JP2551597Y2 - サーマルインクジェット記録装置 - Google Patents

サーマルインクジェット記録装置

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JP2551597Y2
JP2551597Y2 JP1990405640U JP40564090U JP2551597Y2 JP 2551597 Y2 JP2551597 Y2 JP 2551597Y2 JP 1990405640 U JP1990405640 U JP 1990405640U JP 40564090 U JP40564090 U JP 40564090U JP 2551597 Y2 JP2551597 Y2 JP 2551597Y2
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groove
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bubble
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美彦 弥勒
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Fujifilm Business Innovation Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ヒーターに通電して発
生したエネルギーを利用して液体を吐出するサーマルイ
ンクジェット記録装置に関するものである。
【従来の技術】ヒーターを用いて、インクを加熱し、気
泡を発生させ、発生した気泡の圧力によりインクを噴出
するバブル型のサーマルインクジェット記録装置は、そ
の噴射原理のために、キャビテーションによる破壊が発
生し、それがヘッド全体の寿命を短縮させる原因となっ
ている。
【0002】この対策として種々の方法が提案されてい
るが、特開昭58−11169号公報や特開昭63−1
99652号公報に記載されたものは、いずれも、ヒー
ター駆動パルスの工夫によりサーマルインクジェット記
録装置の長寿命化を図るものである。特開昭58−11
169号公報においては、1個のインク滴を吐出させる
ために、複数個のパルスを印加しヒーターを駆動するこ
とによって、ピーク温度を抑えるものであるが、印加パ
ルスのレベルやパルス幅を変化させた複数個のパルスを
発生させる必要があるため、その駆動回路が複雑になる
欠点がある。また、ピーク温度を抑えても、気泡がつぶ
れる際のダメージが熱作用面上に蓄積され、いわゆるキ
ャビテーションダメージのために、ヒーター寿命を大幅
に改善することはできない。
【0003】特開昭63−199652号公報では、気
泡が消滅する前に、第2,第3のパルスを印加してキャ
ビテーションダメージを軽減するものである。キャビテ
ーションダメージによるヒーター寿命改善には効果があ
ると思われるが、第2,第3のパルスを印加することに
よる消費エネルギーの増大や、このパルスによるヘッド
の昇温、ならびに、印字パターンによる温度差の拡大等
の欠点がある。また、特開昭58−11169号公報に
記載されたものと同様に、1個のインク滴を吐出させる
ために複数個のパルスを発生させる必要があるため、そ
の駆動回路が複雑になる欠点がある。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】本考案は、上述した欠
点を解決するためになされたもので、複雑なヒーター駆
動回路を必要とせず、簡単な構造のヘッドを用いるこ
と、ならびに、ヒーターに印加するエネルギー、波形を
変化させることにより、キャビテーションダメージの蓄
積を緩和し、長寿命のヒーターを持つサーマルインクジ
ェット記録装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案は、ヒーターが設
けられた基板とノズルを形成するための溝を有するチャ
ンネル基板とを接合して構成されるサーマルインクジェ
ット記録装置において、請求項1に記載の考案において
は、ヒーター上方の空間を、発生するバブルの体積が変
化するとバブルの重心が移動するように溝の軸方向と溝
