JP2550131B2 - 周波数スペクトル解析装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はパッシブソーナー等の周波数分析において、
信号対雑音比の悪い部分を最適表示するのに好適な周波
数スペクトル解析装置に関する。

〔従来の技術〕 従来の装置は、特公昭58−19208号に記載のように、
表示変換テーブル部を持たず、又記録器上に表示するこ
とを意識した構成となっていた。又、特開昭59−221681
号記載の技術では、信号レベルの高いものは、それより
も低いものより表示輝度を明るくするような構成となっ
ていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術は、信号対雑音比の悪い部分の最適表示
についての配慮がなされておらず、従来技術のままでデ
ィスプレイに表示すると見にくい表示となると共に、ス
ペクトルを長時間見つめると目が疲れるという問題があ
った。

本発明の目的は、信号対離音比の悪いスペクトルをデ
ィスプレイに最適表示することにある。

〔課題を解決するための手段〕

水中等の雑音を周波数分析し平滑化処理を行うと、そ
のレベル分布は、ほぼレーレー分布に従う形状を示す。
又、平滑化処理は、その演算において予め平均値を与え
るようにすることにより前記レーレー分布を平滑化処理
の平均値で表現できる。さらに、平滑化データをグラフ
ィックディスプレイに表示する為に、データの最大値を
ある一定の値にクリッピングする必要がある。この時、
平滑化の平均値に対してクリッピング値が小さいと、そ
の分布はレーレー分布から逸脱するが、クリッピング値
が平滑化の平均値の２倍程度以上であれば問題にならな
いことが実験的に判明した。

ところで、平滑化データをグラフィックディスプレイ
に表示するには、平滑化データレベル（ｘ）に対し表示
強度（Ｌ）を与える必要がある。この関数Ｌ（ｘ）を以
下の条件で与えれば、ディスプレイの表示は最適となる
ことが実験的に求められた。

：平滑化の平均値（０＜50） Ｘ（X₁,X₂,…Xn）：平滑化データレベル（０≦Ｘ≦2X） L:表示強度（０≦Ｌ≦100） ここで、表示強度（Ｌ）は、モノクロディスプレイで
は輝度に、カラーディスプレイでは輝度・色相・彩度の
総合強度に対応する。なお、モノクロディスプレイでは
Ｌ＝０の時に表示強度が最大となるように設定すると、
見つめるべきスペクトル部分の発光が低い為疲れにくく
なる。カラーディスプレイでは、モノクロに比べ疲れや
すいのはさけられないが、Ｌ＝０の時に表示強度を最小
とし、最大発光強度を弱めに設定すれば良い。さらに
（１）式に加え、次の関係も維持する必要がある。

Ｌ（２・）≦Ｌ（ｘ） −（２） ２＜ｘ≦100 −（２） Ｌ（x₁）≦Ｌ（x₂） −（３） x₁＜x₂ −（３） 又、（１）式は最適表示範囲であるが、多少の品質劣
化を許容するなら、次の範囲まで拡張することができる
ことも確かめられた。

〔作用〕 関数Ｌ（ｘ）を制限することにより、グラフィックデ
ィスプレイの管面全体の発光強度が常に一定の範囲に押
えられる。その為、どのディスプレイを用いても最適な
表示画面が得られることになる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第１図から第４図により説
明する。

第１図は、本実施例の周波数スペクト解析装置のブロ
ックダイヤグラムである。本図において、音響信号は１
は、A/D変換器10により量子化される。このA/D変換器10
のサンプリング周波数は、音響信号１の帯域の２倍以上
である必要がある。A/D変換後のディジタル音響信号２
は、高速フーリエ変換器20により周波数領域の信号に変
換されFFT信号３になる。さらに、平滑化処理器30によ
り、周波数軸方向の包絡線を平坦にし、平滑化信号４と
なる。そして、前述の最適表示範囲に入るような表示デ
ータ変換器40により表示変換信号５を得る。表示変換信
号５は、表示制御器50により、グラフィックディスプレ
イ60の表示信号としてRGB信号又は輝度信号となる。な
お、図の信号名の下部に音響信号から平滑化信号までの
データの変換例を示している。図に示したように、音響
信号は、レベルの平均値がほぼ一定となるような周波数
領域の信号に変換されていく。

