JP2555727B2 - 高マンガン溶鉄の脱燐方法 - Google Patents

高マンガン溶鉄の脱燐方法

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JP2555727B2 JP1087739A JP8773989A JP2555727B2 JP 2555727 B2 JP2555727 B2 JP 2555727B2 JP 1087739 A JP1087739 A JP 1087739A JP 8773989 A JP8773989 A JP 8773989A JP 2555727 B2 JP2555727 B2 JP 2555727B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、マンガン含有量〔Mn〕が10重量%以上の
高マンガン溶鉄の脱燐方法に係わり、特に脱燐スラグを
繰り返して使用し、脱燐剤の原単位を低くして脱燐を行
う高マンガン溶鉄の脱燐方法に関する。
(従来の技術) 近年、鋼材の使用分野が多様化するなかで、多くの新
鋼種の開発がみられるが、マンガン含有量がおよそ10%
(以下、特に断らない限り、%は「重量%」を意味す
る)以上の高マンガン鋼もその一つである。
高マンガン鋼は、Niを含有するオーステナイト系ステ
ンレス鋼に比べて安価であるだけでなく、高強度、低透
磁率である利点を有しており、近年、磁気浮上鉄道用部
材、核融合装置用部材、消磁装置用部材、電気機器用部
材等に非磁性鋼、構造用鋼、耐摩耗鋼として用途が拡大
している。
ところで、一般に高マンガン鋼中の燐(P)は、熱間
加工性および耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす有害物質で
ある。高マンガン鋼の溶製に当たって、Mn源として安価
なフェロマンガンを使用すると、それに含まれるPが溶
鉄に移り、溶鉄のP含有量〔P〕が高くなる。そこで、
Mn源としてフェロマンガンを〔P〕規格の許容する限り
添加し、残りのMn分を金属マンガンで補充して、〔P〕
が高くならないように配慮するのが常であった。
しかしながら、この方法では、高価な金属マンガンを
多量に使用するので溶製コストが高くなる。そこで、よ
り安価な溶製技術として、大部分のMn分をフェロマンガ
ンとして配合し、得られる燐含有量の高い高マンガン溶
鉄から低燐高マンガン溶鉄を製造する技術の確立が不可
欠となる。
高クロム溶鉄の脱燐に関しては、既に本発明者らによ
って、BaO、BaCO3、BaCl2等を主成分とするフラックス
を用いる方法が開発された(特開昭58−31011号公報、
同58−151416号公報、同59−47349号公報など)。そし
て、このようなBa化合物系のフラックスによる脱燐法
を、高マンガン溶鉄の脱燐に応用することも、例えば、
特開昭62−30810号公報、同61−272312号公報、同62−2
27063公報に提案されている。
高クロム溶鉄と同様に高マンガン溶鉄においても、通
常の炭素鋼や低合金鋼の脱燐法として採用されている転
炉吹錬のように、強い酸化精錬法を適用しても、Mnが優
先的に酸化されるのみで溶鉄の燐は除去できない。
しかしながら、下記の(1)式に示すように、Mnを酸
化しない程度の弱い酸化力で溶鉄のPを酸化し、そして
(2)式に示すように、脱燐生成物である酸性酸化物P2
O5を、転炉スラグ中のCaOよりも著しく強い塩基性酸化
物であるBaOにより、スラグ中で安定させることにより
溶鉄のPを除去することができる。
+5→(P2O5) ……(1) (P2O5)+3(BaO)→3(BaO・P2O5) ……(2) ここで、BaO源として、酸化バリウムあるいはさらに
安定で入手しやすいBa化合物、たとえば、高温下で分解
