JP2553171B2 - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光記録媒体及びその製造方法

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JP2553171B2 JP63290190A JP29019088A JP2553171B2 JP 2553171 B2 JP2553171 B2 JP 2553171B2 JP 63290190 A JP63290190 A JP 63290190A JP 29019088 A JP29019088 A JP 29019088A JP 2553171 B2 JP2553171 B2 JP 2553171B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は光記録媒体、更に詳しくは2枚のプラスチッ
ク基板を記録層が内側になるように接着剤により接着し
た貼合せ構造又は有機保護層により耐久性向上をはかっ
た光記録媒体に関する。
(従来の技術) 近年、大容量メモリーの1つとして光ディスクの商品
化,開発が活発である。その中でも書替え可能な光磁気
ディスクの実用化研究が精力的に行われている。
最近の光磁気ディスクの代表的構成として次のものを
挙げることができる。即ち、透明プラスチック基板とし
てポリカーボネート、光磁気記録層にTbFeCo膜を用い、
プラスチック基板と光磁気記録膜の間に誘電体層及び光
磁気記録層の保護膜としてZnSを用いた媒体である。こ
のように、光磁気記録膜は両面もしくは片面から誘電体
により保護された構造になっている。これにより、光磁
気記録膜が大気にさらされている場合に比べ光磁気記録
膜の寿命は大幅に長くなる。現在の技術レベルは5〜6
年である。
しかし、実用化のためには少なくとも10年の寿命が必
要であることを考えると現在の技術では実用化には不充
分である。
前述の代表的構成の光磁気記録媒体を60℃,90%RHの
加速試験にかけたところ、約50時間で記録膜にピンホー
ルが発生し、C/N及びBER(ビットエラーレート)が低下
した。
又、光磁気記録膜が大気に接したまま保存されると、
大気中の酸素や水により選択的に腐蝕あるいは酸化され
てしまい、情報の記録,再生が不可能となる。
そこで、一般には、前記光磁気記録膜の表面に保護層
を設けたり、または媒体の記録層側へ透明プラスチック
基板を接着させる(片面記録媒体)とか、2つ媒体をそ
の記録層が対向するように接着させる(両面記録媒体)
ことにより耐久性向上を図ることが試みられている。
しかしながら現状では、SiO,SiO2の如き防湿性の無機
保護層を設けた場合においても、均一で一様な製膜が難
しく、防湿性が充分な保護層は得られず光磁気記録層の
経時劣化の改善は充分ではない。
また、常温硬化性樹脂による塗膜保護層でも充分な防
湿性は得られず、現段階では前述した保護用の透明プラ
スチック基板を接着させるか或いは2つの光磁気記録媒
体同志を接着させることにより、水分,酸素の記録層へ
の透過を防止することにより、光磁気記録媒体の耐久性
向上を図ることに主眼が置かれている。所謂透明プラス
チック基板の貼合せによる方法である。
実際には、接着により貼合せ構造の光磁気記録媒体を
得ようとする場合、次のような問題がある。
接着剤(樹脂)硬化時の体積収縮による媒体の反り
等の歪及びそれにより記録膜のクラックなどの発生 接着剤(樹脂)中の酸性物質の如き活性成分による
記録膜の酸化劣化 先ず、熱硬化型樹脂による接着の場合、長時間に亘る
加熱キュアのため、基板である透明プラスチック自体の
熱変形(歪など)に加えて、硬化樹脂の体積収縮に基く
貼合せ媒体の反り、さらには硬化樹脂の収縮が密着して
いる記録膜に歪を発生させ、クラックなどにつながる等
問題点が多く好ましくない。
次に、接着に使用する樹脂がその組成中に少量の酸性
物質を含む場合、樹脂が記録膜と接触し、Tb,Dy,Nd等の
希土類元素を含む光磁気記録膜は急速に酸化劣化を起こ
す。
