はこのようなTFS−CT製造法における課題
を解決するために研究を行なう中で従来の複数のタンク
を配置して、これらのタンク中に鋼板を連続的に通板し
ながら電解する方法では前記の課題を解決することは困
難であるとの結論に至った。
そこで本出願人より出願された特願昭55−28026、特
願昭57−18836等において提案した高効率電解方法に着
目して、この電解方法を採用すると同時に、同一電解槽
内において電極を金属ストリップの進行方向において高
電流密度域と低電流密度域に区分して、この区分した領
域で通電量をコントロールすることによって前記の課題
を一挙に解決できることを見出した。
以下、本発明を第1図に示す電解装置を用いて電解処
理する場合について説明する。
第1図は鋼とストリップ1と対向する電極面に、例え
ば第2図に示すような電気めっき液噴出孔としてスリッ
ト7を穿設した静圧流体パッド電極4を、それぞれ対向
配置した2対の電解装置AとBを備えた垂直型の高性能
電解装置の例であり、流体パッド4のスリットノズル7
よりストリップ1にめっき液を噴射することにより、パ
ッド電極4とストリップ1間の間隙3にめっき液が充満
されるので通電によりめっきが行われる。
このように電極の中央部に静圧パッド4とストリップ
1との間隙3に静圧が発生し、この静圧によりストリッ
プは安定に支持されるのでストリップと電極を近接化で
き、また、めっき液は電極の長手方向の中央部から噴射
されるのでめっき液の流れがスムーズで、電析に要する
金属イオンを迅速に補給することにより低電圧による高
電流密度めっきを達成することができる。
本発明はこのような高性能めっき方法を採用すると共
に、例えば第4図に示すストリップ入側の電極パッドA
を高電流密度域として高電流を通してめっきし、一方ス
トリップ出側の電極パッドBにおいてはめっき液流速、
またはめっき液流速と通電量によって生成皮膜の付着量
およびその品質をコントロールすることに特徴がある。
以下、TSF−CTを第1図に示す電解装置で製造する場
合についてその被膜構成との関連で説明する。一般的に
TFS−CTの被膜は下層にMetallic−Crを付着させ、次に
2パス目でOxide−Crを所定量付着させる。この場合の
めっき浴の例は第1表に示すようなものを使用すること
ができる。
また第1図に示す電解装置で製造する場合の設定電解
条件の例を第2表に示す。尚、この場合にはラインスピ
ードを300m/分とした例である。
第1表の各種浴を用いて電解浴中の電極間にストリッ
プを通板する従来セルおよび第1図に示す装置を用いて
ストリップ入側電極パッドA部で1パスのみによって電
解を行なった場合の結果を第3表に示す。
以上のように、第1図の電解装置を用いると極間短縮
と高電流密度、高流速化によって電解電圧の低減および
電流効率の向上が見られる。Oxide−Crの生成量につい
ては高電流密度化によって従来セルによる場合よりやや
増加するが、この場合はストリップ入側での1パスのみ
であるため、後述するようにストリップ出側の2パス目
によって制御が可能である。
第3表は電流密度が250A/dm2の場合の例を示したが、
前記の電圧の低減および電流効率の有利性は70A/dm2
から認められ、好ましくは100A/dm2以上が良く、150A/d
m2以上では効果が顕著である。
実施例 第1表の浴組成の中でB浴とF浴を用いて第2表の電
解条件で1パス目と2パス目の2回に分けてTFSめっき
を行なった場合の電流効率とOxide−Crの生成量につい
ての実施例を第4図に示す。
第4表より明らかなように、第3表に比較して最終的
なOxide−Crの量は第1図に示す電解装置を用いて2パ
スで処理することによって最適値である10mg/m2前後に
制御することが容易である。また、ストリップ出側パス
(2パス目)は電解を行なわないで1.0m/秒以上になる
ように流速制御するだけでOxide−Crの量をコントロー
ルすることが望ましいが、より高性能の皮膜特性が要求
される場合は前記同様の流速制御に加えてなるべく少な
い電流密度(50A/dm2以下)で電解を行なうことが電流
効率の向上につながり、電力費の削減となる。
