JP2557813Y2 - 浴室におけるポールの設置構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、身障者、老人等が浴槽
に入る際、手すりとして把持して浴槽への入るのを補助
するポールの設置構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】浴室の浴槽への入浴に際し、身障者、老
人、子供等の浴槽への出入りを補助するため、浴槽の両
側、壁面等に手すりが設置されている。上記した手すり
は、従来では、浴槽のリム部両側や、浴槽の出入り側と
は反対側の壁面に設けられ、浴室内の床面を歩行して浴
槽に進んでも、浴槽の出入り部分に手すりが無いため、
歩行が困難な利用者や、老人等においては、浴槽への出
入りが不便で、手すりを浴槽のリム部に設けたもので
は、浴槽への出入りには屈み込む姿勢を強要され、出入
りし難い。一方、浴槽の出入り側の反対側の壁面に手す
りを設けた場合には、身体を壁面側に屈んだり、斜にし
て浴槽に出入りする必要があり、浴槽への出入りが困難
であったり、床上で滑ったりして危険でもあり、上記と
同様に不便である。

【０００３】そこで、従来技術として実開平２―９５７
５５号を本出願人は提案した。この技術は、浴槽の出入
り側のリム部上と、天井間にポールを縦設するもので、
浴槽への出入りに際し、浴槽の出入り部に縦設されたポ
ールを手すりとして把持し、身体をポールに預けて出入
りすることができるので、身障者や老人等は安全に、容
易に浴槽への出入りを行うことができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】以上のポール式の手す
りは、浴槽の出入り側のリム部上に起設され、リム部に
はボルトを下方の支持部材を介して起設し、一方、天井
下面にはボルトを垂下、固設し、ボルト間にポールをナ
ット部材を介して螺着している。

【０００５】以上の従来技術は、浴槽リム部にボルトを
下方の支持部材を介して起設、固定する必要があり、一
方、天井にはボルトを垂下、固設する必要があることか
ら以下の如き問題がある。即ち、浴槽リム部と天井間に
介装、縦設されるポールの脱着性に乏しいこと、次に、
浴槽のリム部に、下方の支持部材を介してボルトを起設
するため、ボルトはリム部を縦貫することとなり、浴槽
もポール設置の専用タイプとなってしまい、不要な場
合、取り外すとリム部にボルト取付け孔が残り、これの
閉塞等の加工を必要とし、加工後も傷跡が残り、外観性
の点で好ましくないこと、又、薄肉の浴槽リム部にポー
ルが起設されるので、ポールに入浴者の体重が過大にか
かったりした場合、ポールが過大に押されたり、引っ張
られることからリム部のポール取付け部が変形する虞が
あり、好ましくないこと、等の問題がある。

【０００６】本考案は、かかる課題を解決すべくなされ
たもので、その目的とする処は、浴槽の出入り用の手す
りをなすポールの脱着性を向上し、後付け、設置された
ポールの取り外しを極めて容易化し、且つ、ポール設置
時における浴槽へのポールの依存を無くして、ポール利
用による浴槽の変形等を防止して浴槽を保護し、更に、
浴槽の外観に何等の変更を加えることなく手すり用ポー
ルを設置し得るようにしたことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めの手段は、把持することができる径のポールを、浴槽
に近接して床と天井間に立設するようにした浴室におい
て、天井に脱着自在なホルダを介してネジ杆を脱着自在
に垂下、設置し、一方、床上にはホルダを載置してネジ
杆を起設し、上記上下のネジ杆に、ポールの上下端部に
固設したナット部材を螺合し、浴室の天井と床との間
に、ポールを脱着自在に起設するようにした浴室におけ
るポール設置構造である。又、上記ポールが配設される
浴槽側面には、洗い場側に突出する係止部材を脱着自在
に突設し、ポールの係止穴と、該係止部材とを脱着自在
に係合させるようにしたことである。

【０００８】

【作用】上記手段によれば、天井のネジ杆は天井にホル
ダを介して脱着自在であり、床のネジ杆はホルダを介し
て床上に載置され、従って、この間に、両端部にナット
部材のあるポールを縦設、螺合させるだけなので、脱着
が容易で、又、床、天井は勿論、浴槽リム部も傷つくこ
とが無く、浴槽の外観性を損ねることが無い。更に、浴
槽の外側面をなす、エプロン等に係止部材を脱着自在に
突設し、ポールの係止穴に係合させるので、ポールには
必要、且つ充分の強度、剛性を付与することができる。