樹脂の硬化までに長時間を要する熱硬化型接着剤の場
合、あるいはAlなどの金属薄膜との接着性向上のため樹
脂中にリン酸エステル等の酸性物質を少量含有する場合
には上述の問題は一層顕著である。
(発明の目的) 本発明の目的は、高湿度雰囲気中においても光記録層
の劣化が防止され、耐湿熱劣化性のすぐれた光記録媒体
を供給することにある。
上記本発明の目的は、更に具体的に述べると、光記録
層への透明プラスチック基板の接着貼合せ、或いは光記
録媒体同志の接着貼合せ、又は有機保護層により、記録
層を水分及び酸素から保護するようになした光記録媒体
に関し、高温・長時間の熱硬化によるプラスチック基板
の熱歪がなく、光記録層を保護する接着層又は有機保護
層が長期に亘って記録層に対し安定で酸化劣化など副反
応を起さない光記録媒体を提供することである。
(発明の構成) 本発明は、以下の構成よりなるものである。すなわ
ち、本発明は前述の貼合せ構造すなわち2枚の透明プラ
スチック基板からなり、少なくともその一方に、記録層
を積層し、記録層が内側になるように透明プラスチック
基板を接着層により接着させた貼合せ構造、又は記録層
を保護する有機保護層を有する光記録媒体において、該
接着層又は有機保護層が (1)3官能以上の含有量が15〜60重量%のアクリル酸
又は/及びメタアクリル酸エステルからなり、光重合開
始剤を該アクリル酸又は/及びメタアクリル酸エステル
に対して0.3重量%以上含有し、 (2)酸価が1.5以下 である紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする光記録
媒体、及びこの光記録媒体を製造するに際し、該紫外線
硬化型樹脂で25℃での粘度が10〜5,000cpsのものを用い
て、塗布により前記接着層又は有機保護層を形成するこ
とを特徴とする光記録媒体の製造方法である。
本発明においては紫外線硬化型樹脂中、3官能以上の
アクリル酸エステル及び/またはメタアクリル酸エステ
ルは15〜60重量%使用する。好ましくは20〜50重量%で
あり、特に好ましくは25〜45重量%である。
3官能以上のアクリル酸エステル及び/またはメタア
クリル酸エステルが15重量%より少ない場合、紫外線に
より硬化した膜の架橋度が不足し、接着強力などの初期
物性の低下のみならず湿熱雰囲気下における接着力の低
下が著しく実用的でない。
60重量%より多い場合、紫外線硬化膜が高架橋度とな
り過ぎ物性的に脆くなる外、硬化収縮が大きく媒体に反
りなどの歪を発生させるので好ましくない。
紫外線硬化型樹脂の酸価は、1.5以下でなければなら
ない。好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.5以下であ
る。酸価が1.5より大きい場合、記録膜が酸化劣化(腐
蝕)され易く、例えば前述の光磁気記録膜の場合湿熱雰
囲気下に保つと、最初記録膜にピンホールが発生し、次
第に増加し、次いで記録膜は透明化し、最後に記録膜自
体が消失してしまう。なお、本発明で用いる「酸価」
は、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウム(KO
H)のミリグラム数で表わす。
この酸価は、硬化前の液状樹脂については、以下の手
順で測定する。
(ア)試料を必要量の精密にはかり取る。
(イ)滴定容器に移し、二酸化炭素を除いたガス(例え
ばN2)を容器中へ流し込む。
(ウ)溶媒(通常、エタノール−水等容混合物を用い
る。試料によりエチレングリコールメチルエーテル又は
ジオキサン等の溶媒を用いる)の適当量を加え、かきま
ぜながら加温して試料を溶解する。
(エ)指示薬としてフェノールフタレイン(またはチモ
ールフタレイン)及び必要に応じ予め煮沸して中性にし
た水を加える。
(オ)N/100水酸化カリウム(KOH)を用いて滴定する。
(滴定には、0.02mlまで目盛られたミクロビュレットを
用いる) (カ)酸価(Acid Value)は次式により計算する。
ここで、W:試料の重量[mg] V:使用した水酸化カリウムの液量[mg] N:水酸化カリウム液の規定度 又硬化後の硬化樹脂については、下記手順で試料を調