の軸と直角方向のうち少なくとも一方を非対称に形成し
たことを特徴とするものであり、請求項2に記載の考案
においては、ヒーターの上方の空間を、発生するバブル
の体積が変化するとバブルの重心が移動するように溝の
軸方向と溝の軸と直角方向のうち少なくとも一方を非対
称に形成するとともに、前記ヒーターに駆動エネルギー
を印加する駆動手段からの駆動エネルギーが、印字情報
と関係なく、規則的に、あるいは、不規則的に変化する
ものであることを特徴とするものであり、そして、請求
項3に記載の考案においては、ヒーターの上方の空間
を、発生するバブルの体積が変化するとバブルの重心が
移動するように溝の軸方向と溝の軸と直角方向のうち少
なくとも一方を非対称に形成するとともに、前記ヒータ
ーに駆動エネルギーを印加する駆動手段からの駆動エネ
ルギーが一定であり、かつ、その波形が、印字情報と関
係なく、規則的に、あるいは、不規則的に変化するもの
であることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通し
たインク流路と、該インク流路内部に設けられたヒータ
ーと、該ヒーターに駆動エネルギーを印加する駆動手段
を有するサーマルインクジェット記録装置においては、
従来技術では、ヒーター上方の空間がヒーターに対して
完全に対称的であるから、生成される気泡の大きさにか
かわらず、バブルも対称的に生成され、バブルの重心
は、常に一定である。したがって、気泡がつぶれる位置
は常に同じ位置であり、気泡のつぶれによるキャビテー
ションダメージが1箇所に集中し、早期にヒーター保護
膜が破壊されてヒーター故障に至ったものである。
【0007】ヒーター上方の空間を、発生するバブルの
体積が変化するとバブルの重心が移動するように溝の軸
方向と溝の軸と直角方向のうち少なくとも一方を非対称
に形成したことにより、生成されるバブルの体積が変化
すると、バブルのつぶれる位置が変化する。通常の印字
において、バブルの大きさが必ずしも一定でないことに
より、キャビテーションダメージを分散させることがで
きる。
【0008】さらに、駆動手段として、駆動エネルギー
が、規則的に、あるいは、不規則的に変化するもの、あ
るいは、駆動エネルギーが一定であるが、その波形が、
規則的に、あるいは、不規則的に変化するものを用いる
ことによって、気泡の発生状態が変化し、その結果、気
泡がつぶれる位置を、さらに変化させることができ、キ
ャビテーションダメージをより広い範囲に分散させるこ
とができる。
【0009】
【実施例】先ず、サーマルインクジェット記録装置の概
略を説明する。
【0010】図13は、サーマルインクジェットヘッド
の一例を示すもので、一部を切断した斜視図である。図
中、1はヒーター基板、2はチャンネル基板、3はヒー
ター、4は共通電極、5は個別電極、6はピット層、7
はピット、8はインク流路、9はノズル、10はインク
供給口である。なお、保護膜等は図示を省略した。
【0011】図14は、図13に示したサーマルインク
ジェットヘッドの構成要素であるヒーター基板の一部の
平面図である。点線でハッチングした部分は、ピット層
が設けられた部分であり、したがって、このハッチング
がない部分がピットである。3はヒーター、4は共通電
極、5は個別電極、4aは共通電極端子、5aは個別電
極端子であり、これらはSi基板であるヒーター基板1
上に、フォトリソグラフィーにより形成される。その上
には図示を省略したが、保護膜が被着されている。
【0012】図15は、図13に示したサーマルインク
ジェットヘッドの構成要素であるチャンネル基板を説明
するためのもので、(A)図は平面図、(B)図は、
(A)図のチャンネル軸方向の断面図である。チャンネ
ル基板2における、ノズル9を形成するインク流路8
は、Siの結晶方位に依存してエッチング速度が違うこ
とを利用した異方性エッチング法(ODE法)によりS
iウェハに作製される。したがって、インク流路8は、
(B)図に示すように、三角形状の溝として形成され、
溝間は、やや幅をもった隔壁となっている。
【0013】ヒーター基板1とチャンネル基板2とが接
着される。図15(A)の斜線部分が、ヒーター基板1
との接着面である。両基板の接着は、図15(A)に示