【０００９】

【実施例】以下に本考案の一実施例を添付した図面に従
って詳述する。図１は本考案にかかるポールの設置構造
を示す縦断側面図、図２はポールと浴槽係合部の関係を
示すポール要部の背面図、図３は第２図要部の横断平面
図、図４はポール設置以前の浴槽部の縦断側面図、図５
は浴室の一例を示す平面図、図６は上記浴室の一側面
図、図７は上記浴槽の奥の壁面側の図、図８は上記浴槽
の他側面図である。

【００１０】本考案にかかるポールは浴室内に設置さ
れ、浴室Ｂは例えば図５乃至図８に示す如くである。浴
室Ｂと脱衣室Ｃ等の居住室側との間には、図５に示すよ
うに固定戸２、引き戸３からなる出入口１が設けられ、
浴室Ｂ内は出入口１を除いて三方を側壁４、奥の壁５、
側壁６で囲まれ、下方には床パン７が配設されて床パン
７上には図１、図４に示すように、例えばタイル８が表
面材として敷設され、洗い場床面を構成する床面Ｆが設
けられている。そして、上部には天井板部材９が配設さ
れて天井Ｒを構成し、上記壁４，５，６、床面Ｆ、天井
Ｒで区画された浴室Ｂが形成されている。

【００１１】床面Ｆ上の奥の壁面５に一側面を近接し、
壁面４，６間には浴槽１０を配設し、浴槽１０は実施例
では気泡浴槽とし、気泡噴出部１１…を前後に備え、左
右には手すり１２，１２を、又前部には給湯、給水用の
カラン１３が配設され、浴槽１０のリム部１０―１の前
部の左右には、気泡発生切換えスイッチ等のスイッチ１
４，１４が配設されている。尚、図中１５は浴室Ｂの外
に配設された気泡発生ユニットである。

【００１２】浴室Ｂの浴槽１０と平行する奥の壁面５に
は、図７に示すようにＬ型の手すり１６が配設され、浴
槽１０の後方の壁面６には、図８に示すように手すり１
７、浴槽の蓋の係止部材１８、物干し用ワイヤの係止部
１９等が設けられている。浴槽１０の前側の壁面４に
は、図６に示すように下部にカウンタ２０が設けられ、
この部分に石鹸ホルダ２１、給湯、給水用カラン２２が
配設され、壁面４の出入口側には鏡２３が、これに隣接
してシャワー器具２４が配設され、壁面の中間部には高
さの有る蓋付きの物入れ２５が設置され、物入れ２５の
下部は温度調整、追い焚等を制御するコントロールパネ
ル２６が配設されている。そして、壁面４には上部に照
明２７，２７が左右に設けられ、天井部材９の浴槽１０
上方部には、乾燥機付きの換気装置２８が設置されてい
る。

【００１３】以上において、浴槽１０の洗い場床面Ｆ側
の側面の前後方向の中間部には手すり用のポール３０を
設け、ポール３０は、天井Ｒと床面Ｆとの間に縦に架設
され、縦設される。ポール３０は浴槽１０の側面に図１
の如く近接して配設され、ポールの上下端部は天井Ｒ及
び床面Ｆに支持され、中間部及び下部の浴槽１０側は、
浴槽１０の側面に係合、支持される。

【００１４】ポール３０は浴室Ｂ内には通常は設置され
ず、設置後に不用な場合には浴室Ｂから取り外す。ポー
ル３０の設置以前、及びポール３０を取り外した状態を
図４で示し、浴室Ｂの浴槽１０側面上方の天井板部材９
には、孔９―１を穿設し、天井部材９の裏面である上面
にはチャンネル材等からなる補強板４０を添設し、補強
坂４０上には支持坂４１を介してナット４２を固設し、
上記した孔９―１からボルト状栓部材４３をナット４２
に螺合し、栓部材４３は下部に薄いフラットなフランジ
部４３―１を備え、天井部材９の下面に開口する孔９―
１を塞ぎ、化粧する。

【００１５】一方、浴槽１０の本体１０―２の上端リム
部１０―１の端部下端部１０―３は、浴槽１０を囲むよ
うに設けられたカウンタ１００に載置、支持され、カウ
ンタ１００はスペーサ１０１を介して側面視コ型の支持
部材１０２の上端部に固定、支持され、支持部材１０２
の下端部は、内側に折曲されて内側への取り付けフラン
ジ部１０３を形成し、フランジ部１０３を床パン７の浴
槽支持部の山型突部７―１に固定され、支持されてい
る。カウンタ１００の外端部には、板状のエプロン１０
４を垂下、設置し、エプロン１０４は、外側の表面材１
０５と、内側に基板１０６とからなり、カウンタ１００
の外端部下面から床面Ｆ近くまで垂下、設置されてい
る。

