JP2553485Y2 - 集塵機の外部電源供給機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、集塵機の露出面に外部
電源出力用コンセントの差し込み口を設け、内部の電気
回路にその外部電源出力用コンセントからの電力供給に
連動して集塵機に電源を投入するスイッチング素子を設
け、外部電源出力用コンセントから電力供給を受ける機
器のスイッチ操作で、集塵機のスイッチを連動操作でき
るリモートコントロール機能（以下リモコン機能とい
う）を備えた外部電源供給機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】電動工具の粉塵や切削屑排出部に集塵機
の吸塵ホースを接続し、電動工具の使用によって発生し
た粉塵や切削屑を集塵機で吸塵させる場合、電動工具と
集塵機の各スイッチを個々に操作していては効率が悪
い。そこで従来、複数の機器を連動操作させる制御装置
を集塵機に組み込んだ外部電源出力用コンセントを設
け、その外部電源出力用コンセントから電力供給を受け
る機器のスイッチ操作で、集塵機のスイッチを連動操作
できるリモコン機能を備えたものが知られている。一方
電気掃除機の本体側に、パワーブラシと称する吸込口体
を接続して使用する場合、その電力消費の軽減や操作性
の向上を図るため、実願昭５５−４５４７０号や実公昭
５８−２３３２１号公報等には、本体側に、電動送風機
の高出力回路と低出力回路とを選択的に電源に接続する
出力切換スイッチを設け、その出力切換スイッチを吸込
口体のプラグを本体ケースのコンセントへ差し込む動作
によって低出力側に動作させるようにした構成が開示さ
れている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】電動工具のスイッチ操
作で集塵機のスイッチを連動操作できるリモコン機能を
備えることにより、複数のスイッチを操作する煩わしさ
は解消できる。しかしここでは集塵機と電動工具といっ
た元々別個の機能を有する機器を併用するものであるか
ら、集塵機はリモコン機能による連動のみでなく単独使
用も可能とする必要があり、単独運転と連動運転との切
換機能を更に設けなければならない。よって構成が複雑
化する上、特にこの場合、誤操作による電動工具の不意
の起動が生じやすい。即ち、外部電源出力用コンセント
に電動工具のコンセントが差し込まれていない状態で集
塵機が停止しているときは、単独運転でスイッチがＯＦ
Ｆになっている以外に、切換機能によってスイッチがＯ
Ｎで連動運転になっている二つの場合が生じるから、連
動運転になっているにも拘らず、外部電源出力用コンセ
ントには電気が供給されていないと思い込み、電動工具
のスイッチがＯＦＦになっているかどうかを確認せず
に、ＯＮの状態にしたままの電動工具のプラグを外部電
源出力用コンセントに差し込んだ場合、集塵機のみなら
ず電動工具も起動してしまう。一方上記公報で挙げた技
術は、単にプラグの差込操作時に出力切換スイッチを切
り換える構成を開示するのみで、元々別個に使用される
電気機器を連動させて使用する技術思想を前提としてい
ないから、吸込口体を使用する際には常に本体側のスイ
ッチを操作する手間が生じ、又本体側の誤操作によって
吸込口体が不意に起動する虞れもあり、集塵機と電動工
具との間には採用できない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで本考案は、このよ
うな集塵機と電動工具との間での連動機構の採用に関
し、構成の簡略化は勿論、特に誤操作による電動工具の
不意の起動を防止して安全を図り、操作性や作業性の向
上も達成可能とすることを目的としたもので、その構成
は、外部電源出力用コンセントからの電力供給に連動し
て集塵機に電源を投入するスイッチング素子に、常閉ス
イッチを並列に接続し、その常閉スイッチを、前記外部
電源出力用コンセントの差し込み口へのプラグの差し込
み操作で開作動可能としたことを特徴とするものであ
る。又請求項２は、前記常閉スイッチの具体的な開作動
機構として、前記外部電源出力用コンセントの差し込み
口へ、上端に支持腕が延設され、その支持腕の上縁部を
水平軸により前記集塵機のボディへ蝶着して前記差し込
み口を閉塞する蓋体を取り付けると共に、その蝶着部に
前記蓋体を閉塞方向へ付勢するスプリングを設け、前記
ボディ面から前記蓋体の閉塞時にボディ側に当接する前
記支持腕に対し、前記常閉スイッチのスイッチロッドを
押圧可能に突設させた構成としたものである。

【０００５】

【作用】外部電源出力用コンセントが利用されないと
き、集塵機は、集塵機に設けられたスイッチのＯＮ、Ｏ
ＦＦ操作により単独運転でき、外部電源出力用コンセン
トから電源の供給を受けるべく電動工具のプラグを差し
込むと、連動運転に切り代わって集塵機の運転は電動工
具側でコントロールされるようになる。そして作業者
は、蓋体が閉じた状態で集塵機が停止していれば、集塵
機のスイッチがＯＦＦになっていることを認識できるの
である。