さらに本発明により一つの電解セル内で電気めっきと
皮膜の後処理を同時に行なうことが可能となる。
尚、以上の実施例では第1図に示した電解装置を用い
てめっきした場合について説明したが、第3図に示す装
置も同様に用いることができる。
第3図は横型の高性能電解装置で、電解槽10内に、鋼
ストリップ1と対向する面にめっき液噴出孔7を有する
静圧流体パッド8と、このパッド8の長手方向(ストリ
ップ進行方向)の前後に電極CとDを配設した構成の電
極部材をストリップ1を挟んで上下に対向配置して電解
装置全体を構成している。
流体パッド面に設けられた例えば第3図に示スリット
ノズル7より鋼ストリップ1にめっき液を噴射すること
により電極C及びDと鋼ストリップ間にめっき液が充満
されるので通電によりめっきが行われる。
この例でも第1図の電解装置と同様に流体圧パッドを
含む前記の電極部材と鋼ストリップ1の間に静圧が発生
して、鋼ストリップは安定に支持されるので、鋼ストリ
ップ1と電極の間隙を近接化でき、また電析に要する金
属イオンを迅速に補給できるので低電圧による高電流め
っきを達成できる。従って第3図の装置を用いる場合に
は鋼ストリップの入側の電極C領域で高電流密度による
めっきを行い、鋼ストリップの出側電極Dの領域でOxid
e Crの生成量をコントロールできる。
発明の効果 本発明は以下の効果がある。
電極間を近接して電気めっきが行えるので電解電圧を
低減できる。
高電流密度、高流速化によって電流効率が向上する。
Oxide Crの生成量をコントロールすることが容易であ
る。
1つの電解槽で、Metal CrとOxide Crの生成量をコン
トロールして電解クロムめっき鋼板を高効率で安価に製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するために使用する電解装置の例
を示す立面図、第2図は流体パッド面に設けられためっ
き液噴出孔の例を示す図、第3図は本発明を実施するた
めに使用する電解装置の他の例を示す立面図である。 1……鋼ストリップ、2……電解槽、3……間隙、4…
…静圧流体パッド電極、5……通電ロール、6……通電
ロール、7……めっき液噴出孔、8……静圧流体パッ
ド、9……液体シールノズル、A……電解装置、B……
電解装置、C……鋼ストリップ入側電極、D……鋼スト
リップ出側電極。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行する鋼ストリップを挟んで対向配置さ
    れ、鋼ストリップと対向する電極面にめっき液噴出孔を
    有する静圧流体パッド電極を1つの電解槽内に少なくと
    も2対配置した電解めっき装置を用いて、走行する鋼ス
    トリップ面に前記のめっき液噴出孔から電気めっき液を
    噴出するとともに鋼ストリップ入側の電極部で70A/dm2
    超の高電流密度で電解し、次いで鋼ストリップ出側の電
    極部で電気めっき液流速を1.0m/秒以上にコントロール
    しながら、無通電で処理するか若しくは50A/dm2以下の
    電流密度で電解処理することを特徴とする高能率電解ク
    ロムめっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】1つの電解槽内に走行する鋼ストリップを
    挟んで対向配置され、鋼ストリップと対向する面にめっ
    き液噴出孔を有する静圧流体パッドと該パッドの長手方
    向(ストリップ進行方向)の前後に電極を配設した電気
    めっき装置を用いて、走行する鋼ストリップ面に前記の
    めっき液噴出孔から電気めっき液を噴出するとともに鋼
    ストリップ入側の電極部で70A/dm2超の高電流密度で電
    解し、次いで鋼ストリップ出側の電極部で電気めっき液
    流速を1.0m/秒以上にコントロールしながら、無通電で
    処理するか若しくは50A/dm2以下の電流密度で電解処理
    することを特徴とする高能率電解クロムめっき鋼板の製
    造方法。
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