JP2553566Y2 - 全ねじロックボルト用継手 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、全ねじロックボルトを
接続する全ねじロックボルト用継手に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のロックボルト用継手は、
図４に示すように、継手（イ）の孔内の中央部に円環状
壁（ロ）を設け、その円環状壁（ロ）の両側位置にそれ
ぞれねじ無し部（ハ），（ハ）を介在させて各端部側に
向けて雌ねじ部（ニ），（ニ）を切削加工したものであ
る。そして、使用時には、それら雌ねじ部（ニ），
（ニ）に適合するロックボルトの接続側端部をそれぞれ
円環状壁（ロ）まで螺入することにより二個のロックボ
ルトを接続している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】かかる継手（イ）にお
いて、両雌ねじ部（ニ），（ニ）を分離している円環状
壁（ロ）は、継手（イ）の移動を防止するためのもので
あり、これを通しねじにして自穿孔ロックボルトの継手
として用いた場合には、穿孔作業中に継手が接続部から
移動し、一方のロックボルトから外れてしまって継手の
役割を果たさない。

【０００４】ところで、従来の継手（イ）においては、
両側の雌ねじ部（ニ），（ニ）を切削加工により形成す
るために、上記円環状壁（ロ）とそれら雌ねじ部
（ニ），（ニ）との間にはバイトを逃がすためのねじ無
し部（ハ），（ハ）が不可欠である。

【０００５】そして、継手（イ）の一側のねじ無し部
（ハ）の必要長さはねじピッチの１．０〜１．５倍程度
であるから、両側のねじ無し部（ハ），（ハ）ではねじ
ピッチの２．０〜３．０倍の長さになる。而して、ロッ
クボルトのねじピッチは一般に１０〜２０ｍｍであるの
で、ねじ無し部（ハ），（ハ）の長さは２０〜６０ｍｍ
となる。

【０００６】このように、継手（イ）内にはねじ無し部
（ハ），（ハ）を形成しなければならないために、その
長さだけ長い継手が必要になる。従って、資材を多く要
し、加工に手間が掛って製作上も不経済となるばかり
か、継手（イ）が長いために自穿孔ロックボルトによる
穿孔作業時に繰り粉の排出が悪くて作業能率は低下する
などの問題点があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、継手の長さを
できるだけ短くすることによって自穿孔ロックボルトと
して使用した場合の穿孔の作業性を向上させ、且つ、資
材を節減し容易に製作できて経済的な全ねじロックボル
ト用継手を提供することを目的とする。

【０００８】上記目的を達成するため、本考案による全
ねじロックボルト用継手では、パイプ状本体の貫通孔中
央にその軸心に直交して設けられる断面がほぼ三角形で
円環状の移動防止用突起（４）と、この移動防止用突起
（４）の両側に軸心方向に連続して設けられる該移動防
止用突起（４）とほぼ同じ高さの丸ねじからなる雌ねじ
部（５），（５）とを備え、鋳造により形成した構成と
する。

【０００９】

【実施例】図１乃至図３に基づき、本考案の一実施例に
ついて説明する。図１において、（ａ）は全ねじ自穿孔
ロックボルトを示し、（１），（１）はその主体をなし
て中空部（７）を有する二個の全ねじロックボルトで、
各全ねじロックボルト（１）の接続側端面をその軸心と
直角方向になすと共に、外周部を面取り（２）したもの
である。そして、（３）は、それら全ねじロックボルト
（１），（１）を連結する鋳鉄製の継手で、図２，図３
に詳細に示すように、パイプ状本体の貫通孔の中央部に
断面がほぼ三角形で円環状の移動防止用突起（４）が軸
心に直交して設けられると共に、その移動防止用突起
（４）に軸心方向に連続して上記パイプ状本体の両側部
には移動防止用突起（４）とほぼ同じ高さの丸ねじから
なる雌ねじ部（５），（５）が形成された構成を有し、
これら全体が鋳造により成形される。

【００１０】そして、接続にあたっては、図３に示すよ
うに、継手（３）の両端から各雌ねじ部（５），（５）
にそれぞれ全ねじロックボルト（１），（１）の接続側
端部を互いに当接するまで螺入し、それら全ねじロック
ボルト（１），（１）の端面を圧接させる。

【００１１】（６）は全ねじ自穿孔ロックボルト（ａ）
のビットで、一方の全ねじロックボルト（１）の先端部
に螺着される。さらに、そのビット（６）には全ねじロ
ックボルト（１）内の中空部（７）と連通する通孔
（８）が設けられている。（９）は他方の全ねじロック
ボルト（１）の先端部に螺合した締付け用ナットであ
る。

【００１２】

【考案の効果】本考案の全ねじロックボルト用継手は、
下記のような利点がある。

【００１３】（１） 鋳造の採用により、継手の孔内中
央部の移動防止用突起の両側位置にねじ無し部を設ける
ことなく作製するから、継手の長さを短くすることが可
能となり、資材を節減して安価に製作できる。

【００１４】（２） 継手が短いから、全ねじ自穿孔ロ
ックボルトに用いた場合に、穿孔作業時における全ねじ
自穿孔ロックボルトに掛る抵抗がその分だけ少なくな
り、繰り粉の排出が良好で、穿孔の作業性を向上させて
経済的である。

【００１５】（３） 一対の全ねじロックボルトは、そ
れらの端面が継手内で面接触した状態で接続されるか
ら、継手による両全ねじロックボルトの接続は堅固で、
両全ねじロックボルトの間の力の伝達が良くて継手が破
損することは無い。さらに、全ねじロックボルトの中空
部内に通す空気，水，グラウト材等が接続部から漏れる
こともなくなる。

【００１６】（４） 継手の孔内には丸ねじからなる雌
ねじ部を形成するから、継手を鋳造するときに、溶けた
鋳鉄が確実に鋳型の隅々まで入り込んできちんとしたね
じ山が形成される。

【００１７】（５） 継手の孔内の中央部には、断面が
ほぼ三角形の円環状で、かつ、その両側の丸ねじからな
る雌ねじ部とほぼ同じ高さの移動防止用突起を設けるか
ら、継手を鋳造するときに、その継手にきちんとした移
動防止用突起が形成される。

【００１８】（６） 構造は極めて簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る継手を用いた全ねじ自
穿孔ロックボルトの正面図で、両側の中間部を切欠して
示す。

【図２】その継手の拡大正面図で、上半部を切断して示
す。

【図３】同上継手による全ねじロックボルトの接続状態
を示す要部の正断面図である。

【図４】従来の自穿孔ロックボルト用継手の正面図で、
上半部を切断して示す。

【符号の説明】

ａ 全ねじ自穿孔ロックボルト １ 全ねじロックボルト ２ 面取り ３ 継手 ４ 移動防止用突起 ５ 雌ねじ部 ６ ビット ７ 中空部 ８ 通孔 ９ 締付け用ナット イ 継手 ロ 円環状壁 ハ ねじ無し部 ニ 雌ねじ部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプ状本体の貫通孔中央にその軸心に
   直交して設けられる断面がほぼ三角形で円環状の移動防
   止用突起と、この移動防止用突起の両側に軸心方向に連
   続して設けられる該移動防止用突起とほぼ同じ高さの丸
   ねじからなる雌ねじ部とを備える鋳造製の全ねじロック
   ボルト用継手。