JPH0712328Y2 - バケットコンベヤ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、前面及び後面上部を移
行方向に向かって傾斜せしめた函体でバケットを構成
し、このバケットを無端状の移行チェーンに回動不能に
多数連設してなるバケットコンベヤ装置にかかるもので
あり、さらに詳しくは、前記バケットコンベヤ装置にお
ける前後に隣接するバケット相互間に形成される隙間の
閉鎖構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種コンベヤ装置はコンベヤケ
ース内に配設した排出側と投入側のスプロケット間に、
例えば水平，垂直，水平といった順序で回転移行するよ
う左右二条の移行チェーンを無端状に架設すると共に、
両チェーン間に多数のバケットを回動不能に多数連設し
てなり、移行チェーンの移行に伴って各バケットを水平
若しくは垂直方向へ移送せしめ、且つ排出側においては
バケットを反転せしめて、バケット内の搬送物を排出口
へ落下させるものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、このような
バケットコンベヤ装置においては、図９に示す如く投入
側で搬送物を投入する際、または図８に示す如くバケッ
トが垂直方向に移送する際、さらには排出側におけるバ
ケットの反転移送状態等において、前後に隣接する各バ
ケット100,100 間の隙間200 から搬送物が零れ落ちる現
象が起き、それらがコンベヤケース内に蓄積されてバケ
ット100 移送の抵抗となり搬送機能の低下を導くばかり
か、バケット100 の損傷を招くという不具合があった。

【０００４】前述の不具合を解消するために従来から種
々の構造が提案されているが、最も簡単で確実な効果が
得られるものの一つは、前面を低く、後面を高く形成
し、且つ前面及び後面上部を移行方向に向かって傾斜せ
しめた函体でバケットを構成し、このバケットにおける
後部傾斜面の下端縁と前面上端縁とに渉って合成ゴム等
の可撓性のある板材からなるシール部材を取付け、且つ
そのシール部材の折曲中心と移行チェーンの回転中心を
一致させたものである（実公平１−２４００７号参
照）。このような手段によれば、水平，垂直，反転等の
各種移送状態の全てにおいて確実な隙間閉鎖効果を得ら
れ、しかもシール部材の折曲中心と移行チェーンの回転
中心とが一致しているからバケットの方向転換も容易に
出来るという利点があるものの、その技術内容について
より詳細に検討すると、以下に記載するような問題点が
ないとはいえなかった。すなわち、シール部材の折曲中
心にはバケットが方向転換する時に繰り返し折曲変形が
発生するので、使用状況によっては疲労が蓄積し寿命が
短くなることも考えられ、また、シール部材が前後のバ
ケット間に渉って固定されていることから、バケットを
分離させる際には移行チェーンから外すと共にシール部
材とバケットの固定部分を外さなければならず、分解に
手間がかかるものであった。

【０００５】本考案は上記した従来事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、搬送物投入の
際や搬送中の垂直部、さらには搬送物を排出する反転状
態等の全てのバケット移送状態において、隣接するバケ
ット間の隙間を確実且つ効果的に閉鎖でき、しかも各々
のバケット相互は分離独立したものとして、閉鎖部分の
寿命が長く、バケット相互の分解，組立ても容易なバケ
ットコンベヤ装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本考案に係るバケットコンベヤ装置は、前面を低
く、後面を高く形成し、且つ前面及び後面上部を移行方
向に向かって傾斜せしめた函体でバケットを構成し、こ
のバケットを無端状の移行チェーンに回動不能に多数連
設してなるバケットコンベヤ装置において、前記夫々の
バケットの前面上端縁に沿って前側シール部材を添設
し、後部傾斜面の下端縁に沿っては後部バケットの前側
シール部材に接触する後側シール部材を添設し、且つそ
れら前後のシール部材を所望の弾性材によって成形する
と共に、該前後のシール部材の先端部同士を常時弾性的
に圧接せしめて隣接するバケット間の隙間を閉鎖するよ
うにし、さらに前後のシール部材の圧接点と移行チェー
ンの回転中心とを一致させてなることを特徴とする。

【０００７】

【作用】以上の構成によれば、各バケットは、水平，垂
直方向への移送及び排出側での反転時等の全ての移送状
態において、後部バケットの前側シール部材の先端部
に、後側シール部材の先端部を常時圧接せしめながら移
動するので、前後に隣接するバケット間の隙間は常に閉
鎖される。また、前後に隣接するバケット相互は分離独
立したものであり、分解，組立て等も容易に行い得る。