すチャンネル基板2の下の辺が、図14に示すヒーター
基板1の上の辺と重なって接着されて、ノズル端面とな
る。接着後、ダイシングソーにより各素子に切断され、
図13のサーマルインクジェットヘッドが製作される。
【0014】図16は、このようにして製作されたヘッ
ドの要部の断面図である。図中、図13と同様な部分に
は同じ符号を付して説明を省略する。11は保護層であ
る。ピット層6は、ヒーター部にピットと呼ぶ凹部7を
形成するものである。ピット層6は、ヒーター基板1上
のヒーター発熱部以外の全面に、フォトリソグラフィー
によりポリイミドを着膜することにより形成され、気泡
の成長を規定する役割を果たす。保護層11は、ヒータ
ー3および電極4,5の保護膜であり、バブルがつぶれ
る際のキャビテーションダメージからヒーター層を守る
機能と、電極がインクに触れないようにする機能とを果
たす。チャンネル基板2は、ヒーター基板1上にインク
流路8を形成し、ヒーター3に通電することによって発
生した気泡により、インク滴が吐出される。
【0015】このような従来のサーマルインクジェット
ヘッドにおいては、ヒーターの上部の空間は、インク流
路の軸方向にも、軸と直角方向にも対称である。したが
って、上述したように、生成される気泡の大きさにかか
わらず、バブルも対称的に生成され、バブルの重心は、
常に一定であり、気泡がつぶれる位置は常に同じ位置と
なる。
【0016】図1乃至図3は、本考案の一実施例におけ
るヘッド構造を説明するための図である。図中、図14
乃至図16と同様な部分には同じ符号を付して説明を省
略する。図1は、ヒーター基板の平面図である。図2
は、チャンネル基板を示し、(A)図は平面図、(B)
図は断面図である。図3は、チャンネル基板における溝
の軸方向に切った断面図である。この実施例では、図1
および図3から明らかなように、ピット7の領域が、イ
ンクの吐出と反対方向に拡張されている。また、図2
(A)および図3から明らかなように、チャンネル基板
における溝の長さが短縮されている。なお、インク流路
8は、短縮された溝から拡張されたピットに連続して形
成されている。
【0017】したがって、ヒーター3の上方の空間は、
ピットがヒーターに対して溝の軸方向に非対称に延びて
いることにより、また、チャンネル基板における溝が、
ヒーターの上方でその軸方向に非対称に配置されている
ことによって、ヒーター上方の空間は、溝の軸方向に非
対称にされている。
【0018】チャンネル基板における溝の形成は、(1
00)面を持つSiウェハの異方性エッチングによって
行なった。図14,15で説明したと同様に、図2
(A)のチャンネル基板2の下の辺が、図1に示すヒー
ター基板1の上の辺と重なって接着されて、ノズル端面
となる。
【0019】図4,図5は、本考案の他の実施例におけ
るヘッド構造を説明するための図である。図中、図1
4,図15と同様な部分には同じ符号を付して説明を省
略する。図4は、ヒーター基板の平面図である。図5
は、チャンネル基板を示し、(A)図は平面図、(B)
図は断面図である。この実施例では、ヒーター基板1お
よびチャンネル基板2の構造は、図14,図15に示し
た従来例と同じであるが、チャンネルが横方向にずれて
接着されている点で、従来例と相違する。
【0020】この位置ずれによって、ヒーター発熱面上
方の空間が、溝と直角方向に対して非対称な形状となっ
ている。この構造のヘッドを用いて、ヒーター寿命を評
価、比較した結果、先に述べた実施例と同様に長いヒー
ター寿命を得ることができた。この実施例の場合も、先
の実施例と同様の理由により長寿命化したと考えること
ができる。
【0021】図7は、一般的なヒーター駆動方法を説明
するための等価回路である。Rはヒーターを示し、Tは
スイッチング素子であり、MOSFETが用いられる。
ヒーターRは、図14におけるヒーター3に相当する。
駆動電源は、30V程度の直流電圧Vcが用いられる。
スイッチング素子Tは、そのゲートに印加される印字信
号Vgによって、オンオフされるから、個別電極端子
は、駆動時のみ接地され、非駆動時は、ハイインピーダ
ンス状態となる。その結果、駆動時には、図14に示
す、共通電極端子4a,共通電極4,ヒーター3