【００１６】エプロン１０４の裏側の上記した支持部材
１０２の垂直部には、上下にチャンネル状の支持板１０
７を介してナット１０８を固設し、一方、エプロン１０
４には上下に孔１０９を穿設し、エプロン１０４の外側
から化粧ボルト１１０を螺合し、エプロン１０４を支持
部材１０２に固定する。化粧ボルト１１０の頭部は外側
にエプロンの表面材１０５と同色の外被材を被冠し、目
立ないようにする。床面Ｆには何等の加工を施さない。

【００１７】ポール３０は把持し易い径の円筒状をな
し、防錆に優れ、強度、剛性の高いステンレス鋼材等で
形成され、天井Ｒ、床面Ｆ間の高さよりも長さが短い。
ポール３０の上下には、ナット部材３１，３２が内装、
固定され、図２に示す如く、背面には上部の径が小さ
く、下部の径が大きい連続しただるま状の係止穴３３
が、中間部の上下に設けられている。

【００１８】以上のポール３０の取り付けは、次の如く
行われる。先ず、天井板９の下面に露出する上記したボ
ルト状栓部材４３を取り外す。次に、取付ベース４４を
用意し、取付ベース４４は、下部にフランジ部４５―１
を有し、この上にボルト部４５―２を起設した基部材４
５と、基部材４５のフランジ部４５―１にビス４６…で
結着された凹皿状のホルダ部材４７と、ホルダ４７の中
間部に形成された凹部４７―１にフランジ状頭部４８―
１を遊合、支持した長いボルト部４８―２を有するネジ
杆４８とからなり、ネジ杆４８のボルト部４８―２と頭
部４８―１との間にはネジ杆４８の回動操作用面取部４
８―３を備え、ホルダ４７の凹部４７―１に設けた孔４
７―２から頭部４８―１の首下部が垂下されている。

【００１９】以上の取付ベース４４をホルダ４７中心部
上に突出するボルト部を、天井板９の孔９―１を介して
ナット部材４２に下から螺合結着し、取付ベース４４を
天井板９の下面に脱着自在に結合する。かかる取付ベー
ス４４のネジ杆４８のボルト部４８―２に、ポール３０
の上端部のナット部材３１を螺合する。一方、下端部の
ネット部材３２には、下部取付ベース５０のネジ杆５１
の上部ボルト部５１―２を予め螺合し、ボルト部５１上
には面取部５１―３を備え、下部のフランジ状頭部５１
―１は逆皿状のホルダ５２の凹部５２―１に嵌合し、ホ
ルダ５２の底は基部材５３で塞ぎ、基部材５３はビス５
４…でホルダ５２に結着され、基部材５３、ホルダ５２
の底面はフラットである。

【００２０】以上の下部取付ベース５０をネジ杆５１の
ボルト部５１―２を介してポール３０の下端ナット部材
３２に事前に螺合、結着しておく。ポール３０は、下部
ベース５０をボルト部５１―２とナット部３２との相対
螺回動で縮めておき、ポール３０上端部のナット部材３
１を上部ネジ杆４８のボルト部４８―２に螺合させ、ポ
ール３０上下のナット部材３１，３２と、上下の取付ベ
ース４４，５０のボルト部４８―２、５１―２を、面取
部４８―３，５１―３を介して回動させ、ポール３０を
上下させ、ポール３０の天井Ｒ、床面Ｆとの間の隙間を
所定に設定する。

【００２１】かくして、天井Ｒと床面Ｆ間で、浴槽１０
の出入り側側面にポール３０が縦設されることとなる。
尚、ポール３０の下端部は、取付ベース５０が床面Ｆに
載置され、当接されているだけであるが、天井Ｒ、床面
Ｆ間に突っ張るようにボルト調整することにより、強固
に設置されることとなる。

【００２２】ところで、浴槽エプロン１０４の上記した
化粧ボルト１１０，１１０を取り外し、支持ロッド６
１，６１を基端部に設けたボルト部６１―１で孔１０９
を通してナット１０８に螺着し、支持ロッド６１は頭部
６１―２が径が大きく、頭部６１―２を、上記したポー
ル３０の係止穴３３の大径部３３―１からポール３０内
にこれの軸線と直角になるように嵌合し、爾後、ポール
３０を下降させ、小径部３３―２に頭部６１―２の基部
の小径首部６１―３を係合させ、支持ロッド６１を係止
穴３３に係止する。尚、ポール３０とエプロン１０４の
表面との間には、エプロン１０４の表面を保護するクッ
ション材６２を介装した。