整後、液状樹脂の手順(エ)〜(カ)と同じようにして
測定する。
(ア)試料となるべき硬化樹脂を充分に粉砕する。
(イ)粉砕した試料の必要量を精密にはかり取る。
(ウ)滴定容器に移し、二酸化炭素を除いたガス(例え
ばN2)を容器中へ流し込み充分置換する。
(エ)溶媒(通常、エタノール−水等容混合物を用い
る。試料によりエチレングリコールメチルエーテルまた
はジオキサン等の溶媒を用いる)の適当量を加え、還流
冷却器(reflux condenser)を付けて、少くとも60分間
還流する。
なお、本発明において紫外線硬化型樹脂は、光記録媒
体においては紫外線により硬化した硬化樹脂を、製法に
おいては硬化前の液状樹脂を意味する。
ところで、本発明における紫外線により硬化しうる樹
脂または紫外線照射により硬化した樹脂が示す酸性の度
合い(酸価が1つの指標である)は、樹脂中に含まれる
遊離酸に依存している。即ち、アクリル酸エステルまた
はメタアクリル酸エステル中に含まれる未反応のアクリ
ル酸またはメタアクリル酸に代表されるカルボン酸,エ
ステル反応触媒として一般に用いられる硫酸等の無機
酸、更に製造工程上混入してくる痕跡の酸性物質(Cl-
等)が主である。
これらを除くためには、酸性物質を中和し、過を繰
返すことが常道であるが、本発明が目指す低い酸価を達
成するためには、さらに蒸留(低分子量化合物),イオ
ン交換,あるいは清浄な水(または水−溶媒混合液)に
よる洗浄が必要であり、これらを組合せるか、有効な方
法を繰返すことが重要である。
本発明で用いる3官能以上のアクリル酸エステル及び
メタアクリル酸エステルの代表的なものとして次のもの
を例示することができる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,
テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート(以
上3官能),テトラメチロールメタンテトラ(メタ)ア
クリレート,ヘキサメチレンジイソシアナートとグリセ
リン付加物のジアクリレート・ジメタアクリレート(以
上4官能),ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレート(以上6官能)。
分子量が大きい多官能アクリレートの例として、次頁
に示す分子式のフェノールノボラックエポキシアクリレ
ート,あるいはポリウレタンのトリまたはテトラ(メ
タ)アクリレート等を挙げることができる。
実際に使用する紫外線硬化型樹脂には上記の3官能以
上の(メタ)アクリレートの外に2官能(メタ)アクリ
レートあるいは単官能(メタ)アクリレートを併用し、
粘度調節及び硬化後の物性最適化の点から各種のアクリ
ル酸エステルが選ばれる。かかるアクリル酸エステルと
して、エステルアクリレート,エステルウレタンアクリ
レート,エーテルウレタンアクリレート,エポキシアク
リレート等を挙げることができる。
これらの具体例として、次のものを挙げることができ
る。
ポリブチレンアジペートジアクリレート,ポリエチレ
ングリコールジメタアクリレート,ポリプロピレングリ
コールジアクリレート,(ポリエステルグリコールとイ
ソシアナートから成る)ポリウレタンのジアクリレー
ト,スピログリコールウレタンジアクリレート,ビスフ
ェノールA型エポキシアクリレート,ビスフェノールF
型エポキシメタアクリレート,フェノールノボラック型
エポキシアクリレート,クレゾールノボラック型エポキ
シメタアクリレート,ポリジメチルシロキサンジメタク
リレート等。
なお、これら以外に不飽和ポリエステルや側鎖に活性
基を有するポリアミド,ポリウレタン,ポリエステル,
ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリフェニレン
オキシド等の如き樹脂をアクリル酸エステル変性したも
のも充分に使用できる。
更に実際に使用に際して上記紫外線硬化樹脂には周知
の如く光重合開始剤が使用される。かかる光重合開始剤