(R)、個別電極5,個別電極端子5aの経路で電流が
流れ、ヒーター3で発生した熱によりバブルが発生、成
長し、インク滴が吐出される。インクが吐出されたため
に減少したノズル近傍のインクは、インク供給口10か
らインクの表面張力により再充填される。上述したよう
に、電源電圧および印加信号は一定であるから、ヒータ
ーの駆動エネルギーは、常に一定である。
【0022】図6は、本考案の一実施例におけるヒータ
ーRの駆動方法を説明するための等価回路である。この
実施例では、共通電極に印加する電圧として、直流電圧
のVdと直列に付加電圧Vaが追加されている。直流電
圧Vdに30Vの直流電源を選び、付加電圧Vaには、
周波数1kHz,振幅1Vrmsの交流電圧を発生する
発振器を用いた。その結果、スイッチング素子Tのゲー
トに駆動パルスVgが印加された際にヒーター間にかか
る電圧は、図8のようになる。この実施例では、1つの
ヒーターの吐出周波数を2.1kHzとしたので、ある
ヒーターに通電される時期T1 ,T2 ,T3 は、約47
6μsの周期となる。したがって、ヒーターに印加され
る電圧は、図8のT1 ,T2 ,T3 における電圧に示す
ように、吐出の度に変化し、その振幅の変化範囲は、約
2.8Vとなる。なお、各吐出におけるゲート電圧のパ
ルス幅は、4μsであり、ヒーター間にかかる電圧は、
このパルス幅内においては、一定と考えて差し支えな
い。
【0023】図1乃至図3、および、図4,図5で説明
した実施例のサーマルインクジェットヘッドに、図6,
図8で説明したヒーター駆動方法を用いて印字したとこ
ろ、従来例と同様の印字画像を得ることができた。従来
例の駆動方法は、駆動電圧が一定の30Vであるのに対
して、この実施例では駆動電圧が、28.6〜31.4
Vの範囲で変動する。駆動電圧が一定でないのに同様の
印字画像が得られる理由は、用いたヘッドにおいて、イ
ンク滴を吐出できる最低電圧が約27Vであり、この実
施例のサーマルインクジェットのヒーター駆動方法にお
ける、最小駆動電圧28.6Vにおいても、インク滴の
吐出に悪影響を及ぼさないだけのマージンを持っている
ことによると考えられる。また、同じく最大駆動電圧3
1.4Vにおいても、インク滴の吐出への悪影響は見ら
れなかった。また、最小駆動電圧と最大駆動電圧でのド
ット径を測定して比較した結果、その差は、3%程度で
あり、ばらつきの範囲内であった。つまり、駆動電圧の
変化範囲は、インク滴を安定的に吐出できる範囲内を選
択したということができる。
【0024】次に、同様に製作したサーマルインクジェ
ットヘッドを用いて、従来例および実施例のヒーター駆
動方法を用いて連続的に印字してヒーター寿命を評価、
比較した。その結果、従来例のヒーター駆動方法による
場合に比べて、実施例の駆動方法による方が、平均寿命
が、ほぼ2.7倍に伸びた。寿命が伸びた原因は、発熱
面上の気泡のつぶれる位置が、ヒーター駆動電圧の変化
のために吐出の度に異なることによると考えられる。そ
れに加えて、ヒーター発熱面上方の空間が、上述したよ
うに非対称な形状であるため、バブル体積が変化すると
バブルの重心の移動を大きくとることができ、気泡のつ
ぶれる位置をさらに大きく変化させることができたもの
である。
【0025】すなわち、従来は、同じ位置で気泡がつぶ
れていたために、気泡つぶれによるキャビテーションダ
メージが1箇所に集中し、ヒーター保護膜が破壊されて
早期にヒーター故障に至ったのであるのに対して、本考
案では、キャビテーションダメージが分散するために、
ヒーター故障時期を遅らせることができた、と考えられ
る。なお、2.8Vのヒーター駆動電圧の増加によっ
て、気泡つぶれの位置は、ノズルとは反対の方向に約1
5μm移動することが、別の実験により明らかになって
いる。
【0026】また、実施例における交流電圧Vaの周波
数は、吐出周波数のn倍、あるいは、1/n倍(nは整
数)以外を選んで、すべてのヒーターの駆動電圧が変化
するように設定するのがよい。また、このVaの周波数
は、ドット径の差によって画像にわずかに現れる濃淡に
よるモアレ現象に似た影響を目立たなくするよう、実験
により適切に設定するのがよい。
【0027】図10は、本考案の他の実施例の駆動手段