してBaOを生成するBaCO3、Ba(OH)、BaSO4等が考え
られる。
しかしながら、この方法において使用するBaOその他
のBa化合物、さらにはスラグの滓化促進のために媒溶剤
として使用するBaCl2等は非常に高価であり、そのため
この脱燐法のコストは極めて高いものになる。のみなら
ず、BaOあるいはBaCO3は近年、超伝導材料の原料等とし
ても注目されはじめ、需要が拡大して入手が困難になり
つつある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、BaO系フラックスを使用して効率的に高マ
ンガン溶鉄の脱燐を行うに当たり、脱燐剤の原単位を下
げ、低燐高マンガン鋼製造のトータルコストを下げるこ
とを課題とするものである。なお、ここでBaO系フラッ
クスとは、BaO、BaCO3、BaCl2、BaFなどを主成分とする
フラックスをいう。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、BaO系フラックスによる高マンガン溶鉄
の脱燐の原理と、生成する脱燐スラグの特性を詳しく検
討し、適切な条件下で脱燐反応を行わせた上、生成する
脱燐スラグを還元処理すれば、脱燐剤として繰り返し使
用できることを確認した。スラグの再使用によって、新
たに補充するBaO系フラックスは最小限にすることがで
き、脱燐のトータルコストが著しく低下する。
本発明の要旨は、下記(a)から(c)までの工程を
繰り返すことを特徴とする高マンガン溶鉄の脱燐方法に
ある。
(a) Mn含有量10重量%以上の溶鉄に、BaO,BaCO3,Ba
(OH)およびBaSO4のうちの一種以上と、BaCl2および
BaF2の少なくとも一種とを主成分とするフラックスを添
加し、スラグ中のMnOが10〜30重量%となる条件下で脱
燐を行う工程。
(b) 上記の工程で精製したスラグを回収し、脱燐処
理温度以上の温度で炭素または炭素を含む溶鉄と接触さ
せることによって還元処理を施してその燐含有量を下
げ、再生フラックスとする工程。
(c) 上記の再生フラックスをMn含有量10重量%以上
の溶鉄に添加し、スラグ中のMnOが10〜30重量%となる
条件下で脱燐を行う工程。
上記本発明方法は、高マンガン溶鉄の脱燐工程と、生
成するスラグの再生工程とを有機的に結合して一つの循
環システムとすることに特徴がある。
本発明方法の(a)の工程および(c)の工程、即ち
脱燐工程は、スラグ中のMnOを10〜30%として行わせる
のであるが、そのためには、これらの工程で用いるフラ
ックスまたは再生フラックスに、予め酸化剤としてマン
ガン酸化物、鉄酸化物、クロム酸化物、Li炭酸塩、Ca炭
酸塩およびNa炭酸塩のうちの一種以上を添加しておくこ
とができる。あるいは、フラックス自体に酸化剤を配合
しておかずに、脱燐反応中に上記のような酸化剤を添加
するか、または空気、酸素、炭酸ガスのような酸化性ガ
ス(広義の酸化剤)を吹き込んでスラグ中のMnOが10〜3
0%になるようにしてもよい。
上記(b)の工程で得られる再生フラックスは、相当
量のBaO,BaCl2などを含むものであるが、次回に処理す
る溶鉄の量、そのP含有量その他の条件に応じて脱燐能
力を調整するために、BaO,BaCO3,Ba(OH)2,BaSO4,BaCl
2およびBaF2の少なくとも一種を補充して(c)の工程
で使用することが望ましい。
本発明方法において使用するフラックスおよび再生フ
ラックスは、優れた脱硫能をも備えるものであるから、
後の実施例に示すとおり溶鉄の脱硫も効果的に行われ
る。
以上の(a)〜(c)の工程を、後述する基準で判断
してスラグが再利用不可となるまで何回でも繰り返すこ
とができる。
(作用) 前記のとおり、本発明は、脱燐からスラグの回収、再
