JP2554001B2 - 連続搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は粉粒体や土砂、または小
塊等の搬送物を垂直上向きに搬送する連続搬送装置に関
し、サイロへの揚運やトンネル工事の排土搬送、または
高炉への搬入などに用いられる。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種装置には、ローラチェーン
やショートリンクチェーンを用いて搬送容器を垂直上向
きに搬送するものが知られている。前者のローラチェー
ンを用いる装置（例えば、実公昭５９−２５７６５号公
報参照）では、搬送容器の左右両側に配設される内側無
端チェーンと外側無端チェーンは、垂直上昇部を除いて
同じ水平面と垂直面内に設けられ、搬送容器の前部両側
をリンクプレートから立ち上がる連結金具によって左右
両側の内側無端チェーンに連結するとともに、搬送容器
の後部両側をリンクプレートから立ち上がり内側無端チ
ェーンの上側を通過する連結金具を介して左右両側の外
側無端チェーンに連結し、縦方向降下部と上側横方向の
移送部との交差部に位置する内側鎖車の歯と歯の間の谷
部に外側無端チェーンと容器後部の両側とを連結する連
結金具が通過する際、該連結金具が位置する部分に切り
欠き部を設けた構成となっている。

【０００３】また、後者のショートリンクチェーンを用
いる装置（例えば、特開昭６３−７４８１０号公報参
照）では、４条の無端ショートリンクチェーンを所要個
所に配置したスプロケットホイール群に巻回し、その４
条のショートリンクチェーンには等間隔に搬送容器を係
着しておき、スプロケットホイールを動力で駆動してシ
ョートリンクチェーンと搬送容器とを循環回動させる連
続搬送装置において、搬送容器底部には前方と後方とに
左右に貫通する各１本の支軸を通し、その一方は搬送容
器の両側端において、搬送容器底に固着し、他方は搬送
容器中央にて上下角度に揺動可能に結合され、さらにそ
の支軸両端はリンク機構などを介してショートリンクチ
ェーンに係着される構成となっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の装置には、次に示すような問題点があった。 ａ．前者の装置では、一端を搬送容器と結合される連結
金具は、内側と外側の無端チェーンの各搬送容器側リン
クプレートの中央部から立ち上がる逆Ｌ形部材と結合さ
れているため、連結金具の構造が複雑になってコストが
割高になるだけでなく、連結金具が取り付けられるリン
クプレート部分の強度が弱くなる。このため、搬送物の
投入時に搬送物の荷重がかかる連結金具や無端チェーン
のリンクプレート部分で破損や折り曲げが起こる他、こ
れに伴って移動する搬送容器が衝突により変形されるこ
とがあった。 ｂ．また、後者の装置では、搬送容器底部に保持される
支軸の両端は、縦向きのリンクユニットの上側から一旦
立ち上がって搬送容器側に向かったのち下側に延びるリ
ンク機構によって揺動可能に保持されているため、搬送
容器支持部の構造が複雑になってコストが割高になる。
また、縦向きのリンクユニットの上側から立ち上がるリ
ンク機構上端のリンクピンは、ショートリンクチェーン
の中心よりの高さが高くなるため、搬送容器の保持は不
安定となり、リンク機構は、それに働く大きめの捩じれ
作用によって折り曲げ等の破損を受け易くなる。 ｃ．前者と後者のいずれの装置においても、連結金具や
リンク機構は、ローラチェーンやショートリンクチェー
ンから立ち上がる構成となっているため、これらの立ち
上がり部分と当接する一部の鎖車やスプロケットホイー
ルに対して接触を回避する切り欠き部を設けなければな
らなくなる。このため、鎖車やスプロケットホイールに
対して２種類のものが必要になり、組立て時にも手数が
かかることになる。 ｄ．後者の場合、ショートリンクチェーンとして無端チ
ェーンを使用するため、４条のチェーン長さが均一でな
く片伸び現象を多発して、ランニングコストを高額にす
る。 ｅ．また、縦向きのリンクユニットから立ち上がる連結
金具は、実際の製造においては溶接によってリンクユニ
ットと一体にされるため、焼入れによって強度を強めら
れたリンクユニットは、焼戻しによって強度を著しく弱
められ、無端リンクチェーンが切断し易くなって各種ト
ラブルを発生する原因となる。