【０００６】

【実施例】本考案に係る外部電源供給機構を備えた集塵
機を図面に基いて説明すると、図１において、集塵機は
ハウジング１の内部中央に、ブロア２を回転駆動させる
モータ３が収容され、ハウジング１の下部は集塵室４に
なっていて、集塵室４の側部に形成された吸塵口４ａか
ら塵を吸い込み、集塵室４内へ集めるものである。集塵
室４内には、ブロア２との境に塵落し機構を備えたフィ
ルタ５が設けられていて、レバー５ａの進退操作で表面
に付着した塵を払い落すようになっている。ハウジング
１の上部には、ポータブルとして必須の把手６を有し、
又背負い用のベルトが取り付けられるようにもなってい
る。更に一方の側部には手摺等へ引っ掛けてぶら下げて
おくための吊り下げフック７と、電源スイッチ８を備
え、他方の側部には、外部電源供給用のコンセント９と
コードフック１０とが装備されている。

【０００７】外部電源供給用のコンセント９は、図２に
示す如く差し込み口が円形の枠９ａで囲まれ、又その外
部電源供給用のコンセント９には、前記枠９ａを覆って
差し込み口を閉塞する蓋体１１が設けられている。蓋体
１１の上端には支持腕１１ａが延設され、その支持腕１
１ａの上縁部が、水平軸１２を介してハウジング１に蝶
着されている。蝶着部には、トーションスプリング１３
が取り付けられていて、蓋体１１を閉塞方向へ付勢して
いる。又ハウジング１には、前記蓋体１１の閉塞時に支
持腕１１ａが当接する部分に、常閉スイッチ１４のスイ
ッチボタン１４ａを押圧操作するスイッチロッド１５が
設けられ、そのスイッチロッド１５は、蓋体１１の開放
状態で常閉スイッチ１４に内蔵されているスプリング力
によって先端がハウジング面から突出し、又蓋体１１の
閉塞操作によって没入する。それによって常閉スイッチ
１４は、蓋体１１が閉じた状態では閉作動、即ちＯＮの
状態になっていて、蓋体１１を開くとＯＦＦとなる。

【０００８】図３は集塵機の電気回路を示したもので、
モータ３へ電源を供給する回路には電源スイッチ８と常
閉スイッチ１４とが直列に、又その常閉スイッチ１４と
並列にスイッチング素子１６が接続されている。更に前
記モータ３と常閉スイッチ１４（スイッチング素子１
６）とが直列に接続された回路には、外部電源供給用コ
ンセント９の差し込み口が並列接続されている。そして
電源スイッチ８から外部電源供給用コンセント９の差し
込み口に至る配線にはカレントトランス１７が設けら
れ、前記コンセント９から電力が供給されると、それを
電流信号として検出し、スイッチング素子１６をＯＮ作
動させるようになっている。又この回路には、遅延機構
１８が接続され、雑音防止対策としてアバランシェダイ
オード１９及びコンデンサ１９´も組み込まれている。

【０００９】このように構成された集塵機は、外部電源
供給用コンセント９が利用されていない場合、図４に示
す如く蓋体１１が閉じ、コンセントの差し込み口を保護
し、常閉スイッチ１４はＯＮの状態となっている。よっ
て電源スイッチ８の操作で集塵機を単独運転させること
ができる。ここで外部電源供給用のコンセントに、例え
ば電動工具のプラグ１９ａを差し込んでその電動工具と
併用すべく蓋体１１を開くと、常閉スイッチ１４はＯＦ
Ｆの状態に切り代わる。蓋体１１が閉まった状態で集塵
機が運転されていなければ、電源スイッチ８はＯＦＦ操
作されているから、万一電動工具のスイッチをＯＮにし
たままそのプラグ１９ａを外部電源供給用のコンセント
に差し込んでも、電動工具は運転されない（図５）。電
源スイッチ８をＯＮ操作すれば連動運転の態勢となる。

【００１０】電動工具のスイッチをＯＮにすることによ
って回路に電流が流れると、カレントトランス１７から
出力された電流によってスイッチング素子１６がＯＮ作
動し、モータ３に電源が投入され、又電動工具のスイッ
チをＯＦＦにすることによって、カレントトランス１７
からの出力電流が途だえ、スイッチング素子１６はＯＦ
Ｆ作動してモータ３への電源供給が断たれる。実施例の
回路には遅延機構１８が組み込まれているので、電動工
具が停止した後も数秒間運転が続行され、吸塵ホース内
に残っている塵や切削屑を全て集塵室内へ吸い込んでし
まう。