第２図は、第１図の表示データ変換器40の詳細なブロ
ック図である。平滑化信号４は、入力取り込み部41によ
り内部メモリに取り込まれ、平滑化信号ｘとして蓄えら
れる。そして、信号レベル判定器42により、ｘが２以
上か未満かに分離し、それぞれ輝度演算部（１）43又は
（２）44に送られる。なお、は平滑化平均値である。

ここで、輝度演算部（１）43の関数は、 （x:平滑化信号、 ：平滑化平均値 L:輝度信号） であり、輝度演算部（２）44の関数は、 である。さらに、輝度演算部（２）44の出力は、輝度レ
ベル判定器45に入力され、Ｌが０以上か未満かに分類す
る。Ｌが０未満の場合は輝度演算部（３）46により、 Ｌ＝０ となる。それぞれの結果は、表示出力部47により表示変
換信号５として表示制御器に送られる。

第３図は、本実施例の平滑化信号−表示強度の関数を
グラフ化したもので、実践が輝度関数ノンリニア特性で
あり、破線が最適表示範囲である。図のように、本実施
例の平滑化平均値は25％である。

第４図は、本実施例の出力結果の一例であり、第４図
（ａ）は最適表示下限関数以下の場合で、スペクトルの
表示が弱すぎ、第４図（ｂ）は最適表示上限関数以上の
場合で、ノイズが強すぎるためスペクトルが見にくくな
る。第４図（ｃ）は最適表示関数内であり、ノイズとス
ペクトルが適度に表示されている。

〔発明の効果〕

本発明によれば、グラフィックディスプレイに常に最
適表示を与えることができるので、表示によるスペクト
ルの見やすさを向上させる効果がある。又、目に与える
負担を小さくする効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例のブロックダイヤグラム、
第２図は表示データ変換器のブロックダイヤグラム、第
３図は本実施例の輝度関数グラフ、第４図（ａ）〜
（Ｃ）は本実施例の出力結果を示す図である。 10……A/D変換器、20……高速フーリエ変換処理器、30
……平滑化処理器、40……表示データ変換器、50……表
示制御器、60……グラフィックディスプレイ、41……信
号取り込み部、42……信号レベル判定部、43……輝度演
算部１、44……輝度演算部２、45……輝度レベル判定
器、46……輝度演算部３、47……表示信号出力部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭60−21351（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭57−47741（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水中等におけるレーレー分布する雑音を含
   む音響信号の周波数分析結果をディジタル量で出力する
   演算部と、該演算出力の包絡線を任意の値に平均化する
   平滑化処理部と、該平滑化処理部の後段に設けられ、前
   記平滑処理の平均値をパラメータとして表示強度に割り
   当てる表示データ変換部と、表示データを濃淡で表わし
   時間的にずらして表示する表示制御部及びグラフィック
   ディスプレイより成り、該表示データ変換部は信号対雑
   音比の悪い部分を最適表示するような表示変換特性を持
   ち、前記平滑処理の平滑化データレベル（Ｘ）と前記表
   示強度（Ｌ）との関係を Ｌ（２・）≦Ｌ（Ｘ） 2X＜Ｘ≦100 Ｌ（X₁）≦Ｌ（X₂） （X₁）＜（X₂） ：平滑化の平均値（０＜Ｘ＜50） Ｘ（X₁,X₂,…Xn）：平滑化データレベル（０≦Ｘ≦2X） L:表示強度（０≦Ｌ≦100） に設定したことを特徴とする周波数スペクトル解析装
   置。