【０００５】本発明はこれらの事情に鑑みてなされたも
ので、搬送容器とリンクチェーンとの取り付け部の構造
が簡単で、強度が強く、破損によるトラブルの発生が少
ない上に、搬送容器を安定に保持することができ、スプ
ロケットホイールの構造を単一にするとともに、各リン
クチェーンの長さを容易に均一化することができる連続
搬送装置の提供を目的としたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成すべくなされたもので、複数個の搬送容器と、その両
側の同じ高さ位置に平行に配設される内側と外側のリン
クチェーンと、搬送径路に沿って設けられるスプロケッ
トホイールとから構成されて、搬送容器を循環回動する
連続搬送装置であって、搬送容器は前後に形成される傾
斜面または左右両側の前後に、幅方向の外側に水平に突
出する支持軸が回転可能に設けられ、リンクチェーンは
シャックルによって所定の長さに連結される短尺のショ
ートリンクチェーンによって構成され、内側と外側のリ
ンクチェーンの各シャックルには、それらの開口部の上
面側に中間軸を水平に保持する軸受が設けられ、シャッ
クル上面側の軸受に保持された各中間軸と、搬送容器か
ら突出する各支持軸は、縦方向のアームの両端部とそれ
ぞれ一体に結合され、各スプロケットホイールには歯の
厚さ中央部に縦向きのリンクユニットと係合する切り欠
きが、また歯の対向する曲面部に横向きのリンクユニッ
トの両端円弧部と係合する切り欠きが、それぞれ設けら
れていることを特徴とする連続搬送装置を発明したもの
である。

【０００７】

【作用】搬送容器前後の各支持軸は、縦方向のアームの
一端に固定され、アームの他端に固定された各中間軸に
よりリンクチェーンのシャックル上面側の軸受に保持さ
れているため、搬送容器支持部の構造は簡単となり、強
度は強化される。また、リンクチェーンは、横向きのリ
ンクユニットの両端円弧部がスプロケットホイールの対
向する歯の曲面部に形成された切り欠きと係合して両端
を保持されるため、搬送容器は揺れの少ない安定した状
態に保持されて循環回動され、トラブルの発生を少なく
する。また、各リンクチェーンは短尺のショートリンク
チェーンをシャックルで連結して長尺に形成されている
ため、リンクチェーンの長さの均一化が容易となり、片
伸び現象の多発防止が可能となる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面に基づい
て説明する。図１において、複数個の搬送容器１の循環
回路は、各搬送容器１の左右両側の同じ高さ位置に配設
される内側リンクチェーン２，２と外側リンクチェーン
２′，２′、および設定された各個所に配置される複数
個の回転部Ａ〜Ｆ、Ｅ′、Ｆ′とにより主として形成さ
れている。

【０００９】回転部Ａは、図３に示す如く、軸杆３とそ
の左右両側に軸止された内側スプロケットホイール４，
４と、これと同径の外側スプロケットホイール４′，
４′とによって構成され、上記軸杆３の両側はフレーム
５に設けられた軸受６，６によって支承されている。ま
た、軸杆３の一側端部には駆動用スプロケットホイール
７が軸支されており、減速機を介してモータＭにより回
転駆動されるようになっている。回転部Ｃと回転部Ｄ
は、駆動用スプロケットホイール７を除いて回転部Ａと
同じ構成になっているが、回転部Ｄには、フレーム５に
取り付けられた緊張用軸受６Ａ，６Ａが軸杆３の両端部
を軸支している（図３参照）。

【００１０】これに対し、回転部Ｅは、外側スプロケッ
トホイール４′，４′がそれぞれ別々に左右の軸受６，
６に支承された軸杆３′，３′に軸支されて向かい合わ
された構成となっており、回転部Ｆは、内側スプロケッ
トホイール４，４がそれぞれ別々に左右の軸受６，６に
支承された軸杆３′，３′に軸支されて向かい合わされ
た構成となっている（図３参照）。回転部Ｅ′は回転部
Ｅと同一に構成されているが、回転部Ｆ′は回転部Ｆの
場合と異なり、内側スプロケットホイール４，４は１つ
の軸杆３に軸止されている。

【００１１】内側リンクチェーン２と外側リンクチェー
ン２′には、リンクユニット２ａが複数個（例えば５
個）連結された短尺のショートリンクチェーンの両端を
シャックル２ｂによって連結し、所定長さのエンドレス
とした長尺ものが用いられる（図４、図６参照）。