としては、アセトフェノンやベンゾフェノン及びこれら
の各種誘導体が主であり、これらの具体例としては次の
ものを挙げることができる。
Darocur 1116,Darocur 1173(以上Merck社)。Vicur
55(Stauffer社),Irgacur 651.Irgacur 184(以上Ciba
−Geigy社)等である。
さらに、ベンゾインエチルエーテルの如きベンゾイン
エーテル系の光重合開始剤を使用することも可能であ
る。
これらは、1種のみ使用することも、また2種以上併
用することもできる。
これら光重合開始剤の使用量は、紫外線硬化型樹脂組
成物100部に対し、少くとも0.3重量部、好ましくは1.0
重量部以上、特に好ましくは2.0重量部以上用いる。
本発明の接着層及び有機保護層は、以上の紫外線硬化
型樹脂の塗布により形成される。中でもスピンコートが
膜厚の均一化及び生産面で好ましく適用される。
かかる面から紫外線硬化型樹脂の粘度は、25℃におい
て10〜5,000cpsである。好ましくは50〜2,000cps、特に
好ましくは100〜1,000cpsである。
粘度が10cpsより低い場合、樹脂が流れ易く、貼合せ
時にタレ易いなど扱いにくい外、重ね合せる場合に気泡
が発生し易く作業性が劣り好ましくない。
5,000cpsより高い場合、均一な薄層に拡げにくく、か
つ重ね合せる時に大きな押圧が必要である外、一度気泡
が入ると脱泡が困難である。また、自動計量→供給に時
間がかかり作業性もよくない。
なお、粘度の測定はB形粘度系BH形(東京計器製)を
用いて常法により行なう。
以上の本発明を、以下光磁気記録媒体を例に説明する
が、本発明は光磁気記録媒体に限定されるものではな
く、光磁気記録層と同様の劣化を伴なう光記録層を用い
る光記録媒体に広く適用できるものであることは、その
趣旨から明らかである。
第1図,第2図は本発明になる光磁気記録媒体の代表
構成例の部分側断面図である。第1図は、光磁気記録層
を設けた透明プラスチック基板に単なる透明プラスチッ
ク基板を接着貼り合わせた片面記録媒体の例であり、光
磁気記録層3にSiO,AlNなどの保護層4を介して接着層
5により透明プラスチック基板1′が貼合されている。
第2図は、両面記録媒体の例であり、光磁気記録層3及
び3′上に各々保護層4,4′が形成された透明プラスチ
ック基板1,1′が光磁気記録層3,3′が内側になるように
接着層5により接着貼合された例である。
尚、図において2,2′は誘電体層である。
これらの接着層5は、スパッタリング等により得られ
た光磁気記録層3(3′)又は保護層4(4′)の上
に、スピンコートあるいはロールコート等により塗布す
る外、貼合せる透明プラスチック基板間に介在させた後
押圧して全面に塗布する方法等により設けることができ
る。塗布厚みは、0.5〜1,000μm、好ましくは10〜500
μmである。次いで、紫外線照射により硬化接着するこ
とができる。
単なる透明プラスチック基板を貼合せる場合、紫外線
照射は単なる透明プラスチック基板側から行なうことで
充分に硬化させることが可能である。一方、光磁気記録
層を形成した透明プラスチック基板同志を貼合せる場
合、記録層の部分は基板のように透明ではないため紫外
線を通しにくく、外周及び内周の記録層のない透明部分
を通過した紫外線による硬化に頼らざるを得ないため短
時間硬化が難しい。このため、一方または両方の貼合せ
面に予め光重合触媒を含むプライマー液を塗布してお
き、その上に接着層を設け貼合せた後紫外線照射し全面
の硬化反応を短時間で終了させることができる。光重合
触媒としては、前述のベンゾイルパーオキサイド等の過
酸化物,鉄,ニッケル等の金属イオンあるいは酸化還元
系触媒等が多く使用される。
なお、後述の実施例に示す通り、以上の構成において
被覆する透明プラスチック基板を省略して接着層の構成
をそのまま有機保護層とした第3図の構成により充分な
耐久性が得られることが確認された。すなわち本発明は
有機保護層の単板構成の光記録媒体にも適用できるもの
である。