生処理およびその再利用と、一連の工程を繰り返すこと
に特徴がある。
第1図は、この本発明方法を模式的に示したものであ
る。以下、この図によって、まず本発明方法の概要を説
明する。
(a)の工程: 本発明方法の脱燐の対象となる溶鉄は、〔Mn〕が10%
以上の高マンガン溶鉄であり、例えば、Mn10〜30%の高
マンガン鋼、或いはこのようなMnの外にCrその他の合金
元素を含む鋼を溶製するための溶鉄である。これは、Mn
源として主に安価なフェロマンガンを使用して電気炉、
転炉などにより通常の方法で溶製される。
このような溶鉄を炉底より撹拌ガスを導入できる炉ま
たは取鍋のような容器に収容し、フラックスを添加して
脱燐反応を行わせる。なお、容器としては、ガス吹込ラ
ンスやインペラー撹拌装置を備えて取鍋も使用でき、更
に、AOD炉のようなものも利用できる。
フラックスは、強塩基性酸化物であるBaO,或いは高温
でBaOを生成する化合物であるBaCO3,Ba(OH)2,BaSO4
少なくとも一種と、媒溶剤としてBaCl2とBaF2の少なく
とも一方とを主成分とする混合または合成フラックスで
ある。このフラックスに酸化剤としてMn酸化物、酸化鉄
などを配合しておいてもよい。酸化剤は、前記のように
酸化性のガスとして吹き込んでもよいので、フラックス
中に配合することは必須ではない。
溶鉄の脱燐は、先に記した(1)式、(2)式によっ
て進行し、Pはスラグ中に移行して溶鉄のP含有量
〔P〕は、およそ0.060〜0.040%の初期値から0.020〜
0.005%程度まで低下する。
脱燐処理後のスラグは、初期スラグ成分に加え、脱燐
生成物であるP2O5およびFe、Siの酸化物であるFeO(あ
るいはFe2O3、Fe3O4)、SiO2などを主成分とするスラグ
となっている。
ここで、この処理後スラグが再生利用が可能であるか
どうかを判定する。(後述するが、重量比で(BaO)/
(SiO2)≧5であれば再生利用が可能である)。再生利
用が可能であるならば、BaO系スラグ中のP2O5を炭素に
より還元する工程、即ち(b)の工程を行う。
もし、再利用が難しいと判定されれば系外に取り出し
て処分することになる。
(b)の工程: スラグ中のP2O5を還元する方法は、下記(3)式に示
すように処理後スラグと、炭素を接触させることを特徴
とする方法である。
(P2O5)+5C→2+5CO↑ ……(3) 上記の炭素源としては、カーボン粉、粒、これらを固
めたペレット等あらゆるものが使用できる。また、炭素
含有量の高い(〔C〕:3〜4%程度のものが望ましい)
溶鉄をスラグに接触させ、その中の炭素を(3)式の反
応に利用することもできる。この場合は、(3)式によ
って生成したPは溶鉄中に移り、P含有量の高い溶鉄が
できることになるが、この溶鉄は脱燐の容易な炭素鋼や
低合金鋼の製造に利用すればよい。
還元されたPは、一部は蒸気として気化するが、大部
分は酸化鉄、酸化マンガン、およびこれらが還元された
粒鉄、粒マンガン中に含まれる。従って、これらを比重
差を利用して分離し、P含有量の少ないスラグのみを再
生フラックスとして再利用することになる。
この(b)の工程、即ち、P2O5の還元処理は、少なく
とも高マンガン溶鉄の脱燐処理温度よりも高い温度で行
うことが必要である。
それは、脱燐の基本反応(2P+5O→P2O5)が発熱反応
であって、温度が低いほど進みやすい反面、還元反応
(P2O5+5C→2P+5CO)は吸熱反応で高温であるほど進
みやすいからである。
工程(b)のスラグ還元処理は、加熱手段を備えた取
鍋のような容器、電気炉などを使用して実施できる。こ
れらの内張り耐火物はマグネシア系、カーボン系でよ
い。さらに、還元反応を速くするためには、撹拌を行う
必要がある。この撹拌についてはAr、N2ガスによるガス