【０００８】

【実施例】以下、本考案に係るバケットコンベヤ装置の
一実施例を図面を参照して説明する。本実施例のコンベ
ヤ装置は図１に示す如く、コンベヤケースａにおける搬
送物投入側に投入口ｂとスプロケットｃを設け、排出側
に排出口ｄとスプロケットｅを設けると共に、前記投入
側のスプロケットｃと排出側のスプロケットｅとの間に
わたって、中間部に適宜数のアイランドスプロケットｆ
を介して無端状に回転移行するよう移行チェーン１，１
を二条を架設する。

【０００９】ケースａ内の左右側面部には移行チェーン
１，１の移行をガイドするガイドレールa1，a1を装備
し、両チェーン１，１にはそのガイドレールa1に摺接し
て転動するころ状の転動部材1aを設ける。また、任意の
スプロケット（図面では投入側ｃ）に駆動装置ｇを連結
せしめて駆動スプロケットとする。

【００１０】投入口ｂにはチェーン１，１の移行速度と
同調して回動し搬送物を調整し得るロータリーフィーダ
ー（不図示）を取付け、該フィーダーにはアイドラスプ
ロケットｆとにわたって駆動ベルトを掛架して、スプロ
ケットｆの回転により適量の搬送物をバケット２，２…
内に落下投入せしめるよう構成する。

【００１１】各々の移行チェーン１は図２乃至図５に示
すように、回転中心となる連結ピン1b，1bによってチェ
ーン杆1c，1cを連設してなるこの種の技術分野で周知な
構成のもので、その連結ピン1bにより両チェーン１，１
間にわたって多数のバケット２，２…を回動（揺動）不
能に連設状に固定する。尚、上記転動部材1aは、左右に
相対向する内外のチェーン杆1c，1cの長さ方向中心位置
に架設せる軸1dにより軸承される。

【００１２】バケット２は搬送物を収納するため、前面
2bを低く、後面2d，2fを高く形成し、且つ前面2b及び後
面上部（後部傾斜面2f）を移行方向に向かって傾斜せし
めた函体状に形成されるもので、左右両側面の各々に前
記連結ピン1bの軸承部2aを前後に突設し、各連結ピン1b
を軸承部2aに挿入するをもって、両チェーン１，１間に
回動（揺動）不能に固定する。

【００１３】夫々のバケット２は移行チェーン１，１の
移行にともなって水平方向（図３参照）、垂直方向（図
４参照）へ移送し、且つ排出側スプロケットｅにおいて
反転した後は反転状態のまま移行し（図５参照）、さら
に投入側スプロケットｃにて再反転して元の姿勢である
水平移送状態に戻るようになる。

【００１４】各々のバケット２の前面2bの上端縁2cに沿
っては前側シール部材３を添設し、後部傾斜面2fの下端
縁2eに沿っては後部バケット２の前側シール部材３に接
触する後側シール部材４を添設し、該前後のシール部材
３，４の先端部同士を常時弾性的に圧接せしめて隣接す
るバケット２，２間の隙間を閉鎖するようにする。さら
に前後のシール部材３，４の圧接点Ｐと、移行チェーン
１の回転中心（前述した連結ピン1bの中心1b’）とを一
致させてある（図６，図７参照）。

【００１５】前後のシール部材３，４は所定の可撓性・
柔軟性・復元性を有するゴム，合成樹脂等の所望な弾性
材によって一体成形したもので、その後端部に形成した
凹部3a，4aをバケット２の前面上端縁2c若しくは後部傾
斜面2fの下端縁2eに嵌合すると共に、接着等の手段を介
してバケット２に一体的に固定する。

【００１６】また前後のシール部材３，４はその先端部
3b，4bを図６に示すような中実或いは図７に示すような
中空状に拡大形成し、該前後の先端部3b，4bにおける突
合せ縁、すなわち圧接点Ｐが上記連結ピン1bの中心1b’
とほぼ同一線上に位置するよう、バケット２に固定す
る。これにより各バケット２は、後部バケット２の前側
シール部材３の先端部3bに、後側シール部材４の先端部
4bを常時弾性的に圧接せしめたまま、水平，垂直方向及
び反転状態で移動し、後部バケット２との間の隙間が確
実に閉鎖される。

【００１７】而して、スプロケットｃの駆動により移行
チェーン１，１が移行するに伴い、多数のバケット２，
２…がコンベヤケースａ内を移送する。各バケット２は
投入口ｂに投入される搬送物を収容した後、ケースａ内
を水平状態，垂直状態，水平状態の順で移行し、さらに
スプロケットｅ部分で反転して搬送物を排出口ｄから吐
出せしめる。