【００２３】以上によりポール３０は、浴槽１０の側面
のエプロン１０４にも係止、支持されることとなる。従
って、ポール３０を手すりとして、浴槽１０への出入り
時に使用者が掴まって大きな力がかかっても、強固、確
実にこれを支持し、天井、床面、浴槽側部に力は分散支
持され、強固な手すり用ポールが設置されることとな
る。

【００２４】ポール３０は、上記の如く取付けるが、取
付はポール３０の下端部に下部取付ベース５０を予め取
付け、天井のボルト状栓部材４３を取り外して上部取付
けベース４４を螺合し、ネジ杆４８，５１を回動調節
し、一方、エプロン１０４の化粧ボルト１１０を外し、
支持ロッド６１を螺着し、ポール３０の係止穴３３に係
合させるだけなので、取付け作業は簡単である。又、ポ
ール３０を使用しない場合には、上記と逆の手順でポー
ル３０、上部取付けベース４４を取り外し、且つ、支持
ロッド６１を取り外し、ボルト状栓部材４３、化粧ボル
ト１１０を取付ければ旧に復することができる。

【００２５】

【考案の効果】以上で明らかなように本考案によれば、
浴槽の出入り側に近接してポールを設置するに際し、ポ
ールの下端部にボルト、ナットにより取付ベースを設け
てこれを床面に載置し、上端部を天井に脱着自在とした
取付ベースにボルト、ナットで取付け、天井と行け面間
に突っ張るように設置したので、脱着作業が極めて容易
となり、利用時の設置、不用時の取り外しが容易に行
え、且つ、浴槽側面のエプロン等にロッドを突設して、
ポールと係合させる構造なので、ポールと浴槽の係合も
簡単、且つ容易になされ、支持剛性、強度に優れた浴槽
出入りの手すり用ポールが設置し得る。

【００２６】又、ポールの不用時、取り外し時において
も、天井の取付孔には栓部材を、エプロン等には化粧ボ
ルトを装着すれば外形に変更が無く、取り外し時の外観
性も向上し、且つ、天井と床面間に天井、床面を取付ベ
ースとしてこれを利用して縦設し、且つ、浴槽側面にポ
ールの一部を係合、しじさせるようにしたので、従来の
ように浴槽リム部を利用してポールを設置する形式の如
き、外観性に影響するところが極めて大きい浴槽リム部
の変形等が一切無く、又、取り外し後にリム部のような
目立つ部位に、孔や栓部材が露出しないことから外観性
も良好である他、タイル等で構成される床面に穿孔等の
加工を必要としないことから床面を傷つけることが無い
等、多大の利点が有る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかるポールの設置構造を示す縦断側
面図

【図２】ポールと浴槽係合部の関係を示すポール要部の
背面図

【図３】上記第２図要部の横断平面図

【図４】ポール設置以前の浴槽部の縦断側面図

【図５】浴室の一例を示す平面図

【図６】上記浴室の一側面図

【図７】上記浴槽の奥の壁面側の図

【図８】上記浴槽の他側面図

【符号の説明】

Ｂ…浴室、 １０…浴槽、 Ｆ…洗い場側床面、 Ｒ…
天井、 ３０…ポール、 ３１，３２…ナット部材、
４７，５２…ホルダ、 ４８，５１…ネジ杆、１０４…
浴槽側面であるエプロン、 ６１…係止部材である支持
ロッド、 ３３…ポールの係止穴。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 把持することができる径のポールを、浴
   槽に近接して床と天井間に立設するようにした浴室にお
   いて、 天井に脱着自在なホルダを介してネジ杆を脱着自在に垂
   下、設置し、一方、床上にはホルダを載置してネジ杆を
   起設し、 上記上下のネジ杆に、ポールの上下端部に固設したナッ
   ト部材を螺合し、 浴室の天井と床との間に、ポールを脱着自在に起設する
   ようにしたことを特徴とする浴室におけるポール設置構
   造。
2. 【請求項２】 上記ポールが配設される浴槽側面には、
   洗い場側に突出する係止部材を脱着自在に突設し、ポー
   ルの係止穴と、該係止部材とを脱着自在に係合させるよ
   うにした請求項１の浴室におけるポール設置構造。