バブリングあるいはインペラーによる機械的バブリング
などがある。
(c)の工程: 還元工程により得られた再生スラグ(再生フラック
ス)は、BaO、BaCl2およびSiO2を主成分とするものにな
っている。なお還元されなかった若干量のMnO2、Fe2O3
(あるいはFeO)、P2O5なども含まれることがある。
このように、再生処理を終えたスラグを工程(c)で
再び高マンガン溶鉄の脱燐のフラックスとして使用す
る。最初のフラックスとして、BaCO3やBa(OH)を含
むものを用いても、一旦脱燐反応に使用された後は、こ
れらは熱分解してBaOになっているから、再生処理スラ
グ(再生フラックス)は吸熱反応を起こさず、溶鉄の温
度低下を招かないという利点がある。
更に、溶融したままの再生処理スラグを脱燐用として
用いると、熱経済上も有利であり、また滓化性もよい。
再生スラグには、BaOをはじめ、最初のフラックスの
主要成分となるBa化合物を補充的に添加してもよい。ま
た、脱燐反応の際にスラグ中のMnOを10〜30%に保つた
めに、前記のように予めマンガン酸化物、酸化鉄、など
を添加してもよい。
このように、再生処理を終えたスラグを、再び高マン
ガン溶鉄の脱燐用のフラックスとして使用し、このサイ
クルを繰り返すことにより、脱燐剤の原単位を最小限に
抑えることができる。
次に、脱燐反応その他の望ましい条件について述べ
る。
(i)スラグ中の(BaO)について: 第2図は、〔C〕=2%、〔Mn〕=18%の溶鉄におい
て調査した脱燐反応中のスラグのBaOの濃度と脱燐率と
の関係を示す図である。脱燐率(%)とは下記の式で定
義されるものである。
図示のとおり、(BaO)が60%までは、(BaO)が上昇
するにつれ脱燐率は向上する。これは、(BaO)が高い
ほどスラグの塩基度が高くなり、酸性酸化物であるP2O5
がスラグ中で安定化されるためである。しかしながら、
(BaO)が60%を超えると脱燐率はむしろ低下する傾向
にある。これは、(BaO)が高いほどスラグの粘性が高
くなるため、脱燐が物理的に進行しにくくなるためと考
えられる。
上記のことから、(BaO)は20〜90%、より望ましく
は40〜80%の範囲にするのがよい。
フラックスの成分として、BaOに替え、或いはBaOとと
もにBaCO3、Ba(OH)、BaSO4を使用する場合も、これ
らが分解して生成する(BaO)が上記の範囲になるよう
に配合量を調整することが望ましい。
(ii)スラグ中の(BaCl2)、(BaF2)について: BaCl2とBaF2(いずれか一方でもよい)は、スラグの
融点を下げ滓化を促進するための媒溶剤として配合す
る。その配合量の上限は、前記の必要な(BaO)を保持
するという観点から決定されるものであり、下限は、脱
燐処理工程においてBaO系スラグが十分な流動性をもつ
ため、およびBaO系スラグの還元工程において、滓化効
果のあるMnOが還元されても、スラグがなお流動性を保
つのに必要な量である。スラグ中の(BaCl2)、(Ba
F2)またはこれらの合計として、10〜80%、望ましくは
20〜60%となるように配合する。なお、BaCl2とBaF2
を併用する場合には、BaCl2:BaF2のモル比が20:80の点
で低融点スラグが生成するから、重量比でBaCl2:BaF2
85:15の辺りを目標に配合するのがよい。
(iii)酸化剤の配合について: 第3図は、スラグ中MnO、即ち(MnO)と脱P率との関
係について、〔C〕=2%、〔Mn〕=18%で1400℃の溶
鉄を対象に調査した結果を示す。フラックスとしてはBa
O60%−BaCl240%のものを溶鉄1トンあたり100kg使用
した。
第3図から、(MnO)が10%以上であれば高い脱燐率
が得られることがわかる。しかし、(MnO)が30%を超