【００１８】また各バケット２は、水平方向（図３参
照），垂直方向（図４参照）への移送及び排出側での反
転時（図５参照）等において、隣接する後部バケット２
の前側シール部材３の先端部3bに、後側シール部材４の
先端部4bが常時圧接する状態で移動し、後部バケット２
との間の隙間を確実に閉鎖する。

【００１９】従って、投入側で搬送物を投入する際、ま
たはバケット２が垂直方向に移送する際、さらには排出
側におけるバケット２の反転時等の夫々の移送状態にお
いて、隣接する各バケット２，２間の隙間から搬送物が
零れ落ちる虞れを効果的に防止できる。しかも、前後に
隣接するバケット２，２相互は分離独立したものであ
り、バケット２の方向転換に際しシール部材３，４に無
理な力（変形力）が係ることがないのでシール部材３，
４の寿命が長くなる。さらに保守点検等のためにバケッ
ト２，２…を分離させる際には、移行チェーン１からバ
ケット２を外せば作業が完了する。

【００２０】尚、本実施例ではチェーン１の回転移行順
序が水平，垂直，水平である所謂Ｚ型のコンベヤ装置に
ついて説明したが、本考案はこれに限定されず、例えば
前記移行順序が水平，垂直である所謂Ｌ型タイプやその
他のタイプのバケットコンベヤ装置にも対応可能である
ことはいうまでもない。

【００２１】

【考案の効果】本考案に係るバケットコンベヤ装置は以
上説明したように、搬送物の投入時，搬送中の垂直部，
搬送物を排出する反転時等の夫々のバケット移送状態に
おいて、前側シール部材と後側シール部材の先端部同士
が常時圧接して、隣接するバケット間の隙間を確実且つ
効果的に閉鎖し得る。従って、搬送物が搬送途中でこぼ
れ落ち、それらがコンベヤケース内に蓄積されて搬送機
能の低下を導き、さらにはバケットの損傷を招くといっ
た従来装置の欠点を解消して、実用的で極めて商品価値
の高いバケットコンベヤ装置を提供できた。

【００２２】しかも、前後のシール部材の圧接点と移行
チェーンの回転中心とを一致させて上記効果を得るよう
にしたので、バケットの方向転換に際しシール部材に無
理な力（変形力）が係ることがなく、バケット間の隙間
を可撓性を有するシール板で覆うことからバケットの方
向転換に際し該シール板に変形，折曲を余儀なくする従
来技術に比べ、シール部材の寿命が長くなり、製品の信
頼性向上及び製造コストの低減を図ることができる。さ
らに、前後のバケットは各々分離、独立させてバケット
間の隙間を閉鎖するものとしたので、保守点検等のため
にバケットを分離させる際には移行チェーンから外せば
作業が完了する。よって、シール部材が前後のバケット
間に渉って固定されたものに比べ、バケット相互の分
解，組立てが容易で作業性も良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るバケットコンベヤ装置の全体構
造を示す簡略図。

【図２】 図１におけるバケットの縦断正面図。

【図３】 図１における水平方向へのバケット移送箇所
の縦断側面図。

【図４】 図１における垂直方向へのバケット移送箇所
の縦断側面図。

【図５】 図１におけるバケット反転箇所の縦断側面
図。

【図６】 前後のシール部材の弾性的な圧接状態を表す
拡大断面図。

【図７】 前後のシール部材の変形例を表す拡大断面
図。

【図８】 従来装置における垂直方向へのバケット移送
箇所の縦断側面図。

【図９】 従来装置における水平方向へのバケット移送
箇所の縦断側面図。

【符号の説明】１：移行チェーン 1b：連結ピン 1b’：連結ピンの中心 1c：チェーン杆 ２：バケット 2b：バケットの前面 2c：バケットの前面上端縁 2f：バケットの後部傾斜面 2e：バケットの後部傾斜面の下端縁 ３：前側シール部材 ４：後側シール部材 Ｐ：前後のシール部材の圧接点

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前面を低く、後面を高く形成し、且つ前
   面及び後面上部を移行方向に向かって傾斜せしめた函体
   でバケットを構成し、このバケットを無端状の移行チェ
   ーンに回動不能に多数連設してなるバケットコンベヤ装
   置において、前記夫々のバケットの前面上端縁に沿って
   前側シール部材を添設し、後部傾斜面の下端縁に沿って
   は後部バケットの前側シール部材に接触する後側シール
   部材を添設し、且つそれら前後のシール部材を所望の弾
   性材によって成形すると共に、該前後のシール部材の先
   端部同士を常時弾性的に圧接せしめて隣接するバケット
   間の隙間を閉鎖するようにし、さらに前後のシール部材
   の圧接点と移行チェーンの回転中心とを一致させてなる
   ことを特徴とするバケットコンベヤ装置。