上述の光磁気記録媒体は、接着層又は有機保護層を除
いてその構成は特に限定されず、公知の構成がそのまま
適用できる。例えば透明基板としてはポリカーボネート
樹脂,アクリル樹脂等の透明プラスチック基板から、誘
電体層としてはZnS,SiO,AlN等から、光磁気記録層とし
てはFeTbCo,FeTbGd合金等のFeTb系の合金,FeNd系の合金
等からなるものが挙げられる。中でも光磁気記録層が耐
湿性に乏しい例示のFeTbCo合金等に効果が大きい。そし
てこれら誘電体層,光磁気記録層は常法例えばスパッタ
リング法等の物理蒸着法によって形成される。
以下に本発明による上述の光磁気記録媒体の実施例を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって
いささかの限定を受けるものではない。
実施例1〜3,比較例1,2 第1図に示す積層構成の光磁気記録媒体を以下のよう
にして作成した。なお、第1図において、1,1′は透明
プラスチック基板、2は誘電体層,3は光磁気記録層,4は
無機物保護層,5は接着層である。
すなわち、直径130mm,厚さ1.2mmの円板で1.6μmピッ
チのグループを有するポリカーボネート樹脂(PC)から
成る基板1をターゲット3個装着可能な高周波マグネト
ロンスパッタ装置(日電アネルバ(株)製SPF−430型)
の真空槽内に固定し、4×10-7Torr以下になるまで排気
する。なお、膜形成において基板1は水冷し、15rpmで
回転させた。
次に、Arガスを真空槽内へ導入し、圧力1.1×10-2Tor
rになるようにArガスの流量を調整し、直径100mm,厚さ5
mmのZnS円盤をターゲットとし、放電電力100W,放電周波
数13.56MHzで高周波スパッタリングを行ない、誘電体層
2としてZnS膜を650Å堆積した。
次いで記録層3としてTb23Fe69Co8合金(添数字は組
成(原子%)を示す)に変え、Arガスを真空槽内に導入
し上述と同様の放電条件でTbFeCo合金膜を800Å堆積し
た。更に、無機保護槽4として、ターゲットをAlNに変
え、Arガスを真空槽内に導入し上述と同様の放電条件で
AlN膜を500Å堆積した。
第1表に示した種々の多官能アクリレートを含有する
紫外線硬化型樹脂による接着層5をスピンコーターによ
り約50μmの厚さに均一に塗布した後、同じポリカーボ
ネートよりなる単なる透明プラスチック基板1′を気泡
を入れないように重ね貼合せると共に、少なくとも記録
層3の側面まで上記紫外線硬化型樹脂で被覆した。
次いで透明プラスチック基板1′の側から80W/cmの高
圧水銀灯により紫外線を照射し樹脂を硬化させることに
より接着させ側面被覆の第1図に示す貼合せ構造の片面
記録媒体を得た。
得られた各媒体について60℃,90%RHの雰囲気下で加
速劣化試験を行なった。その結果を第1表に示した。
本発明の実施例1〜3は、比較例1,2に比較して、酸
価が低く、湿熱雰囲気下での記録膜の酸化劣化が抑制さ
れ、60℃,90%RHにおいて1000hr経過後も記録膜の劣化
は殆んどない。
一方、比較例1及び2の酸価は各々15.2及び3.8と高
い値であり、60℃,90%RH雰囲気下ではいずれの記録膜
も各々100hr及び300hr経過後に酸化劣化が急速に進み記
録膜が損傷して使用に耐えないものとなった。
また、比較例1,2は、2官能(メタ)アクリル酸エス
テルを使用しており、紫外線硬化後の接着力は、3官能
(メタ)アクリル酸エステルを用いた実施例1及び2あ
るいは6官能アクリル酸エステル及び3官能アクリル酸
エステルを用いた実施例3よりも劣り、特に湿熱雰囲気
下での接着力低下が大きい。
又、実施例1,2及び3の媒体についてC/Nを測定した。
その測定は光磁気記録再生装置(ナカミチOMS−1000 Ty
pe〔III〕)を用い、900rpmでディスクを回転させ1.024
MHzの信号を5.0mW半導体レーザ光で記録したのち、0.8m
Wの半導体レーザ光で読出した。印加磁界は500エルステ
ッドである。
結果は、実施例1のC/Nが52.5dB,実施例2のC/Nが51.