えても脱燐率の向上は余りなくなり、一方、後のスラグ
処理(P2O5の還元)の際にはスラグ中MnOなどの酸化物
の含有量が高いとP2O5の還元効率が落ちるから、脱燐処
理中のスラグ中のMnOもむやみに高くしない方がよい。
これらを総合的に勘案すると、脱燐処理中に10wt%≦
(MnO)≦30wt%となるようにするのが最も望ましい。
スラグ中の上記の好ましい(MnO)量を確保する方
法、即ち、酸化力の与え方としては、BaO系フラックス
(或いは再生スラグ)を添加する際、またはそれが滓化
した後、MnあるいはFeなどの酸化物を添加するか、溶鉄
がCrを含む時はCr酸化物を添加する方法、酸化性ガス、
例えばO2、CO2ガスを溶鉄中に吹き込んで溶鉄中のMnを
酸化し、MnOを生成させる方法、或いは、Ba、Ca、Li、N
a等の炭酸塩を添加し、炭酸塩中のCO2により、溶鉄中の
Mnを酸化し、MnOを生成させる方法、などがある。Mnの
酸化物以外については、いずれを添加しても溶鉄中のMn
を酸化し、スラグ中に(MnO)を生成することになり、
この(MnO)量が脱燐に寄与する酸化力を決定すること
になる。しかしながら、高価な溶鉄中のMnを酸化損失さ
せない意味で、酸化剤としてMn酸化物(マンガン鉱石で
もよい)を選ぶのが経済的には有利である。また、溶鉄
の温度降下を防ぐという点ではO2吹き込みがよい。
上記のBaO系フラックスの添加量は、処理する溶鉄の
P含有量、脱燐後の目標P含有量、その他の諸条件から
決定されるが、およそ溶鉄1トン当たり20〜120、通常
は50〜100Kgの範囲でよい。
フラックス中に酸化剤、例えばMn酸化物(主としてMn
O2)を予め添加する場合、10wt%≦(MnO)≦30wt%と
なるように、Mn酸化物を2〜50Kg/溶湯トン、望ましく
は5〜40Kg/溶湯トン添加する。
脱燐フラックス或いは生成スラグの溶鉄への添加方法
としては、粒あるいは塊状のものを浴面に上置きする方
法でもよいが、溶鉄中に適当なガスで吹き込むインジェ
クション法によれば良好な脱燐効果が得られる。
(iv)スラグ中のSiO2について: 脱燐反応中のスラグにSiO2分が混入すると、スラグの
脱燐能が低下する。第4図は、脱燐能に及ぼす(BaO)
/(SiO2)の影響についての試験結果である。先の第3
図の試験と同じ組成のフラックスを用い、溶鉄温度1400
℃で試験した。第4図のように〔C〕や〔Mn〕により異
なるが、一般には(BaO)/(SiO2)が低くなるとスラ
グの脱燐能は低下する。即ち、十分な脱燐能を有するBa
O系スラグの条件は、重量比で(BaO)/(SiO2)≧5、
望ましくは(BaO)/(SiO2)≧20である。
このBaO系スラグが何回再利用できるかは、いかにBaO
系スラグにSiO2を蓄積させないかに大きく依存する。換
言すれば、BaO系スラグが十分な脱燐能があるどうかの
判断は、(BaO)/(SiO2)の値を基準として行うこと
ができる。
また、処理前の溶鉄浴面上に存在するSiO2分を10Kg/
溶鉄トン以下、望ましくは2Kg/溶鉄トン以下となるよう
に除滓すること、かつ処理前の溶鉄の〔Si〕を0.5%以
下、望ましくは0.1%以下にすることが推奨される。
脱燐工程における処理温度は、(1)式の反応が発熱
反応であることと、耐火物の溶損を少なくするために、
できるだけ低温であることが望ましい。
(v)脱燐スラグの再生(還元)工程の処理条件: 前記の脱燐処理後のスラグ成分は、最初に添加したBa
O,BaCl2,MnO2等に加え、脱燐生成物であるP2O5、さらに
Fe酸化物(例えばFe2O3)が含まれる。このうちP2O5,Fe
2O3,MnO2は、炭素あるいは溶鉄中の炭素により次の
(3)式、(4)式および(5)式に示すように還元さ
れる。