【００１１】実施例の集塵機は、ハンマードリルと組み
合わせた場合特に利用しやすい配慮がなされており、図
６に示す如く背負いバンドを取り付けて背負い、ハンマ
ードリル２０のコード２０ａをコードフック１０へ引っ
掛けてコードのたるみをなくせば機動性に富み、又背負
わない場合は、図示はしないが、吊り下げフックを利用
して傍らの手摺等へぶら下げておくことにより、つまず
いたり蹴飛ばしたりもしない。又実施例では、持ち上げ
式の蓋体を開閉操作することにより常閉スイッチを開作
動可能としたものを説明したが、蓋体は持ち上げ式ばか
りでなく、スライド式、回動式などに変更でき、更には
蓋体の開閉操作以外の手段、例えばコンセントの差し込
み口にスイッチロッドを突出させ、プラグの差し込み操
作でそのプラグによって直接スイッチロッドを押圧する
など、プラグの差し込み操作に連動して常閉スイッチが
ＯＦＦ作動する構造であれば、その機構や位置は限定さ
れないし、常閉スイッチは、押圧状態で閉作動するもの
ばかりでなく、押圧解除状態が閉作動となるものを採用
し、蓋体を開いたときにスイッチロッドを押圧操作する
ようにもできる。更に遅延回路は省略しても差し支えな
い。

【００１２】

【考案の効果】本考案によれば、スイッチング素子を用
いた連動機構に、常閉スイッチと、その常閉スイッチを
プラグの差込により開作動させる技術思想とを組み合わ
せたことにより、リモコン機能を備えた集塵機に、単独
運転と連動運転との切換を行う切換機構を簡単に構成可
能となる。又電動工具のプラグの差込前では、集塵機単
独で連動運転に切り換えられる虞れがないから、集塵機
が運転停止状態であれば、集塵機の電源スイッチをいち
いち確かめなくてもＯＦＦ状態（単独運転への切換状
態）であると認識でき、電動工具のスイッチをＯＮにし
たままプラグを差し込むことがあっても、電動工具が起
動する虞れはなく、常に安全に使用できる。更に電動工
具のプラグの差込後では、常に連動状態であるから、作
業者が操作するスイッチは電動工具側の一つで済み、作
業性や操作性が向上する。加えて集塵機は単独運転でき
ないから、集塵機側での操作上の間違いは起こり得な
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る外部電源供給機構を備えた集塵機
の内部構造を示す説明図である。

【図２】コンセントの差し込み口に設けられた蓋体の構
造を示す説明図である。

【図３】本考案に係る外部電源供給機構の電気回路を示
す説明図である。

【図４】本考案に係る集塵機の外観を示す説明図であ
る。

【図５】蓋体を開いてコンセントにプラグを差し込んだ
状態の説明図である。

【図６】本考案に係る外部電源供給機構を備えた集塵機
の使用態様を示す説明図である。

【符号の説明】

１・・ハウジング、２・・ブロア、３・・モータ、４・
・集塵室、４ａ・・吸塵口、５・・フィルタ、５ａ・・
レバー、６・・把手、７・・吊り下げフック、８・・電
源スイッチ、９・・コンセント、９ａ・・枠、１０・・
コードフック、１１・・蓋体、１１ａ・・支持腕、１２
・・水平軸、１３・・トーションスプリング、１４・・
常閉スイッチ、１４ａ・・スイッチボタン、１５・・ス
イッチロッド、１６・・スイッチング素子、１７・・カ
レントトランス、１８・・遅延機構、１９・・アバラン
シェダイオード、１９´・・コンデンサ、２０・・ハン
マードリル、２０ａ・・コード。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 集塵機の露出面に外部電源出力用コンセ
   ントの差し込み口を設け、内部の電気回路にその外部電
   源出力用コンセントからの電力供給に連動して集塵機に
   電源を投入するスイッチング素子を設けた外部電源供給
   機構において、前記スイッチング素子に常閉スイッチを並列に接続し、
   その常閉スイッチを、前記外部電源出力用コンセントの
   差し込み口へのプラグの差し込み操作で開作動可能とし
   たことを特徴とする 集塵機の外部電源供給機構。
2. 【請求項２】 前記外部電源出力用コンセントの差し込
   み口へ、上端に支持腕が延設され、その支持腕の上縁部
   を水平軸により前記集塵機のボディへ蝶着して前記差し
   込み口を閉塞する蓋体を取り付けると共に、その蝶着部
   に前記蓋体を閉塞方向へ付勢するスプリングを設け、前
   記ボディ面から前記蓋体の閉塞時にボディ側に当接する
   前記支持腕に対し、前記常閉スイッチのスイッチロッド
   を押圧可能に突設させた請求項１に記載した集塵機の外
   部電源供給機構。