0dB,実施例3のC/Nが52.0dBであった。
次いで、上記の媒体を60℃,90%RHの恒温,恒湿槽へ
入れ、1000hr経過後に取り出し、前述と同様にしてC/N
を測定したが大きな変化はなかった。
また、比較例1及び2の媒体について、60℃,90%RH
の恒温・恒湿槽へ投入する前のC/N測定結果は、50〜52d
Bの間であったが、60℃,90%RH雰囲気下100〜300hr経過
後にいずれの媒体も記録膜劣化発生のためC/Nは測定不
可であった。
なお、第1表(第2表,第3表も同様)において、光
重合開始剤の略号は以下の通りである。またその単位pH
R(Parts Per Hundred Resin)は、樹脂100重量部に対
する添加重量部である。
E:ダロキュア1116(メルク社製) D:ダロキュア1173(メルク社製) V:バイキュア55(ストウファ・ケミカル社製) B:ベンゾフェイン(和光純薬社製)(第2表,第3表) 実施例4,5,比較例3,4 実施例1〜3と同様にして、ポリカーボネートの透明
プラスチック基板1上に、誘電体層(ZnS)2,光磁気記
録層(TbFeCo)3,及び保護層(AlN)4を形成した。
第2表に種々の多官能アクリレートを含有する紫外線
硬化型樹脂による接着層5を保護層4の上に均一な厚さ
に塗布した。次いで実施例1〜3と同じポリカーボネー
トの単なる透明プラスチック基板1′を気泡を入れない
ように重ね貼合せた後、紫外線を照射し樹脂を硬化させ
接着し、実施例1〜3と同様に側面被覆された第1図と
同様の片面記録媒体を得た。貼合せ工程における操作上
の問題点及び60℃,90%RHでの500hr後の劣化試験結果を
第2表に示した。
本発明の実施例4及び5は、貼合せ操作での問題も少
く、かつ記録膜の劣化及び接着力の低下もない。
一方、樹脂粘度が7(cps)の比較例3及び粘度7,500
(cps)の比較例4のいずれも粘度不適当による操作上
のトラブルが多く実用に適さない。また、酸価が高いこ
とに起因する記録膜の酸化劣化が大きく、更に、2官能
(メタ)アクリレートを使用したことによる紫外線硬化
後の接着力が不充分であり、湿熱劣化試験(60℃,90%R
H,500hr)での接着力低下が大きい。
実施例6,7及び比較例5 実施例1〜3と同様にして第3図に示す如くポリカー
ボネートの透明プラスチック基板1上に、誘電体層(Zn
S)2,光磁気記録層(TbFeCo)3,及び保護層(AlN)4を
形成した。
第3表に示した組成からなる種々の多官能アクリレー
トを含有する紫外線硬化型樹脂による本発明の有機物保
護層6をスピンコーターにより、約10μmの厚さに均一
に塗布した。
次いで塗布した有機物保護層6の側から80W/cmの高圧
水銀灯により紫外線を照射し樹脂を硬化接着させ、側面
被覆の第3図に示す光記録媒体を得た。
得られた各媒体につき、60℃,90%RHの雰囲気下で加
熱劣化試験を行なった。その結果を第3表に示す。
第3表からも明らかなように、本発明例である実施例
6及び7は、いずれも紫外線硬化樹脂の酸価が1.5より
低く、かつ3官能以上のアクリレート化合物を15〜60wt
%含有するので、湿熱劣化試験(60℃,90%RH)におい
て、1,000hr経過後も、媒体の反りが殆んどないばかり
でなく、記録膜にも孔食等の劣化は認められない。
一方、比較例5には、紫外線硬化樹脂として市販のHN
7428u(藤倉化成(株),光ディスク用トップコート樹
脂)を使用した。
樹脂の酸価が1.9と高いので、60℃、90%RH雰囲気下
では、ピンホールの多発及び記録膜の一部消失が発生し
実用に適さない。また、加速劣化試験終了後の媒体に反
りが認められた。
(発明の効果) 前述したところから明らかなように、本発明によれ
ば、貼合せ構造又は有機保護層の光記録媒体において、
接着層又は有機保護層として、3官能以上の(メタ)ア
クリル酸エステルを15〜60重量%含有し、光重合開始剤
を0.3重量部以上含有する、酸価が1.5以下の(メタ)ア