(P2O5)+5C→2+5CO ……(3) (Fe2O3)+3C→2Fe+3CO ……(4) (MnO2)+2C→Mn+2CO ……(5) これらの還元反応は、前述したように、処理温度が前
記の脱燐処理温度以上であれば反応するが、高ければ高
いほど反応は容易である。
還元剤として炭材を添加する場合、その炭素量が多い
ほど、粒径が細いほど反応は速やかに進行する。また、
溶鉄中の炭素で還元する場合、その含有炭素量が多いほ
ど反応は速やかに進行する。
(vi)再生フラックスの利用の条件: 再生処理後のBaO系スラグ(再生フラックス)を再利
用する場合、前述のようにスラグの脱燐能の指標となる
(BaO)/(SiO2)が低い場合、BaO、または/およびBa
CO3、BaSO4のようなBaO化合物を補充する。
また、(MnO)=10〜30%となるように酸化剤を加え
る。これらの条件は(i)〜(iv)で述べた条件と本質
的に同じである。
〔実施例1〕 高マンガン溶鉄2kgをタンマン炉を使ってMgOルツボ内
で大気溶解し、1400℃に保持した後、BaO60%−BaCl240
%のフラックスを200g添加し、Arガスでバブリング撹拌
しながら、MnO230gを添加し、20分間処理した。処理前
後の溶鉄成分を第1表に示す。Pは0.060%から0.021%
に下がっており65%の脱燐率が得られた。
処理後のスラグ約200gをカーボン10gと共にカーボン
ルツボ内に装入し、タンマン炉で1600℃に保ちながら、
Arガスでバブリング撹拌を行いながら30分間処理した。
還元処理前後のスラグ成分を第2表に示す。このよう
に、スラグ中のPは0.5%から0.1%未満に低減されてい
る。
得られたスラグ(再生フラックス)を用いて、再び高
マンガン溶鉄の脱燐を行った。高マンガン溶鉄2kgをMgO
ルツボ内に装入し、タンマン炉を用いて溶解し、1300℃
の温度に保ち、マグネシア質インペラーで撹拌しながら
MnO230gを添加し、20分間脱燐処理を行った。処理前後
の溶鉄成分を第3表に示す。このように再生したスラグ
で脱燐した場合でも、Pは0.052%から0.006%に88%の
脱燐率で低減している。
〔実施例2〕 高マンガン溶鉄2kgをタンマン炉を使ってMgOルツボ内
で大気溶解し、1400℃に保持した後、BaO60%−BaCl240
%のフラックスを200g添加し、マグネシア質インペラー
で撹拌しながらMnO220gを添加し、20分間処理した。処
理前後の溶鉄成分を第4表に示す。この場合の脱燐率は
50%であった。
処理後のスラグ約200gをMgOルツボ内でタンマン炉を
用いて1600℃の温度に保持し、炭素を含む溶鉄1kgを添
加し、Arバブリングにより、30分間撹拌処理した。処理
前後の炭素を含む溶鉄の成分を第5表に、処理前後のス
ラグの成分を第6表に示す。このようにスラグから燐を
大部分除去できた。
再生したスラグを用いて、再び高マンガン溶鉄の脱燐
を行った。高マンガン溶鉄2kgをMgOルツボ内に装入し、
タンマン炉を用いて溶解し、1400℃の温度に保ちArガス
でバブリング撹拌を行いながら、MnO240gを添加し、20
分間脱燐処理を行った。処理前後の溶鉄成分を第7表に
示す。この場合も再生したスラグで58%の脱燐率がえら
れた。
〔実施例3〕 第8表に示す成分を有するマンガン含有溶融合金10ト
ンを電気炉で大気溶解しAOD炉に注銑し、SiO分を10kg以
下に除滓した後、1700℃のこの溶湯に、BaCO380%−BaC
l220%なる組成をもつ混合フラックス1トンを添加し、
さらに横吹き羽口を通してArバブリングを行いながら、
MnO2を分投し計200kg添加した。5分間の処理後の溶湯
成分を第8表に併記する。なお、処理温度(脱燐処理終
了時の温度)は、1450℃であった。