【００１２】シャックル２ｂの開口部を形成する一対の
突出部２ｃ，２ｃには、バカ穴２ｄ，２ｄが設けられて
いる（図８、図９参照）。８はシャックル２ｂの一対の
突出部２ｃ，２ｃ上面に保持された軸受で、この軸受８
はシャックル２ｂの開口部と嵌合する下端支持部８ａ
を、シャックル２ｂのバカ穴２ｄ，２ｄに挿通されるネ
ジ９とこれに螺合するナット１０とにより一体的に保持
されている。

【００１３】シャックル２ｂに保持された軸受８には、
一端が搬送容器１の近くに達する中間軸１１が保持され
ている。中間軸１１は内側リンクチェーン２のシャック
ル２ｂに保持される方が、外側リンクチェーン２′のシ
ャックル２ｂに保持されるものより短く、長さの異なる
これらの中間軸１１，１１は、軸受８，８に保持される
部分が若干小径で、軸受８，８から突出する小径端部に
装着される座金１２，１２と割りピン１３，１３とによ
り、軸方向への移動を阻止されている（図７参照）。

【００１４】各中間軸１１の搬送容器１側の先端部と、
搬送容器１の前後の傾斜面から幅方向に突出される各支
持軸１６は、縦方向のアーム１４の上下両端部と一体に
結合されている。このため、装置運転時には、搬送容器
１と各支持軸１６、および内側と外側のリンクチェーン
２，２′と中間軸１１，１１とは、相対的に回転しなが
ら揺動する。 搬送容器１の前後の傾斜面に保持された支
持軸１６，１６は、搬送容器１の左右側面の前後から突
出させてもよい。

【００１５】各支持軸１６を中心とするアーム１４の揺
動は、搬送容器１の両側面に取り付けられて各中間軸１
１の揺動径路内に突出するストッパー１７により、揺動
範囲が規制されていて、搬送容器１の搬送時のトラブル
の発生が防止されている。このストッパー１７は、各中
間軸１１の左右両側に設けてもよいが、内側リンクチェ
ーン２に保持された各中間軸１１に対しては、それより
搬送方向側の前方に、また、外側リンクチェーン２′に
保持された各中間軸１１に対しては、それより搬送方向
側の後方に、それぞれ１個ずつ設けるようにしてもよ
い。

【００１６】搬送径路は各回転部Ａ〜Ｆ、Ｅ′、Ｆ′の
配置によって決められ、図１の場合にはＳ形となってい
るが、その他の形状としてもよい。この場合、回転部Ｅ
とＦ、Ｅ′とＦ′の距離は、搬送容器１の前後の支持軸
１６，１６の距離に保たれている。各回転部Ａ〜Ｆ、
Ｅ′、Ｆ′に配置される内側スプロケットホイール４と
外側スプロケットホイール４′には、各歯の厚さの中央
部に縦向きのリンクユニット２ａと係合する切り欠き４
ａが設けられるとともに、対向する歯と歯の曲面部に横
向きのリンクユニットの両端円弧部と係合する円弧状の
切り欠き４ｂが設けられた、いわゆるポケット式のスプ
ロケットホイールが用いられる。この場合、歯と歯の間
の谷部の深さは、シャックル２ｂに保持された中間軸１
１が内側と外側のスプロケットホイール４，４′の中心
側に位置したときにも、接触しない寸法となっている
（図１２参照）。

【００１７】次に、装置の動作について説明する。図１
において、コンベアベルト１８によって投入口１９の上
側に搬送された搬送物は、投入口１９を通して下側水平
部の搬送工程を矢印方向に移動される各搬送容器１内に
供給される。投入口１９の下側を通過した搬送容器１
は、その前後の支持軸１６，１６の距離だけ離して配置
された下側回転部Ｅ，Ｆとその上側の回転部Ｅ′，Ｆ′
とによって形成された縦方向の搬送工程を、開口部を上
にした水平姿勢で上側水平部の搬送工程を回転部Ａまで
水平に移動される。