におけるヒーターの駆動電圧の説明図である。この実施
例では、スイッチング素子であるMOSFETにおける
ゲート電極のパルス幅を電圧に応じて変化させた。すな
わち、ヒーターに印加されるエネルギーが一定になるよ
うに、ゲート電極のパルス幅をヒーター駆動電圧の自乗
に反比例させたものである。
【0028】このヒーター駆動方法を用いて、ヒーター
寿命を評価・比較した結果、先に述べた実施例での結果
とほぼ同様のヒーター寿命を得ることができた。この実
施例の場合にも、先の実施例と同様の理由により、キャ
ビテーションダメージが分散し、ヘッドの長寿命化が達
成できたと考えられる。
【0029】上述した2つの実施例では、ヒーターの駆
動電圧が一定の周期を持つ波形であったが、図9に示す
ように所定の範囲内の振幅変化の中で、ヒーター駆動電
圧が不規則に変化するようにしてもよい。
【0030】図9では、途中の電圧波形を省略している
が、ヒーター駆動電圧が不規則に変化している様子を模
式的に示している。具体例としては、ヒーター駆動電圧
は、28.6V〜31.4Vまでの範囲内において、不
規則に変化させたが、平均値は、中心値である30Vに
なるようにした。
【0031】図10のように、ヒーター駆動電圧を不規
則に変化させた場合においても、ヒーターに印加される
エネルギーが一定になるように、ゲート電圧のパルス幅
をヒーター駆動電圧の自乗に反比例させることにより、
図9に示す実施例と同様なヒーター駆動回路を構成する
ことも可能である。
【0032】また、図8に示す実施例では、ヒーターの
駆動電圧を変化させたが、ヒーター駆動電圧を一定とし
て、ゲート電圧のパルス幅を変えることによって、ヒー
ターに印加されるエネルギーを変化させてもよい。パル
ス幅の変化は、規則的であっても、不規則であってもよ
い。上述したと同様の効果が得られる。
【0033】すなわち、本考案においては、ヒーター電
流のレベルや、パルス幅を変化させる際に、ヒーターに
印加されるエネルギーは、一定に保たれてもよいし、ヒ
ーター電流のレベルや、パルス幅等の変化に応じて変化
させてもよい。
【0034】図11,図12は、上述した駆動方法に適
したヘッド構造の別の実施例の断面図である。図中、図
16と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。図16の従来例と比較すると、図11、図12とも
にヒーター発熱面に対するピット7の形状が、インク滴
吐出方向に対して非対称な形状となっている。
【0035】図11では、ピットをインク滴吐出方向に
少し拡張して、チャンネルの軸方向におけるピットの形
状をヒーターに対して非対称とした。生成される気泡が
大きくなるにつれて、その重心は前方に移動する。
【0036】図12では、ピット7のインク滴吐出方向
と反対方向の後部のピット層を、適当な長さだけ薄く形
成して、ピット後部に段差22を設けた構造である。こ
の構造は、ポリイミドによるピット層を成膜する工程を
2度繰り返して行なうことにより実現した。このピット
構造では、生成される気泡が大きくなるにつれて、その
重心は後方に移動する。
【0037】これらの構造のヘッドを用いて、ヒーター
寿命を評価・比較した結果、図1乃至図3で説明したサ
ーマルインクジェットヘッドに、図8で説明したヒータ
ー駆動方法を用いて印字した結果と同様に長いヒーター
寿命を得た。この実施例の場合も、先の実施例と同様の
理由により長寿命化が達成できたものと考えられる。
【0038】
【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
によれば、気泡つぶれによるキャビテーションダメージ
が、1箇所に集中せず分散できるために、ヒーター寿命
を大幅に伸ばすことができる。
【0039】また、ヒーター電流のレベルや、パルス幅
等を変化させることによって生ずる、ドット径のわずか
な差は、ノズル間のドット径の差に起因するすじ状の画
像欠陥の影響を目立たなくできるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例におけるヒーター基板の平面
図である。
【図2】本考案の一実施例におけるチャンネル基板を示
し、(A)図は平面図、(B)図は断面図である。