第8表から、脱燐率は76%であり、脱硫率も90%に達
していることがわかる。
続いて、上記脱燐処理後のスラグを溶滓鍋に取り、さ
らに3トン電気炉に移し、1600℃に昇温後、カーボンペ
レット30kgをスラグのフォーミングが激しくならない程
度に小分割して添加し、Arガスバブリングしながら20分
間処理した。その処理前後のスラグ組成を第9表に示
す。スラグ中のP2O5は大部分除去できている。
上記のようにして得られた再生スラグ約0.8トンにMnO
2100kgを加えたスラグを、第10表に示す組成を有するMn
含有溶融合金の脱燐フラックスとして使用した。なお脱
燐条件は最初の処理と同じである。この場合も、脱燐率
62%、脱硫率95%が得られた。ここで再生フラックスの
添加前の溶湯が1600℃であり、添加後、処理温度(脱燐
終了時の温度)は1450℃であった。このことから、再生
処理を施した脱燐スラグ(再生フラックス)の冷却能は
小さいことがわかる。
(発明の効果) 本発明は、BaO系のフラックスを使用する高マンガン
溶鉄の脱燐方法であって、高価なフラックスの使用量を
最小限にする方法を抵抗するものである。この方法は、
脱燐のみならず脱硫にも顕著な効果を有し、経済上の利
点が極めて大きい。本発明の方法を採用することによ
り、近年脚光を浴びている高マンガン鋼の製造コストを
下げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法の工程を説明する模式図、 第2図は、高マンガン溶鉄の脱燐率に及ぼすスラグ中の
BaO量の影響を示す図、 第3図は、同じくMnO量の影響を示す図、 第4図は、同じく(BaO)/(SiO2)の影響を示す図、 である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(a)から(c)までの工程を繰り返
    すことを特徴とする高マンガン溶鉄の脱燐方法。 (a) Mn含有量10重量%以上の溶鉄に、BaO,BaCO3,Ba
    (OH)およびBaSO4のうち一種以上と、BaCl2およびBa
    F2の少なくとも一種とを主成分とするフラックスを添加
    し、スラグ中のMnOが10〜30重量%となる条件下で脱燐
    を行う工程。 (b) 上記の工程で生成したスラグを回収し、脱燐処
    理温度以上の温度で炭素または炭素を含む溶鉄と接触さ
    せることによって還元処理を施してその燐含有量を下
    げ、再生フラックスとする工程。 (c) 上記の再生フラックスをMn含有量10重量%以上
    の溶鉄に添加し、スラグ中のMnOが10〜30重量%となる
    条件下で脱燐を行う工程。
  2. 【請求項2】請求項(1)の脱燐方法において、(a)
    の工程で用いるフラックスまたは/および(b)の工程
    で得られる再生フラックスに予め酸化剤としてマンガン
    酸化物、鉄酸化物、クロム酸化物、Li炭素塩、Ca炭素塩
    およびNa炭酸塩のうちの一種以上を添加しておくことを
    特徴とする高マンガン溶鉄の脱燐方法。
  3. 【請求項3】請求項(1)の脱燐方法において、(a)
    または/および(c)の脱燐工程での脱燐反応中に酸化
    剤を供給することを特徴とする高マンガン溶鉄の脱燐方
    法。
  4. 【請求項4】請求項(1)、(2)または(3)の脱燐
    方法において、(b)の工程で得られる再生フラックス
    にBaO,BaCO3,Ba(OH)2,BaSO4BaCl2およびBaF2の少なく
    とも一種を補充して(c)の工程で使用することを特徴
    とする高マンガン溶鉄の脱燐方法。
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