【００１８】搬送容器１内の搬送物は、回転部Ａでの反
転時にシュート２０を通して排出される。搬送容器１の
内面に付着された残留物は、上側水平部の戻り工程でス
プリング２１の付勢力によって搬送容器１の内面に押圧
されるスクレーパーゴム２２などによって掻き出され
る。縦方向の戻り工程では、搬送容器１の開口部は、内
側と外側のリンクチェーン２，２′に沿った姿勢で移動
される。回転部Ｃを通過した下側水平部の戻り工程で
は、搬送容器１の姿勢は、上側水平部の戻り工程を移動
する場合と同じである。搬送容器１は回転部Ｄで反転さ
れて循環回動を継続する。投入口１９では搬送容器１の
下側は受けローラ２３，２３によって保持され、搬送物
投入時の衝撃が受け止められる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は上述の通り構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。 （１）リンクチェーンのシャックル側の軸受に保持され
た各中間軸と、搬送容器の前後に保持された各支持軸
は、縦方向のアームの上下両端部に固定されており、搬
送容器の移動時に、アームは搬送容器の各支持軸を中心
として揺動されるため、搬送容器は供給位置から排出位
置までいつも水平姿勢に保たれ、揺れも少なく、各回転
部における揺動にも円滑に対応して、搬送装置の搬送効
率を良くすることができる。 （２）内側と外側のリンクチェーンは、短尺のリンクチ
ェーンをシャックルによって必要長さに接続されている
ため、無端のリンクチェーンの場合に比べて必要長さの
精度を非常に高くし、リンクチェーンの片伸び現象を防
止することができる。また、内側と外側のリンクチェー
ンの一部が損傷したときは、その部分の短尺のリンクチ
ェーンを交換することにより、ランニングコストを引き
下げることができる。 （３）搬送径路の各回転部のスプロケットホイールに、
横向きのリンクの両端円弧部を保持して駆動するポケッ
ト式の鎖受け鎖車を使用しているため、リンクピッチに
差違が生ずるのを押さえて、片伸び現象による事故を防
止することができる。 （４）スプロケットホイールにポケット式の鎖受け鎖車
を使用する場合には、横向きのリンクの外周円弧部が鎖
車の円弧状の切り欠きと面接触するため、接触部の歯圧
を低くして摩耗による損傷を少なくすることができる。
しかも、ポケット式の鎖受け鎖車は鋳造の鋳放し精度で
十分に使用に耐えるため、従来使用されていた非ポケッ
ト式の鎖受け鎖車の場合に比べて、製造コストとランニ
ングコストを割安にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全体の側面図である。

【図２】図１の伝動関係を示す平面図である。

【図３】図１の回転部の構成を示す正面図である。

【図４】搬送容器とその両側に配設されるリンクチェー
ンとの配列関係を示す平面図である。

【図５】搬送容器とリンクチェーンとの連結を示す側面
図である。

【図６】搬送容器の一方の側面とリンクチェーンとの連
結を示す平面図である。

【図７】図６を右側から見た正面図である。

【図８】シャックルの一実施例を示す平面図である。

【図９】図８の右側面図である。

【図１０】ポケット式の鎖受け鎖車の左半分を示す平面
図である。

【図１１】図１０のXI−XI断面図である。

【図１２】戻り工程の上側水平部の回転図におけるスプ
ロケットホイールとリンクチェーンの中間軸との関係を
示す部分的正面図である。

【図１３】排出後の搬送容器内面を掃除するクリーニン
グ装置の一例を示す側面図である。

【図１４】搬送物の投入口における断面正面図である。

【符号の説明】

１ 搬送容器 ２ 内側リンクチェーン ２′ 外側リンクチェーン ２ｂ シャックル ４ 内側スプロケットホイール ４′ 外側スプロケットホイール ４ａ 切り欠き ４ｂ 円弧状の切り欠き ８ 軸受 １１ 中間軸 １４ アーム １６ 支持軸

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数個の搬送容器と、その両側の同じ高
   さ位置に平行に配設される内側と外側のリンクチェーン
   と、搬送径路に沿って設けられるスプロケットホイール
   とから構成されて、搬送容器を循環回動する連続搬送装
   置であって、 搬送容器は前後に形成される傾斜面または左右両側の前
   後に、軸方向の外側に水平に突出する支持軸が回転可能
   に設けられ、 リンクチェーンはシャックルによって所定の長さに連結
   される短尺のショートリンクチェーンによって構成さ
   れ、内側と外側のリンクチェーンの各シャックルには、
   それらの開口部の上面側に中間軸を水平に保持する軸受
   が設けられ、 シャックル上面側の軸受 に保持された各中間軸と、搬送
   容器から突出する各支持軸は、縦方向のアームの両端部
   とそれぞれ一体に結合され、 各スプロケットホイールには歯の厚さ中央部に縦向きの
   リンクユニットと係合する切り欠きが、また歯の対向す
   る曲面部に横向きのリンクユニットの両端円弧部と係合
   する切り欠きが、それぞれ設けられていることを特徴と
   する連続搬送装置。