【図3】本考案の一実施例におけるサーマルインクジェ
ットヘッドの断面図である。
【図4】本考案の他の実施例におけるヒーター基板の平
面図である。
【図5】本考案の他の実施例におけるチャンネル基板を
示し、(A)図は平面図、(B)図は断面図である。
【図6】本考案の一実施例におけるヒーターの駆動回路
の等価回路である。
【図7】一般的なヒーター駆動方法を説明するための等
価回路である。
【図8】図6における駆動装置の駆動電圧の一例の説明
図である。
【図9】図6における駆動装置の駆動電圧の他の例の説
明図である。
【図10】図6における駆動装置の駆動電圧の別の例の
説明図である。
【図11】本考案における別の実施例のサーマルインク
ジェットヘッドの断面図である。
【図12】本考案における別の実施例のサーマルインク
ジェットヘッドの断面図である。
【図13】サーマルインクジェットヘッドの従来例の一
部を切断した斜視図である。
【図14】従来例におけるヒーター基板の平面図であ
る。
【図15】従来例におけるチャンネル基板を示し、
(A)図は平面図、(B)図は、断面図である。
【図16】従来例のサーマルインクジェットヘッドの要
部の断面図である。
【符号の説明】
1 ヒーター基板 2 チャンネル基板 3 ヒーター 4 共通電極 5 個別電極 6 ピット層 7 ピット 8 インク流路 9 ノズル

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒーターが設けられた基板とノズルを形
    成するための溝を有するチャンネル基板とを接合して構
    成されるサーマルインクジェット記録装置において、ヒ
    ーター上方の空間を、発生するバブルの体積が変化する
    とバブルの重心が移動するように溝の軸方向と溝の軸と
    直角方向のうち少なくとも一方を非対称に形成したこと
    を特徴とするサーマルインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 ヒーターが設けられた基板とノズルを形
    成するための溝を有するチャンネル基板とを接合して構
    成されるサーマルインクジェット記録装置において、ヒ
    ーターの上方の空間を、発生するバブルの体積が変化す
    るとバブルの重心が移動するように溝の軸方向と溝の軸
    と直角方向のうち少なくとも一方を非対称に形成すると
    ともに、前記ヒーターに駆動エネルギーを印加する駆動
    手段からの駆動エネルギーが、印字情報と関係なく、規
    則的に、あるいは、不規則的に変化するものであること
    を特徴とするサーマルインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 ヒーターが設けられた基板とノズルを形
    成するための溝を有するチャンネル基板とを接合して構
    成されるサーマルインクジェット記録装置において、ヒ
    ーターの上方の空間を、発生するバブルの体積が変化す
    るとバブルの重心が移動するように溝の軸方向と溝の軸
    と直角方向のうち少なくとも一方を非対称に形成すると
    ともに、前記ヒーターに駆動エネルギーを印加する駆動
    手段からの駆動エネルギーが一定であり、かつ、その波
    形が、印字情報と関係なく、規則的に、あるいは、不規
    則的に変化するものであることを特徴とするサーマルイ
    ンクジェット記録装置。
JP1990405640U 1990-12-29 1990-12-29 サーマルインクジェット記録装置 Expired - Lifetime JP2551597Y2 (ja)

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JPS59138460A (ja) * 1983-01-28 1984-08-08 Canon Inc 液体噴射記録装置

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JPH0494638U (ja) 1992-08-17

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