クリル酸エステルからなる紫外線硬化型樹脂からなるも
のを用いることにより、又その製造に際しては粘度が10
〜500cps(at 25℃)の該紫外線硬化型樹脂を用いるこ
とにより、貼合せ工程及び保護層形成工程での操作上の
トラブルが殆んどなく、湿熱雰囲気下においても記録膜
の劣化あるいは貼合せ媒体の接着力の低下もなく、長期
耐久性に優れた光記録媒体が得られる。従って本発明は
上記記録膜劣化が問題となっているFeTbCo合金等で代表
される希土類金属と遷移金属の合金膜からなる光磁気記
録膜を用いる光磁気記録媒体において特に大きな効果を
奏する。このように本発明は光記録媒体、中でも光磁気
記録媒体の耐久性,生産性向上に大きな寄与をなすもの
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明になる単なる透明プラスチック基板を
貼合せた片面記録の光磁気記録媒体の例の部分概略断面
図である。 第2図は、第1図の単なる透明プラスチック基板を記録
層付に替えて貼合せた両面記録の例の部分概略断面図で
ある。 第3図は、第1図の透明プラスチック基板を省略した有
機保護層付の例の部分概略断面図である。 1,1′:透明プラスチック基板,2,2′:誘電体層,3,
3′:光磁気記録層,4,4′:保護層,5:接着層,6:有機保
護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−171444(JP,A) 特開 平1−260648(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚のディスク状の透明プラスチック基板
    からなり、少なくともその一方に、記録層を積層し、か
    つ記録層が内側になるように透明プラスチック基板を接
    着層により接着させた貼合せ構造の光記録媒体におい
    て、該接着層が、 (1)3官能以上の含有量が15〜60重量%のアクリル酸
    又は/及びメタアクリル酸エステルからなり、光重合開
    始剤を該アクリル酸又は/及びメタアクリル酸エステル
    に対して0.3重量部以上含有し、 (2)酸価が1.5以下 である紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする光記録
    媒体。
  2. 【請求項2】透明プラスチック基板上に記録層及び有機
    保護層を形成した光記録媒体において、該有機保護層が (1)3官能以上の含有量が15〜60重量%のアクリル酸
    又は/及びメタアクリル酸エステルからなり、光重合開
    始剤を該アクリル酸又は/及びメタアクリル酸エステル
    に対して0.3重量部以上含有し、 (2)酸価が1.5以下 である紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする光記録
    媒体。
  3. 【請求項3】該記録層が光磁気記録層である請求項1又
    は2記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項1,2又は3記載の光記録媒体の製造
    方法において、前記接着層又は前記有機保護層を (1)3官能以上の含有量が15〜60重量%のアクリル酸
    又は/及びメタアクリル酸エステルからなり、光重合開
    始剤を該アクリル酸又は/及びメタアクリル酸エステル
    に対して0.3重量部以上含有し、 (2)酸価が1.5以下で、 (3)25℃での粘度が10〜5,000cps である紫外線硬化型樹脂を塗布して、形成することを特
    徴とする光記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記紫外線硬化型樹脂をスピンコートする
    請求項4記載の光記録媒体の製造方法。
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